路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【明窓・05.01】:「ボランティア」から「コーディネーター」へ

2024-05-01 04:01:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【明窓・05.01】:「ボランティア」から「コーディネーター」へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【明窓・05.01】:「ボランティア」から「コーディネーター」へ

 能登半島地震発生から、あすで4カ月。大型連休を利用して全国から大勢のボランティアが被災地に入っている。2000年の鳥取県西部地震でもそうだったが、被災地では「見ず知らずの人に迷惑をかけられない」と支援を遠慮する高齢者も多い。世の中は持ちつ持たれつ。困った時は素直に助けを求めてほしい

 ▼こうした災害ボランティアの活況とは対照的に、市民活動を支えるボランティア団体は縮小傾向にある。その一つが、山陰両県の遺跡啓発に取り組む市民グループが集まり23年前に結成した「山陰遺跡ネットワーク会議」。ピーク時に13あった加盟団体は6に減ってしまったという

 ▼要因は会員の高齢化による解散や、市町村合併に伴う活動低下などさまざま。企業で70歳までの就業機会確保が義務付けられ、ボランティア活動まで手が回らない人が増えているらしい。こんなところにも人手不足の波が。何とも世知辛い

 ▼活動の活性化に向けて同会議は、団体間の交流を深めるとともに、先進地から講師を招いて勉強会を開催。構成団体の一つ、むきばんだ応援団(米子市)の前田昇事務局長(66)は「単なる手伝いではなく、自分たちが文化財を守り生かすのだという意識改革の必要性を学んだ」という

 ▼ボランティアから地域をつくるコーディネーターへ。そんな高い意識を持った人たちが増えれば、地域はより豊かで魅力的になるはずだ。(健)

  元稿:山陰中央新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【明窓】  2024年05月01日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:落雷事故 屋外活動中は予兆に注意を

2024-04-29 05:01:10 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説②】:落雷事故 屋外活動中は予兆に注意を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:落雷事故 屋外活動中は予兆に注意を

 これから夏場にかけて雷が多い季節になる。スポーツや行楽など屋外での活動も増える時期だけに、落雷に対しては十分な注意が必要だ。 

 宮崎市にある私立高校のグラウンドで今月、サッカーの練習試合中に落雷事故が起き、高校生18人が病院に運ばれた。当時、グラウンドには100人以上の選手や指導者がおり、さらなる惨事となる可能性もあった。

 グラウンドやゴルフ場など開けた場所では落雷が起きやすく、スポーツ競技中の事故は過去にも起きている。2014年には愛知県内の高校で、野球部員が落雷を受けて死亡した。誰もが遭遇する危険のある災害だと言えよう。

 今回の事故を受け、文部科学省は全国の教育委員会などに注意喚起の文書を出した。屋外で活動する際は、指導者が事前に気象情報を確認し、天候が急変した場合は、 躊躇ちゅうちょ せずに計画を変更したり、中止したりするよう求めている。

 雷鳴や稲妻のほか、厚い黒雲が頭上に広がる、気温が低下し突風が吹く、といった現象は、雷の危険信号だとされている。こうした予兆があった場合は、速やかに避難行動を取ることが重要だ。

 宮崎市でも、昼前は遠方に雷鳴が聞こえていた。その後、雨は断続的に降っていたものの、事故の発生までは雷鳴のない状態が続いていたという。雷鳴がないからといって危険が去ったとは即断できない点に注意する必要がある。

 宮崎県内では昨年、雷注意報が発表された日数が145日に上った。日本海側では、冬場に雷が多発しており、年間30~40日観測される地域もある。

 屋外で活動する場合、責任者や指導者は、前日から天気予報に気を配ってもらいたい。気象庁がウェブサイト上で10分ごとに更新している「雷ナウキャスト」を活用し、当日に最新の情報を確認することも有効だろう。

 落雷から身を守るには、建物や車の中へ避難するのが原則だ。近くに避難場所がない場合は、電柱や建造物の周囲で姿勢を低くすることが比較的安全だとされる。

 ただし、この場合も、電柱などから4メートル以上離れないと、雷の直撃を免れても人体に雷が伝わり、被害を受けることがある。

 以前は「金属を身につけていると落雷を招く」「レインコートやゴム長靴を着用していれば安全だ」などと言われたが、文科省の通知によると、落雷を阻止する効果はないという。正しい知識と対策で、安全の確保に努めたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・03.10】:石破茂氏が政倫審ドタバタの裏で訴えた地震対応への備え「関東大震災の避難所と変わっていない」

2024-04-22 07:45:00 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【中山知子の取材備忘録・03.10】:石破茂氏が政倫審ドタバタの裏で訴えた地震対応への備え「関東大震災の避難所と変わっていない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・03.10】:石破茂氏が政倫審ドタバタの裏で訴えた地震対応への備え「関東大震災の避難所と変わっていない」 

