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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

自画像展 一宮市三岸節子記念美術館

2021年02月27日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日休日を利用して、地元近辺の美術館の企画展を2館鑑賞してきましたのでご紹介します。今回は、一宮市三岸節子記念美術館で3月14日まで開催中の「自画像展~ひとみの中に自分がいる~」です。

今回の展覧会、日本を代表する洋画家の自画像だけを並べた極めて特徴的な展覧会です。その数総勢58点。黒田清輝、青木繁、岡田三郎助、安井曾太郎、梅原龍三郎、岸田劉生、荻須高徳、佐伯佑三など誰もが知っている画家に、村山槐多、中村正義、野見山暁治、鴨居玲などの異色の個性派など明治から大正、昭和に至る名だたる洋画家たちの自画像がずらりと並ぶ圧巻の内容です。

洋画家の自画像を眺めて観ると、自画像の中に画家の特徴的な筆致が現れ、画家たちの風貌から画業の一端が感じ取れます。一枚の自画像の中に画家の人生が如実に表れているようにも感じられとても興味深い展示でした。キャプションには、丁寧に画家の経歴が記されていますので、画家が歩んだ人生を想像しながら自画像を眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。

サブタイトルにもある画家のひとみの中にある世界に触れてみてはいかがですか。


ショック・オブ・ダリ展 三重県立美術館

2021年02月25日 | 【美術鑑賞・イベント】

シュルレアリスムの巨匠サルバトール・ダリとその芸術に影響を受けた日本の前衛画家たちの作品を集めた「ショック・オブ・ダリーサルバトール・ダリと日本の前衛」展が三重県立美術館で開催されています。

作品は、日本最大ののダリコレクションを誇る福島県の会津地方にある風光明媚な美術館、諸橋近代美術館のコレクションで構成され、日本にダリが紹介された経緯やダリに影響を受けた日本の前衛画家たちの作品で構成され、シュルレアリスムを理解する上でも有意義な展覧会となっています。

会場を入ると先ずダリの世界で構成。初期の写実的な作品から諸橋近代美術館所蔵のシュルレアリスムの作品27点が展示されダリ独特の幻想と想像の世界が広がります。次にダリが日本で紹介されるきっかけとなる日本の近代詩人のひとりである瀧口修造によるシュルレアリスム論の文献を紹介しながら、ダリを通じて日本にシュルレアリスムの展開されています。最後に日本のシュルレアリスムの画家の作品が50点近く展示され、ダリが日本の画家たちに与えた影響力を垣間見ることができました。

ダリの描く世界は、シュルレアリスム(超現実主義)の世界をダリの頭にある妄想や空想の世界を写実的な具現化したことで、多数の前衛芸術家に肉眼的に影響を与えたのではないかと思います。この展覧会は、その意味でも老若男女を問わず画面から直接ダリ芸術の世界を誰もが理解できるのではないかと感じました。

会期は3月28日まで。ぜひダリの超現実の世界を鑑賞しながら妄想と空想の世界を楽しんでみてください。


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映画 存在のない子供たち

2021年02月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は2019年日本公開の中東レバノン出身の女性監督ナディーン・ラバキー監督による子供が両親を告訴に至る過程を描いた社会派ヒューマンドラマ「存在のない子供たち」です。

今回の作品は、2018年の第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞し、日本でもかなり評価の高い作品でした。劇場での鑑賞を逃したのでDVDの発売を心待ちにしながら、なかなかレンタルできない状態で現在に至ってます。

物語は、中東レバノンの貧困地域で戸籍もなく教育を受けられず路上で飲料を売る12歳の少年ゼインが、裁判所で両親を訴える場面からスタートします。ゼインは、妹が強制的に結婚させられたことで反発し家出をしていたのですが、そこで知り合ったエチオピア移民の女性の子供の面倒を見ることに。その後にある出来事をきっかけに事件を起こし留置されてしまいます。

12歳のゼインの犯行と両親への訴訟に至る過程を克明に描きながら、中東地域が抱える貧困問題を女性監督ならではの視点で抉り出していきます。そこには、性差別や宗教的慣習などが絡み、解決には困難を極めるものですが、彼女の勇気ある発信力に感銘を受けました。

