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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 ブラック・クランズマン

2019年03月28日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞脚色賞受賞、スパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン 」を観賞

スパイク・リー監督と言えば、黒人監督のパイオニアとして人種間の問題に切り込む人だ。今回もグリーンブックの作品賞受賞を批判したことでも話題になった。今回の作品は、そんな彼の思想信条が最も反映された内容です。

物語は、南部の町で採用された黒人警官が、差別意識の町で白人至上主義グループのKKKのリーダーに電話コンタクトすることで、同僚の白人警官を潜入捜査させ、陰で犯罪操作をするというもの。

黒人警官にゼンデル・ワシントンの息子、ション・デビッド・ワシントンが、同僚の潜入捜査をする役には、アダム・ドライバーが扮してます。アダム・ドライバーは、僕のイメージとしては人種差別主義者の白人のイメージがあり、KKKを欺く役はどうかなと思ってましたが、かなりのはまり役でした。全体的には、KKKのリーダーを巧みな会話でだますシーンやグループのどこそこか漂う滑稽さとコメディータッチですが、事件の勃発で事態は大惨事に急転、ラストはドキュメンタリーと得意のパラレルワールドが展開されています。

今回のアカデミー賞の結果や黒人優位な傾向は、まさにトランプ政権に対する批判が大きく影響しているように思えます。人種間の対立を生んだ背景には、オバマ政権下での白人の精神的な不満が、トランプ政権により解放され、さらに黒人やマイノリティーの人々の不安を掻き立てた結果生まれたように思います。日本では差別意識は、怒りとなることが少ないからこそ、こうした状況に疑問を抱く人も多いと思います。

今回のことが良い方向にいけば良いのですが、日本でも隣国の関係が良いとは言えない状況では、対岸の火事とは思えません。ブラックミュージックや黒人文化に親しみを持つ僕でも今回のスパイク・リーの作品は見方によっては、対立を深める引き金になりかねません。暴力による対立が激化しないよう祈るばかりです。

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映画 運び屋

2019年03月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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クリント・イーストウッド監督、主演の実話に基づく映画「運び屋」を観賞

今回の作品、花の栽培に生涯を捧げながら、家族と仕事を失った87歳の老人が、麻薬の運び屋となった顛末を描いた作品で、主人公のアールをイーストウッド監督自身が演じています。

他にも麻薬捜査官にブラッドリー・クーパー、麻薬組織のボスにアンディ・ガルシア、アールの妻にはダイアン・ウイーストなど、渋い面々が顔を揃え、地味ながら魅力的な演技を披露してます。

主人公は、ひとつの品種に命を注ぎ、家族を顧みない不器用な性格ながら、周りからは尊敬される魅力的な老人で、犯罪に手を染めながらも、マイペースに運び屋としての仕事をこなしている姿が、ある意味微笑ましく、87歳の老人から発せられる言葉の数々が、人生訓のように突き刺さってきます。やはりこの役は、クリント・イーストウッドしか演じれないと痛感しました。前半は転落に至る人生、中盤では、運び屋として第二の人生を楽しみ、後半では家族との結末を、時間の経過は淡々としていながら、不思議なメリハリのある演出を感じました。

今回の作品は、新聞記事のひとコマにあった事件を丁寧に切りとった人間ドラマ。アメリカンスナイパーやハドソン川の奇跡、15時17分、パリ行きなどクリント・イーストウッド監督の作品には、アメリカ史の中の小さな象徴として、実在の人物を描いているように感じます。それは、どこか、人気娯楽俳優から監督へ大きく転身をとげた監督自身の生き様に投影されいるようで、イーストウッドだからこそ描くことができる世界だと思う今日この頃です。

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映画 アリータ:バトル・エンジェル

2019年03月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ジェームス・キャメロン監督のSF最新作「アリータ:バトル・エンジェル」を観賞

