
本日の映画レビューは、ボブディランの青春時代を描いたティモシー・シャラメ主演の「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」です。
アカデミー賞の主要8部門にノミネートされながら無冠に終わった本作。しかしながら、絶大な人気を経て今なおロングランヒットを続けています。僕もディランのデビューから音楽の転換期となったニューポート・フォーク・フェスティバルまでの若きディランの熱狂の時代が描かれ、IMAXで臨場感を味わいました。
主演のティモシー・シャラメは21世紀を代表する美少年で本作も含め二作でノミネート作品に出演。主演男優賞のノミネートされましたが、ブルータリストでオスカーに輝いたエイドリアン・ブロディに引けを取らぬ演技でした。また、世界的なパンデミックにより撮影が遅れたことが功を奏してブルースハープやギターの腕を磨き、さらに歌唱を若きディランの声とは実際は異なるものも、ティモシー・ディランとも言うべき歌声を披露していました。まさに彼の代表作となるべく名演です。
作品の構成も素晴らしく、片田舎の町から、フォークのカリスマ・ウッディガスリーの出会いからデビュー。彼に影響を与え続けた二人の女性の存在など、若きディランが、いかにして時代のカリスマとなっていったかを今の若者たちへもわかりやすく、また共感できる仕上がりであったと思っています。