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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

2023年11月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、スコセッシ監督最新作でディカプリオ主演、デ・ニーロ共演の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」です。

3時間28分に及ぶ長編作品は1920年代の西部劇サスペンスで、ベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作を基に制作されていますが当初は、事件を捜査したFBI捜査官を主人公に制作予定でしたがディカプリオの助言により主犯格の共犯者で甥のアーネストを主人公に替えて再構築された映画になったというエピソードがあります。

石油発掘により巨額の富を得た先住民のオーセージ族とその利権を奪おうとするロバート・デ・ニーロ演じる主犯格のウイリアムスとレオナルド・ディカプリオ演じるアーネストを中心に犯行の過程と事件解決にいたった二人の苦悩と確執を描いた作品です。

その苦悩の大きな要因となっているのが、巨万の富を得た女系家族の娘モーリーの存在。ネイティブアメリカンであるリリー・グラッドストーンは新しい家族を得た夫への愛情と彼女に徐々に魅了されるアーネストとの関係が強く印象付ける演技を持っていました。

僕自身も決して長いとは感じずデ・ニーロとディカプリオの現在地での演技を生かしたスコセッシの手腕を感じましたし、あえて犯行側から描いたことで監督作品の特色であるマイノリティーへの偏見と弾圧のアメリカ黒歴史を今の時代にあった視点にアレンジしていると感じています。

どうも原作を読んでる方の批評は辛口のようで逆に大作としてではなく、原作に忠実なミステリー色の強い作品を観てみたいなと思うので違う監督で再構築してほしいなと思います。

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映画 月

2023年11月01日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、石井裕也監督、宮沢りえ主演の映画「月」です。

今回の作品は、実際に起きた障がい者施設殺傷事件を基にした辺見庸の同名小説を原作に舟を編むの石井裕也監督が脚本によりもので、新聞記者で知られる河村光庸氏の突然の死により実現が難しくなりましたがようやく実現にこぎついたものです。

物語は、宮沢りえが演じる元人気小説家の堂島洋子が、定職につけない夫との生活を支えるために重度障がい者施設に働き、作家志望の陽子やさとくんと呼ばれる青年と共に働く中で入所者たちへの同僚のイジメや隔離された入所者や寝たきりの入所者などとの出会いを通じて、正義とは何か使命感とは何かを問う内容となっています。

と、書けばとても清々しい内容のように思いますが、見たくないものにふたをしてしまう人間の偽善的な心根を突き付けられ重苦しさだけが残る感覚を与えます。そして実際に起きた傷害事件の中で語られる加害者の言葉に対して、どう立ち向かい進んでいくかを問われるのです。

主人公洋子や二階堂ふみが演じた同僚の陽子、後に加害者と磯村優斗演じるさとくんが抱えるものの重さも相まって、それぞれの迫真の演技も見事で映画での救いは夫演じるオダギリジョーとの家族の決断が突き付けられた刃からふと胸をなでおろす瞬間を感じました。

しかしながら、この映画を通じて心の中にあるわだかまりだけは持ち続けていかなければいけないと思い、こうした映画の存在価値を強く持ちました。

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