路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【韓国】:文氏、支持率低迷…正恩氏の年内訪問も実現せず

2018-12-31 23:10:30 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・島根県の竹島(韓国名・独島)の領有権・アジア】

【韓国】:文氏、支持率低迷…正恩氏の年内訪問も実現せず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【韓国】:文氏、支持率低迷…正恩氏の年内訪問も実現せず

 【ソウル=豊浦潤一】韓国の文在寅ムンジェイン政権の支持率低迷が顕著になってきた。内政では経済政策の不振に大統領府のスキャンダルが重なり、外交の基軸となる米国や日本との関係でも摩擦が目立っている。支持率アップの頼みの綱だった北朝鮮の金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長の年内のソウル訪問も実現せず、内憂外患の様相が強まっている。 

 ■雇用減

 韓国ギャラップが12月18~20日に全国約1000人を対象にした世論調査では、支持率が45%と前週に続いて政権発足以来最低となり、初めて不支持率(46%)を下回った。最低賃金の引き上げや残業時間を規制する「週52時間労働制」の導入が零細業者の経営を圧迫し、雇用を減らしていることなどが主な理由だ。

 大学生の就職も「超氷河期」が続き、統計庁によると昨年の4年制大学の就職率は62・6%と前年から1・7ポイント減少した。保守系紙・中央日報は29日のコラムで、文政権がアベノミクスが成功した日本と「正反対に向かっている」と指摘し、「時代錯誤的に労働運動が最もしやすい環境を作った」と批判した。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 国際 【アジア・韓国】  2019年12月31日  23:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【中国】:国防白書公表せず…「軍機構改革が途上」

2018-12-31 23:07:30 | 【中国・共産党・香港・台湾・一帯一路、「国家の安全」、個人の権利を抑圧する統治】

【中国】:国防白書公表せず…「軍機構改革が途上」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中国】:国防白書公表せず…「軍機構改革が途上」

 【北京=中川孝之】中国政府が今年、「国防白書」の発表を見送ることが確実となった。隔年の公表が慣例だったが、2015年を最後に公表されていない。空母などの兵器増強を進める中国軍の透明性のさらなる低下が懸念される。 

 国防白書は1998年に初公表されて以降、ほぼ2年に1度のペースで発表されてきた。中国軍の戦略や装備の概要を内外に示す文書で、2013年には陸海空の兵力も公表した。直近の15年白書では、データ類の記載がなくなるなど透明性は後退したが、日米関係筋は「中国軍の透明性をはかるバロメーターの役割」を果たしてきたとみる。

 白書の発表について、中国国防省の当局者は12月中旬、読売新聞の取材に「白書は軍建設の成果を発表するもので、軍機構改革が途上にある段階で公表すべきものはない」と説明し、19年中に次回白書を発表できるかも「未定」との見方を示していた。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 国際 【アジア・中国】  2019年12月31日  23:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政局】:2019年の焦点は参院選 改憲の行方占う、野党は結束が鍵

2018-12-31 19:06:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政局】:2019年の焦点は参院選 改憲の行方占う、野党は結束が鍵

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:2019年の焦点は参院選 改憲の行方占う、野党は結束が鍵 

 2019年の政局は、夏の参院選が最大の焦点となる。安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2議席以上を維持するかが攻防ライン。結果は改憲の行方を占う。安倍晋三首相が引き続き政権を担えば、11月に歴代最長政権となる。逆に参院選でつまずけば、首相は求心力を失い、政局が不安定化する。立憲民主党など主要野党は改憲阻止へ全力で対抗する構え。参院選で反転攻勢するには野党間の結束が鍵を握る。

 18年9月の自民党総裁選で連続3選を果たした首相は、21年9月まで残る総裁最終任期の間に、悲願とする改憲をかなえたい意向だ。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政局・夏の参院選が最大の焦点】  2018年12月31日  19:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【超党派議連】:法改正の動き「五輪へイメージ改善を」利害関係者と国家公務員、

2018-12-31 06:56:30 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【超党派議連】:法改正の動き「五輪へイメージ改善を」 利害関係者と国家公務員、ゴルフ解禁?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【超党派議連】:法改正の動き「五輪へイメージ改善を」 利害関係者と国家公務員、ゴルフ解禁? 

