goo blog サービス終了のお知らせ 

路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説②・04.11】:児童虐待最多 子育てに悩む親を支えたい

2025-04-13 05:00:35 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②・04.11】:児童虐待最多 子育てに悩む親を支えたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.11】:児童虐待最多 子育てに悩む親を支えたい

 児童虐待は増える一方だ。子供が頼りにしているはずの実の親が、加害者になってしまうケースが多い。親子に何が起きているのか。背景や問題点を探り、支援を強化したい。 

 全国の児童相談所が、2023年度に対応した18歳未満の子供への虐待は、22万5509件に上った。前年度より1万件以上増え、33年連続で最多を更新した。

 虐待された子供の年齢は「3歳」が最も多かった。主な虐待者は、実の母が48・7%、実の父が42・3%となっていた。

 核家族化が進み、周囲に頼る人が少ないことが背景の一つにあるとされる。また、一人親のため子育ての負担に悩む人や、経済的な困窮に陥っている親子も少なくない。困難な子育て事情が虐待を引き起こすリスクを高めている。

 小さな子が、家庭内で危機にさらされる事態は見過ごせない。一人でも多くの子供を救うために、社会全体で虐待を未然に防ぐ対策を講じていく必要がある。

 香川県では1月、21歳の母親に放置された生後6か月の長女が死亡する事件があった。母親は長男を含めた3人暮らしで、長女が衰弱しているのを知りながら「虐待を疑われると思い、病院に行かなかった」と供述したという。

 痛ましい事件は各地で起きている。母親の犯した罪は重大だが、早い段階でこうした家庭に支援の手が届いていれば、幼い命を救えた可能性が高いのではないか。

 国や自治体は、SNSなども活用して相談窓口を周知すべきだ。子連れでも気軽に相談できる場を作ることが大切だ。また、若い一人親世帯など不安を抱えがちな家庭には、職員が訪問して支援することも考えてもらいたい。

 子育てに悩む親に寄り添う人材を増やそうと、国は「こども家庭ソーシャルワーカー」の資格を新設した。児童相談所や児童福祉施設で実務経験があり、研修を受けた人たちを対象にした資格で、先月、初の認定試験が行われた。

 妊娠期から子育てまで継続的に支援できるよう、こうした人材を活用していくことが重要だ。

 孤立した妊婦を支えるため、居場所づくりに取り組むNPO法人もある。虐待の予防には、官民が連携して困難を抱える親子を支えることが欠かせない。

 虐待の疑いを児童相談所が把握していながら、重大な事態には至らないと思い込み、虐待が深刻化してしまう例も相次いでいる。児童相談所と警察の情報共有も強化していくべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①・04.07》:増え続ける児童虐待 連携の仕組み作りが急務

2025-04-07 02:01:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

《社説①・04.07》:増え続ける児童虐待 連携の仕組み作りが急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・04.07》:増え続ける児童虐待 連携の仕組み作りが急務

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月07日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・03.30】:【児童虐待】:支援が確実に届く体制を

2025-03-31 05:05:40 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説①・03.30】:【児童虐待】:支援が確実に届く体制を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.30】:【児童虐待】:支援が確実に届く体制を

 全国の児童相談所が2023年度に虐待相談として対応した件数が22万5509件に上った。前年度から1万件余り増え、33年連続で最多を更新した。厚生労働省とこども家庭庁のまとめで分かった。
 高知県も448件と、高止まりの状況が続いている。
 命に関わる深刻な事件が後を絶たない。虐待を減らすには予防と早期発見が欠かせない。苦しむ子どもに支援が確実に届くよう、体制整備が急がれる。
 児童虐待は、身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待、心理的虐待の4種類に分けられる。
 暴言などで心を傷つける心理的虐待が最も多く、件数の約6割を占める。子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」もこれに含まれ、警察から児相に連絡するケースが目立つという。
 児童虐待の背景には配偶者間のDVがあることも多い。過去の虐待死の事件では、夫のDVの影響で妻が子どもへの虐待に加担していた。
 児童虐待もDVも家庭内の暴力として一体的に対応することが重要だ。児相と関係機関の密接な連携が求められる。
 また、性的虐待への対応も強化する必要がある。件数では全体の約1%だが、「氷山の一角」と言われる。子どもは性的虐待を受けても、性被害と認識できなかったり、加害者から口止めされたりして被害を訴えないことがある。被害が潜在化、深刻化しやすい。子どもの変化に敏感になり、早期の対応につなげなければならない。
 児童虐待が増え続ける中、支援が必要な子どもと親を支える児相の重要性は高まる一方だ。しかし、現場の体制は追いついていない。
 虐待通告があった場合、原則48時間以内に安全確認する。政府はこのルールの徹底を児相に求めている。ただ、対応件数の増加で業務負荷が増しており、児童福祉司らの疲弊が進む。
 国は、児童虐待防止の総合強化プランに基づき、全国の児相で児童福祉司の増員を進めている。こども家庭庁によると、23年度は全国で約600人を採用したが、退職者も270人いた。うち8割以上は定年以外の理由で「心身の不調」「業務内容・量への悩みや不満」が目立った。
 専門家は「全件に児相が対応すべきかどうか再考する必要がある」と指摘する。深刻な事例に集中できるよう、役割分担を進めることも必要ではないか。市区町村や民間団体との連携を進め、児相の負担軽減に努めることが重要だ。
 政府は、昨年4月に施行された改正児童福祉法に基づき、母子保健と児童福祉に関する相談支援を一体運営する「こども家庭センター」を26年度までに全国で整備する目標を掲げている。だが、設置状況は昨年5月時点で全国の市区町村の約5割、県内では約2割にとどまる。
 孤立した子育て環境は虐待のリスクを高める。悩みや問題を抱える親への支援を充実させたい。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②・12.30》:いじめの再調査 初動の大切さくみ取って

2024-12-31 09:30:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

《社説②・12.30》:いじめの再調査 初動の大切さくみ取って

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.30》:いじめの再調査 初動の大切さくみ取って 

 いじめが起きたのは10年前だ。いじめられた子も、いじめた子も今は10代後半になっている。あまりに長い時を費やしてしまったと言わざるを得ない。

 2014年に長野市の小学校であった1年生男児をめぐるいじめについて、第三者でつくる市の再調査委員会が報告書をまとめた。18年にも第三者委が検証したが、被害児の保護者の求めで、あらためて調査していた。

 子どもの訴えを聞き逃さず、ただちに組織として対応し、学校と教委、保護者が協力して事に当たる環境をつくらねば問題解決は遠のく―。調査で導き出された教訓を重く受け止めたい。

 初動対応が不適切だった。

 いじめの疑いは保護者側が学校に伝えた。ところが双方の児童の聞き取りや保護者とのやりとりはほぼ担任1人に委ねられ、学校と市教委との連携、サポートが不十分だった。

 「その場その場を収めようとする場当たり的な対応」(報告書)の結果、被害児の欠席が目立っていたのに、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」認定も遅れた。最初の第三者委による調査開始までに3年を要している。

