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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

美しき新機軸 東京藝大陳列館

2018年11月29日 | 【美術鑑賞・イベント】



ムンク、ルーベンス、フェルメールとスムーズに展覧でき、時間に余裕が出来たので散歩しながら東京藝術大学へ。美しき新基軸~日本画 過去から未来へ~の入場無料の展覧会が陳列館で行われていたので観覧しました。

この展覧会、公益財団法人芳泉文化財団の4回目となる文化保存学日本画研究発表展で芸大生による日本画の文化財保存復元の研究発表展で、担当学生がその成果を発表していました。

復元と言えば、愛知の名古屋城本丸御殿の襖絵の再現が馴染みがありますが、今回の文化財復元を担当学生による詳細に伝えていただき、たいへん勉強になりました。

復元においては現存復元と想定復元があり、今回の発表者は、想定復元をてがけた発表でした。現存復元と想定復元を並列して並べることにより、現状の文化財保護の役割としての現存復元に、その文化財から様々な調査、研究を行い当時の姿に蘇らせる想定復元は、どちらの重要なもので、どちらも欠けることのない技術であることが説明から十二分に理解できました。

ちょうど来館した時には、愛知県立大学の大学院生、岩本明子さんの奈良国立博物館所蔵「大仏頂曼荼羅」の想定復元と金沢美術工芸大学院生の山口理恵さんの日本画では使用例が少ない色箔の材料に対する研究が発表されていました。

また、2階では本日担当の東京藝大院生の向井大祐さんのMOA美術館所蔵重要文化財で勝川春章作「婦女風俗十二ヶ月図」の想定復元模写が、興味を持ったので説明を受けることができた。この作品現存する肉筆浮世絵は十ヶ月で、残りの二ヶ月を現存の作品から予測し、さらに他の春章作品も参考にしながら想定復元したもので、院生の高い技術力と熟考された探求心に感心しました。

文化財は、デジタル技術の進歩によりクローン文化財という新しい分野も登場。東京藝大名誉教授の宮廻正明氏によりベンチャー企業も誕生しています。しかしながら、文化財の復元には、人の力も必要不可欠で、こうした研究発表の場が公開されることは、たいへん重要なことだと思います。もとより日本の保存、修復技術は世界的にも評価されており、若い芸大生の力が日本のみならず世界に向かれていくこと、日本の文化発信にたいへん価値の高いことと思います。



フェルメール展 上野の森美術館

2018年11月27日 | 【美術鑑賞・イベント】

ムンク、ル―ベンスと素晴らしい出会いを経験し、次はフェルメール展へ。日時指定入場券で13時からの入場ですが、すでにフェルメールファンで長蛇の列、確かにフェルメールは美術ファンにとって魅力的ですが、若冲と並び、フェルメールの人気は異常に感じます。

今回のフェルメール展は、東京と大阪の二会場の巡回。東京では、現存する35点の内8点が集結します。その内初公開は3点で、12月20日まで公開の赤い帽子の娘とワイングラス。さらに1月9日より赤い帽子の娘に代わって取り持ち女が来日します。こちらの作品は大阪会場に初公開作品として展示されます。僕にとっては、日本初公開作品とマルタとマリアの家のキリスト以外は再会の作品となりました。

今回の展覧会の魅力はフェルメール作品の集結はもちろんのこと、フェルメール作品の魅力のひとつ窓辺からさす光の光景を特徴とした作品が6点並んでいること。

人気作品の牛乳を注ぐ女、手紙を書く婦人と召使い、そして黄色い衣服をまとった同一のモデルと思われる、真珠の首飾りの女、手紙を書く女、リュートを調弦する女の三作品です。今回の作品の中で、僕が最も再会を熱望していた手紙を書く女は、ペンをとり優しい指さき、透明感のある肌、そして観る人に微笑みながら見つめる瞳。フェルメールの光の表現がもっとも強くあらわされた作品だと思います。

