たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

費用がかさむばかりの新型コロナワクチン オミクロン未対応5億回分は廃棄の可能性大

2022年08月20日 14時31分49秒 | 気になるニュースあれこれ
2022年8月19日NEWSポストセブンより、

「タダでPCR検査を受けられるのは、そこに公費が投じられているからだ。2021年度の補正予算では、街中の無料PCR検査等に3000億円程度の予算がついた。横浜市立大学大学院データサイエンス研究科准教授の五十嵐中さんが指摘する。

「ほとんどの無料検査は、陽性でも厚生労働省のコロナ感染者管理システム『HER-SYS』に登録されず、改めて受診する必要があります。診断・予防・データ収集、どれも貢献度は低く、キット不足など医療機関に負の影響をもたらす可能性すらあります」」

「「国は、ファイザーやモデルナなど4社から8億8200万回分のワクチンを購入するために2.4兆円を費やしました。そこから、接種1回分の平均価格は約2700円とみなせます。また医療機関に支払う1回あたりの接種費用は2070円ですから、1回の接種にかかる費用は4770円と仮定されます」

 この数字をもとに、小島さんがオミクロン株による第6波、第7波(2022年1月1日〜7月24日)のワクチン費用対効果を試算する。

「この間の11才から65才までの感染者数は722万3630人で、人口1万人当たりの推定感染者数は830人でした。また、3回目接種の感染予防効果は40%から0%まで推移したので、平均値の25%を採用しました。

 するとワクチン接種により感染を免れた人数は1万人あたり208人となり、1万人に3回目のブースター接種をすると、208人が感染を予防できたことになる。1万人の総接種費用は4770万円なので、1人の感染を抑えるために22万9000円かかったことになります」」

「「日本は8億8200万回分のワクチンを買いましたが、8月2日時点でワクチンの総接種回数は3億200万回で、5億8000万回分が残りました。うち8800万回分は海外供与や購入キャンセルで消化しましたが、まだ5億回分近くが未接種のままです。しかも秋から厚労省はオミクロン対応のワクチン接種を進める方針で、5億回分の従来のワクチンは廃棄される可能性が高い。

もはや国はコロナ対策のポーズか、ワクチンの購入そのものが目的になっています。ワクチンの購入費用は国会審議を必要としない予備費で賄われることから、財政規律が緩んでいるとの批判は避けられません」(小島さん)」

https://www.news-postseven.com/archives/20220819_1784604.html?DETAIL





『たんぽぽのお酒』より(3)

2022年08月20日 13時57分15秒 | 本あれこれ
『たんぽぽのお酒』より(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/2b08e95a018cd712cee76e338acfa4e6




「「死を予告することはできません」と、彼はようやくいった。

 「50年間、わたしは玄関ホールにある箱型の大置き時計をながめてきましたよ、ウィリアム。ねじが巻かれたあとは、その止まる時間までわたしは予言できます。老人もまったく同じことよ。機械の動きがおそくなって、最後の分銅が位置を変えるのが感じられるのよ。まあ、どうかそんなふうに見ないでください-お願いだから」

「そうおっしゃっても無理です」と、彼はいった。

「楽しかったわね。ここで、毎日おしゃべりして、それはほんとにすてきでしたわ。荷が勝ちすぎてすり切れてしまっている言葉だけど、あの『こころの出会い』といわれていることなのね」

 彼女は掌の中で青い封筒を裏返した。「愛の本質はこころだとはいつもわかっていましたよ、たとえ肉体がときにこの認識を拒絶することがあっても。肉体はそれだけで生きているんです。食事をし、夜を待つだけのためにそれは生きているのですよ。本質的に夜のものなのね。でも、太陽から生まれたこころのほうはどうなの、ウィリアム?一生のうち何千時間となく、目ざめて、意識しながら過ごさなきゃならないのよ。あなたは、あのみじめで利己的な夜のものである肉体を、太陽と知性の全生涯につりあわせることができて?わたしはわからないわ。わたしがわかるのはただ、ここにあなたのこころがあり、ここにわたしのこころがあって、ともに過ごした午後に比べるべきものはわたしの記憶にないということね。まだまだたくさん話すことはあるけど、別のときにとっておかなきゃ」

「もうあまり時間はないようですね」

「そうね、でもおそらくきっとまた別の機会はあることでしょうよ。時間はとても不思議なもので、人生はその二倍も不思議だわ。歯車が欠け、車輪がまわり、人生が交錯するのも早すぎたりおそすぎたり。わたしは長く生きすぎました、それだけはたしかね。そしてあなたは生まれるのが早すぎたか、おそすぎたかのどちらかだわ。ちょっとしたタイミングがおそろしいものね。でもたぶんわたしは愚かな娘だった罰をうけているのよ。とにかく、次のもう一回転したときは、車輪はふたたびうまく働くかもしれないわ。そのあいだにあなたはいい娘さんを見つけて、結婚して、幸せにならなければいけないわ。ただひとつわたしに約束してもらいたいの」

