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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 バビロン

2023年02月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、ディミアン・チャゼル監督、ブラッド・ピッド、マーゴット・ロビー共演の「バビロン」です。

 

最近一億総評論家傾向で、話題作に対して辛口レビューが多い昨今ですが僕の場合は多少の批判はあっても映画への愛に満ちた淀川長春さんをリスペクトしてるので基本良いとこを見つけようとするので辛口批評家の方々はご理解を。

さて今回のバビロン、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーの好きな俳優が共演してるのでそれだけも十分満足です。監督はセッションやラ・ラ・ランドなどのヒットで知られるディミアン・チャゼルですから期待値が高まるのも当然でしょう。

舞台は1920年代のハリウッド。無声映画からトーキーへと移る映画人たちの人間模様が描かれ監督の映画へのオマージュに満ち溢れた豪華絢爛な作品です。ハリウッドの人気俳優ジャックをブラピが野心を持つ新人女優ネリーをマーゴットを映画製作を志すメキシコ青年マニーや黒人トランペッターのシドニーや字幕編集のミステリアスな中国人レディが主な登場人物でそれぞれが関わりながら物語が進んでいき出演陣の熱量を感じます。ちなみにスパイダーマンのドビー・マグワイアが意外な役柄で登場します。

初っ端から、酒池肉林の絢爛豪華なパーティーで主要な人物が総出演、随所にド派手な演出が肝です。ハリウッドの黎明期を描いているので、制作時間やロケーションなど現在のCGやVSXの時代と違い相当な時間とお金を費やす反面、スター誕生のスピードも速く、無声映画からトーキーの分岐点で起こる栄光と没落のギャップも多きい。そんな時代を生きた主人公たちを同時進行で描くことで3時間強にも及ぶ長編映画となっており賛否両論の評価ですが、個人的には飽きることなく鑑賞できました。

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ラストで監督の映画へのオマージュが描かれて、何か好き勝手に作った映画だからとやかく言わず楽しんでねってメッセージを受け取った感じがしました。


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アンディー・ウォーホル・キョウト 京都市立京セラ美術館

2023年02月23日 | 【美術鑑賞・イベント】


本日の美術展レビューは異彩を放った芸術家・第3弾アンディーウォーホルの「アンディ・ウォーホル・キョウト」です。
今回の展覧会は最終日に駆け込み鑑賞しましたが、大変ない賑わいでウォーホルの人気の程を伺えます。
当時芸術不毛の地であったアメリカにポップアートと言う新しい芸術文化をもたらしたウォーホル。
ある意味で現在のアート人気の先駆けと言える存在です。
またファクトリーと言われる文化拠点は、音楽や映画などの文化の橋渡しとしてアメリカ文化を牽引してきました。大きく貢献しています。
 
 

広告デザイナーとしてスタートした彼のドローイングは、繊細でカラフルでポップアート作品とは異なります。今回の展覧会では数々のドローイング作品スタートしてました。ドローイング作品は個人的にも好みで、20代の頃にギャラリーで入手した猫の画集はお気に入りです。
 
そして彼の生み出したポップアートの世界はヨーロッパの芸術文化に対するアンチテーゼとして芸術を商業的なものとして捉えている点が特徴ですが、シルクスクリーンにより制作された代表作のキャンベルスープやブリロに有名人の肖像画など、画面いっぱいに彩られ展示された空間は、テーマパークのような面白さがありました。
また、タイトルにあるように、彼の日本来日や京都滞在の記録もあり、日本に対する彼の思いも伺い知ることができました。

 
今後ウォーホルの作品は、海外の現代美術のようにオークションにより取引され高値を続けていくことでしょう。ただアンディー・ウォーホルの存在は、絵画芸術の枠を飛び越えて時代の象徴であり続けることは間違いありません。
 
今回取り上げた岡本太郎、甲斐荘楠音、アンディー・ウォーホルの三人に共通していることは芸術家としての存在を越えた文化を作り上げた者たちであると感じます。そして、こうした芸術家が人々の記憶に刻まれるのではないかと思うのです。


旧美術館を囲むように新装なった京都市立京セラ美術館、新旧の融合する空間は京都らしい文化を感じますが、どこか観光地化されたテーマパークを思わせる演出が人も含めあり滑稽に感じたのは僕だけでしょうか。


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甲斐庄楠音の全貌 京都国立近代美術館

2023年02月19日 | 【美術鑑賞・イベント】

本日の美術展レビューは、異彩を放った芸術家にスポットを当てた展覧会第2弾として京都国立近代美術館で開催中の「甲斐荘楠音(かいのしょうただおと)の全貌」です。
 
甲斐荘楠音は、大正から昭和にかけて京都画壇で活躍した日本画家で、後に映画界に転身し京都太秦で舞台芸術家や時代考証などで映画界に寄与したい異色の芸術家です。僕が甲斐荘の存在知るのはかれこれ30年前にさかのぼります。
 
日本画の世界で美人画と言えば、舞妓や芸妓の美しい姿を思い浮かぶ方も多いと思いますが、彼が描く美人画は美醜を併せ持つ一種異様な出で立ちで妖艶さを漂わせる作品です。甲斐荘は裕福な家柄で育ち、幼少期から歌舞伎や芝居を好み自らも演者と舞台に立ったといいます。
彼の描く女性像は、女性が持つ色香が画面全体に漂い人間の本質を作品から伺い知ることができます。そんな独特な画風は当時所属していた国画創作協会の村上華岳にその実力を評価される反面、土田麦僊には、穢い絵と蔑まれ展示を拒否されるという事件に発展します。そのことが機縁になったかどうかは定かではないですが、当時の京都画壇にそぐわず画壇から去り映画界に転身します。
 
