路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:香港大規模デモ 自治骨抜きへの危機感

2019-06-13 05:05:55 | 【中国・共産党・香港・台湾・一帯一路、「国家の安全」、個人の権利を抑圧する統治】

【社説①】:香港大規模デモ 自治骨抜きへの危機感

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:香港大規模デモ 自治骨抜きへの危機感 

 香港市民と政府の間で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り緊張が高まっている。

 立法会(議会)周辺ではきのうも大勢の若者らが集まり、改正案の撤回を要求した。

 9日には100万人を超えるデモも行われた。2014年に香港政府トップである行政長官選挙の民主化を求めた「雨傘運動」以来の規模である。

 こうした動きの背景には、条例改正によって、中国に批判的な活動家らが本土に引き渡される恐れがあり、司法の独立性が揺らぎかねないとの危機感がある。

 そうなれば、香港に高度な自治を保障する「一国二制度」は骨抜きになる。1997年の返還時に英国と中国が50年間は維持すると合意した大原則だったはずだ。

 中国の習近平政権は親中派の香港政府を通じ、言論活動などへの干渉を強めてきた。市民が不安を募らせるのは当然だ。懸念を払拭(ふっしょく)するには香港政府が改正案を撤回するのが最善策と言えよう。

 香港返還後も、中国と香港の間には容疑者引き渡しの取り決めはなかった。改正案は香港で拘束した容疑者も本土に引き渡せるようにする。親中派が多数を占める立法会で、可決は確実な情勢だ。

 ただ、立法会はきのう予定していた改正案の審議再開を延期した。強行すれば混乱が一段と深まるのは必至だ。引き続き冷静な対応を求めたい。

 2カ月半にわたって幹線道路を占拠した「雨傘運動」が成果なく収束した後、香港の民主化運動は下火になったと言われていた。

 にもかかわらず、ここまで抗議行動が盛り上がっているのは、改正案への市民の危機意識の表れだろう。裏を返せばそれは、中国への警戒感の強さである。

 4年前には、中国の批判本を扱う書店関係者らが中国当局に拘束されるなど、香港の捜査権が侵害されたとみられる事件も起きた。一国二制度の土台が切り崩されようとしている。

 中国政府は条例改正を強く支持し、主要メディアは大規模デモをほぼ黙殺している。民主化の動きに背を向け、異論を力で抑え込む強権的手法は許されない。香港の自治を保障すべきである。

 一国二制度は、自由な経済活動も保障してきた。このため今回の改正案には経済界からも反発がある。日本を含めた国際社会は民主化堅持を求める市民の動きを後押ししていきたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月13日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:新生クレインズ 基盤整え定着、発展を

2019-06-13 05:05:50 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【社説②】:新生クレインズ 基盤整え定着、発展を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:新生クレインズ 基盤整え定着、発展を 