 国家公務員倫理規程が禁じている国家公務員と利害関係者とのゴルフについて、自民党を中心とした「超党派ゴルフ議員連盟」が解禁を目指し、来年の通常国会に国家公務員倫理法改正案を提出する考えであることが分かった。ゴルフ禁止は旧大蔵省の接待汚職事件などを教訓に決まり、人事院のアンケートで国民や民間企業の七割が支持している。議連の動きはそれに反する。 (清水俊介)

写真

 政府は現在、許認可申請する人、補助金申請する人、行政指導を受けた人などを利害関係者と認定し、国家公務員とのゴルフを禁止している。

 ゴルフ解禁を目指す理由として、議連は二〇二〇年東京五輪でゴルフが競技種目となることを挙げる。議連の衛藤征士郎会長(自民党)は、本紙の取材に「ゴルフは東京五輪の正式競技。スポーツとして楽しむ人が増えているのに規程があると、ゴルフは悪者というイメージを与える」と説明する。

 認めるのは料金を業者などと割り勘にする場合だけで全面的に解禁しない。公務員倫理法改正案には「利害関係者の負担によらないでゴルフその他のスポーツをする場合」は、禁止の対象外とする内容を書き込む方針。倫理法が改正されたあと、倫理規程も見直す。

 議連の動きは、ゴルフやスポーツ関係団体が後押しする。十二月の参院文教科学委員会に参考人として出席した日本オリンピック委員会(JOC)の松丸喜一郎常務理事は「ゴルフだけ差別を受けている」として、早急な見直しを求めた。

 国家公務員と利害関係者とのゴルフ禁止は、二〇〇〇年制定の倫理規程に盛り込まれた。大蔵官僚が金融業界から接待攻勢を受けた大蔵省接待汚職事件など、一九九〇年代に国家公務員の不祥事が相次いで発覚し、度を越した接待ゴルフが官民癒着の温床と指摘されたからだ。倫理規程には、国家公務員が利害関係者と一緒にしてはいけない行為として、旅行や遊技(マージャンを想定)に加え、スポーツで唯一、ゴルフを明記した。

 議連は一五年、政府に規程の見直しを要請した。これを受けて人事院の国家公務員倫理審査会が一六年に国民や民間企業、有識者らを対象に実施したアンケートでは、七割程度が現行の禁止規定を「妥当」と回答した。審査会は「現時点で見直しは困難」と結論付けた。

 ゴルフをめぐっては一七年に学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題に関し、安倍晋三首相が学園の加計孝太郎理事長と頻繁にゴルフをしていたことが国会で問題視された。一八年に発覚した文部科学省の汚職事件でも、同省幹部が元コンサルタント会社役員にゴルフ接待を受けていた。

 <解説>

 「接待ダメ 割り勘OK」 なお癒着の温床

 超党派ゴルフ議連は割り勘でゴルフをすれば、国家公務員と利害関係者の節度ある関係は保たれるというが、説得力はない。許認可権を持つ官僚に対して、民間業者が度を越した接待攻勢を掛けるのは、過去の不祥事が物語っているからだ。

 業者が国家公務員とゴルフをするのは、仲良くなって、困った時などに便宜を図ってもらいたいからだろう。初めは割り勘にしていても、一度だけならと料金を肩代わりしてもらい、その関係がずるずると続くことは想像に難くない。

 しかも、国家公務員と利害関係者が割り勘にしたと口をそろえれば、反論は難しい。そこに法改正の危うさがある。

 議連が法改正に乗り出すのは、人事院の国家公務員倫理審査会がアンケートを基にゴルフ禁止規定の見直しに応じなかったからだ。審査会の理解が得られる見込みがないから、法改正するのは本末転倒で、姑息(こそく)と言わざるを得ない。

 「ゴルフは悪い」と思っている国民はいない。国家公務員と利害関係者がゴルフを通じて癒着し、公正であるべき行政がゆがめられたり、不正が行われたりすることに強い憤りを感じているだけだ。(清水俊介)

(東京新聞)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政局・自民党・国家公務員倫理規程が禁じている国家公務員と利害関係者とのゴルフについて、自民党を中心とした「超党派ゴルフ議員連盟」が解禁を目指す】  2018年12月31日  06:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:年の終わりに考える じわじわじわじわ