主人公のゼインや貧困をあえぐ子供たちは、それぞれに役柄と同じ境遇を経験している素人たち。絶望的な境遇の中で、懸命に生きる子供たちの姿にはどこか躍動感があり、ゼインの覚めた眼の奥には、大切の人を守ろうと勇気に満ち満ちています。ゼインの行動は、明日の見えない子供たちに希望の灯を点火しているように感じました。

出生の証拠もない存在のない子供たち。子供たちの求めるものは、ただ一つ自分に与えられる愛だけが確かなものなのかもしれません。


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映画 イマジネーションゲーム

2021年02月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、久本雅美&元AKB板野友美W主演の「イマジネーションゲーム」です。

2018年公開の本作。テレビの司会者としても根強い人気を持つ久本雅美。過去にドラマ出演昨やワハハ本舗の舞台を観ていることもあり、2018年当時観てみようと思ってましたが何せ劇場公開が少なく見逃していたところ偶然Amazonプライムに出ていたので鑑賞して観ました。

今回の作品は、大手ゼネコン勤務のエリートお局キャリアウーマンの久本演じる早見真紀子と家に閉じこもって生活する板野演じる池内葵が主人公。早見は、後輩OLをいびりながらもテキパキと仕事おをこなす女性部長、池内は、エリートサラリーマンの夫と二人に暮らしで、夫の食事と家事をする生活を送るだけで冷え切った夫婦生活を送る主婦です。コメディーの分野で活躍する久本のシリアスな演技が際立ち、あらためて彼女の演技力に好感を持ちました。

しかし、早見は動画サイトで池内は闇サイトでそれぞれカリスマ天使の裏の顔を持っている。二人の裏の顔がばれることで事態が急変することでドタバタ劇が面白かったのですが、後半は徐々にトーンダウンしていったのが少々残念でしたが、例えば田中裕子のように、かつての美人女優が、年を重ねることで違う魅力を出しているように久本にはシリアスな演技で新たな魅力を発揮してほしいなと思ってます。


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映画 すばらしき世界

2021年02月18日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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役所広司主演、西川美和監督の最新作「すばらしき世界」を鑑賞。

西川美和監督は、ゆれる、夢見るふたり、ディアドクターなど、人間の善悪に鋭く迫る女性監督として人気の高く僕も好きな監督の一人です。彼女が描く主人公は、表面的には悪人の主人公が多いのですが、そんな主人公が善なる人々により再生していくドラマが好きで、そのリアリティある演出が胸に迫る作品が多いです。

今回は、西川作品で初出演となった役所広司とタッグを組んで、直木賞作家の佐木隆三の実在の人物をモデルにした「身分帳」に着想を得て現在に日本社会の中で生きる主人公と彼を支える人々との交流の中で新たな人生を歩む再生のドラマを描いています。

物語は、殺人を犯し13年の刑期を終えた元やくざの三上。13年の刑務所生活から自立した新生活を送ろうとする三上は社会になじめず職に就けずまま。そんな時に若手テレビディレクター津乃田から、生き別れた母親の手がかりとしてドキュメンタリー取材を受けることになります。再生のドラマを描こうと意気込んでいた津乃田でしたが、三上の行動に翻弄され続けます。

己の正義と信念を貫く余り様々なトラブルを巻き起こす三上を今までにない役所広司の役柄とは違う鬼気迫る演技。若手ディレクタ役の仲野太賀やスーパーの店長役の六角精児や身元引受人の弁護士夫婦役の橋爪功、梶芽衣子、公務員役の北村有起哉など脇を固める新旧の役者陣が三上を支えながら時に激しく、時に優しく包み込むように接し人のつながりを強く感じる内容でした。

日常の生活の中で繰り広げられる紆余曲折の時間が目まぐるしく続き、最後にグッと胸に迫る結末に静かな余韻を感じました。原作のすばらしさを西川美和が現代によみがえらせた「すばらしき世界」に誰もが感動刷ると思います。本年初頭を飾りつつ本年度を代表する名作です。

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映画 KCIA 南山の部長たち

2021年02月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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イ・ビョンホン主演の1979年の韓国大統領暗殺に絡む実話を基に描かれたミステリー作品「KCIA 南山の部長たち」を鑑賞しました。

