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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 2人のローマ教皇

2020年03月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画鑑賞は、ネットフリックスで話題となったアンソニー・ホプキンス&ジョナサン・プライス主演の実話に基づく「2人のローマ教皇」です。

昨年度のローマや今年のアイリッシュマンに、先日紹介したマリッジストーリーなど、何かと話題作を送り出しているネットフリックス。今回の作品も2012年のヴェネディクト16世と現教皇のフランシスコの教皇交代劇を描いて話題となった作品です。二人の教皇をヴェネディクト16世にはアンソニー・ホプキンスがフランシスコにはジョナサン・プライスが演じており本年度のアカデミー賞の助演と主演にノミネートされています。

物語は、当時の聖職者による性的なスキャンダルに巻き込まれ窮地に立たされるヴェネディクト16世が、教会の改革に積極的だった当時のフランシスコを呼び、対話を重ねながら教皇交代の道筋を作り上げていくものです。

冒頭からバチカンでの教皇選出の投票から始まり、美しく荘厳な内部と伝統的な選挙の所作に魅了され、母国の政変により国を追われ、仲間を救えなかったフランシスコの苦悩と保守的な考えを持つヴェネディクト16世の教皇としての孤独が重ね合わされ、対話の中で静かに信頼関係と友情のような芽生えが詳細に描かれています。また、会話の随所にユーモアがあり、フランシスコ教皇の庶民的な感覚が食事のシーンやラストのサッカー観戦シーンなどに見られ、重苦しさを感じるテーマをうまく柔らげる演出があって楽しさも感じます。

日本でも行われた天皇の生前退位。カトリック教会における、ローマ教皇の生前の交代は過去にも少ないそうですが、ヴェネディクト16世の決断と自らの過去を悔いながら、呼応するように再び教会の改革に舵を切ることとなったフランシスコの軌跡。二人の英断がカトリックの運命を変えたと強く感じました。

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映画 三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実

2020年03月24日 | 【映画・ドラマ・演劇】


 

本日の映画鑑賞紹介は、TBSテレビの秘蔵映像を元に作られたドキュメンタリー作品「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」です。

日本のクーデター事件と言えば、先ず2・26事件と5・15事件を思い浮かべるでしょう。そして、1970年11月25日の三島由紀夫率いる盾の会による三島事件でしょう。三島事件は、自衛隊市ヶ谷駐屯地に立てこもり、自衛隊員に決起を呼びかけるも果たせず自決し、生涯を閉じるという壮絶なものでした。

今回の映画は、三島事件の1年半前1969年5月13日、全共闘を中心に吹き荒れる学生運動の最中に、敵対関係にあった東大全共闘討論会の模様を収めたTBSだけに唯一残る80分の秘蔵映像を元に、当時の全共闘主催者や盾の会メンバーなどの証言や文学者や哲学者などの研究者などによる分析を交えたドキュメンタリーです。

単身、敵のアジトに乗り込んだ三島が、自らの知識を駆使して1000人の全共闘を相手に言葉を武器に闘う三島と主催者メンバーたちは、真っ向から三島の主張を切り捨てる。まさに相いれない結論なきものですが、三島のスタンスが実におもしろいです。自らの主張を述べながらも、学生たちの熱情を信じ、己の側へ向かい入れようとする姿勢がありありと見えその姿に惹きつけられます。

僕にとって、三島の思想も全共闘世代の思想も相いれないものがありますが、両者のその後の生き方は正反対の者でした。権力の刃に敗れ、死を選んだ三島に対して、全共闘世代に人々は、今回の対論の中心的な存在だった芥氏を除けば、自らが否定した社会構造の中に組み込まれ、手足をもがれた形になったと思っています。ただし、今回の主催者に関しては、今もその思想を胸に秘めたものは感じました。

そして、討論会を突き詰めれば理論武装された人間が相手に対して戦いを挑み相手の心を揺るがすものは、やはり熱情による言霊だと強く思いました。

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映画 黒い司法 0%からの奇跡

2020年03月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

マイケル・B・ジョーダンとジェイミー・フォックス共演の実話に基づく法廷ドラマ「黒い司法 0%からの奇跡」を鑑賞

 

僕の中では、アクション俳優のイメージの強いマイケル・B・ジョーダンがハーバード出の黒人弁護士に方やかつては派手な役どころが多かったジェイミーフォックスも、もう53歳。こちらは無実の罪で服役中の死刑囚役です。過去にボクサー役を演じた二人が、どのように演じてくるか注目して観てました。

舞台は1980年代のアラバマ州、まだまだ黒人差別の強いこの土地に、新人弁護士のブライアンがやってきます。死刑囚の面談を行う中で、一人の死刑囚ウォルターと出会います。嘘の証言により無実の罪で死刑囚となった彼を救うべくブライアンは新たな証言を探しながら再審への道を開いていきます。

今回の作品は、先に述べた実話に基づくもので、事件の闇を淡々と描いている実に地味な作品です。町に充満する黒人差別の静かな脅迫がベースになって展開されることで事件の真相が観る者に具体的な明かされて法廷劇としては見応えを感じます。そして白人と黒人の対立はあるものの暴力的な抗争へと発展しないところが返って説得力がありました。

