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●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?

2021年03月17日 00時00分13秒 | Weblog

[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)]


(20210228[])
海渡雄一さんによる、レイバーネットの記事【最高裁で確定させ国としての脱原発を確実に〜「千葉避難者訴訟」逆転勝訴の意義】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0223kaido)。

 《さる2月19日に千葉避難者訴訟について東京高裁(第22民事部 白井幸夫裁判長)が、東電と国の責任を認める判決を言い渡しました。この判決の推本の長期評価の信頼性と国の責任に関する判示部分は、私が被害者代理人としてかかわっている東電刑事裁判、原告代理人としてかかわっている東電株主代表訴訟の帰趨に大きく影響するものです。この裁判の一審判決では、国の責任を否定する判決が出されていましたが、東京高裁で見事に逆転勝訴判決を勝ち取られた原告団と弁護団に敬意を表したいと思います。この弁護団の団長は福武公子弁護士です。福武弁護士は、私も加わったもんじゅ訴訟弁護団の事務局長でした。以下、この判決の内容を紹介し、この判決の意義について述べたいと思います。(海渡雄一)》


 《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や国が「原状回復」してみせてくれよ。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれです。
     「あれだけの事故を起こして被害を出してだれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業なりわいを返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
      「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
      切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
       国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる
    「民事裁判では、地裁に続き高裁レベルで、《国と東電に損害賠償などを
     求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審福島地裁判決に続き
     両者に賠償を命じ》ました。仙台高裁上田哲裁判長によるものです。
      「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」という訴えが、
     一部認められました。

      国や東京電力が責任を果たす方法は明確で、簡単です。《原状回復
     して見せてくれればよいのです。もう10年が経とうとしています。
     さっさとお願いします。
      …出来ない、不可能というのであれば、やるべきことは一つしかない
     でしょ? 《国や東電は被災地を事故前の状態に戻すことができない
     現実を直視し》、何を為すべきですか?」

   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●《「国に法的責任はある」原発事故で千葉県に避難した人々が起こした
        訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》


 仙台高裁・上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁・白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決 ――― この判決の意義とは?
 白井幸夫裁判長は、《防潮堤の設置などの措置を講じていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかった」と認定。国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」とした》そうだ。真っ当な司法判断。

 責任をもって東電や国が「原状回復」して見せてくれよ! 10年が経ってしまいましたよ。いつになったら元の姿に戻してくれるの? 元の姿に戻してくれれば、皆さん喜んで福島に帰り、生業を取り戻すはずですよ。
 東京電力核発電人災から10年。あの人災から何の教訓を得ることもなく、何も変わらないニッポン。民主党政権末期・野田政権、アベ様・カースーオジサンによる《悪夢のような》、〝地獄〟の自民党政権は、核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないままです…。

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0223kaido

最高裁で確定させ国としての脱原発を確実に/「千葉避難者訴訟」逆転勝訴の意義

最高裁で確定させ国としての脱原発を確実に〜「千葉避難者訴訟」逆転勝訴の意義
海渡雄一(弁護士)

 さる2月19日に千葉避難者訴訟について東京高裁(第22民事部 白井幸夫裁判長)が、東電と国の責任を認める判決を言い渡しました。
 この判決の推本の長期評価の信頼性と国の責任に関する判示部分は、私が被害者代理人としてかかわっている東電刑事裁判、原告代理人としてかかわっている東電株主代表訴訟の帰趨に大きく影響するものです。
 この裁判の一審判決では、国の責任を否定する判決が出されていましたが、東京高裁で見事に逆転勝訴判決を勝ち取られた原告団と弁護団に敬意を表したいと思います。この弁護団の団長は福武公子弁護士です。福武弁護士は、私も加わったもんじゅ訴訟弁護団の事務局長でした(私は事務局次長)。2003年1月に名古屋高裁金沢支部で川崎和夫裁判長によって「もんじゅ設置許可無効」の逆転勝訴判決を勝ち取った原動力は福武弁護士と原発反対福井県民会議の小木曽美和子さん、そして毎回の法廷に私たちを支えるために出廷して下さった二人の原子力の専門家、久米三四郎さんと小林圭二さんでした。
 この判決は昨年九月の仙台高裁生業判決につづいて、高裁で二例目の住民勝訴判決となりました
 福武先生、おめでとうございます。そして、本当にありがとうございます。
 以下、この判決の内容を紹介し、この判決の意義について述べたいと思います。


第1 はじめに

 2021年2月19日東京高裁(白井幸夫裁判長)は、千葉の避難者が提起していた東電と国に対する損害賠償について、国の責任を認めなかった地裁判決を破棄し、いずれに対しても請求を認める判決を下した。
 その判決要旨は次のとおりとされている。

