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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【けいざい百景】:「残酷ならざる改革」は可能か? 問われる公的年金の持続性

2025-08-10 09:00:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【けいざい百景】:「残酷ならざる改革」は可能か? 問われる公的年金の持続性

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【けいざい百景】:「残酷ならざる改革」は可能か? 問われる公的年金の持続性 

 日本維新の会の吉村洋文代表(左)、国民民主党の玉木雄一郎代表=6月29日、東京・永田町【時事通信社】

 ◆現役世代に危機感

◆貧困者を減らす仕組み

 元稿:時事通信社 JIJI.COM 主要ニュース 経済 【金融・財政・年金問題】  2025年08月10日 09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・06.28】:生活保護判決 生存権取り戻してこそ

2025-06-30 08:04:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①・06.28】:生活保護判決 生存権取り戻してこそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・06.28】:生活保護判決 生存権取り戻してこそ 

 安倍晋三政権が2013年から3年間に行った生活保護基準額の引き下げを最高裁が違法と判断した。困窮した人々の訴えを受け止め、国の措置を正したと言える。国は生活保護利用者に謝罪し、違法な減額分を補償すべきである。
 
 国は13~15年、デフレなどを理由に生活保護費のうち食費など日常生活に充てる「生活扶助」の基準額を平均6・5%引き下げた。過去最大の引き下げ幅で、利用者は200万人超に上る。
 ただ、物価下落分がそのまま消費の減少分になるとは限らず、過去にも物価だけに基づく改定はない。大幅減額は生活苦の人に、さらに切り詰めよと迫るもので「暮らしていけない」「死ねというのか」などと悲鳴が上がった。
 全国29都道府県の計千人以上が、引き下げの取り消しなどを求めて各地で提訴し、最高裁は名古屋、大阪両高裁分を審理。国が引き下げに当たり物価変動率のみを直接の指標としたことは専門的知見との整合性を欠くと認定して「引き下げを取り消す」との統一判断を示した。
 減額措置の背景には、12年衆院選で安倍総裁率いる自民党が「生活保護の削減」を公約し、政権復帰したことがある。
 国は、物価下落率の算定で学術的な裏付けのない独自の物価指数を用い、総務省の消費者物価指数(CPI)の約2倍と過大に見積もった。引き下げを専門家部会に諮らず、厚生労働省内で決めたことも正しい手続きと言えない。
 統計や専門的知見に基づかず、利用者に著しい困窮を強いることになった恣意(しい)的な減額が違法とされたことは当然である。
 ここ20年、生活保護は断続的に削られてきた。近年の急激なインフレで生活扶助に関する24年の物価指数が20年比で10%超上昇と試算されても、加算は月額1500円とごくわずかだ。
 日弁連によると、海外ではドイツやスウェーデン、韓国が年間10%前後と大幅に引き上げており、日本と大きな差がつく。
 利用者に対する社会の偏見や申請を拒む自治体の水際作戦で、貧困に陥っても生活保護を実際に利用する人は少数とされる。
 しかし、生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障した憲法に基づく「社会の命綱」だ。生存権を有名無実化させてはならない。
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月28日  07:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【生活保護費】:減額プロセスに「過誤・欠落」 最高裁が指摘した問題点

2025-06-28 00:10:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【生活保護費】:減額プロセスに「過誤・欠落」 最高裁が指摘した問題点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【生活保護費】:減額プロセスに「過誤・欠落」 最高裁が指摘した問題点

 

 国の生活保護費減額を違法とした27日の最高裁判決は、厚生労働省による不透明な引き下げプロセスには「過誤」や「欠落」があると厳しく批判した。

 今回の訴訟で違法性が争われた「ゆがみ」と「デフレ」の二つの調整が実行に移されるまでには、国の財政事情を巡る伏線がある。

<iframe src="https://mainichi.jp/articles/20250627/k00/00m/040/373000c" width=" 300" height=" 250" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe>

 2008年の「リーマン・ショック」で失業者が急増したことで、生活保護受給世帯は11年度に約150万世帯と07年度から40万世帯近くも増加。生活保護費の増大を招いた。当時野党の自民党は12年衆院選の公約の一つに給付水準の原則10%引き下げを掲げ、政権与党に返り咲いた。

 受給者側は全国各地で起こした訴訟で、政権公約とされた「10%減」の結論に向けて、厚生労働省が適正な手続きなしで恣意(しい)的に減額幅を決めたと主張した。

 最高裁第3小法廷が判決で重視したのは、引き下げが決定されるまでの厚労省のプロセスだ。

 生活保護費見直しのために設置された厚労省の専門家部会が13年に公表した検証結果は、物価を含めた経済指標を考慮することがあり得るとはしたものの、勘案する場合には根拠を明確にすべきだとしていた。

