人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

弁護士の悪意

2005-11-21 22:38:40 | 人生論・閃き
(注:法律用語の「悪意」とは、通常ある事実を「知っている」ことをいいますが、ここでは一般的に使われる「悪意」という意味で使っています。)

弁護士は法律の専門家です。これは子供でも知っていることです。しかし、六法全書を見たことがある人にはわかると思いますが、それをすべて知っている弁護士はこの世で一人もいないでしょう。弁護士といえども、おそらくほとんどの人にとっては条文の一つ二つどころか「へー、こんな法律があるんだ」という法律が幾つかあると思います。

「なーんだ」と思っているあなた・・・!これは当然のことです。法律の量は膨大です。弁護士も人間です。たぶん。

しかし、これが問題なのです。法のスペシャリストだから、法を知ってて当たり前と思われがちなのです。期待されすぎるのです。「知らなかった」では許されないのです。

たとえば、刑法38条3項は「法律をしらなかったとしても、そのことによって、罪を犯す医師がなかったとすることはできない。」としつつも但書で「情状により・・・刑を軽減ん・・・できる。」とあります。「情状」により、明らかにアホなヤツだったら刑を軽減してもらえるかもしれませんが、弁護士だったら・・・?多分辛いんでしょうね。アメリカのように陪審制を採用する国ではもっと辛いんでしょうね。絶対「アンタわかってたでしょ」もしくは「アンタ、弁護士だったらわかってなきゃおかしいでしょ」と言われそうですよね。

(余談ですが、この条文って結構厳しいですよね。国民がすべての法律(←広義で)を知っていることを前提としているのです。そうじゃないと法律の意味が薄れるというのはわかるし、但書があるのも利益の均衡を図っているのもわかるのですが・・・。そんな前提だったら、なんで中高でもっと法律を詳しく教えないんでしょう・・・。難しいといっても、殺すな盗むな騙すな轢逃げするな外で裸になるな、などと噛み砕いて少しずつ教えればいいと思うのですが。それとも、氷河期やヘンリー8世のお勉強の方が大事なのでしょうか・・・??)

さて、ここまでの話は弁護士以外の、99.9%以上の国民には関係ないと思われるかもしれませんが、そうではありません。誰にでも得意分野はあります。この分野で「わからない」ことってありませんか?当然、あるはずです。私は社長になっても業務でわからないことがありますし、博士課程を終えても専攻でわからないことは山ほどあります。

なのに、専門だからといって100%の知識・技量を期待するのは困難なのではないでしょうか。それで、ひとつわからないことがある度に「あの人○○のくせに○○もわかんない」といわれては適いません。このような場合、アホでもなければ努力を怠っているわけでもないケースも多々あると思います。

自分に置き換えてみるとわかり易いですよね。みんな頑張っているのです。多少落ち度があっても、見逃してあげたいですね。・・・もちろん、専門分野で落ち度をなくす努力もしてくださいね。

2 コメント

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法令ってオンライン? (Henri)
2005-11-22 08:13:05
日本の法律ってオンラインで読めるんですかね?

http://www.houko.com/index.shtml ではなんだかいろいろかいてあるみたいですが。。。せっかくのインターネット。六法全集なんかはネットで完全公開されてるべきだともおもうのですが。。。 みれるとこあるかどうかしってる?



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ご無沙汰です (たっく)
2005-11-22 11:42:23
ご無沙汰です!

法庫.com は最新の法令じゃない場合が多いので、私は通常

http://www.ron.gr.jp/law/

を使っています。もしよければご参照ください!
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