 同法に沿って、学校も対応マニュアルは備えていた。あくまで組織として事に当たること、当事者の聞き取りは別々に複数職員の同席で行うこと、管理職や他の職員、市教委とも情報共有しながら進めることが定められていたのに、そうしなかった。

 いじめに対する認識や、法に基づく対応への理解が足りなかったと再検証委は指摘する。

 18年の調査では、いじめで心身に負担が生じた一因には被害児の発達上の特性もあると見ていた。保護者は差別的だとし、再調査委もこの見方を排除した。

 いじめの軽重や受けた傷の深さは他者が安易に決められるものではない。心身の苦痛をどう感じるかは、特性の有無にかかわらず一人一人異なる。

 とりわけ子どもがそれを言葉や態度で表現するのは難しい。声なき声に耳をそばだて、目を凝らすにはチームによる複数の目と耳が要る。多忙な学校だけにそれを求めるのでなく、専門家の助力を含めた現実的な支援態勢づくりを急がねばならない。

 初動を誤り、学校と保護者が不信感を募らせていたずらに時を費やせば、子どもが健やかに成長する権利は侵害され続ける。子どもの最善の利益の実現を、あらためて肝に銘じる必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【主張②・12.29】:自殺強要「殺人罪」 いじめ犯抑止につなげよ

2024-12-31 05:03:20 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【主張②・12.29】:自殺強要「殺人罪」 いじめ犯抑止につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.29】:自殺強要「殺人罪」 いじめ犯抑止につなげよ 

 直接手を下していなくても、被害者を精神的に追い込み自殺させた者は殺人の実行行為をしたに等しい。殺人罪に問う。警察、検察の意欲的な立件だ。

 東京都板橋区の踏切で昨年12月、男性が電車にはねられ死亡した事件で、暴力やいじめで男性を精神的に支配し、踏切内に立つよう仕向け、自殺させたとして警視庁が殺人容疑で逮捕した元同僚4人のうち、検察が2人を殺人罪で起訴した。

男性が列車にはねられて死亡した東武東上線の踏切(内田優作撮影)

 手は下さずに「自殺させた」行為が自殺幇助(ほうじょ)罪ではなく殺人罪で起訴されるのは珍しく、踏み込んだ刑事処分だ。同種事件の捜査への影響は大きい。

 男性は1人で踏切に立ち入り、電車にはねられた。外形上は第三者の関与はないが、捜査の過程で、男性が邪魔だとする趣旨のやりとりを4人がSNSで交わし、死亡現場まで車で連れて行っていたことが判明した。警視庁は1年をかけて殺人罪適用へ捜査を詰めていた。

 被害者を精神的に支配し、犯人が企図する犯罪行為を強要する「間接正犯」の立件はハードルが高い。被害者の精神状態が被告たちに支配されていたことを、捜査側が証拠で示せるかが重要なポイントになる。

 間接正犯の適用は既遂の殺人事件ではほとんど例がない。今回は被害者が死亡していることからも、精神状態の立証は特に難しいとみられている。

 自殺強要に殺人罪が適用できるか否か、裁判では激しい論争が繰り広げられるだろう。自殺教唆罪の法定刑は6カ月以上7年以下の懲役または禁錮、殺人罪は死刑または無期もしくは5年以上の懲役だ。適用罪名によって量刑が大きく異なる。

 検察は今回、被害者を踏切まで連行した2人だけに殺人罪を適用した。現場にいなかった残り2人は監禁罪での起訴にとどめ、殺人罪については処分保留とし、捜査を続けるとした。こちらには、男性への執拗(しつよう)ないじめを主導したとみられる元職場のトップがいる。引き続きの徹底捜査がなされるべきだ。

 ただ、捜査機関がこうしたいじめ自殺を殺人罪で訴追した意義は大きい。陰湿ないじめのエスカレーションへの刑事的対処として、国民感情に沿う対応だと評価する。これを、いじめから派生する犯罪の抑止につなげたい。その観点からも裁判の審理が注目される。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・12.27】:不登校離職 社会で理解広げ、親の支援を

2024-12-27 16:00:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説①・12.27:不登校離職 社会で理解広げ、親の支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.27】:不登校離職 社会で理解広げ、親の支援を 

 不登校の児童、生徒が過去最多に上り、親が離職や休職を余儀なくされる問題が浮かび上がっている。

 見守る心身の負担に加え、経済的にも追い込まれてしまいかねない。子どもとともに、親への支援も不可欠だ。

 宇都宮市のNPO法人が2月、交流サイト(SNS)上で実施したアンケートでは、保護者約380人のうち、子の不登校をきっかけに「退職した」「休職した」が約2割いた。「早退、遅刻、欠勤が増えた」なども加えると、約7割に仕事への影響があったという。

 収入が減った家庭は約4割で、うち月8万円超の減収となった家庭は3割超に上った。

 学校への行き渋りや不登校が始まると、親は学習の遅れへの対応やフリースクールなどの居場所探し、送迎などに時間をとられる。

 近年、小学低学年の増加率が高く、うつ症状を患う場合もある。子どもを独りで家に置いていけないと、寄り添いたい親の思いもある。

 「職場への連絡や謝罪、学校とのやりとり、子どもの対応などで、精神的にもやりきれない」「収入が減るのは苦しいが、子どものそばにいなくてはと考えていた」…。親からは切実な声が上がる。生活が一変してしまう状況は、見過ごしにできない。

 心ならぬ離職は社会的、経済的な損失ともいえる。

 防ぐための職場のサポートが重要だ。法定の介護休暇制度で対応できる場合もあるが、一定期間の時短勤務や週休3日制が可能になる制度を設けた企業もある。自宅で子どもを見守りながら働けるテレワークなど、企業側は柔軟な働き方の選択肢を検討してほしい。

 フリースクールなど、民間施設を利用する家庭向けの経済的支援も課題だろう。

 通学や利用料は大きな負担となっている。京都では舞鶴と亀岡の2市、滋賀では近江八幡や草津など11市町が補助制度を設けているが、限定的だ。どこに住んでいても一定の支援が得られるよう検討してはどうか。

 親を孤立させないことが求められる。

 文部科学省の調査では、不登校の子どもの約4割が学校内外の機関で専門的な相談や支援を受けていなかった。

 先の臨時国会で成立した本年度補正予算には、保護者への相談支援体制を強化する事業が盛り込まれた。当事者の困難と向き合った系統的な支援が必要だ。

 昨年、東近江市の市長が「不登校になる大半の責任は親にある」などと発言し、批判を浴びて撤回したが、「甘え」や「サボっている」といった偏見や誤解はいまだにあり、当事者や親を苦しめている。

 社会で正しい理解や認識を広げて、共有していくことも欠かせない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【こども家庭庁】:虐待疑いの親の面会制限、法的根拠なく現場は苦慮…防止法改正で明文化へ

2024-12-22 05:00:20 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【こども家庭庁】:虐待疑いの親の面会制限、法的根拠なく現場は苦慮…防止法改正で明文化へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【こども家庭庁】:虐待疑いの親の面会制限、法的根拠なく現場は苦慮…防止法改正で明文化へ 

