路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【米国】:トランプ氏が日本に不満表明 米テレビの電話インタビューで

2019-06-26 23:56:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・G7サミット・G20】

【米国】:トランプ氏が日本に不満表明 米テレビの電話インタビューで

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【米国】:トランプ氏が日本に不満表明 米テレビの電話インタビューで 

 【ワシントン共同】トランプ米大統領は26日、FOXビジネステレビの電話インタビューで「日本が攻撃されたら米国は日本を守らなければならないが、米国が攻撃されたときに日本はわれわれを助ける必要がない」と述べ、日米安全保障条約に基づく防衛義務は一方的だと強い不満を示した。

 トランプ米大統領

        トランプ米大統領

 米ブルームバーグ通信は24日、トランプ氏が最近、日米安保条約は不平等だとして、近い人物との私的な会話で破棄に言及したと報道。日米当局は否定したが、トランプ氏は改めてこの問題を持ち出し、同盟国に対し米側の負担が重すぎるとの持論を展開した。日米貿易交渉で譲歩を迫る狙いもありそうだ。

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 国際 【北米・トランプ政権】  2019年06月26日  23:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【外交】:日仏、海洋安保で協力具体化 首脳会談で一致、中国念頭

2019-06-26 21:21:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・G7サミット・G20】

【外交】:日仏、海洋安保で協力具体化 首脳会談で一致、中国念頭

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【外交】:日仏、海洋安保で協力具体化 首脳会談で一致、中国念頭 

 安倍晋三首相は26日、フランスのマクロン大統領と官邸で会談し、海洋進出を強める中国を念頭に、海洋安全保障分野での協力を具体化する方針で一致した。途上国の債務返済能力を考慮する「質の高いインフラ」整備や、気候変動での連携も確認した。両政府は幅広い分野で今後5年間の協力目標を定めた新たなロードマップ(行程表)を発表した。

 会談後、共同記者会見するフランスのマクロン大統領(左)と安倍首相=26日午後、首相官邸

 会談後、共同記者会見するフランスのマクロン大統領(左)と安倍首相=26日午後、首相官邸

 28日に開幕する20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせて来日する各国首脳と首相による一連の2国間会談日程がスタートした。首相は先進7カ国(G7)の議長を務めるマクロン氏とともに、議論をリードしたい考えだ。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・外交・フランス】  2019年06月26日  21:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍首相】:老後資金「参院選影響も」 野党を無責任とけん制

2019-06-26 21:02:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【安倍首相】:老後資金「参院選影響も」 野党を無責任とけん制

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍首相】:老後資金「参院選影響も」 野党を無責任とけん制 

 安倍首相は26日、通常国会閉幕を受けて記者会見し、老後に2千万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書について「参院選に影響を与えうる」との認識を示した。7月21日の投開票に向けて「政策を訴えたい」と述べ、国民の理解を得るため説明を尽くす考えを表明。野党が年金問題を参院選の争点に据えていることを踏まえ「具体的な対案もないままに、不安をあおるような無責任な議論はあってはならない」とけん制した。

 通常国会閉幕を受け、記者会見する安倍首相=26日午後、首相官邸

 通常国会閉幕を受け、記者会見する安倍首相=26日午後、首相官邸
 
  年金について「老後の生活の柱だ」と指摘。「政策次第で年金を増やすことは十分に可能だ」と述べ、第2次政権以降、株価上昇で年金積立金の運用益が増えたと言明した。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・夏の参院選、老後2000万円問題】  2019年06月26日  21:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政局】:与野党、参院選に事実上突入 憲法、消費増税で論戦へ

2019-06-26 20:51:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【政局】:与野党、参院選に事実上突入 憲法、消費増税で論戦へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:与野党、参院選に事実上突入 憲法、消費増税で論戦へ 

 通常国会が26日閉幕し、与野党は来月4日公示の第25回参院選に事実上突入した。安倍晋三首相は政治の安定を図るか否かを争点に位置付けた。憲法改正論議の推進も掲げる。一方、立憲民主党の枝野幸男代表は老後資金2千万円問題に端を発した年金制度不安を追及した。10月の消費税増税の是非も対立軸となり、与野党の論戦が激化。国民の審判は7月21日に下される。

 東京・新宿で街頭演説する立憲民主党の枝野代表=26日午後

 東京・新宿で街頭演説する立憲民主党の枝野代表=26日午後

 共同通信の調べで各党の立候補者数(選挙区、比例代表)は自民党49人、33人▽公明党7人、6人▽立憲民主党20人、22人▽国民民主党14人、13人▽共産党14人、26人▽日本維新の会8人、12人▽社民党3人、4人。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・夏の参院選】  2019年06月26日  20:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【FB】:政治広告の出元や費用明示 選挙念頭、透明性を確保

2019-06-26 18:57:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【FB】:政治広告の出元や費用明示 選挙念頭、透明性を確保

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【FB】:政治広告の出元や費用明示 選挙念頭、透明性を確保 

 米交流サイト大手フェイスブックは26日、日本を含む各国で配信する選挙や政治の広告を巡り、情報の出元や費用などを明示して透明性を確保すると発表した。出元が不透明な情報によって選挙の結果が左右されることを念頭に、安心して同社サービスを利用できる環境の構築を目指す。

 ヘイトスピーチ対策などについて説明する米フェイスブックのシーン・ハンドゥ氏=26日午後、東京都港区

 ヘイトスピーチ対策などについて説明する米フェイスブックのシーン・ハンドゥ氏=26日午後、東京都港区

 日本では参院選や憲法改正論議を控え、インターネット上の政党広告が増えている。他のネット企業の運用にも影響を与えそうだ。

 フェイスブックは政治関連の広告配信で、出し手となる政党などの責任者の本人確認を求める。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・夏の参院選】  2019年06月26日  18:57:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【立憲民主党】:元モー娘。の市井氏を擁立 参院選比例、4児母の経験政治に