 しかし、厚労省の「デフレ調整」は物価という数値のみを使って食費や水光熱費にあたる「生活扶助費」を引き下…、続きは、

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 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【話題・裁判・最高裁・国が2013~15年に生活保護費を引き下げたのは違法だとして、受給者が国と自治体に減額処分の取り消しなどを求めた訴訟】  2025年06月27日 21:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・06.03》:年金改革法案 腰据えた審議欠かせない

2025-06-07 09:31:15 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①・06.03》:年金改革法案 腰据えた審議欠かせない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・06.03》:年金改革法案 腰据えた審議欠かせない 

 積み残しの課題が多い。国会の会期は残り少ないが、参院で審議を尽くしてほしい。

 年金制度改革法案が衆院を通過した。基礎年金(国民年金)の将来的な底上げが付則に追加された。実現すれば、幅広い世代の給付水準の底上げにつながる。

 政府案では外されたが、自民、公明、立憲民主各党の修正協議で復活した。立民の主張を与党が取り込んだ格好になる。

 とはいえ、衆院の採決までわずか2週間のスピード審議だった。政府の法案提出が大きくずれこんで5月半ばとなったためだ。重要法案であるにもかかわらず、十分な審議時間を用意できなかった政府・与党の責任は重い。

 課題の一つは、底上げの判断の時期だ。

 法案では、2029年の財政検証で基礎年金の大幅な水準低下が見込まれる場合、会社員らが加入する厚生年金の積立金を活用して底上げを実施する。この影響で厚生年金の支給額が一時的に減る人に緩和策を講じる。となると、判断は早くても29年以降になる。そんなに悠長で大丈夫なのか。

 なにより問題なのは、財源の確保策があいまいな点だ。

 基礎年金の半分は国費で賄われる。底上げに伴い最大で年2兆円規模の追加負担が生じる。原資は私たちが納める税金である。

 負担増の具体策を示した上で、安定財源を確保し、底上げを本則に明記する必要がある。

 もう一つ、厚生年金積立金の活用については、厚生年金保険料を折半する加入者と企業の理解と納得を得ることが欠かせない。

 厚生年金は国民年金とは制度の沿革が異なり、財布も別だ。国民年金が苦しいからといって、なしくずしに財源を振り向けてはならない。社会保険の負担と給付のバランスを大きくゆがめてしまう。

 法案にはこのほか、パートなど短時間労働者の厚生年金の加入拡大、働く高齢者への給付拡充、高所得の会社員らの保険料引き上げなどが盛り込まれている。

 厚生年金の加入拡大を巡り、企業規模要件の完全撤廃が35年秋まで先送りされた。中小企業の負担増に配慮しての措置という。拡大は将来の低年金を防ぐためのポイントとなる施策でもあり、与野党で十分に審議してほしい。

 修正案は3党による急ごしらえの協議だった。年金改革は本来、超党派で建設的な議論を重ねるべきものだ。国民の老後の安心をどう確保するか。国会に与野党協議の場を常設するよう求める。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月03日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・06.07】:年金法案合意/4年後の判断で大丈夫か

2025-06-07 06:00:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説・06.07】:年金法案合意/4年後の判断で大丈夫か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・06.07】:年金法案合意/4年後の判断で大丈夫か 

 年金制度改革法案の修正協議で与党の自民、公明両党と野党第1党の立憲民主党が合意した。制度改革の目玉とされながら与党が除外した基礎年金(国民年金)の底上げについて、2029年の財政検証で給付水準低下が見込まれる場合に実施すると、付則に盛り込むことで折り合った。修正案は賛成多数で衆院を通過し、参院で審議される。

 経済の低成長が続くと、基礎年金の給付水準は30年後に3割下がる恐れがある。低収入の人が多い「就職氷河期世代」の老後に備え、低年金対策は喫緊の課題だ。4年後に判断するのでは実質的に「先送り」に近く、合意内容は不十分と言わざるを得ない。

 年金は2階建てになっている。基礎年金は全ての人が受け取り、会社員などはさらに厚生年金を受給する。修正案は基礎年金底上げの主な財源に厚生年金の積立金を充てる。

 基礎年金の底上げは厚生年金受給者にも恩恵があるが、給付抑制策が長引いた影響で一定の年齢以上の人は一時的に受給額が減る。政府は影響緩和の措置を取る方針だが、その具体策も見えない。

 年金制度改革を巡っては、12年にも与党と野党第1党が合意した。この時は消費税引き上げによる財源確保を決めている。今回の底上げでは厚生年金からの充当に加え、国費の支出も40年度に5千億円、60年度には2兆円増える見込みだが、裏付けとなる財源は示されていない。財源の伴わない合意は空手形に終わる可能性が否めない。

 積立金からの充当には厚生年金加入者に「流用」との批判が根強く、与党の当初案は底上げ方針をいったん撤回した。修正協議で、立民の要求に応じる形で底上げを復活させたのは、野党を巻き込むことで夏の参院選の争点化を避ける狙いがある。

