路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:囲碁の棋士育成 人気回復へスター輩出したい

2024-03-04 05:01:25 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説①】:囲碁の棋士育成 人気回復へスター輩出したい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:囲碁の棋士育成 人気回復へスター輩出したい

 囲碁界では、主に韓国や中国が国際的なタイトルを保持している。かつて最強と言われた日本は復活に向けて、若い才能を育てていきたい。 

 囲碁の中学生棋士で14歳の仲邑菫三段が3月2日から韓国のプロ棋士となり、現地の公式戦に出場する。日本の棋士が海外に移籍するのは初めてという。

 仲邑三段は、2019年に新設された英才枠の第1号としてプロ入りした。昨年は13歳で女流棋聖のタイトルを獲得している。

 移籍については、より高いレベルで戦えることを理由に挙げており、「韓国で女流タイトルを取りたい」と抱負を語った。

 最年少記録を次々と塗り替えてきた天才少女の新たな挑戦である。更なる成長と活躍に胸を躍らせるファンは多いだろう。

 囲碁は日本のほか、中韓や台湾にプロ組織があり、近年は米国や欧州にも誕生している。中韓は幼少期からの英才教育に力を入れ、台頭してきた。韓国では圧倒的な強さを誇るスター棋士が登場し、囲碁の人気が高い。

 日本の囲碁界は、これを機にファンの裾野を広げられるよう、積極的なPRに努める必要がある。そのためにも、仲邑三段には韓国で実力を存分に発揮し、結果を残してもらいたい。

 日本生産性本部のレジャー白書によると、2022年の囲碁人口は130万人で、ここ10年間で3分の1以下に減った。これに対して、将棋は藤井聡太竜王の活躍でファン層を広げている。

 日本の囲碁界は、仲邑三段のプロ入り後も、10歳の藤田怜央初段や13歳の柳原咲輝初段ら、若い才能をデビューさせてきた。中韓との実力差を縮める狙いで、危機感の表れとも言える。

 今後は学校や地域と連携して子ども向けの囲碁教室を拡充し、プロ棋士によるオンライン指導なども導入して、人材の発掘につなげることが大切だ。初心者に楽しさを伝えるゲームやスマートフォンのアプリ開発も有効だろう。

 日本では伝統文化の印象が強い囲碁だが、近年はチェスなどと同様に、「頭脳スポーツ」として注目されている。中国・杭州で昨年開かれたアジア大会では公式種目となり、日本は団体戦で男女とも銅メダルだった。

 日本の棋士の実力を底上げするためには、戦略的な技術強化が欠かせない。中韓との交流戦を増やし、戦術の研究をさらに深めるなどして、日本が再び世界のトップに立つことを目指してほしい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年03月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:芦雪が描いた子犬と虎、スズメ。そして「魚」

2024-03-03 06:05:40 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【春秋】:芦雪が描いた子犬と虎、スズメ。そして「魚」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:芦雪が描いた子犬と虎、スズメ。そして「魚」

 劇場を出た後、いつもの風景が少し違って見えるような作品になればうれしい-。映画監督や劇作家が、こんなふうにインタビューで語ることがある。見た人の心を揺らし、何か気付きを持ち帰ってほしいとの思いだろう

宮島八景図(1帖8図のうち) 重要文化財 文化庁保管
『紅葉狗子図』[1] 1790年頃 絹本著色 ウォルターズ美術館

 ▼奇想の絵師と呼ばれる長沢芦雪(ろせつ)(1754~99)もそんな気持ちで描いていたのだろうか。円山応...、この記事は有料会員限定です。残り431文字。

 ■江戸時代の京都で活躍した絵師、長沢 芦雪ろせつ (1754~99年)の生誕270年を記念した展覧会が、福岡県太宰府市の九州国立博物館で開かれている。

 ※無料トライアルで西日本新聞meの全ての記事をお読みいただけます。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2024年03月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:学術会議と政府 文書の開示を速やかに

2024-03-01 07:48:40 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説②】:学術会議と政府 文書の開示を速やかに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:学術会議と政府 文書の開示を速やかに

 菅義偉首相(当時)に日本学術会議会員への任命を拒否された学者らが、判断過程を記した公文書を開示しないのは違法だとして、東京地裁に提訴した。同会議は独立機関であり人事への政治介入は許されない。政府は裁判で争わず速やかに文書を開示すべきだ。

