【社説②・05.02】:中国の渡航情報 反発前に自国の姿見よ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・05.02】:中国の渡航情報 反発前に自国の姿見よ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年05月02日 07:29:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・05.02】:中国の渡航情報 反発前に自国の姿見よ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・05.02】:中国の渡航情報 反発前に自国の姿見よ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年05月02日 07:29:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・04.27】:週のはじめに考える 習さん、チャンスですよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.27】:週のはじめに考える 習さん、チャンスですよ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月27日 07:35:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【大谷昭宏のフラッシュアップ・04.07】:中国残留孤児の自立に奔走した「竹川お兄さん」お別れ会
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・04.07】:中国残留孤児の自立に奔走した「竹川お兄さん」お別れ会
先日のコラムに「春は別れの季節」と書いたが、3月半ば、大阪中国帰国者センターで長らくこのセンターの理事長をされ、昨年秋に91歳で亡くなった竹川英幸さんのお別れ会があった。
中国残留孤児の肉親捜しに奔走された故・山本慈昭さんが孤児の父だとしたら、竹川さんは孤児たちのお兄さんといった存在だった。自身、旧満州の開拓団で12歳の時に孤児になり、30歳になってやっと日本の実父母に会えたという。私は記者時代に2度、そんな竹川さんと一緒に残留孤児に会いに中国を訪ねた。
だが、年とともに人々の記憶は薄れ、日本に永住を希望しながら肉親にめぐり会えない孤児が多数となった。そんな孤児のために竹川さんは「多すぎて数えるのをやめた」というほど、身元保証人を引き受けていた。
だけど国も自治体も、やっと帰国した孤児の自立に向けて腰を上げようとしない。そうした役所との交渉の場で怒りを爆発させた竹川さんは、まるで瞬間湯沸かし器。「国はこの子らを2度も捨てるのかっ」。だが、その目にはうっすらと涙が浮かんでいたという。
お別れの会でのみなさんの言葉。その中に私が竹川さんに抱いていた疑問を氷解させてくれる話もあった。2000年初め、孤児が文書連絡費1万円を持ち寄って原告団を結成、国に1人3000万円の賠償を求めて集団提訴したが、その弁護団も私と同様、竹川さんは、あんなに国に怒っていたのに、この訴訟には「冷ややかだな」と感じたという。
あるとき弁護団が説明にうかがうと、竹川さんは話を聞いたあと「孤児の中には1万円払えば3000万円入ってくる。もう働かなくていいと言ってる子がいる。まずその誤解を解いてください」。
すべては孤児の自立のために-。外は冷たい早春の雨。だが、お別れ会はいつの間にか中国語、日本語が飛び交うにぎやかな懇親の場に。遺影の竹川さんは、そんなこの子らをにこやかに見守っているようだった。
◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「ニュース ONE」などに出演中。
■大谷昭宏のフラッシュアップ
元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】 2025年04月07日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・04.14】:先島の住民避難 綿密な計画で離島の安全守れ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.14】:先島の住民避難 綿密な計画で離島の安全守れ
中国は台湾への軍事的な威圧を強めている。万一、有事となれば、先島諸島にまで被害が及ぶ危険性は高い。
官民が協力し、離島の人々を守るための綿密な避難体制を整えねばならない。
政府が、台湾有事を念頭に、先島諸島の住民を九州などに避難させる計画を発表した。日本への武力攻撃が発生した「武力攻撃事態」や、その可能性が高い「武力攻撃予測事態」に適用される、国民保護法に基づいた計画だ。
計画は、宮古島や石垣島、与那国島などの住民11万人と、観光客1万人の計12万人を、民間の航空機と船舶を活用して6日間で九州に運ぶ想定だ。避難した住民は、九州の全7県と山口県の計32市町のホテルや旅館が受け入れる。