 一方、立民も参院選前に実績を残したい思惑があった。少数与党下で双方が今国会での成立を急いだ結果、改革が生煮えに終わってしまえば国民不在もはなはだしい。

 衆院では十分な審議日数が確保されなかった。参院では改革の中身や課題について議論を尽くすべきだ。

 制度改正では、厚生年金加入の「106万円以上」の年収要件を法公布から3年以内に撤廃し、企業規模の要件も35年までに段階的に撤廃する。スムーズに移行できるようきめ細かい目配りが欠かせない。

 野党は国会会期にかかわらず、年金改革を与野党で協議する場を求めている。少子高齢化の加速を踏まえ給付減や負担増も見据えた国民的な議論が必要だ。29年の財政検証を待たず、国民が安心して老後を過ごせる制度を追求してもらいたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月07日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・06.03》:年金改革法案 腰据えた審議欠かせない

2025-06-03 09:31:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①・06.03》:年金改革法案 腰据えた審議欠かせない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・06.03》:年金改革法案 腰据えた審議欠かせない 

 積み残しの課題が多い。国会の会期は残り少ないが、参院で審議を尽くしてほしい。

 年金制度改革法案が衆院を通過した。基礎年金(国民年金)の将来的な底上げが付則に追加された。実現すれば、幅広い世代の給付水準の底上げにつながる。

 政府案では外されたが、自民、公明、立憲民主各党の修正協議で復活した。立民の主張を与党が取り込んだ格好になる。

 とはいえ、衆院の採決までわずか2週間のスピード審議だった。政府の法案提出が大きくずれこんで5月半ばとなったためだ。重要法案であるにもかかわらず、十分な審議時間を用意できなかった政府・与党の責任は重い。

 課題の一つは、底上げの判断の時期だ。

 法案では、2029年の財政検証で基礎年金の大幅な水準低下が見込まれる場合、会社員らが加入する厚生年金の積立金を活用して底上げを実施する。この影響で厚生年金の支給額が一時的に減る人に緩和策を講じる。となると、判断は早くても29年以降になる。そんなに悠長で大丈夫なのか。

 なにより問題なのは、財源の確保策があいまいな点だ。

 基礎年金の半分は国費で賄われる。底上げに伴い最大で年2兆円規模の追加負担が生じる。原資は私たちが納める税金である。

 負担増の具体策を示した上で、安定財源を確保し、底上げを本則に明記する必要がある。

 もう一つ、厚生年金積立金の活用については、厚生年金保険料を折半する加入者と企業の理解と納得を得ることが欠かせない。

 厚生年金は国民年金とは制度の沿革が異なり、財布も別だ。国民年金が苦しいからといって、なしくずしに財源を振り向けてはならない。社会保険の負担と給付のバランスを大きくゆがめてしまう。

 法案にはこのほか、パートなど短時間労働者の厚生年金の加入拡大、働く高齢者への給付拡充、高所得の会社員らの保険料引き上げなどが盛り込まれている。

 厚生年金の加入拡大を巡り、企業規模要件の完全撤廃が35年秋まで先送りされた。中小企業の負担増に配慮しての措置という。拡大は将来の低年金を防ぐためのポイントとなる施策でもあり、与野党で十分に審議してほしい。

 修正案は3党による急ごしらえの協議だった。年金改革は本来、超党派で建設的な議論を重ねるべきものだ。国民の老後の安心をどう確保するか。国会に与野党協議の場を常設するよう求める。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月03日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・05.29】:年金改革法案 難題から逃げず議論を

2025-05-30 04:05:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②・05.29】:年金改革法案 難題から逃げず議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・05.29】:年金改革法案 難題から逃げず議論を 

 自民、公明、立憲民主の3党が年金制度改革法案の修正で合意した。自民党内の反発を受けて政府が法案から削除した基礎年金の底上げ策を、立憲の求めに応じて復活させた。
 
 現状のままでは基礎年金の給付水準は30年後に3割減り、就職氷河期世代をはじめ将来の年金世代に深刻な影響が及ぶ。底上げ策の復活でそうしたリスクの回避は一定程度期待できる。
 
