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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

DVD アスとゲットアウト

2020年08月28日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はゲット・アウトのジョーダン・ピール監督の2019年公開のホラー作品「アス」前作の作品も批評してなかったので「ゲットアウト」も紹介したいと思います。

自由の国アメリカにおいて、根強く残る黒人差別の問題をホラーとして組み合わせたのが前作の「ゲットアウト」でした。黒人青年のクリスが白人女性の恋人ローズの実家に紹介され、白人と黒人の使用人のいる地域に隠された秘密が暴かれていく作品です。

前作では、その地域に住む黒人が身体的な障害を持っており、実はクリスも、ローズを含めた白人の恐ろしい策略の餌食になるというもので、核心には迫りませんが、大多数を占める白人社会において、少数の黒人が、スポーツや音楽の世界で優れた能力を持ち、ある種の憧れが源となって策略へとつながる多数が少数を支配する図式が作品のベースになっていました。

ゲットアウトは、アカデミー賞脚本賞を受賞したこともあり、起こり得るリアリティーとアメリカの人種差別の問題を、黒人監督らしい切り口でコミカルなホラーとして昇華させた秀作でした。

一方、今回の作品は、黒人家族が主人公ですが、物語の冒頭で見せる遊園地にある鏡の部屋に迷い込んだ少女時代の母親アデレードが瓜二つの自分に遭遇した恐怖体験がドラマの発端となっています。

物語は、忌まわしい恐怖体験の地、サンタクルーズを訪れた夫と二人の子供がもったアデレード家族がビーチハウスで自分たちとそっくりの家族に監禁され、そこから脱出するドラマです。ここまでくれば、そっくりの家族がクローンであることはお分かりだと思いますが、そこからの壮絶な近未来的ドラマが展開されて、意味深なラストへと繋がっていきます。

※ここからは、ゲットアウトとアスのネタバレとなりますのでご注意ください。

先ずは前作のゲットアウト。

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ゲットアウトは、端的に言えば黒人の才能を手に入れるために、脳みそを移植するという内容です。主人公クリスは、催眠術により軟禁され村の人々の餌食になるのですが、その方法がオークションでの入札です。そして、使用人となっていた黒人も実は脳みそ移植された白人で、黒人の身体的な能力を手に入れた白人たちが住む町の移植患者として連れられたのがクリスです。

この作品の肝は、親友の手助けで脱出する親友ロッドのセリフが、白人レイシストの行動につながっているところ。黒人が白人より劣っていることを証明するために行動する原理を逆手にとって、黒人を憧れの対象にしながら、その能力を手にしようとする行動原理のもとに作品が出来ているところが、過去の作品とは違うところで評価されたと思います。

アスが、扱っているテーマは人間の進化に対するエゴイズムへの警鐘。その的となったのがクローンです。アスは、細菌実験による生まれたゾンビ映画によく似ています。舞台となった町には、地上と地下の二つの社会が存在します。その入り口が鏡の部屋でした。僕が想像するに秘密裡に行われたのクローン実験の町がサンタクルーズ。ラストでは、アデレードがクローンとすり替わったことがわかります。その伏線が、ドラマの中で散りばめられています。

そのことで、辻褄を合わない部分があり、家族の一員である息子もクローンではないかと、観る者をさらなる憶測へ進ませていますが、僕の結論では辻褄が合うのはアデレードだけで、地下で人生を送ることになった本当のアデレードによる壮大な復讐劇だったのではないでしょうか。地上の生活を得たことで進化を遂げたクローン・アデレード。結果的にクローンの勝利となるのですが、クローンから生まれた二人の子供は、少なからずクローンとしての欠陥を障害として抱えていたことで理解できます。

そう考えるとアスも良く出来た作品で、続編が可能です。僕が考えるならサンタクルーズから脱出したアデレードとクローン計画を継続しようとする権力と人間であり続けるための戦いしか想像できません。でも、作品としてクオリティー維持を考えるとこれで終わるのがベストかなっと思ってます。