政府と各県は、航空・海運会社の協力を取り付けた。宿泊施設に対しては、避難住民の受け入れを要請している。
有事の際、国民を保護することは国と自治体の責務だ。双方が協力し、初めて避難計画をまとめたことは評価したい。
南西地域の安全保障環境が急速に悪化し、地元住民の危機意識が高まったことも、今回の計画策定につながったのだろう。
ただ、解決すべき課題は、なお残っている。
住民の避難は武力攻撃予測事態の段階で始めるというが、事態が悪化し、航空・海運会社の協力を得られない状況も生じうる。その場合、自衛隊と海上保安庁が避難に携わることになる。
自衛隊は武力攻撃に対処しつつ、住民避難まで手が回るのか。様々な状況を想定して作戦計画を検討しておくことが重要だ。
先島諸島には、要介護者や障害者ら「要配慮者」が8000人近くいるという。こうした人たちの移動手段や、付き添う医療従事者らの確保も重い課題だ。
政府は来年度に、細部を詰めた最終的な避難計画をまとめる予定だ。計画を「絵に描いた餅」に終わらせないためには、住民への周知を徹底するとともに、できるだけ多くの人が参加する実動訓練を重ねていくことが大切だ。
石垣市や与那国町は、緊急時に自衛隊が地元の空港を活用できるよう、滑走路の延長などを求めているが、空港管理者の沖縄県は「攻撃目標になる恐れがある」として認めようとしていない。
旧態依然とした「巻き込まれ論」にとらわれていて、住民の安全を確保できるのか。県は現実の厳しい安保環境を直視すべきだ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月14日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説②・04.11》:中国が対抗措置発動 反保護主義の言行一致を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・04.11》:中国が対抗措置発動 反保護主義の言行一致を
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月11日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・04.13】:週のはじめに考える 習氏「毛流統治」の誤算
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.13】:週のはじめに考える 習氏「毛流統治」の誤算
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月13日 07:49:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・04.12】:中国軍の演習 地域の安定を脅かす台湾威嚇
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.12】:中国軍の演習 地域の安定を脅かす台湾威嚇
中国の習近平政権が、台湾への軍事的な威嚇を繰り返している。東アジアの安定を揺るがす危険な行動であり、断じて容認できない。
中国軍が今月初め、台湾周辺で2日間にわたって軍事演習を行った。台湾海峡で「封鎖能力」を検証したほか、東シナ海で長距離実弾射撃訓練を行い、「主要な港湾やエネルギー施設を模擬目標として精密攻撃した」としている。
中国の空母「山東」も台湾東方海域に展開し、制空権確保に向けた訓練を実施したという。
台湾を包囲し、孤立化させる想定であることは明らかだ。台湾に軍事侵攻する際には、海外から台湾への補給ルートを遮断し、空母の展開で米国などの介入を阻止するシナリオがあるのだろう。
中国軍は昨年5月と10月にも台湾を取り囲む形で大規模な軍事演習を行っているが、今回は、第2次トランプ米政権が発足して以降で最大規模となった。トランプ政権の出方を見極める狙いがあったのは間違いない。
一方、中国軍は演習について、「『台湾独立』分裂勢力への厳重な警告」だと主張している。
台湾の頼清徳総統が3月の記者会見で、中国は非平和的手段で台湾に危害を加える「敵対勢力」だと定義したことを指している。だが、批判を武力で 恫喝 するのは、明らかに行きすぎだ。
頼氏の発言を口実にした演習は、台湾の民心を揺さぶる心理戦との見方も出ている。頼氏の下では台湾の安定は望めず、米国の支援も期待できない、という世論を形成し、政権を交代させようという思惑があるのではないか。
だが、頼氏の支持率は発言後、むしろ高まっている。中国の威嚇は台湾の中国離れを加速させ、国際社会における中国の評判を落とすだけである。
演習に対し、日米韓3か国や先進7か国(G7)がそれぞれ外相による共同声明を出し、懸念を表明したのは当然だ。米大統領報道官も「大統領は、力や威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも反対している」と述べた。