2019-06-26 18:37:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【立憲民主党】:元モー娘。の市井氏を擁立 参院選比例、4児母の経験政治に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【立憲民主党】:元モー娘。の市井氏を擁立 参院選比例、4児母の経験政治に 

 立憲民主党は26日の常任幹事会で、7月の参院選比例代表の公認候補として、アイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバーでタレントの市井紗耶香氏(35)の擁立を決めた。候補者の知名度を生かすとともに、4児の母親としての経験を政治に反映してもらう狙いだ。

 立憲民主党の福山幹事長(右)と握手を交わす「モーニング娘。」の元メンバーの市井紗耶香氏=26日午後、国会

 立憲民主党の福山幹事長(右)と握手を交わす「モーニング娘。」の元メンバーの市井紗耶香氏=26日午後、国会

 市井氏は国会内で記者会見し「子育て家庭への支援が必要だ。これからの日本を支える多くの子どもたちのために頑張りたい」と抱負を語った。1998年から2000年までメンバーとして活動した。

 参院選比例代表を巡り、立民は多様性重視の観点を踏まえ、女性候補者を4割以上にする目標を掲げている。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・夏の参院選】  2019年06月26日  18:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【公明党】:9条改憲に消極姿勢 参院選公約、議員歳費10%削減

2019-06-26 17:32:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【公明党】:9条改憲に消極姿勢 参院選公約、議員歳費10%削減

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【公明党】:9条改憲に消極姿勢 参院選公約、議員歳費10%削減 

 公明党は26日、参院選公約を発表した。自民党が掲げる憲法9条への自衛隊明記案には「今後、慎重に議論されるべきだ」と消極姿勢を示した。10月の消費税率10%への引き上げを明記し、軽減税率制度を円滑に実施して「痛税感を和らげる」と強調。国会議員も「身を切る改革」を断行するとして議員歳費10%削減を提起した。

 参院選公約を発表する公明党の山口代表=26日午後、国会

 参院選公約を発表する公明党の山口代表=26日午後、国会

 憲法9条を巡り、自衛隊違憲論を払拭するため、自衛隊明記の意見が「一部にある」と言及。その上で「多くの国民は現在の自衛隊の活動を理解し、支持しており、違憲の存在とは考えていない」と指摘した。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・夏の参院選】  2019年06月26日  17:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【参院選】:不出馬は約20人 伊達議長や又市社民党首ら

2019-06-26 17:10:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【参院選】:不出馬は約20人 伊達議長や又市社民党首ら

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【参院選】:不出馬は約20人 伊達議長や又市社民党首ら 

 7月28日に任期満了となる参院議員のうち、今夏の参院選に立候補しないのは、共同通信の調べで約20人の見通しだ。自民党の伊達忠一参院議長(80)や吉田博美参院幹事長(70)、社民党の又市征治党首(74)、無所属のアントニオ猪木氏(76)らが含まれる。

 自民党の山本一太元沖縄北方担当相(61)は群馬県知事選(7月21日投開票)に、希望の党を離党した行田邦子氏(53)は埼玉県知事選(8月25日投開票)にそれぞれ出馬する。

 2013年の参院選で当時のみんなの党から当選した薬師寺道代氏(55)は次期衆院選で愛知2区の自民候補となる予定。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・夏の参院選】  2019年06月26日  17:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【千葉地裁】:小4女児虐待死、母に猶予判決 「父の支配に逆らえず」

2019-06-26 12:21:30 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【千葉地裁】:小4女児虐待死、母に猶予判決 「父の支配に逆らえず」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【千葉地裁】:小4女児虐待死、母に猶予判決 「父の支配に逆らえず」 

 千葉県野田市立小4年の栗原心愛さん=当時(10)=が1月に自宅浴室で死亡した虐待事件で、父勇一郎被告(41)=傷害致死罪などで起訴=の暴行を制止しなかったとして、傷害ほう助罪に問われた母なぎさ被告(32)に千葉地裁は26日、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。

 栗原勇一郎被告(フェイスブックから)、栗原なぎさ被告

 栗原勇一郎被告(フェイスブックから)、栗原なぎさ被告

 小池健治裁判長は判決理由で、保護観察付き執行猶予について、なぎさ被告が勇一郎被告からの暴行や自身の精神障害の影響で「虐待をする勇一郎被告の支配的言動に逆らうことは難しかった」と説明した。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・裁判】  2019年06月26日  12:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国会】:世界の女性政治家サミットを開催、女性リーダー育成を議論

2019-06-26 11:34:30 | 【女性が輝く社会・女性の社会参画・女性差別・女性を取り巻く諸問題】

【国会】:世界の女性政治家サミットを開催、女性リーダー育成を議論

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国会】:世界の女性政治家サミットを開催、女性リーダー育成を議論 

 世界各国の女性政治指導者による国際会議「WPLサミット2019」全体会合が26日午前、国会内で開かれ、女性リーダーの育成などを巡って意見を交わした。会議は27日までの日程で世界約80カ国の女性議員らが出席する予定。

 「WPLサミット2019」であいさつする大島理森衆院議長=26日午前、国会

 「WPLサミット2019」であいさつする大島理森衆院議長=26日午前、国会

 女性政治家の国際的なネットワークであるWPLと衆院の共催で、アジア開催は初。日本からは片山さつき女性活躍担当相らが参加した。

 開会式で、大島理森衆院議長は衆院議員に占める女性の割合が約1割にとどまることに触れ「日本での開催が女性議員や議員を志す女性を勇気づけることを期待する」と強調した。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政局・国会・世界各国の女性政治指導者による国際会議「WPLサミット2019」全体会合】  2019年06月26日  11:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:参院選は7月21日投開票 4日公示、閣議決定

2019-06-26 10:56:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【政府】:参院選は7月21日投開票 4日公示、閣議決定

