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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説・05.26】:マンション再生/「老い」支える幅広い策を

2025-05-27 06:00:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説・05.26:マンション再生/「老い」支える幅広い策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.26】:マンション再生/「老い」支える幅広い策を 

 老朽化したマンションの再生を促すため、分譲マンション関連の一括改正法が、参院本会議で可決、成立した。来春の施行を目指す。

 所有者の多数決で決められる再生策として、現行法の「建て替え」のほかに「建物と敷地の一括売却」「1棟リノベーション」「取り壊し」の3種類を追加する。

 決議に必要な賛成を、所有者の「全員」から建て替えと同じ「5分の4」に要件緩和する。耐震性の不足などがあれば「4分の3の賛成」で再生可能とする。意思決定を迅速にして、災害時の損壊や管理不全による廃虚化を防ぐのが狙いだ。

 法改正により合意形成のハードルは下がるが、個人の財産に関わる問題のため、所有者の主体的な意思決定を後押しする仕組みや行政による支援の強化などが急がれる。

 国土交通省によると、2023年末時点で築40年以上の分譲マンションは137万戸あり、全体の約2割を占める。20年後には3・4倍の464万戸に膨らむという。住民合意や権利調整、分譲時に安く設定された修繕積立金の不足といった難問が山積し、再生はなかなか進まない。

 マンションの建て替え問題は、阪神・淡路大震災でクローズアップされた。全半壊の分譲マンション(10戸以上)172件のうち109件が建て替えを選択したが、合意形成は難航を極めた。完成までに最長15年かかるなど長期化し、再建後の再入居が半分以下の事例もみられた。

 老朽化による建て替えも同様の難しさを抱える。築年数の経過と、住民の高齢化という二つの「老い」に向き合い、建築や法律の専門家を派遣するなど幅広い観点からのサポートが求められる。

 近年は資材の高騰などで再建費用が膨らんでいる。国交省が17~21年の建て替え事例を分析したところ、1人当たりの平均負担額は約2千万円に上る。高齢の所有者らが建て替えをためらうのも無理はない。不安を抱く人への配慮が必要だ。建物の骨組みは残したまま内外装などを一新させる「1棟リノベーション」は費用を抑える効果が期待できる。

 改正法では、隣接地の所有者に対し、土地の権利と引き換えに大規模化して建て替えるマンションの区分所有権を与えられるようにする。戸数を増やして売却し、建て替え費用の一部を賄うことで負担を抑える手法は都市部で有効だろう。

 一方、高さ制限などで従前より高層化するのが困難なケースも考えられる。老朽化の解決策は建て替えだけではない。耐震改修への補助をより手厚くするなど、国や自治体は住まいの安全安心を高める多様な手だてを充実させねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年05月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・05.12】:週のはじめに考える 地域支える「自分ごと化」

2025-05-12 07:16:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説①・05.12】:週のはじめに考える 地域支える「自分ごと化」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・05.12】:週のはじめに考える 地域支える「自分ごと化」 

 「自分ごと化」という言葉を耳にしたことはありますか。目の前の課題を「しょせん人ごと」と放置せず、解決に主体的に関わることを意味します。もしかすると、あすの地域社会を支えるキーワードになるかもしれません。
 東京都内の私立高校2年生だった山中百合花(ゆりか)さんが三重県大台町の無人駅に降り立ったのは2023年春のことです。内閣府の「地域みらい留学」制度を利用し、全国でも珍しい全寮制の県立昴(すばる)学園高校に1年間の国内留学をするためでした。
 大台町は、町の全域が国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークに認定された自然豊かな地域ですが、人口減少に歯止めがかからず、現在は8千人強。高齢化率は43%を超え、いわゆる「消滅可能性自治体」に数えられます。