 今年に入ってからの永田町は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の話題で覆い尽くされたような状況だ。国会で予算委員会が開かれれば野党はもちろん、自民党や公明党からもこの問題に対する岸田文雄首相への見解をただす質問が続出する。首相の答えが十分でないこともあり、繰り返しこの問題が質問される。野党が言う通りの「裏金国会」となっている。

 一方で今年は元日に能登半島地震が起きた。1月17日には、1995年に発生した阪神・淡路大震災から29年の節目を迎えた。そして明日3月11日は、2011年の東日本大震災から13年。日本が地震大国であることをあらためて実感するが、日本能登半島地震発生後の政府対応をめぐり批判も出る中で、地震発生が多い日本での対策をどうアップデートさせていくかという議論は、国会ではあまり見えてこない。

 裏金問題をめぐる自民党議員の衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席方法問題で、自民党がドタバタ混乱していた先月27日の夕方、国会内で1つの勉強会が開かれた。講師は自民党の石破茂元幹事長(67)。自身を中心とするグループ「水月会」の政策勉強会を久しぶりに再開したのだ。

政策勉強会であいさつする自民党の石破茂元幹事長(2024年2月27日撮影)
政策勉強会であいさつする自民党の石破茂元幹事長(2024年2月27日撮影)

 自民党総裁選に過去4度挑戦し、いずれも勝てず、「終わった」と言う人もいるが、各社世論調査の「次の首相候補」調査では長い間トップで、特に裏金事件を受けて岸田文雄首相の支持率がどんどん低下する中で、その数字は増している。「自民党と国民の評価の差がここまで大きい人も珍しい」(自民党関係者)という声も聞くが、今秋の岸田首相の総裁選再選を懐疑的に見る向きもある中、この勉強会が石破氏の「5度目の挑戦」に向けた足がかりになるのではということで、多くのメディアが集まった。出席した議員は最終的に15人だった。

 この勉強会で石破氏が何度も語ったのは、まさに地震対応のアップデートの必要性。「防災省」の設置の必要性を強く説いた。能登半島地震の発災直後は多くの人が体育館などに避難したが、いわゆる「雑魚寝」の状態だとし「東日本大震災や熊本地震も同様だった。101年前に起きた関東大震災当時から変わらない」「戦前と比べて避難所も変わっていない」などと指摘した。個人的には衝撃の内容ばかりだった。 

 石破氏が挙げた、日本と同じように地震が多いイタリアのケースでは、TKB(トイレ、キッチンカー、ベッド)の常時備蓄が国で定められ、発災から遅くても48時間以内に被災地へ向けて用意されるという。特に食事に関しては、登録されたシェフがキッチンカーで調理したフルコースやワインを振る舞うこと、シェフはボランティアではなく、政府が実費や休業分を支払う仕組みとも指摘。「失意のどん底にある被災者を励ますのは温かい食事とワイン。日本では『ぜいたく』となるが、そもそも思想が違う」と述べ、被災者の権利として守られているとも訴えた。

 災害時、こうした防災対策や国民の保護に当たる専門の組織が必要だとして「デジタル庁も子ども家庭庁もできるのに、なぜできないのか」と述べ「やるぞ!と時の総理が言うことだ 誰が総理であっても…」という言葉も口にしていた。

 1時間半に及んだ勉強会の冒頭や、終了後の取材にも「何ら、よこしまな思いがあるわけではない」と、総裁選がらみの臆測をけん制しつつ、この日の会には、かつてなら自身の会合に参加することはなかった安倍派(解散決定)などの議員も参加したことに触れ「『ラーメン議連』をつくった時も『参加するな』みたいなお触れが出た派閥もあったらしい。(今回の顔ぶれは)今までになかった光景。かつては、旧安倍派の人は絶対に来なかった」と、手応えのようなものも口にしていた。

 総裁選対応について、はっきりした意欲はまだ「封印」している感の石破氏だが、今の政権で考えが及んでいない、足りていないような部分をテーマに踏み込んで議論したことには、何らかの思いもあったのではないだろうか。「ああ知らなかった、と気づきがある勉強会は、あったほうがいい」とも話していたが、裏金問題が主流の今の国会で、地震対応での将来に向けた前向きな議論は進んでいないのが現実。一石を投じようとした側面もあったようにも感じる。

 「本来の意味での政策勉強会をやっていきたい。(参加者)数というより、継続が大事」。こうも話した石破氏の発信には、季節が進むにつれてさらに、関心が高まっていくように感じる。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年03月10日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:火山本部発足 観測の強化に向けた司令塔に

2024-04-11 05:01:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説②】:火山本部発足 観測の強化に向けた司令塔に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:火山本部発足 観測の強化に向けた司令塔に