長期評価
 国の地震調査研究推進本部が平成14年7月に公表した「長期評価」は、三陸沖北部から房総沖の領域で、過去400年にマグニチュード8クラスの大地震が3回発生しているとし、約133年に1回の割合で同様の地震が、この領域内のどこでも発生する可能性があるとする。長期評価の信頼度は「やや低い」とされていたが、過去の地震データが少ないことによるもので、長期評価の基礎となっている科学的知見の信頼性が低いことが理由ではない。
 経済産業相は、土木学会が14年2月に策定して公表した「原子力発電所の津波評価技術」の知見によって規制権限行使の判断をしていた。長期評価と津波評価技術は、いずれも専門家が議論を重ねて得た見解で、科学的信頼性は同等といえる。新たな知見が示された場合、それまで判断の基礎としてきた知見と少なくとも同程度の科学的信頼性があると評価できるのに、新たな知見を判断の基礎としないのは著しく合理性を欠く。
 経産相は、長期評価が公表された後のしかるべき時期に東電に依頼するなどして、福島県沖で発生する可能性のある地震による津波の評価をしていれば、20年の推計結果と同様に、福島第1原発に敷地の高さを大きく超える津波が到来する危険性があることを認識し得た。敷地内が浸水して重大な事故が発生する恐れがあり、福島第1原発が技術基準に適合しないと判断することができる状態にあった。

規制権限不行使
 経産相は、事業者に技術基準適合命令を発するに当たり、事業者が講じるべき措置を想定している必要がある。津波の到来による原発の全電源喪失という重大な事故を防ぐため、防潮堤の設置やタービン建屋などの水密化を想定すべきだった。想定すべき対策が講じられていれば、津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかったと認めるのが相当だ。
 長期評価の公表から遅くとも1年後には技術基準適合命令を発することができたと認められ、それから地震発生までの約7年半を費やせば、技術基準に適合させるための措置を講じることは可能だった。規制権限の不行使と事故には因果関係が認められ、違法だ。

国と東電の責任
 事故は国の規制権限不行使と東電による原発の運転などが相まって発生したと認められる。国と東電は原告らの損害についてそれぞれ責任を負う。国の立場が二次的・補完的であるとしても、国の賠償責任の範囲を限定するのは相当ではない。

損害
 避難生活を余儀なくされた者は、不慣れな場所での生活による不便や困難を甘受しなければならなくなった上、生活の本拠に戻れるのかどうかなどの不安感や焦燥感を抱くことになり、精神的苦痛を被った。
 避難を余儀なくされ、生活物資の調達や周辺住民との交流、伝統文化の享受といった経済的、社会的、文化的な生活環境が基盤から失われた場合や、ある程度復興しても生活環境が大きく変容した場合は、慣れ親しんだ生活環境を享受することができなくなり、精神的損害を被ったといえる。
 暫定的な生活本拠での生活を続けるか、元の居住地への帰還を断念するかの意思決定をしなければならない状況に置かれることや、生活の継続や帰還の断念による精神的損害もある。」
 この訴訟の争点は、東電役員の法的責任をめぐる刑事裁判、株主代表訴訟の争点と、重なり合う点が多い。本稿においては、この判決の判示内容を確認し、これらの事件でも鋭く争われている推本の長期評価の信頼性に関する判示部分を中心に紹介し、長期評価には早期の津波対策の必要性を基礎づける高い信頼性があったことについて、原告の主張を補充的することとする。


第2 異論があったうえで、コンセンサスでまとめられた長期評価には高い信頼性が認められる

長期評価策定の目的

 判決は長期評価の策定の目的について次のように認定している。

「長期評価は,その取りまとめの主たる目的が,国民の防災意識の向上や,広く関係機関により地震防災対策に活用されることにあり,津波評価技術のように,原子炉施設の設置時に想定すべき地震や津波の評価等といった特定の施設や地域について地震や津波を評価する目的を持ったものではなく,想定津波の評価手法を示したものでもない。もっとも,原子炉施設も地震防災対策を要する施設であることはいうまでもなく,長期評価は,そのような施設のーつとしての原子炉施設の地震防災対策に活用されることも目的に含まれていたということができる。」(判決127ページ)


2 長期評価策定時における、海溝型分科会における様々な議論について

 判決は、推本策定時に、海溝型分科会において交わされた様々な議論についても詳細に認定しつつ、異論がありながら、これが多くの専門家によるコンセンサスでまとめられていった過程を、正確に認定している。
「例えば,慶長三陸地震については,メカニズムがよく分からない地震で,資料も少なく波源域も得られていないなどとの意見がある中で,明治三陸地震と同じ場所で起こったとして矛盾がないと整理がされたり,どこでも津波地震が起こるという考え方と明治三陸地震の場所で繰り返しているという考え方のどちらがよいかとの疑問に対して,慶長三陸地震がよく分からない以上,明治三陸地震の場所をとるしかないとの意見が出されたりした。また,延宝房総沖地震については,慶長三陸地震以上に震源域が明らかでなく,プレート問地震ではなく,プレート内地震であるとの指摘もあるとの意見が出るなどした。その後,慶長三陸地震,延宝房総沖地震,明治三陵地震が日本海溝沿いで発生した津波地震であるとして整理する案が示された際には,延宝房総沖地震を入れることへの異論が出るなどし,延宝房総沖地震を津波地震とする見解と津波地震でないとする見解の両論を併記してはどうかとの意見も出たが,その上で波源域が明らかとはいえない慶長三陸地震を入れるとこれが明らかになっているように見えてしまうなどの意見もあった。」
「このようなさまざまな意見が交わされる議論を経て,海溝型分科会では,最終的には,三陸沖で地震が起きる確率を示すことが重要であるなどの見解もあったことから,不確実であることは明記することなどとして,上記三つの地震を三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りの領域で過去400年間に発生した津波地震として扱うこととされたものであり,このような形で公表すること自体への異論が示された形跡はない。」(判決128ページ)


