路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:週のはじめに考える 火山国に住む心得は

2019-06-16 06:10:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説①】:週のはじめに考える 火山国に住む心得は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 火山国に住む心得は 

 クイズです。○か×で答えてください。(1)噴火する危険性がある山を活火山という(2)噴火の規模が大きければ予知できる-。正解と説明をしましょう。

 噴火しているのが活火山、噴火の記録はあっても現在は噴火していないのは休火山、記録のないのは死火山と、昔は呼びました。

 火山噴火予知連絡会は二〇〇三年に「おおむね過去一万年以内に噴火した火山」などを活火山と定義しました。百十一あります。

 ◆大山の噴火に備えろ

 (1)の正解は○? いえ、×なのです。

 昨年十二月、原子力規制委員会が関西電力に対して、大山(鳥取県)が噴火した際の火山灰の影響を調べて報告するように求めました。京都市で厚さが二十五センチもある大山の火山灰層が見つかったのを受けての指示でした。

 大山は活火山ではありません。火山灰は、八万年前の噴火によるものです。火山活動は一万七千年前が最後です。

 火山学者の巽(たつみ)好幸・神戸大教授は規制委の判断について「当たり前の話。火山の寿命は少なくとも百万年程度」と話します。

 最後の噴火から何年ではなく、活動開始から百万年以内の火山は、噴火の可能性があるというのです。巽教授は「待機火山」という名称を提案しています。北方四島を含む日本列島に二百八十四あります。問い(1)の正解は×です。

 (2)の予知はどうでしょうか。

 噴火予知が見事に成功したことがあります。二〇〇〇年の北海道・有珠山噴火では二日前に「今後数日以内に噴火する可能性が高く…」と初めて“予知情報”を出し、犠牲者はゼロでした。

 有珠山には北海道大有珠火山観測所がありました。繰り返し噴火が起きていたので、科学的な観測データが整っていました。

 ◆天の岩戸伝説に学ぶ

 当時の岡田弘教授らが、自治体の防災対策や防災教育に力を尽くしていたことも、犠牲者ゼロの理由とされています。

 一方、突然の噴火だったのが岐阜・長野県境の御嶽山や、群馬県の草津白根山でした。ともに水蒸気爆発でした。

 予知はマグマの移動を地震計などでキャッチすることで可能になります。水蒸気爆発はマグマが大きく移動するわけではないので、前兆が分かりにくいのです。噴火としては小規模でしたが、山頂付近にいた人が被害に遭いました。

 規模が大きければ前兆現象も捉えやすいのでしょうか。

 巨大噴火、あるいは破局的噴火と呼ばれるのが、阿蘇山などで起きた巨大カルデラ噴火です。九州や北海道、東北で起き、平均一万年に一回程度です。

 阿蘇山が巨大噴火を起こした場合の予想では、火山灰は関西で五十センチ、関東で二十センチに達します。東京では、江戸時代に起きた富士山の宝永噴火を上回る規模です。数センチの火山灰で交通機関はマヒし、送電線は切れるといいます。

 最後の巨大噴火は七千三百年前の鬼界カルデラ噴火です。鹿児島県の南の海底にあるカルデラで、九州南部の縄文文化を滅亡させたとされます。古事記にある「天の岩戸伝説」は、噴火後、火山灰で太陽が隠され、世界が暗くなった様子を伝えている、と考える研究者もいます。

 鬼界カルデラを研究している巽教授は「巨大噴火はこれまで、人類が一度も科学的な観測をしたことがないので、巨大噴火に至るまでの経緯が分かりません。前兆はあるでしょうが、起きてみなければ分かりません」と言います。

 データが少ない火山の予知は難しいようです。(2)は限りなく×に近い、でした。

 愛媛県の伊方原発3号機の再稼働停止を求める仮処分申請で、阿蘇山の巨大カルデラ噴火が争点になりました。一度は停止が認められましたが、広島高裁は仮処分を取り消しました。根拠は(1)国は具体的な対策を策定していない(2)想定しなくてもよいとするのが社会通念である-でした。

 発生確率が低い災害を軽視する。対応できないものは、想定外で済ます。それが大きな不幸を招くという、3・11の教訓を忘れてはいけません。

 ◆運命とあきらめない

 噴火するまで何もしないのでは、縄文人と変わりません。備えるべきは原発や政府だけではありません。日本列島に住む、私たち一人一人が考えるべきことです。

 まずは正しい知識を身に付けることです。そして、時々は(1)山にいるとき噴火したら(2)自宅などで火山灰が降ってきたら(3)長距離の避難を迫られたら(4)被災者を助ける立場になったら-といったことを話し合ってください。私たちは火山国に住んでいるのです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月16日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:サッカー選手として全盛期にあったジネディーヌ・ジダン氏がパーティーに出席した。