2018-12-31 06:10:55 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説①】:年の終わりに考える じわじわじわじわ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年の終わりに考える じわじわじわじわ 

 「今年の漢字」は「災」でした。自然災害に、トランプ台風まで含めれば、世界も納得の一字かも。でも、ここでは「漸」を挙げてみたいのです。

 クリスマスまで一週間、ジングルベルに街が浮足立ったころでした。新たな防衛力整備の指針、いわゆる「防衛大綱」が閣議決定されたのは。いろいろ重いニュースも多かった一年も最終盤になって、またまた嘆息を禁じ得なかったのは、その中身です。

 ヘリ搭載型護衛艦の事実上の空母化、敵基地攻撃能力とみなされかねない長距離巡航ミサイルの配備などが盛り込まれました。改修した護衛艦には最新鋭ステルス機の搭載が想定されています。

 ◆戦争に近づく

 政府は、艦船には「戦闘機は常時搭載しない」から空母ではないといい、長距離巡航ミサイルもあくまで防衛のためだといいます。しかし、いずれも使い方によっては簡単に「攻撃型」に転じ得る。長く守ってきたわが国の原則、「専守防衛」が骨抜きにされていく印象が否めません。

 安倍政権は「専守防衛は逸脱しない。心配ない」と言いつつ、この国をまた少し、じわっと戦争に近づけたのではないか、と感じました。そして、思い起こせば、第二次安倍政権になってから、この「じわっ」が続いています。

 きなくさい情報が隠されてしまう面がある特定秘密保護法で、じわっ。過去の政権が「保持しているが行使できない」としてきた「集団的自衛権」を、閣議決定で「行使容認」し、じわっ。同盟国の戦争に加われるようにした安保関連法で、じわっ。反戦運動など市民の自由な行動を縛りかねない「共謀罪」法で、じわっ。そして、空母化や長距離巡航ミサイルで、また…。

 そのつど、「平和主義は堅持する。心配ない」と政権は言いながら、その実、原則を次々に変質させ、日本はじわじわじわじわと戦争へ近づいている-。そんな気がしてなりません。だから、「漸」の字が思い浮かんだのです。

 安倍晋三首相が念願とする九条に自衛隊を明記する改憲は、そのとりあえずの仕上げでしょうか。

 もし、政権が「平和主義も専守防衛の看板も下ろし、憲法九条を変え、戦争用の法整備もし、敵基地攻撃可能な軍備を強化して、いつでも戦争をできる国にします」と言ったら、どうでしょう。個々のことは「政権が『心配ない』と言うのだから」と許容した人も、考えを変えるかもしれません。

 いっぺんに大胆にことを進めるのではなく、漸進。まるで、歩哨の目を恐れる兵士の匍匐(ほふく)前進みたいに、じわじわ少しずつ…。

 ◆温暖化も人口減も

 この「じわじわ」というのは、本当に曲者(くせもの)です。

 話が桂馬筋に進むようですが、例えば地球温暖化。今月、温暖化防止の国際ルール・パリ協定の締約国会議で協定実施の指針が決まりましたが、世界が一枚岩で切迫感をもってこの問題に取り組む体制になったとは、言い難い。

 もし、いっぺんに五度も十度も平均気温が上がれば、さすがに「温暖化はでっち上げ」などという妄言も消えうせましょう。しかし、温暖化もじわじわ少しずつ進む。無論、まだそれで助かっているわけですが、ゆえに、真の脅威と実感しにくい面があるのは確かでしょう。

 わが国の人口減にも同じことが言える気がします。今から五十年足らず後、二〇六五年には現在より四千万人も減って八千万人台になると、ほかならぬ国が推計しているのに、まだ、政治は成長主義一辺倒。成長の限界の先、今より小ぶりな国として、それでも堂々、豊かに生き抜いていける道を模索する気概をほとんど感じません。人口も漸減、一挙にではなく、じわじわ少しずつ減っていくからでしょう。

 そういえば、私たちには、最悪のことはわが身には起こらないと考え、好ましくない兆候を過小評価する心の傾き、いわゆる「正常性バイアス」があるそうです。また、問題の当事者が多いほど、自分でなくても誰かがやるだろうと高をくくって行動しない、いわゆる「傍観者効果」も働くと、心理学は言います。