今回の展覧会、オランダを代表する画家の作品39点も展示されていますが、残念ながらフェルメールばかりに目が取られる感が否めませんでした。ここにレンブラント作品が1点でもあれば、その周辺の画家たちにもスポットがあたったのではと残念でなりません。

また、今回の展覧会の料金にも不満が残りました。石原さとみさんの無料音声ガイドが付いていますが、入場制限と無料音声ガイドがあるためか2700円の美術展としては高額なチケットです。しかも上野の森美術館は、他の美術館と比べると狭く設備も悪い施設です。最近膝を痛め階段の昇降がつらく、エレベーターを案内されましたが、搬入用のエレベータでスタッフも申し訳なさそうにされてました。展示スペースを広くとり別の美術館にすべきではと思いました。

大阪市立美術館は、その施設において上野の森と比較にならないほど素晴らしい美術館ですので、大阪でのフェルメール展に大いに期待したいと思います。

 

 


ルーベンス展 国立西洋美術館

2018年11月26日 | 【美術鑑賞・イベント】



ムンクの余韻が覚めやらぬ中、国立西洋美術館で開催中のルーベンス展へ。ヨーロッパを愛する女性たちの羨望の的であるルーベンス。バロック絵画の巨匠として教会の祭壇画を手掛けてきたルーベンス。一般的にはフランダースの犬のラストでパトラッシュとネロが天国に召されたアントワープ聖母大聖堂の祭壇画が有名でしょう。

会場に入ると、今回の見どころのひとつ、巨大なスクリーンに4Kによる大聖堂の祭壇画がほぼ原寸大で映し出されています。椅子に座り、スクリーンに、しばし目をやると静謐な空気が漂いルーベンスの世界に誘ってくれます。そして会場へ、今回の見どころは、初公開を含むルーベンス作品40点が10ヵ国から集結、7章からなる世界は、肖像画に始まり、宗教画と神話で彩られた荘厳な世界。

肖像画には、宗教画や神話で描かれるモチーフが、小品ながらルーベンスの卓越した筆さばきが伺えます。そして3メートル級の強大な祭壇画一堂に並ぶ展示構成も圧巻です。初公開となる最後の大作、聖アンデレの殉教を前にすると、そのダイナミックな描写に圧倒され、殉教者アンデレに祈りを捧げたくなります。

また、また、ヴィーナスや女性ヌードの作品は、肌の透明度や仕草など、清楚かつ魅惑的な独特なエロスを感じます。特にエニクリオを発見するケクロプスの娘たちは、天使とヌードの娘たち、そして年老いた老婆の姿が混然一体となって画面全体が美しさと優しさに包まれ、観ていてうっとりとしました。

今回の作品は、ルーベンスに続く弟子たちの作品も数多く展示されています。また、ルーベンス作品においても、後に修復、加筆された作品もあり、比較するならば、明らかに、その力量の違いは明らかです。だからこそ、今回の展覧会は、その作品の貴重さを、さらにあげているように感じました。

王に愛され画家の王として君臨したルーベンス。バロック芸術の誕生は、まさにルーベンスのためにもたらされたように感じます。

 


ムンク展 東京都美術館

2018年11月25日 | 【美術鑑賞・イベント】

東京美術館巡り。その1、今回は東京都美術館で開催中の「ムンク展―共鳴する魂の叫び」です。

今回の目玉は、再来日を果たしたムンクの叫び。美術ファンならずともお化けのような作品は誰もが知っている作品です。そのイメージの強さゆえか、他の作品に目を向けられることが少ないように感じます。その意味でも、今回の展覧会は、ムンクという画家の全貌を知る上で、実に魅力的な展覧会でした。

ムンクの生まれ故郷、ノルウェ―のオスロ市立ムンク美術館所蔵の作品で構成された本展は、自画像からスタート。その作品にはムンクの特徴的な色彩や筆致を感じると共に、そのデッサン力は、数々の巨匠と並べても引けを取らない。それは、彼の画家としての生計を支えたパトロンたちから依頼された肖像画にも伺われる。