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映画 プラド美術館 驚異のコレクション

2020年08月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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スペイン黄金世紀を後世に伝えるプラド美術館初のドキュメンタリー作品「プラド美術館 驚異のコレクション」を鑑賞。

美術ファンなら御存知かと思いますが、世界最高峰の美術館と言えば、フランスのルーブル美術館、アメリカのメトロポリタン美術館、ロシアのエルミタージュ美術館、そして、今回ご紹介するスペインのプラド美術館があげられます。

2019年開館200周年を迎えたスペイン・マドリードにあるプラド美術館初のドキュメンタリー映画が今回の作品です。15世紀から17世紀に太陽の沈まぬ国と言われたスペイン王国、その王族たちが経済力と審美眼で収集した8,700点にも及ぶ美術品が収蔵されています。ナレーションをオスカー俳優のジェレミー・アイアンズが担当しています。

今回の映画は、宮廷画家として活躍したベラスケス、ゴヤ、グレコなどの代表作に、初期フランドルの画家ボスなどの作品を学芸員や文化人の作品への思いや魅力を独自の目線で紹介、さらに美術館スタッフの研究、保存、修復風景や美術館内の内観や外観を細部にまでクローズアップした美術館を丸ごと鑑賞できる内容になっています。

ここ数年、世界の有名な美術館にスポットを当てたドキュメンタリー映画が数多く制作されています。これらの作品は、美術館での作品鑑賞とは少々異なり、作品をゆっくり眺めるには適さない面はあると思います。しかしながら、旅行などの限られた時間での鑑賞では、美術館の全貌を知ることは困難だと思います。

その点でこれらの美術館映画は、美術館の細部まで眺められ、普段は見ることができない展示や保存、修復などの美術館の裏の顔を知ることが出来ます。特にヨーロッパの美術館は宮殿などの歴史的建造物が多く、美術館そのものが美術品と言えます。そうした空間を仮想体験しながら巨匠たちの作品に触れることも、このジャンルの映画の魅力ではないでしょうか。


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映画 アルプススタンドのはしの方

2020年08月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今一番熱い映画「アルプススタンドのはしの方」を鑑賞してきました。

今回の作品は、第63回全国高校演劇大会で最優秀賞に輝いた名作戯曲を映画化した作品で、今最も熱い映画だと思っています。コロナ禍で高校生の部活動にも影響を与えスポーツはもとより文化部でも次々と大会が中止なっている現在、誰もが経験したであろう高校生としての夏を様々な視点でとらえた会話劇です。

舞台は夏の甲子園一回戦。アルプススタンドのはしの方で、応援もせず見つめている帰宅部の女子と演劇部を卒業する二人の女子、元野球部の男子の四人。帰宅部の才女、宮下はエースの園田に淡い恋心を抱き、あることが原因で全国大会出場を辞退した演劇部の安田と田宮は、野球のことはまったく知らず仕方なく来ている。藤野はエース園田に勝てず野球部を辞めた元ピッチャーで、ベンチを暖めている矢野を馬鹿にしている。

そんな、4人のグランドを見つめる視線と会話だけで物語は進んでいきます。そこに熱血教師の厚木先生に、応援団のヒロイン的存在の吹奏楽部部長の久住が加わって高校生の暑い夏の一コマが展開していきます。

元高校生なら誰もが持つそれぞれの高校生の思い。5回から9回裏までの各イニングで繰り広げられる高校球児の暑い夏をアルプスの応援団とはしっこの会話とオーソドックスな起承転結の中でうまく表現され、高校最後の夏が4人の将来に大きな影響を与えていきます。

誰もが抱く青春時代の夢、夢をあきらめた人、夢に破れた人に贈る応援歌、それが「アルプススタンドのはじの方」です。

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DVD ナイブズ・アウト

2020年08月19日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はダニエル・クレイグが名探偵役で出演したミステリー作品「ナイブズ・アウト」です。

 