3 長期評価は法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表されたものである

 そして、判決は、長期評価が法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表されたものであることを正確に認定している。
 「三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りの領域について,これを一つの領域として扱い,この領域で過去400年に3回の津波地震が生じた可能性があるとする内容の長期評価をとりまとめるに当たっては,海溝型分科会の委員が,それまでの科学的知見を整理しながら,どのように過去の地震を評価するかについての議論を重ね,科学的知見が熱していない点については,異論も示されるなどした中,最終的に,専門家集団である海溝型分科会としての意見として集約したので、あって,それは,長期評価部会及び地震調査委員会に諮られ,法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表することとされたものである。」(判決129ページ)


4 さまざまな異論の検討を経てまとめられた見解は、「科学的信頼性が高められているともいうことができる」

 そして、結論として、長期評価が、さまざまな異論の検討を経てまとめられたものであり、このような経過自体から、「科学的信頼性が高められているともいうことができる」と、きわめて常識的で、良識に沿った判断が示されている。
 「長期評価は,上記(イ)のとおり,国の機関である地震本部に設置された地震調査委員会において,地震学,津波学等の専門家による種々の議論を経て取りまとめられ,公表されたものであって,その内容も,過去の大地震に関する資料に基づき,それまでの研究成果等を整理し,専門的・学術的知見を用いて将来の地震の発生についての見解を形成したものであることに鑑みれば,相応の科学的信頼性を有するものと評価することができる。
 なお,長期評価の主たる目的が,国民の防災意識の向上や,広く関係機関の地震紡災対策への活用にあることは前記のとおりであり,国民一般に地震発生の可能性を分かりやすく示し,いわば警鐘を鳴らすという観点がとりまとめの方法に反映されている面があり,長期評価自体において言及されているとおり,その後の精度の向上が期待されているものであることは否定できないが,それによって,長期評価の科学的信頼性が大きく減殺されるものではない。
 また,上記(イ)のとおり,とりまとめに向けた議論の過程で,三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りという領域で過去に3回の津波地震が発生したと整理することについては,いくつかの異論が示されたのであるが,長期評価の策定から現在に至るまで,地震や津波の発生メカニズムの解明は未だ十分でなく,その進展の途上にあるのであって,そのような状況の下では,異論が示されることは不可避で、あり,また自然なことというべきであって,そのような異論がある中で,過去の知見が整理され取りまとめられたという点においては,その科学的信頼性が高められているともいうことができる。」(判決129-130ページ)


第3 津波評価技術と長期評価の関係について

1
 津波評価技術とは何のためのものか

 判決は津波評価技術と長期評価の関係について判示をしている。しかし、津波評価技術は、津波の波源を設定した後の、津波高さの評価のための方法を示したものであり、津波波源について、検討を経て一定の見解を示したものではない。
 判決では、このことが誤解されている。
 判決はまず、津波評価技術の位置づけについて判示する。
 「津波評価技術は,原子力発電所の設計津波の設定を目的として策定されたものであり,既往津波の断層モデルを設定し,想定津波を選定して設計津波水位を検討するという手法を提示するもので,論理的,分析的であるだけでなく,設計津波水位を検討する過程で、の想定津波の波源領域区分の設定は,地震地体構造の知見に基づいており, 『これまでに培ってきた知見や技術進歩の成果を集大成して,現時点で確立しており実用として使用するのに疑点がないものを取りまとめたもの』とされているとおり,それまでの科学的知見を集約したものであるということができる。」としている。
 このまとめは、津波評価技術が「既往津波の断層モデルの設定」だけを目的とするように読み取れる点は疑問であり、津波評価技術も、七省庁手引きなどと同じように既往津波が特定されない場所での「想定津波」を想定すべきとしていた。この点を除けば、この認定は正しい。
 続いて、次のとおり、「その策定に関与した専門家や議論の過程,そしてそれを公表した主体のいずれにおいても,科学的信頼性の観点からみて,一方が他方に比して優位であるということはできない。」として、津波評価技術によって長期評価の信用性を低めることはできないと判示し、結果として国として長期評価に基づく検討が必要であったとの結論を導いており、結論においてはこの判断は正しいといえる。
 「津波評価技術と長期評価のいずれについても,地震学,津波学等の相当数の専門家を含む構成員が議論を重ね,しかも双方の議論に関与した専門家もある中で,その議論の結果として得られた見解を,一方は土木学会という学術的権威のある学会が,他方は地震本部という国の機関が公表したものであり,その策定に関与した専門家や議論の過程,そしてそれを公表した主体のいずれにおいても,科学的信頼性の観点からみて,一方が他方に比して優位であるということはできない。」