 どちらも「じわじわ」の眩惑(げんわく)力を助長しかねず、心しておきたいところです。

 ◆ゆで上げられないよう

 よく言われるたとえで恐縮ですが、カエルの話を思い出します。

 熱い湯にカエルを入れたら、すぐに飛び出すが、水に入れてじわじわ温度を上げていくと、そのままゆで上がってしまう-。

 来る年には、うれしい出来事も多く待っておりましょう。ただ、よくない方にじわじわ進むこともあるはず。“温度変化”に敏感でいたいものです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年12月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「明治ハイカラ」「大正モダン」「昭和元禄」。元号にもニックネームがある。

2018-12-31 06:10:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:「明治ハイカラ」「大正モダン」「昭和元禄」。元号にもニックネームがある。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「明治ハイカラ」「大正モダン」「昭和元禄」。元号にもニックネームがある。

 

 無論、その時代のある断面を示しているにすぎず、例えば「昭和元禄」には戦時中の貧しさはなく、戦後の高度成長期の活気や生活を享受する空気を皮肉まじりにそう呼んだのだろう▼二〇一八(平成三十)年の大みそかである。平成最後の大みそか。そう思えば元号改定はまだ先ながら、この日が平成という時代そのものの大つごもりのように思えるという人もいるだろう。そう考えれば、ひときわ寂しい年の暮れである▼平成にどんな愛称が似合うかを考えてみる。とんと浮かばぬ。それも複雑な平成ゆえか。思い付いたのが「平成バブル」とはあまりにも陳腐だが、はじけて消える泡やしゃぼん玉のイメージが頭から離れぬ▼バブル経済崩壊に限らぬ。ハイカラ、モダン、元禄。それらが西欧化や経済成長、物質的豊かさという明治以降の日本が大きくしようとしたしゃぼん玉の軌跡だったとすれば、平成にそれはおそらくしぼんだ。迷走した▼高い経済成長は見込めぬ。高齢化、人口減。戦争はなく明日のコメにも困らぬ。それでも消えぬ先行きの不安はしゃぼん玉がしぼんだ後、次の道が見えぬという心細さのせいかもしれぬ。平成はそういう決して明るくない分岐点に立っていた気がする▼さらば平成三十年。なんだかおまえがいたわしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2018年12月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:12月30日(日)

2018-12-31 06:10:45 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【首相の一日】:12月30日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:12月30日(日) 

 【午前】8時7分、静養先の東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」から神奈川県茅ケ崎市のゴルフ場「スリーハンドレッドクラブ」。昭恵夫人、古森重隆富士フイルムホールディングス会長夫妻とゴルフ。

 【午後】4時7分、グランドハイアット東京。20分、同ホテル内の「NAGOMIスパアンドフィットネス」で運動。6時31分、同ホテル内のすし店「六緑」で高橋精一郎三井住友銀行上席顧問、増岡聡一郎鉄鋼ビルディング専務、昭恵夫人らと食事。同ホテルに宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2018年12月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:平成と経済 昭和と格闘した日々

2018-12-31 06:10:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説①】:平成と経済 昭和と格闘した日々

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:平成と経済 昭和と格闘した日々 

 平成はバブル経済と共に幕が開きました。虚構の繁栄は間もなく崩壊し模索の時代が始まりました。平成経済は昭和を残したまま終わろうとしています。

 「日本人はバイタリティー(活力)がある。だから大丈夫だ」

 平成が始まった一九八九年暮れに日銀総裁となった三重野康氏(故人)から、取材中に何度も聞いた言葉です。

 当時、低金利が原因で金が野放図に駆けめぐり、株価や地価が異常に高騰。一部の人々は投資に酔いしれていました。

 ◆バブル退治の鬼平

 いびつな時代に終止符を打ったのが三重野氏です。バブル退治を掲げ、国が嫌がる金利引き上げを何度も断行しました。「平成の鬼平」と呼ばれました。

 この利上げが効き過ぎ、デフレを引き起こしたとの指摘があります。しかしバブルを退治しなかったら、日本は闇資金がうごめく破綻国家になっていたのではないか。三重野氏はやはり正しい選択をしたのでしょう。