ダニエル・クレイグの007が待ち遠しいですが、今回は、クレイグがアクションなしの名探偵役で殺人事件を解決するミステリーです。

舞台は世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが開かれた豪邸。その翌朝にハーランが遺体となって発見される。ダニエル・クレイグ演じる名探偵ブノワ・ブランが事件の調査を進めていきます。容疑者は莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と屋敷にいた全員が事件の第一容疑者。事件と共にスローンビー家を取り巻く様々な闇も明らかになっていきます。

推理としては、さほど難しいものではありませんが、その推理の過程が緻密で適格なところが飽きの来ないところです。豪華な俳優陣が人間の欲望や偽善など事件を通してさらけ出されるところも面白いです。ただ僕にとっては、演技派としても定評のあるクレイグでも、やっぱり007のダニエル・クレイグ像が強くて、映画に入り込めないところがありました。

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DVD エクストリーム・ジョブ

2020年08月18日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は韓国で動員1600万人を記録したアクションコメディー「エクストリーム・ジョブ」です。

韓国で歴代興行収入ナンバー1を記録し、国民食でもあるフライドチキンを題材に解散寸前の麻薬捜査班の大逆転劇のアクションコメディー大作です。

コ班長の下5人の麻薬捜査チームは、解散寸前の危機の中で大掛かりな麻薬取引の情報を掴みアジトの前の閉店寸前のフライドチキン店を買い取り経営者家族として捜査を開始、ところがお店は、捜査員のマ刑事の焼肉風味のチキンが大当たり。捜査がおぼつかないほどの繁盛店になるも、捜査の妨げにならないような策が裏目となり廃業の危機に陥ります。

そんな中で、麻薬取引組織の人間が、フランチャイズ店の話を持ち掛けます。一発逆転のチャンスと見たチームはフランチャイズ契約を結びます。

捜査班チームの個性的なメンバーは、隠れた才能を発揮して役割を果たしてお店を切り盛りしていきます。最初は捜査班しての無能ぶりが際立ちますが笑える場面の連続で、このまま繁盛店して新たな道を進むかと思いきや、フランチャイズ契約から徐々に捜査チームとしての能力があらわれて、捜査チームVS麻薬組織の壮絶なアクション劇へと進んでいきます。

まあ、ここまで物語の流れを伝えても十二分に楽しめる作品です。さあ、みなさんもコ班長率いるチームの活躍をその目でしかと観てくださいね。

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DVD THE GUILTY/ギルティ

2020年08月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、オランダ発の新感覚のサスペンス映画「THE GUILTY/ギルティ」です。

以前から注目をしてた作品で、映画館での鑑賞を見逃していたので久々のレンタル店で見つけて鑑賞しました。何が新感覚かと言うと犯罪場面がまったく映されず、緊急通報のオペレーターとのやり取りだけで展開されるサスペンスです。よく似た作品には、2013年の社内と携帯電話での会話だけで進むトム・ハーディ主演の「オン・ザ・ハイウエイその夜86分」が記憶にありますが、今回のオペレーターとのやり取りだけで展開された作品は初めてです。また、本作は、サンダンス映画祭で観客賞を受賞、第91回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた話題作でした。

物語は、謹慎中の主人公の刑事が、緊急通報のオペレーターの業務を終えようとしている中で、ある女性からの通報を受けます。女性は、元夫に誘拐されており、子供を自宅に残しているとのこと。見えない状況に対して、彼女の携帯電話での声を頼りに元夫にわからないように救出への手がかりを導き出していきます。

仕事の領域を超えた見えない犯罪捜査の中で、事件の糸口をつかみとろうとする刑事、刑事の経験と勘を頼りに元同僚や警察官に指示しながら事件は少しづつ解決の方向に向かいますが、そこに待ち受けていたのは第二犯罪、ラストでは、予想だにしない結末に向かいます。

