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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

守屋洋『孫子の兵法』 三笠書房知的生きかた文庫

2015-01-05 14:09:28 | 哲学・宗教
色の基本は、青、赤、黄、白、黒の五つに過ぎないが、組み合わせの変化は無限。
音階、味も基本は五つに過ぎないが、組み合わせの変化は無限。
戦争は、「奇」と「正」の二つから成り立っているが、その変化は無限。誰も知り尽くすことはできない。

兵法は戦いの書であるが、軍の統治の書でもある。
「兵は多きを益とするにあらず」
・数が問題ではなく、一致結束を図ることが肝要
・罰の適用は慎重に、しかし、必要な時はためらってはならない
・温情(文)と軍律(武)の両面が必要
・軍律は普段から徹底させておかなければならない

この本は兵法のエッセンスをわかりやすく解説してくれる本である。
将棋は定石を覚えなければ上達しないように、戦術を覚えなければ応用できない。
スポーツでも経営でも応用できるというのが兵法の面白いところだ。

加来耕三『黒田官兵衛 軍師の極意』小学館新書

2015-01-05 11:39:01 | 歴史
黒田家の黒田は、滋賀県の伊香郡黒田邑に先祖が住んだからという説がある。ただこの黒田邑、もう今はない。
また、播磨国高郡黒田村に出自があるとの説もあるらしい。こちらの黒田の地名はまだある。
播磨で黒田の地名はここだけなのでその説が出たらしいが、黒田家の系図がこの黒田の荘厳寺という真言宗の寺にある。
少し怪しい説なのだが、いずれ真偽は明らかになるだろう。
秀吉の軍師として、中国大返しなどの戦術を編み出した官兵衛は大河ドラマで描かれている人物像と近かったのかもしれない。
獄中に捉えられても主君を裏切らず、報酬を求めず懸命に働いた。
戦に秀でて、家臣にも慕われた。
家康、光成と対峙しようと九州平定し、天下を目指したのが本当かどうかはわからない。
最初から恩賞として領地を広げたかっただけとの説もある。
官兵衛のおかげで、去年は軍師ブームになった。
会社にも軍師、参謀が必要とか。
戦において、竹中半兵衛、黒田官兵衛という軍師がいなければ秀吉の天下はなかったのだろう。
しかし、統治するためには石田三成が必要だったのだろう。
この両方が経営には必要だと思う。

伊藤元重『経済学で読み解く これからの日本と世界 』PHPビジネス新書

2015-01-05 11:29:53 | 経済・金融
「日経MJ」と「静岡新聞」に連載されたコラムをまとめたもの。
その時々に読んでいたら面白かったのだろうが、バラバラに短くまとめた文章は全体像がつかみにくい。
長期のトレンドを押さえておけば、日本がどこに向かうかがわかるという。
医療が雇用を生むとか当たり前のことなのでもう少し深い掘り下げが欲しいが、コラムなんで無理か。
この経済学者は政権に影響力があると思われるが、理論を読みたい。

嶋崎 政男『学校崩壊と理不尽クレーム』集英社新書

2015-01-05 00:21:08 | 教育
2008年に出版された本。
モンスターペアレント関連の本は2007年頃から集中的に出版されている。
ちょうどそのころモンスターペアレントという言葉が流行ったんだろう。
クレーマーの三種の神器は議員・弁護士・マスコミらしい。

この本では学校で起きるクレーマー事例と対応方法について解説されている。
また理不尽クレームを引き起こす親の問題にも触れられている。
親が子どもに接する態度には、
(1)溺愛・偏愛型
(2)放任・拒否型
(3)過干渉・過支配型
(4)バランス型
というように分けられるらしい。
どの親も子どもに接する時に「うーんと甘えさせるけど、甘やかせない」というバランス型の態度なら、学校に対する理不尽クレームは起きないようだ。
子どもの虚言にも対応できるし、必要以上に学校で起きたことに介入しない。教師にも攻撃的にはならない。
しかし、すべての親がこのバランス型で子育てをしているかというと、なかなか難しいんだろう。