アバターでSF映画の新境地を開いたキャメロン監督。今回は、木城ゆきとによる日本のSF漫画「銃夢(ガンム)」を原作をもとに制作されています。キャメロン監督が制作にまわり、長年にわたり映画化を熱望しただけあって、かなり熱のある作品でした。

時代は数百年後の世界、荒れ果てた地上と限られた人間だけが住む空中都市。地上では、人間とサイボーグが共存と戦いを繰り返しながら暮らしている。そんな中sで、サイボーグ治療を行うイド博士が、スクラップの中からサイボーグの少女を拾い出し再生し、アリ―タと名付けます。記憶のないアリータは、実はかつて地上と空中の人類が戦っていた戦士だった。

超戦士のアリータを中心に繰り広げられるアクションが圧巻で、原作の素晴らしがあってか、世界観が十二分に伝わってきます。博士の過去やアリータの恋愛など、アクション以外にもテンコ盛りのストーリーに、キャメロン監督が惚れた理由がよくわかります。まだまだ劇場公開されてますから、劇場で迫力を感じてほしい作品でした。

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球道者 イチロー

2019年03月23日 | 【スポーツ】

イチローの引退発表から、一夜明けようやく僕なりに振り返る時間がもてました。

地元愛知出身のスーパースターで、僕の住んでるところから程近い豊山町出身と身近な英雄に親近感を持ってました。

誰もが50歳までは現役でいるだろうと信じてましたが、報道が先行したこともあって引退を冷静に受け止めれましたが、今日の中日新聞の一面記事で、改めてイチロ―のすごさを噛みしめています。

愛工大名電入学当初のイチローは、プロ野球選手、なかんづく一位指名の目標を掲げていたそうで、その目標は挫折に終わりました。また、オリックス入団当初は、指導者との考え方の違いから辛酸をなめています。そんな中で新井コーチや仰木監督との出会いが、イチローの人生を大きく転換させたと思っています。

野球の常識を変えた振り子打法、武士道に通じるかのような所作。そして、プロ野球史上初の200本安打にメジャーでの記録更新。どれをとっても規格外の活躍で日本人選手として存在感を高めました。海外でも、多くの外国人が尊敬する宮本武蔵が、刀をバットに変え、現代に蘇ったかのように感じたと思います。アメリカにおいて、イチローは日本文化の象徴かもしれません。そして、近代野球の申し子としてのイチローは、後にも先にも現れないと思います。

引退後の去就が今からあちらこちらで取りざたされいますが、イチローが今後も、野球道を極めていくとは確かだと思います。

イチローお疲れさまでした。そして、夢と希望を僕たち与えてくれたことに感謝します。ありがとうございます。


映画 スパイダーマン: スパイダーバース

2019年03月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞長編アニメー部門受賞の「スパイダーマン: スパイダーバース」を鑑賞しました。

 

普段は、あまりアニメ作品は観ない僕ですが、欠かせないスパイダーマン作品と長編アニメでオスカーを受賞したこともあって観ることにしました。公開から2週間。老若男女のお客さんが来てましたので、改めて長きにわたって愛されているアイコンでしかも初のアニメーション作品ってことも人気の理由かなと思います。

さて、内容は新しいスパイダーマン。黒人少年マイルスの誕生と初めての戦いを描いてます。そして、今回注目するのはキングピンの悪の組織により時空を歪められた結果、異なるスパイダーマンだ登場するというところ。さらにマイルスのいる時空とは別の形で、オジサンタイプのピーター・パーカーのスパイダーマンも登場します。

新しいエリート黒人高校生マイルスの新しい誕生の経過が詳細に描かれ、青春アニメ的要素からスタートしながら、個性的なスパイダーマンが手を携えてマイルスを真のスパイダーマンへと導いていくアイデアなど、とても魅力的な作品でした。また、アニメーションのスタイルも時空の歪みを表現してか、メガネをかけないときの3Dのような背景に、かなり立体感のある作品に仕上げられています。

