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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【2025年07月22日 今日は?】:歌手美空ひばりの葬儀が営まれる 参列歌手が「川の流れのように」献歌

2025-07-25 00:00:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【2025年07月22日 今日は?】:歌手美空ひばりの葬儀が営まれる 参列歌手が「川の流れのように」献歌

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2025年07月22日 今日は?】:歌手美空ひばりの葬儀が営まれる 参列歌手が「川の流れのように」献歌

 ◆7月22日=今日はどんな日 

  大暑(たいしょ=二十四節気、1年で最も暑い時期)

 ◆出来事

  ▼熊本大医学部の研究班が熊本県水俣湾周辺で多発する水俣病の原因について魚介類を経由する有機水銀と発表(1959)▼6月に死去した歌手美空ひばりの葬儀が東京・青山葬儀場で営まれた。参列歌手全員で「川の流れのように」を献歌(1989)

 

 1950年代半ば、熊本大学医学部の調査により、水俣市の中でも明神、月の浦、出月、湯堂の4集落で水俣病の患者が多発していることが判明した[14][23]。写真は湯堂の漁村。

熊本大学医学部公衆衛生学教室は1956年9月から現地調査を開始し、1957年1月に詳細な調査報告書を学会誌に発表した。写真は同調査時の患者の男性[14]

 ◆誕生日

  ▼森公美子(59年=歌手)▼内村光良(64年=ウッチャンナンチャン)▼長谷川京子(78年=女優)▼末永遥(86年=女優)▼吉高由里子(88年=女優)▼戸塚純貴(92年=俳優)▼高野洸(97年=俳優)▼武藤小麟(00年=AKB48)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2025年07月22日 00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・06.27】:豊島の調停25年 ごみ「押しつけ」への戒め

2025-06-30 08:03:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説②・06.27】:豊島の調停25年 ごみ「押しつけ」への戒め

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・06.27】:豊島の調停25年 ごみ「押しつけ」への戒め

 史上最悪級と言われた産業廃棄物不法投棄事件の舞台となり「ごみの島」と呼ばれた豊島(てしま)(香川県土庄町)。産廃の島外撤去を約束した国の公害調停が成立してから今月で25年になった。瀬戸内海の小島は今も、大量廃棄社会への警鐘を鳴らし続けている。
 
 「二十四の瞳」で知られる小豆島の約4キロ西にある1周約20キロの離島。瀬戸内海国立公園内の豊島には1970年代後半から、兵庫県警が摘発した90年まで、廃自動車のシュレッダーダスト(破砕ごみ)など大量の産廃が島外から不法投棄されていた。
 島の形を変えるほどの巨大なごみの山からは連日のように野焼きの煙が立ち上り、有害物質が海へ流れ出て、多くの島民がぜんそく症状などの健康被害を訴えた。投棄した業者は無論、有罪判決を受けたが、破産した。
 島民は93年、原状回復を求めて国に公害調停を申し立て、2000年6月に成立。香川県が廃棄物の完全撤去を約束し、当時の知事が正式に謝罪した。汚染土壌も含め91万トンにも上った廃棄物の撤去は、800億円以上の公費を費やして19年に完了。整地事業なども23年までに終了したが、今も汚染物質が検出されることがある。
 豊島事件を契機に国は不法投棄の罰則を逐次強化、自動車や建設廃棄物の適正処理に関する法整備を進めた。可能な限りごみを出さない暮らしを目指す循環型社会への転換点になったともされる。
 環境省によると、産廃不法投棄件数は1998年度をピークに減少したが、一昨年度でも100件、4万トン超。残存量は1千万トンを超す。不法投棄産廃を含む山が崩壊し甚大な被害を出した熱海土石流災害のような悲劇も起きている。
 豊島の住民が2002年に開設した「豊島のこころ資料館」には最大18メートルの厚さに積もった産廃の層を剝ぎ取った縦3メートル、横3・5メートルの「断面壁」が展示され、大量消費、大量廃棄の果てに何があるかを無言で語りかけている。
 
 国は近年、原発回帰を進めるため、原発から出る放射性廃棄物や使用済み核燃料など、危険な「核のごみ」の処分先を探すのに躍起だが、ターゲットになりがちなのが離島など過疎地だ。処分のあてがないまま無計画にエネルギー消費を続けてきたつけを過疎地に押しつけるなら、本質的には、豊島の事件と何ら変わりがない。
 
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月27日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・06.06】:水俣病の誤表記 風化させぬ教育の強化を

2025-06-07 07:00:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・06.06】:水俣病の誤表記 風化させぬ教育の強化を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・06.06】:水俣病の誤表記 風化させぬ教育の強化を 