 ただ、実施の判断は2029年以降に先送りされた。国庫負担の財源にも言及していない。
 法案提出は想定より2カ月遅れ、きのう審議入りした。あす衆院を通過する見通しだ。課題は山積するが、審議時間は圧倒的に足りない。これでは政治が持続可能な制度構築への責任を果たしたとは言い難い。
 修正案は、4年後の年金制度の財政検証で将来の基礎年金の給付水準低下が見込まれる場合に底上げを行うとした。会社員らが入る厚生年金の積立金活用を念頭に入れ、底上げによって厚生年金受給額が減る場合は緩和措置を講じるとしている。
 厚生年金の積立金で基礎年金を底上げする案は元々、政府が昨年末時点で法改正に盛り込む予定だったが、積立金の活用が「流用」と批判された。確かに厚生年金額は一時的に減るが、将来的には会社員らも含め基礎年金は底上げが見込まれる。
 バブル経済崩壊のしわ寄せを受け、非正規雇用期間が長い就職氷河期世代の支援は欠かせない。年金は支え合いの仕組みであり、財政的に余裕のある厚生年金の積立金活用はその趣旨にかなう側面もあろう。議論を深めていくことが肝要だ。
 修正案は積立金について具体的に言及せず「必要な法制上の措置を講ずる」との表現にとどまる。底上げにより厚生年金が目減りした際の緩和措置の具体策も示していない。
 基礎年金は財源の半分が国庫負担で、増税議論が浮上する可能性もある。参院選が迫る中、自公には年金改革の争点化を避ける狙いが、立憲には修正を実績としてアピールする思惑もあるのだろう。
 目先の選挙を優先するようでは不誠実だ。難題から逃げず、審議を尽くさねばならない。
 年金改革を巡り政府は04年、給付水準を抑える仕組み「マクロ経済スライド」を導入し「百年安心の制度」とうたった。
 だがその後、基礎年金と厚生年金の格差は拡大し制度の信頼性は揺らいでいる。これまでの政策の検証と制度の抜本的な見直しが不可避であることも忘れないでもらいたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年05月29日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・05.28】:年金与野党合意 改革するにしても5年後とは

2025-05-29 05:00:45 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①・05.28】:年金与野党合意 改革するにしても5年後とは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・05.28】:年金与野党合意 改革するにしても5年後とは

 公的年金制度の改革を巡って、与野党が一致したこと自体は評価できるが、改革を実行に移すかどうか、判断するのは5年後だという。 

 そんな悠長な構えで制度の安定性を保てるのか。与野党は税制の見直しを含め、負担増の議論から逃げてはならない。

 自民、公明、立憲民主3党の党首が会談し、年金改革関連法案の修正で合意した。法案は今国会で成立する見通しとなった。

 修正内容は2点あり、いずれも法案の付則に明記される。

 まず、2029年に行われる年金財政検証で、「1階部分」にあたる基礎年金の給付の低下が見込まれた場合には、「法制上の措置を講ずる」という内容だ。

 具体的には「2階部分」の厚生年金の積立金を基礎年金に投入し、その給付を底上げする。30年の法改正が想定されている。

 もう1点は、積立金の活用で厚生年金の給付が減る場合、国がその影響を緩和すると明記した。

 政府は昨年の財政検証で、改革を行わなければ、30年後には基礎年金の給付水準が今の約7割に落ち込むという試算を発表した。

 物価が上昇した場合に年金給付の伸びを抑制する仕組みが、デフレ下で発動されず、給付額をどう減少させるかといった対応策が考えられてこなかったためだ。

 基礎年金は国民年金とも呼ばれ、近年は非正規社員の受給が増えている。今後は「就職氷河期世代」も受給対象となる。

 現在、満額で月約6万9000円の国民年金の給付がさらに減ったら、生活は成り立たない。比較的財政に余裕がある厚生年金の積立金を、国民年金を支えるために活用することは理解できる。

 ただ、自民には、労使で折半している厚生年金保険料を国民年金に活用したら、企業や会社員が反発しかねないと警戒する声があり、国民年金の底上げ策は当初案から削除された。

 これに対し、底上げ策の明記を立民が強く求めたため、自民も削除部分を復活させる修正に転じたが、本来なら、給付のための負担のあり方について正面から説き、理解を求めるべきだった。

 年金は世代間で支え合う制度だ。だが、少子化で現役世代が減っていく中では、世代間にとどまらず、生活に余裕のある人が支え手となっていくことも大切だ。

 基礎年金の給付を実際に底上げする場合、年2兆円規模の新たな財源が必要となる。消費増税を選択肢から外すことはできまい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・04.27】:年金改革法案 提出急ぎ議論深めたい

2025-04-27 04:05:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①・04.27】:年金改革法案 提出急ぎ議論深めたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.27】:年金改革法案 提出急ぎ議論深めたい 