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:参院選は7月21日投開票 4日公示、閣議決定 

 政府は26日、臨時閣議を開き、参院選日程について「7月4日公示、21日投開票」と決定した。1月に召集された第198通常国会が閉幕。公示まで8日間、投開票まで25日間の短期決戦となり、与野党は選挙準備を加速させる。安倍晋三首相の政権運営の実績が問われるほか、10月に予定される消費税増税の是非、「老後資金2千万円問題」で浮かび上がった年金制度の在り方などが争点。

 国会議事堂

 国会議事堂

 安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持するかどうかも焦点となる。

 首相は国会閉幕を受けて午後に官邸で記者会見する。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政局・選挙・夏の参院選】  2019年06月26日  10:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(3)PKO派遣に異議――元防衛族が遺した・・・

2019-06-26 07:30:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(3)PKO派遣に異議――元防衛族が遺した「反対意見に耳を」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(3)PKO派遣に異議――元防衛族が遺した「反対意見に耳を」 

 北海道千歳市に住む現職自衛官の母親が、自衛隊の南スーダンPKO派遣に異を唱えて国を訴えた裁判。派遣の差し止めを求めて始まった訴訟は、支援隊の「撤収」が伝わってからも取り下げられることなく継続、PKO派遣が憲法違反であったか否かを問う闘いが続いている。
 この間、裁判官は2度交替。被告である国側の訟務担当者や指定代理人も一部変わった。変わっていないのは、南スーダンで戦闘があった事実について一切の説明を拒被告側の姿勢。原告側が指摘する重要な争点に、国はほとんど認否を避け続けている。それどころか、この春にはPKOとは無縁の、つまりこれまでは自衛隊を決して派遣できなかった任務に、新たに自衛官が派遣されたことが伝えられた。
 初弁論から2年以上が過ぎ、地元・北海道でほとんど報道されることがなくなった裁判は、今も静かな緊張とともに続いている。

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 ■派遣の実態、国が隠蔽
 PKO第10次隊(北部方面隊第7師団など)派遣時の2016年7月に南スーダンの首都ジュバで「戦闘」があった疑いは、のちの「日報」隠蔽問題を通じて広く知られることになった。しかし国は今なお、その「日報」の全開示を拒んでいる。1人の女性が起こした裁判で証拠提出を求められた時も、「必要性がない」と言うのみだった。
「本当に安全だったのであれば、隠すことなど何ひとつないはずです」

 声の主は、平和子(たいら・かずこ)の名で国を訴えた女性。PKO派遣の差し止めを求めて16年11月に地元・札幌地方裁判所で訴訟を起こし、翌17年2月からたった1人の原告として口頭弁論に足を運び続けている。本年4月、第8回を数えた弁論では3度目になる意見陳述に臨んだ。
「防衛省はこれまで、派遣される隊員の家族に対し『武力紛争に巻き込まれることはない、安全だ』との説明を繰り返してきましたが、その根拠を一切示してくれません」

 PKO参加「五原則」は守られていたのか、報道された「撤収」はいつ完了したのか、派遣隊員の健康状態や帰国後の去就はどうなっているのか、イラク戦争後に発足した「中央即応集団」の概要は――。これまでの2年半にわたって「日報」の全開示を拒否し続けた国は、のみならず原告側が求める認否をことごとく避け、ひたすら「訴訟は取り下げられるべき」と繰り返すばかりだった。弁護団の佐藤博文弁護士(札幌弁護士会)は、法廷でこれを厳しく批判している。
「重要な争点について被告がほとんど認否していない状態が、いまだに続いている。求釈明(説明の要求)への回答もほとんどなされていない。これは国民との議論を回避する不当な応訴態度です」――その佐藤弁護士は15年ほど前、タカ派の論客の代理人として同じ札幌の法廷に立っていた。
*下の写真は、今年4月に行われた第8回弁論後の報告会。中央が平さん、右隣に佐藤弁護士

⑧P03_第8回弁論後の報告会(中央が平さん、右隣に佐藤弁護士(2019.jpg

 ■元防衛族が派遣差し止め訴訟
⑦P03_箕輪登氏の信念が綴られた会葬礼状(『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』所収.JPG 

 2004年1月、当時の自衛隊イラク派遣の差し止めを求める裁判が札幌地裁に提起された。訴えを起こしたのは、自民党きっての防衛族として知られた故・箕輪登元郵政相。そのころ札幌弁護士会の副会長を務めていた佐藤弁護士は、一市民として法律相談センターを訪ねてきた箕輪氏との邂逅を振り返り、のちに訴訟の経緯をまとめた書籍『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』(07年、かもがわ出版)にこう綴っている。
《れっきとした自民党員で元閣僚、しかもタカ派と言われた箕輪さんが立つのだから、右から左まで「大異」を乗り越えて、今回のイラク派兵は憲法・自衛隊法違反だとする「大同」に基づいて、訴訟に参加し応援してもらうことができると考えました。箕輪さんも、重装備の陸上自衛隊の海外派兵という決定的事態を前に、党派を問わず全ての心ある国民の結集を訴えました》
*右の写真は、箕輪登氏の信念が綴られた会葬礼状(『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』所収

 その箕輪氏自身の陳述が、同書に詳しく採録されている。06年2月、10回めの弁論に臨んだ当時81歳の原告は、「専守防衛」の精神を言葉に載せて法廷に響かせた。
《なぜ戦争不可能な憲法を戦争可能な憲法に直すのか。やっぱり日本人としての良心にかんがみて、平和がいいなら平和がいいと言ったらいいんです。それが男らしいでしょう》
 《(政権を預かる者は)反対意見にやっぱり耳を傾けるべきですよ。反対意見に耳を傾けたら、二度と戦争は起きませんよ》

 この弁論の3カ月後、「いつまでも平和で」の言葉を遺して箕輪氏は世を去った。それから10年余、PKO派遣は途切れることなく続き、現在の与党から「反対意見」はほとんど聴こえなくなっている。