 日本は世界有数の火山大国ながら、観測や研究の体制は地震に比べて手薄だった。国は調査研究にあたる大学や自治体と連携を強化し、火山防災の向上に生かしてもらいたい。 

 政府は今月、「火山調査研究推進本部」を文部科学省に設置した。火山対策の強化を目的とする改正活火山法に基づく措置で、今後は研究や観測を一元的に統括する「司令塔」の役割を担う。

 モデルとなったのは、1995年の阪神大震災を受けて発足した「地震調査研究推進本部」だ。全国の活断層を調査して危険度を評価するなどの成果を上げてきた。約30年遅れて、ようやく火山本部が発足した意義は大きい。

 火山については、地震と異なり、これまで日本全体の調査研究を取りまとめる機能がなかった。大学や研究機関が個別に研究を行い、成果を気象庁長官の諮問機関「火山噴火予知連絡会」に持ち寄るだけになっていた。

 しかし、個々の研究者による自主的な努力には限界がある。国主導で観測や調査を強化し、発生が懸念される富士山の噴火などの災害に備えなければならない。

 そもそも、日本列島には火山が集中しているにもかかわらず、国内には研究者が少ないことが長年、課題となっていた。

 現在も、国内で観測に携わる専門家は100人程度にすぎない。しかも、半数以上は政府職員や国立機関の研究員で、大学に所属するのは50人余りにとどまる。人材不足は深刻だと言えよう。

 国立大学への運営費交付金が削減され、いつ噴火するか分からない火山の研究などが先細りになっている。このままでは次代を担う若手研究者も育たない。

 火山本部はまず、十分な研究や観測の予算を確保し、専門家の育成に努めてもらいたい。火山を抱えている地域の自治体も、火山防災の素養がある専門職員を積極的に採用していく姿勢が重要だ。

 日本には111の活火山があるものの、観測施設の縮小や老朽化で十分に目が行き届いていない。2014年には御嶽山の噴火で計63人の死者・行方不明者が出たほか、18年には草津白根山の本白根山が噴火し12人が死傷した。

 改正活火山法では、浅間山に日本で初めての観測所ができた8月26日を新たに「火山防災の日」に指定した。今年から各地で避難訓練などが行われる予定だ。

 火山本部が先頭に立って情報の発信や啓発を進め、火山災害に強い社会を築くことが重要だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 「えんじょもん」の勧め

2024-03-05 07:54:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①】:週のはじめに考える 「えんじょもん」の勧め

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 「えんじょもん」の勧め

  昨年3月3日に亡くなった作家大江健三郎さんの名作にちなみ、今日は極めて「個人的な体験」をご報告します。今年の1月1日、金沢市で遭遇した出来事です。

 金沢には縁もゆかりもなくて、この地の方言でいう「遠所者(えんじょもん)」。つまりは「よそ者」なのですが、金沢が大好きで、近年は妻と2人ここで年を越すのが恒例です。
 
 元日は初詣の後、金沢駅に近い大きな商業ビルへ向かいました。初売りでにぎわう中、妻の好きな雑貨や服のお店を訪ねます。
 
 すると店員さんが「能登の方でさっき地震があったみたいです。震度5強ぐらいの」と言います。「気付かなかったよね」と答えた直後、ビルが揺れ出しました。
 
 能登半島地震の本震です。60年近い人生で初の強烈な揺れです。店内では、器など商品を壁一面に並べた大きな棚が揺れています。
 
 倒れないよう押さえたのですが震動はさらに強まり、あちこちで品物が落ち始めました。それでも自分の背丈より高い棚を押さえていると「もう棚から離れて!」と妻にしかられてしまいました。

 ◆「まだ大丈夫」の甘さ

 その時やっと、自分自身がこの状況をどこか楽観視していた、と気づきました。これこそが有名な「正常性バイアス」でしょうね。棚が倒れてけがをしたら、店にもご迷惑だったでしょう。
 
 正直に言うと、これまで災害の取材をしたことはありましたが、どこか「人ごと」でした。だから天災の折に、漁港や田んぼを見に行った人が遭難した記事を読むと「どうしてそんな時に、わざわざ行くのかな」と不思議でした。
 
 でも、あの地震を体験した後は考え方が変わりました。自然の猛威の前に「まだ大丈夫」と思いこむ気持ちや「まだ何かできるかも」といったやや甘い考えが浮かぶこともあると実感したのです。
 
