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竹中平蔵『構造改革の真実』

2007-03-11 21:50:38 | 政治
この本は事件である。日本政府の中枢にいた者による本が出版されるのは、通常その人の晩年に回顧録としてか、政権を追われた後に手記として書かれるくらいだろう。それが「小泉劇場」とも呼ばれたこの熱気に満ちた5年半に総理の側近であり、政策参謀であった本人の手によって書かれることは本当に事件である。考えてみれば、竹中平蔵氏が閣僚になって5年半で経済再生の結果が出ると誰が想像しただろうか。あのシュンペーターも大蔵大臣になったが、結果が出せずに1年足らずで辞任したのだ。学者と政治家は働く場所が違うと誰もが思う。それなのに竹中氏は不良債権処理と金融システム改革、郵政民営化などこの10年来誰もできなかった難題を小泉総理とともに次々と解決した。この本はどうしてそれらが実現できたのか、その政策立案から合意形成、法案作成までの過程が政治家や官僚との緊張感に満ちた日々の記録として書かれている。今後、この本は政治学、経済学などの研究対象として重要視されるだろう。
日本国民として、日々のニュースや株価の動きで政府の政策を間違っているとか正しいんじゃないかとか思うことがあるが、この本をよんで中長期的な判断が必要だとあらためて思った。
読み出したら止められなくて、344ページもある本なのに一気に読んだ。それほどすごい本である。


安倍晋三『美しい国へ』(文春新書)

2006-08-19 20:56:38 | 政治
A級戦犯は裁かれて既に刑を受けたし、講和条約以降、刑法犯罪者扱いされなくなり、遺族も遺族年金を受けている。靖国神社参拝に際してもA級戦犯のことをことさら問題視すること自体がおかしいというのがこの人の主張だ。日米同盟については、祖父・岸信介と安保反対のデモのシュプレヒコールを祖父宅で聞いたが、大学で勉強し、やはり軍事力をもたない日本はアメリカとの同盟以外にないという祖父の判断は正しいと思った。北朝鮮問題は拉致被害者の有本さんの家族から父・晋太郎に依頼があり、社会党も外務省も知らんふりのなかで議員有志で活動を始めて以来、取り組んでいる課題。憲法改正は自民党結党以来の悲願との認識。日本が独立国家として、また集団自衛権をもつためにも改正が必要。こんな内容が書かれている本だ。安部晋三はやさしい顔をしているが実はタカ派と言われるのもよく理解できる。しかし、血筋のよい坊ちゃんの割には骨太の政治家という印象だ。尊敬するチャーチルの記述も多い。明治維新以降の日本の現代史を考え直すにもよい本だ。