「なんなりとも」

「年をとりすぎるまで生きないと約束してほしいのよ、ウィリアム。少しでも都合がよかったら、50歳になるまでに死になさい。少しばかりのおこないが要るかもしれないわね。でも、わたしがこんな忠告をするのは、ただただ、いつまた別のヘレン・ルーミスが生まれてくるやもしれないからなのね。あなたがそれはそれは長生きして、1999年のある午後に本通りを歩いてゆくと、そこに、21歳のわたしが立っているのを見つけて、またすべてがバランスを失ったら、おそろしいことじゃないの?どんなに楽しくとも、わたしたちが過ごしてきたような午後を、またこれ以上経験することはできないとおもうのだけど、あなたはどう? いっしょに千ガロンのお茶を飲み、ビスケットを五百も食べれば、ひとつの友情には十分だわ。だから、あなたは20年くらいのあいだに、いつか肺炎に襲われるにきまっているわ。いつまであなたをわたしとは反対側にぐずぐずさせておくつもりなのか、わたしにはわからないのよ。おそらくすぐにあなたをもどしてくれるのでしょう。でも、わたしもできるかぎり、ウィリアム、ほんとにできるかぎり力をつくすわ。そしてすべてがふたたび正常にもどって、バランスがとれたら、なにが起こるかわかる?」

「話してください」

「1985年か1990年のある午後に、トム・スミスとか、ジョン・グリーンとか、なにかそのような名前の若者が、ダウンタウンを歩いていて、ドラッグストアに立ちよると、この場面にふさわしく、ある変わったアイスクリームを一つ注文することでしょう。同じ年齢の若い女性がそこに座っていて、そのアイスクリームが名指しされるのを彼女が聞いたとき、なにかが起こるでしょうね。なにが、どういうふうにとは、わたしはいえません。彼女にしても、なぜとも、どのようにとも、わからないでしょう、きっと。また青年もわからないでしょう。ただ、そのアイスクリームの名前は、この二人にとってとてもよいものだということなの。二人はお話するわ。そしてそのあと、お互いに名前を知ると、連れだってドラッグストアから出ていくの」

 彼女はにっこりと笑いかけた。

「これはとても瀟洒(しょうしゃ)な話だけど、おばあちゃんがものごとをこぎれいな包みにくくってしまうことは赦(ゆる)してちょうだい。ばかげたつまらないものだけど、これをあなたに残していきますわ。さあ、なにかほかのことをお話ししましょう。」


(レイ・ブラッドベリ著、北山克彦訳、『たんぽぽのお酒』晶文社、1997年8月5日初版、1999年1月10日二刷、248-251頁より)

2020年宙組『FLYING SAPA‐フライングサパ‐』‐ウエクミワールドをかみしめなおす(2)

2022年08月20日 00時32分50秒 | 宝塚
2020年宙組『FLYING SAPA‐フライングサパ‐』‐ウエクミワールドをかみしめなおす
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/2df4feeaa88aaca0d1021f680ea57268


宝塚歌劇『FLYING SAPA -フライング サパ-』(’20年宙組・梅田芸術劇場)オンライン上映会

https://live.tv.rakuten.co.jp/content/426030/

 ポルンカ(水星)では「違い」は罪、「違い」があるから争いが生まれる、「違い」があるから憎しみが生まれる、「違い」による戦争でを妻と娘を殺された難民ブコビッチが目指したのは「違い」を排除した世界、「違い」による差別、対立、戦争のない世界。不毛な争いを未然に防ぐため、個人の意識をデータベース「ミンナ」で管理し、差別や憎しみを持つものには過去の記憶を消去して洗浄した兵士を差し向ける。自殺志願者の意識も「ミンナ」によって政府に可視化される。「ミンナ」はミレナの頭の中でひとつになって完成する。みんな同じ。総統01となった難民ブコビッチが目指した世界はユートピアか、一元化された恐ろしい世界か。こんな発想ができるウエクミ先生の頭の中はキキちゃんが言うようにいったいどうなっているのか。

 わたしの全く勝手な解釈、コロナ茶番劇が始まって3年目の今見返すと、ウエクミ先生はトチ狂った日本の状況を予感していたかのようにも思える作品。白い衣装に身を包んだポルンカの住人たちによるポルンカダンスの奇妙さ、不気味さがより迫ってくる。

第一幕

-10場C

「総統府は、未確認クレーターSAPA内部に遭難者が取り残されているのを発見いたという口実で。後継者ミレナを取り戻すために軍隊を差し向けることを決定。ミレナの許嫁ペレルマンは、総統01を訪ね、彼女の奪還を請けあう。-サーシャは昔の俺なのか・・・なぜミレナは昔の俺を知っているのか・・・彼女は何を苦しむのか・・・。過去、現在、未来・・・オバクの心がざわめくー。」

オバク@真風涼帆さん
「サーシャは昔の俺なのか。なぜミレナは昔の俺を知っている?彼女は何を苦しむのだ?人は人を本当にわかることはできない。自分自身についてはなおのこと、言葉、神、国家、そんな違いを奪われてもなお俺たちは互いをわかり得ない。こうして腕の中で眠る誰かのことでさえ。
このさびしさはなんだ?もし望みが叶う場所にたどり着いたら、世界からこのさびしさがなくなることを祈る。」