 公式確認から69年となる水俣病の歴史と教訓の風化を物語っているのではないか。

 「家庭教師のトライ」を運営するトライグループが「水俣病は遺伝する」という誤った内容の教材を、10年間も中学生向けオンライン講座で使っていたことが分かった。

 教材は2015年にアプリで公開された。16年からは動画投稿サイトでも配信され、再生回数は7万回を超えた。

 水俣病被害者・支援者連絡会が4月下旬に把握して環境省に連絡した。指摘を受けたトライは謝罪文をサイトに掲載し、教材を非公開にした。

 病気への誤った認識は差別や偏見を助長する。重大な人権侵害だ。誰も指摘せず10年間放置されていた現実も重く受け止めねばならない。

 教材は中学生向けの歴史で、四大公害病を動画と文章で説明した。水俣病について「この病気が恐ろしいのは、遺伝してしまうことです。妊婦さんが水俣病にかかり、生まれてきた赤ちゃんまでもが発症することがありました」としていた。

 水俣病は、工場排水中の有機水銀に汚染された魚介類を食べることで発症した中毒性の神経疾患だ。遺伝することはない。罹患(りかん)した母親から生まれた赤ちゃんが発症した例があるのは、毒が胎盤を通過して胎児にまで影響を及ぼしたからである。

 当初広がった「水俣病は感染する」などの流言による差別と偏見を恐れ、今なお被害者であることを公言できない人たちがいる。

 被害者の人権を守り教訓を後世に伝えようと、患者らは正確な知識や被害の実態を語り継いできた。「努力が水の泡になったようだ」との失意は察するに余りある。

 トライによると、講師が解説した動画を文字に起こし、社内で確認したものの誤りに気付かなかったという。

 環境省や熊本県水俣市など関係自治体は今週、再発防止策について回答を求める要請書をトライに送った。

 なぜ誤情報を発信し、誰も気付かなかったのか。トライは反省し、検証を尽くすべきだ。患者らへの直接謝罪、閲覧者に誤りを伝える対策が必要なのは言うまでもない。

 水俣病を巡っては2月、熊本県宇城市が作製したカレンダーで、水俣病を感染症と誤表記した。同じ熊本県内でさえ正しい知識が行き渡っていないことに、風化の懸念を禁じ得ない。

 国や自治体はこれまでの啓発が不十分だったと認めるべきだ。環境省と文部科学省は協力し、教育の在り方を見直す必要もあろう。

 熊本県では公立の小学5年生全員が課外授業で水俣を訪問するなど、水俣病教育がプログラム化されている。取り組みには地域差があるようだが、着実に進めたい。

 水俣病は戦後日本が生んだ公害の原点である。社会全体で学び直す契機としなければならない。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月06日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・05.31】:新潟水俣病60年/一刻も早い全面的救済を

2025-06-03 06:00:20 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・05.31】:新潟水俣病60年/一刻も早い全面的救済を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.31】:新潟水俣病60年/一刻も早い全面的救済を 

 新潟水俣病の公式確認から、きょうで60年となる。1965年5月31日、新潟大が「原因不明の有機水銀中毒患者が阿賀野川下流域に散発している」と新潟県に報告した。患者は7人で、2人は死亡していた。68年に公害病と認定されたものの、延べ2767件の申請に対し、認定患者は新潟市や阿賀野市などの717人にとどまる。その後の2度にわたる「政治的解決」でも救済は終わらず、今も訴訟が続く。被害者は高齢化しており、熊本、鹿児島両県の水俣病とともに問題解決が急がれる。

 新潟水俣病は水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくとともに「四大公害病」の一つとされる。感覚障害や運動失調、手足のしびれ、頭痛などの症状が起きる。新潟県鹿瀬(かのせ)町(現阿賀町)の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)鹿瀬工場から阿賀野川に排出されたメチル水銀が川魚に取り込まれ、それを多く食べた住民らが発症した。

 阿賀野川は国内8番目の流域面積がある大きな河川で、住民が漁業を営み、物資の輸送に使ったほか飲料水も取水していた。公害発覚後に水質は改善されたが、住民の命に関わる環境破壊をした企業の責任の重大さを改めて指摘しておきたい。

 被害を巡っては、67年に患者らが昭和電工を相手に損害賠償を求めて新潟地裁に提訴し、71年の判決で勝訴した。これは国内で最初の本格的な公害裁判となり、各地の公害訴訟に大きな影響を与えた。ところがその後の新潟の訴訟では、最高裁が国の責任を認定した九州の水俣病の訴訟とは異なり、これまで国の責任が認められずにきた。

 熊本県水俣市での公式確認は56年で、初期の段階で魚介類を汚染した有機水銀が原因との研究発表があった。にもかかわらず、国は集団食中毒として食品衛生法を適用するなどの対応をせず、九州に続いて新潟でも被害拡大を招いた。行政の責任を認める司法判断が出ていない点には違和感を抱かざるを得ない。

 未認定患者については、95年に政治的解決として一時金が支払われたほか、2009年には水俣病特別措置法に基づく救済策が講じられた。しかしここから漏れた人が法廷闘争を強いられている。「金目当て」などの偏見が残る中、申請をためらった人も少なくない。政府はこうした経緯を踏まえ、幅広く被害を認める新たな措置に踏み出すべきだ。

 環境省は同法で定めた住民健康調査を熊本、鹿児島両県で26年度に始める方針だが、新潟県での予定は示されていない。政府は被害の全容さえ明らかにできていない責任を自覚し、一刻も早い全面的な患者救済を実現しなければならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年05月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【水俣病懇談】:友好ムード一変…“ゼロ回答”連発した環境相、激しい応酬も「被害の実態見ようという姿勢がない」