著者は、理不尽クレームが起きるのをコップを倒すと水がこぼれることに例えて、未然防止が必要だという。
そのためには、日頃から先生は教育熱心さを失わず、先生と生徒との人間関係、生徒同士の人間関係を深化させ、保護者との信頼関係を築かないといけない。

攻撃型のクレーマーが登場した時、真面目な先生は、リーガルマインドがない場合が多く、カウンセリングマインドを発揮して相手の要求を飲んでしまいがちだそうだ。
理不尽な要求にはダメなことはダメという態度も必要だ。
以下のようなことを注意すべき事としてあげられている。

(1)相手の指定した場所には行かず、学校の応接室で対応する
(2)相手より多いメンバーで臨む
(3)曖昧な部分は聞き返して確認する
(4)即答できないことはその旨はっきり述べる
(5)謝罪文など書類の作成には応じない
(6)脅迫、暴行などがあった場合にはすぐに警察に連絡する
(7)学校全体で組織的に対応する
(8)すべて記録に残す

学校に現れるクレームは企業にも役所にも共通することらしい。
これは法整備などで消費者意識が高まったこと、ストレスを発散させたい人々が多くいること、心を病んだ人が増えたことなどが要因とか。
この本が出版された2008年より今はもっとひどい状況になっていると思う。

映画『エリジウム』

2015-01-04 23:51:58 | シネマ・テレビ
マット・デイモンとジョディー・フォスターが出演しているのでまあハズレはないだろうと思って見た。
作る方もそういうノリで作ったんじゃないかと思えるSF映画。
どこかで聞いたようなストーリーとどこかで見たような映像。
でもまあ飽きないくらいの時間に仕上がっている。
やがてタイトルも忘れてしまう映画だろう。

原題:ELYSIUM
製作年度:2013年
上映時間:109分
製作国:アメリカ
監督:ニール・ブロムカンプ


映画『チェ 39歳 別れの手紙』

2015-01-03 23:29:37 | 人間学
なんとも退屈な映画。
チェ・ゲバラがボリビアで死ぬまでのドキュメンタリーだが、盛り上がりも何もない。
しかし、映画を作ったのは、『オーシャンズ』シリーズのスティーヴン・ソダーバーグ。
チェを純粋な姿で描いている。
人間にはこういう死に方もあるんだろう、
ということを教えている。
死に方は、そのまま生き方なんだと思う。

原題:CHE  PART TWO/GUERRILLA
製作年度:2008年
上映時間:133分
製作国:フランス,スペイン
監督:スティーヴン・ソダーバーグ


若松義人『トヨタ式「改善」の進め方』PHPビジネス新書

2015-01-02 15:44:30 | オペレーション戦略
トヨタ生産方式は、
(1)人間の知恵の上に
(2)自働化と
(3)ジャスト・イン・タイムの日本の柱が立っている
こととまとめられる。

トヨタの強さはリーダーから現場までこのやり方が身についていることだろう。
生産部門だけでなく、間接部門でも応用できるようだ。
しかし、間接部門では、手を動かしているときだけが仕事でなく、考えているときも仕事である。
だから何を仕事か仕事でないかという区分けから入るより、この仕事を何人でやるかという目標を決めることで始めるのが多いとか。

トヨタでは強力なリーダーシップで組織を動かすより、改善を自発的にする組織にすることを重視する。
人を育てるときにも、トップが答えを示すのではなく、わざと考えさせるという。

これがヨタの強さなんだろう。

p.43の提案活動評価ポスターはパクってもいい。

大久保幸夫『マネジャーのための人材育成スキル』日経文庫

2015-01-02 15:30:24 | 人材マネジメント
プロフェッショナルの定義。
(1)専門的な知識(わかる)と技術(できる)を兼ね備えた人
(2)高度な職業意識(プロフェッショナリズム)を持った人

