人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

デザート以外も別腹

2007-11-10 14:19:37 | 人生論・閃き
デザートは別腹といいますが、糖分に反応しやすい満腹中枢を考えると本当に別物なのかもしれません。しかし主食もデザートも食べ物で、同じように胃が膨れます。生理学的な要素はともかくとして、何が違うかというと、違う満足感が得られるということです。なんとなくですが、食事と3時のオヤツでは違う幸せ感を得られると思いませんか?

そこで、別腹なのはデザートだけではないのでは、と思い始めました。似てるようで似ていない幸せ、そんなものはこの世にたくさんあります。そして違う幸せだから両方欲しいと思ってしまうのが人間の本能。これを間違えると仕事がとれなくなったり、恋人とケンカしたりしてしまいます。

たとえば製造業でQCDといわれるものがあったと思いますが、これは品質・費用・納期をすべて満足される水準で提供するべきという概念です。「そりゃあいいもんが安く手に入りゃうれしいもんですわ」といっても、商品が届くのが1年後だったらあまり嬉しくないですよね。

同様に、医者が病態に関してはしっかり治療してくれても、冷たくて偉そうだったらなんとなく不満ですよね。心のケアや自尊心というものは身体の健康とは「別腹」なのです。

もう少しわかり易くすると、恋人とクリスマスを過ごすことになったとします。素敵なレストランを予約したのに、プレゼントを忘れてスニーカーを履いてヒゲを剃らずに汗だくで行ってしまったら反応はどうでしょう。きっとレストランはとても嬉しいのに、彼女はなぜ総合的に満足できないのでしょう。それは、プレゼントや身だしなみは「別腹」だからです。クリスマスやデートの幸せの一環ですが、違うものなのです。

また、せっかく何かを手伝ってあげたのに、恩を着せたり文句をいいながらそうするケースがかなり多いと思います。これは非常にもったいない。せっかく喜んでくれて感謝されるはずなのに。相手からすれば、確かに手伝ってほしいのですが、「気持ちよく」手伝ってくれたら「尚可」、ですよね。

まあ、それだけ人は、「わかっていることでも言葉に表して欲しい」という普遍的かつ人間特有(?)な気持ちを強く持っているということです。これはまた別のトピックになってしまいますが・・・。

話を戻します。運転免許は、筆記と実技を両方クリアしないともらえません。いくら交差点の30メートル前(でしたっけ)から右折のライトをつけるべきと暗記していてもハンドルのタイミングを間違えるようでは危険です。当然ですが、知識と実力は別腹です。

これらほど明らかではない例もたくさんあるのではないでしょうか。「Aを満たそう」と考えるときに「Bを満たそう」と思うのは難しいかもしれませんが、本当の意味でAを満たすためにはBを満たすことも必要なのかもしれません。

そこまで考えれる人は、月並みですが、「相手の立場で物事を考える」ことができる人なのではないでしょうか。多くの場合、自分に置き換えてみたらすぐわかることですよね。

医者の不養生

2007-11-06 02:26:24 | 人生論・閃き
会社を作る過程で無限の可能性を見て捌くことを学びましたが、同時に人が無限な努力が行えることも学んでしまいました。これは諸刃の剣です。おそらく一定の人がこの無限の可能性に気付き、無限に近いな努力をしてきたと思います。しかし夢中で身体への負担には気付かないか、仕方がないと思ったかで結局病に倒れた人も多いと思います。

私の先生の一人で「僕は医者じゃなかったらとっくに死んでた」という方がいますが、私も医学を学んでいなかったら今頃大変なことになっていたかもしれません。とはいっても万全な状態でないことは確かで、今後3年間で「今より体調が良くなる」ことを目標の一つにしたいと思う今日この頃です。

人は夢を追うことをあきらめてしまう場合がありますが、それは遠く先のものであって、目先に人参が垂らされたら一生終えるものだと私は思います。

しかしこれはマイナス面でも同じだと思います。

日常のノルマなどの「負の人参」が目先にあって、慢性疾患という「負の夢」があったとしたら、目先の「負の人参」を解決することに気を使ってしまい、慢性疾患が忍び寄せてくることに気付かないかもしれません。もしくは、「人は皆死ぬ」といって諦めてしまうかもしれません。

しかし慢性疾患とは甘いものではありません。病と、夢を実現できないのとどっちが辛いか・・・優秀や熱血な人なら後者と言うかもしれませんが、なってみなきゃわからないところもあります。何事も経験ですが、これは経験しないほうがいいと思います。私もこの後者を選んでしまう傾向がある人間なので、心筋梗塞などに注意しなければ行けないと考えるようになりました。

医者にも熱い人が多いように最近思えます。
でも、「医者の不養生」なんて誰にも言わせたくない。

逆説的ですが、「人は皆死ぬ」というのは今のところ事実なので、逆にいうと、だからこそ「健康第一」と言う考えは間違っていると思います。健康ばかり気にしていても結局死んでしまうので、これでは本末転倒です。命を削らず仕事をすることは可能ですが、高みを目指すほど難しいことになってきますし、全く命を削らない方法で仕事している人はほぼ皆無だと思います。昼休みが短いからコンビニ弁当で済ませるというだけでも、十分命を削ってるわけですから・・・。

ということはどこかでバランスを図る必要があります。その内容は各自の判断ですが、自分の寿命は自分がコントロールするものだということを覚えていてください。

最後に、多くの人が「ご自愛ください」などと気軽に声をかけてくれますが、健康なときは挨拶ぐらいにしか聞えないものですよね。そこで、本当に「自愛」してみてはいかがでしょうか。