たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

タカラヅカスペシャル2018_ライブビューイング(2)

2018年12月23日 14時57分24秒 | 宝塚
思い出すままに昨日の続きを・・・。 

 今年は宝塚バウホール公演の初演から40周年だそうです。わたし、バウホール公演20周年の宙組公演の映像をもっているんですけど、それから20年が過ぎたっていうことか。なんだかあっという間だけどのたうちまわるように生きてきました。そんな年月をかみしめながらのライブビューイング。2幕、トップスターさん4人によるMC、「お待たせしました、MCのお時間です」とみんなの期待どおりに紅ゆずるさんが仕切ってくれてボケとツッコミのめりはりがあり楽しさ倍増でした。客席からみて、左から珠城りょうさん、紅ゆずるさん、明日海りおさん、望海風斗さんという並び。もともと上背のある珠城さんと紅さんがより背が高く大きく見えて、もともと男役としては小柄なみりおさんと望海さんがなんだかより小さく見えて、みりおさん、あやちゃん呼びするし、みりだいの同期コンビでわちゃわちゃしている感じがものすごく可愛かったです。珠城さんは紅さんを「さゆちゃんさん」って呼ぶようになったのかな。紅さんにいじられるのを楽しんでいるようでこのお二人もまた可愛かったです。以外にいいコンビネーションのお二人でした。バウホール公演のあまたある曲の中から演出の先生方が選曲するのが大変だったという話から、望海さん「来年は紅白歌合戦のように5時間やれば・・・」、紅さん「5時間ってどういうことかわかってる?」、望海さん「この2倍・・・」、紅さん「40年前の初演の安奈淳さんのホフマン物語をみたことがある人?」からみりおさん「みたことありませんが、10年前にホフマン物語の再演をやらせていただきました。それから10年もたってしまったのじゃ・・・」と。紅さん「おじいちゃんになって・・・」とすかさずツッコミ。みりおさん、それから「ワシ」とかいっておじいちゃんになっていました。噛み噛み王子、可愛すぎました。みりおさんには天然の笑いの神様も降りてきてくださるのか。「これから先の10年も精一杯がんばります」みたいな。みりおおじいちゃん、可愛すぎました。

 トップコンビのシャッフルはバウホール公演の曲からで必ずしもわからなかったのですが、明日海りおさん×妃咲愛里さん、お二人とも小顔の美人なので麗しくってリアル少女漫画の世界をみているようで、妃咲さんがみりおさんに寄り添う感じもまたいいなと思いました。紅ゆずるさん×真彩希帆さん、真彩さんの歌声が紅さんにしっかりと寄り添っている感じで意外と二人の声があうのかなと思いました。これまたいいコンビ。珠城りょうさん×仙名彩世さんの同期コンビ、「オクラホマ」を楽しそうに力強く歌っていました。望海風斗さん×美園さくらさん、歌うま同士でこれまたいいコンビネーションでした。

 雪組コーナー、望海風斗さんの『ファントム』から「Where In The World」でスタート。一瞬で世界観に引き込まれました。宝塚大劇場で聴いたばかりの歌声をまたこうしてすぐに聴けるなんて感無量。続いて、真彩希帆さんが「メロディ、メロディ、メロディ~♪」と「パリのメロディ」。耳に心地いいこのお二人の歌声が広い宝塚大劇場に沁みわたっていたことを思い出しました。彩風咲奈さんが歌ったのは、みていませんが『誠の群像』からの楽曲かな。彩風さん、キャリエールの空気感をまとったままのようなあたたく優しい雰囲気を醸し出していると感じました。『SUPER VOYAGER』のテーマソングを朝美絢さんら若手が歌ったあと、トップコンビによる「コパカバーナ」。わたしこの歌杜けあきさんと一路真輝さんの声で繰り返しきいているような気がします。いつどこでだか、CDなのかはっきり思い出せませんが何十回も聞いています。楽しそうなお二人の歌唱力、かけあいが聴き応え十分でした。最後、真彩さんが客席に向けてウィンク。ノリノリでした。締めは『ガート・ボニート』、望海さんの「来年はイノシシ年!」から「ニャー」で締めくくり。歌唱レベルが高く、見応え、聴き応え十分な雪組コーナーでした。

 星組コーナー、スパンコールをつけた康次郎さんが登場。『Another World』から、「いっぺん死んだ気いになってやってみなはれ」「生まれ変わった康次郎」「ワクワク、ウキウキ、フワフワ、ドキドキ~♪」と紅ゆずるさん、目の使い方と表情がお見事。礼真琴さんが三途の川を渡る船の場面で歌っていた「あの世とこの世~の♪」だったかな、いい声過ぎてしびれました。続いて全員で「そーりゃ そーりゃ そーりゃ ありがたや」「そーりゃ そーりゃ そーりゃ なんまいだ」とみなさんとっても楽しそう。今の星組だから上演できた作品。この作品も生で観劇すえうことができてほんとによかったです。心の宝物。妃咲愛里さんは、『ブーケド・タカラヅカ』のテーマソング。『Another World』から一転して、トップコンビによる『うたかたの恋』、どのコンビよりも近いお二人の距離に、たちまちルドルフとマリーの世界へと引き込まれました。ラブラブですね。楽曲がいいですが二人が醸し出す作品の空気感、素敵でした。軍服とドレスの衣装でみるとさらに世界観が増したでしょうね。退団を発表した七海ひろきさんを中心に歌っていたのは『サンダーボルト・ファンタジー』のテーマソングかな。特にファンでなくても胸あつな場面でした。締めは、紅さんの「アメージング・ショータイム!」からの『キラー・ルージュ』テーマソング。元気がでるノリノリの楽曲。妃咲さんがキラー・ルージューの振付を踊っているの、頭の動きが可愛くって好きです。瀬央ゆりあさんが、すごく歌上手くなったなあと思いました。

 紅さんの「お待たせしました、MCのお時間です」で2幕のMCが始まったのはこの後だったかな。アンケートコーナー、「ライブビューイング会場のみなさんも参加してくださいね」とみりおさん、「40年前のバウホール公演、初演をみたという方、手を挙げてください」、「宝塚の海外公演をみたことがあるという方、手を挙げてください」、「20年前の宙組誕生公演をみたという方、手を挙げてください」(わたし、心のなかで、はあーい)、「1000days劇場に行ったことがあるという方、手を挙げてください」(わたし、心のなかで、はあーい)。1000days劇場が今どうなっているのか、わたし、わかっていません。確か特徴的な屋根が電車の中からも見えていた?ような記憶が・・・。紅さん、「わたし1000days劇場に行ったことないんですが、そこを歩く時いつもここが1000days劇場だったんだと思いながら歩いています」と。