プロフェッショナリズムとは、
(1)自律と自己責任
(2)利他性
(3)職業倫理
(4)継続学習

人材育成とは、プロフェッショナルを育てること。
著者の考えでは、これには10年かかるとのこと。

人材育成とは、リーダーシップと専門性を育てることともいえる。

大久保氏はリクルートでずっと人材事業に関わっている。
この人の主張に説得力があるのは、リクルートワークス研究所での集団での研究成果によるものが大きい。

大久保幸夫『会社を強くする人材育成戦略』日経文庫

2015-01-02 14:59:50 | 人材マネジメント
新規事業が多かったバブル崩壊前までは、人材は自然と育つ状況だったが、新規事業も少なく、雇用さえも守れないバブル崩壊後は、人材は育つものではなくなったと著者は言う。人材は育てる時代になったのだと。
人材育成は採用時から始まり、採用前、入社後の導入が重要とか。

ローパフォーマーの問題も興味深い。
本人の問題も大きいが、半分は会社の責任である。
ローパフォーマーだからと言って簡単に解雇できないのが日本の労働法である。
裁判になれば次のことが問われる。
ローパフォーマーであり、放置できない問題であることを本人に通知したか、本人からの意見も真摯に聞いたか、
改善目標を設定して、それを実現できるように指導・支援したか、配置転換などによって場を変えてチャレンジする機会を与えたか、
解雇の前に退職勧奨などのプロセスを経たかが問われる。
さらに悩ましいのはメンタルヘルスの問題を経て、ローパフォーマーになってしまうこと。
女性に場合、仕事と育児の両立期間をきっかけにローパフォーマーになること。
どこでもある問題なのだ。

人事育成とはプロフェッショナルを育てること。
スペシャリストは、ある一連の仕事の特定分野をもっぱら担当する。仕事の細分化により生まれた専門職のイメージ。
それに対して、プロフェッショナルは、仕事の個性化から生まれてくる。
専門性を深く追求し、経験を積み上げていくにつれて、信念が生まれ、その人なりのやり方が生まれ、職業倫理が生まれ、際限なく知識や技術を深めていく本当の専門職のイメージ。
プロになるまで10年というのが著者の考え方。


映画『チェ 28歳の革命 』

2015-01-01 18:46:11 | 人間学
チェ・ゲバラの日記とニューヨークでのインタビュー、国連での演説を再構成しているシンプルな映画。
低予算のためか、わざとかわからないが、雑な編集がかえってドキュメンタリーのようなリアリティを与えている。

革命家にとって一番大事なものは? 
と問われて、ゲバラは「愛」だと答える。
祖国への愛、家族への愛、仲間への愛、それが一番大切だと。
農民を尊敬する、民衆から物を盗むことを禁じる。
窃盗したり、裏切ったり、強姦したりした者は処刑した。
ぜんそく持ちで医者のゲバラは、アルゼンチンの国籍でありながらキューバの革命戦争に深く関わるようになり、戦士になった。
ハバナ侵攻の前日に街からスポーツカーを盗んできた兵士に「返してこい」と命じるところで映画が終わる。

先日、アメリカがキューバと国交を回復するというニュースがあった。
解放後、経済は停滞したままなので社会主義がダメだという人たちもいる。
一方でキューバの医療を高く評価する人たちもいる。
キューバが魅力的なのは、経済封鎖されても、ラテン系に明るく生き延びているところだろう。

この映画に出てくるフィデロ・カストロはまだ生きているし、ラウル・カストロは国を率いている。
ゲバラは遙か昔になくなったのにまだ人々の心に残っている。
圧政から人々を解放するのが革命だとしたら、もうその情熱が通用する国は少なくなったのかもしれない。

1959年に革命を成し遂げた時にゲバラは30歳だった。
ゲバラの魂の熱さが伝わってくる映画だ。
その熱さはいまだに世界のあちこちで冷えていないように感じる。

原題:CHE  PART ONE/THE ARGENTINE
製作年度:2008年
上映時間:132分
製作国:アメリカ,フランス,スペイン
監督:スティーヴン・ソダーバーグ