1979年の朴正煕大統領が中央情報部部長キム・ジェギュに暗殺された実話を基にした映画化された本作。キム部長をイ・ビョホンが演じています。軍事政権下の韓国で大統領直属の諜報機関KCIAは、周知のことと思います。当時の韓国の民主化の波の中で、前部長がアメリカに亡命し、大統領の腐敗政治を弾劾したことで巻き起こる騒動と密室の中で実行された暗殺までを描いていて興味深く鑑賞しました。

キム部長を演じたイ・ビョンホンは、今までの彼のイメージと異なり、大統領への忠誠と国家に対する忠誠の狭間でもがき苦悩する姿を演じています。日本では、実話に基づく作品として紹介されていますが、フィクションを織り交ぜて描かれているそうで、文政権下での公開とあって当時とは異なる見解があるのではと思います。そのことは、さておきキム部長が大統領暗殺に至る過程は詳細に描かれ、彼の主張するところはよく理解できました。

今回の作品を鑑賞するまでに、当時の時代背景を基に描かれた「タクシー運転手約束は海を越えて」や「はちどり」を鑑賞して民主化デモによる光州事件や軍事政権下での経済発展など、韓国が置かれた状況も容易に理解できましたので、今回の作品もスーと入りました。また、まだ観てませんが「1987、ある闘いの真実」も鑑賞しさらなる理解を深めてみたいと思ってます。


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アンドリュー•ワイエスと丸沼芸術の森コレクション展 岐阜県現代陶芸美術館

2021年02月13日 | 【美術鑑賞・イベント】


今回は、先月に鑑賞した岐阜県現代陶芸美術館で開催中の「アンドリュー・ワイエスと丸沼芸術の森コレクション」展を紹介します。アンドリュー・ワイエスは20世紀のアメリカを代表する画家でアメリカ東部の田舎に住む人々や風景を写実的に描いた日本でも人気の高い画家です。
 
今回の作品は、埼玉県朝霞市にある丸沼芸術の森コレクションによるもので、彼のアトリエがある別荘近くにあるオルソン家の人々やその周辺を描いた水彩画や素描で構成されています。彼の代表作であるオルソン家の姉を描いたクリスティーナの世界の秀作やオルソン家を描いた水彩画は、素朴で土着的な色彩が印象的ですが、会場内に配置された地元出身の陶芸家、加藤孝造や荒川豊蔵、鈴木蔵に濱田庄司、川守田章二、清水卯一など日本を代表する陶芸家のコレクションが並ぶと過去に行われた展示とは異なる趣がありワイエス作品がとても新鮮に感じました。
 
丸沼芸術の森は、須崎勝茂代表が若手芸術家の支援を目的に設立され、芸術家の勉強のためにコレクションされています。そのコレクションは多岐にわたり、その中核となるのが今回のワイエスやベン・シャーンですが、この地でアトリエを構え制作活動を行ったのが現在人気の村上隆です。今回の展覧会にもコレクションの一部が展示されています。
 
展覧会はコロナ禍により3月14日まで会期を変更して開催中です。ワイエスコレクションは、巡回展示が多くなかなか一堂に介する機会が少ないですので、この機会にぜひ当館を訪れてみてはどうでしょう。ワイエスファンにも、今回の展示は新鮮なものに映ると思います。
 

映画 プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

2021年02月04日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ダニエル・ラドクリフが主演の実話に基づく脱獄劇「プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」です。

ハリーポッターのダニエル君も、すっかり大人になり新境地を開くために、いろいろな役柄に取り組んでますね。今回は、アパルトヘイト政策時代の南アフリカで実際に起こった脱獄を描いた作品です。

ダニエル・ラドクリフは、今回その脱獄劇の中心人物の反アパルトヘイト組織のアフリカ民族会議の白人メンバーティムを演じています。ティムは仲間のスティーブン共にテロの首謀者として実刑判決を受け、最高警備を誇る刑務所に投獄されます。そこから脱獄する術を探す中で、看守たちの監視の中で、脱獄ルート迄の鍵を作ることを計画します。その鍵というのが何と木製の鍵で看守が持つ様々鍵を目視しながら数種類の鍵を作って脱出を試みていきます。