 読者の皆さまには、どうかこの失敗をご参考にして、災害の折は何よりもまず、自分を守ることを優先してほしいと思います。
 
 さて、翌2日もまた金沢駅に行きました。地震のせいで電車やバスが運行を休止し、いつもなら大にぎわいの鼓門(つづみもん)の前にも人影がほとんどありません=写真。
 
 金沢の最大震度は5強で、能登地方に比べれば揺れは小さかったものの、民家4棟が全壊するなどあちこちで被害が出ました。
 
 駅の近くにある石川県立音楽堂では、ホールが一時利用停止に。ここを本拠地とする楽団「オーケストラ・アンサンブル金沢」は、1月に行う予定だった公演を延期する事態となりました。
 
 この楽団の創設に尽力し、長く音楽監督も務めた岩城宏之さんは「バケツ募金」という活動をしていたことがあります。1995年阪神淡路大震災の後でした。
 
 公演の休憩中にオーケストラの団員たちとバケツを持ち、会場の聴衆に寄付を呼びかけたのです。アンサンブル金沢以外の楽団との演奏会でも活動を続け、約半年の間に全国の公演で集まった浄財は1400万円を超えました。
 
 募金の前には聴衆に「日本人は忘れやすいけれど、この災害のことは忘れてはいけない」と訴えていた岩城さん。生前の取材では、こう話してくれました。

 ◆「自分の立場」で支援を

 「ぼくらは募金しながら『お金だけでいいのか』と思うことがある。神戸に駆け付けて何か手伝いたいとも思うが、日本中が駆け付けても大混乱する。それなら、自分の立場でできることをすべきでしょう」と。
 
 日本を代表する指揮者ながら、音楽の世界に閉じこもらず、常に社会との関わりを考えた人からの提言です。能登で大地震が起きた今、振り返ってみました。
 
 さて、岩城さんの言葉と、その折の真剣な口調を思い出しつつ、「自分の立場」で何ができるかと自問しました。そして石川県とは縁のない人に「えんじょもん」になるよう勧めることにしました。
 
 「私は石川県には縁がなくて、もともと遠所者だけれど」と思う方もいるでしょう。いえ、ここで言いたい「えんじょもん」とは、漢字なら「援助者」なのです。
 
 能登には駆け付けられなくてもできるかぎり現地の産品を買い、復興を応援する人。交通事情など状況が好転したら現地に出向き、観光業を助ける人。そして、この震災を決して忘れない人-。
 
 「わたしもなろう!」と思った方がひとりでもいたら、うれしいかぎりです。これからまだ時間がかかりそうな能登の復興に向け、ご自分でできる息の長い支援策をぜひお考えください。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年03月03日  07:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:卒業式で歌われた「オールド・ラング・サイン」が上出来だった…

2024-03-05 07:54:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【筆洗】:卒業式で歌われた「オールド・ラング・サイン」が上出来だった…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:卒業式で歌われた「オールド・ラング・サイン」が上出来だった…

 卒業式で歌われた「オールド・ラング・サイン」が上出来だった-。大森貝塚を発掘した米国の動物学者、エドワード・モースが1882(明治15)年7月、東京女子師範学校の卒業式に臨席した際の話を『日本その日その日』に書いている。当時の卒業式は7月だった

 ▼モースがほめている「オールド・ラング・サイン」とは無論、今も卒業式とは切っても切れない「蛍の光」。そんな時代から卒業式で歌われていたようだ

 ▼日本語訳は国学者の稲垣千穎(ちかい)だが、歌詞の雰囲気が元になったスコットランド民謡の世界とは大きく異なる。不思議である

 ▼「蛍の光」が学問にいそしんだ日々を振り返りつつ「別れ」を強調しているのに対し、原詞の方は旧友とかつての日々を懐かしみながら、酒をくみ交わすという内容である。別れよりも再会の喜びを歌っている

 ▼卒業シーズンとなった。今年も卒業生たちは「蛍の光」を歌い、別れを惜しむのだろう。とりわけ、能登半島地震の被災地の卒業生のことを思う。おだやかならぬ暮らしの中での友や恩師との別れ。地元を離れる卒業生もいる。歌詞の「けさはわかれゆく」が切なかろう

 ▼寂しい別れの歌よりも再会の歌の方を聞きたくなる。震災から立ち上がり、落ち着きを取り戻した地元で、今年の卒業生たちが再会し、手を取り合う。そんな日が早く来ないかと願う。卒業おめでとう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年03月03日  07:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:能登地震2カ月 復興の「芽」伸ばしたい

2024-03-05 07:52:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説②】:能登地震2カ月 復興の「芽」伸ばしたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:能登地震2カ月 復興の「芽」伸ばしたい

 能登半島地震から2カ月。懸命のインフラ復旧作業が続く。避難生活を強いられ、生活や生業の再建を見通せない人もまだ多い。一方で「地域のために」と営業を再開する商店などが増えてきた。頼もしい被災者の行動を復興の「芽」として伸ばしていきたい。