ムンクの叫びは、彼がライフワークとして描かれ、様々な画材を使って数点の作品が存在するが、今回の初公開となる作品は、テンペラと油彩による描かれた作品で、絵画の新旧の画材を用いることで、叫びの中に生なる描写が鮮明となっているように感じた。そして、叫びの人間描写の背景にある燃えるような赤とうねるような空は、彼の代表作の一つである「絶望」にも表されていて、その作品が隣合わせに並ぶと、人間の静と動の中にある人間の内面が強く感じられた。

次に向かうと、今度は母や姉、保守的な美術界で抑圧された青年期から自由恋愛が叫ばれた時代を迎えることにより、ムンクの表現は解放へと向かい、マドンナや森の吸血鬼などの傑作を生みます。そこには、女性を霊的な存在としてとらえ、より幻想的に女性の神秘と魔力を表現していた。そこには、ムンクを生んだノルウェーの吸血鬼や魔女狩りなどの暗黒の歴史と重なっていいるように感じた。

そして、晩年へと向かう作品は、ナチスによる迫害や精神を病むなどの苦難に遇いながらも祖国を安住の地として定め明るい色彩で自然や人々を描いている、しかしながら、その色彩はムンクらしく染まれていて、唯一異なるのは、そこに光さすような明るさがあるからと思った。自画像からスタートした本展を象徴するかのように「自画像、時計とベッドの間」で締めくくられている。その作品は、直立不動で立つ自身の姿をバックに無数の自身の作品、横には生涯を刻むような柱時計、死を象徴するかのようなベッドが。まさにムンクの絵画への軌跡を象徴するような作品でした。

今回の美術館巡りの中で、衝撃的で最も魅力的な展覧会でした。



東京美術館巡り 上野公園

2018年11月24日 | 【美術鑑賞・イベント】

毎年恒例にしている、東京での美術館巡り。東京限定の展覧会を中心に一日かけて美術館を巡ってます。

今回は、注目の美術展がこの時期に集中、特にフェルメールが9点来日するとあって、上野の森は賑わいをましてます。11月23日は、晴天で温暖な気候。さらに、各時代を代表するヨーロッパの巨匠たちの名画が上野公園内に集中し、絶好の美術館巡りとなりました。

今回訪れた美術展は、東京都美術館の「ムンク展」国立西洋美術館の「ルーベンス展」そして、上野の森美術館の「フェルメール展」です。

東京都美術館では、美術ファンならずともご存知の「ムンクの叫び」が再来日、絶望と共に展示されオスロ市立美術館の名品がずらりと並ぶ展覧会。国立西洋美術館のルルーベンス展は、バロック美術の巨匠ルーベンスとその後に影響を受けた弟子たちの作品が並ぶファン必見の展覧会。そして、今回最も注目を浴びているフェルメール展は現存作品35点の内2点を含むフェルメール作品8点が並ぶ最大の美術展です。

さらに、今回の時間に余裕が出来たので、東京藝術大学美術館での「美しさの新基軸~日本画過去から未来へ~」ですばらしい発見をしたので紹介したいと思います。

随時、今回の美術展の感想をアップしていきますので、参考になればうれしいです。







映画 スマホを落としただけなのに

2018年11月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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北川景子主演、田中圭、成田凌など豪華な俳優陣と巨匠、中田秀夫監督最新作「スマホを落としただけなのに」を鑑賞

志駕晃の同名ミステリー小説をリングの中田秀夫が映画化し、田中えんじる彼氏がスマホを落としたことで、北川演じる麻美がハッカーの犯人の餌食に。麻美の日常が徐々に崩れていく。そこには同時進行の女性の連続殺人事件が捜査が絡んでいきます。

