★3日、自民党憲法改正推進本部長・下村博文は憲法改正のために「大連立を組むというのも考え方だ」と述べ、公明党以外の党との連立も排除せずに対応すべきだとの考え方を示した。日本維新の会や希望の党との連立を視野に、場合によっては憲法改正に慎重姿勢を見せる公明党切りも検討しているとの見方もあり、与党内でざわつきそうだ。また衆参両院の憲法審査会や本会議での採決では各党が党議拘束を外して自主投票すべきとの考えにも「テーマ(改憲項目)によるが基本的にありだ」と述べた。

 ★これは公明党を強くけん制するもので、党議拘束を外せば国民民主党の改憲論者たちの同意も得られるというもくろみと揺さぶりがある。早速、公明党は副代表・北側一雄が「9条は安全保障に関わるテーマであり、党議拘束がかからないのは理解できない」と反発。党代表・山口那津男も「連立という重要課題について自民党幹部から話を聞いたことは全くない」と強い不快感を示した。

 ★だが、この時期にこんな発言をする下村はとんでもない政治音痴か、何らかの指示で発言したとしか思えない。憲法議論を進めたいだけで連立の枠組みに言及するのは政権の根幹にかかわる事態だ。「公明切りを公然と言い出すのは、衆院選挙で公明党の支援を受けている自民党候補者にとっては命取りだ。公明党の支援で当選した自民党議員がどれだけいると思っているのか。この時期の発言は公明党への揺さぶりというより、自民党候補者と公明党との信頼関係を破壊するものだ」(公明党関係者)。だが公明党も下駄の雪といわれるように、それでも連立から離脱できない。「離脱しても野党に合流できるわけもなく公明党は政界で漂流する」(自民党関係者)。連立の信頼関係はこんな形での踏み絵に変質しかねない。下村アドバルーンはどんなハレーションを生むか。(K)※敬称略