2 土木学会の津波評価技術は福島沖の日本海溝沿いの津波地震の可能性を検討して出されたものではない

 この判決は、土木学会の津波評価技術が、福島県沖における津波地震の可能性について検討し、福島沖で津波地震が起きないと判断していたことを前提としたうえで、二つの見解を比較している。
 判決78ページは、この前提について「福島第一原発付近の設計想定津波」との表題の下に、「津波評価技術では, 日本海溝沿いの海域において,北部では海溝付近に大津波の波源域が集中しており,津波地震・正断層地震も見られる一方,南部では,1677年の延宝房総沖地震を除き,海溝付近に大津波の波源域は見られず,陸域に比較的近い領域で発生していると整理された(丙ロ112・2-26頁)。
 この結果,津波評価技術では,福島県沖(日本海溝寄り)においては,1938年の福島県東方沖地震のみが既往の地震であり,福島県沖の日本海溝沿いでは津波地震が発生していないとし,福島県東方沖地震に基づくMw 7. 9の断層モデルを基準断層モデルとして設定したが,福島県沖の日本海溝沿いの領域には,津波の波源が設定されなかった(別紙12 「津波評価技術日本海溝沿い及び千島海溝沿いのプレート境界付近の断層モデル」参照) (丙7・1-59頁,丙112・2-29頁)。」
 この「福島県沖の日本海溝沿いでは津波地震が発生していないとし,福島県東方沖地震に基づくMw 7. 9の断層モデルを基準断層モデルとして設定したが,福島県沖の日本海溝沿いの領域には,津波の波源が設定されなかった」との認定は、東電と国の主張にもとづく認定であるが、前提を欠く議論である。
 土木学会では福島沖で津波地震が起きるかどうかの検討などはされていないのである。
 このことは、次に紹介する群馬訴訟の控訴審において、実施された津波評価技術の策定の中心人物であった東北大学の今村文彦氏による最新の証言記録や千葉訴訟における地裁段階での佐竹証言で明らかにされてきたところである。このことが踏まえられていないことは残念である。


3 添田氏による群馬訴訟控訴審における今村証言の紹介

 この点については、以下のジャーナリストの添田氏による群馬訴訟控訴審の公判報告を紹介する(2018年12月18日 添田孝史 「土木学会で安全確認実は検討していなかった。」ウェブサイト レベル7への投稿
 「土木学会で安全確認」実は検討してなかった - level7 (level7online.jp))。
 「福島第一原発事故で、避難した住民が東京電力と国に損害賠償を求めた群馬訴訟の控訴審第4回口頭弁論が12月13日、東京高裁(足立哲裁判長)で開かれ、国が申請した今村文彦・東北大学教授(津波工学)が証言した。
 今村教授は、土木学会が原発の津波想定(土木学会手法)を2002年にまとめた時の中心メンバーだ。その際、福島沖の日本海溝沿いに将来津波が起きるのかどうかについてどう考えていたのか問われ、「詳細な検討はしていない。今後(2003年以降)の検討課題だった」と証言した。
 「土木学会手法は、福島第一の沖合の日本海溝で津波は起きないと判断していた」と国や東京電力は裁判で主張している。しかし、土木学会では、検討さえしていなかった事実が明らかになった。法廷では、福島沖の津波予測について、以下のようなやりとりがされた。

原告側・久保木亮介弁護士
 (土木学会第一期1999年〜2001年で)既往地震やこれまでの知見のレビューをした。ただ、日本海溝沿いの、過去に大地震の発生が確認されていない領域に、将来の大地震を想定するか否かの詳細な検討はしてない。こういう理解でいいですか。
今村教授
 はい、第一期では。
東電側弁護士
 土木学会手法はあくまで技術的なシミュレーション方法のみを示したもので、これに当てはめる波源は検討していない、持ち越しになったという主張もあるのですが、その点について証人のご認識は
今村教授
 第一期についてはそのとおり。第二期(2003年〜05年)以降で将来の可能性についても確率的に検討した。
東電側弁護士
 第一期では、土木学会手法を検討しています。その策定の過程で、確定論としてどこまでの津波を取り込むか、そういう検討もしていないのでしょうか
今村教授
 当時の研究のレビューはしました。しかし起きていないところにどういう地震津波が起きるかどうか、そういうところの議論は、第二期以降になります。