 年金制度改革法案が、5月の連休明けにも今国会に提出される見通しとなった。
 首相が本会議などの質疑に出席する「重要広範議案」に指定され、本来なら3月に提出されるはずだった。だが、今夏の参院選への影響を懸念する自民党内で反対論が拡大し、大幅に遅れている。
 この間、政府は自民党に配慮して改革の柱である低年金対策の骨格部分を法案から外した。骨抜き同然となり、今の年金生活者や現役世代の将来への不安に応える内容になっていない。
 持続可能な年金制度をどう築くかは喫緊の課題だ。法案を速やかに提出し、政府案の是非を含め議論を深める必要がある。
 年金制度は5年に一度、見直される。今回の焦点の一つが、財政の悪化により給付水準の低下が加速する基礎年金の底上げ策だった。
 政府は当初、会社員らが入る厚生年金の積立金を財源に活用するとした。将来の基礎年金は増えるが、厚生年金額は一時的に減る。野党が疑問視し、自民党にも反対の声が広がった。
 基礎年金の半分は国費負担で、底上げすれば負担増の議論が迫られることも敬遠材料になった。政府は底上げの可否の判断を2029年以降に先送りする方針を決めたが、最終的に法案から削除を余儀なくされた。
 今回の改革では他にも、基礎年金の納付期間の5年延長やパート労働者らの厚生年金への加入拡大も掲げていたが、いずれも負担増への批判を受け、見送りや先送りになった。
 現状のままでは将来の年金世代への影響は必至だ。とりわけ非正規雇用期間が長く、基礎年金の依存度が高い就職氷河期世代などは深刻な状況となろう。
 年金制度は現役世代の保険料を高齢者らの給付に充てる、世代間の支え合いの仕組みだ。
 医療や介護を含む社会保障全般の支え手は減り続け、高齢者の保険料や自己負担の見直しが進む。物価高も深刻だ。安心できる老後の暮らしをどう保障するか、政治の責任は重い。
 年金制度は複雑な上、職種や世代などの違いによりさまざまな利害がからむ。だからこそ開かれた国会の場で、十分な時間を確保する必要がある。
 だが法案の提出が5月中旬なら、審議の期間は会期末までの1カ月程度しか見込めない。
 少数与党下で法案を成立させるには野党の協力が不可欠だ。野党も政権担当能力を示す好機ではないか。対案を示すなどして中身の濃い議論を重ね、合意形成を図ってもらいたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月27日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・04.13】:訪問介護の苦境 報酬の引き上げも考えたい

2025-04-13 05:00:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②・04.13】:訪問介護の苦境 報酬の引き上げも考えたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.13】:訪問介護の苦境 報酬の引き上げも考えたい

 「団塊の世代」は、全員が今年、75歳以上となる。介護の需要は今後確実に増えていくのに、訪問介護を担う事業者は、廃業が相次いでいる。 

 介護職員の処遇改善や人材確保に努め、誰もが必要な支援を受け、自立して暮らしていける社会を築かねばならない。

 民間の信用調査会社によると、2024年に倒産や廃業に追い込まれた訪問介護事業者は529社に上り、過去最多だった。

 目立ったのは地方の事業所の閉鎖だ。過疎化の影響でヘルパーの確保が難しかったとされる。また、ヘルパーは1日に何十キロも車で移動することが珍しくないため、燃料費などが経営を圧迫した。

 そのうえ、政府が昨年、訪問介護サービスの報酬を引き下げたことが経営悪化に拍車をかけた。

 介護職員の処遇改善のため、報酬全体は1・59%引き上げた一方で、訪問介護で行う入浴の介助などサービスの報酬は減額した。利用者が多い都市部の事業者の経営が安定していたためだ。

 都会と地方の事業所では経営環境が全く異なる。そうした事情を考慮せず、報酬を引き下げた判断が誤っていたのは明らかだ。

 地方の事業者を支えるため、ヘルパーが使う車の燃料費を補助するのは一案だ。27年に予定している介護報酬の改定を前倒しし、訪問介護の報酬を見直すなど、制度面の対応も不可欠だろう。

 介護職員の平均月給は約30万円で、全産業の平均より6万円低い。介護職場は力仕事が多く、責任も重い。にもかかわらず、待遇が低ければ敬遠されるのも当然だ。

 政府は、保険料や利用者の自己負担の引き上げの議論から逃げず、着実に介護職員の処遇を改善していく必要がある。

 毎年数千億円を高校授業料の無償化に投じ、高所得の家庭まで支援するなら、高齢者を支える介護に税を充てた方が意義があろう。選挙でのアピールを狙った施策よりも、生活実態に即した対策を、与野党とも議論すべきだ。

 政府は今月から、技能実習生や特定技能の資格で来日した外国人について、介護施設で1年以上の勤務経験があることを条件に、訪問介護に携わることを認めた。

 外国人ヘルパーには当面、日本人が同行し、作業の習熟度を上げていくのが望ましい。日本語を学んでもらうことも大切だ。

 事業者が外国人を「安い労働力」とみなしているようでは人は集まるまい。介護に携わる外国人の処遇改善もまた、重要な課題だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・04.07】:京都の国保料上げ 運営の安定へ府の責任重い

2025-04-09 16:00:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①・04.07】:京都の国保料上げ 運営の安定へ府の責任重い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.07】:京都の国保料上げ 運営の安定へ府の責任重い 

 京都府内の自治体で、国民健康保険料(国保料)を引き上げる動きが相次いでいる。

 京都市は2025年度分から3年ぶりに引き上げた。40~64歳の1人当たり平均の増額幅は平成以降で最大の10・35%で、年額保険料は10万円を超える。

 近年は据え置いていた福知山市や木津川市のほか、宇治市と綾部市も2年連続で引き上げた。24年度は13市町が値上げしている。

 国保は74歳以下の自営業者や無職の人らが加入する公的医療保険で、企業健保などと比べて平均所得も低い。物価高で負担増の影響は大きく、加入者の窓口となる自治体には、不安へのきめ細かな対応が求められる。