 アンケートで選ばれた楽曲をトップスターが歌う前。紅さんが「初舞台のLUCKY STARをピンク色の衣装で歌います」と言ったとき、誰もツッコまなかったので、「だれかツッコんでよ」と紅さん、珠城さんが「ほんとですか?」とツッコミをいれると「2秒遅い」と。これだけでも楽しいですが、みりおさんと望海さんが「一期上の方々の初舞台を学校が休みの日曜日に毎週見て行っていましたと。紅さん「わたしの口上おぼえてる?」、みりおさんと望海さん「おぼえてません、あとで調べます」、紅さん「あとで楽屋に来て」。こんなやりとり、紅さんがいればこその雰囲気。楽しかったです。

 まだまだありますが、もうすぐミニ同窓会に行くのでひとまずこれにて・・・。

 そのまま全部記憶することはできないので、言葉はすべてニュアンス。自分の言葉に変換してしまっているところもあるかもしれません。

ふなっしー、がんばれ

2018年12月23日 11時46分39秒 | 気になるニュースあれこれ
千葉日報オンライン記事より
https://www.bing.com/profile/history?FORM=EDGEHS

2018年12月21日 21:48

「プレゼント持ってきたなっしー! 「ふなサンタ」児童施設訪問 船橋

 児童施設訪問船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」が21日、同市の坪井児童ホームのクリスマス会にサンタクロース姿でサプライズ登場した。「プレゼント持ってきたなっしー」と甲高い声で呼び掛けると、子どもたちは大はしゃぎで喜んだ。

 「ふなサンタ」の訪問は市内の子育て支援施設などで毎年実施され、今年が6回目。ふなっしーが無名だった頃からの夢という。今回は弟の「ふなごろー」と飼ちい猫の「ふにゃっしー」を引き連れ登場。お友達のマスコット「チーバくん」や「船えもん」と共演を果たすと、集まった児童ら約180人に「梨小屋にあった」ぬいぐるみなどを手渡した。

 漫画をプレゼントされた市立坪井小3年の中川彩葉さん(8)は「ふなっしーは初めて生で見たけどかわいかった。とてもうれしい」と声を弾ませた。
 ふなっしーは報道陣の取材にも応じ、「子どもたちの笑顔は最高なし。こっちが元気もらったなし」と話した。2018年は「海外で仕事もしていろんな人に会えた」と振り返りつつ、来年の抱負は「なるべく体力を温存できるように」と本音もちらり。笑いを誘った。」


 千葉日報は労働紛争となってしまった、共同通信配信のわたしの声を掲載してくれたので少し近しい感。いい記事、載せているのでは・・・。

 子どもたちは社会の宝。幸せな時間の記憶は、大きくなっても身体記憶として体に刻み込まれ、あっちにぶちかりこっちにぶつかりしながら自分の足で社会を生き抜いていく礎になっていくと思います。

 港区南青山で児童相談所建設をめぐり、住民と区が対立しているというネットのニュースをみて、わたしの乏しい業務経験から思うこと。詳しく書くことはできませんが、児童相談所に一時保護されるのは被虐待の子どもだけではありません。母子で母が入院することになれば親族が近くに住んでいるとはいってもそれぞれの事情ですぐに引き取ることができるわけではないので入院期間中、児童相談所が一時保護します。そこで勉強もします。母に金銭管理も含めた養育能力がなく、色々なことがあって救急車で運ばれれば児童相談所が駆けつけて子どもたちを一時保護します。児童相談所が施設をさがして、引き取られた施設で大切に育てられ能力があがってくるということもあります。一番大変なのは親を選ぶことができないで生まれてくる子どもなのだとなんともいいようないやりきれない思いになったこともあります。おかれた環境の中で、子どもたちは自分にとって安全基地となる大人を探し求めながら一生懸命に生きているのだと感じて涙が出そうになったこともあります。けっしてかわいそうということではありません。子どもにとって安全基地は大人になって自分の足で歩いていくための礎。これからの社会を支えていく子どもたちを、人として尊重し、地域で、社会で、あたたかく見守っていくことはできないのかな、ってわたしなりに思います。
 

タカラヅカスペシャル2018_ライブビューイング

2018年12月22日 23時24分53秒 | 宝塚
 無事に行ってきました。帰り道、その先でイベントがあったらしく電車の中は高校生で激込みでおばさん緊張、そして夜はバスが走らないので最寄り駅から徒歩、どんなにがんばっても25分、途中車にひかれてもおかしくないスポットだらけなので一日一日、わかりません。こうして無事に帰ってくるまでがライブビューイング。帰ってくるまで緊張しました。こうしてまた無事に楽しい時間を過ごすことができたことに感謝。ここに住み続けることはやっぱり無理なんだと思わざるを得なくってこれからどうしましょうになるんですけど今はやめましょう。今年も一年間、よくがんばりました。がんばった自分を振り返りながらのタカラヅカスペシャルライブビューイング。盛りだくさんな内容で、気がつけば終わっていました。半分ぐらいは知っている曲だったり、聴いたことあるけどタイトルが思い出せなかったり、どの演目だったか思い出せなかったりする自分が情けなくもありながら楽しい時間でした。思い出すままに・・・。

 オープニングは「TAKARAZUKAオーレ」、みなさんピンクの衣装でした。懐かしいですね、月組の天海祐希さんがトップ時代の名曲、妹とお別れしてから最初に観た舞台。「エールの残照」との二本立てでした。平成1年から10年までの曲ということで、わたしがわかって嬉しかったのは、星組「ナルシス・ノアール」「ジュビレーション」、雪組「サジタリウス」、望海風斗さんが一路真輝さんトップ時代の、大好きだったこの曲を歌ったの、胸あつでした。花組と月組は記憶、ちょっと途切れています。

 トップさんたちの一年を振り返るMCタイム、望海風斗さん、大劇場公演を終えて「すっきりしてします」。お正月の大劇場公演を控えて稽古中の紅ゆずるさん、「何をやっているんだか、でもこの時間は楽しみます」みたいな。二幕でも同じようなやり取りがあったと思います。望海さんに対して「ワン!」ってほえる紅ゆずるさん、可愛かった。ゆっくり休む間もなく、次々と。こちらは嬉しいですが、忙しいですよね。明日海りおさんが、「ライブビューイングで北は北海道から南は九州・沖縄まで全国70か所ぐらいの映画館で上映、台湾・香港でも上映されています」で言った後、今年台湾公演を終えた紅さんに中国語で挨拶を・・・で紅ゆずるさん、途中ほんとに一瞬出て来なくなってしまったのかな、「少々お待ちください」から無事に挨拶を終えました。「香港・台湾のみなさん、楽しんでください」ということを言ったそうです。途中留まったのは、「わたしの気持ちをためてました」みたいな。このあたりのアドリブ力、さすが。「台湾公演どうでしたか」と珠城りょうさん、「すごく楽しかった、熱気がすごい、拍手がすごいのでこちらもがんれる」みたいなWさゆみさん、このあと挨拶は「最新の方が・・・」って明日海りおさんが言って紅ゆずるさんの中国語挨拶になったんだったかな。ここだけでもけっこう楽しかった。
 