今回は、鑑賞劇場が吹替版しかなかったので、アニメ声優中心で展開されていましたが、これはこれで、吹き出し部分に日本語が用いられるなど、新しい作りこみがあり楽しめました。また、新しいヒーロー像と現在のアメリカ文化を象徴するヒップホップなど黒人文化がひとつの自由と平等の象徴となり、本国でも注目を集めている作品は黒人が中心です。個人的には、黒人文化に影響を受けたものとして喜ばしいことですが、対立的な要因があるように思います。もっとニュートラルに文化を捉える側面も今のアメリカには必要ではと思ってます。

 

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辰野登恵子展 名古屋市美術館

2019年03月19日 | 【美術鑑賞・イベント】
 
村上隆や奈良美智、草間弥生など国際的に活躍する現代アートの日本人アーティストが注目され、若者を中心に現代美術の展覧会に足を運ぶ人が増えてきました。
 
僕もよく出かけますが、現在の風潮は何かファッション的な風潮があり、永続発展していくか疑問を感じることがあります。それは、今の時代性からしたら仕方ないことですが、現代美術の成熟には何かもうひとつもふたつも工夫が必要かなと思っています。今回紹介する「辰野登恵子展」は、今後の現代美術の紹介に大いに参考になえる展示でした。
 
辰野登恵子は、1950年生まれの女性画家で、既成の芸術表現に疑問を抱き、絵画技法に加え、版画や写真などの選び描くという技法からイメージを表現する手法で若くして注目を浴びた女性作家で、2014年に亡くなるまで独自の表現を進化させてきました。
 
今回の展覧会は、そうした表現方法やイメージ世界をテーマ別に転じ、作品解説の代わりに、それぞれのテーマの表現方法と手法を作家自らのメッセージとして、壁面に大きくあらわしています。
 
現代美術の作品は平面や立体、インスタレーションなど、その表現方法は異なっても大きい作品が多く、作品解説であるキャプションを用いるより壁面に大きく説明を加えた方がわかりやすいと感じました。
 
現代美術の観賞は、日本では、直感的な鑑賞だけにとどまり、現代美術が持つ社会に対するアンティテーゼや自己表現の理解までつながっていないと感じていただけに、今回の展覧会は作家の意図が明確になり、観る人が共感を得るには、とても良い展示だと思います。
 
3月31日まで開催されていますので、一度足を運んで、現代美術の本来あるべき鑑賞法を学んでみてはどうでしょうか。きっとアートの理解が深まると思います。
 

DVD フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

2019年03月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、夢の国フロリダのディズニーランドの隣の安モーテルで繰り広げられる管理人と住人たちとの生活を追った社会派ドラマ。「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」です。

監督は、インディペンデント映画の世界で注目のショーン・ベイカー。今回の作品は35ミリフィルムで撮られています。僕は観てないのですが、2015年の「タンジェリン」では、全編iphoneで撮影されサンダンス映画祭で話題となっています。機会があれば、ぜひ鑑賞してみたいなと思っています。今回の作品も、35ミリのフィルムのアナログの温かみとカラフルさが表現されてました。

今回の作品は、夢の国フロリダのディズニーランドの隣にある安モーテルに住むシングルマザーのヘイリーとムーニーの母娘が主人公です。ちなみに母娘を演じたブリア・ヴィネイトは監督はインスタグラムで見つけ出し、娘役のブルックリン・キンバリー・プリンスは、3歳で女優デビューの天才子役だそうで、この母娘の演技が秀逸です。ほかにも管理人役にプラトーンで知られる異色のバイプレヤー、ウイレム・デフォーが出演してます。

無職のヘイリーやモーテルの住人仲間は、マイノリティーや失業者で家賃を払うので精いっぱいの生活を送っていますがフロリダの青い空のように陽気に暮らしています。そこに住む子供たちは、学校に通うのもままならず、いたずら好きのムーニーを中心に小さな世界の中で遊びまわっています。そんな日常がずっと続くのですが、子役の生き生きとした演技と子供たちのいたずらに手を焼きながらも、温かく見守ってます。そうした日常を切り取りながら、アメリカ社会の抱える問題もちゃん目に見えない部分で流していて、とても深い作品だと思いました。