 引き上げの背景には国保財政の構造的な厳しさがある。加入者は減る一方、1人当たり医療費は増加が続く。22年度は全国で実質1千億円の赤字だった。多くの市町村が一般会計から国保会計への繰り入れや基金の取り崩しで保険料を抑えてきた。

 運営を担う都道府県が保険給付費を推計し、市町村が払う納付金が決まる。保険料はこれを参考に市町村が決める。

 京都では実際の給付費が見込みを上回る状態が続き、穴埋めしてきた府の基金も23年度末までの3年間で70億円近く減り、約6億円と底をつきかけた。そこで納付金の算定方法を見直したところ大幅増額となり、相次ぐ保険料引き上げに至った。

 気がかりなのは、府と市町村が信頼関係の上に立ち、持続可能な制度運営に向けて意思疎通を図れているかである。

 昨年は、納付金の大幅増額に対する説明が不十分だとして府市長会から不満が示された。府との会合では「互いに制度を保っていく気概が府に感じられない」との批判も上がった。

 国は36年度までに都道府県単位での保険料水準の統一を求めており、大阪府と奈良県ではすでに実現した。滋賀県も目標を27年度と定めている。

 京都府は統一の時期を明確にしていない。今年に入り初めて示した統一時の保険料試算では、16市町村で引き上げとなり、「衝撃的だ」との戸惑いの声が聞かれた。府は情報を小出しにせず、市町村と踏み込んだ論議に臨む必要がある。

 来年度からは国が「異次元」少子化対策の財源確保として打ち出した「支援金」が、医療保険料に上乗せされる。国保加入者の大半は月額数百円の負担増となる。重度患者らの猛批判を受け、今国会では「凍結」となった高額療養費制度の見直し議論も予断を許さない。

 政府のご都合主義的な負担増と医療費削減で、低所得層や自治体財政がしわ寄せを受ける事態は見過ごせない。地方は実情を踏まえ、国費の投入増などへ強く声を上げたい。国保の安定運営に責任を持つ府県の役割は、いっそう重みを増す。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月07日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:生活保護の減額 国は「命の砦」守らねば

2025-03-29 07:25:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:生活保護の減額 国は「命の砦」守らねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:生活保護の減額 国は「命の砦」守らねば 

 国が行った生活保護費の減額を「違法」とする司法判断が相次いでいる。憲法は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する。国は恣意(しい)的に減額せず、適正に給付しなければならない。
 国は2013~15年、デフレによる物価下落を理由に生活保護の日常生活費分に当たる生活扶助の基準額を平均6・5%引き下げた。最大の引き下げ幅だ。
 これに対し、29都道府県の受給者千人超が、引き下げの取り消しを求めて提訴。東京高裁は27日と28日、二つの訴訟で原告の主張通り「引き下げは違法」との判決を出した。
 これまでの地裁・高裁の計40判決は原告側の25勝15敗。23年以降に限ると21勝6敗で、原告勝訴の流れが固まりつつある。
 国の引き下げ決定は異例ずくめだった。
 引き下げ根拠に、通常と異なる計算方式を混在させた物価指数を用い、物価下落率を「4・78%」と過大に設定。さらに、大幅値下がりしたデジタル家電の影響が大きくなるようにしたため、貧困世帯の消費傾向と懸け離れた。
 これらは通常の改定のように審議会での専門家の議論を経ず、密室で決めた措置だった。
 東京高裁が判決で「統計との合理的関連性を欠き、専門的知見との整合性がない」と指弾したのは当然だ。最高裁には同様の、良識ある統一判断を期待したい。
 生活保護費の削減は、自民党が政権復帰を果たした12年の衆院選公約で「生活保護の給付水準10%引き下げ」を訴えたことが背景にあることは否定しがたい。
 地方自治体が申請を拒んだり、支給を遅らせたりする事例が相次ぎ、SNS上では受給者への批判も後を絶たない。
 病気や事故で生活破綻に陥る可能性は誰にもある。生活保護は最後に身を寄せる「命の砦(とりで)」であり安心できる社会の象徴だ。制度への偏見は改める必要がある。
 日弁連によると19年のGDPに占める公的扶助への支出割合(医療費を除く)は、フランスが1・41%、米国が0・9%に対し、日本は0・29%と低い。生活保護が国の財政を圧迫しているとの指摘は的外れな思い込みだ。
 近年の物価高は貧困層をさらに追い詰めている。本来受給すべき人々に生活保護が行き渡っていない現実こそ問題にすべきだ。
 
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月29日  07:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・03.24】:保護費減額違法 国は命綱の重み認識を

2025-03-27 04:05:10 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②・03.24】:保護費減額違法 国は命綱の重み認識を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.24】:保護費減額違法 国は命綱の重み認識を 