 ■沈黙する国、続く裁判
 南スーダンPKO派遣は、「人道支援」の建前で続けられた。しかし実際には、「治安業務」があったのではないか。そう疑う佐藤弁護士は、平和子さんの訴訟で「日報」などの開示を求め続ける意義を、地元月刊誌『北方ジャーナル』の取材に対し、次のように語っている。
《公文書開示請求では、国の判断であちこち墨塗りにできてしまう。しかし民事裁判で『文書提出命令』の申立てが認められれば、不開示部分がぐんと減ります。関係者の氏名などが墨塗りされる程度で、事実関係はそのまま開示されることになる可能性が高い》(月刊『北方ジャーナル』2017年5月号)
                     
⑨P03_MFOからの派遣要請を報告する本年4月2日付の報道発表.jpg 

 被告の国が未だにその開示を拒んでいることは、何度も述べた通り。噛み合うやり取りに到らないまま続く裁判の傍ら、国は今年に入ってさらなる危険な任務を自衛隊に課すことになる。
 エジプトとイスラエルの停戦を監視する「多国籍軍監視団(MFO)」に、自衛官を派遣する――。外務省などがそう発表したのは、本年4月上旬のこと。派遣先のシナイ半島では頻繁にテロ事件が起きており、同省は国民に対して渡航禁止を勧告している。その危険な場所に、日本の自衛官を送るというのだ(*右の文書参照)。しかも現地で活動するMFOは、PKOなどとは異なり、国連と無縁の多国籍軍。平さんは、声を震わせて訴える。
「国連が統括できない所で、自衛隊がいわば米軍とその仲間と一緒に軍事行動をすることになります」

 4月下旬、40歳代の自衛官2人が現地へ向けて出国したことが伝えられた。平さんは、陳述で何度も述べた思いを、改めて強い口調で繰り返す。
「一人として安保関連法で命を奪われてはなりません。それは、どこの国の母親でも同じ思いです」

 裁判は、まだ続く。南スーダンへの第10次隊派遣時に「戦闘」があった疑いは、国連独立調査団によって報告されており、国は第11次隊の派遣を決める前にその事実を知っていた可能性が高い。これに説明を求める原告側に、当初「(説明は)検討しない」としていた国は、弁護団の猛烈な抗議を受けて「持ち帰って検討」と言葉を改めた。とはいえ今回も、決して真っ当な説明に期待できるとは言い難い。
 
 議論を避け続ける国に正面から闘いを挑む自衛官の母は、7月10日午後に9度めの弁論を迎える。(小笠原 淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
「北方ジャーナル( http://hoppo-j.com/) 」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治・社会ニュース】  2019年06月26日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 
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【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(2)PKO派遣に異議――「きっかけは・・・

2019-06-26 07:30:20 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(2)PKO派遣に異議――「きっかけは『イラク』だった」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(2)PKO派遣に異議――「きっかけは『イラク』だった」 

 陸上自衛隊の南スーダンPKO派遣に異議を唱え、たった1人で国を相手に裁判を闘っている北海道の主婦・平和子(たいら・かずこ)さん=通称=は、幼いころから自衛隊を間近に見て育った。故郷の千歳市は、もともと米軍の駐留地。両親の職場も基地内にあったが、自身は戦後の生まれで、軍靴の音は聴いたことがない。学校では平和憲法を学び、「日本は戦争をしない」と教えられた。
 以来、それを信じて同地に住み続け、家庭をもうけるに到ったが、3人の子供たちが将来の進路を考える歳になったころ、不戦の確信を揺るがせる出来事に直面する。それまで一度も反戦運動などに参加したことがなかった一介の主婦は、初めて「黙っていられなくなった」。その後の活動の原点となった出来事は、15年ほど前に起きていた――。(*写真は、今年4月に行われた第8回弁論後の報告会。中央が平さん)

⑧P03_第8回弁論後の報告会(中央が平さん、右隣に佐藤弁護士(2019.jpg

 ■きっかけは「イラク派遣」
 「そのころの世論の流れに強い危機感を持ちました」――平和子さんは、2003年暮れの“事件”を振り返る。その年の夏、国会では「イラク特措法」が成立、戦闘状態が疑われる地域に日本の自衛隊が初めて派遣されることが決まった。
「小泉政権の時代に自衛隊の本質が一気に変容し、殺す・殺される軍隊に近づいていることに、母親として危機感を覚えました。それまで子供たちと平和や戦争について話す機会はほとんどありませんでしたが、自衛隊のイラク派遣が決まると状況は一変し、政治に対する疑問や不信を強く感じるようになりました。子供たちには『自分の好きな道を行きなさい。ただ、自衛隊だけはやめて欲しい』と話しました」
10余年前に抱いた危機感は、のちにPKO南スーダン派遣差止訴訟の意見陳述に盛り込まれ、札幌地方裁判所の法廷で改めて吐露されることになる。

 訴えの主は、米軍基地のお膝元で幼少期を過ごした。半世紀ほど前のことだ。目と鼻の先に「キャンプ千歳」があった。基地内のPX(売店)に勤める母と、レストランで働く父との間に生まれた平さんは、幼いころから駐留米軍の関係者と家族ぐるみのつき合いを続けた。敷地内で目の当たりにしたのは、テレビで観たままの戦勝国の豊かさ。クリスマスの綺麗な電飾や、海水浴の子供たちのおしゃれな水着に眼を見張り、片言の英語や身振り手振りで米兵やその家族たちと交流した。
「当時の私は米軍に対して特段の感情はなく、両親が基地内で舶来の人形やおもちゃを買ってきてくれるのが嬉しかったです」

 小学校に入学してまもなく、米軍は千歳から徹底、敷地内には自衛隊の駐屯地ができた。当時からベトナムに進出していた米国はその後、泥沼化した戦争で多数の兵士を失うことになるが、言うまでもなく日本の自衛隊はこれに加わっていない。学校で「日本は戦争をしない」と学んだ平さんは、同級生の多くを占める自衛官の子供たちとも屈託なく交流し、とりたてて戦争や平和について語り合うこともなかった。自衛隊は「専守防衛」だから、米軍とは全然違う――。それが当時の人たちの共通認識だった。

