熟メン茶々丸の「毎日が美びっとカルチャー」

アートショップ店主・熟メン茶々丸のアート・シネマ・グルメ・スポーツなどのカルチャーコラム。

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション 名古屋市美術館

2018年09月18日 | 【美術鑑賞・イベント】

ルノワールのイレーヌとセザンヌの赤いチョッキの少年。この2点の作品を美術ファンなら知らない人はいないと思います。

現在名古屋市美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレコレクション」で観覧できますが、少年、少女との出会いも残すところ6日となりました。

至上の印象派展と題されたように、マネ、モネ、ピサロ、ドガ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホなど、印象派の時代を生きた画家たちの名品がずらりと並び名コレクション。17世紀から20世紀にかけての西洋絵画の画家たちの傑作を加えたすばらしい展覧会です。

個人的は、アングルの2点の肖像画やマティスの初期の印象派作品「雪のサン=ミシェル橋、パリ」に、ピカソの20代の初期作品「ギュスターヴ・コキオの肖像」やゴッホの「日没を背に種をまく人」が目にとまりました。

また、今回写真撮影が可能なモネの「睡蓮の池、緑の反映」は、モネ作品の中でも印象派の技法のすべてが凝縮された見事な大作でした。

二つの大戦を経験し、実業家として富をなしていったビュールレ。ノーベルが、戦争により財を成し、後にノーベル賞により社会に貢献したように、ビュールレも同じような人生を歩んでいます。ただし、心の拠り所として美術収集により半生を注いだ人生は、ノーベルと比べても幸せな人生ではないかと思います。

また、今回の展覧会には、2008年の盗難にあったセザンヌの「赤いチョッキの少年」を含む4点の作品。ドガの「リュドヴィック・ルピック伯爵と娘たち」モネの「ヴェトゥイユ近郊のひなげし畑」ゴッホの「花咲くマロニエの枝」も展示され、盗難を機に2020年にチューリッヒ美術館に移管されることになり、今回のコレクション展は、最後の国外展示となるでしょう。

日本での巡回最後となるビュールレの一大コレクションをぜひ目に焼き付けてほしいです。


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DVD わが母の記

2018年09月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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樹木希林さんが亡くなられました。僕もドラマ寺内貫太郎一家のばあちゃん役からのファンで、年を重ねるごとに円熟と新しい個性が生まれる樹木さんの演技に魅せられたひとりです。

樹木さんと言えば、やはり老婆役。様々な老婆を演じられた樹木さんですが、老婆役の存在感を初めて感じた作品として、今回の映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズは、2011年公開の原田眞人監督、井上靖原作の映画「わが母の記」をお届けします。

 

昭和39年、役所広司演じる小説家の伊上は、父が亡くなったことで樹木希林演じる痴呆の母八重の面倒を看ることに。母から離された幼少期を過した伊上は、母に捨てられたとの思いを抱いていました。失われていく家族との思い出と引き換えに、八重は、過去の悲喜こもごもとした思い出だけが、断片的に蘇り、伊上や家族を困らせる日々を送っていきます。そんな中で、伊上も知らなない過去の真実が浮かび上がり、母との絆を少しづつ取り戻していきます。

家族までも題材にする小説家としての性を役所広司が、自己中心的に家族を巻き込みながら過ごす姿が面白く、また、痴呆老人の姿を決して不幸なことではなく、自由奔放な姿で演技し、それが疎遠だった親子の関係を近づけて家族愛がじわりじわり伝わっていきます。また、三女役の宮崎あおいが、二人の関係のつなぎ役となり、父娘の絆をも取り戻す展開に家族愛の広がりを感じました。

痴呆の親の面倒をみることは、並大抵なことではありません。最後まで家族が面倒をみることは、僕の母が地方の義母を面倒みていた経験から難しい場合が多いと思います。まして、実の親子関係は、思いもしないで出来事により崩れてしまうこともあります。その意味では、伊上家の家族や伊上の兄弟の振る舞いは見事でした。