 こども家庭庁は、児童相談所に一時保護された子どもについて、虐待と認定される前の疑い段階でも、保護者の面会や電話を制限できるよう、児童虐待防止法を改正する方針を固めた。制限は現在、強制力のない「指導」として行われており、保護者とトラブルになる例が相次いでいる。同庁は来年の通常国会で同法改正案の提出を目指す。

児童虐待防止法に基づく面会通信制限
児童虐待防止法に基づく面会通信制限

 児相は、虐待を受けた疑いがある18歳未満の子どもを一時保護できる。虐待かどうかは児童福祉司や医師らによる週1回程度の会議などで判断される。虐待と認定されれば、同法に基づき、面会や電話などの通信を制限できる。 

 ただ、認定の前でも、親との接触で子どもの精神が不安定になったり、暴力を振るわれたりする恐れがあると児相が判断すれば、児童福祉法に基づく指導として、面会や通信を制限しているケースは多い。

 指導は任意を前提としているが、保護者の意向に反して制限したことで児相側が各地で提訴されている。娘との面会を制限された母親が起こした訴訟で、昨秋に確定した大阪高裁判決は「事実上の強制による面会制限は、法令上の根拠がなく違法」と指摘した。

 現場では保護者に制限の根拠を説明する際、苦慮しており、児童虐待防止法への明文化を求める声が上がった。このため、こども家庭庁の審議会で議論が進められており、同庁は今月26日の部会で改正案を示す。

 改正案では、疑い段階でも「児童の心身に有害な影響を及ぼす恐れが大きいと認める時」は、児相の判断で制限できるようにすると明示する方針。保護者が暴力を振るう可能性があったり、子どもが激しくおびえたりする場合を想定している。子どもが面会を望むかといった意向も重視する。

 2022年度に全国の児相が対応した児童虐待件数は過去最多の約21万件、一時保護は約3万件だった。

 児童虐待に詳しい相沢仁・山梨県立大特任教授は「法改正後も児相は保護者との接触で引き起こされる子どもの不利益を見定め、本人の意思もくみ取った上で適切に運用していく必要がある」と指摘する。

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【事件・こども家庭庁・児童相談所に一時保護された子どもについて、虐待と認定される前の疑い段階でも、保護者の面会や電話を制限できるよう、児童虐待防止法を改正する方針】  2024年12月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・11.30】:児童虐待/サインに気付き深刻化防げ

2024-11-30 07:58:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説・11.30】:児童虐待/サインに気付き深刻化防げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:児童虐待/サインに気付き深刻化防げ   

 児童虐待が減る兆しが見えない。周囲の大人が危機感を高め、子どもを守る必要がある。

 県内の児童相談所が2023年度に児童虐待の相談を受けて対応した件数は1908件で、過去4番目に多かった。前年度から348件減少したものの、ここ数年は高止まりの状態にある。

 子どもの前で配偶者らに暴力を振るう心理的虐待が対応件数の7割を占める。身体的虐待や性的虐待、育児放棄もなくならない。

 児相や市町村などが虐待を把握したにもかかわらず、最悪の事態に陥ることは避けなければならない。ただ全国で起きた虐待死では、公的機関の対応の不備が深刻化を招いた事例が少なくない。

 こども家庭庁の専門委員会の検証によると、過去の似たケースで問題がなかったため今回も大丈夫と判断したり、親子関係以外の加害者の存在を見過ごしたりした結果、子どもを守れなかった。

 加害者の状態や家庭の状況によって虐待のリスクは変わる。児相などは変化を的確に捉え、リスクを取り除くことが重要だ。

 22年度に把握された心中を除く全国の虐待死56人のうち、0歳児は4割超に上った。経済的困窮や病気などの問題を抱える中で妊娠し、適切な行政支援を受けられず孤立するなどして、虐待に至ったとみられる。問題の背景の一つとして、望まない妊娠が多いことも看過できない。

 虐待防止へ出産前からの支援の充実が求められる中、本年度から「こども家庭センター」の設置が市町村の努力義務となった。従来の母子保健と児童福祉の両部門を一体的に運用し、子育て期まで切れ目なく支援する組織だ。

 県内の設置状況は5月時点で29市町村にとどまる。未設置の市町村には、母子保健と児童福祉を統括する人材の確保など、一朝一夕の対応が難しい課題がある。

 センターの設置は急務だが、既存の体制でも支援を充実できる部分はあるはずだ。未設置の市町村には、センターの準備と並行し、妊産婦らの孤立を防ぐ取り組みを強化することが求められる。

 専門委員会の検証によると、死亡事例の中で虐待の通報がなかったケースは6割に上った。虐待の多くは、外部の目が届きにくい家庭内で行われている。

 虐待が疑われるサインは、子どもが体格や季節に合わない服を着ている、表情が硬いなどさまざまだ。住民らは、地域の子どもに不自然な点があれば迷わず、児相の相談ダイヤル「189」や市町村、警察などに連絡してほしい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  07:57:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・11.28】:不登校の増加/選択肢増やし最適の支援を

2024-11-30 07:58:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説・11.28】:不登校の増加/選択肢増やし最適の支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:不登校の増加/選択肢増やし最適の支援を 

 一人一人に合った、最適の支援を提供できるようにしていくことが大切だ。

 県内の小中学校で2023年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒が前年度から792人増の4338人となり、初めて4千人を超えた。文部科学省の問題行動・不登校調査などによると、千人当たりの割合は33.6人で、19年度の16.4人から倍増している。

 近年は保護者などの間に、学校に行きたがらない子どもを無理に登校させない方がいいとの考えが広まるなど、不登校の子どもを取り巻く環境は変化している。そうした事情を考慮しても、増加のペースは極めて深刻だ。

 不登校の長期化は、学校への復帰を難しくする。学業の遅れなどで、進路選択の幅が狭まりかねないなどのリスクも軽視できない。子ども、家族と学校が話し合って、登校再開を目指してみるという場合には、全力でそれを支えることが重要だ。

 登校が難しいという場合も当然あるだろう。復帰を目指すかそうでないかで線引きをするのではなく、子ども一人一人の状況に合わせ、ケース・バイ・ケースで対応していく必要がある。

 学校では、休みがちな子どもを別教室で受け入れる「サポートルーム」などの取り組みが広がっている。不登校の子どもの受け皿となるフリースクールは県内にもいくつかある。また、県教委はインターネット上の仮想空間「メタバース」を用いて、教員と不登校の子どもらが交流する機会を設ける試みをしている。

 子ども、家族と学校との接点が弱ければ、復帰の糸口がつかめないということにもなりかねない。ノウハウの蓄積を含めた対応を強化し、それぞれの子どもに合った学校や教員とのつながり方を提示できるようにすることが、各教委や学校には求められる。

 不登校の子どもの支援と並行して進めなければならないのは、学校に行きたくないという子どもを増やさないための取り組みだ。不登校は、中学校進学時や学年の変わり目など、環境が変化する時期に増える傾向がある。県教委はこれを踏まえ、小学6年生を対象に学校生活の不安を把握する調査を行うなど、不登校の兆候に対する早期対応を進める考えだ。