 地震の死者は241人。全壊家屋は判明分で石川、富山、新潟3県で約8千棟に達し、熊本地震に匹敵する。避難者は依然1万人以上で帰還時期のメドはたたない。
 
 こうした中、被害の大きかった石川県輪島市や珠洲市でも街中のコンビニ、パン屋、ピザ店や民宿が次々と営業を再開。仮店舗で食品作りに工夫を凝らしたり、クラウドファンディングで再建資金を募ったり、前向きな姿勢が被災地を勇気づける。
 
 穴水町の農家民宿は経営者が自力で修繕し「能登再生」の看板を掲げた=写真。全国から派遣されている自治体職員らに宿泊場所を提供している。
 
 七尾市の商店街は屋外ブースを並べた「復興マルシェ」を開催。東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町が発災翌月に開いたテント市場を参考にしたという。仮設商店街を設けた地域もある。復興を見据えて地域の結束を高める場としても有意義といえよう。
 
 大火災で焼け野原となった輪島朝市の組合員らは避難先の金沢市で出張朝市を開くことを決めた。いずれは輪島市で復活させるため「朝市の灯をともし続ける」という強い決意が、場所を提供する金沢港関係者らを動かした。
 
 能登杜氏(とうじ)で知られる奥能登の酒蔵も11蔵すべてが被災した。無事だった酒米やもろみを使って他地域の酒蔵が醸造を買って出たり、全国の酒蔵による共同醸造プロジェクトが立ち上がったり、酒造りに支援の輪が広がっている。
 
 能登の物産展も全国各地で開かれている。被災地に行かずとも応援消費できるこうした取り組みをもっと盛り上げたい。
 
 一方、漁港や農地の復旧など、第1次産業の再建は長い道のりとなりそうだ。担い手には高齢者も多い。行政、地域が一体で、希望の持てる将来像を模索したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年03月01日  07:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:2次避難の期限 被災者が居場所に困らぬよう

2024-02-26 05:01:20 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説②】:2次避難の期限 被災者が居場所に困らぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:2次避難の期限 被災者が居場所に困らぬよう

 能登半島地震で、被災者が2次避難中の旅館やホテルの滞在期限が迫っている。居場所に困る事態にならないよう、十分な配慮が必要だ。 

 石川県の被災地から金沢市内や温泉地などに避難している人は約5000人に上る。県は滞在期限を2~3月までと想定している。北陸新幹線の金沢―敦賀間の開業を3月に控え、観光客の増加が見込まれるためだ。

 県は移転先として、建設を進めている仮設住宅のほか、民間の住宅を県が借り上げる「みなし仮設住宅」、自宅を修繕して住むといった選択肢を示している。

 仮設住宅は、県が4000戸を準備しているが、入居希望は7000件を超えている。平地が少なく用地の確保が難しいため、ニーズに追いつけない状況だという。2階建てや民有地の活用などに努め、建設を急いでほしい。

 みなし仮設住宅に入るにしても、あまり遠くには行きたくないという被災者が多いだろう。県内で被災の少なかった地域や隣県の、できるだけ近くにアパートなどを確保するのが望ましい。

 学齢期の子供がいる家庭では、移転に伴って、通学先を変えることをためらうケースもあろう。被災者が抱えている事情は様々だ。国や自治体は、要望に耳を傾け、丁寧に対応する必要がある。

 被災者が2次避難している旅館やホテルは、地震の後、予約のキャンセルが相次いだ。コロナ禍に苦しんできた宿泊施設にとって新幹線延伸への期待は大きい。避難者の受け入れが長引けば、本来の業務に支障が出る恐れもある。

 ただ、ようやく落ち着きを取り戻した被災者の心情を思えば、観光振興と避難者受け入れの両立を模索する余地はないだろうか。

 被災の少なかった小松市の3旅館は、受け入れを7月頃まで延ばすという。加賀市のホテルは従業員寮を提供することにした。

 他の宿泊施設も、できるだけ柔軟に対応してもらいたい。少なくとも、断水が完全に解消されるまでは支援が必要だろう。

 避難者が希望した場合、滞在中にアルバイトとして雇用する可能性を探ってはどうか。2次避難者の受け入れを継続する宿泊施設に対しては、国や自治体が支援の拡充を検討することも一案だ。

 福井や富山といった隣県の旅館やホテルが、売り上げの一部を被害の大きかった能登地方に寄付する取り組みが広がっている。北陸全体の復興を目指し、助け合う機運を高めることが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:松尾芭蕉は『奥の細道』の旅で越中から加賀に入る。山中温泉で…

2024-02-20 07:16:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【筆洗】:松尾芭蕉は『奥の細道』の旅で越中から加賀に入る。山中温泉で…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:松尾芭蕉は『奥の細道』の旅で越中から加賀に入る。山中温泉で…