勘のいい人には、映像化されると犯人が誰か薄々わかると思いますが、今回の作品は、もう一つの事件の方が核心の部分で、そこがミステリー作品として優れているところだと思います。リングなどのホラー監督としても名高い中田監督らしい部分も感じられ背筋が凍るほどではないですが、原作の恐怖をうまく表現しているなと感じました。

また、北川景子を主演に、田中圭、成田凌、千葉雄大など人気俳優に加えて、バカリズムや原田泰造などのお笑いタレントが出演するなどエンターテーメント性を持たせた上で、SNSに潜む危険性をテーマに二転三転するミステリー劇がとても、おもしろい映画で今の時代を共有する世代には楽しめた作品ではと思います。

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最近、多彩な役柄を演じている思う成田凌の演技力に注目です。


DVD ノー・エスケープ 自由への国境

2018年11月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、2017年公開のメキシコ作品「ノー・エスケープ 自由への国境」です。

トランプ大統領によるアメリカとメキシコの国境に壁を作る。先日の予備選挙でも、移民問題で世論が真っ二つに分かれているアメリカ。今回の作品は、その世論を代表するような形で、メキシコ移民とアメリカ人ハンターとの対立を命と引き換えにする壮絶な戦いとして描いた問題作です。

物語は、アメリカに向かうグループが車のトラブルで、砂漠を徒歩で進みざる得ない状況下で、正体不明のアメリカ人ハンターに次々と命を狙われるサバイナル劇です。

監督はホナス・キュアロン。ゼログラビティで監督を務めたアルフォンソ・キュアロンの息子で、今回はも脚本を手掛けています。

実際に、国境地帯では、退役軍人を中心に自警団が作られメキシコからの不法移民を警備している状況下にあって、今回の作品は、一歩間違えば暴発する行動として考えられるリアリティーがあります。必要に相手を狙い仕留めるハンターとその相棒の猛犬。武器を持たず逃げ惑いながら、残された人と共に戦いに挑む姿に感動さえ覚えます。

不法移民を受け入れることへの是非は、別にして一方でエゴが正義にすり替えられ、ゲーム化する人間の本能が目の前に突き付けられる現実を自らに問う問題作です。

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DVD グッドモーニングショー

2018年11月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、君塚良一の脚本、監督で中井貴一主演の2016年公開のヒューマンコメディー「グッドモーニングショー」です。

今回の作品は、長年テレビの世界で活躍している君塚監督ならではの内容です。しかも、キャスティングがワイドショーのキャをスター役に中井貴一、ディレクターに時任三郎という、かつてのドラマ「ふぞろいの林檎たち」での二人ですから、あの時代を知る人には懐かしさも感じると思います。

ある出来事で、ニュースキャスターから朝のワイドショーのキャスターとなった澄田は、息子や女子アナの突然の告白や降板の危機を抱えて番組にのぞみます。そこに、カフェ立てこもり事件が起き、犯人から交渉役に澄田が指名されます。犯人の真意がつかめないまま澄田は、現場のリポーターといして犯人と対峙していきます。

筋書きとしては、緊張感のある現場を想像しますが、そこは君塚監督、踊る大捜査線のように、緊張感の中に随所に笑いを取り込みながら人間味あふれる演出で進んでいきます。

朝のワイドショーの中に組み込まれた事件。犯人との対話の中で、社会が抱える問題点が犯人を通じて浮き彫りになる部分は、不自然な空気の中にある不思議な素直さがあり合点がいきました。結末もいかにもワイドショー的でした。

こうした映画は、日本独自のテレビの在り様がなせる技で、ある種の日本文化の象徴を感じました。

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映画 ボヘミアン・ラプソディ

2018年11月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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Queen誕生とフレディーマーキュリーの生涯を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観賞