一室での犯罪心理戦、今までにない緊迫感が漂い言葉の裏にある争点が事件を複雑化していておもしろい内容です。サスペンス好きには楽しめる作品だと思います。

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韓国ドラマ ミスティ~愛の真実~

2020年08月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

ラブリー・アラン | Netflix

今回は、キム・ナムジュ主演のNetflixから視聴のミステリー韓国ドラマ「ミスティ~愛の真実~」です。

実はわたくし、逆転の女王のキム・ナムジュの大ファンなんです。韓国ドラマに一時夢中になったきっかけも彼女でした。今回のドラマは、2018年に韓国で上映され、2019年には日本でもDVD化されてます。キム・ナムジュ6年ぶりの復帰作として話題を呼び、韓国で賞を総なめしました。

内容は、韓国で不動を地位を築いている女性キャスター、キム・ナムジュ演じるコ・ヘランですが、良家の出で弁護士の夫、チ・ジニ演じるカン・テウクとは冷え切った夫婦関係で、部下や同僚、姑ともうまくいっておらず上司からも世代交代を理由にキャスターの座を降りるよう命じられています。そんな折に、アメリカで成功を収めた韓国出身のゴルファー、ケビン・リーの単独インタビューで一発逆転を狙います。彼の接触に成功したコ・ヘランでしたが、ケビン・リーは、コ・ヘランのかつての恋人で、彼女に付きまとうようになります。

そんな中、ケビン・リーの突然の事故死。コ・ヘランは重要参考人として呼ばれ殺人容疑の疑いをかけられます。

ケビン・リーの事故死をきっかけに、ドラマはヒートアップ。カン・テウクが妻の弁護をする中で、彼女の過去を知るケビンの妻に出所した殺人犯の同級生、政界や財界も巻き込んだ事件も加わり濃密なサスペンス劇が展開されていきます。僕にとっては、あの明るくて、涙もろい逆転の女王のキム・ナムジュが、驚きのクールビューティーに生まれ変わってました。

果たして、ケビン・リーを殺害した真犯人はだれ?無実を訴えるコ・ヘランでさえ最後まで疑いの目でみてしまう、謎が謎を呼び、ハラハラドキドキの展開でした。そしてラストの結末はいかに。

僕のつたないドラマ評に興味を抱いた人がいたら、ドラマを観てください。決して損はしない極上のラブサスペンスです。

ミスティ〜愛の真実〜(韓国ドラマ) 全話あらすじと感想 キャスト・相関 ...


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DVD こはく

2020年08月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。井浦新主演、アキラ100%が大橋彰名で共演したヒューマンドラマ「こはく」です。

今回の作品は、横尾初喜監督が原案を出し、長崎を舞台に幼き頃に生き別れた父を兄弟が捜す人間ドラマです。井浦新と裸芸人としてR1グランプリで優勝したアキラ100%が大橋彰名で兄役として共演しています。調べたところによると、彼自身、元々は俳優志望で椎名桔平の付き人をしていた経験があるそうです。

物語は、幼い頃に別れた父の会社を受け継いだ井浦演じる亮太。彼もまた離婚して子供と別れた経験を持つ身です。そんな彼に実家で母と暮らすアキラ演じる兄の章一が、街中で見かけた父を一緒に捜さないかともちかけます。無職で、虚言癖のある兄の行動に戸惑いながらも、現在の自分と照らしながら父を捜す小さな旅が記憶となってよみがえる内容です。

ここで描かれているのは、二人の置かれた境遇と兄弟としての立ち位置。兄は現在の自分に情けなさを抱えながらも兄として役割を父を捜すことで果たすことで自分を変えようとし、弟は離婚を経験し、子供たちに会うことなく現在の妻と再婚、妻の妊娠で戸惑いを感じながら、父への再会で自分が変わるのではないかと、ほのかな期待を抱いているように感じます。

二人の心の葛藤が、父を捜す旅の中でうまく表現されていました。また、兄役の大橋の演技は、すごく自然体で好感を持てましたし、井浦と絡むことで相乗効果が生まれ幼い頃から父のいない中で育んできた兄弟愛が再び湧き出てくるように感じました。そんな二人の淡々と演技が、ラストでの大きな波を起こしてくれます。