 中学生になったころ、図書館で枯葉剤の被害を記録した資料を紐解き、深いショックを受ける。子供ながらに平和のありがたみを噛み締め、漠然と「将来は平和に関わる活動を」と考えた。とはいえ、故郷の千歳は基地の町。保守的な土地柄ゆえか、反戦運動などを目の当たりにする機会は得られず、具体的な活動とは長いこと無縁だった。地元で結婚し、3人の子に恵まれてからは、仕事や育児に忙殺される毎日が続いた。

 沈黙を破らせたのは、2003年からの自衛隊イラク派遣。専守防衛の原則を揺るがしかねない海外派遣に、平さんははっきり「反対」の意思をもって声を挙げ始めた。そのころは子供たちも、母の考えに納得してくれていたという。派遣反対の集会やピースウォークに参加し、実名で新聞に意見を投書し続けた。06年の派遣隊撤収後も、地元紙に次のような一文を寄せている。
 《米中間選挙の結果が出た。米国民はブッシュ政権のイラク政策にはっきりとノーを突きつけたといえる。米国追随が顕著な日本政府、そして国民も、イラク派遣について考え直し、軍備に税金を費やすことのむなしさに気付くときではないのか》(2006年11月12日付『北海道新聞』〈読者の声〉欄)

 ■人生を変えた次男の自衛隊入隊                
 当時の小泉純一郎首相は「郵政解散」を経て退任、後継の安倍晋三氏も1年で身を引き、さらに2年のちには自民党が野に下ることになる。そのころ平さんは、民間企業に勤めていた次男から転職の考えを聞いた。勤務先の業績が悪化し、知人の勧めで自衛隊に入隊することにしたという。次男は「お母さんが心配するようなことにはならないから」と言い、平さんも「民主党政権で自衛隊が戦闘に参加することはないだろう」と、とくに反対はしなかった。だがほどなく、その判断を悔やむことになる。

 旧民主党・野田佳彦内閣は2011年11月、南スーダンPKOへの自衛隊派遣を閣議決定、翌12年から支援隊の出国が始まった。同年暮れに政権を奪還した安倍自民党はその後、PKO派遣期間の延長を繰り返し、16年には他国軍を武装勢力から救出する「駆けつけ警護」を任務に加えた。

 次男の転職を認めた判断を悔やむことになった平さんは、いわゆる「安保関連法」阻止のデモなどに参加し始める。結果として同法成立を止めることはできなかったものの、それでも声を挙げ続けなくてはならないとの思いを強くしていた。
「南スーダンには親を殺されライフル銃を持たされた少年兵がいると知って、衝撃を受けました。このような少年兵に息子が撃たれたり、反対にこのような少年兵を息子が撃ったりすることを考えると、いても経ってもいられません」

 安保法反対の活動を、次男は快く思わなくなっていた。「自分の立場を考えて欲しい」と苦言を呈され、息子を守りたい思いと息子自身の考えとの間で板挟みになった平さんは、「死なれるくらいなら、恨まれてもかまわない」との結論に行き着く。便箋7枚に及ぶ「絶縁状」を次男に宛て、たった1人で国と闘うことを決めた。2016年11月、PKO派遣差止を求める訴訟を札幌地方裁判所に提起。翌年29月から現在に到るまで、同地裁では8回の口頭弁論が重ねられている。
「私は、普通の母親なら自分の子供が危ない状況に立たされた時、誰もが思うであろう気持ち、その1点で行動しています。それはどこの国だろうと、いつの時代の母親であろうと同じだと考えています」

 提訴から2年半が過ぎた今も、自衛官の次男とは音信が途絶えたままだ。(小笠原 淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
「北方ジャーナル( http://hoppo-j.com/) 」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年06月25日  07:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 
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【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(1) PKO派遣に異議――「誰も殺し、・・・

2019-06-26 07:30:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(1) PKO派遣に異議――「誰も殺し、殺されてはならない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:自衛官の母、たった1人の闘い(1) PKO派遣に異議――「誰も殺し、殺されてはならない」 

 2年前の冬、1人の女性が実の息子に“絶縁状”を渡し、国と闘い始めた。女性は陸上自衛隊の駐屯地がある北海道・千歳市で生まれ育ち、現在も同市に住む。現職自衛官の息子と縁を切ることを決意したのは、ほかならぬその息子と、彼の家族のためだった。さらに言うならば全国の現職自衛官、とりわけ海外派遣に赴く若者たちのためでもあった。
 のちに「日報」の隠蔽などがあきらかになり、当時の防衛大臣が辞任するに至った、南スーダンPKO(国連平和維持活動)陸上自衛隊派遣問題。現地での支援活動が続いていた2016年11月、女性は「平和子(たいら・かずこ)」の名で札幌地方裁判所に訴訟を提起、派遣の差し止めを求めてたった1人で国を訴えた。
「息子たち自衛官を危険に晒すぐらいなら、息子に恨まれてでも声を挙げ続ける」――。

③P01_訴訟が提起された札幌地方裁判所 2.jpg

 ■自衛官の息子への「絶縁状」に込めた思い
 4月16日午後、札幌地方裁判所。
「本当に安全だったのであれば、隠すことなど何ひとつないはずです」
 法廷に凛とした声を響かせるその女性――平和子さんが国を相手に裁判を起こしてから、すでに2年半が過ぎる。本年度最初の弁論を迎えたその日、平さんは原告として3度目の意見陳述に立った。
「『日報』では、戦闘激化でPKOが停止したり、自衛隊員が巻き込まれたりする可能性が指摘されており、現地は深刻な『戦闘』状態にあるとされています。しかし、重要な部分はいまだに真っ黒なままです。派遣される自衛官やその家族にさえ、真実を教えてくれていません。国には、まず事実がどうであったのかを明らかにすることを強く望みます」

 陳述に言う『日報』は、南スーダンPKOの派遣隊が当時の現地の状況を記録したもの。平さんの提訴後に防衛省による隠蔽問題が発覚し、当時の稲田朋美大臣が引責辞任するに至ったが、今もその全容は国民に明かされていない。情報公開制度を使って閲覧することはできるものの、2016年7月に現地で激しい「戦闘」があった事実など、重要な記述の多くは「真っ黒」に塗り潰されてしまう。
「下は、派遣隊が作成した2016年7月11日付モーニングレポート記載の地図。宿営地近くの「戦闘」の様子がうかがえる)

20170214_h01-03.jpg

 平さんが訴訟を決意したのは、2016年春のことだ。その前年、国会では安全保障関連法が成立、「集団的自衛権」の行使が認められ、自衛官が紛争地で戦闘に巻き込まれるおそれが現実味を帯びてきた。いても経ってもいられなくなった平さんは、派遣反対のデモや集会に積極的に参加し始める。過去にもイラク派遣(2003年から)に反対する市民の集まりに足を運んだり、一般市民としての意見を新聞に投書したことはある。だが今回は、少し違う事情を抱えながらの活動となった。民間企業に勤めていた次男が陸上自衛隊に転職し、自身が自衛官の家族となっていたのだ。
「息子は何度も先輩や上官に呼び出され、母親の私が反対運動をしていることで注意されたそうです。『今後、安保法に反対する活動はやめて欲しい。少しは自衛隊内での自分の立場を考えて欲しい』と言われました」

 何度かのやり取りを経て到った結論は、次男との縁を切ることだった。危険な任務で息子に死なれるぐらいなら、本人に恨まれてでも派遣反対の声を挙げ続けたい――。涙を拭いながら便箋7枚の「絶縁状」を綴り、16年11月に札幌地裁へ訴状を提出した。翌17年2月の初弁論で最初の意見陳述に臨んだ平さんは、その時の思いをこう語っている。
「何があっても生きていて欲しいと思うからこそ、反対の意思を示すことを許して欲しい、と綴りました。そして最後に『生き抜け。自分のところに来てくれた宝物、奥さんと子供を守り抜いて、天寿を全うしてくれ。それが母さんの願いです。今後は別の人生を歩んで行きましょう』と縁を切る決意を伝え、それ以降、息子との連絡を絶ちました」

 派遣命令について次男の妻と話す機会があった時、「大型輸送機に乗ったら最後」「家族承諾書には絶対にサインしないで」と強く伝えた。妻は「自衛隊だけが仕事じゃない。辞めたら私も働いて家庭を守ります」と答えてくれたという。

 ■尽きない疑問、答えぬ国
 たった1人で国に弓を引いた原告に、10人を超える弁護士が代理人受任を表明した。裁判を支援する報告会には、元自衛官も足を運んだ。国は初弁論後の17年5月、派遣隊の南スーダンからの「撤収」を報告、これをもって原告が訴訟を取り下げることに期待を寄せたが、平さんは矛を納めなかった。同年6月には2度目の意見陳述に立ち、「『撤退したね。めでたし、めでたし』では済まない」と、支援隊の宿営地である南スーダンの首都ジュバで何が起きていたのか、正しい情報の開示を求め続けることになる。
(*下は2017年3月、初弁論後に札幌市内で開かれた報告会)

②.jpg

 この間、弁護団は7,000枚に上る文書と格闘し続け、第10次隊が派遣されていた前年7月前後の「日報」を精査、6月17日に30人ほどの犠牲者を出した「抗争」、7月9日に150人が死傷した「戦闘」、その後の同11日に確認された「停戦合意」などの記述を引き、派遣に憲法違反の強い疑いがあることを指摘した。訴訟代理人のひとり・橋本祐樹弁護士(札幌弁護士会)は、当時の報告集会で次のように訴えている。
「記録の中で『停戦合意』という表現が使われたということは、それまでは停戦していなかったということじゃないでしょうか。『PKO参加五原則』の1つである『停戦合意』が、6月の時点で守られていなかったことになります」

 加えて、国の言う「撤収」は現地からの完全な撤退を意味していなかった。支援隊の帰国後も「司令部要員」の現地派遣は続いており、いつ彼らが「戦闘」に巻き込まれることになるか、平さんは気が気でなかったという。
「誰も殺し、殺されてはなりません。ほかの誰かが許しても、私にはまったく許されないことなのです」

 提訴以来、原告側は「戦闘」の事実関係や「五原則」と派遣との整合性、「撤収」を決めた理由などを質し続けているが、2年半が過ぎる今も国は明答を示していない。(小笠原 淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
「北方ジャーナル( http://hoppo-j.com/) 」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年06月24日  07:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 
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【社会保障】:日本国民はダマされた…年金だけでは全然生きられない「残酷な現実」

2019-06-26 07:15:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療保険・生活保護・障害者...

【社会保障】:日本国民はダマされた…年金だけでは全然生きられない「残酷な現実」■「2000万円問題」をどう考えるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社会保障】:日本国民はダマされた…年金だけでは全然生きられない「残酷な現実」■「2000万円問題」をどう考えるか 

 年金の繰り下げ受給を選ばせようと、厚労省や年金機構は、あの手この手で誘導しようとしている。だが、明白な罠がある。「政府御用達」新聞までが批判しはじめた「繰り下げ」の盲点とは?