家族の心を取り戻すことは、家族が寄り添うことしか道はないなと感じる作品でした。

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DVD 銀魂

2018年09月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は2017年の福田雄一監督作品「銀魂」です。

昨年、半月板損傷でリハビリを続けている私ですが、この一ヶ月余り、損傷してない左足の調子が悪く、映画館通いがスムーズにできず、アマゾンプライムでの視聴が続いてます。映画館に行かない映画レビュアーは認めない僕としては本意ではありませんが、見逃し映画、劇場で観ないと決めてる作品もあるので随時紹介したいと思います。

今回は、現在続編が好調の「銀魂」です。続編も映画館に行く気はないので、DVD化されたら取り上げたいと思います。なぜかと言うと、30代でコミックから卒業している僕にとっては、苦手のジャンルです。とは、言っても、観れば嫌いではないです。それは、コメディの鬼才と言われる福田雄一の存在が大きいと思います。

原作コミックは読んでないし、読まないと思います。すみません。ただ、幕末タイムスリップのSFの世界はありえないほどに、ナンセンスで、登場人物のキャラクターを覆す破壊力はすごいと思います。それは、若手俳優たちが、この世界を十二分に楽しんでいるのが伝わってきます。そんな訳で、足を病んでいる僕にとって、気分を高揚させるのには最適な映画でした。

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映画 チャーチル ノルマンディーの決断

2018年09月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ブライアン・コックスが演じるもうひとつのチャーチル作品「チャーチル ノルマンディーの決断」を観賞

ゲイリー・オールドマンがアカデミー賞主演男優賞を受賞し、特殊メイクを担当した辻一弘氏がオスカーを獲得するなど、日本でも人気の高かった映画ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男。ここでは、ダンケルクの戦いが物語の中心に据えられていました。

今回の作品は、そのダンケルクから4年。未だ終わらない第二次大戦に終止符を打つために練られたノルマンディー上陸作戦を決断するまでのチャーチルの苦渋に満ちた96時間を描いてます。

第一次大戦のガリポリ上陸作戦で50万人の死傷者を生んだ惨敗の教訓から、連合国長官アイゼンハワーや軍部に対しノルマンディー作戦にひとり反対するチャーチル。長引く戦時に、苛立ち孤立するチャーチルをイギリスの名優ブライアン・コックスが生身の姿で演じ、ゲイリー・オールドマンとは違う個性がにじみ出て引くつけられます。

また、チャーチルを支え勇気づける妻をミランダ・リチャードソンが、感情をむき出しにしながら、叱咤激励する姿に女性の力強さを感じます。

ゲイリーとブライアン、異なる個性でチャーチルを演じ切ってますが、その風貌と風格はチャーチルそのもの。そして、両作品で注目は、異なる戦でヒトラーに挑み、市民を鼓舞し勇気を与える名演説。その演説をだけでも観る価値はあります。その意味でも、二作品を関連して観賞するのも楽しいかもしれません。

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DVD 13 時間 ベンガジの秘密の兵士

2018年09月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。マイケル・ベイ監督による未公開作品「13時間ベンガジの秘密の兵士」です。

2012年にリビアで発生したイスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したアクション作品です。事件を取材した記者によるノンフィクションを基に、支援を断たれた6人のCIA警備兵の13時間の激闘を描いてます。この事件で、3名のCIA職員とアメリカ領事館大使が犠牲となっています。

トランスフォーマーシリーズのマイケル・ベイ監督作品で日本未公開で、今回もアマゾンプライムで視聴しましたが、9・11同時多発テロjから10年。同日に起こった惨劇を思うと、この戦争がいかに大義のなき戦争に突入してしまったかを感じます

作品としては、かなりリアリティーを感じ、凄まじい銃撃戦の中で多くの犠牲を強いられた事実を真正面から描いているところもすごいなと思います。

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西洋美術史 木村泰司著

2018年09月08日 | 【コラム・読書】

多数の美術関連本の著作で知られる木村泰司氏が、ビジネスマンの知っておくべき教養として著わしたのが本書の「西洋美術史」です。

欧米において、ビジネスマンが身に着けるべき教養として西洋美術史の観点から本書は出発してますが、日本においてビジネスとしての教養としての美術は、あまりないように感じます。たとえば、美術館に行っても、そうした人に、巡り合ったことがないし、オークションで名画が高値で落札されたという話題はあっても、ビジネスにおいてのコミュニケーションツールとして、美術の話題が上る場は極めて少ないです。