2025-05-01 12:26:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【水俣病懇談】:友好ムード一変…“ゼロ回答”連発した環境相、激しい応酬も「被害の実態見ようという姿勢がない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指:【水俣病懇談】:友好ムード一変…“ゼロ回答”連発した環境相、激しい応酬も「被害の実態見ようという姿勢がない」

 距離は縮まらなかった。熊本県水俣市で30日にあった環境省と水俣病患者・被害者6団体との協議。1年前の「マイク切り」問題の反省に立ち、環境省は1団体当たりの懇談時間を大幅に拡充する“誠意”を示してみせた。ただ、団体側が見直しを求めている住民健康調査の手法については従来の方針を維持する見解に終始。来年、公式確認から70年を迎える水俣病問題は全面解決に進むのか。その道筋は、見えていない。<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">水俣病の症状がある手を示して患者認定を求める「水俣病被害市民の会」の大戸迫智さん(右)=30日午後4時40分、熊本県水俣市(撮影・星野楽)</button>

水俣病の症状がある手を示して患者認定を求める「水俣病被害市民の会」の大戸迫智さん(右)=30日午後4時40分、熊本県水俣市(撮影・星野楽)

 ■ 【写真】水俣病患者・被害者団体の質問に応じる浅尾慶一郎環境相  

 「まずはお礼を申しあげたい」。この日、団体側の口火を切った水俣病被害者・支援者連絡会の山下善寛さん(84)は、浅尾慶一郎環境相の2日間にわたる水俣入りを率直に評価した。  

 だが友好ムードは直後に一変。「(患者認定制度の)条件の見直しは考えていない」「総合的に検討した結果だ」…。浅尾氏は、歴代の環境相が繰り返してきた「答弁ライン」から一歩も踏み出すことなく、事実上のゼロ回答を繰り返した。団体側からは「誰も納得していない。(司法判断を)都合よく捉えるな」などと不満が相次ぎ、「被害者の声を聞け」と気色ばむ場面もあった。  

 とりわけ、環境省が来年から本格的な実施を予定する被害地域の住民健康調査は、激しい応酬に。「既に認定されている患者でも8割しか症状を捉えきれない」と疑問を呈していた団体側に対し、浅尾氏は「客観的な手法を活用し組み合わせることで、調査の精度をさらに高めることが重要」と説明。団体側の「被害の実態を見ようという姿勢がない」との追及を、環境省の幹部は「メチル水銀の健康への影響を疫学的に調べるのが目的だ」とかわした。早期に調査に着手し、既成事実化を図りたいとの思惑をにじませた。

           *      *  

 昨年の失態を重く見た環境省は今回、早くから日程調整に動き「最大限配慮して2日間を捻出した」(担当者)。昨年の「1団体3分」を大幅に上回る時間を提供することで、団体側に寄り添う姿勢を印象付けた。半面、患者認定や救済策に関する答弁の堅守は徹底した。「積み上げてきたものが突然変わることはない」と中堅官僚。懇談時間と中身は別物だと言わんばかりだった。  

 2009年施行の水俣病被害者救済法に基づく住民健康調査の実施は、最近の水俣病問題を象徴するメインテーマの一つ。不知火海全域の被害実態を洗い出し、潜在的な被害者を掘り起こす契機と捉える団体側と、「地域住民の健康不安を解消するための疫学調査」と主張する環境省では、そもそも隔たりが大きい。  

 国が基本的なスタンスを変えない限り、議論がかみ合うはずもなく、被害を受けたと訴える住民らを納得させる余地はない。  

 3時間半近くにわたった懇談は結局、団体側にとって大きな収穫もないまま協議を終えた。水俣病被害者互助会の谷洋一さんは「環境省は水俣病の被害は既にないという前提で、アリバイ作りのための調査を急いでいるだけ。まやかしを許すわけにはいかない」と語気を強めた。 (本紙取材班)

 元稿:西日本新聞社 主要ニュース 社会 【話題・熊本県水俣市で30日にあった環境省と水俣病患者・被害者6団体との協議】  2025年05月01日  12:26:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・03.26》:鎌倉時代の歴史書…

2025-03-26 02:01:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《余録・03.26》:鎌倉時代の歴史書…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・03.26》:鎌倉時代の歴史書…

 鎌倉時代の歴史書「吾妻(あずま)鏡(かがみ)」に「泥が雨に交じって降った」という記録がある。「希代の怪異なり」と記す。1266(文永3)年旧暦2月。新暦ならちょうど今ごろだ。中国大陸からの黄砂を指すとみられている

黄砂にかすむ大阪の市街地=大阪市北区から2025年3月25日午前9時21分、望月亮一撮影
黄砂にかすむ大阪の市街地=大阪市北区から2025年3月25日午前9時21分、望月亮一撮影

 ▲古来、黄砂には「霾(ばい)」の字が当てられ「つちふる」と呼んだ。中国の古代遺跡、殷墟から出土した甲骨文字の中にあるという由緒正しい文字。古代人も怪異現象とみて吉凶を占ったといわれる