 不登校は、子どもが自身の抱える不安に対処しようとしている方法の一つと考えるべきだろう。その不安に学校も一緒に向き合うことで、学校が自身の味方になってくれる存在であると感じてもらえるようにしていくのが肝要だ。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:非行少年の調査 つらい体験が背景に

2024-01-24 08:04:40 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②】:非行少年の調査 つらい体験が背景に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:非行少年の調査 つらい体験が背景に 

 全国の少年院に入所する少年の9割近くが子どものころに親から暴力を受けるなど「小児期逆境体験」をしていることが分かった。つらい体験によるトラウマ(心の傷)が非行や犯罪に影響した可能性がある。こうした体験にも考慮した更生支援の充実が必要だ。
 
 法務省の法務総合研究所が2021年、少年院に入所していた13~19歳の少年591人(男子526人、女子65人)を対象に、18歳までにつらい体験をしたかどうか、12項目について調査。結果は23年版の犯罪白書に特別調査として盛り込まれた。
 
 それによると「家族から殴る蹴るなど体の暴力を受けた」が61・0%、「心が傷つくようなことを言われるといった精神的暴力を受けた」が43・8%に上り、家族にアルコール依存者や違法薬物を使っている人がいた割合もそれぞれ10%を超えた。
 1項目以上に該当する人は全体で87・6%に上り、虐待体験の割合が高い女子に限ると94・6%に達した。
 
 少年非行と子どものころの逆境的体験との関係に関する研究は1990年代から米国などで進んでおり、逆境的体験が心身の健康を損ねたり、非行や自傷行為などリスクの高い行動につながったりする可能性が指摘されてきた。
 
 日本の非行少年も同様に逆境的体験をしていることは、少年非行に関わる現場の人たちや研究者によって指摘されてきたが、今回の調査はそれを裏付けた形だ。
 少年たちが非行に走ったり罪を犯したりした背景に、子どものころの逆境的体験があるという観点から少年非行や犯罪の原因をとらえなおし、更生や支援のための施策を再構築する必要がある。
 
 子どもたちのつらい体験に寄り添い、心の傷を癒やすのはもちろん、子どもたちにつらい思いをさせた保護者を含む家族への支援も欠かせない。
 
 さらに、少年たちの地域での居場所づくりや就学・就労支援、子どもの虐待防止や貧困対策の強化など、社会全体で重層的に取り組むことが必要となる。
 
 少年院など非行少年に対する再教育の場だけでなく、学校現場などでも子どもたちのつらい体験や心の傷と向き合うことは重要だ。今回の調査結果をあらゆる場で生かし、社会をよりよい方向に変えていく、大切な一歩としたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月24日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER2023.05.09】:いじめ隠蔽の鹿児島市立伊敷中、今度は“警察沙汰”に慌て事故報告|事案発生から47日後

2023-05-10 06:23:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【HUNTER2023.05.09】:いじめ隠蔽の鹿児島市立伊敷中、今度は“警察沙汰”に慌て事故報告|事案発生から47日後

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.05.09】:いじめ隠蔽の鹿児島市立伊敷中、今度は“警察沙汰”に慌て事故報告|事案発生から47日後 

 いじめ防止対策推進法が規定する「いじめの重大事態」を隠蔽していた鹿児島市立伊敷中学校が、突然の暴力によって男子生徒が複数個所の骨折を負うという事案の市教委への報告を、1か月半も怠っていたことが分かった。

 伊敷中が市教委に「事故報告」を提出したのは、事案発生から47日後。けがを負った生徒の保護者が、地元警察に事件を届け出た翌日だった。ただし、提出された事故報告はデタラメに近いもので、初回分から2カ月以上経って大幅に書き変えられた報告書が再提出されていた。校内処理で済ませようとして事案を軽く扱ったため、正確な記録が残されていなかった可能性が高い。

 伊敷中による意図的とみられる事案隠しは、これで2度目。鹿児島大学教育学部の代用附属に指定されている同校の、教員養成機関としての資格が問われる事態だ。

 ■書き変えられた「事故報告」

 通常、学校側がいじめや事件・事故を教育委員会に報告するのは、事案発生直後か遅くとも1週間以内。まず電話などで事案発生を知らせ、そのあと所定の様式で詳しい「事故報告」を行う。しかし、伊敷中は、肝心の初動でとんでもない対応を行っていた。

 下は、生徒の保護者が鹿児島市教育委員会から入手した「児童生徒事故報告」。事故発生日は「令和4年9月2日」だが、報告書の提出は同年「10月19日」となっている。事案発生から47日も後だ。

  これだけでも問題だが、より悪質だと思われるのは、当該事案が「警察沙汰」になったことを受け、同校が慌てて報告書を提出したことだ。

 「無言で、しかも後ろから突然押して突き落とした。加害者は、学校の記録にあるような『友人』でもないのに……」。学校側の対応に不信感を抱いた被害生徒の保護者は10月18日、鹿児島県警に被害にあったことを相談。保護者からの連絡を受けた伊敷中は、19日に報告書を作成して市教委に提出していた。よほど慌てたものとみえ、報告の内容はデタラメに近いものだった。その証拠が、報告書提出から2カ月以上経ってから“再提出”された下の報告書である。

  事案発生の時刻は、当初報告より40分も後。事案の発生状況や事後処理についても、次のような違いがある。

 事案発生直後にきちんとした記録を残していなかったのは確かで、事案発生時刻、発生状況、その後の対応のすべてが書き変えられていた。骨折して歩けない被害生徒が、「保健室に来室し」などという1回目の報告は、どうすれば出てくるのか――。

 ■対応の甘さに厳しい指摘

 対応の甘さは、別の文書からもみてとれる。いつ作成されたものなのか判然としないが、事案発生当日の保健室の来室記録(*下の文書)には、『《けが》捻挫(運動場)』とある。その後に続く記述は、実態とかなり違うものだ。

  「病院へ、足、昼休み友人と遊んでいたところ国旗掲揚台のあたりから落ち、左足を負傷した」――押されて落ちたことや、一人で歩けない状態にあったことなどは、どこにも記されていない。「甲の部分に腫れが見られていたので」保護者に連絡し病院受診をお願いしたとあるが、高所から落ちたことを知りながら積極的に救急車を呼ばなかったことは明らかな不作為だろう。

 この点について、鹿児島県内の公立校で教壇に立つベテラン教師は、首をひねりながらこう話す。

 「1メートルもあるところから転落したのであれば、頭を打った可能性もあることから、すぐ救急車を呼んで、脳波などの検査までお願いするのが普通です。私ならすぐ119番します。伊敷中の教員や保健室の先生は落下の瞬間をみていなかったわけですから、まず第一に頭を打った可能性を疑ってみるべきでした。けがをした生徒が動けないほどのダメージを受けていたのなら、本人が『大丈夫』と言っても、やはり救急車ですよ。伊敷中の対応は理解できない」