荒唐無稽に思える木製の鍵。でも実話ですから、その脱獄は事実です。この映画は、脱獄劇の過程で行われているアパルトヘイトの非人道的な行為を詳細に表しているところに価値があると感じました。刑務所の中にも存在する黒人差別。アフリカ民族会議の長老との確執、脱獄さえも困難なマンデラをはじめとする同じ刑に服していても明らかである黒人と白人の待遇の違いなどがよく理解できる内容です。

脱獄を成し遂げた彼らと、彼らと関わった人のその後がエンドロールで語られると、今回の脱獄は白人運動家であったことが可能にしたと思わせられる結果に感じてならないです。

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映画 ルース・エドガー

2021年02月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、アフリカからアメリカ人夫婦に養子として迎えられた優等生高校生の心の闇を描いた問題作「ルース・エドガー」です。

アメリカンドリームを求め、今なお不法な入国が絶えない自由の国アメリカ。今回の作品は、アフリカ人移民の少年がアメリカ人夫婦に引き取られ、学校一の優等生となったルースの起こした事件を通じてアメリカ社会の本質を抉り出す衝撃的な作品です。

養父母の愛情の下で、文武両道に優れたエリート高校生となったルース。幼き頃に戦火のアフリカで過酷な経験を持ち実はその過去がトラウトなっています。ルースはアフリカ系の女性担任教師のウイルソンと対立し、ウイルソンは彼に疑念を抱き、ある証拠を見つけ出します。ウイルソンとの対立の中で謎の事件が起こりウイルソンは窮地に陥ります。

この作品を観てから思い出したのは、3年B組金八先生の風間俊介演じる優等生がいじめのリーダー格だった話。金八先生では、彼のイジメはおかれた環境が原因ですが、その闇が暴かれることで更生の道が開かれる展開でした。

しかし、今回の作品は最後までウイルソンに降りかかる悲劇がルースの犯行としての決定的な証拠が出てきません。ルースの闇は晴らされることなく結末を迎えてしまいます。アメリカの正義や良心は、果たしてルースにとって必要であったのか、トランプ政権により再燃した白人と黒人の対立が重なるような社会問題を提示した内容となっています。

決して気持ちの良い映画ではありませんが、アメリカ社会がルースという高校生を生み出したことも厳然とした事実だと思います。


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富田菜摘 スクラップワールド ヤマザキマザック美術館

2021年02月02日 | 【美術鑑賞・イベント】
 
 
先日名古屋での所用の帰りにヤマザキマザック美術館で開催中の「富田菜摘 スクラップワールド」を鑑賞してきました。
富田菜摘は1986年生まれ若手の立体造形作家で廃材などを使ってユニークな立体作品を創り出す作家として注目されています。
 
今回の作品は、2000年初頭から現在に至る、恐竜、動物、身近な人物をモチーフにした作品で構成されています。
 
動物は主に金属廃材を組み合わせ各パーツにも手の込んだ作りで今にも動きそうな雰囲気を感じます。また、ご近所にいそうな人物は、新聞紙を貼り合わせ固めた素材で出来ており、それぞれにテーマを持った老若男女の人物がこちらを見つめています。
 
今回の展示の特徴としては、当館の板張りに床やアールヌーボ時代の花瓶や器、調度品と一緒に展示されているのですが、過去と現在がタイムスリップを繰り返すような摩訶不思議な空間を創り出し、富田作品がうまく融合しています。
 
過去にも女性作家を中心に立体造形作品の展示を行っている当館。今回の展示は過去の展示と比べても群を抜いているなと感じました。
ヤマザキマザック美術館は新栄駅から程近い場所にあり、お得な入館料で、今回の作品のようなユニークな展示にく加えて当館所蔵のバロック絵画や近代ヨーロッパの巨匠画家の作品なども無料の音声ガイド付きで鑑賞でき、さらに所蔵作品は撮影可能となっています。
 
コロナ禍の中で、ストレスを抱えながら生活が続いている方も多いかと思います。そんな時には、感染対策を施した密にならない静かな空間で美術を鑑賞するのも一案かと思います。
今回の富田菜摘展は、美術ファン必見の展覧会だと僕自身感じました。ぜひ美術館に足を運んでみてください。