 花組コーナー、明日海りおさんが「一緒においでよ、一人ではさみしすぎるから」から「人に生まれて、人ではなくなり、悲しみを抱いて生きる僕はバンパネラ~♪」と「哀しみのバンパネラ」に一瞬で『ポーの一族』の世界に引き込まれて鳥肌が立ちました。今年のお正月、初の宝塚大劇場遠征、終盤エドガーとアランがゴンドラに乗る場面を一階席から見上げた時間を一瞬にして思い出しました。あれからほぼ一年、ここまでよくがんばってきたよなあ自分、って思いました。みりおさん、さらに歌声に磨きがかかってきていると感じました。すごい、ほんとにすごいです。仙名彩世さんの『Sante!!』のテーマソングから、「アヴォートル・シャンテ」が男前でした。ミニスカートで娘役さんたちを率いる姿が男前。ごめんなさい、なかなかに苦手でしたがこれはかっこいいと思いました。なんか吹っ切れているのかな、DHに続いてキラキラと輝いていました。トップになってから今が一番輝いているのでは・・・。宝塚王道のヒロインキャラではない、トップ娘役という立ち位置で今までにはない風を吹き込んだことはたしか、明日海さんと男同士ぐらいの感覚で面白い芝居ができる可能性があったのでは、と思いました。鳳月杏さんが一瞬で中大兄皇子になり『あかねさす紫の花』の世界に引き込んでくれた時も鳥肌でした。すっごい男役の色気と美しさ。瀬戸かずやさんは『BEAUTIFUL GARDEN』から「Beach Time」で一瞬常夏に連れて行ってくれました。この方も歌に磨きがかかったと感じました。花組さん、今年2回生で観劇することができました。よかった。柚香光さんは「EXCITER」、全国ツアーを終えたばかりでお疲れ気味だったかな。ちょっと痩せたようにも見えました。華のある存在感。

 月組コーナー、『カンパニー』から珠城りょうさんが「君に出会えただけで、幸せだった、自分の心にそう言い聞かせ、明日を信じて歩く」から「カンパニー~♪」で瞬間とてつもなくいい人なサラリーマン青柳さんになっていました。ライブビューイングでしたが、観劇日記書けていませんが、舞台を思い出しました。美園さくらさんは『エリザベート』のエトワール。見事な高音の美声でした。真彩希帆さんとはまた違う歌うまかな。続いて暁千星さんの「闇が広がる」、トートとルドルフを一人で歌っていました。これも鳥肌でした。上手いだけでなく一瞬で世界に引き込まれました。美弥るりかさんは『雨に唄えば』からコズモのステップも軽快な「MAKE,EM LAUGH」、一瞬世界へ引き戻してくれました。ライブビューイングでしたがいい舞台でした。最後は珠城りょうさん、サングラスをかけてBADDYで登場、月城かなとさんもいつの間にか青ふちのメガネをかけていて最後は楽しく盛り上がりました。これは上田久美子先生の意表を突いたほんとに楽しい作品でした。わたしはみていませんが、「カルーセル輪舞」からの曲もあったかな。


 ここまででも十分に盛りだくさんでした。おそくなってきたので、二幕の雪組と星組のことは明日以降・・・。
 





星組台北公演千穐楽ライブビューイング_思い出し日記

2018年12月21日 21時42分24秒 | 宝塚
2018年10月28日(日)記事、星組台北公演千穐楽ライブビューイングhttps://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f5582fc3b81810d0b24b3d4b095fd5e5

2018年11月5日(月)記事、星組台湾公演大千穐楽おめでとうございます
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/e2fabc3ea9e73e4f3c4b3c93c39f8b5f


 こちらの記事の続き、星組、台湾の台北公演、怒涛の9日間連続公演の千穐楽ライブビューイング。帰郷を前にして2年間通った映画館で最後の観劇となりました。ほんの2か月前のことなのに、駅から遠くバスもほとんどない片田舎に引っ込んでしまった今、もっと長い時間が過ぎたように感じます。明日のタカラヅカスペシャル2018のライブビューイングを前にようやく思い出し日記。


 熱い客席の熱気がそのまま伝わってくるような、とってもいいライブビューイングでした。台湾のお客様、芝居もショーもコンサートのようにノリノリで歓声と拍手がすごかったです。親日的で東日本大震災の直後真っ先に援助の手を差し伸べてくれた台湾。こうして宝塚が公演できること、感慨深いものがあります。臨場感たっぷりのカメラワークもよかったと思います。カメラマンは作品と星組生をよくわかっている方なのかな。『サンダーボルト・ファンタジー』、オープニングで雷鳴が轟く中、個性豊かなキャラクターが次々と舞台に登場したとき、一人一人アップで映してくれたの嬉しかったです。台湾の客席の歓声が、キャラクターが登場するたびにすごかったような。事前に梅田芸術劇場と日本青年館公演のプログラムをキャトルレーヴで購入して少し予習していったのでわからないということはなかったです、一回だけではわかりづらいところもありましたがだいたいのところはわかったかな。原作を知っている方にはもう少しここがこうだったらというところもあったようですが、プログラムに掲載されている原作キャラクターをみると再現率の高さが半端ないです。着脱が大変だろうなと心配になる、みるからに重そうな衣装で立ち回りの場面もあり楽しい舞台でした。

「かつて魔界の軍勢が人類を滅亡させようと人間界に押し寄せた際、追い詰められた人々が、魔界に対抗するために作った神かい魔械(しんかいまかい)。中でも、ひときわ危険な力を持つとされるのが”天刑剣”(てんぎょうけん)である。この最強の聖剣を巡る戦いが、東離の地を舞台に今、幕を開ける。

 降りしきる雨の中・・・誰が置いていったのか、小さな石仏を守るかのように傘が立てかけられている。この小さな祠(ほこら)の前に佇む男が一人-鬼鳥(きちょう)と名乗るその美大夫は、気品を漂わせ、まるでこれからここで起こる事を予見しているかのように、優雅に煙管を吹かせながら雨が止むのを待っていた。

 やがて、旅人のショウフカンが現れ、立てかけられた傘を持ち去ろうとする。これが全ての始まりだった。鬼鳥(きちょう)はショウフカンに声を掛け、借りた雨傘の義理に、この先の旅路、誰であれ最初に出会った人物に、御仏に成り代わって慈悲をかけるよう約束させる。

