2020年宙組『FLYING SAPA‐フライングサパ‐』‐ウエクミワールドをかみしめなおす
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/2df4feeaa88aaca0d1021f680ea57268
宝塚歌劇『FLYING SAPA -フライング サパ-』(’20年宙組・梅田芸術劇場)オンライン上映会
https://live.tv.rakuten.co.jp/content/426030/
ポルンカ(水星)では「違い」は罪、「違い」があるから争いが生まれる、「違い」があるから憎しみが生まれる、「違い」による戦争でを妻と娘を殺された難民ブコビッチが目指したのは「違い」を排除した世界、「違い」による差別、対立、戦争のない世界。不毛な争いを未然に防ぐため、個人の意識をデータベース「ミンナ」で管理し、差別や憎しみを持つものには過去の記憶を消去して洗浄した兵士を差し向ける。自殺志願者の意識も「ミンナ」によって政府に可視化される。「ミンナ」はミレナの頭の中でひとつになって完成する。みんな同じ。総統01となった難民ブコビッチが目指した世界はユートピアか、一元化された恐ろしい世界か。こんな発想ができるウエクミ先生の頭の中はキキちゃんが言うようにいったいどうなっているのか。
わたしの全く勝手な解釈、コロナ茶番劇が始まって3年目の今見返すと、ウエクミ先生はトチ狂った日本の状況を予感していたかのようにも思える作品。白い衣装に身を包んだポルンカの住人たちによるポルンカダンスの奇妙さ、不気味さがより迫ってくる。
第一幕
-10場C
「総統府は、未確認クレーターSAPA内部に遭難者が取り残されているのを発見いたという口実で。後継者ミレナを取り戻すために軍隊を差し向けることを決定。ミレナの許嫁ペレルマンは、総統01を訪ね、彼女の奪還を請けあう。-サーシャは昔の俺なのか・・・なぜミレナは昔の俺を知っているのか・・・彼女は何を苦しむのか・・・。過去、現在、未来・・・オバクの心がざわめくー。」
オバク@真風涼帆さん
「サーシャは昔の俺なのか。なぜミレナは昔の俺を知っている?彼女は何を苦しむのだ?人は人を本当にわかることはできない。自分自身についてはなおのこと、言葉、神、国家、そんな違いを奪われてもなお俺たちは互いをわかり得ない。こうして腕の中で眠る誰かのことでさえ。
このさびしさはなんだ?もし望みが叶う場所にたどり着いたら、世界からこのさびしさがなくなることを祈る。」
-オバクの膝の上で眠り続けるミレナ、幕。
物語の終盤、総統ブコビッチ@汝鳥怜さんとオバク@真風涼帆さんが対峙する場面。
第二幕
-9場C-
「総統ブコビッチの過去の記憶-。地球脱出前の戦乱で、ブコビッチは、同じく家族を殺されたある少女と出会う。彼は話しかけても奮えるばかりの少女の辛い記憶を消してやり、立ち去ろうとする。少女はブコビッチに追いすがる。ブコビッチは茫然自失としたその少女を伴い、娘と偽って難民船に乗せた。オバクは初めて知る憎悪と人間への絶望に苦悩する。そして混乱しながら総統ブコビッチに銃を向けるが・・・。」
総統01
「またみなの希望を担うリーダーになったのかな?」
オバク
「そんなんじゃない、ミレナを開放し、このバカバカしいシステムを止めるんだ」
総統01
「君はわたしが命をささげたシステムをバカバカしいと言うのか、わたしが人類のために全てを賭けたシステムを・・・」
オバク
「そのためにミレナをいけにえにするのか?彼女の心を壊してもいいって言うのか?」
総統01
「ミレナは皆(ミンナ)と一つになって生きるだけだ。違う次元の幸せなのだよ、未来の。
君らの知能ではまだわからんのだよ、言えることは、わたしは娘も人類も愛しているということだ。」
オバク
「あんたの愛は心霊、復讐みたいだよ。なぜ、なぜ、人類そのものへの不信と憎しみをアンタは抱く?」
総統01
「わかってもらえなくて残念だ。愚かな人類はそのままにしておくとばらばらになって、憎しみと報復を繰り返す。その本能を克服する段階に進まねばならないのだ、わたしのシステムの中で・・・」
オバク
「そのために都合の悪い記憶を封じ、違いを奪い、心の中の自由も奪うっていうのか?」
総統01
「共存するだめだ。」
オバク
「生きるっていうのは、それは、不完全な関係のままで一緒にいることだけだろ。」
総統01
「不完全?!現に今我々がそうだ、あまりに意見が違うと共存は不可能だ。」
オバク
「では向き合い続けたらいい、同じになんぞなりたくない。皆が違うのは、もしかしたら過去の憎しみも抱えたままそれでも話をして一緒に生きてゆけばいい。俺たちが他人と本当にわかり合えることはないさ。わかってやりたい人間でさえ、俺にはわからん。それでも一緒に生きて愛して死にたい。」