 (千葉訴訟に関する東京高裁判決も引用している-引用者注)土木学会手法が示している波源域(地図1、赤線は筆者による)で、福島沖の日本海溝沿いは波源が示されていない。これは、検討していないから白いのであって、将来津波が起きないと判断して白くしていたわけではないことが証言でわかった。
 国や東電は、「原発に標準的に用いられてきた土木学会手法は、福島沖の日本海溝沿いで大津波を想定しない。だから福島第一原発に巨大津波は予測できなかった」「福島県沖の海溝沿いについては波源が設定されていないのは、地震地体構造等をふまえて検討した結果、将来津波は発生しないと判断されていたからだ」などと主張してきた。
 一方、政府の地震調査研究推進本部は、2002年7月に、福島沖を含めて日本海溝沿いのどこでも巨大な津波を引き起こす地震が起きうると予測していた(地図2、オレンジ色の領域)。十数人の研究者が議論して、とりまとめている。これにもとづいて計算すると、福島第一で津波は高さ15.7mになることがわかっていた(東電による2008年の計算結果)。
 これについて、国や東電は「地震本部の長期評価は信頼性が低く、土木学会手法の方が優れている」と述べてきた。ところが、今回の今村教授の証言で、土木学会手法は、福島沖に将来起きる津波について、詳しい検討をしていなかったことが示された。
 同じく土木学会手法の策定に関わった佐竹健治・東大教授も千葉地裁で国側の証人として証言した際、「そもそも土木学会の津波評価部会では、個別の地域で地震発生可能性というようなことを議論はしておりません。それは(地震本部の)長期評価部会でやっていること」(2015年11月13日)と述べている。
 土木学会手法の波源設定の信頼性について、国側や東電のこれまでの主張は、国側の証人によって、説得力を失ってしまったようだ。
 口頭弁論で、原告側と、国や東電側、双方からの質問に対し、ほとんどの場合は「そうですね」と肯定し続けた今村教授。しかし、福島沖で将来予測をしたかどうかについては、東電の「検討していたのではないか」という問いをはっきり、繰り返し否定した。
 東電側の弁護士は三度にわたって表現を換えて質問し、「福島沖も検討していた」という発言を今村教授から引き出そうとしていたが、今村教授の答えは変わらなかった。」
 このように、土木学会の津波評価技術が福島沖では津波地震が起きないという見解に基づいているという、千葉訴訟東京高裁判決の認定には根拠がない。しかし、この点の誤りは、判決の結論に影響を及ぼさないし、むしろこの誤りを正すことで、この判決の正当性は著しく強化されるといえる。


第4 国は、長期評価に基づく対策を命ずるべきであった。

国の規制権限行使のための要件

 東京高裁判決は以上のとおり、津波評価技術の位置づけ、判断された事項の範囲について、東電・国の主張に引きずられた誤解があり、このような誤解は東電・国による誘導の結果である。
 しかし、このことは、判決の結論には影響を与えていない。むしろ、この誤りが正されれば、その論理はより強固なものとなるといえるであろう。
 そして、判決は、以下のように判示し、国は長期評価に基づく津波対策を講ずるように東電に命ずるべきであったと判示している。
 すなわち、判決は、「原子炉施設についての技術基準適合命令の発令という規制権限を行使する要件の具備,すなわち,当該原子炉施設が技術基準に適合しているか否かの判断については,その権限主体である経済産業大臣のその時点での科学的,専門技術的知見の下における専門的な判断に委ねられており,その判断をするに当たってどのような科学的知見を基礎とするかについても,規制機関である経済産業大臣の専門的な判断に委ねられているというべきである。そして,その判断が著しく合理性を欠き,規制権限行使の要件の具備の判断に当たってその基礎とすべき知見を基礎とせず,そのために,経済産業大臣において技術基準適合命令を発する要件が備わっていることを認識し得たにもかかわらず,これを認識せず,同命令を発しなかったときは,これを発しなかったことは,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くこととなると解される。」と判断の基準となる考え方を定立する(判決134ページ)。この考えは伊方最高裁判決にもとづいたものである。
 このように,科学的知見の採否は規制機関の専門的判断に委ねられているものではあるが,原子炉施設についての規制権限の目的が,ひとたび事故等により放射性物質の大量放出という事態が生じれば,極めて深刻な被害を広範囲かつ長期間にわたってもたらす危険性がある原子炉施設について,万全の安全対策を確保することにあることに鑑みれば,規制機関がある科学的知見を基礎として原子炉施設に対する規制権限行使の要件の具備について判断してきたが,その科学的知見とは異なる新たな知見が示された場合において,その新たな知見に,それまで判断の基礎としてきた知見と少なくとも同程度の科学的信頼性があると評価することができるようなときは,規制機関が,当該新たな知見を規制権限行使の要件の具備の判断の基礎としないとすることは,著しく合理性を欠くこととなるというべきである。」(判決134ページ)と、事故の重大性という伊方最高裁判決にも示されていた事情にもとづいて、国の裁量判断に厳しい枠はめを求めている。この点も、きわめて常識的で、最高裁の判断を意識したものと言えるだろう。