 日本学術会議法は「政府から独立して職務を行う」と規定する。真理を追究する学問の世界は、政治権力から独立していなければならない。政治に迎合すれば、真理の姿も歪(ゆが)められてしまうからだ。人事の上でも独立性を担保することが必須条件である。
 
 1983年に当時の中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と国会答弁したのも独立性を担保するためだ。同様の答弁は何度も繰り返され、確立された政府解釈となっていた。
 
 それを破ったのが2020年の任命拒否である。学問の自由などを侵すとして約1300もの団体が抗議声明を出したが、政府は任命拒否を撤回せず、説明責任を果たさないまま今日に至る。
 
 政府は公文書の開示請求に「不存在」「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす恐れ」を理由にほぼ「不開示」と決定した。任命拒否の経緯や理由、根拠が不明のままだったため、不開示は違法として当事者の学者6人や法学者ら計169人が提訴に至った。
 
 文書が作成・保存されていなかったとしたら、行政手続法や公文書管理法、情報公開法などに反し「違法な不作為」に当たるとしている。同感だ。
 
 行政は国民主権を原理とし、公正性や透明性、説明責任の3原則で動く。任命拒否はこの原則を踏みにじっているからこそ、問題がくすぶり続けるのだ。
 
 原告の記者会見では開示された公文書も公表された。6人の氏名と肩書にバツ印が書かれ、菅首相が任命拒否を決裁する約3カ月前、安倍政権当時に官邸側から学術会議事務局への伝達内容を記録した文書という。開示がこれだけでは不十分である。
 
 原告側が「重大な政治判断をした以上、判断過程や基準が明らかにされないのは不合理で許されない」と述べたのは当然だ。
 
 かつ6人は「優れた研究または業績がある科学者」であることを政府に否定された状態。人格権の上でも負の評価を背負わされている。早急な名誉回復が必要だ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月29日  07:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:ちょうど4年前の今ごろ、世界は新型コロナウイルスの…

2024-02-19 02:05:30 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【余禄】:ちょうど4年前の今ごろ、世界は新型コロナウイルスの…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:ちょうど4年前の今ごろ、世界は新型コロナウイルスの…

  ちょうど4年前の今ごろ、世界は新型コロナウイルスの感染拡大に揺れていた。政府がスポーツ、文化イベントの中止・延期を要請したのは2月26日である

 ▲滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは恒例のプロデュースオペラの公演を10日後に控えていた。演目はワーグナー作曲「神々の黄昏(たそがれ)」である。準備はすべて整い、稽古(けいこ)は最終段階にあった

びわ湖ホールのプロデュース公演「ばらの騎士」の稽古風景=2024年2月7日午後2時10分、東京都世田谷区で小倉孝保撮影

びわ湖ホールのプロデュース公演「ばらの騎士」の稽古風景=2024年2月7日午後2時10分、東京都世田谷区で小倉孝保撮影

 ▲要請から2日後、県はやむなく中止を決め、ホールは無観客での上演と映像化を模索する。観客のいない公演が理解されるだろうか。館長はスタッフ、キャストを集めて協力を求めた。「無観客でも開催したい」。みんなから大きな拍手が起きた

 ▲2回の公演で歌手たちは、誰もいない客席に熱のこもった歌を響かせ、拍手のない中、カーテンコールもやった。無料のライブ配信は世界30カ国の約41万人に視聴され、「病気の親と一緒に見ました」など感謝の声が寄せられた。「文化イベントのありかたに一石を投じた」「人々を勇気づけた」と菊池寛賞や「関西元気文化圏賞」特別賞などを受けた

 ▲ホールは西日本初の本格的なオペラ劇場として1998年に開館し、毎年1作をプロデュース公演している。総括プロデューサーの村島美也子(むらしま・みやこ)さんはコロナ禍を経て、「観客のありがたさを知り、スタッフは団結心を強めました」と言う

 ▲今年は3月2、3日、独ロマン派のR・シュトラウス作曲「ばらの騎士」を上演する。完全な形での公演は2019年以来となる。春の琵琶湖に一足早くバラが咲く。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余禄】  2024年02月19日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:輪島塗、珠洲焼…復旧はまだだけど「元気にならないと」 いしかわ伝統工芸フェアに能登から多くの出展者

2024-02-17 06:10:00 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【話題】:輪島塗、珠洲焼…復旧はまだだけど「元気にならないと」 いしかわ伝統工芸フェアに能登から多くの出展者