僕が中学から高校、大学と常に洗礼を受けたバンド。クイーン。中学から高校までは、ほぼストーンズに没頭していた僕にとっては、長髪で、どこか中世的な香りをもったクイーンをまり好きはなかったけど、その幅広い音楽性で80年代は心酔していった記憶があります。特にリードボーカルのフレディー・マーキュリーの変貌ぶりに驚き、公にカミングアウトはしてなかった彼が、エイズを発症しながら、あのライブエイドでの伝説のパフォーマンスに、45歳でこの世を去ってしまったことは、今での衝撃的な出来事として刻まれています。

今回の映画は、クイーン誕生とフレディーの半生を描いた伝記映画ですが、紆余曲折を完成したことに喜びを感じています。先ず、フレディーを演じたラミ・マレックを初め、メンバーを演じた風貌と仕草や演技に感服しました。

物語は、メンバーとの出会いと誕生。タイトルにもなっているボヘミアン・ラブソディをはじめとする名曲秘話が実際の音源と共に蘇る音楽ファンにはたまらない演出に、フレディー愛の軌跡と苦悩、メンバーとの確執や周囲の裏切りなど人間ドラマとしての見応えがありました。今回の映画が、熱い支持を得ているのも、フレディー・マーキュリーという偉大なボーカリストの波乱の半生を中心に描かれている由縁だと思うのです。そして、迎えるライブエイドでの20数分間のパフォーマンスに彼の幸福を感じ、鳥肌と共に涙があふれ出ました。

今、なぜQueenなのか?この映画を観れば明確です。音楽を愛する人なら見逃さず映画館で観てほしい名作です。

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絵を描く糸 刺繍美術展 一宮市三岸節子記念美術館

2018年11月06日 | 【美術鑑賞・イベント】



先日の稲沢市荻須記念美術館に引き続き、西尾張の美術館巡りの二館目は、女流洋画家の三岸節子記念美術館での「絵を描く糸 刺繍美術展」に。

一宮市(旧尾西市)出身の洋画家三岸節子は、夫の好太郎氏と共に日本の洋画壇を代表する画家の一人です。今回の展覧会の当館開館20周年を記念し、女子美術大学の美術館所蔵の刺繍による江戸時代の小袖作品から、清水三年坂美術館の明治の超絶技巧のひとつ刺繍画の作品や現代の染色刺繍作家の作品を展示した刺繍作品による展覧会です。

江戸時代に広まった染色と刺繍を組みわせた貴重な着物作品に、今注目を浴びている明治の超絶技巧により刺繍画作品など、あまり目にしない、刺繍をテーマにした作品は、繊細さと優美を兼ね備えた絵画作品とは一味違う作品です。

江戸時代の小袖作品は、四季を彩る構図の中に斬新なデザインが融合し、今の時代にも通じるものです。また、明治の刺繍画は、一目すれば絵画と見間違うほどの細かな糸の芸術に魅了されます。元は工芸のひとつとして、絵画の代用品でもあった刺繍画が、時代と共に芸術的にも評価されていることが作品から伺い知ることができます。

絵画とは異なる絵を描く糸の芸術を楽しんでみてはどうでしょうか。


山形美術館の名品と荻須が見たパリ画壇 稲沢市荻須記念美術館

2018年11月05日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日、僕の住む地域、西尾張にある二つの美術館巡りに行きました。残念ながら、江南には美術館はないのですが、お隣の一宮市と稲沢市には、出身画家の名を冠した美術館があります。

先ずは、稲沢市荻須記念美術館の市制60周年開館35周年を記念した特別展「山形美術館の名品と荻須が見たパリ画壇」を観賞

荻須高徳は、稲沢市出身の洋画家で生前はパリで過ごし、パリの街並みをモチーフにした作品で有名な洋画家です。ここでは、主に荻須を主要なテーマにした展覧会が開催されていますが、今回は、近現代のフランス美術の名品を所蔵している山形美術館の協力の元、同時代に生きたパリの画家たちとの交流の軌跡と共に紹介されています。山形美術館の名品としてシャガール、ピカソ、ローランサンを初め20世紀の巨匠さの大作が8点に、20世紀中から後期に活躍したパリの画家たちの大作が30点余りが展示され、常設展示室の荻須作品も加え、パリのエスプリ漂う華やかな展覧会となっています。