 そこに現れたのは、天刑剣(てんぎょうけん)が祀られる祠を守る護印師のタンヒ-彼女は、強大な力を持つ天刑剣(てんぎょうけん)を狙うベンテンガイに追われていた。天刑剣(てんぎょうけん)は刀身のみの状態で鍛剣祠(たんけんし)に封じられており、柄と鍔(つば)が取り付けられ、本来の形に戻った時に初めて台座から引き抜くことができるという。兄が持っていた柄をベンテンガイに奪われてしまった今、残る鍔を守り抜き、柄を取り返すことが自らの果たすべき使命だと語るタンヒに、鬼鳥は快く協力を申し出る。一方、ショウフカンは厄介ごとに関わるのは御免だとその場を後にするが、鬼鳥は彼との再会を確信していた。

 ベンテンガイの居城、七罪搭(しちざいとう)がある魔脊山(ませきざん)には結界が張られ、三つの関門により封じられていた。やがて、鬼鳥のもとに、それぞれの関門を突破する手段を持つ者たちが呼び集められる。弓の名手として東離に名を馳せる豪傑・シュウンショウ、その舎弟で、槍の寒赫(かんかく)を名乗り、自分の腕に相応しいだけの名声を手に入れようと血気に逸る若者・ケンサンウン、夜魔の森に住まう呪術の達人・ケイガイ、関門を越えるために不可欠な廻霊笛(かいれいてき)を奪い取った悪名高き殺し屋・セツムショウ-。奇縁に導かれた七人は、それぞれに異なる思惑を抱きながらも、共に七罪搭を目指すが・・・。」


 いつの時代とは特定されていない壮大なファンタジー。雨の中、紅ゆずるさん演じる鬼鳥、すなわちリンセツアが、雨傘を立てかけられた石仏の前で佇んでいるところから物語が始まり、最後に再びリンセツアが雨傘を石仏に立てかけるという振り出しに戻って幕が下りる。すべては短い午睡の間にみた夢だったという「邯鄲の枕」(かんたんのまくら)のような起承転結がいいなと思いました。もう一人の主役、次回作で退団することを発表された七海ひろきさんが演じたショウフカン、立ち回りもふんだんにあり見せ場がたっぷりで男気もあり、かっこよかったですね。兄を殺されて郎党に追われているタンヒが目の前に転がり込んできたとき、面倒くさいことには首をつっこみたくないといいながら郎党を雨傘でやっつけてしまったり、最後はまた一人孤独に旅立っていこうとする後姿とか、原作ではおじさんだそうですが声色も可愛かった喜六とは全く違う、素敵な渋いカッコよさ。タンヒとケンサンウンの若いカップルに目を細めるあたり、素敵なおじさまぶりでした。ケンサンウンを二番手の礼真琴さんが演じたのもよかったと思います。血気盛んでチャラいところがあるキャラ。ショウフカンとケンサンウン、宝塚の番手方式には必ずしもあてはまりませんがそれぞれ素の持ち味が生かされたいいキャスティングでした。ケンサンウンが初めて会ったタンヒに、「かわいい~」と一目惚れし、目がハートになっている場面がありましたが、妃咲愛里さんのタンヒ、原作のキャラクターそのまんまのビジュアルでリアル妖精さん、可愛かったですね。立ち回りもこなしていて素敵でした。衣装が少しぶかぶか?でやせてしまったのかな、ちょっと心配。

 第一場、オープニングはいつか槍の名手になって世に名を馳せてやろうとケンサンウンが槍を振り回して登場、歌うま礼真琴さんのしびれるような歌声で開幕したのはさあこれから物語が始まるぞという勢いがついた感でした。少年っぽさが可愛いかっこいいケンサンウンでした。続いてタンコウとタンヒの兄妹が逃げながら天刑剣(てんぎょうけん)を狙う郎党と戦う場面。しょっぱなから殺陣で、前日『るろうに剣心』を観劇していたので、タカラヅカジェンヌの立ち回りの所作は美しいとあらためて感じました。兄のタンコウは妹のタンヒを逃すために盾となって斬られてしまいます。タンヒも重そうな衣装をつけながら立ち回りをやっていました。護印師の娘でお嬢様のタンヒを全く嫌味なく演じてそのまんまにしかみえなかった妃咲愛里さん、ひたすら可愛かったです。殺陣の場面、言葉にするのがむずかしですが体の周りが光で包まれ、閃光が走ったりする映像と、斬られる時の効果音による演出が凝っていて臨場感たっぷり、リアルアニメ漫画の世界をみている感でした。

 紅ゆずるさんの鬼鳥ことリンセツアは本性がみえない謎めいたキャラクターで、自分自身はいつも煙管を片手にほくそ笑みながら戦いの場面を見ているという立ち位置、ほとんど動きがなく、三つの関門の前には、説明するための長い台詞もあり、台詞の量は膨大。これは難しい役所だと思いました。涼やかな表情を浮かべながら、説明するためのセリフを物語のように語るところなどさすがだと思いました。声の使い方も負担が大きかっただろうに喉が全くやられないとこともほんとにすごいと思いました。背景では巨大な石のからくり人形など、映像を駆使した演出でこれまたリアル漫画の世界のような臨場感があり視覚的にも楽しめました。

 タンヒを追ってきたベンテンガイの手下の郎党を討ち取ったショウフカンはお尋ね者になります。宿場町で自分の人相書をみたショウフカン、もうちょっといい男に描いてくれよ、だったかな。郎党を討ち取る立ち回りの場面もこの宿場町の場面も、七海ひろきさん、ひたすらかっこよかったです。男役さんにとって発散できる殺陣は楽しいものなのかな。剣を納めるまで一連の所作がタカラジェンヌさんは流れるように美しいです。プログラムを確認すると七罪搭の牢獄の場面だったかな、ベンテンガイをおびき出すためリンセツアとショウフカンが入れ替わる場面がありました。リンセツアがショウフカンの姿を真似した後姿の影が映し出され、ショウフカンがリンセツアの声色を真似る、そのショウフカンの七海ひろきさの声が、本当にショウフカンとしてリンセツアの声を真似ているように聞こえました。印象的な場面でした。

 ベンテンガイの天寿光希さん、ビジュアルも含めてなかなか痛快な悪役ぶりでした。呪術の達人ケイガイも印象的なキャラクターでした。演じていたのは夢妃杏瑠さん、娘役さんですね。他にもケンサンウンが師匠と慕っていたのが実はベンテンガイの一味だとか、リンセツアの師匠だとか、大劇場公演よりも少ない人数であることを感じさせない個性豊かなキャラクターが揃っていました。一回だけでは役者さんとキャラクターの全員を把握できないのが残念ですが楽しませていただきました。

 ケンサンウンがタンヒに槍の手ほどきをする場面、ほほえましかったです。若い二人を見守るショウフカンのおじさまぶりが最高でした。最後にリンセツアから差し出された雨傘を受け取らずに一人旅立っていくショウフカンも素敵でした。後を追っていこうとするリンセツア。二人の旅路はどこまでも続いていくのかな。紅さんと七海さん、素のお二人の信頼関係が滲み出ているようなリンセツアとショウフカンの関係性に感じられました。