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:輪島塗、珠洲焼…復旧はまだだけど「元気にならないと」 いしかわ伝統工芸フェアに能登から多くの出展者

 石川県内の伝統工芸品を展示する「いしかわ伝統工芸フェア2024」が16日、東京国際フォーラムで18日までの日程で始まった。能登半島地震の復旧がままならない中だが、来場者は被災地支援の思いを込めて輪島塗の箸や陶器などを買い求めていた。

 ◆「輪島塗で発展してきた町だから」

 特設会場には九谷焼や加賀友禅など約40店舗の伝統工芸品が集まった。能登半島地震の影響で出展を取りやめた店舗や避難所から駆けつけた参加者もいた。
 
応援消費を呼びかけるバナーと輪島塗(手前)=16日、東京都千代田区で(由木直子撮影)

応援消費を呼びかけるバナーと輪島塗(手前)=16日、東京都千代田区で(由木直子撮影)

 輪島塗の塩安漆器工房の塩安真一さん(71)は「蔵はグチャグチャ。会社の床は割れている。職人さんも金沢のビジネスホテルなどに2次避難している」と現状を語りつつも「輪島塗で発展してきた町だから、輪島塗が元気にならないといけない」と出展した。赤や緑に鮮やかに塗られたアクセサリーや塗り箸に来場者が殺到していた。
珠洲焼を手にする陶芸家の林春香さん

珠洲焼を手にする陶芸家の林春香さん

 珠洲(すず)焼を手がける若手の陶芸家も参加した。23年5月の奥能登地震からの復興の最中に能登半島地震が発生。焼き窯のある珠洲市陶芸センターの屋根や煙突が崩れ、珠洲焼の新作が作れない状況だ。林春香さんは、「金沢市のトランクルームに保管していた作品を持ってきた」という。
 
地震で崩れた珠洲焼の施設=林春香さん提供

地震で崩れた珠洲焼の施設=林春香さん提供

 同じく珠洲焼作家の中島大河さん(29)は、自宅と工房が地震で全壊し、金沢市の実家で避難生活を余儀なくされている。「車中泊している友人もおり、まだ被災は続いている」と話す。水道などインフラや住居の復旧など、物をつくる以前の問題がまだ解決していない。作品づくりに打ち込める環境が戻ることを願っており「珠洲は良いところなので、またがんばれる」と話す。(白山泉)
 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・石川県内の伝統工芸品を展示する「いしかわ伝統工芸フェア2024」】  2024年02月17日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:能登の文化産業 伝統の灯絶やさず復興の力に

2024-02-13 05:01:40 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説②】:能登の文化産業 伝統の灯絶やさず復興の力に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:能登の文化産業 伝統の灯絶やさず復興の力に

 能登半島地震では、地域の伝統的な文化や産業が大きな打撃を受けた。長く受け継がれてきた技術や景観を守るため、被災地へのきめ細かい支援が欠かせない。

 石川県輪島市の伝統工芸で、国の重要無形文化財に指定されている輪島塗は、地震と輪島朝市で起きた火災で、生産と販売の拠点が倒壊や焼失の被害を受けた。

 職人や関係者の多くは工房や自宅、店舗などを失い、それぞれ避難生活を続けている。市内に住む3人の人間国宝の中には、大きなけがを負った人もいた。

 輪島塗は芸術性の高い漆器で知られ、地域を代表する産業の一つである。木材の加工から装飾まで100以上の工程があり、職人による高度な分業制が特徴だ。

 どの工程も不可欠なため、職人らがちりぢりになっている状況では、事業の再開は難しい。

 元々、生活様式の変化などで需要が低迷し、職人らの高齢化も課題となっていた。生活と仕事の場をいち早く再建し、生産体制を取り戻さねばならない。

 国は道具や原材料の確保など、事業継続に必要な費用の補助を始めるという。被災地は過疎化が進んでいる。このままでは離職者が増え、地域の衰退が加速しかねない。事業を再開するための支援を着実に実行することが大切だ。

 東日本大震災後、福島県で伝統工芸の職人向けに仮設の共同作業場が整備された例もある。分業化された輪島塗の場合、こうした場を用意することが有効だろう。

 将来的には、生産や販売、情報の発信を担う施設を復興のシンボルとして整備するのも一案だ。焼失した輪島朝市の再建と併せて、幅広く検討してほしい。

 地元の産品を購入してもらうことも被災地の支えになる。

 県内の伝統工芸品では、輪島塗以外に九谷焼の店舗なども被災した。古くから銘醸地で知られる輪島市などの酒蔵の多くも、被災によって今季の酒造りが困難な状態になっているという。