 ■伊敷中に問われる教員養成機関としての資格

 伊敷中の一連の対応からは、事案を「軽いけがを負った小さな事故」あるいは「なかったこと」にしようとした、隠蔽姿勢が透けて見える。同校には、そうした「体質」があるからだ。

 同校では、令和元年(2019年)に2年生のクラスで複数のクラスメートによる“いじめ”が発生。被害生徒が転校を余儀なくされるという、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」であったにもかかわらず、同校や当時の市教委幹部が共謀して「いじめは解消」として処理。真相を闇に葬っていたことが分かっている。

 伊敷中と市教委幹部による重大事態の隠蔽については、市教委への情報公開請求などから事実関係を確認したハンターが、2021年5月に概要を報道(参照⇒鹿児島市立伊敷中の「いじめ」重大事案、学校と市教委が共謀し隠蔽)。その後、他の市立校での重大事態隠蔽が次々と明らかになり、現在も市教委が対応に追われる事態となっている。

背景にあるとみられているのは、重大ないじめや事故を、校内で処理して済ませようとする校長・教頭をはじめとする教員たちの保身に走る体質。鹿児島県の教育界は教員同士が庇い合う体質が濃厚で、事件がうやむやにされるケースが少なくない。歪んだ教育者たちが寄り添う対象は、「子供たち」ではなく「教員」。教員養成機関である伊敷中が懲りずに隠蔽を繰り返す現状は、同県教育界の現状を映し出しているといえるだろう。

 複数個所の骨折に至った突き落とし事案への不適切な対応について伊敷中側の説明は、「スポーツ振興センターへの保険申請書提出時に(報告を)挙げればいいと考えていた」というもの。しかし、校長や教頭は研修などを通じて事故報告の重要性を十分理解しているはずで、保険申請と市教委への事故報告を混同することなどあり得ない。

 ハンターの取材に答えた市教委青少年課は、伊敷中の初動から報告書提出までの動きについて「言い訳のしようがない」として学校側の過ちを認めている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・いじめ防止対策推進法が規定する「いじめの重大事態」を隠蔽していた鹿児島市立伊敷中学校】  2023年05月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER2022.09.09】:いじめ重大事態のガイドライン無視|被害者救済に動かぬ鹿児島市政

2023-05-10 05:23:40 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【HUNTER2022.09.09】:いじめ重大事態のガイドライン無視|被害者救済に動かぬ鹿児島市政

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.09.09】:いじめ重大事態のガイドライン無視|被害者救済に動かぬ鹿児島市政 

 鹿児島市立伊敷中で2019年に起きた「いじめの重大事態」が隠蔽されていたことを速報で報じてから、1年4か月以上が過ぎた。いじめの重大事態とは、「いじめ防止対策推進法」が規定する次のケースにあたる事案だ。

 

 伊敷中のケースについて詳細を報じる中、2例目、3例目となる隠蔽事案が発覚。その後、鹿児島市における重大事態の認知件数は12件にまで増加している。

 重大事態についての認識が改まったことは評価できるというものの、数々のいじめを隠蔽してきた鹿児島市教育員会やいじめ発生当時の学校関係者が、被害者やその家族に「謝罪した」という話はまったく聞こえてこない。反省する意思がないということらしいが、それは、いじめの重大事態について文部科学省が定めた「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が、守られていないことを示している。

 ■守られぬ「ガイドライン」

 ガイドラインは、冒頭の「基本的姿勢」の中で、次のように規定する。

○ 学校の設置者及び学校は、いじめを受けた児童生徒やその保護者(以下「被害児童生徒・保護者」という。)のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たること。

○ 学校の設置者及び学校として、自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し、被害児童生徒・保護者に対して調査の結果について適切に説明を行うこと。

 残念なことに、「いじめを受けた児童生徒やその保護者の切実な思いを理解」し、対応に当たってきた政治家や役人は皆無に近い。

 自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し」た、いじめ発生当時の学校関係者や市教委の人間は誰一人いない。

 そもそも、鹿児島市の公立校で起きた「いじめの重大事態」は、ハンターが隠蔽の事実を報じるまで話題にもなっていなかった。これは、ガイドラインの次の規定に著しく反する。

(重大事態の定義)
○いじめの重大事態の定義は「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」、「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」とされている。改めて、重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならないことを認識すること。

 ハンターが取り上げた問題の3件は、どれも被害者が転校を余儀なくされた重大事態。いじめというより暴行障害事件と言うべき事案もあった。3件とも「疑い」どころか明らかな重大事態だったにもかかわらず、当時の学校や市教委は積極的に動かず、被害者が転校するように仕向けていた。「「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならない」は、ただのお題目だった。その結果、ガイドライが懸念した「「疑い」が生じてもなお、学校が速やかに対応しなければ、いじめの行為がより一層エスカレートし、被害が更に深刻化する可能性がある」に進んでいた。(*下、参照)

(重大事態として早期対応しなかったことにより生じる影響)
○ 重大事態については、いじめが早期に解決しなかったことにより、被害が深刻化した結果であるケースが多い。したがって、「疑い」が生じてもなお、学校が速やかに対応しなければ、いじめの行為がより一層エスカレートし、被害が更に深刻化する可能性がある。最悪の場合、取り返しのつかない事態に発展することも想定されるため、学校の設置者及び学校は、重大事態への対応の重要性を改めて認識すること。

 最大の問題は、ガイドラインに示された、次の指示が守られていないことだ。

被害児童生徒・保護者等に対する調査方針の説明等

(説明時の注意点)
○ 「いじめはなかった」などと断定的に説明してはならないこと。※詳細な調査を実施していない段階で、過去の定期的なアンケート調査を基に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」旨の発言をしてはならない。
○ 事案発生後、詳細な調査を実施するまでもなく、学校の設置者・学校の不適切な対応により被害児童生徒や保護者を深く傷つける結果となったことが明らかである場合は、学校の設置者・学校は、詳細な調査の結果を待たずして、速やかに被害児童生徒・保護者に当該対応の不備について説明し、謝罪等を行うこと。

 学校の設置者・学校の不適切な対応により被害児童生徒や保護者を深く傷つける結果となったことが明らかである場合は、学校の設置者・学校は、詳細な調査の結果を待たずして、速やかに被害児童生徒・保護者に当該対応の不備について説明し、謝罪等を行うこと」とある。しかし、鹿児島市のおいて、この規定はただの謳い文句。教育関係者も、政治家も、一顧だにしない。

 いじめの実態を隠蔽した学校関係者と鹿児島市教委で、ハンターが報じてきた伊敷中を含む3件のいじめの被害者側に、「対応の不備について説明し、謝罪等」を行った者は一人もいない。重大事態の報告を受けた鹿児島市長も市議会議員も、政治の無策で被害救済ができなかったことについて謝ろうともしていない。ガイドラインどころか、政治や行政の果たすべき責任さえ全うできていないのが現状だ。

 鹿児島市教委は昨年6月、『いじめ防止対策推進法』に基づき設置された「第三者委員会」(正式名称:鹿児島市いじめ問題等調査委員会)に3件のいじめについて検証を諮問。第三者委員会が個別の事案に関する調査を続けてきたが、何の進展もないまま、だらだらと会議の回数だけを重ねている。