 3月末で廃部したアイスホッケーの日本製紙クレインズを引き継いだ「ひがし北海道クレインズ」のアジアリーグ加盟が決まった。

 特定の企業に頼らず、複数のスポンサーが支えるクラブチームとして、釧路市を本拠地に、今秋からのシーズンに臨む。

 とはいえ、基盤がしっかり整ってのスタートとは言い難い。

 年間2億円と見込まれる運営費は、企業が確約した出資金などで1億5千万円分のめどがついているというが、次年度以降の資金調達は不透明なままだ。

 クラブチームとして定着、発展するにはスポンサーを地元だけでなく全道に広げるとともに、積極的なファン拡大策が欠かせまい。

 厳しい状況を乗り越え、選手たちが元気にリンクを駆け回ることを期待したい。

 新チームは選手20人が入団予定で、運営会社が入団契約などの準備作業を進める。

 まずは選手たちがプレーに集中できる環境を整えてほしい。

 クラブチームでは、廃部になった古河電工を1999年に継承した日光アイスバックスが、自主運営に成功している。

 スポンサーは本拠地の日光市や栃木県をはじめ、県内全域の約200社が名前を連ねる。

 道内は釧路市や、王子イーグルスがある苫小牧市がアイスホッケーのまちとして知られる。

 一方、高校アイスホッケーの強豪校がある十勝地方など、スケートが盛んな地域は多い。

 クレインズがこうした地域に人材育成などで貢献することができれば、支援の輪が地元の釧路以外にも広がろう。

 新たなファン開拓も重要な柱となる。主催試合の入場料が収入に直結する上、観客が増えればスポンサーがつきやすくなるからだ。

 リーグトップの観客動員を誇る日光は、音響や照明の会場演出に資金を割くほか、ファンサービスを選手の年俸査定の対象とし、ファン重視の姿勢を徹底する。

 ただ、チーム個々の取り組みには限界がある。

 男子プロバスケットボールのBリーグは、リーグがツイッターなどで試合のハイライトや注目選手のプレーを動画配信し、ファン拡大を図っている。

 アイスホッケーも、リーグが主導して競技の魅力を高めて発信する工夫をするべきだ。特に、集客が期待できる首都圏や札幌での試合開催は、競技人口の底上げにもつながる。検討に値しよう。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:イージス・アショア

2019-06-13 05:05:45 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【卓上四季】:イージス・アショア

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:イージス・アショア

 内輪の話で恐縮だが、事件や事故が起きると、新聞記者はまず現場に走る。自分で見ることで状況の理解が深まり、警察や消防の発表にない事実に気付くこともあるからだ▼安易に電話取材で済ませた原稿は、筆者に問い合わせればすぐ分かる。自分の目で見ていないから、詳しく状況を説明できない。当然「現場に行ったのか」と、雷が落ちる▼北朝鮮のミサイルを想定した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の設置計画を巡っては、誰かに雷が落ちたのだろうか。秋田市を東日本唯一の適地とした防衛省の調査結果に、重大な誤りがあった▼適地探しの中で周囲の山の高さを現地で測定せず、バーチャル地球儀ソフトで計算した。ところが、縮尺を間違えたため、9カ所で実際より高くなってしまった。その結果、弾道ミサイルを探知するレーダーの障害になるとして、配備は不適と判断された▼施設は他国の攻撃対象になりかねない。市民の命にもかかわる。ずさんな調査内容に、住民が強く反発するのは当然だ。「適地」は、秋田市の市街地に隣接し、周囲には学校や病院、官公庁がある。防衛省の調査は本当に現地に足を運んで行われたのか、疑いさえ持ちたくなる▼配備計画は施設が本当に必要かどうかも含め、ゼロから調査をやり直すのが筋だ。そうでなければどこが候補地になっても、住民の理解は、決して得られない。2019・6・13

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年06月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:イージス誤調査 配備 白紙に戻すべきだ

2019-06-13 05:05:35 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:イージス誤調査 配備 白紙に戻すべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:イージス誤調査 配備 白紙に戻すべきだ 

 防衛省のずさんな対応にはあきれると言うほかない。

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入を巡り、防衛省が秋田市の陸上自衛隊新屋(あらや)演習場を東日本で唯一の適地とした調査結果について、重大な誤りがあることが分かった。

 レーダーで弾道ミサイルを探知する際、周囲の高い山は障害となるとして、防衛省は配備に不適とした9カ所すべてで、レーダーから山頂を見上げた角度「仰角」を過大に記載していた。

 4度しかないのに15度とした場所もあったのには驚く。不適とした重要な根拠が崩れたと言える。

 しかし、岩屋毅防衛相は「いずれもインフラや機能、役割の観点から配備候補地にはなり得ない」との考えを示した。

 これでは新屋への配備ありきだったと疑われても仕方あるまい。

 秋田県の佐竹敬久知事は防衛省との協議は振り出しに戻ったとの考えを表明した。配備計画自体を見直す必要があろう。

 この調査は地元の要望を受け、他に適地がないかどうかについて、青森、秋田、山形3県の19カ所を対象に行われた。

 問題となった「仰角」については現地調査をせず、衛星写真を利用したサービス「グーグルアース」を使ったが、「高さ」と「距離」の縮尺が異なっていることに気づかなかったという。