 すでに能登の工芸品や日本酒を販売するフェアが各地やオンライン上で開かれている。こうした場を後押しすることも必要だ。

 被災した建物や景観には文化的価値の高いものも含まれる。文化財は住民の心のよりどころであり、重要な観光資源でもある。

 地域社会を守り、にぎわいを取り戻すため、国や自治体は、被災者のニーズを丁寧に聞き取り、復興までの中長期的な支援策を具体化していくべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【東京国立博物館 平成館】:国宝もかわいく 「本阿弥光悦」展グッズが好評

2024-02-05 06:56:30 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【東京国立博物館 平成館】:国宝もかわいく 「本阿弥光悦」展グッズが好評

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京国立博物館 平成館】:国宝もかわいく 「本阿弥光悦」展グッズが好評

 江戸時代初期に書や漆芸、陶芸などさまざまな芸術分野で活躍した本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)(1558~1637年)の全容を紹介する特別展「本阿弥光悦の大宇宙」が、東京・上野公園の東京国立博物館 平成館で開催されている。出品作品をイメージした本展オリジナルグッズが好評だ。

《舟橋蒔絵硯箱》をモチーフにしたマスコット・キーホルダー(左上)や「おしゅしだよ」コラボグッズ

《舟橋蒔絵硯箱》をモチーフにしたマスコット・キーホルダー(左上)や「おしゅしだよ」コラボグッズ

 国宝《舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)》をモチーフにしたマスコット・キーホルダーや、人気キャラクター「おしゅしだよ」とのコラボグッズなどユニークなラインアップを展開。ほかにも本展限定の商品を多数販売している(数量限定。品切れの可能性あり)。
 
 本展は3月10日まで。観覧料など詳細は公式HPで。問い合わせは、ハローダイヤル=(電)050(5541)8600=へ。

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・東京ニュース】  2024年02月06日  06:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:芥川龍之介の『羅生門』、松本清張の『ゼロの焦点』など小説を…

2024-02-05 06:45:40 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【筆洗】:芥川龍之介の『羅生門』、松本清張の『ゼロの焦点』など小説を…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:芥川龍之介の『羅生門』、松本清張の『ゼロの焦点』など小説を…

 芥川龍之介の『羅生門』、松本清張の『ゼロの焦点』など小説を映画化した作品を数多く手がけた名脚本家、橋本忍さん。原作をどう脚本にするかについて書いている

 ▼原作は牛。そう考えていたそうだ。その牛を一撃で倒し「血を持って帰る。原作の姿や形はどうでもいい。欲しいのは生き血だけ」。これを聞いた師匠の伊丹万作監督は教えた。「君のいう通りかも…。しかし、殺したりはせず、一緒に心中しなければいけない原作もあるんだよ」

 ▼乱暴に聞こえるが、2人の意見は原作にいかに真剣に向き合うかというたとえである。原作の本質を描く鮮やかな切り口と愛情。それがなければ牛が浮かばれぬ

 ▼ドラマ『セクシー田中さん』の原作者で漫画家の芦原妃名子(ひなこ)さんの訃報に衝撃を受けているファンもいるだろう。ドラマ化の過程で原作と異なる脚本にテレビ局側との間で心労を募らせていたと伝わる

 ▼原作を完全に再現するのは困難とはいえ、芦原さんには自分の牛がただ乱暴に扱われているように見えてしまったか

 ▼ドラマ化においてはテレビ局側の発言力が強くなりやすいという指摘を聞く。難しい問題だが、一方的に牛の鼻面を取って引き回すような態度が局側に仮にあるとすれば原作者にはつらいだろう。大切に育てたわが子同然の牛。そんな場所には誰も送りだしたくはないし、ファンの望むところでもない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年02月04日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:秋の読書月間 書店で出会う「心に残る1冊」

2023-10-31 05:01:10 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説②】:秋の読書月間 書店で出会う「心に残る1冊」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:秋の読書月間 書店で出会う「心に残る1冊」

