アカデミー賞脚色賞受賞、スパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン 」を観賞
スパイク・リー監督と言えば、黒人監督のパイオニアとして人種間の問題に切り込む人だ。今回もグリーンブックの作品賞受賞を批判したことでも話題になった。今回の作品は、そんな彼の思想信条が最も反映された内容です。
物語は、南部の町で採用された黒人警官が、差別意識の町で白人至上主義グループのKKKのリーダーに電話コンタクトすることで、同僚の白人警官を潜入捜査させ、陰で犯罪操作をするというもの。
黒人警官にゼンデル・ワシントンの息子、ション・デビッド・ワシントンが、同僚の潜入捜査をする役には、アダム・ドライバーが扮してます。アダム・ドライバーは、僕のイメージとしては人種差別主義者の白人のイメージがあり、KKKを欺く役はどうかなと思ってましたが、かなりのはまり役でした。全体的には、KKKのリーダーを巧みな会話でだますシーンやグループのどこそこか漂う滑稽さとコメディータッチですが、事件の勃発で事態は大惨事に急転、ラストはドキュメンタリーと得意のパラレルワールドが展開されています。
今回のアカデミー賞の結果や黒人優位な傾向は、まさにトランプ政権に対する批判が大きく影響しているように思えます。人種間の対立を生んだ背景には、オバマ政権下での白人の精神的な不満が、トランプ政権により解放され、さらに黒人やマイノリティーの人々の不安を掻き立てた結果生まれたように思います。日本では差別意識は、怒りとなることが少ないからこそ、こうした状況に疑問を抱く人も多いと思います。
今回のことが良い方向にいけば良いのですが、日本でも隣国の関係が良いとは言えない状況では、対岸の火事とは思えません。ブラックミュージックや黒人文化に親しみを持つ僕でも今回のスパイク・リーの作品は見方によっては、対立を深める引き金になりかねません。暴力による対立が激化しないよう祈るばかりです。