 戦後復興の活力があれば、バブル最大の負の遺産、不良債権を片付け景気は上昇軌道に戻る。三重野氏は、こう確信していたのではないか。

 だが、政府・日銀は、公共投資による景気刺激と、金融緩和による円安で輸出企業を支援する従来の経済政策を繰り返す。古い産業を捨て新たなビジネスを生み出すには、バブルの傷は深すぎたのです。

 ◆広がる将来への不安

 不安に拍車をかけたのは少子高齢化です。この問題は平成初期にすでに指摘されていました。少ない働き手が高齢層の年金を負担する近未来図が、逆三角形型のグラフを用いて説明されていました。

 平成六(一九九四)年二月、細川護熙内閣が国民福祉税構想を打ち出す。消費税を廃止し、新たな税収は年金の原資を念頭に福祉に使うという計画でした。

 細川首相が旧官邸で未明に行った記者会見に出ました。首相が新税について「腰だめではありますが…」と言った直後、質問が噴出。首相は説明不足を露呈し、数日後には構想自体を撤回せざるを得なかった。

 平成は消費税という大型付加価値税と向き合った時代でした。国民は、年金の財源として消費税率を上げざるを得ない現状を認識しています。ただアップした税収が本当に年金に使われるのか疑念を持ち続けています。

 消費税をやめて使い道を年金の原資と限定した税が創設されていたら、今どうなっていたのか。好機を逸してしまったという思いはぬぐえません。

 米国の著名な経済専門家であるグレン・ハバードとティム・ケイン両氏は共著「なぜ大国は衰退するのか」(日本経済新聞出版社)で日本経済について、「起業家精神や革新を重視し、個人の失敗にきわめて寛容で、資本市場が小規模なベンチャー企業にも開かれている制度を、まったく新しい形で創造しなければならない」と指摘する。

 しかし起業家を過度に警戒し、個人の失敗に不寛容で、資本市場では依然大企業が幅を利かせているのが現状ではないか。

 平成の三十年はすでに色あせてしまった昭和の成長モデルと格闘し、結局、そのかなりの部分を残存させました。

 この間、世界各国ではグローバル経済が広がりました。その象徴的な存在が巨大な金融資本とIT企業です。

 この二大勢力は国境を無効化しつつあります。多くは巧妙に巨額の節税をします。納税者はこうした資本家たちに怒っています。

 米国のトランプ政権の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱、フランスのマクロン政権への反発は、グローバル化による分断が背景にあります。日本でも格差による分断は進行しています。ただ大きな社会不安には至っていない。

 それは戦後経済が生み出した果実が、金融資産や社会基盤という形で残っているからです。日本経済には、まだ少し余力があるといえます。

 ◆民を救う日々は続く

 経済という言葉は経世済民を略したとされます。「世を治めて民を救う」との意味です。世界では「救われていない」と感じた人々が、国家や資本家に憤り、無力感さえ漂っています。

 国内でも同様です。少子化に伴う働き手不足、ブラック企業の広がり、増える非正規労働…。足元の課題に加え、人工知能(AI)の発達による職場激変の波も押し寄せるでしょう。

 新しい時代、まずは経世済民の言葉に恥じない「温かな資本主義」というべき、包摂型の経済運営の広がりを主張していかねばなりません。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年12月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:歌人の馬場あき子さん(90)が終戦の一九四五年の大みそかの夜に・・・

2018-12-31 06:10:35 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・大政翼賛会

【筆洗】:歌人の馬場あき子さん(90)が終戦の一九四五年の大みそかの夜に何を食べたか思い出せないと書いていらっしゃった。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:歌人の馬場あき子さん(90)が終戦の一九四五年の大みそかの夜に何を食べたか思い出せないと書いていらっしゃった。