 いじめの被害を受けて苦しんできた子供やその保護者に、なぜ誰も謝らないのか――?答えられる人がいるなら、ぜひ話をうかがいたい。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島市立伊敷中で2019年に起きた「いじめの重大事態」が隠蔽されていた事案】  2022年09月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER2022.07.26】:【速報】鹿児島“伊敷中いじめ”いまさらの重大事態認定|保護者側は調査拒否

2023-05-10 05:23:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【HUNTER2022.07.26】:【速報】鹿児島“伊敷中いじめ”いまさらの重大事態認定|保護者側は調査拒否

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.07.26】:【速報】鹿児島“伊敷中いじめ”いまさらの重大事態認定|保護者側は調査拒否 

 鹿児島市内の公立小・中学校で起きたいじめの重大事態について議論を重ねてきた「鹿児島市いじめ問題等調査委員会」(以下、第三者委員会)が、令和元年(2019年)に鹿児島市立伊敷中学校で起きたいじめを、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」に認定する方針を固めたことが分かった。同時期に発覚した「隠蔽されていたいじめ」は、伊敷中の件を含めて3件。他の2件は発覚後すぐに重大事態が認定されていたが、なぜか伊敷中のケースだけが、たな晒し状態になっていた。

 事案の発覚から1年以上経っており、“いまさら”というのが実情。被害者側は今年2月、“市教委の動きが信頼できない”として第三者委員会による調査の辞退を申し出ており、今回「改めて調査させてもらいたい」とする第三者委員会からの打診も断ったとしている。

 

◇   ◇   ◇

 伊敷中で問題のいじめが発生したのは令和元年5月。同校の2年生クラスで複数のクラスメートが、ひとりの生徒をターゲットにいじめを繰り返し、学校側が解決できなかったせいで被害生徒が転校を余儀なくされていた。

 明らかに「いじめ防止対策推進法」が定める“いじめの重大事態”だったが、伊敷中は学校ごとに作成する「いじめの実態報告」の中で『いじめは解消』と報告。ハンターの調べで、いじめが継続していることを承知していた市教委も、学校側とグルになってこれを容認し、隠ぺいを図っていたことが分かっている。市教委の隠蔽は極めて悪質で、被害者家族が提出した『いじめが継続していることを示す文書』を、違法に廃棄した可能性もある。

 いじめを訴えた生徒に、市教育界が救いの手を伸ばすことはなかった。いじめ発生当時の担任の女性教師は、被害生徒の親と会おうともせず責任放棄。元県教育次長の寺園伸二校長(当時)も「私に任せなさい」と大言壮語しながら、いじめが継続していることに抗議されると、「こっちは一生懸命やってるんだ」などと被害生徒の親に逆切れしていた。

 ハンターが学校と市教委による隠蔽行為の全貌を報じたのが昨年5月。これが引き金となる形で、別の公立校の「重大事態」が次々と発覚する事態となり、それまで「0件」だったいじめの重大事態が、現在までに12件を数える異常な事態となっている。

◇   ◇   ◇

 鹿児島市内の公立校で起きた“いじめ”を巡っては、伊敷中のいじめに次いで明らかとなった別の中学での暴行事件を「重大事態」として調査していた第三者委員会の報告書が、暴行の実態を矮小化する一方、事案の隠蔽を図った学校や市教委の責任を過少に見せかける内容だったことが判明。被害者側が「納得できない」として抗議したため、先月30日に予定されていた「答申」が延期されている。

 いじめと真剣に向き合おうとしない鹿児島の教育界に、いじめの撲滅など不可能だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・鹿児島市内の公立小・中学校で起きたいじめの重大事態について議論を重ねてきた「鹿児島市いじめ問題等調査委員会」】  2022年07月26日  11:15:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER2022.07.22】:いじめ助長の教育現場|鹿児島市教委「隠蔽」の実例鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”に

2023-05-10 05:23:20 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【HUNTER2022.07.22】:いじめ助長の教育現場|鹿児島市教委「隠蔽」の実例鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.07.22】:いじめ助長の教育現場|鹿児島市教委「隠蔽」の実例鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”に

 鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”について審議していた「鹿児島市いじめ問題等調査委員会」(以下、第三者委員会)が作成した調査報告書が、当該事案の保護者から否定され、先月30日に予定されていた「答申」が中止された。

 問題の報告書は、いじめの実態を矮小化することで市教委への責任追及をかわす狙いが誰の目にも明らかな酷い内容。ただでさえ揺らいでいた鹿児島市への信頼が、ここに至って地に落ちた格好だ。

 信頼を失った原因の一つが、いじめ事件の矮小化や責任逃れをするために、市教委の役人や教員が手を染めてきた「隠蔽」。以下、その実例である。

 ■隠されていた「いじめの実態調査」

 鹿児島市で起きたいじめについて取材を開始したのは昨年3月。市教委はその時点で、極めてたちの悪い「隠蔽」を行っていた。他の自治体では何の問題もなく開示される「いじめに関する報告書」の開示請求に対し、請求したハンターの記者が求めていない条件を勝手に付け足して「不存在」をでっち上げ、いじめの実態を隠そうとしたのだ。

 いじめは教育現場の「事故」にあたるため、記者はどこの自治体の教育委員会に対しても「いじめ事案の事故報告」を請求する。この請求を受けた鹿児島市教委による「校長の公印が捺してある正式なものですよね」という確認の連絡が、実は巧妙な罠だった。間抜けな記者は親切・丁寧な対応だと思い込み「そうです。いじめの報告書、あるんですよね」と応じ、市教委の担当が「あります」と明言したためすっかり騙された。

 数日後、市教委から郵送されてきたのは「公文書不開示決定通知書」。そこには、「校長が押印し、市に提出された当該事故報告書は、存在しないため」という不開示理由が記されていた。詐欺まがいの手口に怒りがこみ上げてきたが後の祭り。結局、再度開示請求を行い、公立の小中学校から提出された「いじめの実態調査」を入手する。

 同時に、実際にいじめを受けて転校を余儀なくされた被害者やその家族が「個人情報開示請求」を行って入手した関連文書と、突き合わせる作業を開始。そこから、市教委が「いじめの実態調査」を隠蔽した理由が明らかになっていく。

 ■隠蔽の手口

 「いじめの実態調査」はA3用紙の表裏に、定められた形式で記入が義務付けられているもの。学期末にデータを更新し、年度ごとにまとめられて保存される仕組みだ。下がその実物(記載内容と記事は無関係)で、次が記載するにあたっての注意事項や記載方法を示した文書である(*いずれも画像クリックで拡大)。確認しやすいように、(表3)から(表7)までの記入例を拡大しておく。

 被害者側から「内容がひど過ぎる」として否定された第三者委員会の報告書は、令和2年に鹿児島市内の市立中学で起きた暴力的ないじめについて、関係者から聞き取り調査してまとめられたものだ。学校や市教委は、当該事案においても平気で虚偽の記載を行っていたことが分かっている。