特にヘイリーの自由奔放で、子供に対して放任的な態度には、日本では考えられない無責任さに思えるかもしれませんが、昨今日本で頻発している幼児や児童虐待の実態を知るにつけ、この映画には生活は破たんし、ハチャメチャなシングルマザーでも、決して子供には手を出さず、一緒に過ごす時には溢れ出るほどの愛情を娘に注ぎます。その愛は、ラストで、二人の深い絆となって表出します。

お金がなくても、その日暮らしの生活を送っていても、子供と共に生きる姿はフロリダの青空のように爽快で暖かく、ディズニーランドの外で繰り広げれる子供たちの陽気な姿は、中の恵まれた子供たちよりも、豊かな想像力と感性にあふれていました。

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DVD SHOCK WAVEショック ウェイブ 爆弾処理班

2019年03月15日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、アンディ・ラウ主演のパニックアクション「SHOCK WAVEショック ウェイブ 爆弾処理班」です。

 

かつて香港ノアールにはまっていた僕にとっては、アンディ・ラウは好きな俳優の一人。彼って不思議と年齢を感じない雰囲気があるのですが、今回のそんなラウの若々しさが出てます。

内容は、爆弾処理班のリーダーであるラウ演じるチョン警官が、爆弾を使う犯罪グループに潜入捜査し、グループを逮捕すしますが主犯格のホンを取り逃がします。18か月後、香港にホンが現れ、武装集団を引き連れて海底トンネルを占拠。市民を人質に取ってトンネル内に仕掛けた爆弾と引き換えに身代金と弟の釈放を要求。そして裏切り者となったチョンへの復讐ともに48時間のタイムリミットの中で、チョンとホンの戦いが始まるというう内容です。

爆弾を使った犯罪物は、今では数多くあり、今回の作品は爆破の凄まじさばかりが目立ち、チョンの恋人が人質になるのなど手法的にはよくある映画のパターン。メリハリもなく、チョンと彼女の恋愛エピソードを盛り込むなど無理無理感は否めません。唯一の救いは、ラストのなんとも悲しい結末と香港映画らしいテンポの良さぐらいかなとと思います。この内容だと、今の韓国や日本の方が高いグレードです。

なんか中国返還後の香港映画界は、寂しい印象ばかりがつのります。男たちの挽歌シリーズやインファナル・アフェア、恋する惑星など、香港ニューウエイヴの時代が懐かしいです。アンディ・ラウの活躍が見れたのはうれしjかったですが、僕にとっては、タイトル通りショック・ウエイヴでした。

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挑む浮世絵 国芳から芳年へ 名古屋市博物館

2019年03月12日 | 【美術鑑賞・イベント】
  
 

先日、名古屋市博物館へ「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」と題したユニークな展覧会を観賞しました。館内は、名古屋ウイミンズマラソン開催と悪天候にもかかわらず老若男女多数の来館者でにぎわっていました。

内容は、江戸後期に活躍した歌川国芳と国芳の弟子であり多数の弟子たちを育んだ月岡芳年を中心に幕末から明治に連なる奇想の系譜をたどるものです。本展は、全ての作品が写真撮影可能ですので、気に入った作品を保存し後日じっくり見てみると新しい発見があるかもしれません。

一般には、東海道五十三次や富嶽百景などや風俗美人画が広く知られている浮世絵。今回の浮世絵は、そんな概念を打ち砕く国芳の新しい発想の浮世絵が並びます。作品の中心は、武者絵の国芳と言われる時代を彩る合戦や中国の水滸伝や八犬伝を題材した独自の発想で生まれた躍動感ある浮世絵。時代の英雄が見事に表現されています。

他にも美人画や幽霊や妖怪などの怪奇画、風俗画を動物にたとえた擬人画に、洋風感覚の美人画など多種彩々です。国芳の晩年は、天保の改革により質素倹約や風紀粛清で浮世絵の世界にも弾圧が加えられます。そんな中で生まれたのが後期の作品で、幕府に対して皮肉を織り込みながら画で反抗を試みています。