今回のように画家の名前を冠した美術館は、画家のアトリエを再現した部屋があるのが特色で、こうした空間に身を置いてみると、画家が生きた時代の空気を感じることができます。奥の回廊を進み、どこか、パリの自然を感じる庭を横目にしながら、ぜひアトリエと荻須が歩んだ画家の道を楽しんでみてください。

 

 


映画 search/サーチ

2018年11月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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サンダンス映画祭で2018年観客賞を受賞した話題作。search/サーチを観賞。

先日、おもしろい映画を観てきました。おそらくは、カメラを止めるなに向うを貼れる作品です。

全編パソコンの画面だけで展開されるサスペンス作品です。その斬新なアイデアと張り巡らされた伏線に驚きを感じると思います。内容は、16歳の娘が行方不明となり、手がかりのないままに、彼女が利用していたSNSを手がかりに娘の行方を捜していくと内容です。

物語の筋立ても序章からクライマックスまで詳細に描きながら、パソコンの画面だけで展開していきます。そのツールが、リアルに今の社会に組み込めれていて、すべてが手がかりの伏線となっています。

監督のアニーシュ・チャガンティは若干27歳のインド系アメリカ人。脚本も手がけたセヴ・オハニアンも、過去のサスペンス作品を研究しながら、現代的な映像の中で二転三転するサスペンスの王道とも言える内容で驚かさせてくれてます。主人公の目線が、どこか昨年のハードコアに似てるなと思いましたが、製作スタッフの中にティムール・ベクマンベトフの名前があり、合点がいきました。

パソコンの画面の表情で、主人公の父親ジョンを演じたジョン・チョウの娘に抱く思いもうまく表現され、また、犯人の突き止めるための手がかりも、パソコン上でのズームがあったり、SNSのやりとりだったり、Facetimeの電話でのあったりと主人公への共感や今の時代性がうまくマッチしてました。

この作品、おそらくは、DVDで鑑賞しても楽しめる作品なので、大きなスクリーンとは違う感覚が味わえると思います。

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映画 判決、ふたつの希望

2018年11月01日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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第90回アカデミー賞外国映画部門ノミネート、第74回ベネチア国際映画祭 最優秀男優賞受賞の映画「判決、ふたつの希望」を観賞

本作は8月31日に公開されましたが、少し遅れて上映される岐阜映画部がお届けする作品として岐阜のミニシアターで公開されていましたので、今回観賞しました。

今回の作品は、レバノンとフランスの合作で、レバノンが舞台です。自動車修理向上を営むキリスト教徒の男とパレスチナ難民で不法就労ながら、工事現場監督の男が、トラブルにより、国を巻き込んだ法廷闘争にまで発展する内容です。

監督はタランティーノのアシスタント監督を務めたジアド・ドゥエイリ監督。難民の現場監督を演じたカメル・エル=バシャがパレスチナ人初のベネチアでの最優秀男優賞を受賞しています。

住宅の一角の工事を巡り、パレスチア人のヤ―セルとレバノン人のトニーが言い争いとなり、トニーの発した言葉によりヤ―セルが暴力をふるったことで裁判沙汰に。二人の裁判が、メディアを通じて報道されるやレバノン人とパレスチナ人との人種争いに、さらに、移民問題に異なる考えを持つ親娘の弁護士が加わり、国をあげた一大法廷劇へと進んでいきます。

家族を思う二人の揺れ動く心情と思いをしない一大事に。レバノン人とパレスチナ人との対立の隠された歴史が明らかになる中での中で彼らが下した決断がとても感動的です。

世界の為政者にも見せてやりたい。言葉を超えた深い愛で彩れる作品は、今の時代にふさわしい名作です。

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