 インターネットで手軽に本を買える時代だが、書店には思わぬ良書と出会える喜びがある。活字文化を支える「街の本屋さん」の減少に歯止めをかけなければならない。 

 きょうから「秋の読書推進月間」が始まった。スマートフォンの普及などに伴い、出版業界は紙の書籍や雑誌の不振が続いている。

 最近の用紙費や輸送費の高騰で、新刊の平均価格は前年比2・2%増の1268円に上った。値上がりによる買い控えで活字離れが加速しないか心配だ。

 文部科学省の調査で、2001年生まれの男女に1か月間に読んだ紙の本の数を尋ねたところ、「0冊」が6割を超えていた。

 読書は私たちを未知の世界に誘い、知識と知恵を与え、人生を豊かにしてくれる。スマホで得る情報だけでは、社会生活に必要な情操を十分に養えないだろう。

 小中学生では、読書が好きな児童生徒ほど成績が良いとの調査結果もある。時間に追われる時代だからこそ、子どもの頃から本を手に取り、ゆっくりと活字に親しむ環境を守ることが欠かせない。

 ふと立ち寄って本選びを楽しめる地域の書店は、そんな場の一つだ。しかし全国の書店数は1万1000余りとなり、最近20年でほぼ半減した。書店が一つもない「無書店自治体」は、全国の市区町村の26%に上るという。

 本紙の世論調査では、街に書店がない現状に61%の人が改善の必要があると思う、と回答した。書店を守るために何をすべきなのか、官民で考える必要がある。

 店主の目利きでユニークな本をそろえたり、カフェや雑貨売り場を併設したりといった個性的な書店が人気を呼んでいる。

 書店不足の解消を目指し、出版取次大手は東京都心の駅にスマホで入店や決済ができる書店をオープンさせた。店員が不要なため、長時間営業が可能だという。

 各書店は、読者の幅広いニーズにこたえられるよう、工夫を凝らしてもらいたい。

 難病の先天性ミオパチーを患う市川沙央さんの「ハンチバック」が芥川賞を受賞したことで、障害者の読書環境が注目された。

 4年前に施行された読書バリアフリー法は国や自治体に、本の朗読サービスの拡充などを促しているが、まだまだ障害者が利用しやすい状況だとは言い難い。

 本を読みたくてもかなわない人がいる。国や自治体は、全ての人が活字文化の恩恵を受けられるよう、環境づくりを急ぐべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:国語世論調査 世代を超え言葉を共有しよう

2023-10-01 05:00:30 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説①】:国語世論調査 世代を超え言葉を共有しよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:国語世論調査 世代を超え言葉を共有しよう

 社会のデジタル化が進み、新しい言葉や言い回しが生まれている。世代を超えて意思の疎通が図れるよう、言葉を大切に使うようにしたい。

 文化庁が、全国の16歳以上を対象に実施した2022年度の「国語に関する世論調査」の結果を公表した。今回は、「異様だと感じてあきれる」といった意味で「引く」という言葉を使うかなど、最近の言い回しについて尋ねた。

 「引く」は使う人が70%、使わない人が29%で、世の中に浸透しつつある実態が浮かんだ。一方、「気に入って応援している人や物」といった意味で「推し」と言うかどうかは、ほぼ半々だった。

 「どうしようもなくなった」の意味で「詰んだ」と言う人は31%にとどまり、この言い方が「気になる」人が32%に上った。これらの言葉は、いずれも若い世代で多用され、年齢が上がるに連れて使う人が減る傾向にあった。

 言葉は、意味が共有されなければ、対話や建設的な議論につながらない。自分がその言葉を知っていても、相手が知らないこともある。世代や場面に応じて大事に選ぶように心掛けたい。

 分からない言葉に出会った時は、辞書や百科事典で調べる習慣を身につけることも重要だ。

 今回の調査では、「AED(自動体外式除細動器)」や「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」といったアルファベットの略語について、全体の85%の人が意味が分からず困ることがあるという結果も判明した。

 こうした略語の使用は、デジタル関連の用語を中心に広がっている。短くて使いやすいのだろうが、十分に普及していないこともある。その場合は、意味を補足するなどの配慮が必要だろう。

 調査で「言葉の使い方に気を使っている」と回答した人は、全体の80%を占めた。職場や学校ではハラスメントが社会問題化し、インターネット上の投稿が感情的な対立を引き起こすこともある。

 言葉を慎重に使うようになっている背景には、余計なトラブルに巻き込まれたくないという心理もあるのではないか。

 言語感覚を養うには、幼少期から読書を重ねて 語彙ごい を豊かにすることが重要だ。文学作品を通じて情緒も育まれる。家庭や学校で活字に触れ、じっくりと言葉に向き合う機会を増やしてほしい。