 安倍晋三政権下の生活保護費の大幅引き下げは違法との判決を札幌高裁が言い渡した。
 厚生労働相に広い裁量権を認め引き下げを合法とした一審札幌地裁判決を覆し、恣意(しい)的な算定を正面から非難した。
 受給者らが引き下げ処分の取り消しを求める訴訟は各地で起こされ、高裁では引き下げを取り消した判決が8件中4件となった。国は司法判断の広がりを重く受け止める必要がある。
 生活保護の申請件数はコロナ下の2020年に増加に転じ、その後も増え続けている。
 生活保護制度は憲法25条の生存権に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を国が保障する国民の命綱である。
 重みを一層増すその役割を国は改めて認識し、速やかに基準を見直し受給者に寄り添った制度運用に努めるべきだ。
 国は13~15年、生活保護費のうち食費や光熱費など日常生活に必要な費用に充てる生活扶助費の基準額を平均6.5%、総額670億円削る過去最大の引き下げを行った。その際、厚労省は「デフレ調整」として物価の下落を主な根拠とした。
 問題なのは、本来使うべき総務省の消費者物価指数(CPI)とは別に、「生活扶助相当CPI」という独自の指数を専門家に諮らずに作り、それを用いて扶助費を減らしたことだ。
 生活扶助相当CPIは生活保護受給世帯が買い替える機会の少ない家電製品などの価格低下が過大に反映される仕組みになっており、物価の下落が大きい期間のデータを使っていた。
 12年末に政権復帰した自民党は、生活保護の給付水準の10%カットを公約とした。
 その実行を迫られ、厚労省が無理な算定方法をひねり出したのが実態ではなかったか。
 これに対し札幌高裁判決は「物価下落率が大きくなる方向で算定した点で、客観的数値との関連性や専門的知見との整合性を欠いている」と指摘した。
 その上で「受給者への影響からみて憲法や生活保護法の趣旨・目的に反する過誤、欠落があり、厚労相には裁量権の逸脱または乱用がある」と断じた。
 引き下げの経緯や受給者の置かれた状況を丁寧にくみ、生活保護制度本来の趣旨を踏まえて導いた判断と言える。
 国の裁量で受給者の暮らしが左右されることがあっては生活保護制度の根幹が揺らぐ。
 保護費の引き下げで苦しくなった受給者の暮らしに、現在は深刻な物価高が追い打ちをかけている。このことも国は直視してもらいたい。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月24日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・02.27】:年金の改革 与野党で負担の熟議を

2025-03-02 16:00:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①・02.27】:年金の改革 与野党で負担の熟議を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.27】:年金の改革 与野党で負担の熟議を 

 5年に1度の年金改革を、夏の参院選後に先送りする案が政府、与党内で出ている。

 全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の底上げや、パートらの厚生年金加入を広げる関連法案の提出を目指しているが、現役世代や企業の負担増を伴う。

 選挙が不利になるとする与党内の反対や、野党の追及を避けるための先送り論という。

 だが、少子高齢化により年金財政が悪化するのは確実で、制度を安定させ、国民の将来不安を低減する改革は急務だ。与野党の建設的な議論を求めたい。

 保険料を支払う現役世代が減る一方、年金を受ける高齢世代が増えている。昨年の財政検証によれば、20歳以上の全国民が加入する1階部分の基礎年金は将来、特に給付水準が下がる。そこで会社員らが入る2階部分の厚生年金の積立金で、基礎年金を底上げするのが今改革の柱という。

 非正規など不安定な雇用で、基礎年金が頼りとなる就職氷河期世代が少なくないとみられ、老後生活の保障には重要な対策となる。長期的には、ほぼ全ての世帯で給付水準が底上げされる。

 もう一つの柱は、会社員に扶養されるパートらが厚生年金に加入する要件を廃止する案である。

 年収要件(106万円以上)や企業規模要件(従業員51人以上など)をなくすことで、多様な働き方に中立的な制度とし、手厚い給付を受けられる人を増やす。

 いずれも社会保障審議会の報告書を基にした案だが、自民党内で負担増への慎重論が強く、法案作成の段階で大きく後退した。

 積立金の活用は枠組みを作るものの、実施の判断は5年後の改革時に行うとし、実質棚上げする。企業要件の完全撤廃は、10年後に延ばす。5人以上が働く個人事業所への適用も新設に限り、既存事業所は当面免除とする。

 そんな穴が目立つ法案でさえ、今国会に提出せずに議論から逃げるようでは、石破茂首相が施政方針で掲げた「熟議の国会」はかすむばかりではないか。

 衆院多数派の野党も姿勢が問われる。財源の裏付けを度外視し、高校無償化や「年収の壁」見直しの減税効果だけを追うような無責任さは改めるべきだ。

 与野党で、法案作成から集中協議をしてはどうか。基礎年金の半分を占める公費の財源や、昨年の衆院選を前に封印した保険料の納付期間延長なども含め、幅広く検討してもらいたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月27日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・02.03》:戦後80年 曲がり角の社会保障 安心守る仕組み再構築を