 調査手法が安易な上に、あってはならないミスを重ねた。チェック体制の甘さも否めない。

 今回の調査の誤りは地元紙の報道で発覚した。この報道がなければ、誤った根拠で住民は説明を受け続けていたことになる。防衛省の責任は極めて重い。

 秋田市の住民説明会では、東北防衛局の職員が居眠りをし、住民側から強く非難された。

 あまりに緊張感を欠いている。沖縄への基地押し付けと同様、政府の住民軽視の姿勢は目に余る。

 そもそも住宅地に隣接する場所をミサイル防衛の「適地」とした判断に問題があるのではないか。

 防衛省は山口県の陸自演習場にも地上イージスを配備し、2基体制で全土をカバーする方針だが、相手の攻撃目標になることや、ミサイル部品落下などへの懸念から山口でも配備への反対は根強い。

 地上イージスは憲法の制約を超えた敵基地攻撃能力を有するとの指摘があり、弾道ミサイルの迎撃能力を疑問視する声もある。

 防衛省はまずこうした疑問と不安に丁寧にこたえる責任がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:ちゃうん、ちゃう?

2019-06-13 05:05:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【卓上四季】:ちゃうん、ちゃう?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:ちゃうん、ちゃう? 

 大阪弁で「ちゃう」とは「違う」の意。「ちゃうん、ちゃう?」となると「違うのと、違う?」。今の若者風なら「違うんじゃね?」というところか▼先日亡くなった作家の田辺聖子さんも「<ちゃうん、ちゃう?>と思うことが世の中に多い」と嘆いていた。例えば少子化対策。役人はさまざまな策を考えるが、大切なのは男性の意識改革で、育児の責任を自覚させることだと随筆集「楽老抄」で語っていた▼老後の資産問題を巡っても「ちゃうん、ちゃう?」と突っ込みたくなる。金融庁は公的年金で95歳まで生きるには、夫婦で2千万円不足するとの報告書をまとめた。ところが、国会で「年金の『100年安心』はうそだったのか」と追及された安倍晋三首相は「誤解を与える表現だった」と釈明した▼金融庁の説明は明快ではないか。年金頼みの老後設計が限界だと認めただけである。首相は「安心してもらえる制度設計だ」とも答弁したが、「ちゃうん、ちゃう?」▼退職金や貯蓄で確保できる人はいい。だが、子育てや介護で毎日精いっぱい。2千万円など、とてもとても…という人は少なくあるまい▼麻生太郎金融担当相は不安や誤解を与えるとして、報告書を受け取らない意向を示した。だが、年金財政の厳しさが変わるわけではない。年金の将来像をしっかり説明もせずに、不可解な釈明で逃げ回るのは「ちゃうん、ちゃう?」。2019・6・12

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年06月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:G20財務相会議 危機回避の具体策欠く

2019-06-13 05:05:25 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:G20財務相会議 危機回避の具体策欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:G20財務相会議 危機回避の具体策欠く 

 福岡で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した。声明では世界経済の下振れリスクに貿易摩擦の激化を挙げ、名指しを避けつつも米国と中国の対立に懸念を表明した。

 ただ「リスクに対処し続け、さらなる行動を取る用意がある」と明記したものの、危機を抑止する具体策は打ち出せなかった。

 「保護主義と闘う」との文言も米国の反発などを背景に盛り込めなかった。茨城県つくば市で開かれた貿易相らの会合の声明でも反保護主義に関する記述を避けた。

 巨大IT企業などを対象とした新税制「デジタル課税」の来年の最終合意を目指す作業計画を承認するといった前進はあった。

 だがG20は自由貿易の推進を掲げ、危機の芽を摘むために結集した枠組みのはずだ。

 保護主義に突き進むトランプ米政権に国際協調の輪を乱され、主要テーマの自由貿易で成果を示せないなら存在意義が問われよう。

 月末に大阪で開かれる首脳会合では、世界を危険にさらす保護貿易に反対する断固たる決意と具体策を示し、米中に報復の応酬を思いとどまらせなければならない。

 声明は世界経済の基本認識について、今年後半から緩やかに上向くとの楽観的な判断を維持した。米国の利上げ停止や中国の景気刺激策の効果が出るためだという。

 だが先行きへの懸念はむしろ深まっているのではないか。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米中貿易摩擦の影響などを注視する考えを表明し、利下げの可能性を示唆した。

 国際通貨基金(IMF)は米中の関税措置の拡大が世界の成長率を0・5%下押しすると試算した。

 財務相会議で各国から米中対立への懸念が相次いだのは当然だ。

 トランプ政権の身勝手な振るまいはとどまる気配がない。安全保障を理由に車の輸入制限をにおわせたり、土壇場で発動を回避したものの追加関税で脅してメキシコに不法移民対策を迫ったりした。

 しかも今回の貿易相会合をライトハイザー米通商代表は欠席した。G20軽視と言わざるを得ない。

 中国もレアアース(希土類)の対米輸出規制をちらつかせるなど、対抗姿勢を崩そうとしない。

 本来ならG20をリードすべき世界1、2位の経済大国が国際協調に背を向け、自国の利益のために対立を続けるのは無責任である。

 議長国の日本は米中に歩み寄りを促し、世界経済の脅威を取り除く議論を主導する必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月11日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:障害者の雇用 環境整備は国の責務だ

2019-06-13 05:05:20 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【社説②】:障害者の雇用 環境整備は国の責務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:障害者の雇用 環境整備は国の責務だ 

 障害者一人一人が適性に応じて働けるように、政府は先頭に立って、受け入れ環境の整備に取り組む責務がある。

 中央省庁による障害者雇用の水増し問題を受け、改正障害者雇用促進法が参院本会議で可決、成立した。

 国の機関や自治体の法定雇用率への計上方法が不適切な場合、厚生労働省が勧告の権限を持つことなどが柱となっている。

 雇用率達成に向け、政府は今年末までに計4千人の障害者を雇用する計画だが、対策は急ごしらえの感が否めない。

 実効性を確保するためには、制度の検証を怠らず、不断に改善する努力が求められよう。

 水増し問題は、昨年8月に発覚し、国の28機関で計3700人の不適切計上が確認された。国の雇用率は1・22%と、法定の2・5%を大きく下回った。

 退職者や死者、裸眼視力の弱い人などを障害者として算入したケースが見つかっている。

 国が障害者の働く機会を奪ったとの批判を受けたのも当然だ。

 新たな対策では、厚労省の監督機能の強化に加え、行政と企業に障害者手帳の写しなど確認書類を保存するよう義務付けた。

 各省庁が雇用率を満たせなかった場合、雑費などに充てる「庁費」に関し、翌年度予算で障害者1人当たり年60万円減額する。

 未達成だと1人月5万円(年60万円)の納付義務のある企業と同水準だが、この程度の罰則では効果は疑わしい。

 新規採用者は4月までに28機関で2500人超になったものの、既に131人が離職している。

 職場への定着より、数値目標の達成を優先し、障害者の希望や適性に対する配慮が足りなかったのではないか。

 厚労省は、各省庁を対象に離職理由などを調査する方針だが、辞めた本人からも聴き取り、改善に生かすべきだろう。

 離職を防ぎ、雇用環境を整える新たな対策として、国や自治体に2~5年程度の「障害者活躍推進計画」を策定させ、年1回公表することも義務付けられた。

 雇用の質を向上させるためにも、国民のチェック機能が働くように透明性を高めてほしい。

 働きやすい職場づくりには、受け入れ側の意識改革が急務だ。

 行政機関の職員自らが、障害のある人と手を携え、共生社会を築くという理念を持たなければ、信頼の回復はおぼつかない。

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【卓上四季】:刹那の闘い

2019-06-13 05:05:15 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【卓上四季】:刹那の闘い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:刹那の闘い

 きわめて短い時間を意味する「刹那」は、仏教における最小の時間単位だ。親指の腹と中指の先でパチリと音が鳴るのに要する時間が「1弾指(だんし)」で、65刹那(せつな)に相当するとも言われる▼その刹那を競う陸上100メートルで、サニブラウン・ハキーム選手が9秒97の日本新記録を樹立した。伊東浩司さんが10秒00の日本記録を出したのが1998年。その後、桐生祥秀選手が日本人初の9秒台で走るまでに19年を要した。その記録を2年で更新したのだ。それも、9秒台は自身2度目である▼専門家らはサニブラウン選手の記録に「驚きはない」と言う。中学時代から頭角を現し、高校時代は粗削りながら世界ユース選手権で100、200メートルを制するなど、世界レベルの走りと言われてきたからだ。本人も「まだタイムは出る」と、頼もしい▼日本の男子短距離界には山県亮太、飯塚翔太両選手ら、10秒切り目前の選手が多く控える。今季は小樽出身の小池祐貴選手も10秒04で走り、名乗りを上げた。今回の日本新記録は大きな刺激になろう▼もちろん、世界トップとの差は依然大きい。しかし、こうした選手たちが刹那の闘いを続けていけば、全体のレベルはさらに上がるはずだ▼五輪の100メートルで決勝に進出した日本人は、1932年ロサンゼルス五輪で「暁の超特急」と呼ばれた吉岡隆徳さん一人。2人目のファイナリスト誕生も、もはや夢ではない。2019・6・11

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【社説①】:引きこもり 偏見持たず支援の手を

2019-06-13 05:05:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説①】:引きこもり 偏見持たず支援の手を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:引きこもり 偏見持たず支援の手を 

 引きこもりという言葉でひとくくりにして、誤解と偏見を助長してはならない。

 元農林水産事務次官(76)が44歳の長男を刺殺したとして殺人容疑で逮捕、送検された。

 「(長男は)引きこもりがちで家庭内暴力もあった」「川崎の20人殺傷事件を知り、人に危害を加えるかもしれないとも思った」などと述べているという。

 川崎の51歳の容疑者も引きこもり傾向にあったとされる。

 立て続けに起きた事件で引きこもりが注目されたが、短絡的に結びつけるのは非常に危険だ。

 「引きこもりへのイメージがゆがめられ続ければ、当事者や家族は追いつめられ、社会とつながることへの不安や絶望を深めてしまいかねない」

 当事者らでつくる一般社団法人「ひきこもりUX会議」の訴えに耳を傾けてほしい。

 正しい情報を共有し、当事者や家族が孤立しないよう支援の手を差し伸べる必要がある。

 厚生労働省によると、引きこもりは「仕事や学校に行かず、家族以外の人と交流をほとんどせずに、6カ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」を指す。

 内閣府の推計では、40~64歳の中高年で引きこもりの人は約61万人おり、39歳以下を合わせると100万人を超える。

 80代の親が、50代の引きこもりの子を養い続けて困窮する「8050問題」も深刻だ。

 引きこもりの原因は、就職氷河期で安定した仕事に就けなかったり、職場での人間関係のつまずきや病気などさまざまだろう。

 誰でも引きこもりになる可能性がある。家族だけで抱え込んでしまわないように、社会全体で問題に取り組むべきだ。

 札幌市の調査では、当事者が引きこもり状態を変えるのに役立ったこととして、「相談窓口」や「同じ悩みを持つ人が集まる居場所」を挙げた回答が多かった。

 自治体には「ひきこもり地域支援センター」などの相談窓口があり、民間の支援団体も活動している。こうした組織と本人や家族をつなげることが重要だ。

 ひたすら就労や自立を促せば、かえって圧力になりかねない。

 大切なのは、当事者や家族に寄り添って希望を聞き、息長く支えていくことだ。

 地域に安心できる居場所があり、信頼できる人もいる。そんな身近なところから、きめ細かく支援態勢を築いていきたい。

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【社説②】:AI兵器 厳格な規制が不可欠だ

2019-06-13 05:05:05 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:AI兵器 厳格な規制が不可欠だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:AI兵器 厳格な規制が不可欠だ 