 1月の宝塚大劇場日帰りバスツアー、平日はいつどうなるかわからないので日曜日の催行決定済ツアーを申し込みました。日曜日は7時代のバスがなく、駅まで徒歩30分の道のり。自然災害に阻まれず交通事故にあうこともなく無事に行けるよう今からお祈り。その前に明日はタカラヅカスペシャルのライブビューイング、明後日は交通事故で亡くなった同級生を偲んで中学時代のミニ同窓会、明々後日は宙組のライブビューイング。帰ってくる頃バスはないので三日連続駅から徒歩30分。アスファルトが足腰にこたえるし、車が飛ばしまくっている道路を横断し歩かねばならないので危ない、危ない。いつ事故にあうかわかりませんが信号なくって車が飛ばしまくっている道路を危なくっても渡らないとどこにも行けないし帰ってくることができません。コンタクトレンズはいつも遠くが見えるものをつけるようにしました。都心の近距離が見えればいいというわけにはいきません。一日一日、無事に生き延びてライブビューイングを楽しめるようにと思います。

 長くなりましたが、思いつくままに印象的だったところを書き連ねてみました。お付き合いくださり、ありがとうございました。

 





(舞台写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています。)










ミュージカル『マリー・アントワネット』(2)

2018年12月20日 22時26分01秒 | ミュージカル・舞台・映画
 ミュージカル『マリー・アントワネット』、劇場ロビーにはキャストのサイン入り写真が展示されていました。こうしてみるとたしかにイケメンは古川雄大さんだけなのでなかなか女性客を取り込むのはきびしいのかな・・・?!

 『1789バスティーユの恋人たち』は革命派と王党派、どちらにもそれぞれ気持ちを寄せながら観劇しましたが、この作品ではマリー・アントワネット寄りでした。まだ幼くて無知なマリー・アントワネットが市民を味方につけて王権を倒そうと目論むオルレアン公たちにはめられていき最後は断頭台へといたるプロセスをみているようで痛々しくてたまりませんでした。王権を倒そうと市民が熱く燃え上がる場面にほとんど気持ちが寄りませんでした。どこに共感するかによって見方が変わる作品なんだろうと思います。

 ルイ16世の佐藤隆紀さん、エリザでは観劇のご縁がなく初見でした。さすがの歌声。鍛冶屋に生まれればよかったと歌う場面が何度かありましたが、心の底から想いが沸き上がってくるようで本当にこの方が市民で鍛冶屋なら結婚生活は平凡ながらも幸せなものになっただろうにと思わないではいられませんでした。愛情表現の下手なルイ16世が子どもをいつくしむ場面も胸あつでした。フェルセンの手ほどきにより国外へ逃れようとする途中、フェルセンに、ここで別れよう、あとはのんびり家族だけで行くよと告げて、フェルセンを返してしまう場面、ここでフェルセンを返しさえしなければ史実は変わっていたかもしれないと思うとわなわなしてしまいました。ヴァレンヌで、一度は無事通過できそうだったのに、写真がまだなかった時代、人相書のルイ16世にそっくりだと呼び止められると自らルイ16世だと名乗ってしまう場面も然り。現実をわかっていなさすぎるとわなわなしてしまいました。

 王位を狙うオルレアン公の吉原光夫さん、レミゼのバルジャンの印象が強いので、いやらしさ満点の、アントワネットにとっては敵役に心の底から憤りをおぼえました。さすがの声量といいお声でした。同じくアントワネットを陥れようとする革命派の詩人ジャック・エベールの坂本健児さんもいやらしさたっぷり、歌のうまさは今まで拝見しているとおりでさすがでした。この方にも心の底から憤りをおぼえました。アントワネットを陥れようとした理由は今一つわかりませんでした。国王を倒したかったということなのかな。アントワネットが処刑されたあと、二人が共謀していたとマルグリットが告発したことによりロベスピエールにしょっぴかれていくのがなんとか救いになっているのかな。でもそのロベスピエールものちに恐怖政治によって処刑されることになるんですよね、とか考えていると終わらなくなるのでやめておきます。首飾り事件の首謀者ラ・モット夫人を演じたのは真紀子さん。エリザで死刑囚の母を演じてきている方。アントワネットと親しいとロアン大司教を騙し、アントワネットに似せたマルグリットと引き合わせるあたり、いやらしさ存分でした。黒幕の役所がよく似合っていました。アントワネットがロアン大司教を逮捕させ、裁判で彼が無実となって国王夫妻が市民の信頼を失っていく流れも舵取りを間違えなければ、と痛々しいかぎりでした。緊迫感が続く舞台の中で、唯一客席を和ませてくれた仕立て屋のレオナール駒田一さんとローズ・ベルタン彩吹真央さんのコンビ。革命が起こり貴族たちがパリから逃げ出したと知るとそそくさと逃げ出すしたたかさ、レミゼのテナルディエ夫妻をみている感覚でした。

 ルイ16世が処刑されると一夜にして髪が真っ白になったアントワネットにフェルセンが会いに来ると、わたしをみないで!と叫ぶ場面、裁判にかけられたアントワネットが、ルイ・シャルルに性的暴行を加えていたとあらぬ事実をでっちあげられたのに対して毅然とした態度で法廷を出ていく場面、粗末な荷車で処刑場に運ばれたアントワネットが荷車からずりおちる場面、二幕の終盤にかけてはさらに痛々しく胸がふさがれ、みていられないような心持ちになりました。なかなかにおもい舞台。この作品が問いかけているものはなにか。時間をかけて考えていきたいと思います。

「貴族の反抗は、聖職者・貴族の免税特権の廃止などの絶対王政の近代化の試みに対して彼らの特権を守ることに過ぎなかったが、それはブルジョアジーを始めとする国民の支持を受けた。何故なら、国民は彼等の抵抗を表現する機関をもたなかったからである。国民的支持を受けた貴族の反抗に直面して絶対王政は屈服する他なく1789年5月、174年ぶりにヴェルサイユで全国三部会が開会された。しかし三部会ではその構成と表決方法をめぐって、第一・ 第二身分と第三身分とが対立し、第三身分は、6月17日、彼らの集会を「国民議会」と呼ぶことを決定し、憲法制定までは解散しないことを宣言した(テニスコートの誓い
)。間もなく聖職者の大部分と貴族の一部とが国民議会に合流した。国王ルイ16世は軍隊を動員して国民議会を解散させようとしたが、パリの民衆は7月14日にバスティーユ牢獄を襲撃して、危機に瀕していた国民議会を救った。彼等の蜂起は議会の救援というよりむしろ当時流布していた「貴族の陰謀」と軍隊の動員に対する自衛行為というべきであるが、結果的には国民議会を救ったのである。専制政治の象徴であるバスティーユ牢獄の占領は、地方に革命をひろめるきっかけとなった。当時農村では「大恐怖」と呼ばれる心理的不安が発生していたが、バスティーユ牢獄占領後、各地で農民一揆が頻発した。