<picture>黄砂飛来が多かった2002年、札幌市内の駐車場で車に降った黄砂を掃除する市民=札幌市中央区で2002年3月22日、橋本政明撮影</picture>

黄砂飛来が多かった2002年、札幌市内の駐車場で車に降った黄砂を掃除する市民=札幌市中央区で2002年3月22日、橋本政明撮影

 ▲近年「春の5K」なる言葉が定着してきたらしい。乾燥、強風、寒暖差、花粉に黄砂。かつてきつい、汚い、危険の「3K」職場の労働条件が問題視されたことがあった。5Kもやっかいな現象である

 ▲岩手・大船渡に続き、愛媛、岡山でも起きた山火事には乾燥、強風の気象が影響している。寒暖差も大きく、東京では雪の4日後に夏日を記録。今度は花粉症に苦しむ人に追い打ちをかける黄砂の到来である

 ▲現代社会では黄砂にイラッとさせられることが多い。自動車や洗濯物に降った黄砂の始末は大変。雨が交じれば簡単には落ちない。花粉症が悪化し、黄砂だけでもアレルギー症状を起こすことがある

 ▲発生地の砂漠地帯により近い韓国では日本以上に飛来量が多く、外出を控えることも多いという。黄砂の飛来は2000年ごろをピークに減少傾向にあるとされるが、安心はできない。先日、外相会談が開かれた「日中韓」の枠組みでもぜひ協議してもらいたい東アジアの共通課題である。<殷亡(ほろ)ぶ日の如(ごと)く天霾(つちふ)れり/有馬朗人>

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2025年03月26日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・03.24》:花粉症患者の増加 国民病として対策強化を

2025-03-25 02:04:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説②・03.24》:花粉症患者の増加 国民病として対策強化を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・03.24》:花粉症患者の増加 国民病として対策強化を

 桜前線の到来に伴い、花粉症のシーズンも本格化している。「国民病」とも呼ばれる現状を直視し、対策を強化する時だ。

 花粉症は、花粉に免疫が過剰に反応して起きるアレルギー疾患である。目のかゆみや鼻水など何らかの症状を訴える人は、この20年で倍増し、国民の4割を超えた。生活習慣の変化などでアレルギー体質の人が増えたことも一因とされる。

<picture>花粉症の原因となるスギ=東京都八王子市で2025年3月14日、田中泰義撮影</picture>

花粉症の原因となるスギ=東京都八王子市で2025年3月14日、田中泰義撮影

 民間の予測によると、今季は例年より飛散量が増える地域が多い。昨夏の猛暑で花芽の成長を促進する「高温・多照」という条件がそろったためだ。花粉の量が増えれば、新たに発症するリスクも高まる。

 仕事や勉強に集中しにくくなり、経済や社会にも影響が及ぶ。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医療費は、保険診療だけで年間約3600億円に上る。

 近年は症状を緩和する薬が開発され、アレルギー反応を起こしにくい体質に改善する「舌下免疫療法」も実用化している。政府や関係学会は、患者が早期に適切な治療法を選択できるよう情報発信に努めてほしい。

 地域ごとの飛散量や時期の予測精度を向上させる取り組みも必要だ。そうすれば、花粉の多い時に外出を控えたり、テレワークに切り替えたりすることもできる。

 政府は2023年に対策を推進するための関係閣僚会議を設置し、発生源を減らすことに力を入れている。

 そもそも花粉が大量に飛ぶようになった背景には、建設資材が不足していた戦後、スギの大規模植林が進んだことがある。

 林野庁は10年後にスギ林を約2割減らし、30年後には花粉発生量を半減させるとの目標を掲げている。現在、県庁所在地などから50キロ圏内のスギ林を重点区域に設定し、伐採や飛散量の少ない苗木への植え替えなどを進める。

 ただ、木材の輸入自由化などで林業は衰退し、労働力確保など課題は山積している。

 間伐など山林の手入れを進めることは花粉の飛散量を減らすだけでなく、生物多様性の保全に貢献する。林業従事者を増やし、国産材の利活用を促す仕組みづくりにも知恵を絞らなければならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月24日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

2025-01-09 06:05:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

 暮らしに欠かせない水道水は市民の健康に直結する。被害の恐れがある以上、国は先手を打ち対策を講じる責任がある。

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、政府は現行の暫定目標値を水道法上の水質基準に格上げする方針を決めた。

 PFASは全国各地の水道や河川、地下水などから検出されている。暫定目標値はそれ以下に抑えることを目指す基準に過ぎず、法的強制力はない。超えても改善は努力義務にとどまる。

 格上げ後は、自治体などの水道事業者に定期検査と基準値を超えた場合の改善を義務付ける。2026年4月の施行を想定している。

 PFASは水や油をはじき、焦げ付きにくいフライパンや防水スプレーのほか、半導体の製造過程でも使われてきた。自然界では分解されにくく蓄積されやすい。

 00年代初めに海外で有害性が指摘されるようになった。代表的なPFOSとPFOAは国際条約で製造や使用が禁止された。原料に使っていた工場、泡消火剤を使用していた米軍や自衛隊の基地などで地下水に染み込み、検出されているようだ。