 カボチャは食べたはずだ。常食だったすいとんも食べたであろう。想像はできても具体的に思い出せない▼年の近い友人にも聞いてみたが、誰一人としてあの年の大みそかに何を食べたか覚えていなかったそうだ。「それほどまでに戦後直後の食糧事情は厳しかったということか」。抜け落ちた記憶の理由をそんなふうに考えていらっしゃる▼二〇一八年の大みそかの夜に何を食べるかはさほど問題にはなるまい。終戦直後に比べれば、食べる物は豊かという表現を超えぜいたくにもなっているだろう。だとすれば、昨今の大みそかの気掛かりは「何を食べるか」よりも「誰と食べるか」ということかもしれぬ▼少子高齢化、晩婚化によって単独世帯は増え続け、既に全体の三割を超える。好むと好まざるとにかかわらず、大みそかも一人で食べるという家だろう▼「サザエさん」の大家族は遠い昔。夫婦に子ども二人の「クレヨンしんちゃん」の四人家族さえ単独世帯の数を下回る。ちゃぶ台から一人欠け、二人欠けの大みそかの寂しい移ろいを想像する▼<テレビ消しひとりだった大みそか>。俳優の渥美清さんの句。カボチャでもにぎやか。食に不自由はなけれど、おひとりさま。ほどよき大みそかが恋しい。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2018年12月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【首相の一日】:12月29日(土)

2018-12-31 06:10:30 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【首相の一日】:12月29日(土)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:12月29日(土) 

 【午前】7時40分、千葉県袖ケ浦市のゴルフ場「カメリアヒルズカントリークラブ」。安倍寛信三菱商事パッケージング社長、岸信夫自民党衆院議員、松崎勲森永商事社長、増岡聡一郎鉄鋼ビルディング専務、籔本雅巳錦秀会グループ最高経営責任者(CEO)らとゴルフ。

 【午後】3時48分、東京・富ケ谷の私邸。5時31分、東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」。6時29分、中国料理店「CHINAROOM」で成蹊大の友人と食事。同ホテルに宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2018年12月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:少子化対策 子どもの未来へ視線を

2018-12-31 06:10:25 | 【少子化問題(異次元の少子化対策・少母化・婚姻数の激減・長い目での子育て支援

【社説①】:少子化対策 子どもの未来へ視線を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:少子化対策 子どもの未来へ視線を 

 チグハグ感は否めない。子育て支援策のことである。妊婦の医療や未婚のひとり親への税制で冷たい対応が露呈した。政府・与党には社会を担う子どもたちを社会で育てようとの気概が見えない。

 一年前、安倍晋三首相は「今年の漢字」に「挑」を選んだ。北朝鮮の脅威と並び少子高齢化を挙げ「この国難に挑むため、総選挙に挑んだ年だった」と説明した。

 子育て支援は少子化対策の柱だ。政府・与党のその思いは変わっていないはずではなかったか。

 ところが一見別々に見える制度のほころびに同じ疑問がわく。

 妊娠中の女性が受診した際に「妊婦加算」という自己負担が増える制度が問題となった。今年四月の診療報酬改定で新設された制度で、医療機関は妊婦を診察すると報酬が上乗せされる。妊婦や胎児には投薬などで配慮が必要だ。それを医療機関に促すことが狙いだったが、一方的な負担増に「妊婦税」だと批判が出た。

 診療報酬は医学的な観点から必要な医療に報酬をつける制度だ。妊婦に配慮した医療を評価しようとの考えは理解するが、患者目線が足りなかった。

 費用負担の多寡ではない。それを求める発想に出産や子育てを社会から歓迎されていないと感じる人もいるだろう。制度は見直しが決まったが、当然である。

 与党の対応も指摘する。税制改正大綱で自民・公明両党が対立した項目が、未婚ひとり親の税を軽減する寡婦(夫)控除改革だった。

 婚姻歴のあるひとり親が受ける控除を同様に認めようというものだったが、見送られた。自民党の伝統的な家族観がそれを阻んだ。

 結婚観も家族の形も多様化している社会の変化を理解しているだろうか。それに親の婚姻歴は子どもとは関係ない。むしろ深刻化する子どもたちの貧困をどう防ぐかに政治は知恵を絞るべきだ。

 教育・保育や福祉政策に限らず、子育て支援の視線が必要な政策分野は多いはずだ。政策を考え制度をつくる際には、子育て支援の視線でも見直してみる。そんな意識が大切ではないか。

 子育て支援政策を総動員しているとのメッセージを絶えず発する責任が政府・与党にはある。

 首相は今月、「今年の漢字」に「」を選び「未来好転させるかどうかは私たち自身にかかっている」と述べた。子どもたちはまさに私たちの未来だということを忘れるべきではない。

 ※安倍首相、貴方にその力量は・・・?