2 本件に対するあてはめ

 続いて、判決は、以上に定立した規範を事件に次のように当てはめている。
 すなわち、「これを本件についてみると,規制機関である経済産業大臣は,相応の科学的信頼性を有する知見である津波評価技術については,原子炉の設置許可処分に先立つ審査の際に津波評価技術の考え方と同様の考え方を用いて津波に対する安全性を確認するなどの方法でこの知見に依拠して規制権限行使の要件具備の判断をしていたのであるが,長期評価に示された見解については,上記のとおり,津波評価技術と少なくとも同等の科学的信頼性を有していたのであるから,それにもかかわらず,原子炉施設についての規制権限行使の要件の具備の判断においてこれを基礎としないとすることは,いかなる科学的知見を基礎とするかが規制機関の専門的判断に委ねられていることを考慮しても,著しく合理性を欠くというべきである。」と判断しているのである(判決134-135ページ)。
 そして、具体的には国・原子力安全保安院には次のような行動が求められていたと判示する。
 「そうすると,規制機関としては,福島第一原発についての規制権限行使の要件の具備の判断に当たって,長期評価に示された見解を基礎として福島第一原発に到来する可能性のある津波を評価すべきであったのであり,それによって,福島第一原発が津波による損傷を受けるおそれがあることを認識し得たと認められる場合には,技術基準に適合しないと判断し得たこととなる。」
 「津波地震の発生領域を設けて震源域を設定し,津波のシミュレーションを行うことは,津波評価技術において示された科学的信頼性を有する手法であるから,具体的には,規制機関としては,まずは,長期評価に示された見解,すなわち,三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りの領域において, M8クラス, M t (津波マグニチュード) 8. 2前後の津波地震がどこでも発生する可能性があり,その発生する津波地震の震源域については,明治三陵地震についての震源モデルを参考にして想定することができるとした見解に依拠して,上記領域内の福島県沖についても,明治三陸地震を参考にした震源域を設定して津波のシミュレーションを行うなどし,それにより想定される津波が福島第一原発に及ぼす影響の有無や程度を調査,検討すべきで、あったということができる。」(判決135-136ページ)


3 国には結果を予見することが可能であり、津波対策を命じてこれを回避することもできた

 以下、判決は東電の津波対策を放棄してきた姿勢を時間を追って詳細に認定しつつ、結論として、次のようにこの部分の結論をまとめている。
 「経済産業大症としては,長期評価が公表された後のしかるべき時期に,一審被告東電に依頼するなどして,長期評価に示された見解に依拠して福島県沖で発生する可能性のある地震による津波の評価をしていれば,福島第一原発に敷地高(0. P. + 10m) を大きく超える波高の津波が到来する危険性があることを認識し得たということができる。そして,そのような津波が到来すれば, ドライサイトコンセプトを採っていた福島第一原発の敷地内に大量の浸水が生じ,全電源喪失などにより重大な事故が発生するおそれがあるのであるから,福島第一原発は省令62号に定める技術基準に適合していないこととなり,規制機関である経済産業大臣は,そのような判断に達し得る状況にあったといえる。(判決138ページ)」
 この判示も結論は正しいが、東電が「ドライコンセプトを取っていた」という認定は東電の主張ではあるが、実際の事実とは若干異なる。東電内では機器の水密化などの他の津波対策も検討されていたことは、本件で原告が提出した東電と日本原電の津波対策に関連する数多くの証拠によって裏付けられている。そして、この判決も結果回避措置としてとるべきであった措置として、防潮堤の設置やタービン建屋、重要機器室などの水密化を想定すべきだったとし、想定すべき対策が講じられていれば、津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかったと認めるのが相当であると判示しており、ドライコンセプトが徹底されていて、それ以外の対策が取れなかったとは判断していない(判決143ページ以下)
 そして、判決は、結論として次のように述べる。

「防潮堤等により福島第一原発の敷地内への津波の浸入を防ぐ措置に加え,タービン建屋の水密化及び重要機器室の水密化が,規制機関において,平成14年当時においても想定することができた措置であったと認められる。そして,平成20年推計の後に一審被告東電においてさまざまな対策を検討していることからみても,これらを組み合わせることによる効果を十分に検討し,具体的措置を実施すれば,平成20年推計による津波と同等の津波,すなわち福島第一原発の敷地南側にO.P.+15.7m程度の波高の津波が到来した場合においても,全電源喪失等の重大な事故を回避することは可能であったということができる。」


第5 結論

1 判決の画期的な意義

 以上に述べてきたとおり、千葉訴訟についてさる2月19日に東京高裁が言い渡した判決は、推本の長期評価に津波対策を基礎づける高い信頼性を認めたものです。そして、国が事故の結果を予見することができ、防潮堤の設置やタービン建屋・重要機器室の水密化の措置を講ずることにより、事故の結果を回避することができたことを明確に認定しています。
 推本の長期評価に基づいて、速やかに津波対策を講ずることなく、土木学会における検討に委ね、何らの対策も講じないで、原子炉の運転を続けていた東京電力とその役員である被告らの対応が許されないものであったことも、本判決によって明らかになったといえると思います。