 ◆みらい留学で大台町へ

 以前から「地方創生」に関心があったという百合花さんは、三重との縁はありませんでしたが、地域密着や自由、自立を重んじる校風が気に入り、昴学園への留学を決めました。地域の課題を深掘りする通年授業で「町の人口減」をテーマに選び、町職員や診療所医師、町内会長、同世代の若者らにインタビューを重ねます。
 浮かび上がったのは、医療や買い物、就職、交通の面では都市部に劣っても、自然にあふれ、物価も安く、子育てしやすいという町の実像でした。自身も実感した人の優しさ、地域との触れ合いなど「想像以上の過ごしやすさ」を町外の人にも知ってほしい-。そんな思いから、独自の「人口増加プロジェクト」をまとめました。
 その中で提案したのが、テレワークが可能な子育て世帯向けの住居を用意し、まずは1年「お試し移住」を体験してもらうというアイデアです。町の魅力が伝わり、本格的な移住者増のきっかけになるのではないかと考えてのことです。空き家の活用、通信環境の充実、車の貸与などの具体策、事業費の見込みまで盛り込みました。
 その提案を内閣府の「地方創生☆政策アイデアコンテスト」に応募したところ、見事、23年度の最優秀賞に輝きました。昴学園の担当教諭が「ほぼすべて自力で完成させ、コンテストも自分で見つけてきた」と感心する提案書からは百合花さんがまさに「自分ごと」として、町の課題に向き合った熱意や気概が伝わってきます。

 ◆「行政」だけでは限界が

 行政の現場では、市民参加や協働の手段としてパブリックコメントやアンケートなどが用いられますが、既に結論は固まっていて、市民の声を聞くのは形だけ、ということもままあります。しかし、昨今、社会の課題が多様化、複雑化するなか、従来の手法や行政の力だけでは最適解を見つけられないことも。ほかならぬ行政側がそのことを自覚し始めています。
 例えば、4月に発足した文部科学省の「地域大学振興に関する有識者会議」では、大学教授や自治体幹部らと並び、地方の大学生6人が特別委員を務めます。学生の委員就任はまれなことですが、文科省の担当者は、少子化で危機にある地方大学の今後がテーマだからこそ、当事者の学生にも試行的に参加を求めたと説明します。
 政策シンクタンク構想日本は名称もずばり、「自分ごと化会議」を提唱しています。自治体が無作為抽出した市民に公共交通や防災など地域課題の解決策を探ってもらい、施策に生かす。これまでに72の自治体が、この仕組みを採用しています。住民が課題への対応を行政任せにしない姿勢はシビックプライド(地域への誇り)の醸成にもつながるでしょう。
 大台町は百合花さんの提案を基に今年4月、子育て世帯向け「お試し住宅事業」を始めました。空き家を改修=写真=して家具や家電を調え、入居者を募集中です。

 ◆お試し移住は今後も継続

 一高校生のアイデアを政策に反映させるのは町にとっても初の試み。まずは1世帯の募集で、予算の関係もあり、提案を丸々採用することはできませんでしたが、事業は今後も継続する方針です。
 百合花さんは今春、慶応大総合政策学部に進学しました。法律や自治、行政の仕組みなどを専門的に学び、地域社会の課題解決に本腰を入れて取り組みたいと考えています。その志の原動力となっているのは1年間の留学で心の底から感じた人とのつながりや地域コミュニティーの大切さ。「将来は大台から地方創生を実践したい」と話すほど、町との縁は、切っても切れないものとなりました。
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年05月12日  07:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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《社説②・04.14》:デジタル遺品の扱い ルール化の議論始めねば

2025-04-14 02:05:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

《社説②・04.14》:デジタル遺品の扱い ルール化の議論始めねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・04.14》:デジタル遺品の扱い ルール化の議論始めねば

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月14日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・04.08》:単身高齢者の貧困 暮らし守る仕組み強化を

2025-04-09 02:03:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

《社説②・04.08》:単身高齢者の貧困 暮らし守る仕組み強化を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・04.08》:単身高齢者の貧困 暮らし守る仕組み強化を 

 単身高齢者の貧困が深刻な社会問題となりつつある。セーフティーネットの強化が急がれる。

 2024年の生活保護申請件数は速報値で25万5897件に上った。5年連続の増加で、今の調査方式になった13年以降では最多となった。

 生活保護受給世帯の過半数を占めるのは単身の高齢者だ。

 1人暮らしは、家族と同居している場合より、家賃や光熱費といった生活コストが割高になる。高齢になると収入は減り、病気やけがなどのリスクも高くなる。蓄えが少なければ経済的困窮に陥りやすい。