 健康への影響について科学的知見は十分ではない。しかし健康被害を防ぐため、危険性を重視して未然に対応する「予防原則」の考え方は何より重要だ。

 PFAS対策で日本は周回遅れと言わざるを得ない。暫定目標値はPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)だ。米国の飲料水は、この2種の基準が各4ナノグラムと厳しい。欧州でも厳格化の動きがある。

 環境省は暫定目標値をそのまま水質基準に採用する構えだが、妥当なのか十分な説明はない。規制の遅れが被害拡大を招いた過去の公害の反省を踏まえ、対応をためらってはならない。科学的知見の積み上げも急務だ。

 国は初めて大規模調査を行い、昨年公表した。給水人口の大半を占める上水道と簡易水道で、検査した水道事業の2割にPFASが検出されたものの、暫定目標値は超えていなかった。以前超えた地域は水源変更などで改善したとみられる。

 一方、社宅や病院など特定の居住者に供給する専用水道は、暫定目標値を超えた施設があった。福岡県の航空自衛隊芦屋基地では30倍となった。各施設とも上水道に切り替えたり応急的に浄水器を備えたりしている。

 全国的に発生源が不明な所が多い。発生源の特定手法や改善策について国に指針を求める声がある。速やかに実施したい。検査や改善に多額な費用がかかり、水道料金が上がる可能性もある。国の財政支援も検討すべきだろう。

 健康被害への不安も募る。住民の要望があれば血液検査を実施するなど柔軟な対応が求められる。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ

2024-12-31 09:30:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ 

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、政府が水道法上の水質基準の対象とすることを決めた。定期的な水質検査や基準値を超えた場合の改善を、水道事業を担う自治体などに義務づける。

 これまで代表的なPFOAとPFOSについて合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)を暫定目標値に定め、超えないよう求めてきた。努力義務としたため検査の実施や結果の公表は事業者によって対応がまちまちだった。

 法による義務化で、汚染の実態が把握でき、安全な飲み水の確保につながる。ただ住民の不安が払拭されるわけではない。

 基準値は暫定目標値をそのまま採用する。米国の基準値は、2物質それぞれで同4ナノグラムと厳しい。健康影響との因果関係が不十分でも予防を重視し規制を強化する欧米とは、大きな隔たりがある。

 汚染が確認された地域で血液検査など住民の健康調査を重ね、50ナノグラムの基準値が妥当か常に検証し、見直していく必要がある。

 そもそも排出元や流出した原因を特定し、対策を講じなければ汚染はなくならない。

 水や油をはじき熱にも強いPFASは、布製品や食品容器、泡消火剤、半導体製造などで広く使われた。PFOAとPFOSは毒性や蓄積性が確認されたため、既に製造や輸入が禁止されている。

 高濃度で検出が相次いでいる場所は、こうした物質を以前扱っていた工場や、泡消火剤を使っていた在日米軍と自衛隊の基地の周辺などだ。物質が土壌に残り、地下水に浸透したとみられる。

 住民が独自に血液検査や現地調査に取り組み、実態や汚染源に迫っている地域は少なくない。

 一方で、原因の特定に自治体が消極的だったり、米軍が日米地位協定を盾に基地内の立ち入り調査を拒んだりしている。汚泥肥料や使用済み活性炭といった思いもよらないものから汚染が広がる事例も起きている。

 原因の特定や対策についても、政府は指針を示し、住民と自治体が連携して対応できるよう体制を整えていくべきだ。

 費用の問題もある。一つの検体で数万円かかるとされる検査費用は、原則事業者の負担になる。水道料金に跳ね返ってくる可能性が高い。水質改善のため新たに水源や送水管の整備が必要になると、地域の負担はさらに膨らむ。

 人口が減少する中、水道事業は運営が厳しくなっている。政府の財政支援が欠かせない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:PFAS検査義務化へ 不安に応える「基準」か

2024-12-27 04:01:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・12.27】:PFAS検査義務化へ 不安に応える「基準」か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:PFAS検査義務化へ 不安に応える「基準」か

 発がん性などが指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)について、環境省は定期的な水質検査と基準値を超えた場合の改善を法律で義務付けることを決めた。 

 県内では米軍基地周辺の地下水や河川などから高濃度のPFASが検出されており、県民の不安は今も続いている。そんな中で、国がやっと重い腰を上げた格好だ。

 現在、国は暫定目標値を代表物質のPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計で1リットル当たり50ナノグラムとしている。同じ値を水道法上の「水質基準」に引き上げる。3カ月に1回の検査を基本として義務付け、2026年4月の施行を目指すという。

 これまでは暫定目標値を超えた場合でも水質改善は「努力義務」にとどまった。今回、明確な数値が水質基準として法律に位置付けられ、管理態勢が整備されたことの意義は小さくない。

 しかし米国では、飲み水について1リットル当たりのPFOAとPFOSそれぞれ4ナノグラムを基準とするなど、厳しく定められている。ドイツも28年には2物質を含む4種類のPFAS合計で同20ナノグラムを基準とする方針だ。