 松尾芭蕉は『奥の細道』の旅で越中から加賀に入る。山中温泉では<山中や菊はたおらぬ湯の匂(におい)>と詠んだ

 ▼菊の露を飲み不老不死になった中国の故事をふまえた句。山中では菊を手折るまでもなく、効能あらたかな湯の匂いがただよう-との意という。山中は随行の曽良と別れた地。この弟子は体調を崩し、知人のいる伊勢・長島へ向け先に出立した

 ▼山中、山代、片山津、粟津といった加賀の温泉郷に最寄り駅ができる北陸新幹線金沢-敦賀間延伸開業まで1カ月を切った。今、温泉には能登半島地震の被災者が身を寄せる

 ▼石川県は観光客増を見越し、被災者の旅館からの退去を2月末~3月末と想定し仮設住宅建設を急ぐが、期限までに望む住まいに移れるか不透明という。人々の心中を察する

 ▼被災者受け入れを独自に夏まで延ばす旅館があると聞く。従業員寮の空室を被災者に開放することにした旅館も。赤字を増やさぬ形で受け入れを続けるため、公的補助増額を求める声もある。雇用維持のためにも観光客を呼びたいが、能登の人々にも寄り添いたい-。現場の模索は尊い

 ▼芭蕉と別れた曽良は加賀の寺に泊まり<終宵(よもすがら)秋風聞(きく)やうらの山>と残した。別れた寂しさで眠れず、裏山の秋風を聞き夜を明かしたらしい。季節は違えど、故郷と別れた寂しさを今も加賀の地で抱える人々。思いをはせ、できることをしたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年02月17日  07:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:震災とラジオ 貴重な情報源の役割を今後も

2024-02-20 05:01:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説②】:震災とラジオ 貴重な情報源の役割を今後も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:震災とラジオ 貴重な情報源の役割を今後も

 ラジオは災害時の情報源として信頼感があり、能登半島地震でも力を発揮した。経営環境は厳しいが、非常時に強いメディアとして、機能を維持していく必要がある。 

 能登半島地震の被災地では停電が長く続き、テレビやインターネットが使いにくい状況に陥った。情報収集の手段として重宝されたのは、新聞やラジオだった。

 携帯ラジオは、電池が切れるまでは長時間使えるのが特徴だ。手回し充電ができるラジオも防災グッズとして人気が高い。

 地震発生直後は、断続的に続く余震を警戒して車中泊を選んだ被災者が少なくなかった。カーラジオから流れてくる情報に耳を傾けた人も多かったのではないか。

 東日本大震災と熊本地震、北海道胆振東部地震を対象とした日本民間放送連盟研究所の調査で、避難時に利用した放送や通信などについて尋ねたところ、ラジオが役に立ったとの回答が目立った。

 特に東日本大震災と北海道胆振東部地震では、テレビやSNSなどと比べても、ラジオを評価する声が最も多かった。

 東日本大震災後は、地元のコミュニティーFMなどが運営する「臨時災害放送局」が次々と開局した。地域に密着し、暮らしに根ざした情報を提供できるのも、地元ラジオの利点だろう。

 だが、ラジオ局の多くは若者のラジオ離れなどもあり、経営環境が厳しい。2020年には名古屋と新潟の2局が閉局した。

 NHKはAM放送を維持する方針だが、多くの局は施設維持に費用がかかるAM放送から、コストを抑制できるFM放送への転換を目指している状況だ。

 各地のラジオ局は2月から、総務省の特例措置で、一部のAM放送を休止し、代わりにFMの補完放送などを聴いてもらい、影響を検証する取り組みを始めた。

 AM放送は、広範囲に届く特性があり、地元の放送施設が被災しても、遠方からの電波を受信することができる。聴ける範囲が限られるFMへの転換が進むことによって、ラジオの空白地帯ができることがないようにしてほしい。

 ラジオは、想像力をかき立てるメディアだ。深夜放送で笑ったり、音楽を楽しんだりしている人は少なくないはずだ。

 被災者が避難中、ラジオから、なじみのある出演者のトークが聞こえてきて、癒やされることもあるだろう。普段ラジオを聴かない人にも、その魅力を伝える努力を忘れないようにしたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:能登地震のがれき処理 目詰まりの解消が急務だ

2024-02-16 02:07:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

《社説①》:能登地震のがれき処理 目詰まりの解消が急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:能登地震のがれき処理 目詰まりの解消が急務だ

 能登半島地震の被災地の復旧には、大量のがれき処理を着実に進めることが必要だ。

 石川県によると、災害廃棄物は推計244万トンに上り、県全体の7年分に相当する。珠洲市など奥能登の4市町では、59年分が発生すると見込まれる。

 