2 事故の真実を明らかにすることが脱原発の闘いである

 まもなく福島原発事故から10年が経過しようとしています。脱原発をめぐる闘いの最前線は、全国での再稼働をめぐる闘いと事故の真実を明らかにし、どのように語り伝えるかをめぐる闘いの二つが主戦場となっています。福島原発事故に関してはたくさんの事柄が隠されてきました。東電と国による津波対策の方針転換に関する情報の多くは2011年夏には検察庁と政府事故調の手にあったはずです。しかし、これらの情報は徹底して隠匿されたのです。私たちの闘いは原子力ムラの情報隠蔽を打ち破ってきました。この隠蔽を打ち破ったのが、検察審査会の強制起訴の議決であり、株主代表訴訟における証拠の開示であり、東電刑事裁判における指定弁護士による果敢な立証活動であったといえます。
 政府事故調と検察が真実を隠ぺいしたことはあきらかです。これらの情報はなぜ隠されたのでしょうか。考えられる推測はただひとつです。
 原子力推進の国策を傷つけるような事実は、隠ぺいするしかないと、政府事故調と検察のトップは、どこかの時点で決断したのだろうと思います。このことは、福島原発事故そのものに匹敵するほどの、行政と司法と検察をゆるがせる「もう一つ」の福島原発事故真相隠ぺい事件が起きていたのです。その背後では官邸による検察庁に対する強力なコントロールがなされていたとみることができるでしょう。
 いま、刑事裁判で明らかになっていることは、検察が起訴できるだけの証拠を集めていたということです。にもかかわらず、なぜ検察は起訴できなかったのでしょうか。
 不起訴の決定後に東京地検と福島地検で、告訴人に対して異例の不起訴理由説明会が開催されました。私たち弁護団も同席しました。その場では激しい言い争いになりました。
 当時、私たちの告訴によって、これだけの証拠を検事が集めているとは、思っていませんでした。一線の捜査検事たちは、起訴し有罪に追い詰めることができるだけの証拠固めをしながら、不起訴とせざるを得なかったのでした。説明会で、「私たちはやれるだけのことをやったのです」と述べて、私たちの前で涙ぐんだ検事もいました。事故から10年、いま、彼らはどのようにこの事件のことを思い返しているでしょうか。あのとき検察内部で起きたことを知りたいと思います。


3 司法を通じて真実を語り伝える責任

 私は、東電役員の告訴、検察審査会、刑事公判のすべての過程に関わった弁護士として、明らかにすることのできた証拠と事実を、社会に広く知らせていく責任があると考えて、「東電刑事裁判 福島原発事故の責任は誰がとるのか」を書きました。
 いま、日本の司法は危機的な状況にあるといえます。しかし、仙台高裁では、昨年9月国と東電を断罪する判決が下されました。大阪地裁では、昨年12月規制委員会による原発の規制に誤りがあることが指摘され設置許可が取り消されました。そして、2月19日には、本稿で詳しく紹介した東京高裁で再び国と東電を断罪する判決が下されました。司法はまだ生きているのです。良心を失っていない裁判官は残っているのです。
 私たちは、東電刑事裁判の東京地裁の判決では敗れましたが、同じ証拠を駆使して仙台高裁上田コート、東京高裁白井コートは、東電と国の責任を認め、その対応を厳しく断罪する判決を下してくれたのです。大飯の設置許可取り消し判決を書いた森鍵裁判長も含めて、この3人の裁判官には重要な共通点があります。いずれも最高裁で仕事をしていた経歴を持っているという点です。


4 最高裁で国の責任を確定させ、国としての脱原発を確実に

 我々が刑事裁判の控訴審で勝利することができれば、株主代表訴訟で役員の゛帰任を認めさせることができれば、仙台高裁高裁判決と前橋避難者訴訟と千葉避難者訴訟の東京高裁判決の上告審の審理にも直結することになるでしょう。
 東電の役員の刑事責任を問う刑事裁判、東電の役員の民事責任を問う株主代表訴訟と全国で闘われている避難者損害賠償訴訟との緊密な連携が求められています。
 刑事裁判の証拠内容を最高裁にきちんと理解させることができれば、我々は、最高裁でも必ず勝利することができるはずです。
 そして、最高裁における我々の勝利は福島原発事故の真実を後世に語り伝え、脱原発の国民的な合意を形成することにつながることでしょう。千葉訴訟の東京高裁白井判決によって、私たちはそのための重要な足掛かりを得ることができたのです。
 最後にあらためて、逆転勝訴判決を勝ち取ってくださった千葉避難者訴訟の原告団と弁護団に心から感謝して、結びの言葉といたします。

Last modified on 2021-02-23 20:06:34
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●「税金逃れをする大企業リスト」 『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号)について

2015年03月29日 00時00分23秒 | Weblog


週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、雨宮処凛さん×浜矩子さん【怒れる女子会 大企業と“アホノミクス” 統一地方選・投票の決め手は傾ける耳、涙する目、差し伸べる手 〝アホノミクス〟と決別するために】。

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■①『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 「大手マスコミではもちろんタブー! 税金逃れをする大企業リスト」。半田滋さん【自民・公明、安保法制の方針に実質合意 「憲法骨抜き、戦争への道】、「いずれ自衛官の戦死に向き合い、防衛費は数兆円規模で膨れ上がって国民生活を圧迫することになる。政治家に、そして私たちにその覚悟があるだろうか」。「軍拡のドミノ倒し」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/8991637225bcdcb622de8dde9a1c7f9e

■②『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / まさのあつこさん【川内原発再稼働への工事計画、規制委が認可 〝安全対策〟後回しのズサンさ】、「緊急時施設の安全さえ確保できていない状況で今回、原子力規制委員会はゴーサインを出した」。原子力ムラに巣食う原子力「ムラ寄生」委員会「地元」に「原子力明るい未来のエネルギー」「原子力郷土の発展豊かな未来」をもたらすとでもいうのか?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/09618b83065db5d236a8afe8290ddf57