-オバクの膝の上で眠り続けるミレナ、幕。


 物語の終盤、総統ブコビッチ@汝鳥怜さんとオバク@真風涼帆さんが対峙する場面。

第二幕

-9場C-

「総統ブコビッチの過去の記憶-。地球脱出前の戦乱で、ブコビッチは、同じく家族を殺されたある少女と出会う。彼は話しかけても奮えるばかりの少女の辛い記憶を消してやり、立ち去ろうとする。少女はブコビッチに追いすがる。ブコビッチは茫然自失としたその少女を伴い、娘と偽って難民船に乗せた。オバクは初めて知る憎悪と人間への絶望に苦悩する。そして混乱しながら総統ブコビッチに銃を向けるが・・・。」

総統01
「またみなの希望を担うリーダーになったのかな?」

オバク
「そんなんじゃない、ミレナを開放し、このバカバカしいシステムを止めるんだ」

総統01
「君はわたしが命をささげたシステムをバカバカしいと言うのか、わたしが人類のために全てを賭けたシステムを・・・」

オバク
「そのためにミレナをいけにえにするのか?彼女の心を壊してもいいって言うのか?」

総統01
「ミレナは皆(ミンナ)と一つになって生きるだけだ。違う次元の幸せなのだよ、未来の。
君らの知能ではまだわからんのだよ、言えることは、わたしは娘も人類も愛しているということだ。」

オバク
「あんたの愛は心霊、復讐みたいだよ。なぜ、なぜ、人類そのものへの不信と憎しみをアンタは抱く?」

総統01
「わかってもらえなくて残念だ。愚かな人類はそのままにしておくとばらばらになって、憎しみと報復を繰り返す。その本能を克服する段階に進まねばならないのだ、わたしのシステムの中で・・・」

オバク
「そのために都合の悪い記憶を封じ、違いを奪い、心の中の自由も奪うっていうのか?」

総統01
「共存するだめだ。」

オバク
「生きるっていうのは、それは、不完全な関係のままで一緒にいることだけだろ。」

総統01
「不完全?!現に今我々がそうだ、あまりに意見が違うと共存は不可能だ。」

オバク
「では向き合い続けたらいい、同じになんぞなりたくない。皆が違うのは、もしかしたら過去の憎しみも抱えたままそれでも話をして一緒に生きてゆけばいい。俺たちが他人と本当にわかり合えることはないさ。わかってやりたい人間でさえ、俺にはわからん。それでも一緒に生きて愛して死にたい。」

総統01
「君はそっくりだよ。わたしが殺した古い友人に。」

オバク
「記憶を返してくれよ。愛も憎しみも。」

総統01
「わたしは彼にわかってほしいと思っていた。こうしていると君にもわかってほしいと感じる。なぜわからんのかと腹が立つ。たぶん好きなんだろう、君ら親子が。分かり合えないのはつらい。
ミレナがすっかり一つになったようだ。
一緒においで君の父親に会いに・・・」


-9場D-

「人間が憎しみと全ての記憶を抱えたまま共存できるのか?過去の記憶が全て戻ったオバクが、難民ブコビッチに問われ、出したその答えとは・・・。」

総統01
「人は憎しみを抱えたまま生きてゆけと君は言う。記憶を奪ってはならない。憎しみも話し合えば解決すると。君の父親もそう信じていた。だからわたしは彼らを殺さねばならなかった。」

 -総統01に銃を向けるオバク

総統01
「それが憎しみの記憶だ。それが君、わたし、そしてミレナの心だ。わかっただろ、人間というものが。さあ憎しみのために撃て!」

 -銃を向けたまま撃てないオバク

総統01
「人間が憎しみとすべての記憶を抱えたまま共存できると、君はまだ言えるか?憎しみ故に撃て!」

オバク
「俺がアンタを許したら、アンタも人間を許すか?」

総統01
「君が撃たんならこちらが撃つまでだ」

-銃をおろすオバク、ミレナに撃たれて倒れる総統01


ミレナ@星風まどかちゃん
「わたしはミンナになってやっと父さんの気持ちがわかった。」

総統01
「そうしていてくれ、もうすぐ終わる」

ミレナ
「そうよ、父さんのさびしさはこれで終わるのよ」

総統01
「もうすぐ・・・、眠る・・・」

ミレナ
「この星の憎しみを一人で引き受けてきた父さん、人は憎しみだけで殺すんじゃないわ」

総統01
「ミレナ、哀れなみなしご・・・」

-ミレナの腕の中で息絶える総統01


 サパに乗って星から星へと旅に出ることを決めたオバク。日本はほぼほぼ絶望的ですが、それでもサパは希望の船だと思いたい。オバクは自殺しようとしているのではなく希望を信じて旅に出たと思いたい。

 スポークスマンパーソン@紫藤りゅうくんの鮮烈な宙組デビュー、ナウオンステージで最初自分でも何言っているかわからなかった長台詞も文字にしたいところですが、残念ながらちょっと無理かな。