【中山知子の取材備忘録・04.06】:蓮舫氏の姿なかった立民東京都連大会 賛否両論の参院選出馬論「同じ名前に頼っても…」の声も
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・04.06】:蓮舫氏の姿なかった立民東京都連大会 賛否両論の参院選出馬論「同じ名前に頼っても…」の声も
今夏の東京都議選(6月13日告示、22日投開票)と、その直後の7月に予定される参院選に向け、各党、各候補の準備が進んでいる。4月4日には立憲民主党の東京都連が、国会内で定期大会を開催。都議選や参院選に立候補を予定する党公認や推薦の候補者、支援団体関係者らが集まり、事実上の決起集会のような雰囲気が漂った。
野田佳彦代表もあいさつに訪れ、昨年の衆院選で自公が過半数割れに追い込まれ、少数与党に陥ったことで厳しい国会対応に直面している現実を念頭に「都議会でも緊張感ある都政を、参院でも緊張感ある構成になるように力を結集してほしい」と、訴えた。
候補予定者が顔をそろえ、ガンバローコールで出席者全員が必勝を誓い合う中に、「あの人」の姿はなかった。昨年の東京都知事選で3位に沈んだ、同党の前参院議員、蓮舫氏(57)だ。蓮舫氏をめぐっては今、7月の参院選比例代表への擁立が取りざたされている。取りざたというよりも、調整されている、という方がいいのかもしれない。
都知事選出馬直前まで東京選挙区選出の参院議員だった蓮舫氏にとっては、「国政への舞い戻り」(野党関係者)の機会となることや、選挙区ではなく比例代表で立候補することには、立民内や支援団体から賛否両論が出ているとみられ、3月に一部で擁立論が報じられた後は、水面下での調整が続いている。
都知事選では、3選された小池百合子知事(72)の約290万票、次点の石丸伸二・前広島県安芸高田市長(42)の約165万票に次ぐ、約128万票となった蓮舫氏。都知事選後のインスタライブでは、「次のステージ」に関して「今はねえ、国政選挙はもう、考えてない」と述べ、「国政から卒業して、都知事に手を挙げて、すごい景色を見た」「120万を超えた人が『蓮舫』って書いてくれたことに対して、これでまた国政に戻るというのは、ちょっと私の中では違う」と述べ、「そうしたら渡り鳥みたいじゃない」と口にした。都知事選で獲得した約128万票について「都知事として頑張って、という応援。自分の中で整理をつけなきゃいけないと思っていて、いったん、ピリオドかな」と語りつつ「みなさんにアイデアもらいながら、次のステップを模索していきたい」と述べていた。
昨年の衆院選では50議席増やした立民だが、比例票は前回比で7万票あまりしか増えなかった。関係者からは「(都知事選の票数を考えると)東京で100万票を超える票を集められる人はなかなかいない。票の掘り起こしが託せる」「知名度は、どの候補者よりもある」など、蓮舫氏の擁立論に肯定的な意見も多いと聞いた。
ただ、1度は国政に「いったんピリオド」と口にした蓮舫氏の過去の発言もあってか、「いまさら参院議員に戻ってどうする」「比例で戻ろうとするのは考えが甘いのではないか」と疑問視する声も聞いた。蓮舫氏が出馬することで、当選ラインから外れる他の比例代表候補者が出てくる可能性があることも、慎重論の1つに挙げられている。蓮舫氏との関係性が近い野田代表がいつ、どんな判断を出すのか、関心が注がれている。
蓮舫氏自身、参院選出馬に関しては報道後も、沈黙を保ったままだ。4日の都連大会では、報道陣に非公開で行われた議事の中では、出席者から蓮舫氏の出馬についていつ判断が出るのか、という質問も出たという。都連幹部は「都議選と参院選東京選挙区のためには、蓮舫さんの存在が必要不可欠だという声をいただいた。今、執行部の中で議論をされていることは確かだ。さまざまな調整をして1日でも早く、という答えはさせていただいた」と話した。
また「(公認に関する結論は)1日でも早いほうがいいと思っているが、蓮舫さんの知名度は圧倒的。極端なことを言えば、公示の前日に公認を決めても比例で十分戦えると思う」とした上で、東京選挙区に擁立する2候補と連携した選挙活動が実現することへの期待も示した。
蓮舫氏の「知名度が圧倒的」という事実は、確かにそうだろうと感じる。一方で「いつまでも同じ名前に頼っていても、党の成長はない」との苦言も、耳にした。何よりも、もし蓮舫氏の参院選出馬が決まったとした場合に、蓮舫氏自身は過去の「いったんピリオド」発言を、どのように説明するのだろうか。この「壁」は、そんなに低くはないように感じる。【中山知子】
◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】 2025年04月06日 11:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。