<picture>高齢者宅を訪問する地域包括支援センターの職員(左)。弁当を渡しながら近況を聞く。貧困リスクを抱える単身の高齢者にはさまざまな支援が求められる=千葉県流山市で2023年2月、柴田智弘撮影</picture>

高齢者宅を訪問する地域包括支援センターの職員(左)。弁当を渡しながら近況を聞く。貧困リスクを抱える単身の高齢者にはさまざまな支援が求められる=千葉県流山市で2023年2月、柴田智弘撮影

 総世帯のうち単身者の割合は10年の32%から20年には38%に増えた。背景には未婚率の上昇などがあり、今後も1人暮らしの人は増加が見込まれる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月08日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.12】:実家じまい 親子で事前に話し合いたい

2025-01-14 05:00:35 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説①・01.12】:実家じまい 親子で事前に話し合いたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.12】:実家じまい 親子で事前に話し合いたい

 離れて住む両親が亡くなった後、実家をどうすべきか、途方に暮れる人は少なくない。親子で家の処分や活用の方法を、あらかじめ話し合っておくようにしたい。 

 親が死去したり、施設に入所したりした後、家族が残った家を整理する作業は「実家じまい」と呼ばれる。最大の問題は、家屋と土地の取り扱いではないか。

 東京の不動産会社が実家を売却した人を対象に、処分にかかった期間を調査したところ、6か月未満が7割を占めた。その際の苦労や後悔を尋ねると、「思うような価格で売れなかった」という回答が4割に上ったという。

 実家をどうするのか考えていない状況で親が亡くなり、相続税の納付期限を念頭に、急いで売却する人が多いのだろう。相続の際、権利関係を巡って親族間でトラブルになることもある。

 実家から離れて暮らす人は、実家じまいにかかる手間や費用の負担が特に大きい。全国の空き家は900万戸に上り、30年前から倍増した。このうち、385万戸は、用途が決まらないまま放置されている可能性があるとされる。

 家は構造や築年数のほか、立地が都市か地方かによって資産価値に幅がある。賃貸に出したり、セカンドハウスとして活用したりする選択肢もあろう。事前に親の意向も確認し、きょうだい間で共有しておくことが重要だ。

 とはいえ、不動産の知識のない人が家や土地の処分や活用の方法を検討するのは難しい。多くの自治体が、司法書士や税理士らによる無料相談会を開いている。まずは専門家に相談し、どのような方法があるかを知っておきたい。

 実家じまいの際には、家具や衣類、食器のほか、車や農機具などをどうするかも悩みのタネだ。実際に片付ける段になると、どこから手を付けたらいいか分からないという人もいるに違いない。

 処分の方法を決める際には、親の意見に耳を傾けることも大事だ。実家にある品々は、親の生きた証しであり、家族の思い出も詰まっている。「本当に必要なの?」などと詰問すれば、親の心をむやみに傷つけかねない。

 話し合いの結果、手元に置いて残すものと、廃棄するものを書き留め、少しずつ段ボールに仕分けしておくことも一案である。

 年末年始に帰省した人もいるだろう。自分が生まれ育ち、今も親が暮らす実家の処分となると、決断も容易ではないはずだ。新しい年に時間をかけて考えたい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.14】:離島の職員定数割れ 強い危機感持ち対策を

2025-01-14 04:01:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説・01.14】:離島の職員定数割れ 強い危機感持ち対策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.14】:離島の職員定数割れ 強い危機感持ち対策を

