たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組『神々の土地』『クラシカル・ビジュー』_また夢のひとときを過ごしました

2017年09月25日 19時36分03秒 | 宝塚
宙組宝塚大劇場千穐楽『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』『クラシカル・ビジュー』のライブビューイングを観劇。兵庫県の舞台を映画館で楽しめるなんてありがたい時代になりました。昨年末から宝塚観劇が復活し、こうしてライブビューイングが次々あるとお金かかりますけどね、座席料金に手数料がなんやかんやと上乗せされるのでばかになりませんけどね、3年半ぐらい洋服はほとんど買っていないし、二度とない人生の時間、二度とない瞬間(とき)のためにお金を使いたいです。宝塚という組織も生き物、組み替えと退団で常に動いています。今このメンバーでこの作品、この舞台という時は二度とありません。すべてはめぐりあわせで一期一会の出会い。2カ月前に雪組の早霧せいなさんの大劇場千穐楽を見届けたばかり。なんだか輪廻転生を感じました。20年前の宙組誕生から7代目のトップ朝夏まなとさんの退団公演。4月30日の東京宝塚劇場の千穐楽ライブビューイングに続いて二度目でしたが、太陽のように明るい方。背が高くて顔小さくって手足が長くって、素はおっとりとあったかく舞台の上ではとてつもなくかっこいい、初代トップのずんこさんDNAがこうして受け継がれていっているんだなと思うと時の流れを感じ、感慨深いものがありました。2002年入団、在団16年目ということになりますね。長い年月、お見事。わたしはチケットありませんが、東京公演も怪我なく無事につとめていただきたいです。

『神々の土地』は、ロマノフ王朝末期の史実にフィクションを絡ませた上田久美子先生の手腕が冴えわたる、『金色の砂漠』に続いて熱量を感じさせてくれる物語。登場人物の名前が一度では頭に入りませんが人間関係と物語の展開はよくわかりました。朝夏さん演じたロマノフの血をひくドミトリーは実在した人物とか。朝夏さん、長い手足に軍服姿がすごくお似合いで素敵でした。架空の人物イリナ大公妃を演じた怜美うららさんもこの公演で退団。色白で鼻筋が通っていて、横顔とドレス姿の美しいこと、美しいこと。セットは舞台道具の焚火だけという、凍てついたロシアの平原を散歩して、二人だけの登場シーンは終わります。その後亡命を拒んだイリナはロシア革命が起こると投獄されて亡くなったというドミトリーの声が流れます。二人の成就しない恋愛関係が余韻を残す描き方になっていて溜息がでました。真風涼帆さんのフェリックス、愛月ひかるさんのラスプーチンもお見事。皇女オリガの星風まどかさんの妹感はすごく可愛かったです。描きたかったのは、ドミトリーが何を成し遂げたかではなくどう生きたかということだとプログラムにあります。王族も貴族も民衆も誰もが生きたことを記憶に残したい、そんな思いを込めたそうです。上田作品は演者にとてつもないエネルギーを求めると思いますが、不器用にしか生きられない、矛盾と葛藤だらけの人間への愛に溢れている感じがして心に深く深く刻み込まれます。史実はむずかしいし、かなり厳しいですけどね・・・。またあらためてあれやこれやと書ければと思います。

『クラシカル・ビジュー』は朝夏さんと真風さん、男役同士が組んで踊る場面がいくつかあったのと終盤のシンプルな振付の燕尾服の群舞のダンスが印象的でした。曲はホルストイの組曲「惑星」かな。「はっ!」て掛け声があるところ、エリザベートのフィナーレダンスみたいで嬉しかったです。朝夏さんが一人一人と目を合わせるところ、真風さんへとバトンを受け渡していく場面も心に残りました。