中国が台湾に侵攻すれば、日本の南西諸島にも危険が及ぶのは避けられない。すでに沖縄県・尖閣諸島周辺では、日本の領海に中国海警局の船舶が繰り返し侵入するなど、力による現状変更の試みを常態化させつつある。
日本と米国は連携して中国軍の演習内容や動向を分析し、自衛隊と在日米軍の共同対処能力の向上に生かさねばならない。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月12日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【ディープシークのAI】:火炎瓶の作り方やウイルス設計図も回答…安全対策ないがしろか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ディープシークのAI】:火炎瓶の作り方やウイルス設計図も回答…安全対策ないがしろか
中国の新興企業ディープシークが1月に公開した生成AI(人工知能)について、マルウェア(悪意あるプログラム)や火炎瓶の作成など、犯罪に悪用可能な情報を回答することが日米のセキュリティー会社の分析でわかった。悪用防止機能が不十分なまま公開されたとみられる。専門家は「開発企業は安全対策に注力すべきだ」と訴える。
問題のAIはディープシークの「R1」。セキュリティー会社「三井物産セキュアディレクション」(東京)の上級マルウェア解析技術者・吉川孝志氏が悪用リスクを検証するため、不正な回答を引き出す指示文を入力したところ、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)のソースコード(設計図)が出力された。回答には「悪意のある目的には使用しないでください」とのメッセージが付いていた。
チャットGPTなど他の生成AIにも同じ指示文を入力したが、回答を拒否されたという。
吉川氏は「悪用リスクが高いAIが増えると、犯罪への流用につながる恐れがある。業界全体で対策を強化する必要がある」と指摘する。
米セキュリティー会社「パロアルトネットワークス」の調査チームも、不正な回答を引き出せることを確認したと読売新聞の取材に明らかにした。ログイン時の入力情報を盗み取るプログラムや火炎瓶の製造法などで、「指示文に専門的な知識は必要なく、回答の内容はすぐに実行可能なものだった」という。
同チームは「市場投入を急いだため、安全対策の実装に力を入れていなかった可能性が高い」とみる。
ディープシークのAIを巡っては、チャットGPTに匹敵する性能や安価な利用料金が注目されているが、個人情報を含むデータが中国国内のサーバーに保存されるため、日本の自治体や企業では業務利用を禁じる動きが広がっている。
桜美林大の平和博教授(メディア論)は「ディープシークのAIを利用する際は、性能面やコスト面だけでなく、安全面も十分考慮する必要がある」と話す。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・中国の新興企業ディープシークが1月に公開した生成AI(人工知能)・マルウェア(悪意あるプログラム)や火炎瓶の作成など、犯罪に悪用可能な情報を回答すること】 2025年04月06日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【中国】:米全製品に報復関税 全ての輸入品のに米相互関税と同じ34%
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中国】:米全製品に報復関税 全ての輸入品のに米相互関税と同じ34%
中国政府は4日、米国からの全ての輸入品に34%の追加関税を課すと発表した。トランプ米政権の「相互関税」に対抗し、上乗せ幅も米国と同等にした。10日に発動する。米中の両大国間で報復の連鎖に歯止めがかからず、貿易摩擦が一段とエスカレートしてきた。世界経済に打撃を与えるのは確実だ。
中国政府はまた、ジスプロシウムなど7種類のレアアース(希土類)を輸出規制の対象に加えると発表。米国への報復措置とみられる。即日発効する。トランプ政権の相互関税は国際貿易ルールに違反しているとして、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴したことも明らかにした。
中国商務省は、米国の相互関税は「WTO加盟国の正当な利益を損ない、多国間貿易システムを破壊するものだ。断固として反対する」との報道官談話を出した。輸出規制の対象としたレアアースは軍民両用(デュアルユース)の性質があり「国家の安全や利益を守るためだ」と説明した。
またドローン製造など米国の11企業を、台湾との軍事技術協力に関わったとして制裁対象となる「信頼できないエンティティーリスト」に加えた。米化学大手デュポンの中国法人を独禁法違反の疑いで調査することも決めた。
トランプ米大統領は中国の発表後、交流サイト(SNS)に「中国は誤った行動を取った」と投稿した。