 赤い囲みで示したのが当該事案の記載。いじめというより激しい暴行というべき様態であったにもかかわらず、「g」=「いやなことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」には〇印がない。また、実際にはなかった「当該いじめについて、被害、加害双方の児童生徒同士の話し合いを実施」に、なぜか〇印がついている。

  上掲のケースは序の口で、もっと悪質なのが、犯罪行為に近いとみられる虚偽記載だ。当該事案の被害者が受けていたのは、いじめというより激しい暴行。首を吊り上げた形で絞める、お姫様抱っこして3階の教室から落とそうとする、両手で頭を押させて扉に打ち付ける、高所恐怖症を知った上での肩車といった行為が日常的に繰り返され、同時に「死ね」、「殺すぞ」、「きもい」、「消えろ」、「臭い」といった暴言も続いていた。その結果、被害者は心身に重大な障害を受け県外の学校への転校を余儀なくされたが、報告書では下に示した通り「」=「いじめが解消しているもの」として処理されていた。

 未解決のいじめを「終わったこと」にしたのは、責任の所在を曖昧にするためだ。目の前で継続していたいじめと、真剣に向き合おとしなかった当時の学校関係者と市教委幹部は、改めて処分されるべきだろう。

  記録上でいじめの存在を隠した学校や市教委は、実態が暴かれることを恐れていたはず。その卑劣さが、次の隠蔽を呼ぶ。

 黒塗り箇所がない上掲の報告書は、被害者側が「個人情報開示請求」によって入手したもの。一方、ハンターが先行して入手した同じ文書(下、参照)では、本来非開示にする必要のない部分を黒塗りされていた。見比べれば一目瞭然。ハンターに対して黒塗りにした箇所を開示しても、個人が特定されるわけではない。暴行の事実や区域外就学が露見することで「いじめ」の実態がバレると見込んだ市教委が、やってはいけない「隠蔽」に走ったということだ。

 

 ■「重大事態の申し立て」を黒塗りにして隠蔽

 次に紹介するのは、平成30年に市内谷山にある小学校の6年生のクラスでいじめを受け、学校と市教委が解決に動かなかったことから、やむなく学区変更を願い出た児童の事案に関する報告内容の一部だ。市立伊敷中で令和元年に起きたいじめが、学校と市教委によって隠蔽されていたとするハンターの記事を読んだ保護者が、自身の子供のケースを確認するため市教委に個人情報開示請求を行って入手していた。「いじめの実態調査」の中の『学校の対応』の欄には、「本児童保護者から重大事態の申し立てがあり」とある。

  市教委は、当然開示すべき「本児童保護者から重大事態の申し立てがあり」という記述内容を、ハンターの請求では黒塗りにして隠していた(下が開示資料の該当部分)。いじめの重大事態が発生していたことを、組織ぐるみで隠蔽した証拠である。

 数々のいじめが隠蔽されてきた結果、昨年から今年にかけて、長年0件だった「重大事態」が11件に急増。市教委と第三者委員会の機能がマヒする状況になっている。いじめを助長したのは、間違いなく鹿児島の教育現場だ。

 一体誰のための「いじめ防止対策推進法」なのか――。ここで立ち止まって考えるべきだが、市教委青少年課の課長としていじめの隠蔽に関わったとみられる猿渡功氏を公立小学校の校長に異動させるなど、鹿児島の教育界には関係者に「反省」を促す気配さえない。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【行政ニュース・鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”】  2022年07月22日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER2022.07.15】:作り話、矮小化、責任逃れ ― 鹿児島市いじめ問題第三者委員会の悪質調査報告

2023-05-10 05:23:10 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【HUNTER2022.07.15】:作り話、矮小化、責任逃れ ― 鹿児島市いじめ問題第三者委員会の悪質調査報告

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.07.15】:作り話、矮小化、責任逃れ ― 鹿児島市いじめ問題第三者委員会の悪質調査報告 

 鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”について審議していた「鹿児島市いじめ問題等調査委員会」(以下、第三者委員会)が作成した調査報告書の内容に数多くの不審な点がみつかり、当該事案の保護者が「納得できない」として抗議。先月30日に予定されていた「答申」が延期された。

 市教委側は保護者への説明で報告書を「凍結する」と明言したが、ハンターの記者が改めてその内容を確認したところ、暴行の実態を矮小化したり、被害者が知らない新たな加害者を登場させたりと、いじめを過少に見せかける記述がずらり――。被害者側に新たな苦痛を与えることになった報告書を検証する。

 ■激しい暴行、ことさら軽く

 市教委の諮問を受け第三者委員会が作成したのは、31ページからなる「令和2年度鹿児島市立中学校生徒のいじめの事案に関する調査報告書」。令和2年に鹿児島市内の市立中学で起きた暴力的ないじめについて関係者から聞き取り調査し、経緯や課題をまとめたものだ。
(*下が報告書の表紙と目次)

 当該事案の被害者が受けたのは、いじめというより激しい暴行。首を吊り上げた形で絞める。お姫様抱っこして3階の教室から落とそうとする。両手で頭を押させて扉に打ち付ける。高所恐怖症を知った上での肩車。同時に、「死ね」、「殺すぞ」、「きもい」、「消えろ」、「臭い」といった暴言も日常的に繰り返されていた。

 では、1年かけてまとめられたいう第三者委員会の調査報告は、問題のいじめをどこまで正確に把握し、責任の所在を明確化しているのか――。被害者家族と共に報告書を検証してみたところ、被害にあった子供にも責任があったかのような記述が連続して出てくる他、架空の話(でっち上げ)まで登場するという酷さ。暴行による激しいいじめを矮小化し、学校と市教委の責任を過少に見せかけようという姿勢が露骨に示された内容となっていた。問題の箇所を列記すれば数十か所になるため、下に、報告書の記述と真相の、大きな相違点だけをまとめた。

 頭を両手で押さえられ扉に連打されるという激しい暴行は教員が現認した出来事だったが、報告書では「頭を両手で持たれて壁にぶつけられる」。暴行の激しさは、まるで伝わってこない。

 首を持たれ吊り下げられるという被害は、「首に手を回されそのまま持ち上げられる」と、状況がよく分からない形にされている。

 明らかに暴力行為を矮小化したと思われるのは、加害者が被害者をお姫様抱っこして運び、膝から上の身体を3階の窓から外に出して「落とすぞ」と脅した場面の記述。殺人事件に発展しかねなかった暴行は、「抱き上げられて窓の近くまで連れて行かされて落とすぞと脅される」と簡略化されていた。第三者委員会が『お姫様だっこ』や『3階の窓の手すり部分に膝の裏をかけられ、上体を外に押し出された』という肝心な部分を削ったのは、「暴行を軽くみせよう」という意図があってのことだろう。

 いじめについて聞かれた被害者が「楽しくありません、嫌です」と明確に答えていたにもかかわらず、調査結果は「楽しかったとは答えずに楽しくなかったような態度を示した」――。被害者について、何度も「ニコニコ」していたという記述が出てきており、いじめが放置された責任の一端を被害者自身に押し付けた格好だ。