本書を読んでいくと、西洋史の変遷と深く関わっているのが西洋美術史であり、社会と密接にかかわっていることが良く理解できます。そうした視点で本書を読んでいくと、美術に興味のない人にも、自然に美術に対して興味がわいてくるのではないでしょうか。

また、西洋美術の好きな人にも、名画や当時の画家が、権力者や社会風俗といかにして関わってきたかが理解でき新しい発見につながるのではないでしょうか。日本美術や東洋美術にも少なからず、そうした視点がありますが時代の永続性がなく、その点において西洋美術史は、大陸に連なる欧米諸国のワールドワイドな視点があり、その広がりは無限です。

美術様式年表や世界の名画が紹介された本書を見ながら改めて西洋美術史を見つめなおしてみてはどうでしょうか。

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DVD ねこあつめの家

2018年09月06日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、猫好きにたまらない作品、伊藤淳史と猫たちの共演「ねこあつめの家」です。

 

ずいぶん前に保護した看板犬茶々丸と8年間生活したこともあり、個人的には犬派と思っていた僕ですが、自分の性格を考えると猫の生態に近いところがあり、最近は猫を飼ってみようかと思ったりもします。

今回の作品は、猫つながりということではなく、伊藤淳史主演のホームコメディーでアマゾンプライムで鑑賞しました。

原作は、スマホゲームアプリ、監督は「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」の蔵方政俊です。また、最近はすっかり棘がなくなり、こうしたホームドラマ的な作品には欠かせない田口トモロヲが編集長役で、また、不動産会社社員には大久保佳代子が出演してます。

物語は、若くしてヒットを飛ばした小説家の主人公が、その後に行き詰まり路上で出会った占い師から引越しを進められたことから、事態は猫があつまる家へと変貌し、再び小説家にカムバックするというシンプルなストーリーです。

猫と奮闘する中で、癒され自分を取り戻してい伊藤君演じる主人公と彼を助ける木村多江演じる猫ショップのオーナーに忽那汐里演じる担当編集者との心あたたまる交流にほのぼのとします。

まだまだ猫好きではない僕ですが、きっと猫好きにはたまらない作品ではと思います。

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DVD サニー 永遠の仲間たち

2018年09月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、2012年公開の韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」です。

映画サニーと聞いて、思い浮かぶ人も多いかと思います。実は、今回の作品は現在公開中の「SUNNY強い気持ち、強い愛」のオリジナル版です。韓国で口コミでヒットした作品で、今回アマゾンプライムで視聴しました。

物語は、42歳になった女性が、高校時代の仲間のリーダーの余命を知り仲間たちを探すという内容です。日本版は、1990年代が舞台でコギャル仲間が設定。オリジナルは、1980年代が舞台で、どちらも当時のヒットナンバーと共に描かれてます。

この映画の面白さは、登場人物の詳細な設定がとてもおもしろい。高校時代の夢と40代に大人の現実が交錯し、友の近づく死に向かいあいながら、再会を通して強くなっていく大人の女性の絆に感動し泣けます。

韓国映画の魅力のひとつに笑って泣けるヒューマンコメディーがありますが、今回の作品はかなり泣けますし、当時の韓国の政治的な背景もあって、部分的に内容も重い部分があります。

また、僕にとっては、小学生の頃に聞いた洋楽の原点のひとつ。テーマ曲のサニーや1980年代のダンスチューンも、ドストライクで、すごく楽しめました。

日本版は、まだ観てないです。たぶんDVDで観ると思うので感想は後日に。でもいろいろ調べてみると、韓国と日本の社会状況から見ても、おそらくオリジナル版のサニーに軍配が上がります。たぶん、大根仁監督も、時代設定は違えど登場人物の背景は変えず原作に忠実に描いてるのではと推察できます。監督のオリジナルへのリスペクトを感じます。