 コロナ禍が落ち着き、対面で顔を合わせる機会は増えた。言葉を適切に使って円滑なコミュニケーションを図りたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年09月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:バンクシー14年ぶりの個展開催 絵画を描く際に使用した「ステンシル」初公開

2023-06-18 09:30:30 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【話題】:バンクシー14年ぶりの個展開催 絵画を描く際に使用した「ステンシル」初公開

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:バンクシー14年ぶりの個展開催 絵画を描く際に使用した「ステンシル」初公開 

 正体不明の芸術家バンクシーの14年ぶりとなる個展が18日、英北部スコットランドのグラスゴーにある現代美術館で始まる。8月28日まで。英メディアによると、1998年以降の作品を展示し、絵画を描く際に使用したステンシルと呼ばれる型を初めて公開するなど制作の舞台裏も披露する。

バンクシーの個展が開かれる英北部グラスゴーの現代美術館=15日(英PA通信=共同)

 

複製で額縁内部の仕掛けを再現したバンクシーの絵画「少女と風船」=15日、英北部グラスゴー(英PA通信=共同)

 

 2018年10月、競売の落札直後に額縁に仕掛けられたシュレッダーで細断された作品「少女と風船」について、額縁内部の仕組みを複製で説明する。

 現代美術館によると、バンクシーは「ステンシルが器物損壊罪の証拠として使われるかもしれないと心配して、長年隠してきた。でも、今は芸術作品として展示しようとしている」と冗談めかして話した。

 同館の館長は「過去25年以上にわたって世界中の人々を興奮させてきた芸術家と共に仕事をするまたとない機会だ」と述べた。

 バンクシーは、ロシアに侵攻されたウクライナで、損傷した建物などに作品を描いたことでも知られている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・正体不明の芸術家バンクシーの14年ぶりとなる個展が18日、英北部スコットランドのグラスゴーにある現代美術館で始まる】  2023年06月18日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【グラミー賞】:「制作者である人間だけ」AIだけではノミネートや授賞の対象外 新たなルール公表

2023-06-18 07:29:30 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【グラミー賞】:「制作者である人間だけ」AIだけではノミネートや授賞の対象外 新たなルール公表

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【グラミー賞】:「制作者である人間だけ」AIだけではノミネートや授賞の対象外 新たなルール公表

 米音楽界最高の栄誉とされる「グラミー賞」を主催するレコーディング・アカデミーは16日、人工知能(AI)技術の利用に関する新たなルールを公表した。各部門でノミネートや授賞の対象となるのは「制作者である人間だけ」だとし、人間が制作に一切関わっていない作品には資格が与えられないとしている。

 一方、AI技術を全面的に禁止はしておらず、審査対象となる条件として、人間の手による制作部分が作品で一定程度以上の「意義ある」割合を占める必要があるとした。AI部分の制作担当者はノミネートや授賞の対象とはならない。

 AI技術の音楽への利用を巡っては、ビートルズの元メンバー、ポール・マッカートニーが13日、過去のデモ音源から故ジョン・レノンさんの声を抽出して完成させた曲を年内にリリースすると明らかにしている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・米音楽界最高の栄誉とされる「グラミー賞」を主催するレコーディング・アカデミー】  2023年06月18日  07:29:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:邪馬台国の前の時代、縄文太鼓を知っていますか?日野皓正がセッションに参加

2023-06-10 05:00:00 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【話題】:邪馬台国の前の時代、縄文太鼓を知っていますか?日野皓正がセッションに参加

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:邪馬台国の前の時代、縄文太鼓を知っていますか?日野皓正がセッションに参加 

 吉野ケ里遺跡で石棺墓が新たに見つかり、邪馬台国論争が話題となっている中、縄文太鼓奏者の第一人者茂呂剛伸(もろ・ごうしん=45)と世界的ジャズ・トランペット奏者日野皓正(80)が初コラボしたCD「prevail everywhere」が制作されることが9日、分かった。

コラボCDを発売する世界的ジャズ・トランペット奏者日野皓正(左)と縄文太鼓奏者の第一人者茂呂剛伸

 

 日野、茂呂と福田基のユニットDJEMP(ジャンピ)が、11月7日に札幌(キタラ小ホール)でコンサートを開催。CDはその会場で販売されるほか、オンラインでも販売される。

