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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 メイ・ディセンバー ゆれる真実:の行方

2024年07月23日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ノンフィクションをフィクションに昇華したサスペンス映画「メイ・ディセンバー」は二人の女優により更にメタモルフォーゼされた。

 

1990年代に実際にアメリカで起こったメイ・ディセンバー事件。日本でも36才の女性教師と13才の生徒が性犯罪事件としてスキャンダラスに報じられたが、その後、獄中出産と出所後に結婚し家庭を築いていた。今回の作品は、事件を基にフィクションされた原作を基にキャロルのトッド・ヘインズ監督に主演のナタリー・ポートマンが制作に加わりジュリアンムーアが妻役として映画化されたもの。

映画は、妻グレイシーと夫ジョンは、結婚20年後に家庭が舞台。二人を取り上げる映画が製作されることになり、妻役を演じることになったナタリー・ポートマン演じるエリザベスが周辺を取材し二人と関わることで起こる心理サスペンス。

実際の事件でも犯罪か純愛かで意見が分れたが、嫌がらせを受けながらも平穏な家庭を築いていたところに、演技への執念を燃やす女優により、夫婦の奥底に眠っていた疑念と不安が湧き出す様相が作品の醍醐味とも言え、ジュリアンムーアとチャールズ・メルトンの好演が光っていた。その意味でもナタリー・ポートマンの存在は決して前に出ることなく演じきっていたのではないか。

ある評論家は事件の当事者に対し配慮を欠いたと辛辣に述べているが、映画自体がモデルであってもフィクションを原作にしていること。また、当時メディアに頻繁に登場し、もはや公的な存在に近かったことなどを鑑みればその意見は当てはまらないのではと思う。他にも細部をこけ下す映画ユーチューバーもいたが、観る前に気持ちを萎えさせる行為の方が程度が低い。

自分の目で確かめてみて良かったと思える作品でした。

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映画 朽ちないサクラ 杉咲花の憂い

2024年07月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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杉咲花の主演のドラマ「アンメット」を観たあと、この映画「朽ちないサクラ」を観て今までにない杉咲花を感じた。

 

先ず最初に前置きしておきます。柚月裕子原作で人気となった「狐狼の血」と比較してはいけない作品だと思っています。また、御託を並べて酷評することが趣味のような自称映画評論家は好きではないので、どの作品もかつての淀川長春さんのような感想しか述べないのでご了解ください。

なぜ、虎狼の血と比較してはいけないと言うと今回の作品は、常人の感情で描かれているからです。その常人を演じたのが杉咲花だったからです。

舞台は愛知県。実際には蒲郡をロケ地に選び、意識的に桜の咲く季節に撮影されています。ある日、川に地元の女性記者の変死体が発見されます。彼女は県警の広報職員、杉崎演じる森口泉の親友の津村千佳。実はあるストーカー被害の先延ばしによる事件と県警のスキャンダルが絡んでいます。そして、事件の背後にあるサクラと云われる存在が明らかになってきます。

狐狼の血では役所演じる刑事とその後を受け継ぐ松坂桃李演じる刑事を中心にしたバイオレンス劇が展開されるシリーズですが、今回は森口泉が主人公のシリーズの序章であり、その点を踏まえる必要があると思います。

県警に勤めるといっても、そこは広報職員でその立場ゆえに踏み込めない警察内部。その立場が普通の人を演じることの難しさを醸し出しています。親友の死を前にして広報職員としての限界を感じ警察の闇に挑んでいく次回作に期待し、きっと杉咲花の本領はそこにあると思うのです。

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