エンドロールで実在の人物が紹介され、その後のブライアンの活躍が紹介されますが、証拠の隠ぺいや捏造に関わったと思われ人物は罰せられることなく、住民の支持を得ているところにアメリカの人種差別に闇は晴れることなく続いていて恐ろしさを感じました。日本でも裁判員制度を軽視した司法判断多くなっている昨今、死刑制度も含めいろいろと考えさせる作品でした。


映画 ジュディ 虹の彼方に

2020年03月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

本年度アカデミー賞主演女優賞のレネー・ゼルウイガー主演の「ジュディ 虹の彼方に」を鑑賞してきました。

本作は、オズの魔法使いやサウンドオブミュージック、スタア誕生などで知られるジュディ・ガーランドの伝記映画で、ジュディを演じたレネー・ゼルウィガーが主演女優でオスカーを獲得してます。47歳の若さで、突然この世を去ったジュディ。内容は、その半年前のロンドン公演を中心に、ジュディの波乱万丈の人生を回想的に辿りながら、最後のステージに投影させる実に上手い演出です。

また、ジュディが乗り移ったようなレネー・ゼルウィガーの迫真の演技と歌唱力が素晴らしく、ジュディとは違う雰囲気を醸し出していました。レネー自身も16年前にコールドマウンテンで助演女優でオスカーを受賞以来、様々なトラブルを繰り返し奇跡的なカムバックを果たしたレネーだからこそ演じれる凄みがありました。

伝記映画は、ともするとその歴史をたどるように描かれるので、メリハリを欠き面白味が薄れてしまいがちです。でも、今回の作品はイギリス公演に至るきっかけとイギリス公演での期間での毎日のステージの中に彼女の人生において起こった重要な出来事を公演期間の中に組み込んでいます。例えば数度の離婚と長女ライザ・ミネリに二女、長男の三人の子供との関係、薬物による精神的障害や自殺未遂、仕事上のトラブル、さらに、この時代にはタブーとされた同性愛者への支持など、イギリス公演の中にすべて集約しています。

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映画 マリッジ・ストーリー

2020年03月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

遅ればせながら、ネットフリックスデビューして、先ずアカデミー賞ノミネートの作品のマリッジストーリーを鑑賞。
スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーの息子を挟んでのドタバタ離婚劇ですが、経験者としては、身につまされる作品であり重なる部分が多かった映画です。

物語は、スカーレット・ヨハンソン演じる女優のニコールとアダム・ドライバー演じるチャーリー、冒頭はお互いを尊敬し、仲睦まじい夫婦とひとり息子のシーンからスタート。実はこれ回想シーンで、お互い円満離婚を望んでいたのですが、NYとLAの別居生活を境に、ひとり息子を挟んで骨肉の離婚狂騒へと進んでしまうドタバタ劇となってます。

有名人の離婚と違い、ワイドショーネタにもならない離婚劇ですが、そこは、バームバック監督らしいおしゃれな都会のコメディーとして仕上げていて面白いです。またNYとLAを行き来しながら進む展開が対比となってて、よくある離婚騒動にメリハリが出来てたように感じました。そして、舞台監督と舞台女優の夫婦を演じてる二人の熱演がすばらしい。言い争う言葉の投げ方が、とても舞台的で言葉尻がはっきりして、セリフがスーと入り込む心地よさがありました。二人がオスカーを獲る日も近いと思います。

そして、経験者の僕の結論は、離婚理由って、とても複雑で他人には理解できない部分が多いこと。そこを、この映画はよく表してます。


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ライブ備忘録 レキシ&カーリングシトーンズ

2020年03月05日 | 【音楽・ライブ】
 


新型コロナウイルスの影響で、軒並みライブが中止になっています。スポーツ観戦に続きライブが中止になり次は映画館にも規制がかかるとか。楽しみにしていた007シリーズの新作も秋公開に変更されました。音楽や演劇などのライブは、無観客開催といかないですから、オリンピックも含めて変更の兆しが出てきそうです。
 
そんなことを考えていたら、昨年末と新年最初のライブのことを書いてないことに気が付いて今書いてるところです。いつもライブ仲間であり弟的存在のテッシー君との二つのライブ参戦の備忘録を。
 
昨年末の12月10日にレキシ名古屋公演。動画サイトでは、その存在を認識してまして機会があれば観たいと思っていたレキシ。日本史をファンクやロックのメロディーに乗せて歌うアーティスト、今回は「まんま日本ムキシばなし」と銘打って新作アルバムを中心に弥生時代から江戸時代までの歴史絵巻が展開され、目で見て耳で聞いて楽しいライブでした。横浜や大阪公演は、豪華なゲスト陣でしたが、回のツアーでは、映像ゲストでDJやついいちろうにロバート秋山が登場してました。その分、レキシとバンドメンバーが熱いライブを展開してくれました。
 
