たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『この地球で私が生きる場所』_マニラの日本人向け新聞で東西奔走

2015年12月09日 20時42分58秒 | 本あれこれ
海の向こうで暮らしてみたいあなたへのメッセージ

「オレンジは3つで35ペソ(約140円)だよ」
「ひとつおまけしてよ!」
 細田さんの笑顔に店の人は「負けた」とばかりに肩をすくめる。
 週に一度の休日である日曜日は、こうしてたいていマーケットに買い出しに出かける。魚屋さんでも八百屋さんでも、彼女はたどたどしいタガログ語を駆使して店の人と駆け引きをする。
 マーケットには活気と笑顔があふれている。この日の買い物は、オレンジ4個、グレープフルーツ2個、卵、エビ、野菜などをビニール袋3つがいっぱいになるほど。それで日本円にして500円足らず。
 たくさんの食料品と、店の人たちとの楽しいやりとりを手に入れて、彼女は1DKのアパートに戻る。
 家具やモノを極力抑えて、すっきりとした空間に暮している。白い壁の清潔な部屋だが、例のアリは部屋にも侵入してくるという。夜は床に直接マットを敷いて寝るので、寝ている間に顔を食われることもしばしばだが、そんな生活にもすっかり慣れた。
「仕事が忙しいときは、日曜日の午後に一度起きて、またそのまま寝てしまって・・・結局、日の光を見ずに過ごしたこともあります。プライベートな時間がとれないんで、オフがほしいなとは思いますが、やめたいと思ったことはありません。今のところは最高の仕事なので、続けていきたいです」
 だが両親は、娘が日本で県庁に勤めることを願っていた。今でも日本に帰ると、『県庁、県庁』と言われるそうだ。
「両親とか親戚とか、みんなが心配してくれているんですが、私は今、自分がいちばん来たいところへ来て、やりたいことをやっているんです。人生、後悔したくないですから」
 住みたいところでしたいことをする。そんなシンプルで自由な生き方の裏には、真似のできない強さとしなやかさが潜んでいるはずだ。
「マニラは危険なイメージがあるけど、住んでみると美しくて楽しい街です。私はもう少し、フィリピンでがんばります」
 そう言う彼女の頬は、傾いてきた太陽に照らされて輝いていた。

(朝日新聞社日曜版編集部『この地球で私が生きる場所_海外で夢を追う女たち13人』100-107頁より)

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一度きりの私の人生。この世での旅を終える時後悔しない生き方をこれからしていけるのか。
自分のために生きればいいんだよ、大丈夫だよ!‐言い聞かせます。
ただ世界のカオスが深まるばかりなので、日本を出るのはおっかないかな。
日本も安全な国ではなくなっていきそうでこわいですが・・・。
どこでどう生きていけばいいのか、本当にむずかしいです。


この地球で私が生きる場所――海外で夢を追う女たち13人
クリエーター情報なし
平凡社