 ◆追加された棒グラフ

 私たちは騙されていた。

「100年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます」('04年4月・森英介厚労副大臣〈当時〉)

「100年安心にしていくという案を作ったわけでありますから、それに向かって政策努力を重ねていく」('04年6月・坂口力厚労大臣〈当時〉)

 今から15年前、彼らが固く約束した「年金100年安心プラン」。それは、今後100年間にわたり、「現役世代の手取り収入の50%」が年金として確実に支払われるというものだった。

 だが、この6月に金融庁の審議会が発表した報告書(原案)では、公的年金の水準について「中長期的に実質的な低下が見込まれる」と記した。

さらには、厚生年金の受給者であっても生活費が月5万5000円も足りず、「老後30年間で2000万円不足する」と試算したのだ。

 人生100年時代、2000万円の貯蓄がない人は、年金だけでは生きられないというのか。この国の為政者たちは、「100年安心プラン」を「100年自己責任プラン」へとすり替えた。

 無為無策ではすまされない。年金保険料を40年にもわたって徴収してきて、結果がこれなのか?

 それだけではない。いま彼らは、私たちの年金の受給を、できるかぎり遅らせようと、水面下で足掻いている。

 不審に気付いたメディアがある。件の報告書が公表されて5日後、6月8日の日経新聞朝刊――。

 〈年金 新「定期便」の読み方 繰り下げ強調 不利益も〉

 ねんきん定期便はご存知だろう。毎年1回、誕生月に日本年金機構から送られてくるハガキだ。厚生年金・国民年金の加入期間や受給見込額が記されている。この定期便の内容の一部が4月に変わり、追加された部分があるのだと記事は書く。

 〈繰り下げ受給についての説明だ。年金はもらい始める年齢を通常の65歳より遅らせる(繰り下げる)と毎年の年金額が増える。新しい定期便は、70歳まで遅らせた場合に最大42%増額されることを図を用いて説明している〉(同紙より)

 ハガキのなかでもひときわ目立つ大きさで書かれた図には、〈増額イメージ〉として、「最大42%増」と繰り下げ受給時の棒グラフが記されている。説明文にはこうある。

 〈年金受給を遅らせた場合、年金額が増加します(70歳を選択した場合、65歳と比較して最大42%増)〉

 まるで、繰り下げが「正解」であるかのような説明なのである。

 日経記事は、「繰り下げで年金額が増える点ばかり示すのはバランスを欠く」「人によってはデメリットが生じる可能性があるが定期便はその点に触れていないので注意したい」といった識者のコメントを列挙している。

 記事全体に、繰り下げに誘導しようとする姿勢に対し、否定的なトーンが溢れている。

 反政権寄りとされる朝日や東京新聞ではなく、「財務省と財界の代弁者」と言われてきた新聞の手によるものだということに注目したい。要するに、日経ですら、「これは危ない」と注意喚起を始めたのだ。 

 ◆5つのデメリット

 この4月から年金請求書の説明の体裁も変わっている。65歳になる3ヵ月前に受給予定者に送られる請求書だが、ここには「年金額を増額させますか?」といった設問の後に、〈老齢基礎年金・老齢厚生年金両方の繰り下げを希望される場合には、この請求書を提出する必要はありません〉と書かれている。

 つまり、何もしなければ増えますよ、いま手続きすると減りますよ、と年金請求を先送りさせようという意図がありありと見えるのだ。

Photo by iStock

 なぜこうまでして、「繰り下げ」を選択するよう誘導するのか?

 答えは簡単。繰り下げ制度を作っても、誰も選ばなかったからだ。

 '16年の段階で、繰り下げを選んでいた70歳は、わずか1.0%(厚生年金)しかいなかった!

 できるかぎり支給を遅らせようとする政府だが、笛吹けども踊らず。業を煮やし、なりふり構わぬ作戦に出たというわけだ。

 「5年前の財政検証では、65歳受給が続くならば、年金給付水準はいまの4割減になってしまうという試算が出ています。そこで70歳まで働かせ、年金も70歳から受給させるというのが、一貫した政府の姿勢となった」(経済アナリスト・森永卓郎氏)

 国が狙うのは、繰り下げどころではない。昨年4月に財政制度等審議会で、財務省が提出した資料には、受給開始年齢を、65歳から68歳まで一律に引き上げるプランさえシミュレーションされている。

 これまでの約束を反故にし、働けるだけ働かせ、年金を支払うのは後回しにしたい。これが今の政府の姿勢なのだ。

 だが、それに騙されて、繰り下げを選んでしまうのは思うツボである。

 確かに繰り下げ受給をすれば、1ヵ月繰り下げるごとに、もらえる額は月0.7%増えていく。もし70歳受給開始を選べば、受給額は国の言うとおり最大42%増えることになる。

 仮に65歳から受け取れる老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が年間200万円だとすれば、70歳まで繰り下げれば、年間284万円がもらえる。増額分は月7万円だ。超低金利の状況下では、年金の増加率だけ見れば魅力的に映ってもおかしくはない。

 ところが、繰り下げの落とし穴は、山ほどある。「ねんきん定期便」にも「年金請求書」にも書かれていないデメリットを、順を追って説明しよう。 

 ■デメリット① 平均的な人は損する

 70歳まで繰り下げたところで、長生きできなければ損益分岐点に達せず、払い損が生じる。

 「65歳からの受給と、70歳からの繰り下げ受給を比べた場合、後者の受給総額が前者を上回るのは12年弱ですから、82歳からになります」(オフィス・リベルタス代表・大江英樹氏)

 損益分岐点は82歳。つまり、繰り下げをしても、82歳になってやっと得をするという話なのだ。だが、男性の平均寿命は81.09歳。平均的な人は損をしてしまう。

 ■デメリット② 税金や社会保険料が増える

 「繰り下げをしても、手取り額で見れば額面ほどには増えない」と語るのは生活設計塾クルー取締役・深田晶恵氏だ。

 70歳からの繰り下げで、確かに年金は42%増える。だが、収入が増えたことで、年金にかかる税金や社会保険料は増えていくことも忘れてはならない。

 自治体によって税額や料率は異なるが、深田氏は、東京都江戸川区のケースで試算した。65歳時点での年金収入が年200万円の人が、70歳まで繰り下げた場合。

 「額面では42%増で、年284万円になりますが、税金と保険料を差し引いた手取り額は、年241万円ほど。増加率は約33%と、額面に比べて約10%も低い結果になったのです」(深田氏)