「災害廃棄物」の仮置き場には、地震によって壊れた家財道具や電化製品などが大量に持ち込まれている=石川県七尾市で2024年1月29日、平川義之撮影

「災害廃棄物」の仮置き場には、地震によって壊れた家財道具や電化製品などが大量に持ち込まれている=石川県七尾市で2024年1月29日、平川義之撮影
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/02/16/20240216ddm005070103000p/9.webp?1" type="image/webp" />能登半島地震の被災地では、多くの倒壊した建物がそのまま残されている。今年3月以降、解体作業が本格化する予定という=石川県珠洲市で2024年2月1日、平川義之撮影</picture>
能登半島地震の被災地では、多くの倒壊した建物がそのまま残されている。今年3月以降、解体作業が本格化する予定という=石川県珠洲市で2024年2月1日、平川義之撮影

 被災地だけで対応するのは困難だ。県は、内外の自治体が協力する広域処理を想定し、2025年度末の完了を目指している。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月16日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:地震後の住まい 地域のつながり大切に

2024-02-15 07:54:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①】:地震後の住まい 地域のつながり大切に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:地震後の住まい 地域のつながり大切に

 能登半島地震の被災地で仮設住宅の一部が完成し、避難者たちの入居が始まった。生活再建のためにも住まいの確保は最優先課題だが、地域のつながりがことの外、強い土地柄でもあり、住民同士が絆を保ちながら暮らせるよう配慮することも忘れてほしくない。

 石川県輪島市の市有地に完成した18戸には朝市通りの火災で住宅を失った高齢者らが、珠洲市の小学校グラウンドに建った40戸には周辺住民が入居した。ただ両市だけで入居希望は5千件以上。建設はまさに緒に就いたばかりだ。
 
 
 全体の避難者は約1万3千人。県は当面の仮住まい需要を9千戸と予測し仮設住宅を順次提供していく。山間地が多いため建設用地が限られ、津波浸水想定区域内にブロックでかさ上げして建てている仮設住宅もある=写真、輪島市。自宅から遠い仮設への入居を要請されるケースも出てきそうだ。
 
 仮設住宅だけでは追いつかないため、県は賃貸型「みなし仮設」や公営住宅も確保するが、能登以外、県外も多い。古里近くにいたい被災者は選択しにくいだろう。
 
 一方、古里を離れた2次避難者約5千人の大半が暮らす加賀地区の宿泊施設の一部では、退去期限が迫る。ホテル等が3月16日の北陸新幹線金沢-敦賀間開業による観光需要に対応するためだ。
 
 転居先をあっせんする自治体は避難者がたらい回しにされることがないよう厳に注意が必要だ。地元帰還の見通しや復旧の状況を伝えながら個々の意向をくみ取って進めてほしい。コミュニティー再構築の場となるよう県内各地に仮設住宅を設け、2次避難で分散した地域住民が再び集住できるようにする手法も考えてはどうか。
 
 阪神大震災では被災者が抽選で郊外の仮設住宅に入居。従来のコミュニティーが壊れた結果、孤独死する被災者も出た。それを教訓に、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市長洞地区では、市が示した場所ではなく住民自らが確保した地元の民有地で仮設暮らしを続けた。一室を集会所に充て復興の話し合いも進めたという。絆を重視した民有地活用などの手法は能登でも大いに参考になろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月14日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:江戸時代の黄表紙「虚言八百万八(うそはっぴゃくまんぱち)伝…

2024-02-15 07:54:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【筆洗】:江戸時代の黄表紙「虚言八百万八(うそはっぴゃくまんぱち)伝…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:江戸時代の黄表紙「虚言八百万八(うそはっぴゃくまんぱち)伝…

 江戸時代の黄表紙「虚言八百万八(うそはっぴゃくまんぱち)伝」はウソやホラを得意とした万八なる人物の話で、落語の元ネタにもなっている。万のうち八つしか本当のことを言わぬ人とはウソつきをいう「千三つ」を大きく超える

 ▼奥州の寒さを語る、万八の話がすごい。寒さのせいで言葉が凍るというのである。隣に住む、おばあさんに「ばば様、茶ができた(入った)」と声を掛けてもその声が届くことなく、壁に凍りついてしまう。春になって暖かくなるとその声が壁から溶けだし、いっせいに「ばば様、茶ができた、できた、できた…」

 ▼2月中旬というのにこの暖かさ。「ばば様…」の連呼が聞こえてきそうである。南から流れ込んだ暖かい空気の影響で全国的に気温が上昇し、一気に春めいてきた

 ▼昨日の東京都心の最高気温は17度を超えた。今週の後半は20度までいくそうだ。春めくどころか、4月中旬の陽気だろう

 ▼体はラクとはいえ、季節外れの暖かさが心配でもある。急な気温の上昇が雪崩や土砂災害につながる恐れもある。とりわけ能登半島。地震で地盤が緩んだところに、この妙な高温が新たな災いなど起こさぬことを願う