映画界に転身した甲斐荘は時代劇映画の風俗や時代考証、衣装デザインなどを手掛けることになるのですが、その業績は素晴らしくヴェネチアで銀獅子賞を受賞した溝口健二監督の雨月物語で風俗考証を担当し、後に同作でアカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされています。このことでもわかるように京都太秦の映画撮影所での衣装、風俗考証においての功績は高く日本画家と映画人の二面性を持った芸術性の高さを感じます。今回の展覧会でも市川右太衛門主演の旗本退屈男シリーズで甲斐荘が考証した舞台衣装が大量に確認され、今回当時のポスターと共に展示されています。
 
展覧会をつぶさに鑑賞し甲斐荘楠音の人と也を知るにつけ、彼のような芸術家は今の時代には欠かせない人のように思います。息苦しい世の中に生まれ自らの意志で選択をし画壇に翻弄されながらも自らの芸術の世界を生き抜いた稀代の画家の全貌に目を向けてみてください。

展覧会 岡本太郎 愛知県美術館

2023年02月16日 | 【美術鑑賞・イベント】

今回の展覧会レビューは、異彩を放つ芸術家三人の美術展を鑑賞しましたのでご紹介します。先ずは愛知県美術館で開催中の「展覧会 岡本太郎」です。

史上最大の岡本太郎展と銘打ち開催中の本展、昨年からの中之島美術館、東京都美術館に続き愛知県美術館で現在開催中です。

岡本太郎と言えば、現在も万博記念公園に鎮座する「太陽の塔」や芸術家集団チンポムにより追加された「明日の神話」が思い浮かぶでしょうが、僕の記憶には小学生の頃の太陽の塔や同時期に描かれた原発へのアンチテーゼ作品である明日の神話は断片的な岡本太郎へのイメージしかなく、一番に感じるのはマクセルビデオテープでの「芸術は爆発だ」と叫ぶ奇々怪々な芸術家のイメージが強く残っています。当初は岡本太郎の存在を素直に受け入れることができない状況が続いていました。

しかし、岡本太郎を深く知るにつけて、その類まれなる画家としての技量を秘めながらも他人を介さず自らの意志を作品に注入するからこそ、現在も若者の強い支持を受けアヴァンギャルドの情熱めらめらと噴き上げてくるのでしょう。そんな芸術家の生き様が今回の展覧会に現れているようです。

会場には序章としてなじみの深いまた誰もが愛するパブリックの彫刻作品が、第1章ではパリ時代の幻の油彩画作品と共に初期のドローイング作品を展示、第2章では日本文化を挑発する太郎独特の油彩画作品がずらりと展示、また初期の肖像画やデッサン画は芸術家一家に生まれた太郎の隠された画家の技量を感じます。

第3章では太郎の芸術のルーツとである縄文、弥生文化をベースにした記録写真や作品、第4章では大衆芸術に根差した様々な作品が、第5章では太陽の塔と明日の神話ふたつの太陽をテーマに展開されいます。そして第6章では、大阪万博を境にメディアでの露出がふえ人間、岡本太郎の存在がクローズアップされた時期に描かれた知られざる芸術家・岡本太郎の芸術の眼がが黒い眼として象徴的に居並んでいます。

現代美術の世界において日本の芸術家にも注目が集まっている現在、国際的に通用したであろう岡本太郎。時代を突き抜けて疾走する太郎の精神が脈打つ展覧会に今訪れるべき時ではないかと感じます。

東京都美術館「展覧会 岡本太郎」


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第11回円空大賞展 岐阜県美術館

2023年02月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】
本日の美術展レビューは、岐阜県美術館で開催中の第11回円空大賞展です。
円空大賞展は、美濃で生まれた江戸時代の修行僧で全国を行脚しながら神仏像を彫り続けた円空にちなみ2年に一度土着の伝統に根ざした独創的な芸術家を「円空大賞」として顕彰する展覧会です。
 
本年が11回目のた展覧会となる本展ですが、今回は10回目の節目から新たな息吹を感じる五人の芸術家による展覧会となっています。館内のエントランスの上空には今回大賞を受賞したテキスタイルデザイナー・須藤玲子による「こいのぼりなう!」のタイトルのカラフルで独創的な鯉のぼりが舞っています。また会場内には「布の迷路」と題したオーロラを連想さえる乳白色の布が降り注いでいます。

 
会場入り口に入ると現代陶芸家・中島晴美の藍と白のコントラスト印象的な水玉のオブジェが配置され、その数は32個にも及び摩訶不思議な空間が広がっています。

会場中央には、イギリス人彫刻家・デヴィッド・ナッシュの木造のオブジェが鎮座し、自然の森を想像する空間があり、相反するように現代芸術家・三島喜美代による白い紙に刷られた赤い文字の陶の破片に散りばめられ、海に捨てられたゴミのような浮遊感を持ちます。環境問題をテーマに活躍する作家の真骨頂ともいえる表現です。

会場出口へと誘うように僕が愛する作家のひとり現代彫刻家・船越桂の6体並び、その作品は1990年代から現在に至る幻想的でうつろな眼差しの半身像が観る人を心地よくさせてくれます。
今回の円空大賞展は作家の持つ思想的な表現が色濃く反映された展覧会ではないかと思います。また、会場の各所に展示された6体の円空仏もタイトルの「共鳴ー継承と創造ー」にふさわしい演出でした。


20年の歴史を刻む「円空大賞展」さらなる歴史を刻みながら、どのような変化を遂げていくか楽しみな展覧会です。会期は3月5日まで流浪の旅の中で刻み続けた円空の慈愛の世界と共に共鳴する芸術家たちの独創的な世界をぜひ楽しんでみてください。


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