★党首討論が1年ぶりに開かれた。45分間で4党が時間を振り分ける、国会会期末の開催は解散を恐れる野党の質問は攻めるどころか腰が引けた感じで、この時期の開催も国民の消化不良感の要因といえる。まして今回は衆参で、2、3カ月予算委員会を開催しないというストレスが野党にあり激突が期待されたが、攻撃材料がたくさんある野党が攻めきれなかった印象はぬぐえない。

 ★だが、本来の党首討論の制度設計は衆参両院の国家基本政策委員会の合同審査会が国会会期中に原則週1回開かれる。よく党首討論をQTと言うが、英国議会のクエッションタイムが下敷きになっているため議員の中にはその慣習が続いていてそう呼ばれる。だが、当初の国家的テーマについて議論し、直近のテーマは予算委員会で行う、首相も逆質問できるなどは形骸化していて、国家の命題を野党党首が聞いても首相理解せず議論がかみ合わなかったり、テーマをはぐらかすケースも多く、党首討論は国民から見れば徒労45分間でもある。

 ★まして、その45分を各党で分け合うことは野党の質問を分断するだけ。元来2大政党制を想定しての枠組みで、せめて月1、2回開催ならば1政党に45分預けるべきで、1年ぶりの開催など、どうも制度を利用して党首討論の形を与党がゆがめているのではないかと思う。また、19日の討論は予算委員会の質疑とさして変わらず、目的とも逸脱しているといっていい。ただ、予算委員会とは違うのは首相は役人や閣僚に助けを求められない分、その答弁全てが首相自身の責任であるということ。それならば野党は品格と知識と時間配分を間違わず、質問を練ることもできた。結局、参院選挙対策の自党の政策と与党へ対峙(たいじ)する構えを支持者に示しただけに始終したのではないか。その意味では、かわし切った首相の作戦勝ちであるのではないか。ただ、ゆがめられた党首討論の見直しを国家基本政策委員会は早急に議論すべきだ。(K)※敬称略