困難や悩みを抱えながらも真面目に人生を歩む人たちには、この作品は静かな勇気を与えてくれると思います。


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DVD 嵐電

2020年08月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。井浦新主演、鈴木卓爾監督による北白川派制作の映画「嵐電」です。

嵐電とは、京福電気鉄道の嵐山本線と北野線からなり、嵐山や龍安寺などの観光名所や太秦映画村のある文化香る路線。紫色の車両も印象的です。その嵐電の駅をロケ地に三様のラブストーリーが描かれています。

三様の恋は、太秦撮影所近くのカフェで働く女性と東京から来た俳優に修学旅行に来た青森の女子学生と嵐電を8ミリ映写機で撮影する地元学生、そして井浦演じるノンフィクション作家と妻ですが同じ時系列で描かれているのですが、嵐電の都市伝説により現実と夢想の世界が入り交じり、摩訶不思議な世界へと誘う恋愛劇です。

今回の作品、井浦新と大西礼芳を除けば、さほど有名な俳優ではなく、雑踏の中では目立たないような存在。そこが京都のありきたりな日常の中に溶け込むことで井浦や大西のイメージさえもかき消す不思議な空気が漂っています。また、都市伝説の下りは、どこか滑稽でもありますが夢の中では、こんな残像もありかなと思わせてくれました。

映画レビューでは、賛否両論で批判的な人たちは、作品での主張の曖昧さやメリハリのない内容がつまらないと結論してるようです。こうした映画はやはり観る人の好みも分かれると思います。僕自身も面白くはないが、時系列の曖昧さが不思議に惹き込まれした。

韓国やインドなど注目を浴びるアジア映画の中で、少し遅れをとった感のある日本映画ですが、日本特有の家族や社会の在り様に目を向けると、今回のような作品は日本映画の行く末を占う上で僕は好意的な思っています。

次回も井浦新主演の作品「こはく」の感想を述べたいと思います。


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大橋翠石展 岐阜県美術館

2020年08月06日 | 【美術鑑賞・イベント】

岐阜県美術館で開催中の「明治の金メダリスト 大橋翠石~虎を極めた孤高の画家~」展を鑑賞

虎を描けば日本一の画家である大橋翠石。美術業界では、最も高値で取引される虎作家です。特に故郷である岐阜県や東海地方、兵庫県須磨で晩年を過ごしたこともあり、関西の財界人を中心に人気の高い画家です。その大規模な展覧会が、今回岐阜県美術館で開催中です。今回の展覧会は、兵庫県でも開催予定でしたがコロナ禍で中止となり、今回の展覧会が最後となります。

大橋翠石は、江戸末期に大垣市に生まれ、明治33年、1900年に行われたパリ万博で日本人としてただ一人金メダル(金牌)を受賞。4年後のセントルイス万博でも金メダルを受賞し世界で最も高く評価された日本画家です。1900年のパリ万博は日本が初出展し、現在ブームとなっている明治の超絶技巧の作家などが紹介され世界的にも日本の美術工芸が注目を浴びました。また、当時の有名作家がこぞって出品し、日本画では東西の巨匠、横山大観、竹内栖鳳、洋画では黒田清輝などを美術界の巨匠たちの中で、金メダルを獲ったわけですから、その実力の程は理解できると思います。

展覧会の内容は、初期から晩年の翠石の虎を中心に、獅子や鳳凰に子猫や子犬などの小動物に鳥や魚など、まさに翠石動物園のような内容です。前期と後期により変化する虎の姿は筆遣いに明快な変化があり、須磨様式と言われる後期の作品は、毛の一本一本を細密な描写で描かれ写実の妙技を感じます。今回の展覧会もポスターになっている「大虎図」は、翠石が亡くなる前年83歳の作で、その作品を観た時には、威風堂々とした姿に圧倒されました。数々の虎の姿を観るにつけ、師や母、長男の死、震災や戦争、肺炎など波乱の人生を歩みながら独自の画風を築き上げた孤高の画家として強い意志を作品から感じ取ることができました。そんな中でも目を惹いたのが、娘の婚礼の品として描いた屏風。表には躍動感の中に家族団らんの愛らしさがある猛虎の姿と白鶴の親子の姿が描かれていて、その画風とは対照的な翠石の人柄がにじみ出ているように思いました。