 小規模離島自治体の職員確保を巡る状況が深刻だ。将来にわたって必要な行政サービスの水準を維持することができるのか。県全体で「強い危機感」を持つ必要がある。 

 人口2千人以下の県内離島10町村の正規職員数を本紙が調べたところ、全町村で定数を割り込んでいることが分かった。

 欠員が最も多かったのは与那国町で18人、定数の約2割に及ぶ。伊平屋、南大東、北大東の3村が各7人と続いた。

 10町村の欠員は計70人、定数の11・5%に上る。

 定数割れが深刻化する中、既に住民に不可欠な行政サービスへの影響が出始めている。

 与那国町では町立幼稚園1カ所が休園。伊平屋村ではフェリー運航に必要な機関士を配置できていない。渡名喜村では島でただ一つの保育園が6年間、開園できないままだ。

 欠員をカバーするために、残る職員の業務や負担が増え、新たな事業に着手できないといった「負のスパイラル」も生じている。

 自治体にとって、質の高い行政サービスを担う若手職員や専門職の確保は大きな課題だ。

 しかし応募者が少なく、採用が決まっても辞退するなど、急速な人口減は退職者の補充にも影を落としている。

 非正規の会計年度任用職員などで対応しているところもあるが、このまま人手不足が続けば、役場の業務が成り立たないといった事態にも陥りかねない。

               ■    ■

 長く出生率日本一の座を守り、最近まで右肩上がりで人口が増えてきた沖縄は、人口面からは「優等生」と見られてきた。

 昨年、人口戦略会議が発表した「消滅可能性」のある744自治体の中に、県内からは一つも入っていない。逆に「自立持続可能性」のある65自治体のうち17を県内で占めていた。

 人口戦略会議編著『地方消滅2』は、「島嶼(とうしょ)部も含め地域ごとに子育て支援の取り組みがなされていて、人口のボリュームとしては小さくても健闘している」と分析している。

 全国と比較すれば健闘しているかもしれない。県全体では活気があるように映るのだろう。

 ただ島ごとの人口動態を見ると、小規模離島で現実に広がる風景は危機的だ。

 出生率日本一に引きずられ、少々のんびりし過ぎたのではないか。

             ■    ■

 平成の大合併に際し、県内離島町村は「地域の個性をなくす」と国の姿勢を批判した。自然を敬い、伝統を大切にし、人々が深く結び付く島の魅力は、人口や効率性だけでは計れない。

 まずは息長く組織を支える正規職員の確保が急務である。

 政府は地方創生に向け、若手国家公務員が二つの地域を生活拠点にし、市町村を長期的に支援する制度を来年度から始める。

 県も4月から渡名喜村に応援職員を派遣する。

 人材派遣の枠組みづくりや財政面での後押しなど支援の充実が求められる。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月14日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.12】:孤独・孤立対策 希望を生む支援の充実を

2025-01-12 06:05:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説①・01.12】:孤独・孤立対策 希望を生む支援の充実を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.12】:孤独・孤立対策 希望を生む支援の充実を

 人知れず孤独・孤立に悩んでいる人がいる。頼れる相手を見つけられず、立ち尽くしている人もいる。こうした人たちが、人とのつながりを実感できる社会を築きたい。

 2023年の政府の実態調査によると、孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と答えた人の合計は約4割だった。

 21、22年の調査結果と比べても大きな違いはない。交流サイト(SNS)で手軽につながる時代でも、かなりの人たちが孤独を感じていることがうかがえる。

 年代別に見ると、高齢者より20~50代の方が高い。未婚者、家族と離別した人、健康状態の悪い人、世帯収入が低い人ほど孤独・孤立の傾向が強まると分析している。

 気になるデータがもう一つある。自殺者の数だ。

 10年代は10年連続で減り、19年に過去最少の2万169人となったが、20年以降は増減を繰り返している。下げ止まりは明らかだ。

 自殺には複合的な要因が絡み、多くは健康や家庭の問題、経済状況などが背景にあるといわれる。

 こうした状況から、孤独・孤立対策推進法が昨年4月に施行された。孤独・孤立は誰でも人生のあらゆる段階で生じ得ることを前提に、国や自治体の対策を規定する。

 個人の問題ではなく、社会の問題として克服する一歩と受け止めたい。

 対策として、悩んでいる人が「助けて」と声を上げやすい社会づくり、24時間対応の相談体制整備、地域での居場所の創出、NPOとの連携強化などを挙げた。早急に具体化させる必要がある。