 縄文太鼓を知らない人も多いので、まずは日本の太鼓の歴史から振り返る。打楽器は縄文時代からあったとされ、石笛や土笛、土鈴などとともに、狩猟や情報を伝達する手段として音を使用、打楽器も存在していたという。実際に、各地の遺跡から、皮を張って太鼓として使用されたと推定される土器が出土されており、当時の太鼓は「縄文太鼓」という名称で呼ばれている。

 この縄文太鼓に魅せられたのが茂呂だった。

 茂呂は和太鼓少年で、小6の時には海外でも演奏会を行っていた。「子どもの頃の夢は、和太鼓集団の鼓童に入ることでした」。パーカショニストとして活動をしていた19歳の時、札幌のススキノの路上で、ジャンベ太鼓と出会ったという。「日本人のストリートミュージシャンが演奏していたのですが、一気に魅せられてしまい、手ほどきを受けました」。

 ジャンベは西アフリカ起源の太鼓。茂呂はすぐに、ガーナへの留学を敢行した。「ツテをたどり受け入れ先の部族を見つけ、ビザを発給してもらいました。日本でいう、海の家のような小屋での生活です。体で覚えろということでした。ただ、その集団はガーナの雅楽のエリート集団で、部族のお祭りをまわってたり、ダーナを代表するパーカニストもいる部族でした」。

 帰国後は、3年ほど、ジャンベ太鼓の演奏家として、クラブなどで演奏を続けてきたという。演奏による収入で生活はできたが、家業の不動産業を引き継ぐ必要もあった。「ジャンベ太鼓の奏者として人生もいいが、太鼓で生計を立てることはやめようと。あくまでもライフワークとして取り組むことを決めました」。

 そんな矢先、知人だった詩人で大学で教えていた原子修教授から、縄文太鼓の存在を知らされたという。

 「原子先生は縄文時代の専門化で、ジャンベ太鼓と同じく、日本にも縄文太鼓があったと教えられました。北海道は弥生文化がなかった分だけ、縄文時代が長いんですが、何より、この時代は人が人を殺すことがなく、戦争がなかった時代なんです。人を殺さなかった時代の太鼓というところに心ひかれました」。

 北海道からも、太鼓だったとみられる土器が出土している。茂呂は北海道江別から出土された約4500年前の土器をモチーフとし、試行錯誤。土をこね、電気釜や登り窯、さらには野焼きも含めて、これまでに200個以上の縄文太鼓を作ってきた。

 3年前、美術館の館長の紹介で日野と対面し、すぐにフリーセッションを行うなど意気投合。今回は「縄文文化を音楽で世界に発信したい」という茂呂の熱意にほだされ、日野がCD制作への参加を快諾した。

 日野は「茂呂さんはすご人。楽しいし、沸き上がってくる情熱がすごい。彼のリズムが大好きだしいっしょにやりたいと思った」と話す。縄文太鼓については「僕の弟はドラマーだし、父はタップダンスをやっていた。ジャズのリズムは、その昔の奴隷制があった時代までさかのぼる。どんな太鼓も同じで、それよりも、たたく人の人間性が出る、深くクリエーティブものなんだ」などと語った。【竹村章】

 ◆縄文太鼓 

 北海道の原土を使用し、手びねりで造形。縄で文様を付け乾燥した後、野焼きをして焼き上げ、北海道ならではのエゾシカの皮を張った北海道産の楽器。札幌圏から出土する縄文土器にヒントを得て創案された。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・吉野ケ里遺跡で石棺墓が新たに見つかり、邪馬台国論争が話題となっている中、縄文太鼓奏者の第一人者茂呂剛伸(もろ・ごうしん=45)と世界的ジャズ・トランペット奏者日野皓正(80)が初コラボしたCD「prevail everywhere」が制作される】  2023年06月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:カンヌで脚本賞 映画「怪物」からの警告

2023-06-09 06:40:40 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説②】:カンヌで脚本賞 映画「怪物」からの警告

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:カンヌで脚本賞 映画「怪物」からの警告

 フランスのカンヌ国際映画祭で役所広司さんが男優賞を受賞し、脚本賞は是枝裕和監督=写真=の「怪物」を担当した坂元裕二さんが受賞した。是枝作品の受賞は、二〇一八年の「万引き家族」での最高賞パルムドールなど五度目であり、今回ももちろん慶事だが、この作品が、痛々しい現実の反映である点にも留意したい。