そうした国芳の権力に対する自由な発想により生まれる反抗心が、芳年へ、そして数々の弟子たちによって脈々と受け継がれていることが今回の展覧会で読み取ることができます。

歌川国芳をリーダーとし、その継承者となった芳年を中心にした反骨の絵師集団の奇想の系譜を目撃してください。


DVD ガザの美容室

2019年03月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、カンヌ国際映画祭の出品作でパレスチナ自治区の女性たちの日常を描いた人間ドラマ「ガザの美容室」です。

今回の映画は、第68回カンヌ国際映画祭で話題を呼んだ作品で、内線下のパレスチナ自治区ガザの美容院の中で繰り広げられる女たちの日常をそれぞれの立場を通じて、女性特有の感性でだけで表現しています。

序盤から中盤にかけては、二人の美容師が働く美容室の中で展開され、お客たちの日常会話や諍いでパレスチアナの置かれる実情で進みます。戦時下にありながら、おしゃれを楽しみたい女性たちの姿の中に、どんな状況に置かれても女性たちの生活は変わららず、愚痴や苛立ちなど、どの国にもある女性たちの井戸端会議が展開されるのですが、終盤にその事態は一変します。そして彼女達のとった行動に感動するドラマです。

最近中東社会を描いた作品は、映画のボーダレスにより鑑賞する機会が多くなりました。これらの作品には娯楽色のある映画はほとんどないのですが、日本でこうした映画が観られることで、異文化への理解と平和な国で生きていることの有難みを感じます。

映画を通じて多種彩々な国の文化や政情を知ることは、こうした作品から意義のあることだと常々感じています。

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DVD LBJ ケネディの意志を継いだ男

2019年03月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ロブ・ライナー監督の最新作でジョンソン大統領を主人公にした作品「LBJ ケネディの意志を継いだ男」です。

僕にとって、ジョン・F・ケネディはアメリカそのもので僕の人生に大きな影響を与えた一人です。また、ダラス暗殺と後の弟ロバートの暗殺は大きな衝撃でした。

そんなジョン・F・ケネディ暗殺後に大統領となった、今回の主人公リンドン・B・ジョンソンは、僕にとっては悪いイメージしかなかったのですが、今回の映画でそのイメージは一変しました。

監督はスタンドバイミーやミザリーのロブ・ライナー。主人公のジョンソン大統領にはスリービルボードでアカデミー賞助演男優賞を受賞したウディ・ハレルソンが演じています。

民主党大統領候補ケネディの対抗馬として南部の白人至上主義者から祭り上げられ、結果破れ、さらにカリスマ大統領の補佐役として副大統領となったジョンソン。弟ロバートとの確執の中で、唯一ジョンに進言できる人物として、地道にその任を果たす姿に陰に徹する男の強い責任感を感じました。

南部出身でありながら、ケネディの意志を継ぎ公民権法や投票権法を成立させたジョンソン。今回の作品を観て、突然の兄の死に悲嘆し司法長官ロバートを前に、暗殺後98分で就任したジョンソンの決断力が、その後の難事業を成し遂げた要因となったことがよくわかりました。そしてアイゼンハワー時代から引き継がれた負の遺産ベトナム戦争長期化が、ジョンソンの功績を埋もらせる結果になりました。今回のラストの演説は、ケネディの歴史的な演説の陰に埋もれてしまった名演説でした。

ジョン・F・ケネディ暗殺とジョンソン大統領就任、当時の国民がベトナム戦争の責任をとる形で退任に追いやり、そしてロバートの大統領予備選での暗殺、そしてニクソン就任とまさに暗黒の歴史へと突入したアメリカ。