総統01
「君はそっくりだよ。わたしが殺した古い友人に。」
オバク
「記憶を返してくれよ。愛も憎しみも。」
総統01
「わたしは彼にわかってほしいと思っていた。こうしていると君にもわかってほしいと感じる。なぜわからんのかと腹が立つ。たぶん好きなんだろう、君ら親子が。分かり合えないのはつらい。
ミレナがすっかり一つになったようだ。
一緒においで君の父親に会いに・・・」
-9場D-
「人間が憎しみと全ての記憶を抱えたまま共存できるのか?過去の記憶が全て戻ったオバクが、難民ブコビッチに問われ、出したその答えとは・・・。」
総統01
「人は憎しみを抱えたまま生きてゆけと君は言う。記憶を奪ってはならない。憎しみも話し合えば解決すると。君の父親もそう信じていた。だからわたしは彼らを殺さねばならなかった。」
-総統01に銃を向けるオバク
総統01
「それが憎しみの記憶だ。それが君、わたし、そしてミレナの心だ。わかっただろ、人間というものが。さあ憎しみのために撃て!」
-銃を向けたまま撃てないオバク
総統01
「人間が憎しみとすべての記憶を抱えたまま共存できると、君はまだ言えるか?憎しみ故に撃て!」
オバク
「俺がアンタを許したら、アンタも人間を許すか?」
総統01
「君が撃たんならこちらが撃つまでだ」
-銃をおろすオバク、ミレナに撃たれて倒れる総統01
ミレナ@星風まどかちゃん
「わたしはミンナになってやっと父さんの気持ちがわかった。」
総統01
「そうしていてくれ、もうすぐ終わる」
ミレナ
「そうよ、父さんのさびしさはこれで終わるのよ」
総統01
「もうすぐ・・・、眠る・・・」
ミレナ
「この星の憎しみを一人で引き受けてきた父さん、人は憎しみだけで殺すんじゃないわ」
総統01
「ミレナ、哀れなみなしご・・・」
-ミレナの腕の中で息絶える総統01
サパに乗って星から星へと旅に出ることを決めたオバク。日本はほぼほぼ絶望的ですが、それでもサパは希望の船だと思いたい。オバクは自殺しようとしているのではなく希望を信じて旅に出たと思いたい。
スポークスマンパーソン@紫藤りゅうくんの鮮烈な宙組デビュー、ナウオンステージで最初自分でも何言っているかわからなかった長台詞も文字にしたいところですが、残念ながらちょっと無理かな。
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/2df4feeaa88aaca0d1021f680ea57268
宝塚歌劇『FLYING SAPA -フライング サパ-』(’20年宙組・梅田芸術劇場)オンライン上映会
https://live.tv.rakuten.co.jp/content/426030/
ポルンカ(水星)では「違い」は罪、「違い」があるから争いが生まれる、「違い」があるから憎しみが生まれる、「違い」による戦争でを妻と娘を殺された難民ブコビッチが目指したのは「違い」を排除した世界、「違い」による差別、対立、戦争のない世界。不毛な争いを未然に防ぐため、個人の意識をデータベース「ミンナ」で管理し、差別や憎しみを持つものには過去の記憶を消去して洗浄した兵士を差し向ける。自殺志願者の意識も「ミンナ」によって政府に可視化される。「ミンナ」はミレナの頭の中でひとつになって完成する。みんな同じ。総統01となった難民ブコビッチが目指した世界はユートピアか、一元化された恐ろしい世界か。こんな発想ができるウエクミ先生の頭の中はキキちゃんが言うようにいったいどうなっているのか。
わたしの全く勝手な解釈、コロナ茶番劇が始まって3年目の今見返すと、ウエクミ先生はトチ狂った日本の状況を予感していたかのようにも思える作品。白い衣装に身を包んだポルンカの住人たちによるポルンカダンスの奇妙さ、不気味さがより迫ってくる。
第一幕
-10場C
「総統府は、未確認クレーターSAPA内部に遭難者が取り残されているのを発見いたという口実で。後継者ミレナを取り戻すために軍隊を差し向けることを決定。ミレナの許嫁ペレルマンは、総統01を訪ね、彼女の奪還を請けあう。-サーシャは昔の俺なのか・・・なぜミレナは昔の俺を知っているのか・・・彼女は何を苦しむのか・・・。過去、現在、未来・・・オバクの心がざわめくー。」
オバク@真風涼帆さん
「サーシャは昔の俺なのか。なぜミレナは昔の俺を知っている?彼女は何を苦しむのだ?人は人を本当にわかることはできない。自分自身についてはなおのこと、言葉、神、国家、そんな違いを奪われてもなお俺たちは互いをわかり得ない。こうして腕の中で眠る誰かのことでさえ。