中国は既に米国から輸入する液化天然ガス(LNG)や農産物などに対する最大15%の報復関税を発動しており、今回の関税について「現行の適用税率に上乗せする」と説明している。これまでは報復対象を一部の品目にとどめていたが、今回は全輸入品に広げた。
トランプ氏は2日、世界全体を対象にした相互関税の中で、中国に34%を課すと発表した。3月までに発動した中国からの全輸入品に対する20%の追加関税と合わせた上乗せ幅は計54%となる。(共同)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・中国・米国からの全ての輸入品に34%の追加関税を課すと発表した】 2025年04月05日 00:18:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・04.04】:要人の発言記録 中国の都合で変えるな
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.04】:要人の発言記録 中国の都合で変えるな
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月04日 07:45:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《主張②・03.30》:中国外務省 会談内容の改竄許されぬ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《主張②・03.30》:中国外務省 会談内容の改竄許されぬ
これでは「戦略的互恵関係」どころか、国家間の通常の信頼関係を築くことも困難なのではないか。
石破茂首相と中国の王毅共産党政治局員兼外相の21日の会談を巡り、日本政府は、中国外務省の発表内容に事実と異なる記述があるとして抗議した。間違っている箇所の削除を求めたが、中国側は応じていない。
日中外相会談冒頭であいさつする中国の王毅外相(左)=22日、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
中国外務省はホームページ上の石破首相の発言を改めてもらいたい。それが確認できるまで石破首相や岩屋毅外相は王氏と会談してはならない。
中国外務省ホームページは王氏と会談した石破首相が「中国側が詳述した立場を尊重する」と述べたと記載している。
日本側は「そのような発言をした事実はない」とするが、中国外務省報道官は「国家間の交流で互いの立場を尊重するのは正常なことではないだろうか」と開き直った。
牽強付会(けんきょうふかい)の説である。
日中両国には在中邦人の拘束や尖閣諸島、台湾を巡る問題などについて、立場や見解に隔たりがある。
「中国側が詳述した立場を尊重する」との文言が日本の首相の言葉として残れば、日本が中国の言い分に従っている印象を与える。これでは日本の立場と国益が損なわれる。
会談内容の改竄(かいざん)は自国にとっても不利益だと中国外務省は知るべきだ。各国も中国要人との会談を警戒するだろう。
中国はトランプ米政権の対中圧力に直面し、日本との関係を改善したいそぶりをみせてきた。その最中に、会談内容を改竄し放置するのは不可解だ。まさか日本側の中国への反発を強め、対日関係をぎくしゃくさせたいわけではあるまい。
戦後80年の年に歴史問題を持ち出し、日本に対して優位を占めたい底意があるのだろう。
日本政府は習近平中国国家主席の年内訪日を計画しているとされる。
だが、改竄の削除をはじめ中国側の実際の行動に大幅な改善がない限り、中国との関係強化は難しい。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2025年03月30日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・03.27】:国安条例1年 香港の自由後退を憂う
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.27】:国安条例1年 香港の自由後退を憂う
香港でスパイ活動や国家への反逆行為の防止を掲げた国家安全条例が施行されて1年となった。
条例違反が適用されたのは民主派ばかりで、市民の抗議活動や言論を徹底的に封じる意図は明らかだ。
社会統制が強まり、自由で開かれた国際都市としての香港のさらなる変質、後退を危惧する。
香港での2019年の大規模民主化デモを受け、中国指導部の主導で翌年、香港国家安全維持法(国安法)が施行された。多くの民主活動家が起訴され、メディアなどの言論規制が強められた。
さらに昨年、香港立法会(議会)は国家機密の窃取など国安法より対象に広げた国家安全条例を可決した。民主派を排除し、親中派だけで提案からわずか11日後の採決だった。独裁色を増す習近平政権の意向が反映された。
香港政府によると、施行後、条例違反で起訴されたのは香港市民5人。民主化デモのスローガンが印字されたTシャツを着て歩いた男性と、インターネットに「中国共産党は下野せよ」と書き込んだ男性らで、2人は実刑判決を受けた。
条例が「抑圧の道具」として利用されている実態が、浮き彫りになっている。