 二日から公開された「怪物」のあらすじで、一つの鍵となるのは学校での「体罰」だ。作中では、それが実際にあったのかが焦点になるが、そもそもこの国の学校や家庭などに体罰が全くなければ、生まれ得なかった作品であろう。
 
 本来は自分たちを守り、育てるはずの大人の暴力で傷つき、命を失う子が多くいる。この映画は、体罰を根絶できない現状が前提であることを、まず心に留めたい。
 
 さらに本作では、体罰の告発を巡って、人々の間に起きる断絶が描かれる。人々が自分の信じたい情報だけ信じ、都合の悪い情報は排除しがちな欠点を突くのだ。
 
 そうした現代社会の傾向を助長するのが、ネットの普及だろう。人は、ものごとを判断する材料をかつてなく多く得る一方で、真偽不明の情報に踊らされてもいる。
 
 以前は「民主主義のお手本」のように見なされていた米国でも、大統領選で敗北したトランプ氏が「選挙結果は盗まれた」と主張。それをうのみにした人々が、連邦議会議事堂を襲撃した信じがたい事件は、記憶になお新しい。
 
 情報の過多と人々の断絶を巡る混迷は米国に限らず、日本でも、世界の各国でも起きている。その現実を深く憂える映画人の真剣な問いかけが映画「怪物」であり、またそれに共鳴した映画人からの応答が今回の贈賞であったろう。五輪か何かのように、「日本人の快挙!」と手放しで喜んでばかりではいられないゆえんだ。
 
 洋の東西を問わず、怪物とは、昔から人間に何かを告げる役目を果たしてきた。怪物を指す英語の「モンスター」は「警告」を意味するラテン語が語源だという。
 
 映画「怪物」が私たちに発する警告−。まずはじっくりと作品を観賞し、それを考えてみたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月07日  08:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:学術会議の意味ないじゃん 会員選考めぐる世耕さんの言葉はまるで恫喝

2023-06-02 07:48:10 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:学術会議の意味ないじゃん 会員選考めぐる世耕さんの言葉はまるで恫喝

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:学術会議の意味ないじゃん 会員選考めぐる世耕さんの言葉はまるで恫喝

 「(改正案が)のめないのであれば、組織形態を根本から変える。国のお金に頼らない自立的民間的組織としてやっていく方を選択されるのかを問う期間になる」(世耕弘成参院幹事長・自民党

 これは4月21日付の『朝日新聞DIGITAL』『学術会議「改正案のめなければ民間的組織に」自民・世耕氏譲歩迫る』という記事の中に出てきた世耕さんの言葉。

<picture>世耕弘成参院幹事長・自民党(C)日刊ゲンダイ</picture>

  世耕弘成参院幹事長・自民党(C)日刊ゲンダイ

 日本学術会議の会員選考に、政府の委員が口を出せるようにする学術会議法改正案について、政府は今国会への提出見送りを決めた。そのことについて会見での世耕氏の発言だ。

 今国会で政府は見送りを決めたけど、全然諦めていない様子。自分らのいうことを聞かないなら10億円の予算は払わないからな、といっておる。学術会議は、民間組織になって自分達で資金集めをしろ、と言う恫喝だ。

 そもそもは、2020年10月、当時の菅総理が、政府に批判的な学者を学術会議会員に任命しなかったのが発端だ。安保法制や共謀罪、特定秘密保護法について、専門的見地からは反対となり、そんな耳が痛い提言なぞ聞きたくないという子供っぽい理由だった。で、政府は学術会議の会員の選任に口を出す今回の改正案を作った。

 それに対し、学術会議側が猛反発。当たり前だ。だって、政府のいってることを通したら学術会議の意味ないじゃん。

 この世耕氏の発言に、ネトウヨ風味な人たちが、「国の意見を聞けないなら税金を出さないのは当然!」などといっているが、頭がおかしい。学術会議が民間組織になれば、運営費をスポンサーから得なければならず、スポンサーである大企業の意見を無視できなくなる。それじゃ、大所高所から学術的意見をいう学術会議の意味がないがな。

 人間、誰もが間違う。だから、賢い人ほど、自分の間違いを指摘してくれる専門家に、あえてお金を払う。国家も同じ。日本は賢くない国家?

室井佑月
著者のコラム一覧
 ■室井佑月 作家

 1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載・「室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」」】  2023年04月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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