 事実関係の確認もせずにこんな報告書をまとめる大人たちが、実はいじめを助長している。第二の加害者と言っても過言ではあるまい。

 ■いじめを認めたくない教育界の現状

 学校側が最初に暴行現場を現認したのは、令和2年9月3日だ。この時は、被害者が加害者から頭を両手で持たれて、10回ほど教室のドアにぶつけられている。発見したのは、そのときに通りかかった隣のクラスの教員だったが、事情を聞いた担任も含めて、学校側は何故かこの事案を「いじめ」と捉えていなかった。

 同月4日以後、①頭を両手で持たれて扉にぶつけられる ②後ろから首に手を回されそのまま持ち上げられる ③抱き上げられて窓の近くまで連れていかれて落とすぞと脅される ④Aが高い所が苦手なことを知りながら肩車をされる ⑤殺すぞ、死ね、きもい等の暴言を吐かれるといった暴力行為は続いたが、学校側が「いじめ」として認識したのは、同年10月7日に①から⑤までの全ての暴力行為を受けた被害者が実情を親に訴えた後だった。その日のことを、報告書はこう記す。

令和2年10月7日、AはBから、前記1から5までの全ての行為を受けた。それまで、AはBからそれらの行為をされても泣いたりすることはなくニコニコしているときもあったが、その日は、Bから、頭を扉にぶつけられている最中に涙を流した。Aが涙を流した後も、Bに泣き虫などと言われ、Bからの行為が続いた。

 ここに「泣いたりすることはなくニコニコしているときもあった」と入れたのは、いかにも作為的。“ニコニコしていたから、いじめだと思わなかった”という、学校や市教委の「言い訳=本音」につながるものだ。

 まず報告書は、「重大事態の判断」の中で次のように述べる。

本事案の経緯や、Aの保護者から学校に提出された診断書の写しの内容からすると、Aは、令和2年9月3日以降のBのいじめ行為により、頚部絞扼による眼底出血、頭痛、頚部痛の発症、およびPTSD・自律神経失調症が悪化したと認められる。

したがって、学校が、Aの保護者からAに関する診断書の写しの提供を受けた同年12月15日頃には、「いじめにより」「学校に在籍する児童等」であるAの「心身」に「重大な被害が生じた疑い」があった(「重大事態」)と認められる(法28条1項1号)。

 「教育委員会への報告について」では、

学校は、令和2年10月7日・8日にAに対するいじめがあったことを把握したのであるから、この時点で速やかに、教育委員会へ報告すべきであったが(法23条2項参照)、報告しなかった。このことにより、教育委員会による支援が迅速になされず、事態の更なる悪化につながったことを、学校は再認識すべきである。

 9月3日に初めて暴行現場を現認し、10月7日に事態悪化を把握していた学校側が、市教委に本事案の第一報を入れたのは、それから2か月も経った同年12月2日なのだという。以下、報告書の記述である。

学校が令和2年12月2日に本事案について教育委員会に第一報を入れて以降、学校と教育委員会は本事案への対応のため連携を図っていた。同月15 日に保護者から学校に提出された診断書の写しが、 どの時点で教育委員会に提出されたか時期については明確に特定できないものの、学校が作成した令和3年6月14日付け「令和2年度 2学年男子いじめ事案の状況」と題する文書において、学校はそれまでの経緯を、令和2年12月23日に教育委員会へ報告した旨が記載されていることから、遅くともその頃までには、教育委員会も、AがBのいじめ行為により眼底出血やむち打ちを発症するに至ったことを把握した。

 つまり、教員が9月3日に暴行の現場を現認しておきながら、その日に「事故」としての報告がなされなかったことによって暴行が過激化。学校側は10月7日に事態の悪化を知りながら市教委への報告を怠り、2か月を経た12月2日になって報告を受けた市教委も、「いじめの隠蔽」についてのハンターの報道が始まった昨年6月まで、「重大事態」の認定を行なわなかったということ。「いじめ」を認めようとしない鹿児島市教委育界の現状が、被害を拡大させたのは確かだ。

 ■保護者の怒り

 報告書についてはさらに検証を続けるが、暴行を受けた被害者の保護者は、「現段階での感想です」とした上で次のように話している。

先月30日に答申するとの連絡がありましたので、説明を受けるため、急遽、鹿児島に帰りました。空港に着いた時「決戦の日が来た」と思ったとたんに、大粒の涙が溢れて来ました。

当日の朝、「気を付けてね。いじめのことで何回も往復させてごめんね」と、子供から謝罪の言葉がありました。『謝る必要などまったくない子供に、謝らせるような大人たちが許せない!』と改めて感じました。その大人たちに謝らせる結果が出ると思って市教委に行き、報告書を手にし、私の目に入って来た文字は“誰のことを調査した報告書だ?”と首をひねらざるを得ない内容でした。

いじめ重大事態を11件抱えているという第三者委員会の調査報告第1号は、事実無根のことが多々あり、正確に記録されていたはずの時系列や、私の意見書をほとんど無視した内容でした。

調査委員には、弁護士・臨床心理士・精神科医・警察OBと専門的な方々が配置されているにも関わらず、学校・市教委の杜撰な対応を容認するような内容の報告書だったといっても過言ではありませんでした。また、被害者のイメージを作り上げ、加害者を過小評価するような内容、いじめの内容についても著しく省略されていました。

報告書をまとめた調査委が、文科省が策定したガイドライン(「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」)に定められた「いじめの事実の全容解明、当該いじめの事案への対処及び同種の事案の再発防止が目的であることを認識すること」を完全に無視した証拠です。

うちの子供が受けたいじめは、激しい暴行を伴う犯罪行為であり、「保護者が重大事態として調査をしてください」と求めなくても、ただちに警察と連携し、重大事態としての調査を始めなければならなかったケースです。しかし先日の調査結果には、「警察と連携しなかったことについては問題ない」、「学校・市教委は、重大事態に対する認識・対処に問題があった」と記されていました。

当時、うちの子供が通っていた中学校の校長先生はと教頭先生は、教育委員会から来られた方々でした。いわば学校に指導する立場だった方々です。その先生たちが『認識不足や対処に問題があった』(報告書の記述)と指摘されていることには、驚きを禁じえません。今後、どのような責任をとられるのか、あるいは「処分」があるのか、注視していきたいと思っています。

報告書には事実無根の内容が多く、公平な立場である第三者委員会が、学校・市教委を上回るほど信用できない組織だと感じる報告書でした。

 昨年から鹿児島市内で起きた複数のいじめについて報じてきたが、はっきりしたのは、いじめを矮小化し(あるいは「なかったこと」にし)学校や教育委員会の責任をうやむやにしようとする鹿児島教育界の歪んだ姿勢だ。この報告書は、その証拠とも言えるだろう。いじめ事件の矮小化や責任逃れをするために、教育委員会の役人や教員が手を染めるのは「隠蔽」。次稿で、鹿児島市教育委員会が行ってきた「隠蔽」の実例について、改めて報じる。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・鹿児島市内の公立校で起きた“いじめの重大事態”】  2022年07月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする