日本ではほぼ存在しないケースだと思いますが、私は学部でビジネススクールに行きました。なのでMBAは取得していませんが、3年生・4年生の授業のほとんどがMBA生との混同授業でした。とりあえずそこで学ばなかったこと、そして大企業勤務だったときにも気付かなかったことをひとつご紹介します。
「資本主義の幻」とでも名付けておきます。
「個人単位では別としても、企業単位ではほとんどの場合資本主義に乗っ取った活動を行う」というのは幻だと考えます。実は大企業でもかなり当てはまってしまうことだと思います。
説明の前に・・・「接待」で取引先を決めてしまうということもありますが、これはまだ資本主義に基づいていると考えています。これはセールス&マーケティングです。
ちょっと古いのですがマズローが提唱した欲求段階説では、人には①生理的欲求、②安全の欲求、③帰属の欲求、④自我の欲求、⑤自己実現の欲求という順番でモチベーションが起こるとされています。そこでお金によって得られるものを考えると、①(衣食住)、②(医療費、セコム?)が得られ、お金を得る過程もしくは得た結果として③(会社への帰属やゴルフクラブへの会員権)、④(地位、他人からの尊敬)が得られ、更に⑤(個人ジェットを買う、など色んな夢が叶う)まで実現される可能性が高くなっています。
それでは世の中のすべてがお金のように見えてしまいますが、マスターカードでは買えないpricelessなものもありますし、そこまでいかなくても「面倒くさい」と思ったり、「疲れた」と思ったり、「もう充分だ」と思ったりすることもあるでしょう。大企業で上司に言ったらまず叱られるでしょうが・・・。
しかし実はこれが、資本主義の社会でもかなり現れています。
そしてこれは当然のことです。一人で営業しているクリーニング屋が週7日営業したら、売上が伸びるかもしれません。でも疲れます。たとえば、週4日しか営業しないクリーニング屋も存在します。ここは近くのクリーニング屋にお客さんをとられてしまっています。でもいいんです。できるだけ働かないことを幸せに感じるオーナーさんだからです(⑤自己実現)。
そこで小さなプライベートエクイティ会社さんがクリーニング屋を2億円で買収して前代未聞500%のIRRを出して2年後にエグジットしたとします。資本主義登場です。(新しい社長が来て負債をいっぱい積んで週6日体制とし、宅配サービスも開始しました。)
さて、誰が一番得したのでしょう?もちろん、お金をもらって週4日から週0日働くことになったオーナーさんです。
ところが、経済人は「機会損失」などを持ち出して、「簡単に改善できてもっと儲かるはずだった事業を手放してしまった」ということで「実はオーナーは損したんだ」と言うでしょう。オーナーさんは、「ふーん、そうなんすか」といって平日に釣りに出かけたそうな。めでたしめでたし。
こんな人がいるから儲かる人もいて、その人たちは儲かりたいので、それはいい事かもしれませんね。経済は循環ですし。エコシステムってやつでしょうか(ちょっと違いますが、イメージ的に・・・)。
・・・変な例でしたが、「お金=幸せ」じゃないとわかっていても「得か」と問われるととお金で換算してしまいがちです。そして、必ずしもそうではないとわかっているのが創業者社長であり、漁師であり、5歳児です。
ほかにも、「この規模が居心地良いから」といって会社を拡大しない社長や、「占いによると・・・」といって2009年に設備投資をしようと考える社長もいるでしょう。
こういう話を聞くと、昔は「何甘いこと言ってるんだ」と思っていました。それでも社会人かと。しかし人間の本質、人生の目的、日常の幸せ、などを色々と考えるうちに、彼らの方がよっぽど高みにいるのだと感じるようになりました。
もちろん資本主義を否定するわけではありませんが、そんな不完全で人間っぽい資本主義の中にいることを幸せに感じる今日この頃です。
・・・最後になりますが、これを読んで「そうだよな、ニート万歳!」とは思わないで下さい。マズローの説はヒトのモチベーション理論なので、これだけで生きていたらとっても自分勝手な生き物になってしまいます。
「資本主義の幻」とでも名付けておきます。
「個人単位では別としても、企業単位ではほとんどの場合資本主義に乗っ取った活動を行う」というのは幻だと考えます。実は大企業でもかなり当てはまってしまうことだと思います。
説明の前に・・・「接待」で取引先を決めてしまうということもありますが、これはまだ資本主義に基づいていると考えています。これはセールス&マーケティングです。
ちょっと古いのですがマズローが提唱した欲求段階説では、人には①生理的欲求、②安全の欲求、③帰属の欲求、④自我の欲求、⑤自己実現の欲求という順番でモチベーションが起こるとされています。そこでお金によって得られるものを考えると、①(衣食住)、②(医療費、セコム?)が得られ、お金を得る過程もしくは得た結果として③(会社への帰属やゴルフクラブへの会員権)、④(地位、他人からの尊敬)が得られ、更に⑤(個人ジェットを買う、など色んな夢が叶う)まで実現される可能性が高くなっています。
それでは世の中のすべてがお金のように見えてしまいますが、マスターカードでは買えないpricelessなものもありますし、そこまでいかなくても「面倒くさい」と思ったり、「疲れた」と思ったり、「もう充分だ」と思ったりすることもあるでしょう。大企業で上司に言ったらまず叱られるでしょうが・・・。
しかし実はこれが、資本主義の社会でもかなり現れています。
そしてこれは当然のことです。一人で営業しているクリーニング屋が週7日営業したら、売上が伸びるかもしれません。でも疲れます。たとえば、週4日しか営業しないクリーニング屋も存在します。ここは近くのクリーニング屋にお客さんをとられてしまっています。でもいいんです。できるだけ働かないことを幸せに感じるオーナーさんだからです(⑤自己実現)。
そこで小さなプライベートエクイティ会社さんがクリーニング屋を2億円で買収して前代未聞500%のIRRを出して2年後にエグジットしたとします。資本主義登場です。(新しい社長が来て負債をいっぱい積んで週6日体制とし、宅配サービスも開始しました。)
さて、誰が一番得したのでしょう?もちろん、お金をもらって週4日から週0日働くことになったオーナーさんです。
ところが、経済人は「機会損失」などを持ち出して、「簡単に改善できてもっと儲かるはずだった事業を手放してしまった」ということで「実はオーナーは損したんだ」と言うでしょう。オーナーさんは、「ふーん、そうなんすか」といって平日に釣りに出かけたそうな。めでたしめでたし。
こんな人がいるから儲かる人もいて、その人たちは儲かりたいので、それはいい事かもしれませんね。経済は循環ですし。エコシステムってやつでしょうか(ちょっと違いますが、イメージ的に・・・)。
・・・変な例でしたが、「お金=幸せ」じゃないとわかっていても「得か」と問われるととお金で換算してしまいがちです。そして、必ずしもそうではないとわかっているのが創業者社長であり、漁師であり、5歳児です。
ほかにも、「この規模が居心地良いから」といって会社を拡大しない社長や、「占いによると・・・」といって2009年に設備投資をしようと考える社長もいるでしょう。
こういう話を聞くと、昔は「何甘いこと言ってるんだ」と思っていました。それでも社会人かと。しかし人間の本質、人生の目的、日常の幸せ、などを色々と考えるうちに、彼らの方がよっぽど高みにいるのだと感じるようになりました。
もちろん資本主義を否定するわけではありませんが、そんな不完全で人間っぽい資本主義の中にいることを幸せに感じる今日この頃です。
・・・最後になりますが、これを読んで「そうだよな、ニート万歳!」とは思わないで下さい。マズローの説はヒトのモチベーション理論なので、これだけで生きていたらとっても自分勝手な生き物になってしまいます。