 自治体や市民団体で協議会を設け、対策に取り組むことも促している。

 まず必要なのは、孤独・孤立による悩みや困り事があるのに、相談相手がいない人、我慢している人を把握することだ。支援策を伝える手段も工夫したい。

 先行する自治体には参考になる取り組みがある。

 北九州市は、高齢者の孤立死をきっかけに「いのちをつなぐネットワーク」と名付けた事業を08年度に始めた。

 自治会やかかりつけ医、民間事業者などが協力して地域の網の目を細かくし、高齢者に限らず支援が必要な人の孤立を防ぐ仕組みだ。区役所にコーディネーター役の専任の担当者を配置し、官民のサービスに結びつける。

 福岡市では13年度から企業などの協力を得て、高齢者の見守り活動を推進している。食を通じ、多世代が交流する居場所を運営する民間団体への支援も強化している。

 孤独・孤立に直面する人には、病気や家族関係、経済的困窮のように、他人が触れにくい問題を抱える。

 当事者の心情に配慮し、話ができる関係づくりから始めたい。「1人ではない」と思ってもらうことから希望が生まれるはずだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《憂楽帳・01.11》:「シュウ活」

2025-01-11 13:13:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

《憂楽帳・01.11》:「シュウ活」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.11》:「シュウ活」

 「終活」と聞いて何を思い浮かべるだろう。葬儀や相続といった死後の手続き、介護や延命治療に対する意思の整理。私にはまだ、「その時」を想像して考えをまとめる自信はない。

 そんな中、福岡市の一般財団法人「ウェルネスサポートLab」が企画する「シュウ活講座」に参加した。片仮名の「シュウ」を当てるのは「終わりの活動じゃない」との思いから。講座では「その時」より前に、日ごろ大事…、

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【社説・01.11】:認知症基本計画 当事者の声を推進力に

2025-01-11 04:01:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説・01.11】:認知症基本計画 当事者の声を推進力に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.11】:認知症基本計画 当事者の声を推進力に

 自分が、家族が、親戚が、近所の人が-。認知症は今や多くの人にとって身近な病である。 

 急速な高齢化に伴い、認知症になる人が増加する中、政府が「認知症施策推進基本計画」をまとめた。

 認知症の人が尊厳や希望を持って暮らせる共生社会の実現を目指し、昨年1月に施行された「認知症基本法」に基づいた初の計画である。

 「今や誰もが認知症になり得る。国民一人一人が自分ごとと理解し、自分らしい暮らしを続けるためにはどうするべきか考える時代が来た」とし、取り組みの推進を明記した。

 「新しい認知症観の理解」「当事者の意思尊重」「地域で安心できる暮らし」「新たな知見や技術の活用」の四つを重点目標に掲げ、12の施策を盛り込んだ。

 推計によると、2022年の高齢者の認知症と軽度認知障害(MCI)を合わせた数は1千万人を超え、40年にはおよそ3人に1人の約1200万人になる。

 基本計画の策定は時代の要請に応えたものといえる。

 認知症はかつて「痴呆(ちほう)」と呼ばれた時代があった。だが認知症になったからといって何も分からなくなったり、全てのことができなくなったりするわけではない。

 まずは重点目標の「新しい認知症観の理解」を社会全体で深めたい。

 認知症になったから終わりではなく、希望を持って自分らしく暮らしていける未来につなげなければならない。

             ■    ■

 県内の高齢者の認知症とMCIを合わせた数は22年が約8万6千人、40年には約13万2千人に増えると推計される。

 基本計画は自治体に対して、当事者の意見を反映し、地域の実情に合った計画をまとめるよう求めている。

 基本法も当事者団体などと議論を重ねた末、まとめられたものだ。

 基本計画を受けた県や市町村の施策立案には、当事者の参画がぜひ必要だ。変わっていく姿に戸惑い、どうしたらいいか分からず対応に行き詰まる家族も当事者である。

 認知症の人の意思が尊重され、本人や家族が他の人と支え合いながら地域で安心して暮らすためには何が必要か。

 県や市町村の職員には、現場に行き、膝を交えて意見交換してニーズをつかみ、その地域ならではの計画を作ってほしい。

              ■    ■

 認知症の高齢者が増えれば、介護施設やサービスの需要が高まり、自治体の財政は今以上に厳しくなるだろう。

 特に離島などの小規模自治体は、施設などの社会資源に乏しく、介護職などのマンパワーも不足している。行政職員の数も限られており、計画策定や施策の推進も簡単ではないはずだ。