 ▼<春めくややぶ(藪)ありて雪ありて雪>一茶。人の心を落ち着かせるやすらぎの季節が春ならば、かの地ではたとえ気温が上がったとて、心に降り積もった雪はなおも深かろう。能登に「春」の訪れを待つ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年02月14日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.15】:震災と羽田の事故から 懸命の叫び声と責任逃れの声と…

2024-02-12 08:01:10 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.15】:震災と羽田の事故から 懸命の叫び声と責任逃れの声と…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.15】:震災と羽田の事故から 懸命の叫び声と責任逃れの声と… 

 今も厳しい状況が続く能登半島地震と、翌日の日航機と海保機の事故から半月。私の胸にはいまだに女性たちの声や姿が焼きついている。震災発生の日、NHKテレビから津波警報が出た現地の映像とともに、山内泉アナの叫び声が響いた。「逃げて。今すぐ避難して」「大切な人が心配でも、まずは自分の命を」…。

 結果、局地的には5メートルの津波。海辺ではない地域でも、どれほど多くの人が危険な家屋から避難したことか。朝日新聞の「声」欄にも「『逃げて』力強いテレビの連呼」の投稿があった。

 聞けば山内アナの初任地は金沢放送局。見知らぬ土地で出会ったあの顔、この顔を思い浮かべていたのだろうか。

 翌2日の日航機炎上事故。乗客が撮った映像には煙が立ち込めるなか、怖がる子どもに目配りしながら「鼻と口をふさいで姿勢を低くして」「荷物は持たないで」と必死に叫ぶCAの女性の姿があった。わずか18分で乗客367人全員の脱出。海保機の不幸もあって称賛の声は上げづらくても、どれほどの国民が「ありがとう」とつぶやいたことだろうか。

 その一方で、がっかりすることにも出合った。5日夜、新幹線を新大阪駅で降りようとすると、座席にスマホの忘れ物。折よくデッキにいた警備員に伝えると、ここまでの乗務だったのか、嫌そうな顔をして「車掌が気がつくでしょう」と言って降りて行ってしまった。

 忘れ物は業務外かも知れないが、こんな姿勢で1323席の乗客の安全を守れるのか。常々思っているのだが、「運転士、車掌は○○」という車内放送に警備員の名も入れたらどうか。それだけでも気の持ちようが変わってくると思うのだ。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年01月15日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:大量の災害ごみ 広域処理で再利用図れ

2024-02-11 07:29:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①】:大量の災害ごみ 広域処理で再利用図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:大量の災害ごみ 広域処理で再利用図れ 

 能登半島地震で大量に発生した倒壊家屋のがれきなど災害廃棄物の処理がようやく始まる。発災1カ月を過ぎ、各市町で災害ごみを受け入れて分別する仮置き場=写真、石川県穴水町=が確保された。海上輸送の手段も使って広域支援による着実な処理を進め、できうる限り再利用を目指したい。
 
 
 石川県の推計では県内の災害廃棄物は244万トンで年間の一般ごみ排出量の約7年分にあたる。特に被害が大きい半島北部の2市2町の合計が約6割を占め、平時の59年分になる。ごみ処理施設も被災した県内では処理能力を超え、広域支援は不可避だ。国、県がしっかり調整を進めてほしい。
 
 過去の大規模災害でも仮置き場や焼却施設が不足し、海上輸送を含む広域処理が行われた。東日本大震災では原発被害のあった福島県を除き処理を終えるまでに約3年、2016年の熊本地震では約2年を要した。石川県も2年をめどに処理を終える目標を掲げる。
 
 環境省によれば、2千万トンの災害廃棄物が出た東日本大震災では8割強が再利用に回った。市民参加で分別を徹底し、建設資材や燃料チップなどに加工して、再利用率90%以上を実現した宮城県東松島市のような自治体もある。
 
 能登は「トキのふる里」を目指して自然環境づくりを進めてきた地域だ。復興に向けて里山里海のイメージを維持するためにも、できうる限り埋め立てはせずに、災害ごみを再利用してほしい。
 
 石川県は全壊、半壊した家屋の解体費用を全額公費でまかない、早期の処理を促す。ただ所有者が分からない空き家の倒壊が少なくないのも課題だ。昨年施行の「改正空き家対策特別措置法」で手続きは一定程度、簡略化できるが、市町の手に余る場合には、県が支援して適切に対応してほしい。
 
 被災家屋の解体では被災者の気持ちを置き去りにしない配慮も忘れてはならない。代々受け継いできた家や思い出の詰まった家財を「ごみ」として扱われることにためらいを感じる人も多いはずだ。運び出しや分別ができない高齢者もいる。ボランティアが助力できる環境を早く整えたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月09日  08:24:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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