2019-06-16 06:10:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:サッカー選手として全盛期にあったジネディーヌ・ジダン氏がパーティーに出席した。 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:サッカー選手として全盛期にあったジネディーヌ・ジダン氏がパーティーに出席した。

 食事中に紙ナプキンが回ってくる。サインをせがまれているのだろうと思って手に取ると文字があった。「レアル・マドリードに来る気はないか?」▼数人置いた席で、そのスペインのクラブの会長がほほ笑んでいる。ジダン氏はイタリアの強豪との契約にしばられた身であったが、同じ紙に書いて返した。「イエス」。フランス人記者による『ジダン 物静かな男の肖像』にある逸話だ▼名実とも世界一だった大物選手が、紙切れでの誘いに一も二もなくうなずく。世界でも実績、実力、名声で抜きん出たレアル・マドリードからのオファーは、それほどの重みがあろう▼日本の十八歳にその特別なクラブからオファーが届いた。FC東京の久保建英(たけふさ)選手の移籍が決まった。多くの日本人が欧州に渡ったが、特別な出来事だろう。久保選手がかつて下部組織に所属していた、もう一つの名門バルセロナと争奪戦も起きている▼欧州紙に「日本の真珠」などと紹介された。才能が今季のJリーグで、試合のたびに磨かれた印象がある▼選ばれた者たちが競争する世界が待っている。「Bチーム」からスタートするようだが、現在、ジダン氏が監督として率いるトップチームで居場所を見つけることができれば、もう一段上の快挙である。夢が膨らむ。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年06月16日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:県外の軍用地主増加 分断を防ぐ対策が急務だ

2019-06-16 06:01:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・在沖米軍・オスプレー・普天間移設、米兵の犯罪】

【社説】:県外の軍用地主増加 分断を防ぐ対策が急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:県外の軍用地主増加 分断を防ぐ対策が急務だ 

 「新たな基地問題」と位置付け、真剣に向き合う必要がある。人々の分断や、まちづくりの遅滞を招く恐れがあるからだ。

 県内の米軍基地用地(軍用地)で国と賃貸借契約を結ぶ所有者のうち県外居住者の数が6年間で1・44倍に増え4千人を超えた。統計開始以来6年連続で増え、最新の2018年度は軍用地主全体の9%を占め、1割に迫っている。
 地主が高齢化し、県外や国外に住む親族への相続・贈与が進んでいる。一方で地主全体の数は年によって増減が見られるものの、18年度にかけて県外在住者の数が大幅に伸びている。これは、かつてない低金利環境の下で「安定資産」として投資目的の軍用地購入者が増えていることが主な要因とみられる。
 県内の米軍用地を巡っては、1945年の沖縄戦後、米軍による強制接収を経て、地代を安価な一括払いで済ませようとした米軍の方針に住民が激しく抵抗した島ぐるみ闘争の歴史がある。そうした権利獲得闘争の結果、現在の地料に至った経緯がある。それでも土地提供を拒む未契約者、いわゆる反戦地主はいまだに少なくない。
 政府による軍用地料の高額化はそんな地権者や地元住民の反発に応える側面があった。基地周辺の経済発展の恩恵を受けられない機会損失への補償の意味合いもある。いわば基地負担が大きい地元住民の権利主張を考慮したものだ。
 しかし基地負担を負わない県外在住者が投資目的でその恩恵を受けることは、それらの意味合いから乖離(かいり)していると言える。米軍機の爆音や米軍絡みの事件・事故など基地被害を日常的に受けている地元住民は不公平感を強めるに違いない。
 地権者間で分断が生じる恐れもある。基地の返還が決まった後の跡利用構想について、距離や意識の差から県外地権者の同意を得られず、まちづくりが遅れる可能性は否めない。今回の統計結果は、その可能性がより強まったといえ、県民全体にとって放置できない課題を突き付けている。
 那覇新都心や北谷町美浜など返還跡地の開発で経済効果が飛躍的に向上した例や、県民所得に占める基地関連収入割合の低下により「基地は県経済発展の阻害要因」との認識が県民の間で広がっている。県経済の好調さも加わり、基地負担に対する県民の目線は経済面からも厳しさを増しているだろう。
 それに加え、軍用地所有権が県外に流出する傾向は、軍用地料の高額化による基地施設の安定供給という政府の従来施策が破綻しつつあるとの見方もできる。基地の整理・縮小と返還跡利用による地域活性化は県民大多数の願いだ。この県民の切実な願いを実現するためにも、軍用地所有権の県外流出への対策や、迅速な返還跡利用に向けて円滑な合意形成を可能にする仕組みづくりが急務だ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月11日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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