 離島町村の高齢化率は県平均に比べ高く、今後、全国平均を超え、ますます高くなることが予測される。

 国や県の支援が欠かせない。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.06】:いびつな人口性比 ジェンダー視点 対策に

2025-01-10 04:01:20 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説・01.06】:いびつな人口性比 ジェンダー視点 対策に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.06】:いびつな人口性比 ジェンダー視点 対策に

 なぜ女性たちは島を去るのか。ジェンダーの視点抜きに、この問題の解を探ることはできない。 

 本紙が全国1700余の自治体の人口を分析したところ、県内の中小規模の離島で女性の比率が極端に低いという、人口を巡る地域格差が浮かび上がった。

 女性を1とした際の男性の数を示す「人口性比」は北大東村1・53、渡名喜村1・45、南大東村1・41と続き、上位10番目までに県内6自治体が入った。

 20~30代の若い世代に限れば、男女比の偏りは拡大傾向にある。

 人口性比の全国平均は0・95、県内平均は0・97。女性の平均寿命が長いこともあり、通常は女性の数が男性を上回る。

 しかし県内の中小規模の離島では、それとは逆の風景が広がる。

 男女比のアンバランスが固定化されれば、結婚、出産、人口減少など地域コミュニティーや行政サービスの維持に影響を及ぼしかねない。

 県の推計で復帰後、増加を続けてきた県人口が減少に転じたのは2023年のこと。41市町村のうち26市町村で減少し、中でも離島自治体が目立った。

 深刻なのは、人口減と高齢化、女性の流出が同時に進行していることである。

 高校がない、働く場がない、出産できる病院がないなどが要因として挙げられるが、その実、問われているのは女性にとって暮らしやすい地域なのかどうかだろう。

               ■    ■

 昨年4月、人口戦略会議が全国744自治体で人口減少が深刻化し、将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表した。

 根拠としているのは、20~30代の女性が30年後に半分以下に減るとの推計だ。

 沖縄県内の消滅可能性自治体はゼロだった。小規模離島では、もとよりこの年代が少ないため、ゼロでも楽観はできない。

 政府が「地方創生」に本腰を入れてから10年が経過する。地方移住や企業移転、子育て支援策を次々と打ち出すも、東京圏への流入に歯止めがかからない。

 施策の方向性を見誤ったのではないか。

 若い女性が求めているのは単に働く場所ではなく、生きがいを持って働ける場だ。仕事と子育てのワークライフバランスも大切にしている。一方、地域共同体においては固定的な性別役割を巡る価値観が根強く、女性の生きづらさにつながっている。

              ■    ■

 渡名喜村は25年度、退職などに伴い職員数が定数27人の半分近い14人にまで減る可能性があるという。

 県の応援も、業務のデジタル化ももちろん必要だが、行政サービスの維持には組織を支える職員の確保が何より重要となる。

 人口減少時代にどのように地域を守っていくか。

 人口減少は女性の問題でもなければ、自治体任せにする問題でもない。日本社会の最大の課題である。

 深刻だからこそ、当事者視点を重視した対策の立て直しが求められる。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月06日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【人口格差 振興策を問う】:離島 危機的な人材難 町村職員採用に課題山積 少ない応募者

2025-01-05 04:01:20 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【人口格差 振興策を問う】:離島 危機的な人材難 町村職員採用に課題山積 少ない応募者 ■内定辞退も 共同試験の改善

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【人口格差 振興策を問う】:離島 危機的な人材難 町村職員採用に課題山積 少ない応募者 ■内定辞退も 共同試験の改善