展覧会は、9月13日まで開催。12年ぶりに大橋翠石の画業を通覧できる展覧会を是非ご鑑賞ください。

大橋翠石 作家紹介


DVD 見えない目撃者

2020年08月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は久々にAmazon primeから視聴した吉岡里穂主演のホラーサスペンス「見えない目撃者」です。

コロナ禍で最近レンタルビデオ店に行くことが少なくなり、NetflixやAmazonプライムのサブスクを利用することが多くなりました。今回も映画館で観る予定だった「見えない目撃者」を鑑賞しました。波留さんや吉岡里穂ちゃんってタイプなんで無条件で観ちゃうんですね。でも、今回の吉岡里穂さんは、かなりのイメージが違う役柄です。

物語は、警察官としてスタートする予定だった主人公の浜中なつめが、事故を起こして失明、同乗中の弟を亡くします。失意の中で暮らす、なつめが偶然出くわした事故で少女の助けての声を聴きます。警察にそのことを通報しますが、とりあってもらえず、なつめは一人少女の行方を捜そうと事故の当事者のスケボー青年、高杉真宙演じる晴馬の協力を得て事件の真相に迫っていきます。

事件の真相は、予告動画にもあるように残忍な少女連続殺害事件と絡んでいくのですが、その紐解きが巧みで韓国映画のリメイクとしては成功してる感じがします。また、なつめの捜索に協力する刑事の二人は、田口トモロヲと大倉孝二が演じていますが、犯人役も、えっこの人がいう配役です。そして、そこに韓国映画特有のグロさが加わっています。元の作品は観てないのですが、かなり雰囲気的にはかなり韓国映画に近づてけてる感があります。

吉岡里穂ちゃんの演技も良かったし、高杉真宙君のピュアさも生かされていて僕としては好感度が高い映画でした。


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映画 お名前はアドルフ?

2020年08月04日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ドイツで150万人を動員した捧腹絶倒の会話劇「お名前はアドルフ?」を鑑賞

今回の作品は、名づけをテーマにした舞台が2010年にフランスで大ヒット。その後にヨーロッパ各地で大成功をおさめ映画化もされてヨーロッパで大ヒット。そして、テーマの本家とも言うべきドイツで映画されたのが本作です。

舞台は、大学教授の夫と教師の姉夫婦の家。実業家の弟の妻のご懐妊祝いを兼ねて、幼なじみの音楽家を招いて楽しいディナーが行われようとする食卓。弟のトーマスが子供の名前を「アドルフ」と名付けると言い出したことから、事態は急変。名前を巡って大激論に発展するというものです。

全編会話だけで繰り広げられる舞台らしい内容、そこに、戦後ドイツではタブー視されてきた「アドルフ」の名前。歴史を知る方ならご存知かと思いますがヒットラーのファーストネームです。姉の立場で頑なに反対する姉、皮肉交じりの大学教授の夫は、感情を露わに大激論。なぜか弟は、アドルフの正当性を理路整然と語りだす。そして親友の音楽家は、家族の激論におどおどしながら仲介役に奮闘、ここまでは、どこか不穏な空気が流れ続け爆発しそうな展開に思えますが、この映画の肝は、その後に待ち受けていました。

家族や身近な人々を交えて論争は、時に結論を迎えることなく無意味な対話になりがちです。僕もそんなシュチュエーション出くわすことは度々あります。今回の作品は、そんな出来事をさらに掘り下げて、それぞれの持つ性格や立場を会話の中でうまく表現していて、飽きさせない会話劇として完結しています。

とにかく、面白くて登場人物に人間ウォチングしてしまいます。アドルフと聞くと生々しい展開を予想してしまいそうですが、ご心配なくラストは家族に新しい光が差し込んでいくヒューマンコメディーです。


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