 農民の蜂起は、貴族やブルジョアジーに恐怖心を起させた。自由主義的貴族が中心となって国民議会は農村の動乱を鎮めるために、8月4日に封建制の廃止を宣言し、次いで26日に、人間の権利の平等、自由、所有権、および圧政に対する抵抗は天賦の人権であること、人民主権などを内容とする「人権宣言」を公布した。「人権宣言」の決議の翌日(8月27日
)、議会は憲法草案の作成に着手したが、二院制の可否と国王の拒否権をめぐって分裂した。ルイ16世は議会の分裂に乗じて、8月の諸法令を承認せず、一度撤退させた軍隊を再びヴェルサイユに呼びよせた。その結果国民議会は再び危機に面した。

 議会の危機を救ったのは、またしてもパリの民衆であった。当時食糧品の買い占めのために、パリの民衆は「飢饉なしの飢え」と呼ばれた食糧不足に悩んでいたが、10月5日、婦人を中心とする6,000人の群集がパンを求めてヴェルサイユヘ行進し、その圧力に屈した国王は8月の諸法令を認め、ヴェルサイユからパリのチュイルリー官殿に移った。このような経過を経て、国民議会は 1791年9月に憲法を可決した。1791年憲法は人民主権の原則を掲げ、立法権は立法議会と呼ばれる一院制の議会に属すると規定しているが、選挙権に関しては、納税額を基準に市民を能動市民(満25歳以上の男子で、最低三日間の労賃に等しい額を支払うもの)と受動市民とに分け、前者のみに選挙権を与え、能動市民100人に1人の割合で選挙人を選出する間接選挙制が採用されている。従って、当時のフランスの総人口約2,600万人のうち、僅か約5万人が選挙人の資格を得たにすぎず、財産上の差別が旧制度の身分的差別に代ったといえよう。次に行政権は国王に属すると規定されているが、国王には議会の可決した法案に対する停止的拒否権しか認められていない点で、行政権の弱体化が意図されている。


 1791年4月、ルイ16世は復活祭を行うためにサンクルーヘ旅行しようとしたところ群衆に出発を妨げられた。この事件によって自分が囚人にすぎないことを自覚した国王は、6月にパリを脱走したが、パリの東200キロのヴァレンヌで捕えられ、パリに連れもどされた。」

(通信教育教材「西洋史概説」より)
 






























2018年『フェルメール展』_牛乳を注ぐ女

2018年12月19日 23時00分36秒 | 美術館めぐり
「フェルメール「牛乳を注ぐ女(あるいは台所で働く女性)
 1658-60年頃、油彩・キャンパス、45.5×41センチ、アムステルダム、国立絵画館所蔵


 台所の片隅で牛乳を注いでいる女性が描かれているが、光のトーンと色彩がまことにすばらしい。光を浴びた壁の表情から目を引き離すことができない。壁に打ちつけられた釘や釘穴が描かれている。壁の汚れや染みや傷が克明に表現されている。フロアーと接する壁の下の部分にデルフト焼きのタイルが帯状に描かれている。見落としそうなところだが、こうしたタイルにおいて体験されるオランダがある。

 壺からミルクが注がれている。描かれているのは労働の場面だ。フェルメールは動作をとらえている。卓上に姿を見せている器、かご、パン、テーブルかけ、布地や、女性の服装など、質感と量感の表現が見事である。明暗、色彩、光と影、雰囲気、生活感情、人物の気分、空間様相などの表現において、フェルメールの技法は冴えわたっている。

 オランダ・アムステルダムの国立絵画館で見たこの絵はどちらかといえば小さな絵だが、気品があふれた、また、ほっとするようなぬくもりが感じられる絵だった。原画のしっとりとした感じと輝きが、画集をみるときにもよみがえってくる。彼は空間の実在感と雰囲気をあますところなく描き出している。ゆるぎないコンポジションだ。フェルメールは、彼女の視線と手もとを明るみに出して、「行為」を描いている。

 この作品においては光ばかりではなく、深い影が体験される。目にしみるような絵だ。この絵を見るとき、私たちはフェルメールの光を浴びるのであり、フェルメールの影のなかに立つのである。彼が描いた部屋の片隅を訪れて、そこでオランダを体験するのである。」

(山岸健著『絵画を見るということ』より)



2018年12月15日(土)上野の森美術館にて




























ミュージカル『オン・ユア・フィート』(2)

2018年12月18日 22時47分27秒 | ミュージカル・舞台・映画
「歌の大好きなグロリアはキューバ移民の両親のもと、マイアミという開放的な場所で暮らしていたが、戦争によって身体が不自由な父親や妹の世話に追われ、歌の才能を発揮できずにいた。ところがある日、祖母の計らいで、地元で名の知れたバンドのプロデューサー、エミリオ・エステファンの前で歌を披露することに。それは輝かしいスターへの階段を駆け上がると共に、栄光と挫折の日々の始まりでもあったー。」

 幕開け、客席でペットボトルのお茶を飲んでぼうっとしていたわたしは、客電がおちると同時にいきなり始まった生演奏の大音響にびっくりしてしまいました。「びっくりした」ってお隣の方に聞こえる声を出してしまいました。恥ずかしい。二幕は自分の席からよくみえた二階のバンドメンバーのピアニストの動きを追って備えたのでびっくりしませんでした。それほどノリノリでコンサートのようなミュージカル。キューバの歴史を知ってからみるともっとわかりやすかったかなと思いますが、知らなくても十分に楽しめました。

 エステファンと結婚したグロリアは子供も一緒に連れてツアーバスで全米を回り、ワシントン州にたどり着いた時すごく疲れているので休みたいと夫に訴えるも、大統領に会えることになりすっかりテンションがあがっている夫は日程をつめてグロリアの貴重な明日の休日はつぶれることになってしまいました。子供がグロリアに「ママきれいだよ」って言う家族3人の場面から物語は始まり、回想で子供時代から冒頭のワシントン州でツアーバスに乗ったグロリアが事故にあい9時間に及ぶ大手術をすることになったという流れで物語は展開していきました。多発性硬化症の父ホセとまだ小さい妹レベッカの世話をする少女時代のグロリア。朝夏まなとさん、可愛かったです。生き生きとした太陽のような笑顔が舞台に華をそえていました。エステファンの前でピアノを弾きながら歌うことに最初は躊躇するも、ラテンのリズムに自然と体が動き出し、グロリアは溌溂と歌い始めます。エステファンはそんなグロリアの歌に惹かれ、バンドメンバーに引き入れます。