2025-02-03 02:07:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①・02.03》:戦後80年 曲がり角の社会保障 安心守る仕組み再構築を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・02.03》:戦後80年 曲がり角の社会保障 安心守る仕組み再構築を

 戦後の社会保障制度は、家族と企業が果たす役割を前提に形作られてきた。だが、社会のあり方が大きく変わり、制度の持続性が問われている。

 北九州市中心部で1月、福祉施設「希望のまち」の起工式が行われた。計画を進めるのは、生活困窮者支援に取り組むNPO法人「抱樸(ほうぼく)」だ。2026年夏のオープンを目指している。

「希望のまち」の起工式で、くわ入れするNPO法人・抱樸の奥田知志理事長(右から3人目)ら=北九州市小倉北区で1月14日、井土映美撮影

 2、3階は生活困窮者らを受け入れる。1階には地域の人のための相談・支援窓口を設け、子どもや障害のある人たちに居場所を提供する。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/02/03/20250203ddm005070102000p/9.webp?2" type="image/webp" />数人のグループに分かれて、ゲーム形式で社会保障制度を学ぶ取り組み。失業や重い病気などの時には、何に困り、どうすればよいか、ボードに書き込みながら、使える制度をみんなで考える。写真は2024年10月に東京都足立区の「ふらっと・とーと」で実施した時の様子=NPO法人「Social Change Agency」提供</picture>
数人のグループに分かれて、ゲーム形式で社会保障制度を学ぶ取り組み。失業や重い病気などの時には、何に困り、どうすればよいか、ボードに書き込みながら、使える制度をみんなで考える。写真は2024年10月に東京都足立区の「ふらっと・とーと」で実施した時の様子=NPO法人「Social Change Agency」提供

 さまざまな人が集まるようにレストランを併設し、まちづくりの知識を持ったコーディネーターも常駐する。地域の人たちのつながりを促す拠点とするのが狙いだ。

 ◆家族と企業の機能低下

 日本の社会保障は、生存権を保障した憲法25条が出発点となった。1961年に国民皆保険と皆年金が達成され、老人医療費が無料化された73年は「福祉元年」と呼ばれた。

 介護や育児に関する制度整備は遅れていたが、かつては3世代が同居する大家族が支えていた。家族の存在は、78年の厚生白書で「福祉の含み資産」と位置づけられていた。

 だが、高齢化と核家族化が進み、こうした機能が弱体化した。その役割を社会で分担するために介護保険制度が創設され、子育て支援策が整えられた。

 一方、企業は、終身雇用などで老後も含めた生活を保障してきた。だが、グローバル化の進展に伴う競争激化で、そうした余裕を失ってしまった。さらに、非正規雇用が増え、働き手の暮らしはますます不安定になっている。

 家族と企業が果たせなくなった役割を代替する。それが抱樸の取り組みと言えるだろう。

 とはいえ、高齢化や貧困問題の深刻化で社会保障の需要は増える一方だ。多様な公的サービスの整備は進んだものの、制度自体が使いにくいという問題が顕在化してきた。

 支援を必要とする人は、原則として役所などに出向いて申請しなければならない。だが、どのようなサービスがあるのかを知らない人や、高齢者など自分で対応することが難しい人もいる。

 申請に至るまでのハードルの存在について広く問題提起しているのが、NPO法人「Social Change Agency」だ。代表理事で社会福祉士の横山北斗さん(40)は、制度を使う上でのサポートが必要だと訴える。

 その一つとして、これから社会に出る中高生を主な対象に、ゲームを通じて社会保障制度の使い方や、相談窓口について啓発する取り組みを進めている。

 例えば、家賃が支払えなくなった場合には、自治体から補助を受ける仕組みがある。横山さんは「困った時に、使える制度を探せるようになってほしい」と話す。

 デジタル技術の活用も有効だ。自治体が住民のスマートフォンなどにサービスを通知し、利用を促すプッシュ型の取り組みも広がっている。

 政府も、携帯電話の料金の支払いが遅れている利用者に相談窓口の情報が届くよう、事業者に要請している。

 ◆制度の持続性高めねば

 社会保障は転換期を迎えている。25年には団塊の世代が全員75歳以上となり、医療や介護費用が膨らむ。40年には団塊ジュニア世代が高齢期に入り、65歳以上の人口がピークを迎える。

 さまざまな制度は、保険料と税で支えられている。今後も高齢化が進む中、今の制度のままでは現役世代の負担が過大になる。

 その一方で、現役世代は社会保障のメリットを高齢世代よりも感じにくい。このため、世代間の対立をあおるような声も出ている。

 だが、だれもが年を重ねる。病気や失業といったリスクもあり、いつ支えられる側に回るか分からない。

 安心して暮らせる社会をいかに作り上げていくか。社会保障制度の持続性を高めるには、負担とサービスのあり方について議論を深めなければならない。

 互いに支え合うという原点に立ち返る時だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月03日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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