Photo by iStock

 年金機構が大宣伝している「これだけ増える」という数字はまやかしなのである。しかもこの事実は、デメリット①をさらに悪化させる。

 「70歳に繰り下げをした場合の損益分岐点を、額面ではなく手取りベースで計算しました。この江戸川区の例では、82歳ではなく、87歳という数字になります。

 今後、国民健康保険料や介護保険料がアップすることを考えると、損益分岐点はさらに上がるでしょう」(同)

 87歳になって「やっと元をとった」と報われる人は、多くはないだろう。

 ◆妻が大損する

 ■デメリット③ 加給年金が受け取れない

 夫が厚生年金加入者で、妻が年下の場合、この「加給年金」は最大のポイントになる。

 妻が65歳になるまで、夫の老齢厚生年金に年間約39万円がプラスされる制度で、妻が5歳若ければ加算額はトータルで約200万円、10歳若ければ約400万円にも達する、うまみの大きい年金である。

 「ところが、夫が受給を繰り下げてしまえば、その間、加給年金を受け取ることができなくなります。夫が65歳、妻が60歳のケースでは、本来なら妻は合計約200万円の加給年金を受け取れるはずです。

 しかし夫が70歳まで繰り下げてしまえば、そのとき妻は65歳ですから、けっきょく加給年金は1円ももらえないのです」(前出・深田氏)

 また、加給年金の後に妻がもらえるはずの振替加算も、夫の繰り下げ待機中には支払われない。

 ■デメリット④ 繰り下げ分は、遺族年金に反映されない

 厚生年金加入者の夫が亡くなったとき、妻は遺族厚生年金を受け取れる。計算式は、夫の老齢厚生年金の4分の3である。

 ここで誤解が生じやすいのが、「自分がぎりぎりまで繰り下げて老齢厚生年金を増やせば、妻の遺族厚生年金が増えるのでは?」という考えだ。これは誤りである。

 「遺族厚生年金の計算のもとになるのは、繰り下げによって増額された年金額ではなく、65歳時点での年金額です。繰り下げても、妻が受け取る遺族年金は増えません」(前出・深田氏)

Photo by iStock

 ■デメリット⑤ 在職老齢年金制度で減らされた年金が、増えない

 働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に、年金の一部または全額が支給停止されるのが、在職老齢年金制度だ。年金と合わせた月の収入が合計で47万円を超えてしまうと、47万円を超えた分の年金が50%カットされる(65歳以上の場合)。

 では、このカットを避けようとして、70歳までの繰り下げを選ぶとどうなるのか。

 「カットの相当分は、年金の繰り下げを行ったところで、増額の対象にはなりません。繰り下げ制度の落とし穴です」(ファイナンシャルプランナー・横川由理氏)

 在職老齢年金制度は、いずれ廃止される見込みだが、時期は不明なので、要注意だ。
①から⑤まで見てきて、どうだろうか。あまりにもデメリットが多いように感じられる。

 言われるがままに遅らせてはいけないのだ。だが、すでに繰り下げを選んでしまったという人でも、まだ間に合う。受給を開始していないならば、元通りの受給に戻すことができる。

 「年金は請求主義ですので、遡って請求することができます。いま69歳までの方ならば、65歳まで遡って、これまで受給していなかった分を一括で受け取ることも可能なのです」(社会保険労務士・大神令子氏)

 もちろんそのまま繰り下げ受給の申請もできるが、元に戻すこともできるわけだ。その場合は、通常通りの(65歳からの)受給額が生涯続く。

 ◆年金寿命の延ばし方

 繰り下げのデメリットはわかった。だが、結局のところ、どのもらい方が正しいのか?

 正解は、一部だけを繰り下げるやり方だ。

 ひとつは、「夫の老齢基礎年金のみを繰り下げる」方法だ。これでデメリット③(加給年金)を解消できる。

 「老齢基礎年金と老齢厚生年金は、単独でも繰り下げが可能です。そこで、老齢基礎年金のみ繰り下げ、老齢厚生年金のほうは65歳からもらう。そうすれば、妻が65歳になるまで、加給年金が振り込まれます」(前出・横川氏)

 もうひとつが、夫はそのまま65歳から受給しで、妻だけ繰り下げる方法である。多くの場合、夫のほうが、妻より先に亡くなるため、「夫の死後に妻が得する」観点から見ると、ベストだと考えられるもらい方だ。

 夫は65歳で通常通りの受給を開始し、妻のみ70歳から繰り下げ受給する。

 「夫の死後、妻には遺族年金が支給されますが、それは夫の老齢厚生年金の4分の3のみ。それより夫の死後、自分の年金額を増やすことを想定して、妻のほうは70歳から繰り下げ受給するのです」(前出・大神氏)

 下の図を見てほしい。定年退職した夫が、65歳から年金受給を開始する。妻は現在60歳の専業主婦だと仮定しよう。

 夫は、老齢厚生年金、老齢基礎年金を65歳からもらう。妻が65歳になるまでの5年間、加給年金が加算され、夫婦で20万1000円を受給。

 10年後、妻は70歳になり、繰り下げにより42%増えた老齢基礎年金の受給を始める。少ないながら振替加算もつき、夫婦は合わせて26万4000円の年金を受給する。

 やがて夫が死亡すれば、妻は老齢基礎年金と遺族厚生年金(月約7万8000円)を受け取り、毎月約17万円の年金で、晩年を過ごすことになる――。

 国が言うままに年金受給を遅らせると、多くの人はまず損をする。正しい知恵で、年金制度のまやかしに抗いたい。

 「週刊現代」2019年6月22日・29日合併号より

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 経済・企業 【担当:週刊現代編集部】  2019年06月25日  23:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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