 日本の基準は海外と比べれば緩い。1リットル当たり50ナノグラムが本当に妥当な数値なのか。さらに多くの知見や根拠を集め、積み上げていく必要がある。

 広がる不安を払拭し安全に暮らせるよう、改善に向けた議論を進めなければならない。

              ■    ■

 義務化される水質検査とPFAS汚染の改善を行うのは、水道事業者である各自治体だ。仮に高濃度で検出された場合、改善には多額の費用が必要となる。数が多いほど金額も跳ね上がる。

 基地周辺のPFAS汚染が明らかになって以降、県は水質浄化設備の設置や維持管理などに膨大な費用を費やしている。10年間で約80億円以上が必要になるとも見込んでいる。

 今回、環境省が実施した調査では、上水や簡易水道を管理する3755事業者のうち約4割が、費用負担などを理由に検査を実施していなかった。

 負担が足かせとなり、検査が不十分なものに終われば本末転倒だ。生きるために不可欠な水の安全確保を自治体に丸投げにせず、費用負担も含め国の責任としてきちんと取り組むべきである。

               ■    ■

 県内では米軍基地に近い本島中部の河川や地下水から高濃度の値が検出されたことで、水源としての利用に不安があるとして取水制限や停止を余儀なくされている。

 普天間飛行場周辺の湧水などから高濃度の値が出たことに対し、県は基地由来の「蓋然(がいぜん)性が高い」と判断した。それでも基地への立ち入り調査がほとんど実現しない背景には、日米地位協定の壁がある。

 石破茂首相は改定について、たびたび言及している。汚染原因を特定し根本的な対策を図るには、協定の改定が必要だ。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:PFAS法規制化 地位協定改め根本解決を

2024-12-27 04:00:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・12.26】:PFAS法規制化 地位協定改め根本解決を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:PFAS法規制化 地位協定改め根本解決を 

 政府は、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、これまで法的義務のない水質の暫定目標値を法で規制する方針を決めた。水道事業者に水質検査や水質基準値を超えた場合の改善を義務づける。

 沖縄の米軍基地周辺で泡消火剤に含まれるPFASの一種が確認されて以降、全国各地でも米軍基地周辺などで検出が相次ぎ問題になっている。これまで規制がなかったPFASが法規制される動きについては一定評価したい。

 ただ、施行が2026年4月の見込みで、対応は遅い。さらに基準値は現在の目標値をそのままスライドさせただけで、米国の基準と比較しても緩い規制にとどまる。これでは住民の不安を払拭するに足るものとは言いがたい。

 PFASは水や油をはじき、フライパンの塗装や泡消化剤などに広く使われてきた。有害性や環境に蓄積されやすいことから国際的にも製造や使用が禁止されている。

 日本政府は20年に、水道水の水質の暫定目標値として、代表物質のPFOSとPFOAの合算で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)と設定した。一方で米国は24年に、2物質それぞれで、検出できる下限値の4ナノグラムと、日本より厳しい基準を定めている。

 政府初の大規模な上水道や簡易水道の調査でも全国でPFASが検出され沖縄でも確認された。専用水道の調査では県外で目標値を超えた自治体もあった。

 今回のPFASの法規制化で自治体には水質改善の義務が課せられる。しかし改善のためには発生源の確定と対策を施さなければ、根本的な解決にはつながらない。

 12月には防衛省や外務省、環境省などが、米軍横田基地(東京都)からPFASが流出した可能性があるとして基地に立ち入りした。日米共同でサンプリング調査もする。沖縄でも20年の米軍普天間飛行場外への泡消火剤流出と、21年のうるま市の米陸軍貯油施設での流出では県の基地内立ち入りが認められた。

 だが他の米軍嘉手納基地などへの立ち入り申請は、日米地位協定により基地の管理権を持つ米軍が拒否する状況が続いている。地位協定本体とは別の環境補足協定は、立ち入り調査の条件として「現に発生した場合」と限定している。補足協定や「運用改善」では事態解決につなげることはできない。地位協定本体の抜本的改定も急務だ。

 有害物質などに関する国連特別報告者が沖縄を視察し、PFAS汚染と米軍基地の関連性は明らかだと指摘した。法規制で義務づけられる改善に自治体の予算が費やされ、住民に転嫁されるようなことがあってはならない。発生源責任が追及されるべきだ。

 適正な法運用ができるためにも、一日も早く基地内の立ち入りを実現し、地下水の環境調査などを実施していくことが必要だ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【阪神大震災】:アスベスト労災 肺がんで初認定 解体建物の石綿吸引か

2024-12-25 05:30:10 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【阪神大震災】:アスベスト労災 肺がんで初認定 解体建物の石綿吸引か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【阪神大震災】:アスベスト労災 肺がんで初認定 解体建物の石綿吸引か

 1995年1月の阪神大震災でアスベスト(石綿)を吸って肺がんを発症したとして労災を申請した男性について、神戸東労働基準監督署が2023年度に労災認定していたことが厚生労働省などへの取材で判明した。これまで阪神大震災では、石綿が主な原因で発症する中皮腫で労災が認定された例はあったが、肺がんでは初めて。