 

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サン・チャイルドが示した問題提起

2018年09月04日 | 【美術鑑賞・イベント】



8月22日の中日新聞の「話題の発掘 ニュースの追跡」で、福島市が設置した芸術作品「サン・チャイルド」に対し、「風評被害を増幅する」「科学的にあり得ない」なと批判が寄せられ、市民から撤去か残すかで賛否となり結果撤去されることになった。

作者のヤノベケンジさんは、僕の住む愛知のトリエンナーレでも注目を浴びる現代美術家で、開催期間中にもサン・チャイルドは設置されている。また、2012年に福島空港で開かれたビエンナーレでも披露され、長期間設置されたが今回のような批判はなかったという。

ヤノベ氏は、1991年から原発事故をテーマにした作品を作り、サン・チャイルドは「原子力災害がない世界」の象徴です。また、今回の批判を受けて自身のウエブサイトで「私の作品が一部の方々に不愉快な思いをさせてしまったことについて、大変申し訳なく思っています」と謝罪している。もとより、作品が平和的な象徴として作られているのことを理解しているものとしては、謝罪の必要はないと思うが、ヤノベ氏の現代アートに対して認識なき人々に対しても、真摯で福島の人々の対する慈愛を感じます。

日本では、パブリックアートに対して、具象化された彫刻作品には理解があっても、見た目には難解な現代アートに対しては、まだまだ一般には許容できないのだろう。一方で、若者や外国人観光客により、パブリックアートとしての現代アートは理解されつつある。

今回の撤去は、作者がもたらした問題提起とは別の方向で進んでいってしまったことは、アートを愛するものにとって残念なことだ。しかも、市は存続希望22件。移転撤去を望む75件と100にも満たないアンケート結果を受けての早々に撤去を決定。果たしてこの結果が市民の声か、疑問に思うのは僕だけだろうか。原発推進の思惑がどこかで働いているようで不気味さを感じる。

現代アートは、社会の風潮や権力に対し、作品を通して問題提起する一面を持っている。作者が意図する問題提起を前提にして、議論を深めながら賛否を問うべきではないか。パブリックアートに詳しい識者の方も同様の見識を示している。今回の撤去は、ごくごく一部の多数決の論理で決められた、歪んだ民主主義のように感じる。

名古屋市北区のパチンコ店ZENT内に設置されたウルトラサン・チャイルド。パチンコなどをギャンブルをしない僕ですが、本店には、ヤノベ作品やビート・たけし作品を展示するミュージアムもあり、託児所の壁面にもヤノベ絵本作品が描かれていて楽しめる場所で、アート好きにも興味深い施設です。

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長谷川利行展 碧南市藤井達吉現代美術館

2018年09月02日 | 【美術鑑賞・イベント】



あなたは、長谷川利行という洋画家を知っていますか。その波乱万丈な人生から日本のゴッホと言われた画家で、戦前に生来の放浪癖から住む家を持たず、ただ絵を描くことだけに命を削り、酒におぼれ極貧のうちに療養所にて看取られることなく49歳の生涯を閉じた無頼の画家です。彼の画業を振り返る展覧会が現在碧南市藤井達吉現代美術館で開催中です。

洋画団体の二科展で樗牛賞、奨励賞を受賞しながら、出品を続けるも経済的には恵まれず、知人の画家などの家を転々としながらお金の工面するために絵を描き続けています。そんな、画家の人生でも、多くの芸術家に、多大な影響や評価を得ていました。

画商の間では、評価の高い画家でしたが、一般的にはその名を知られることは少ないです。また、僅か13年の画業人生と生前は一部のコレクターにしか作品の所蔵はなく、作品数も少ないです。

今回の展覧会は、2018年3月24日から、福島県立美術館、府中市美術館、そして今回の碧南市藤井達吉現代美術館と続き、久留米市美術館、足利美術館での新たに発見された作品を含む140点からなる大回顧展です。