もし、ジョンソンが次の4年を担っていたら、アメリカの歴史も大きく変わっていたのではと思えてなりません。それほどに、今回の作品は大きな意味を感じました。

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DVD ブラックパンサー

2019年03月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、アカデミー賞、美術賞と衣装デザイン賞に輝いた「ブラックパンサー」を観賞。

僕にとっては、スーパーマンとスパイダーマン以外は興味が失せたアメコミヒーロー。今回は、アカデミ―賞2冠に輝いたので、旧作DVDで観賞してみました。ブラックパンサーは、アメリカで歴代興行収入であのタイタニックを破り第3位に輝いたマ―ベル最高作品の呼び声高い作品でしたが、日本では、あまり受けなかった印象があります。

今回の作品は、アフリカの超お金持ちの架空の国ワカンダの若き国王ティ・チャラが漆黒のスーツに身をまといブラックパンサーとして悪と対決するという内容です。そんなヒーローは、スーパーマンやスパイダーマンとどこか似ているようなキャラクターで、とりあえず共感しました。

しかしながら、内容やアクションは、際立った新鮮さがないです。この点が先ず日本でいまいちな理由かなと思います。ただし、マーベルを無条件に」支持する人にとっては十二分に楽しめる作品であることは間違いです。

今回のブラックパンサーが、オスカーを獲得した背景には、アメコミヒーローの中で唯一のアフリカ系ヒーローであること、そして、ブラックパンサーと共に活躍するキャラクターがすべて女性である点が今の大きく影響している点が大きく影響しています。まさに、トランプ政権へのアンチテーゼで、今回の受賞はトランプ大統領のおかげだと思うのです。

今回のノミネート作品を観ると、過去の差別的な歴史状況を踏まえた作品が受賞を逃しています。そんな中で、グリーンブックが作品賞を獲得したことが、黒人を主人公にした作品の監督や俳優から批判を受けました。今のアメリカは、トランプの不寛容に対立軸だけで対抗しているように思います。

直接的なものだけが受け入れられ、間接的に描きながら人間の本質に迫った作品は、ノミネート作品の中にも多数あります。その代表がグリーンブックだと思うのです。

かなり作品評から、かけ離れてしまいましたがブラックパンサーには、国王の寛容さや女性の活躍やアフリカをベースにした構成などの多様性を感じる、マーベル作品としては異色で真面目な作品です。その点でいうとオスカーにふさわしいかなと思います。

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空の情景 メナード美術館

2019年03月05日 | 【美術鑑賞・イベント】
  

今日は、お昼休みを利用して、僕のブログではおなじみのメナード美術館へ。本年最初の企画展は「空の情景」です。

空をテーマに所蔵品で構成され企画で、今回は初の試みとしてSNSのハッシュタグのキーワードを共に巡る空のアートです。空には、雲、太陽、月、夜空、夕焼け、朝焼けなど様々な言葉が組み込まれています。

空は必ずあるものですが、海外の巨匠たちの名画も今までにない新しい発見がありました。また、陶芸や彫刻作品には、空にまつわる心象風景が想像できます。そして今回、空のテーマにもっとも相応しいのが日本画の世界。改めて観賞してみると空を主人公にした作品が多いことに気づきます。それは、日本画の主題でもある四季の移ろいの中で、空は様々な顔で現れ魅了されました。

今回の企画展は、3月31日まで。春の暖かさと共に空も青く染まってきました。空の写真やポストカードを持参の方には団体料金で観賞できます。ぜひ芸術家の描く空の世界を楽しんでみてください。

クロード・モネ《チャリング・クロス橋》クロード・モネ《チャリング・クロス橋》


映画 ファースト・マン

2019年03月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞受賞作品を観賞巡りも、今回で一区切り。本日は、ライアン・ゴズリング主演でアカデミー賞視覚効果賞受賞の「ファースト・マン」です。

ラ・ラ・ランドのデイミアン・チャゼル監督と主演ライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ最新作として話題となった本作。話題作であったことと劇場公開も多いので、ゆっくりレイト観賞できるかと思ってましたが、早々と公開時間が減少。ようやく近くの劇場で観賞できました。そんなことで日本の興行としては、あまり芳しい結果とは言えなかったと思います。