阪神大震災で被害を受けた建物の解体工事=神戸市中央区で1995年2月5日、多河寛撮影

 阪神大震災は25年1月で発生から30年を迎える。肺がんは石綿を吸ってから30~40年の潜伏期間を経て発症することが多く、支援団体は「阪神大震災の影響で肺がんなどを発症する時期にさしかかっていると言える」と注意を呼びかける。

 男性が当時勤務していた神戸市内の企業によると、男性は自分の仕事で石綿を扱ってはいなかったが、震災発生から約3年間、同市内の自宅からオートバイで市中心部の会社へ通った。また顧客の建物の被災状況を見て回った。

 そうした行動の際に、周囲で解体中などの建物から飛散した石綿を吸った可能性があるという。その後、肺がんを発症し、石綿を吸ったことを示す医学的な証拠が神戸市内の病院で見つかった。男性は24年に80代前半で亡くなった。

 阪神大震災の発生当時、国内では石綿の使用が禁止されておらず、多くの建物に耐火や防音などの目的で石綿が使われていた。建物の倒壊に伴い石綿が飛散したのに加え、倒壊建物の解体が十分な対策がなく行われたため、飛散が拡大したと指摘されている。

 石綿の労災は、中皮腫(潜伏期間約20~60年)では石綿を吸ったことが分かれば認定される。これに対し肺がんは、たばこなど他の原因でも発症しやすいため、石綿を一定量吸ったことを示す胸部の異変や石綿の繊維などの「医学上の証拠」の存在が認定条件になっている。男性が勤務していた企業の社長は「仕事とは関係ないと思っていたので石綿による肺がんと聞いて驚いたが、考えられる可能性を説明し、認定に協力した」と話す。 

 一方、直接的に石綿を扱わなかったが、阪神大震災の復興関連作業に携わった大阪市の会社の従業員が中皮腫を発症し、淀川労基署が22年度に労災認定していたことも新たに分かった。これで阪神大震災で中皮腫を発症したとして労災認定されたのは、公務災害を含めて判明しているだけで7人となった。兵庫県外の会社の認定者は初めて。

 石綿の被害者らを支援しているNPOひょうご労働安全衛生センター(078・382・2118)の西山和宏事務局長は「多量の石綿が飛散していた震災の被災地では、間接的な吸引でもリスクが高いことを示すのではないか。潜伏期間を考えると、さらに被害が広がることも懸念される。体の不調を覚えたら積極的に医療機関で受診してほしい」と訴えている。【大島秀利】

 ◆長谷川誠紀・兵庫医科大特別招へい教授の話

 CT画像で肺の外側の膜が厚くなる「胸膜プラーク」が明瞭であれば、石綿の専門医でなくても見つけられ、石綿を吸った一つの証拠になる。肺組織から石綿繊維などが検出されればそれも証拠になるが、肺がん発症者は年間10万人以上いて、検査機関が限られ手間と時間がかかるので、石綿との接点がない限りは通常は調べない。プラークが見つかったり、石綿を吸った履歴があったりすれば、石綿の専門医に相談することが重要だ。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【災害・阪神大震災・アスベスト労災】  2024年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.17】:PFASと水道 早急な規制強化が必要

2024-12-18 04:03:20 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説②・12.17】:PFASと水道 早急な規制強化が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.17】:PFASと水道 早急な規制強化が必要 

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS(ピーファス))が全国で検出されている問題で、環境省と国土交通省は先月、全国の水道事業者による調査結果を公表した。本年度に富山県を除く332事業者で検出され、うち7事業者が北海道内だった。
 
 国が定めた安全性の目安となる「暫定目標値」はPFASの代表物質PFOA(ピーフォア)とPFOS(ピーフォス)の合計で水道水1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)だが、いずれもこれを下回った。
 
 ただし安心はできない。全国約3700の事業者のうち、1300余りは2020年度以降、検査を行っていない。
 石破茂首相は国会で検査と公表を義務付ける考えを示した。暫定目標値を、より厳しい規制である水道法上の「水質基準」に格上げする方針も示した。
 早急に実行し、水道水の安全と安心を確保するため万全を尽くしてもらいたい。
 PFASと呼ばれる物質は1万種類以上ある。用途は広く、泡消火剤や界面活性剤、半導体製造などで使われてきた。
 だが一部物質が健康に影響を及ぼすことが分かり、中でも毒性が強いPFOAとPFOSは国際的に廃絶対象となった。
 やっかいなのは、自然界ではほぼ分解されず、影響が長く続くことだ。岡山県吉備中央町では暫定目標値の28倍を検出したと昨年発表した。水源を切り替えるなどし、現在は目標値を下回っているが、町は長期的に住民の健康調査を行う。
 基準の検討も必要だ。米環境保護局(EPA)は今年、PFOAとPFOSの規制値をそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムと厳格化した。日本も参考にすべきだ。
 PFASは全国の河川や地下水からも検出されている。
 苫小牧市の安平川では今年7月、暫定目標値を超えた。10月のモニタリングでは下回ったが汚染源は特定されていない。
 ラピダス(東京)の次世代半導体製造工場は安平川を水源とする道の工業用水を使用する。規制対象のPFASは持ち込まず、規制外の物質も浄化装置で除去した上で、千歳市の終末処理場を経て千歳川に流す。
 
