【HUNTER・08.25】:自治会議事録偽造を「大したことではない」| 伊地知紘徳鹿児島市議に問われる政治家の資質| 疑惑に蓋して集会所建設推進
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.25】:自治会議事録偽造を「大したことではない」| 伊地知紘徳鹿児島市議に問われる政治家の資質| 疑惑に蓋して集会所建設推進
鹿児島市明和にある集会所「永吉団地 親和会館」の建替え計画を進めるため、地元の自治組織「永吉団地親和会」が市に助成金の申請を行った際、同会の代表を務める伊地知紘徳市議会議員が、地元の同意に関する事項を偽った総会議事録を作成し、提出していた(既報)。取材の過程で、議事録原本の重要部分を切り取って住民に見せたり、作成し直して都合よく加筆するなど幼稚な手口も判明。さらに直近の取材で、議事録原本にある「議事録署名人」の氏名が、本人に承諾なく勝手に使われていたことまで明らかとなった。議事録偽造による虚偽申請の疑いが濃いが、同市議と市の所管課である地域づくり推進課は疑惑を無視して計画を進める構えだ。
■偽造された総会議事録
永吉団地親和会には規約があり、「総会の議事録」について次のように規定している。
規約では、総会の日時、場所、会員数、出席者数、総会開催の目的、審議事項及び議決事項、議事の経過の概要と結果、議事録署名人の選任に関する事項の記載に加え、議事録署名人の署名と押印が必須となっている。
これに対して、伊地知市議が住民の求めに応じて今年1月に示した議事録原本は、紙面の下を切り取った不十分なものだった(*下の画像)。“場所、会員数、出席者数、総会開催の目的”といった必要事項の記載はなく、かろうじて“議事の経過の概要と結果”と思しき記述がある程度。“議事録署名人の選任に関する事項”と“議事録署名人の署名と押印”は確認できない。
「何も書いていなかったから切ってメモに使った」と言う伊地知氏に不信感を抱いた住民らが追及した結果、4月の自治会総会後に同市議が出してきたのが下の「議事録」である。
前稿で指摘した通り伊地知氏は、議事録原本に記載された内容をすべて“総会後の雑談”にすり替えるため、冒頭に《R6年度定期総会において、R6年度活動方針・予算・特別会計予算については全会一致で可決されました。また、R5年度決算、R6年度の役員も承認されました。なお総会後出された議論は以下の通りです。》という一文を加筆していた。こうしなければ、何も書かれていなかったはずの部分にあった《★今一度条件をしっかり把握し検討をする》という継続審議を証明する記述との間に矛盾が生じるからだ。無理な議決内容の改変は、伊地知氏が進める会館建替え計画が住民の総意を得られていなかった証左だろう。
■偽造議事録に名前を無断使用された住民が怒りの告発
問題は、「議事録署名人による署名と押印」とみられる記述である。《議事録記録》の人物の氏名の後には、薄いながら押印があるのだが、司会ともう一人の人物の氏名は印字されているだけで、押印がない。ハンターは氏名が記載されていた岡元均さんに会い、経緯を確認した(*下、議事録の署名部分を指し示しているのが岡元さん)。
岡元さんは、「今年の4月に、この議事録を見てびっくりしました。わたしは議事録署名人を頼まれたこともなければ、もちろん承諾したこともありません。私の名前は勝手に使われたんです」と断言、「これが明らかな偽造です。許せない」と憤る。
実は、4月に開示されたこの議事録の署名人と、伊地知氏が昨年9月に会館建設のための助成金を申請した際に添付した『議事録 (抄本)』(*下の画像)の署名人の一部は――少なくとも岡元さんの部分は――違う人物である可能性が高い。
岡元さんの名前を使ったのであれば「文書偽造」に問われかねないからだ。では、どうして議事録の原本に、無断で岡元さんの名前が使われたのか?記者の取材に対し、伊地知市議は平然とこう答えている。
伊地知:なんか、間違っただけやろ。
ふざけた話である。会館の建替えについて議論された自治会の定期総会が開かれたのは昨年の4月。伊地知氏が下を切り取った不完全な議事録を示したのは9か月も経った今年1月だ。この間、自治会の規約に定められた議事録がきちんと作成されていたのであれば、その直後に間違いが明らかになっていたはず。今年4月の総会後に“新たな議事録”を持ち出してきた伊地知氏本人が、それまで「間違い」に気付かないはずがない。そもそも、自治会の規約に従っていれば、岡元さんの押印がない議事録は無効だ。
前稿で述べたように、助成金申請の際に添付され市に提出された『議事録 (抄本)』は、抄本である以上、原本の一部を正確に転記したものでなければならない。しかし、報じてきた通り、議事録原本には偽造された疑いがある。「住民の総意」を示す肝心の部分に疑義が生じた以上、市は提出された会館建替え計画を再検討すべきだろう。
ハンターは、伊地知氏本人にも鹿児島市にも、助成金申請書類に添付された自治会の総会議事録に偽造の疑いがあることを示した。しかし、伊地知氏は取材に危機感を覚えたのか、24日に当該自治会の臨時総会を開催。議事録偽造疑惑を「大したことではない」と一蹴し、会館建設を委託する業者との契約締結を議決した。地域の権力者である伊地知市議に同調する関係者が多数を占めており、「議事進行」を主張して疑惑追及の声を圧殺。質問しようとした一部役員らの発言を禁ずるなど強引な議事運営で事が進められたという。
公的な書類である自治会の議事録を偽造するという暴挙を「大したことではない」とうそぶく伊地知氏。「自治」を歪めた彼に、政治家としての資質、資格が問われるのは言うまでもない。ハンターは今後、明和地区で実権を握る伊地知氏絡みの問題について徹底追及していく。
(中願寺純則
元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【行政ニュース・地方自治体・鹿児島県鹿児島市・市内にある集会所の建替えを進めるとして地元地域選出の市議会議員が代表を務める自治組織が市に助成金の申請を行った際、地元の同意に関する事項を偽って総会議事録を作成し、提出していた問題】 2025年08月25日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。