自由奔放な筆致と独特の色彩感覚は長谷川の人生そのもので、貧しい生活の中で描かれるモチーフは知人の肖像画や浅草の踊り子や市井の人々がモデルであり、生活範囲を物語ように、昭和初期の浅草や新宿の原風景です。どの作品も息づく鼓動を感じます。

彼の作品をたとえるなら、マチスなどに代表されるフォービスムに共通します。僕にとっては、好きな画家の一人であるマチスの画風に似ていながら、長谷川には、生きることにもがきながらも描くことでしか人生を楽しめない不器用さ感じます。

いろいろな面で恵まれた今の日本において、こうした無頼の画家は生まれないでしょう。未だ長谷川利行の画業は未完成のままです。だからこそ、長谷川利行の存在は、広く世界にも評されるのではと思います。


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DVD 最後の命

2018年08月31日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は2014年作品で芥川賞作家・中村文則の原作を映画化した「最後の命」です。

元々小説をあまり読まないので、けっこう見逃すことが多いのですが、今回は、アマゾンでチェック中に柳楽優弥主演の作品が目にとまり観賞しました。

中村文則氏の作品は、読んでないですが、地味に映画化されている作品が多く、最近では、まだ観賞してませんが、桃井かおり監督の火Heeや瀧本智行監督の去年の冬、君と別れなどが映画化されてます。今回の作品は、監督は松本准平、柳楽優弥の幼馴染役で矢野聖人が共演してます。

物語は、幼少期に浮浪者の集団レイプを目撃した二人の少年の柳楽演じる明瀬と矢野演じる冴木が、その日のトラウマを抱えながら成長。ある日再会を果たします。再会後に、明瀬の家に頻繁に訪れていたデリヘル嬢の惨殺死体が発見され、明瀬が疑われますが、その後に容疑者に冴木が浮かび上がります。冴木は、連続婦女暴行犯として指名手配されていたのです。

今回の作品の主要人物に二人と関わる同級生の女がいますが、その三人の過去が徐々に浮かび上がるにつれて事態は思わぬ方向へ進みミステリ化します。

今回の作品は、R15指定で題材が題材だけに、トラウマになりかねないので、この手の作品に嫌悪感を持つ人にはおすすめできません。しかしながら、作品としての面白さと深さが、映画化とされる要因となっていることは確かです。

湊かなえや東野圭吾作品の映画化が好きな人にはおすすすめの作品ではと思います。

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映画 ヒトラーを欺いた黄色い星

2018年08月29日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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第二次大戦中、ナチスを欺きベルリンで生き延びたユダヤ人を描いた映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」を観賞

本作は、ナチスドイツは、ユダヤ人をベルリンから一掃したと宣言、実は700人ものユダヤ人が潜伏を続け、1700人のユダヤ人が生き延びた事実を基に、4人の証言者のインタビューと共に、いかにして生き延びたかを描いたものです。

証言者の当時の年齢は16歳から20歳の男女。帰還したドイツ兵になりすまし、空き室を転々としながら偽の身分証を作ったり、身分を隠しナチス将校にメイドとして雇われたり、ヒトラー青年団の制服で身元を偽り反ナチスの組織の活動を手伝うなど。身を潜めることなく、市民のなかに紛れ込むように生活を送ります。

青年たちの死と隣り合わせの生活の中でも、些細なことでも青春の思い出が築かれていくシーンが、この手の作品としては異色で証言により事実として語られ新鮮で興味深く、また、そうした思いを抱かせてくれた背景に、潜伏を手助けした良心あるドイツ人が関わっていたことに驚かされます。

そして、証言者の青年たちの潜伏方法もさることながら、手を差し伸べたドイツ人の境遇もそれぞれに異なり、そこには、ナチスが行った非人道的な行為に対する静かな抵抗を感じました。

改めて、民族意識の中にある差別性がいかに愚かなことで、人種や性別を超えた人間への慈愛が深く感じられ、争いの根源を断つためには、唯一の希望であることを強く自覚する作品でした。