 市は千歳川などでPFASを含む水質調査を行っている。
 
 ただ、市とラピダスが結んだ工場排水の水質に関する協定では、PFASを測定項目に入れていない。下水道法で規制項目ではないからだというが、工場内できちんと除去されているか確認する必要があろう。
 
 千歳川下流では江別市が取水している。道を含め、関係者は隙のない対応を取るべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月17日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【払沢(ほっさわ)の滝」】:滝が神秘的に凍る確率は?予報士記者がAIで分析してみた データを支えた、村民のアナログすぎる熱意

2024-12-16 11:00:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【払沢(ほっさわ)の滝」】:滝が神秘的に凍る確率は?予報士記者がAIで分析してみた データを支えた、村民のアナログすぎる熱意

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【払沢(ほっさわ)の滝」】:滝が神秘的に凍る確率は?予報士記者がAIで分析してみた データを支えた、村民のアナログすぎる熱意 

 気温や風速などの気象データを電力需要の予測やフードロスの削減など、産業や社会の課題解決に生かす取り組みが進む。気象予報士の資格を持つ筆者も、気象庁認定「気象データアナリスト育成講座」を受講し、人工知能(AI)による分析に挑戦してみた。対象は、厳冬期に結氷する「払沢(ほっさわ)の滝」(檜原村)。どういう気象条件ならば凍った姿を見られるのか。
2018年1月に完全に結氷した払沢の滝=檜原村観光協会提供

2018年1月に完全に結氷した払沢の滝=檜原村観光協会提供

◆都心から2時間かけても見られないショックを防ぎたい

 最近、滝が100%結氷したのは2018年。その前は06年。凍り付いた滝を見ようとする人たちで、都心方面から村へ続く都道が渋滞になった。それだけ観光価値は高いが、現地へは新宿から電車やバスを乗り継いで2時間ほど。はるばる訪れたのに結氷していなかった時の失望は大きいだろう。事前に予測できれば、今よりも多くの人が村を訪れるのではないか―。そんな効果を期待した。
 
 分析に利用したのは滝の結氷率と、気象データ。結氷率は16~24年の1~2月に住民が毎日記録したもので、完全に凍ったら「100%」、ちょっと凍ったら「20%」。判定しているのは「払沢の滝冬まつり実行委員会」の高木健一委員長(50)。1人で判定するので、ぶれは少ない。
 気象データはというと、...

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 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・気象・自然現象・檜原村・厳冬期に結氷する「払沢(ほっさわ)の滝」】  2024年12月16日  11:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
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《社説②・12.13》:水道水のPFAS検査 安心できる基準が必要だ

2024-12-14 02:01:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説②・12.13》:水道水のPFAS検査 安心できる基準が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.13》:水道水のPFAS検査 安心できる基準が必要だ

 水道水の安全と安心を確保するには、リスクと向き合い、迅速に対処する姿勢が求められる。

 有機フッ素化合物「PFAS」が水道水に含まれているかどうかについて、環境省と国土交通省が全国3755の水道事業者による検査状況を初めて集計した。

PFASの飲料水の基準

 検査対象は、PFASのうち水や油をはじき熱に強い性質を持つ2種類の化学物質だ。発がん性などが指摘され、すでに製造や輸入が原則禁止されている。

 食品の包装紙、焦げ付きにくいフライパン、燃料火災向けの泡消火剤などに利用されてきた。各地の米軍基地や工場周辺の河川などから検出報告が相次いでいる。

 国は2020年、安全性の目安として、水道水1リットル当たり50ナノグラム以下とする「暫定目標値」を設定した。

 20年度以降に目標値を超えたのは1都2府9県の計14事業者だった。今年度は9月末時点で超過は確認されず、環境省の担当者は「水源の変更などが奏功したのではないか」と説明している。

 PFASが問題なのは、「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解されにくいためだ。過去の使用分が環境中に残ってしまう。

 だが、水銀やヒ素とは異なり、水質基準の対象項目ではなく、検査は任意だ。約4割の事業者は「汚染されているとは考えにくい」「費用負担が重い」などを理由に検査していない。

 今年度は目標値を下回っているものの、検出された事業者も333あった。汚染源の大半は特定されず、対策は難しい。今後、新たに検出されたり、目標値を超えたりする可能性もある。

 政府は水質基準に格上げし、検査などを義務づけることを検討している。科学的知見に基づき、実効性のある基準となるよう調査研究を強化することも欠かせない。

 健康や環境に重大な影響を及ぼす恐れがある場合、因果関係が十分証明されていなくても規制措置を取る「予防原則」が対策の基本である。

 日本では高度成長期に公害対策が遅れ、多くの犠牲者を出した。今も健康被害に苦しむ人がいる。その二の舞いとならないよう、政府は検査や除去技術などで事業者を支援しなければならない。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月13日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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