さて、今回の作品は、ケネディー大統領によるアポロ宇宙計画の最大目標であった月面着陸に至る困難なミッションを描いています。主演のライアン・ゴズリングがアポロ11号で初めて月面に足を踏み入れたアームストロングを演じています。

この作品、人類初の月面着陸に至る乗組員とNASAのスタッフたちの奮闘ぶりに多くをさき、受賞の視覚効果の部分はクライマックスに凝縮されています。なので派手さを求める人にはおすすめできる映画ではなく、ラ・ラ・ランドと正反対に重苦しさを持った映画でした。

当時小学生だった僕にも月面着陸と船長の姿は鮮明な記憶として残っており、全世界が歓喜した瞬間でした。アメリカ国民の期待が強かった夢の計画が、失敗を繰り返し、犠牲者が生まれる中で批判が集中、乗組員の家族も不安を増す中で、重圧と戦いながら進むアームストロング船長の苦悩を描ききっている点で視覚効果賞とは別の観点で評価できる作品でした。

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映画 グリーンブック

2019年03月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今週は、アカデミー賞受賞作品を観てます。今回は作品賞、脚本賞、助演男優賞の3部門でオスカーを獲得した注目作品「グリーンブック」です。

3月1日の公開初日に早速観賞してきましたグリーンブック。最高の二人は織りなすロードムービーは実話に基づくもので、黒人天才ピアニストのドライバー兼用心棒として雇われたイタリア系白人の南部の演奏旅を描いています。

タイトルのグリーンブックは、黒人差別が色濃く残る時代に黒人が利用できる施設を記したガイドブックだそうで、今回の時代背景は、ケネディー政権下の1962年が舞台です。

ニューヨークのナイトクラブで用心棒をしていたトニーが、ナイトクラブ改修期間の間、カーネギーホールを上階に住む黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーの演奏旅行の運転手兼用心棒として雇われます。演奏の地は、黒人差別が強い南部の地域、上流階級の白人相手に公演を行うという内容です。

気難しく孤高のクラシックの天才ピアニストと嘘と腕力を武器に仕事をこなすガサツなイタリア人が繰り広げるドラマが笑いと涙を誘います。どのシーンを切りとっても、飽きの来ないパーフェクトな出来で、音楽とユーモアが見事に組み合わされたヒューマン作品でした。

現地アメリカでは、本作のアカデミー賞の最高賞である作品賞受賞に対して、かなりの批判が巻き起こっているそうですが、本作が主人公トニーが、差別意識を脱し黒人ピアニストを助けるいう筋書きに対して白人優位な内容だと指摘されています。しかしながら、僕はトランプ政権に対する批判のあおりを受けているように思えてならないです。

今回の作品のすばらしさは、黒人ということだけではなく、困難な境遇の中で現在の地位を得たことやクラシック奏者でありながらポップの公演を南部で行っていることに加えてマイノリティ―の代表者として描かれている点に加え、トニーが、イタリア系移民であり、当時労働者階級として地位が低い立場にあったこと。その境遇が本来はマフィアと結びつくのですが、彼は誰にも頼らず自分で道を切り開いていこうとしている点です。

まあ、難しいことはさておいても、二人の織りなすハーモニーは最高です。今回はシャーリーを演じたマーハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞しましたが、トニーを演じたヴィゴ・モーテンセンの型破りな演技と変貌ぶりも、主演男優賞をとっても不思議でないと感じました。

ヨーロッパの三大映画祭に呼応するかのように、最近のアカデミー賞は、誰が観ても楽しめ作品が受賞する機会を逸する感がありました。今回のアカデミ―賞でグリーンブックが作品賞を得たことは、まさにザ・アカデミーにふさわしい出来事だと思っています。

映画ファンのみならず、誰もが楽しみ、笑いと涙に包まれ心が温まる。それがグリーンブックです。

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