このさびしさはなんだ?もし望みが叶う場所にたどり着いたら、世界からこのさびしさがなくなることを祈る。」
-オバクの膝の上で眠り続けるミレナ、幕。
物語の終盤、総統ブコビッチ@汝鳥怜さんとオバク@真風涼帆さんが対峙する場面。
第二幕
-9場C-
「総統ブコビッチの過去の記憶-。地球脱出前の戦乱で、ブコビッチは、同じく家族を殺されたある少女と出会う。彼は話しかけても奮えるばかりの少女の辛い記憶を消してやり、立ち去ろうとする。少女はブコビッチに追いすがる。ブコビッチは茫然自失としたその少女を伴い、娘と偽って難民船に乗せた。オバクは初めて知る憎悪と人間への絶望に苦悩する。そして混乱しながら総統ブコビッチに銃を向けるが・・・。」
総統01
「またみなの希望を担うリーダーになったのかな?」
オバク
「そんなんじゃない、ミレナを開放し、このバカバカしいシステムを止めるんだ」
総統01
「君はわたしが命をささげたシステムをバカバカしいと言うのか、わたしが人類のために全てを賭けたシステムを・・・」
オバク
「そのためにミレナをいけにえにするのか?彼女の心を壊してもいいって言うのか?」
総統01
「ミレナは皆(ミンナ)と一つになって生きるだけだ。違う次元の幸せなのだよ、未来の。
君らの知能ではまだわからんのだよ、言えることは、わたしは娘も人類も愛しているということだ。」
オバク
「あんたの愛は心霊、復讐みたいだよ。なぜ、なぜ、人類そのものへの不信と憎しみをアンタは抱く?」
総統01
「わかってもらえなくて残念だ。愚かな人類はそのままにしておくとばらばらになって、憎しみと報復を繰り返す。その本能を克服する段階に進まねばならないのだ、わたしのシステムの中で・・・」
オバク
「そのために都合の悪い記憶を封じ、違いを奪い、心の中の自由も奪うっていうのか?」
総統01
「共存するだめだ。」
オバク
「生きるっていうのは、それは、不完全な関係のままで一緒にいることだけだろ。」
総統01
「不完全?!現に今我々がそうだ、あまりに意見が違うと共存は不可能だ。」
オバク
「では向き合い続けたらいい、同じになんぞなりたくない。皆が違うのは、もしかしたら過去の憎しみも抱えたままそれでも話をして一緒に生きてゆけばいい。俺たちが他人と本当にわかり合えることはないさ。わかってやりたい人間でさえ、俺にはわからん。それでも一緒に生きて愛して死にたい。」
総統01
「君はそっくりだよ。わたしが殺した古い友人に。」
オバク
「記憶を返してくれよ。愛も憎しみも。」
総統01
「わたしは彼にわかってほしいと思っていた。こうしていると君にもわかってほしいと感じる。なぜわからんのかと腹が立つ。たぶん好きなんだろう、君ら親子が。分かり合えないのはつらい。
ミレナがすっかり一つになったようだ。
一緒においで君の父親に会いに・・・」
-9場D-
「人間が憎しみと全ての記憶を抱えたまま共存できるのか?過去の記憶が全て戻ったオバクが、難民ブコビッチに問われ、出したその答えとは・・・。」
総統01
「人は憎しみを抱えたまま生きてゆけと君は言う。記憶を奪ってはならない。憎しみも話し合えば解決すると。君の父親もそう信じていた。だからわたしは彼らを殺さねばならなかった。」
-総統01に銃を向けるオバク
総統01
「それが憎しみの記憶だ。それが君、わたし、そしてミレナの心だ。わかっただろ、人間というものが。さあ憎しみのために撃て!」
-銃を向けたまま撃てないオバク
総統01
「人間が憎しみとすべての記憶を抱えたまま共存できると、君はまだ言えるか?憎しみ故に撃て!」
オバク
「俺がアンタを許したら、アンタも人間を許すか?」
総統01
「君が撃たんならこちらが撃つまでだ」
-銃をおろすオバク、ミレナに撃たれて倒れる総統01
ミレナ@星風まどかちゃん
「わたしはミンナになってやっと父さんの気持ちがわかった。」
総統01
「そうしていてくれ、もうすぐ終わる」
ミレナ
「そうよ、父さんのさびしさはこれで終わるのよ」
総統01
「もうすぐ・・・、眠る・・・」
ミレナ
「この星の憎しみを一人で引き受けてきた父さん、人は憎しみだけで殺すんじゃないわ」
総統01
「ミレナ、哀れなみなしご・・・」
-ミレナの腕の中で息絶える総統01
サパに乗って星から星へと旅に出ることを決めたオバク。日本はほぼほぼ絶望的ですが、それでもサパは希望の船だと思いたい。オバクは自殺しようとしているのではなく希望を信じて旅に出たと思いたい。
スポークスマンパーソン@紫藤りゅうくんの鮮烈な宙組デビュー、ナウオンステージで最初自分でも何言っているかわからなかった長台詞も文字にしたいところですが、残念ながらちょっと無理かな。