 サヨナラショーの前に組長の寿つかささん、朝夏さんの経歴を紹介するとき声が涙ぐんでいらっしゃったかな。初舞台からの映像が流れましたが新人公演主演あたりで、望海風斗さんの姿があったのが花組で一緒だったことを最近認識できていたのでむねあつでした。サヨナラショーは、『王家の捧ぐ歌』の「エジプトは領地をひろげた」からスタート。観ていないですがこれはわかりました。観ていないので役柄の扮装で観ることができてうれしかったです。『VIVA!FESTA!』のソーラン節から、ソーラン宙組の場面は盛り上がりました。組子全員かな?が登場して朝夏さんを中心にして「ソーラン、宙組!」って叫ぶの。朝夏さん、客席下りされてました。すかっと爽快な気分にさせてくれる場面。4月30日の東京宝塚劇場千穐楽のライブビューイングを思い出しました。朝夏さんが退場されたあと、真風さんが客席を煽って「ソーラン、宙組!」を叫ぶ姿もかっこよく、声量ときれいな声に圧倒されました。こんな楽しいサヨナラショー、きっとお人柄がなせる組の雰囲気ですね。『王妃の館』の北白川先生になり、眼鏡の女性編集者が「頼まれていたお水です」って、ペットボトルのお水をもってくる場面も楽しかったです。燕尾服の真風さんが突然ルイ14世へとスイッチが切り替わり、え「世を主人公とした小説~」の台詞があり、編集者が「半年でずいぶん成長されましたね」だったかな台詞を言っている間、朝夏さんはずっとペットボトルの水を飲んでいる姿が可愛かったです。中盤の朝夏さんと怜美さんのデュエットダンスもすごく素敵でした。抱き合う場面もリフトもなく、シンプルでしたが二人の息の合った感じが最初で最後の儚さをもっていて溜息が出るような美しさでした。『エリザベート』から「最後のダンス」もありました。たぶん最後に歌われたのは、観ていませんが歌詞の内容からシェイクスピアかな。声のスィッチが切り替わっていたようにきこえました。次々と役柄がかわって、楽しいサヨナラショーでした。

 最後の挨拶は、袴ではなく、プログラムのポートレートと同じ白ネクタイの燕尾服で大階段を降りてこられました。同期のお花は星組紅ゆずるさんからお渡し。真っ赤な薔薇の花束。カーテンコールは5回だったかな。「みなさんから愛をいただいたお返しに」と投げキッスに客席から黄色い歓声があがっていました。最後は「またね!」がこれまたキラキラの明るい笑顔。本当に太陽のような方。同時退団される4人の娘役さんと銀橋をわたる姿もかっこよく、最後までご自身を貫かれている感でした。「無事千穐楽を迎えられてほっとしています」と挨拶されたのは公演中アクシデントもあったようなので本当にほっとされたんでしょうね。無事に楽を迎えられて本当によかったです。

 娘役さん4人、怜美さんは認識できるようになりましたが全員のお名前はなかなか認識できずです。ごめんなさい。紹介をきいていると3人が在団9年目、お一人が在団11年目。それぞれ挨拶されるとき納得の笑顔で輝いていました。10年前後という長い歳月を納得して悔いなく過ごせたなんて素敵なことです。心から拍手を送ります。

 心の中で拍手を送りながらまだ10年余りの歳月を悔いている自分がいることを思うと心が少し傷みますが、こうして社会から孤立していることを思うとやっぱり辛いですが今日はそんな話はやめにしましょう。二年前の今頃は立ち直っていく道筋が全く見えなかった自分がいたことを思うとここまでよくやってきました。こうして観劇の時間をもつことができているのだから幸せです。人生いろいろ。男役さんはすごく苦労されているので人にやさしいと聞いたことがあります。挫折もあったでしょうし、舞台ではわからない、いろいろなことを背負いながら今という瞬間(とき)があるんでしょうね。わたし、まだ自分の人生をあきらめていけない。くじけちゃいかんですね。現実的には、相談窓口に行くのは明後日なので明日は行くところがないんですね。外に出れば電車代やらお茶代やらかかります。でも部屋にはいられないので、心の健康を保つためにも外に出るしかありません。明日は明日で生き延びることを考えましょう。また戦闘服を着て仕事する気力も少しずつ戻って来たかな。今日は明るい太陽のような笑顔にいやされ、元気をいただきました。

 写真は9月18日、東京宝塚劇場にて。

2年前、帝劇で『エリザベート』に通っていたころ、宝塚のチラシをみながらスルーしてしまったのが悔やまれますがこうして少しだけでも間に合ってよかったです。