 渡名喜村で行政運営に支障が出るほど危機的な職員不足の実態が明らかになった。

少ない人員で業務をする渡名喜村職員。室内には空席も目立つ=2024年12月12日、同村役場

少ない人員で業務をする渡名喜村職員。室内には空席も目立つ=2024年12月12日、同村役場

 離島町村は2021年度から共同採用試験を実施しているが、採用に結びつかなかったり、採用後も定着しなかったりと課題を抱える。

 持続可能な自治体運営に向け、試験の日程や形態を変えるなど改善策を模索中だ。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・沖縄県・「人口格差 振興策を問う」】  2025年01月05日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌・01.05】:年末年始の疲れためない

2025-01-05 04:00:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【金口木舌・01.05】:年末年始の疲れためない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・01.05】:年末年始の疲れためない

 暦通りなら9連休となった年末年始。家族とゆっくりしたり、久しぶりに友人や親戚らと語り合ったりできたという人は多いだろう。気になるのは飲酒の機会が増えること

 ▼介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間「健康寿命」で、沖縄県民の低下が著しい。厚生労働省の調査によると、2022年は男性が71.62歳で都道府県別45位。女性は74.33歳で46位。女性は3年前に比べ1.18歳も短くなった

 ▼高齢者健康指標を研究する栗盛須雅子さんはさまざまなデータから沖縄の健康状況を分析。県民の平均寿命の男女差が大きいことについて「悪い方に引っ張られる。男女の健康は一体。格差を縮める必要がある」と警鐘を鳴らす

 ▼今帰仁村をはじめ各地の自治体で高齢者を追跡調査した結果から「主観的健康観が高い人は長生きする」という。健康に関する正しい情報を収集し、活用する能力「ヘルスリテラシー」を高めることが大切だ

 ▼連休もきょうで終わり。「たまには飲み過ぎ、不摂生も仕方ない」は禁物だ。遊び疲れ、飲み疲れを上手にリセットして、仕事始めに向かいたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2025年01月05日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【人口格差 振興策を問う】:離島人口 低い女性比率 北大東や渡名喜 男性の数が約1.5倍 県内 いびつな構成比に

2025-01-04 04:01:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【人口格差 振興策を問う】:離島人口 低い女性比率 北大東や渡名喜 男性の数が約1.5倍 県内 いびつな構成比に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【人口格差 振興策を問う】:離島人口 低い女性比率 北大東や渡名喜 男性の数が約1.5倍 県内 いびつな構成比に

 沖縄の中小規模の離島自治体は女性の比率が圧倒的に低く、いびつな人口構成になっている-。

女性より男性の割合が高い県内市町村
女性より男性の割合が高い県内市町村
 

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・沖縄県・「人口格差 振興策を問う」】  2025年01月04日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【人口格差 振興策を問う】:女性定住 地域維持の鍵 中小離島 男女比に偏り 出産や育児に不便さ

2025-01-04 04:01:20 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【人口格差 振興策を問う】:女性定住 地域維持の鍵 中小離島 男女比に偏り 出産や育児に不便さ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【人口格差 振興策を問う】:女性定住 地域維持の鍵 中小離島 男女比に偏り 出産や育児に不便さ

 人口の男女比で、女性の割合が極端に低い自治体が沖縄に多いことが分かった。

 共通して人口減少の悩みも抱える。女性にとっての暮らしやすさが、地域社会を維持する鍵になりそうだ。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・沖縄県・「人口格差 振興策を問う」】  2025年01月04日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【人口格差 振興策を問う】:15~64歳の減少進む 中小離島と北部 70年代から顕著に

2025-01-04 04:01:10 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【人口格差 振興策を問う】:15~64歳の減少進む 中小離島と北部 70年代から顕著に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【人口格差 振興策を問う】:15~64歳の減少進む 中小離島と北部 70年代から顕著に

 性別・年齢別に人口の構成を示す人口ピラミッドを見ると、1955年の沖縄は出生数が多く、死亡率も高い「ピラミッド型」だった。

県全体と人口減少地域の年代別の人口ピラミッド

県全体と人口減少地域の年代別の人口ピラミッド

 県全体と中小規模離島、やんばる3村(国頭、大宜味、東)で大きな違いは見られない。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・沖縄県・「人口格差 振興策を問う」】  2025年01月04日  03:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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