犯罪行為の定義はあいまいだ。国家機密の範囲は政府判断で決められ、恣意(しい)的な解釈で運用されているのは否めない。
統制強化が進む中、先月、民主派の最大政党、民主党が解散に向けた手続きを始めた。党員が、中国と関係の深い人物から脅しのような警告を受けたという。比較的穏健とされてきた同党ですら活動できなくなっており、議会に民意は届かない。
社会に広がる萎縮の空気が心配だ。自由な文化空間を象徴していた独立系書店が閉鎖に追い込まれ、民主化問題などに関する世論調査を行ってきた団体も活動停止を余儀なくされた。
人口750万人の香港で、19年から5年間で約30万人が海外へ移住したとされる。言論の自由や権利が制約された香港を見限っての流出に他なるまい。
条例は外国人への適用の懸念から経済活動にも影を落とす。外国企業離れの加速が指摘される。
投資やビジネスの結節点となり、国際金融センターとしての発展は、高度な自治を認める「一国二制度」があってこそだった。自由への締め付けは、香港の活力を奪うばかりである。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月27日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・03.21】:中国全人代/大国の責務今こそ自覚を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.21】:中国全人代/大国の責務今こそ自覚を
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が、政府活動報告や2025年予算を採択・承認して閉幕した。トランプ米大統領が関税引き上げなど対中強硬路線を貫く中、25年の経済成長目標を3年連続で5・0%前後と設定し、米国に対峙(たいじ)する姿勢を示した。
13年に就任した習近平国家主席は3期目の任期の折り返しを迎える。全人代では政策についての議論が少なく、閉幕後の首相会見も昨年に続き開かなかった。習氏への権力集中を改めてアピールする場となった感が否めない。
米国第一主義を掲げるトランプ政権は、国際秩序に挑発的な言動を繰り返す。ロシアは、国連常任理事国としての責任を無視するかのようにウクライナ侵攻を止めない。
中国は25年の国防費を前年から7・2%増やし日本の防衛費の4倍超としたほか、米軍に対抗して軍備のハイテク化も推し進める。米中ロの覇権争いがさらに過熱しないか危惧する。
内政を安定させて国内需要を高め、世界経済の活性化と国際社会の平和に貢献する大国の責務を、中国は今こそ自覚してもらいたい。
24年の中国の経済成長率は政府目標の5・0%を達成した。しかし地方政府による巨額の不動産開発が各地で頓挫し、日本のバブル崩壊と同様に消費不振に陥っているのが実情だ。国内でさばき切れない鉄鋼や電気自動車で輸出攻勢をかけた結果、価格急落など世界市場にも影響を及ぼしている。
日本人学校に通学途中の小学生が犠牲になるなど無差別殺傷事件が相次ぐのは、景気低迷で社会全体の閉塞(へいそく)感が高まっている証しといえる。全人代では暴力犯罪を「厳しく処罰する」と強調したが、対症療法に過ぎない。農村と都市部で広がる一方の経済格差を解消し、若者の働き口を増やすなど、内需の拡大にも結びつくような国民生活の安定策を講じるべきだ。
全人代に合わせて会見した王毅外相は、日中関係が「改善と発展の前向きな勢い」を示していると述べた。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に対する強硬な姿勢を一部見直すなど、最近になって日本との距離を縮めようとしているのはトランプ政権への対抗策の一環だろう。
一方で王氏は台湾について「必ず統一する」とし、「面倒を起こせば日本に問題をもたらす」と日本が関与しないよう警告した。力で台湾を抑え込もうとすればアジアの安全保障にとどまらず、法の支配に基づく国際秩序が揺さぶられる。台湾問題は日本として重大な関心事であると改めて強調しておきたい。
元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月21日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説②・03.12》:中国全人代閉幕 協調語るなら強権改めよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・03.12》:中国全人代閉幕 協調語るなら強権改めよ
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。
習近平指導部は、今年の国内総生産(GDP)成長率目標を前年と同じ「5%前後」に
設定すると表明。外交政策では「一国主義や保護主義に反対する」として、国際協調を重視する方針を打ち出している。
「米国第一」を掲げて各国と亀裂を深める米トランプ政権に対抗し、世界で求心力を高める意図を鮮明にした。
それならば、世界第2位の経済大国として景気を確実に回復させるとともに、自らの強権的な手法を改めなければならない。
不動産不況が続き、個人消費は伸び悩む。トランプ政権の対中関税で貿易摩擦が激化すれば、外需頼みの成長も見込めない。
昨年は海外から中国への直接投資が8年ぶりの低水準となった。外資企業は中国市場の成長力に悲観的な見方を強めている。対策として積極的な財政出動で内需拡大を図る方針を示したが、昨年来の補助金支給による消費刺激策だけでは需要の先食いに終わる。
中国では若者の高失業率が社会問題化する。市民が消費をためらうのは、将来不安が拭えないからではないか。脆弱(ぜいじゃく)とされる社会保障制度の拡充や格差是正にも本腰を入れるべきだ。
米国や欧州連合(EU)は、中国製品が政府の補助金の下支えで過剰生産され、不当な安値で輸出されていると警戒する。内需の不振を補うため海外市場での不公正な通商政策を押し通すなら、米国の保護主義を批判できない。
景気低迷の中でも軍拡路線は継続する。全人代で承認した予算の国防費は4年連続で伸び率が7%を超えた。具体的な装備の調達目標などには触れず、各国が懸念する不透明感を拭えていない。
全人代に合わせて記者会見した王毅外相は、トランプ政権について「強権や覇権に断固反対する」とし、「大国は大国の責任を果たすべきだ」と非難した。
それでいて中国は台湾を武力統一する可能性も排除せず、周辺で軍事演習を重ねて威圧を強める。南シナ海では領有権を争うフィリピンと衝突を繰り返す。
力で現状変更を試みる覇権主義的な行動は、中国こそ自制すべきだ。ウクライナ戦争を巡ってロシアをいさめることなく、国際法を無視した侵攻を許容してきた姿勢にも問題がある。
国際協調を口にして信頼を得ようとするなら、大国としての責任を果たしてもらいたい。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月12日 09:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・03.07】:中国の全人代 強気の目標に潜むほころび
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.07】:中国の全人代 強気の目標に潜むほころび
米国のトランプ政権からの圧力をかわしつつ、経済と軍事の両面で足場固めを急ぎ、国際的な影響力の向上を図る、というのが中国の習近平政権の戦略なのだろう。
中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)で、李強首相が政府活動報告を行った。今年の国内総生産(GDP)の成長率目標を「5%前後」とし、3年連続で据え置いた。
長引く不動産不況に加え、トランプ政権が1か月半に2度、計20%の追加関税を発動するなど米側の圧力が強まる中で、強気の目標設定と言える。
米国との貿易摩擦が激化すれば、中国経済を 牽引 してきた外需が深刻な打撃を受けるのは避けられない。こうした状況下で、李氏は内需拡大を最重要視し、消費を喚起していく姿勢を強調した。
償還までの期間が長い超長期特別国債の規模を拡大し、一部を自動車や家電などの買い替え支援にあてる方針という。
だが、景気の停滞で、消費者の節約志向は高まっている。治安も悪化し、各地で無差別殺傷事件が起きている。
経済の発展と社会の安定の両立という目標を達成するには、目先の景気刺激策だけでなく、医療や年金など社会保障制度を充実させることが不可欠ではないか。
しかし、軍事予算案には過去最高の約36兆7600億円が計上され、成長率目標を上回る前年比7・2%増の伸び率となった。人工知能(AI)などを利用した「新たな質の戦闘力」を強化する。
一方、中国軍内では汚職が 蔓延 し、高官の摘発が相次いでいる。軍拡路線の内部で一体何が起きているのか。日本周辺の安全保障環境に影響を与える中国軍の動向に引き続き注視が欠かせない。
活動報告では、中国外交の成果として「真の多国間主義を堅持し、地球規模の課題への対応と地域紛争の解決に役割を果たした」と主張した。中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」を通じ、対外協力を推進する方針も示した。
「米国第一」を掲げ、新興・途上国への経済援助の停止を表明したトランプ政権との違いを際立たせ、国際社会における求心力を高めようとする狙いは明らかだ。
報告では、米国を念頭に「覇権主義・強権政治」に反対すると明記した。だが、中国が台湾を軍事的に威嚇していることや、ウクライナを侵略するロシアを非難しないことについても、多くの国が強権的だと受け止めている。
元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月07日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月07日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。