 人間の関与なしに標的を定め、敵を死傷させるロボットができたらどうなるだろうか。

 人工知能(AI)技術の発展とともに、そうした殺人兵器が現実のものとなろうとしている。「自律型致死兵器システム」(LAWS)のことだ。

 人間のような感情を持たないので、殺害をためらわず、殺されるという恐怖もない。

 殺人ロボットは火薬、核兵器に続く、軍事上の「第3の革命」と言われる。戦争の様相を一変させると予想されるからだ。

 現在、米国、ロシア、中国、韓国、イスラエルなどがこうした兵器を開発中という。

 生産、使用を禁止するための厳しい規制が必要だ。

 人間が遠隔操作する攻撃型のドローンは、米軍がアフガニスタンやイラクで使用してきた。人間は安全な場所にいながら、外国の敵を攻撃する。そのやり方にはかねて批判がある。

 ましてロボットがその判断で人間を殺傷することが認められようか。開発する側は、人間よりも軍事目標を正確に攻撃するので、誤爆や市民の巻き添えなどの被害を抑えられるという。

 一方で、生身の兵士に代わって戦場に投入するので、開戦のハードルが下がると指摘される。

 誤作動はしないのか、サイバー攻撃によって乗っ取られることはないのか、懸念は尽きない。

 まだ完成していない兵器なのでどう規制するか難しい面もある。だが、非人道的な兵器の実用化を傍観しているわけにはいかない。

 規制を巡っては特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで2017年から専門家会議を開き、議論している。

 ところが、各国の足並みはそろっていない。中南米やアフリカの20以上の国・地域が法的拘束力の強い禁止条約を求めている。これに対して、米国などの開発国は新たな規制は不要と反論する。

 日本政府はロボット兵器に「人間の制御が不可欠だ」とし、規制の必要性を訴える。だが、中南米諸国の主張する禁止条約は時期尚早という。兵器へのAI活用も省力化の観点から進める考えだ。

 中途半端と言わざるをえない。

 政府は「AIの平和利用を妨げてはならない」と強調する。そうであれば、軍事に転用されない厳格な規制が必要ではないか。

 専門家会議は8月にも開かれる。政府は殺人ロボットの禁止に向け、働きかけを強めるべきだ。

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【卓上四季】:旅するウナギ

2019-06-13 05:05:00 | 【水産資源・漁業・水産加工・缶詰・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【卓上四季】:旅するウナギ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:旅するウナギ

 「しんしんと肺碧(あお)きまで海の旅」(篠原鳳作)。30歳で夭折(ようせつ)した新興俳句の俊英が、沖縄県宮古島で中学教師を務めていた頃に詠んだ代表作だ▼コバルトブルーに輝く南の大海原を行く。無季の句だが、やはり夏がふさわしい。船上で胸いっぱいに息を吸い込めば、肺にまで海の青さが染みわたるようだ。鮮やかな描写である▼こちらの方は、全身を青く染め、海に溶け込むような長旅と言えよう。日本の河川から、南へ約2千キロの太平洋。ニホンウナギは、はるかな産卵場所を目指す。大海の点にすぎない目的地に、どうやってたどり着くのか。なぜ、オスとメスは巡り合うことができるのか。その回遊には依然、謎が多い▼卵がかえると旅は再開され、幼生が潮に乗り、やがて稚魚のシラスウナギとなって日本沿岸に帰ってくる。気の遠くなるような一連の行程を振り返れば、奇跡の連続と言っていい「海の旅」ではないか▼帰還するシラスウナギが激減して久しい。養殖と言っても、シラスウナギを捕まえて池で大きくするだけだ。既に絶滅危惧種である。今年の漁獲量は3・6トンで6年ぶりに過去最低を更新した▼乱獲に加え、河川開発、地球温暖化による海洋環境の変化など、要因は複合的だろう。禁漁も検討する時かもしれない。もはや土用の丑(うし)の日に、かば焼きが品薄になるという程度の問題ではあるまい。絶滅すれば食文化も消える。2019・6・9

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