 歌の才能を発揮していくことになったグロリアの前に母ファハルトが厳しく立ちはだかります。身体が不自由で言葉を発することもできなくなった夫の世話をしながら子供を育て、家を守っている母ファハルトは、エステファンを嫌い、エステファンに認められたグロリアが人前で歌うことに終始反対していきます。バンドの練習に出かけようとするグロリアに父の食事の支度と妹レベッカの世話は終わったのかと厳しく迫ります。ツアーで南米とアメリカ大陸で成功をおさめたグロリアに、あなたは二年間ジプシーをしていただけだと厳しい言葉を投げかけます。グロリアが歌うことを認めない母の姿。背景にはグロリアの祖父の反対によってデビューのチャンスを捨て、夢をあきらめざるを得なかった過去のあることが祖母コンスエロの口からグロリアに語られます。歌姫だった母ファハルトは、夢がつばさをつけて飛んでいくのをみているしかなかった、と。涙がでました。この回想場面で、歌姫として登場した若き日のファハルト、ドレス姿の歌うま一路真輝さんがとてつもなく綺麗でかっこよかった。さすがの歌唱力と華のある立ち姿、歌いっぷり、いっちゃんがこの役に選ばれたことを大いに納得しました。自分が果たせなかった歌で成功するという夢を果たした娘グロリアに対する嫉妬心もあったのか。夫の世話をし、家事をやり、必死に家を守っている自分をグロリアに否定されてしまったような気持ちもあったのか、ベッドに寝たきりで言葉を発することもできない夫に話しかけるファハルトの人間性があふれる姿が胸にせまりました。全米ツアーに出ているグロリアからの電話にも一切出ようとしない母ファハルトが、グロリアが事故にあったとの知らせを受けると駆けつけてきます。エステファンに「テレビをみていたら、ニュースでグロリア・エステファンが事故で死亡したと出たのよ、死亡って出たのよ」とせまる母ファハルト。手術後車椅子生活を余儀なくされたグロリアに一緒に闘うよという母ファハルト。母と娘の葛藤の物語という側面に共感したわたしは、いっちゃんが厳しいながらもどこかに優しさのある母親役でほんとによかったと思いました。手術をすることになったグロリアのベッドの前でファハルトとエステファンが歌う場面も胸あつでした。赤い薔薇がファンから送られてきたのみた?あの子は赤い薔薇が嫌いなのよ、っていう台詞があったかな。愛情がにじみ出ていました。カーテンコールでは最後にまさかのまあ様がいっちゃんをリフトして締めくくり。終演後のトークサロンにもまあ様登場してくれて、素はお茶目ないっちゃん、仲良し親子。

 手術後車椅子からリハビリを続けるグロリア。復帰舞台をアメリカアワードとした夫にこわいと告げます。かつて身体が不自由だった父を自分が上から見下ろしていたように、自分が見下ろされるのがこわい、可愛そうなグロリア、可愛そうなグロリア、そうみられるのがこわいと。生きるということは茨の道を歩むという大変なことで、いつ何が起こるかわからない、順調にいっているようにみえるどんな人にだって葛藤はある、そんな等身大の姿に共感できました。復帰したグロリアが青いドレスで歌う場面、残念ながらわたし歌は知らないのですが胸あつでした。ゴージャスでかっこいいと乙女な可愛いが共存するまあ様、素敵でした。

 長くなってきたのでこれぐらいで・・・。


 

ミュージカル『オン・ユア・フィート』

2018年12月17日 23時02分10秒 | ミュージカル・舞台・映画
 あらためて、寒風吹きすさぶ中、昨日無事に予定通りシアタークリエで朝夏まなとさん主演『オン・ユア・フィート』を観劇、終演後一路真輝さんのトークサロンにも参加し、夜新幹線で帰郷しました。無事に2泊3日の滞在を終えました。ほんの一カ月前お別れした日比谷をまた訪れることができてよかったです。こうして帰郷してしまうとほんの一カ月前がすごく遠いことのように思えます。『オン・ユア・フィート』、地方公演もあることを知りましたが、特別な時間を過ごした人たちがまとう幸せオーラに満ちた日比谷で、お向かいでは宙組が公演中の東京宝塚劇場前のシアタークリエで観劇するのがいいの。先日の『マリー・アントワネット』観劇後に思いました、終演後劇場を後にするときの空気感、劇場を出たあとの余韻も含めて観劇なのだと。だから日比谷で観たい。2月はラブネバで日生劇場に行きます。これからも時々日比谷来ようと心に決めました。次に来るときはまた課題を見つけて帰郷しようと決めました。できるだけ長く私のパワー・スポット、日比谷を訪れたいと思いました。健康な心身と平和な時間があればこそ、また無事に上京して観劇できますように・・・。シアタークリエ、はじめて知りましたが地方から来る人のためにトランクも入る大きなコインロッカーが無料という親切設計、私以外にもトランクを持っている人、何人もお見かけしました。このためにお金と時間を使ってやってくる、まあ様に会いたくてみなさん、やってくるのだと。帰郷した自分も仲間入りしました。

 舞台はラテンのリズムがはじける、コンサートのようなのりのりのミュージカル。カーテンコールではペンライトを振って客席も参加。わたしはペンライトを購入するまではしませんでしたが楽しみました。外は冷たい北風が吹いていましたがシアタークリエの中は熱いラテンの風が吹く2時間45分の舞台でした。一年前までは男役だった面影をいい意味で打ち消していた朝夏まなとさん。宝塚大劇場と東京宝塚劇場の千穐楽、ライブビューイングで拝見した『神々の土地』の男役ドミトリーの姿は永遠に胸に刻み込まれました。新しい朝夏まなとさんとの出会い、長身で手足長く抜群のスタイルが舞台に映えていました。華がありますね。可愛くてかっこいい、ゴージャスな女っぷりでした。いい仕事をされているなあと思いました。


 グロリア・エステファンの半生を描いた物語で、キャストは歌とダンスの達人がそろった充実の布陣。歌うまで華があり芝居心もある一路さんがグロリアの母親グロリア・ファハルト役に選ばれたの、納得しました。グロリアの背中を押すおばあちゃのコンスエロは久野綾希子さん、元祖キャッツの方、拝見するの20年ぶりぐらいだと思いますが お茶目なおばあちゃんぶりでした。グロリアの少女時代、夫となるエミリオ・エステファンの少年時代を演じた子役さんたちも歌うまでびっくり、グロリアの妹レベッカの青野紗穂さんもすごく歌がくてこれまたびっくり、グロリアの父ホセの栗原英雄さんは一路さんの出演舞台で拝見したことがあると思いますが戦争で多発性硬化症を患ったほとんど動かない役ながらカーテンコールは歌うま披露でまたまたびっくり、エミリオ・エステファンの渡辺大輔さんが歌うまなのは言うまでもありません。白い短パンにサングラスで英語があまり話せない?移民の真っすぐに情熱的なところがいい味出ていたと思います。ちょっと胡散臭いけ計算高くない、ほんとにグロリアのこと好きになったんだっていうバランスがよかったです。ダンサーの当銀大輔さん、橋田康さんは『1789~』で、加藤潤一さんは『レディ・ベス』で拝見しているのですぐにわかりました。わりと前方席で舞台全体も個々のお顔もよくみえてこじんまりとした空間ならではのよさを満喫しました。生演奏は贅沢の極み。いいですね~。母とグロリアの確執、グロリアが交通事故で脊髄損傷から立ち上がってくる過程で和解した物語に思わず涙したことは明日あらためて書きたいと思います。終盤グロリアが歌った歌詞に「生きることは茨の道」という言葉がありました。それでも幸せを求めて生きることが大切なのだと、なんでなんて理由はいらない、生きることが大切、とにかくどうにかこうにか生き延びることが大切・・・。



