65オヤジのスタイルブック

感動ポルノとパラリンピック

今感動ポルノと言う言葉がクローズアップされています。感動ポルノとは、2014年に亡くなったステラ・ヤング氏が講演で述べた言葉で、メディアによって過剰に感動的に演出されることにより、健常者の消費の対象になっていることを指すそうで、日本でもNHKのEテレの「バリバラ」が彼女の講演を取り上げ、その裏で放映されていたのが、24時間テレビだったことで批判が集中、日本でも注目されました。

ステラ・ヤング氏の講演を聞く限りにおいては、メディアが感動の道具として障害者を扱うことへの警鐘であり、それが新たな偏見と差別を生み出している点が重要です。

先日、スポーツジャーナリストとして活躍する小松成美氏の講演を聞く機会を得ました。小松氏は、スポーツのみならず企業人や文化人との交流を通じて、その人の持つ人間力を発信しています。

アスリートの言葉や障害を持ちながら活躍する企業人のエピソードは、素直に感動を呼び、感涙します。現在開催中のパラリンピック選手の姿は、時に健常者以上の能力を発揮し感動を呼びます。こうした感動は、感動ポルノとは全く異なるものです。

ドキュメンタリ―作品は、実はある種のフィクションにより構成されていることは確かですが、過剰なまでに演出される感動の演出や障害者に対する哀れみや優越感を持たせる演出が問題で、それらが感動ポルノの本質です。差別や偏見を感動ポルノは助長しています。

今メディアに対する正しい眼を視聴者は見抜く力を持つ必要があります。今の時代、障害者自らが自らを笑い飛ばし、世間に良い意味で毒を吐く「バリバラ」のような番組が生まれ、反響を生んだことは貴重なことです。差別と偏見なき社会の闘いは永久に続くかもしれません。ただ、卑屈になることなく、バラエティー力が発揮できるような時代が、真に健全な社会であるような気がします。

※バリバラのHPにある障害者によるお笑いSHOW-1グランプリは、最高に笑えます。どの作品もクォリティーが高いです。


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