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さくらももこさんと昭和サブカルチャー

2018年08月28日 | 【コラム・読書】

ちびまる子ちゃんの生みの親、漫画家のさくらももこさんがお亡くなりになりました。享年52歳。早すぎる死に今日のニュースは、彼女の話題で持ちきりでした。

僕の住む東海地方では、清水出身とあってゆかりの深いです。コミックやアニメ番組のほかにも、中日新聞での4コマや郡上八幡のキャラクターなどが紹介されていました。

僕にとっては、昭和前期の象徴のサザエさんと共に昭和後期、とりわけサブカルチャーを作品の中で紹介し、昭和文化の象徴的な存在として、心に刻まれています。

先日亡くなった西城秀樹さんや山本リンダさんの歌マネやフリマネなど、昭和を代表するアイドルを登場させ、世代を超えたファンを掴んだ愛される存在であったことは間違いないと思います。

サザエさんやドラえもん、クレヨンしんちゃんなど、漫画家亡きあとも、そのキャラクターが生き続け受け継がれ時代を走り続けてます。ちびまるこちゃんも、そうした存在として生き続け、歩みを続けると感じます。

そして、さくらももこさんの分身であるちびまる子ちゃんは、サザエさんのように庶民の生活の中に寄り添うような存在になるののではと僕は確信してます。

 

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え!からはじまる、ストーリー メナード美術館

2018年08月27日 | 【美術鑑賞・イベント】

美術館と物語。古今東西きっても切れない関係であり、古代の壁画芸術やギリシャ神話や聖書などの西洋美術、歴史画などの東洋美術などアートのルーツは物語にあると言えます。

今回の「え!からはじまる、ストーリー」展はそんな絵画の物語性に着目した展覧会で、メナード美術館の所蔵作品を通じて美術史の中の物語を学べる展覧会です。

今回は、観賞ガイドを紐解きながら、作品と物語の関係性について少し述べたいと思います。先ずは、みなさんよく知ってるロダンの接吻。この作品は、ダンテの神曲の中の男女を題材にした悲恋の物語です。またクールベの「デスデモーナの殺害」はシィクスピアのオセロから、当館を代表する作品のアンソールの「オルガンに向かうアンソール」はキリストのブリュッセル入城が描かれています。また、初公開のマックス・エルンストの作品は、ギリシャ神話のスフィンクスを描いています。

日本美術では、白樺派の高村光太郎のジャンルを超えた芸術性や瀧下和之の「桃太郎図ノ番外」や彫刻家・舟越桂が描いた「ピノッキオ」の絵巻物は古くから伝わる童話の世界を作者の独自の解釈を加えて再現するなど、物語を知ることで絵の中にある心模様を感じられます。

展覧会は9月24日まで。ぜひ芸術の中にある物語を楽しんでみてください。

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DVD 君の膵臓をたべたい

2018年08月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、2017年の泣ける青春映画ベスト1の「君の膵臓をたべたい」です。

前も述べたことがありますが、日本映画のこの手の青春恋愛ものが、どうも苦手で敬遠していましたが、本作は映画好きの人たちの多数支持していることもあり、そのタイミングで地上波放映されたので録画して観ました。

2016年に本屋大賞2位に輝した恋愛小説の映画化ですが、あまり小説を読まない僕なのでピンと来なかったのですが、観ると、そのセリフの哲学的な部分に魅せられました。最近の保守的な世の中で終身などの戦前の国民道徳がもてはやされる今、これは、若者たちに贈る新しい道徳であるようにも思います。

物語は、言わずともですが、膵臓の病気で余命僅かの女子高生と唯一彼女の病気を告白されたクラスメートの孤独な男子高生との交流を描き、彼女の突然の死と彼女の遺した言葉で教師となった彼の今と彼女の親友との今を描いています。

実に巧みに計算された筋立てと共に高校時代の衝撃的なラストと彼女の遺した言葉で希望を見出していく現在のラストが実にうまく進行していて深みのある内容でした。

映画化と共にアニメ化もされ、いずれの分野でもヒットを飛ばしたのも、やはり原作の持つ強さが故だと思います。

そして、君の膵臓をたべたいの言葉の重さに一連のテーマとは違う涙を誘います。食わず嫌いと言いますが、まさに食べなければわからない素敵な映画でした。

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