シアタークリエ。









2018年12月16日の東京宝塚劇場。











新幹線の時間を気にしつつの日比谷イルミネーション。また会えて嬉しかった。









ゴジラも。










  

昼間は日比谷でした

2018年12月17日 00時19分07秒 | 日記
 冷たい12月の雨の夜、遠い遠い駅からの道のりを徒歩で帰ってきました。車社会なので夜遅くに、いやおそくなくても歩いている人なんていない、歩く道じゃないところを30分、遠くて疲れました。今さら自分が車社会に適応することなんで無理なんだとわかってしまいました。こうして田舎街に帰ってきてしまうとウソみたいですが、ほんの5時間前まで日比谷にいました。シアタークリエで『オン・ユア・フィート』。カッコ可愛くゴージャスなまあ様、素敵でした。なんの前知識もなく観に行ったので思いがけず涙、涙。家族の葛藤の物語。日本人にはわかりにくい移民の家族の物語、大草原ツアーでアメリカの広さを体感したので創造力で理解しながら観劇することができました。おそくなったので詳しくは明日以降。

 明日はハローワークに行かねばなりません。巡回バスが一時間に一本の駅から遠い問題を自力で解決することはできず、ここに長く暮らすことはできないのだとわかってしまいました。遠からず帰る家はなくなります。これからの人生をどう切り開いていけばいいのか、今は全くわかりません。せっせと荷物を減らして身軽になって、過去から解き放たれてまた飛び立ちなあ。家賃払うかローン組むかの経済力をもてないかぎり無理か。どうしましょうかね・・・。

2018年『フェルメール展』at上野の森美術館

2018年12月15日 19時43分28秒 | 美術館めぐり
 今日も朝から冷たい北風が吹く一日、予定どおり無事に上野の森美術館の『フェルメール展』へ行ってきました。日時入替制という初の試み。11時からのチケットをとりましたが時間待ちの長い列ができており、入場までに20分ぐらいかな並びました。こういった方法でなければ1時間以上並ばないと入れないでしょうから、こういう方法でありがたかったかな。土曜日の昼間なのでさすがの混雑ぶりではありました。人、人、人・・・。一番見やすいのは平日の夕方から夜の時間帯でしょうね。ほんとは月曜日に行くつもりでした、ハローワークの指定日になってしまったから仕方ないです。海外に行こうと思ったら大変なのでこうして日本にいながら観ることができるだけありがたいこと。こうして海外に出ることもあるから、気をつけないとフェルメールの作品めあてに出かけたら貸出中なんてことありそうです。フェルメールが生涯に描いたとされているのは35点。そのうち8点が来日中。ドレスデン国立美術館の「取り持ち女」は展示期間が過ぎて帰ったのかな、残念ながら会えませんでした。その他の作品は、過去のフェルメール展で出会い再会できたものも何点かありました。髪に星飾りをつけて豪華な黄色いはんてんを着た若い女性が手紙を書く手を一瞬とめてこちらを向き微笑んでいる「手紙を書く女」(ワシントン、ナショナルギャラリー)、文化村の『フェルメールからのラブレター展』についで二度目の出会いでした。一瞬なのに永遠の微笑み。きれいでした。再会できて嬉しかったです。「牛乳を注ぐ女」(アムステルダム国立美術館)は初、エプロンのひだまで鮮やかに描かれたフェルメール・ブルー。きれいでした。文化村で出会った「手紙を読む青衣の女性」は修復が施されてフェルメール・ブルーが鮮やかに蘇っていましたが、この作品は修復が施されているわけではないのかな。見事なブルー、絵全体が光の粒をまとっているようでした。「リュートを調弦する女」も2008年のフェルメール展についで二度目の出会い。この女性のなんとなく男らしいような逞しさが好きです。調弦しながら窓の外の、視界には何がはいっているんでしょうね。フェルメール作品のキーワードの一つは窓。左側に窓が描かれている作品がいくつもあります。部屋の中から窓の外をみつめる主人公たち。「手紙を書く夫人と召使い」も窓から風と光がはいっている様子が描かれています。フェルメールの中に外に出たいという想いが強くあったのかな、今こうして自分の作品が遠くは日本まで出かけている様子をフェルメールは天国からどんなふうにみているのかなとふと思いました。

 楽しい展覧会でしたが、フェルメールと同時代の画家たちの作品が続いてフェルメールの作品は最後にまとめらえていたのは意外でした。最後にフェルメールの部屋と銘打ってまとめて展示されていました。そこにたどり着くまで狭い中にぎゅうぎゅうづめの人波。展示室はせまかったし、休める椅子もないので一気に観なければならず、覚悟してはいましたがかなりの気合がいります。フェルメールの部屋の手前でようやく一休みできるスペースがありました。お手洗いはミュージアムショップの隣にわずかにあるだけだし、ゆっくり絵と対話する空間としてはきびしいかな。普段はこんな大掛かりな美術展をやるスペースではないのかな。朝スパでがっつり食べたので15時ぐらいまで美術館にいました。かなりくたくた。ゆっくりしたのでスパでの時間が思いのほかありません。

 大阪でしか出会えない作品もあるんですね。ランチ付き日帰りバスツアー、申し込もうかな。迷ってしまいます。明日は荷物と共に日比谷に移動、観劇後は東京駅から帰郷。ほんとは明日の夜こそ泊まるつもりでした。きついですが仕方ありません。無事に観劇できますように、無事に帰郷できますように。その前に今夜こそ眠れるかな。水曜日の朝疲れて寝過ごしてしまったのが尾を引き、結局2日連続の眠剤だより。それでも眠れないよりはいいですが今夜も眠剤はそれもまたつらいかな。慣れないスペースだけどよく眠れますように・・・。

(画像はツイッターからの拾い画です。スマホの写真で撮った写真は後日)。




都心はどこもかしこも煌びやかでなんでもありますね。地方との落差大きすぎ・・・。