そして令和最初のライブは、今話題のスペシャルなユニット「カーリングシトーンズ」音楽ファンならご存知の90年代の日本のロックシーンをけん引してきたリーダー寺岡呼人(ジュンスカ)奥田民生(ユニコーン)斉藤和義に浜崎貴司(フライングキッズ)YO-KING(真心ブラザーズ)トータス松本(ウルフルズ)がシトーンを名乗るスペシャルなバンドです。
カーリングシトーンズは僕の好きなストーンズをもじっていて、とても親近感がありました。曲もすべてオリジナルでメンバーがそれぞれ作り上げワクワクするメロディーで楽しめました。
 
今回のライブは、70年代から80年代の日本の音楽シーンを反映したもので、歌謡曲からロックにファンクスとこの時代に青春を過ごした者たちにとっては懐かしく、今の若者たちには新鮮に感じるもの。そこにバラエティーいう調味料を加えたことで日本独自に音楽に作りあがているように思います。そしてライブと言う映像文化があってこそ楽しめるのものだと思います。
 
今は地下にためられたマグマで新型コロナを吹き飛ばして、早くライブのマグマが噴火することを願ってます。
 

映画 ミッドサマー

2020年03月04日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アリ・アスター監督の白夜の祝祭ホラー「ミッドサマー」を鑑賞

ホラー映画が苦手な僕にとって、たとえ話題作で全米で大ヒットした作品であっても観るのを躊躇します。まして観るのもためらう前作の衝撃的な内容を聞くにつけ絶対観ないと思っていました。しかし、インスタの映画好きのフォロワーさんたちが、こぞって鑑賞、さらに親しい友人仲間の一人である姫から、命を受け勇気を出して観ることにしました。

物語は、冒頭から家族を無残な死からスタート。心を病んだ主人公の女性ダニー、そんな彼女に嫌気がさしてきた恋人と大学の同級生たち5人でルームメートの故郷スウェーデンの村の90年に一度に祝祭に出かけます。夏至の日が沈むことのない白夜と美しい大自然で行われる儀式は、やがて想像を絶するものへと変化していきます。そして彼らと彼女が招かれた理由が明らかになっていきます。

ホラーと言えば、夜のシチュエーションが多い中で、この作品は明るい日差しと花々が咲く草原と白い肌と青い目の人々、そして祝祭の衣装も牧歌的な民族衣装で、すべては柔らかな色に彩られた世界です。そこで踊り、寝食を共にしながら祭りの儀式が進むのですが、ある儀式を境に血塗られたものへと変化、段階を踏みながら核心へと迫っていきます。

ホラーとミステリーを筋道を作りながら展開させる演出に怖いけど引き込まれました。また、祝祭で行われる儀式が、未知なる世界だけど在りうるかなと思わせる民族学的がベースになっているのでリアリティーも感じる作品でした。

ホラーファンでもなくても、賛否両論の作品ですが、こうしたわだかまりを残す映画が好きな人もいるはずです。僕にとっては、やはりこの種の映画は観るのに覚悟がいるので再鑑賞はないと思います。裏を返せば、それほど脳裏に刻まれてしまう作品です。

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映画 影裏

2020年03月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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大友啓史監督、綾野剛&松田龍平共演のヒューマンミステリー映画「影裏」を鑑賞

 

デビュー作であり、本作で芥川賞を受賞した沼田真佑の小説を原作の映画ですが、以前も述べましたが僕自身が小説と縁遠いこともあって映画を通じて原作を知ることが多いです。沼田さんの風貌が、今回の主人公を演じた綾野剛とよく似ていて、どこか私小説のように思えてきました。またカメレオン俳優にふさわしい綾野の中に潜む孤独な影となぜか父の松田優作を一番感じた龍平の孤独な影を感じとることができ、改めて次世代の名優は、この二人だなと思いました。

舞台は岩手の盛岡。会社の転勤で来た綾野剛演じる今野修一は、同い年の同僚、松田龍平演じる日浅典博と出会いその後親友として過ごします。夜釣りを楽しんでいたある日、今野は日浅と口論となり帰宅。その日を境に日浅と音信不通となります。数か月後、会社の同僚女性の西山から、行方不明となった日浅が死んでいるかもしれないと聞かされ、今野の知らない日浅の裏の顔を知ります。

盛岡の自然と文化を織り交ぜながら、ゆっくりと時間が進む穏やかなく空気感のなかで、先ず今野の過去が少しづつ紐解かれ、東日本田震災を境に日浅の過去が浮き彫りとなっていきます。自分に向けられる優しさとは異なる日浅の裏の顔。失踪前夜に日浅が言った「人を見る時はな、その裏側、影の一番濃いところを見るんだよ」の意味が深く突き刺さります。そして、ラストには影の一番濃いところには、今野しかわからない日浅の裏側が隠されていた。時間の流れが見事にいかされた作品で、綾野と松田の演技力が十二分生かされた演出でした。

僕には、映画を通じてタイトルにある影裏(えいり)人の裏側にある本当の影を感じるとることができました。

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