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年12月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:沖縄県民投票 全有権者参加の道探れ

2018-12-31 06:10:20 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説②】:沖縄県民投票 全有権者参加の道探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:沖縄県民投票 全有権者参加の道探れ 

 辺野古新基地の是非を問う沖縄県民投票を巡り、一部の市が意義を疑問視し実施を拒否・保留する事態となっている。県、市は協議を重ね全有権者参加の道を探ってほしい。分断と対立は無意味だ。

 県民投票は県民有志が約九万三千筆の有効署名を集め県に請求。県議会が条例案を可決し来年二月二十四日に行う。辺野古埋め立てを賛成、反対の二者択一で問う。

 県が経費を負担し四十一市町村に投開票を委ねる。ただ十二月議会で、米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市など七市町が実施経費を含む予算案を否決した。

 予算は義務的経費であり、議会が否決しても市町村長が執行できる。だが、宜野湾、宮古島両市の市長は議会判断を尊重し投開票を行わない意向を示した。与那国町長は否決された予算を執行する考え。残り四市は流動的だ。

 六市には県内の約35%に当たる有権者がいる。これらの市で投票が行われないとしたら県民投票の意義は大きく損なわれる。

 新基地の是非だけでは、返還対象の普天間飛行場の扱いについて県民の意見が反映されないとの宜野湾市などの反対理由も分かる。

 しかし、知事選や国政選挙で繰り返し示された新基地反対の民意を無視し政府は今月から、埋め立ての土砂投入を強行している。

 十月の就任後、玉城デニー知事は工事を中止した上で普天間の危険性除去を含む沖縄の基地の在り方について政府に話し合いを申し入れてきた。県民の意思を確認するため、あらためて民意を問う意義は大きい。

 県民投票条例は投開票を市町村の義務としている。県は必要に応じ反対派の市長に勧告、是正要求をするが、同時に投票の狙いを粘り強く説明する必要がある。市長側も、直接民主主義の意義などを考慮し慎重に最終判断すべきだ。

 二〇一九年度の沖縄関係予算編成で、政府は使途に県の裁量権が大きい一括交付金を大幅に減額する一方、市町村に直接交付できる費用を新設した。基地建設に従順な市町村を、県を飛び越え「一本釣り」するつもりなのかと疑う。県民投票を巡る対立まで沖縄分断策に利用されるとしたら、残念極まりない。

 辺野古埋め立てについては、県民投票の実施まで中止を求める米大統領あて嘆願サイトへの署名がきのう現在十七万筆に迫るなど世界が注目する。基地負担軽減に沖縄が一丸となって対応することに、私たちも支援を惜しむまい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年12月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:小倉百人一首に入っている在原行平の<立ち別れいなばの山の峰に生ふる・・・

2018-12-31 06:10:15 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:小倉百人一首に入っている在原行平の<立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む>。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:小倉百人一首に入っている在原行平の<立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む>。

 行平が因幡守(いなばのかみ)に任じられ、都を離れるときの別れの歌だそうだが、おまじないとして使われる。これを玄関の柱に貼っておくと家出した飼い猫が帰ってくるのだそうだ▼内田百〓(ひゃっけん)の「ノラや」の中に出てくる。飼い猫のノラがいなくなって悲しみにくれる百〓先生、新聞の折り込み広告にノラの特徴に加え、この歌をわざわざ赤い字で刷り込んだそうだ▼ノラは帰らなかったが、まじないより家出の猫を捜すにはやっぱり科学の力か。ノラが帰らず、何かと涙をこぼし、風呂にさえ入らなかった先生に最近の良きニュースを教えたくなる。静岡市内でいなくなった飼い猫が約百七十キロ離れた名古屋市で約一カ月ぶりに見つかったそうである▼きっかけは猫の体内に埋め込まれたマイクロチップ。これで連絡先が分かり、無事<今帰り来む>につながった。愛猫家には自分の猫が帰ったようにうれしい話題である▼戌年(いぬどし)の年の瀬に猫の話題ねえと犬がへそを曲げそうだが、この統計も気に入るまい。調査によると今年のペット飼育数で猫が犬を上回ったそうだ。昨年、猫に抜かれ二年連続。戌年の効果もなかった▼少子高齢化の時代が犬より比較的飼いやすい猫に向かうか。むくれるな。犬の時代もまた、いつかは<帰り来む>。

 ※〓は門かまえに月

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2018年12月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【首相の一日】:12月28日(金)

2018-12-31 06:10:10 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【首相の一日】:12月28日(金)

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:12月28日(金)

 【午前】9時52分、公邸から官邸。10時2分、閣議。14分、幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた関係閣僚会合。11時、自民党本部。25分、党広報用の写真撮影。

 【午後】0時4分、官邸。1時2分、山口泰明自民党組織運動本部長。2時8分、北村滋内閣情報官。51分、谷内正太郎国家安全保障局長、外務省の秋葉剛男事務次官、森健良外務審議官。4時4分、公邸。自民党の月刊女性誌「りぶる」掲載用のアイドルグループ「TOKIO」との対談。松島みどり同党広報本部長同席。5時14分、官邸。37分、内閣記者会との懇談会。6時25分、東京・上落合の最勝寺。二階俊博自民党幹事長の妻、故怜子さんの通夜に参列。49分、官邸。51分、官邸職員との懇談会。7時18分、東京・赤坂の日本料理店「京都 瓢〓 赤坂店」。長谷川栄一首相補佐官、秘書官らと食事。9時36分、東京・富ケ谷の私邸。

 ※〓は口へんに喜

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2018年12月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:①TPP発効 自由貿易強化へ加盟国拡大を

2018-12-31 06:05:30 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、EPA他】

【社説】:①TPP発効 自由貿易強化へ加盟国拡大を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:①TPP発効 自由貿易強化へ加盟国拡大を 

 公正で高度な経済ルールを世界に行き渡らせ、自由貿易体制の強化につなげていきたい。 

 日豪など11か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)が、手続きを終えた6か国で発効した。

 関税撤廃に加え、貿易や投資、知的財産権などに関するルールが整った。成長著しいアジア太平洋地域でモノや資金の流れが円滑になる意義は大きい。

 日本の消費者や企業は、TPPで多くのメリットを得る。輸入牛肉の関税は、38・5%から27・5%に下がった。16年目で9%になる。カナダへの乗用車輸出は5年目に関税が撤廃される。

 2月には、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効する。TPPとEPAを輸出入拡大の好機とすべく、企業と生産者は、実効性の高い投資計画や販売戦略を練ることが大切になる。

 トランプ米政権は自国第一主義を掲げ、TPPから離脱した。制裁関税を一方的に課すなど、身勝手な振る舞いを続け、自由貿易を蔑ないがしろにすることは許されない。

 参加国が自由貿易の恩恵を享受することは、保護主義政策を進める米国への圧力になるだろう。

 TPPは、経済と軍事の両面で域内の覇権を握ろうとする中国を牽制けんせいする役割も担う。

 協定には、中国を念頭に知的財産権の侵害を防ぐ規定なども盛り込まれた。将来、TPPのルールが国際標準になれば、こうした行為を中国は続けにくくなる。

 世界にTPPルールを広げるには加盟国の拡大が欠かせない。

 11か国は来月、新規加盟について協議を始める。タイや英国などTPPに関心を持つ国は多い。

 日本は米国離脱後のTPP交渉を主導した。加盟交渉でも指導力を発揮することが求められる。

 他の経済圏の構築に力を入れ、自由貿易体制をより強固にすることも日本の重要な課題になる。

 中国やインドが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の妥結を急ぐべきだ。

 日本は来月にも米国との物品貿易協定(TAG)交渉を始める。米国は農業の市場開放や、通貨安誘導を制限する「為替条項」の導入などで、TPPを上回る成果を上げようとする可能性がある。

 TPPの合意内容は、参加国が長年の交渉の末に至った、ぎりぎりの落とし所だ。TPPを超える譲歩は避けねばならない。

 TAGを同水準の内容にすれば、米国が将来、TPPに復帰する素地を残すことにもなろう。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年12月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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