■③『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 小石勝朗氏【株主代表訴訟で東電の現・元取締役22人 政府事故調の調書開示「拒否」】、「原告・株主側は「事故原因の解明を妨げる態度だ」と反発」。「原発事故調書 原因不明、責任不在」でも再稼働できる神経を疑うhttp://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/7521390a00a4940d7cb37f3464e126c6


■④『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 【さらん日記 by さらん】、「大切にしてきた価値観は・・・八紘一宇」「名前の紘は八紘一宇から」「そして敗戦・・・歴史を繰り返したくないから 九条一途(いちず)」。メルケル独首相のニッポン右傾化への牽制発言は「三原議員の耳にはナ~ンも届いていなかった」http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/3af35a9f49ea90b8606bbe3fc7de0f15

■⑤『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 【村岡和博の政治時評/安全保障論議を密室でいかがわしき自公合意】、「「与党協議」という形式は反民主主義的だ・・リークでアドバルーンを上げたり、流れを作ったりすることが横行する」。「ネジレ」を取り戻そう! 統一地方選はそのステップhttp://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/0c5400378502a7f7cf7af32453ea146f

■⑥『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / まさのあつこさん【財政危機をめぐるマインド・コントロールにかかるな!】、「巧妙な社会保障削減のキャンペーン・・・財政の歪みは復興にも・・・財政の中身の健全化からは遠ざかっている。必要なのはムダの徹底削減と不公平税制からの脱却なのだ」。「格差是正のための税制を求め、豊かな層に多く課税すべき」http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/91a5ea44467bdafcd0358f74790ce0b4

■⑦『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 雨宮処凛さん×浜矩子さん【怒れる女子会 大企業と“アホノミクス” 統一地方選・投票の決め手は傾ける耳、涙する目、差し伸べる手 〝アホノミクス〟と決別するために】、「〝底上げ〟どころか底を抜く政策・・・政治家が「底」ということ自体、不遜です・・・企業統治の強化は儲けるため」。自公議員には「目」も「耳」もなく、あるのはウソをつく「口」だけhttp://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/f6ce4efa293d5657b311c481e9397c1a

■⑧『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 浅野健一さん【少年匿名原則を成人に拡大せよ 川崎中一死亡事件】、「宇都宮健児弁護士は、少年法の精神は《社会復帰することを前提に考えている。しかし、その際、実名や顔写真が出回っていた場合、更生の障害になる可能性が高い・・・》・・・。20歳を過ぎた成人にも将来があり、当てはまると思う」。匿名報道http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/347b9c668026050744aeca668118f26a

■⑨『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 田岡俊次氏【理解されていない「後方支援の軍事的意味 戦死者が不可避の安保法制】、「「活動中断」は裏切り」。神浦元彰さん曰く「後方支援がなければ前線の戦闘は成り立ちません。後方支援は紛れもない武力行使」http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1f31cde31d29081356f997b48a144395

■⑩『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 矢崎泰久さん【発言2015】、「国会周辺の「安倍ノー」のデモには一万数千人が参加した。そして全国各地で「戦争への道」を急ぐ安倍政権を打倒しようという動きが高まっている。琉球処分以来、沖縄はずっと差別を受けている歴史認識のない安倍に未来はない」。トリガー: 戦争への「きな臭い戦後70年」http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e70cdcfeb18daef84740725c4ed3b65b


■⑪『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 石坂啓さん【初めて老いった!?第122回/死の近くに寄り添う】、「つんのめって大あわての人たちにはぜひ一度、一人の死、一匹の死の近くに寄り添ってみてほしい。倍速で飛んでいく光景が、死に急ぐ光景に見えないか。それはオロカで、たぶん正しくない生き方だと思う」。「死に急がされる」子供や若者(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/c5aecf5f3f80e3bdca64d1b8b6603ed0


■⑫『週刊金曜日』(2015年3月27日、1033号) / 裏表紙は『金曜日』の新刊書籍【ワイセツって何ですか? 「自称芸術家」と呼ばれた私/ろくでなし子】、「どうして・・・で二度も逮捕されなくちゃいけないの!?・・・4月8日発売予定」。「「嫌がらせ」「見せしめ」逮捕」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/85e215279d3166f6f585d1cae6b7fee6
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●「「3.11」から2年 封じ込められる福島」『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号)

2013年03月03日 00時00分26秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge

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■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 今到着。【「「3.11」から2年 封じ込められる福島」】。半田滋氏【ダッカ事件、拉致問題など引き合いに事実を歪曲 安倍首相の憲法認識は誤りだ】。村上恭介氏【極右在特会」の「被害届」に便乗して市民団体を強制捜査 大阪の公安が相次ぎ運動弾圧】

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 小石勝朗氏【株主代表訴訟で原発を「国策」と主張 いまだに責任回避する東電】。永井迅氏【谷垣法相による3人の死刑執行 「内政問題」ではない】。浦島悦子氏【辺野古違法アセス確認訴訟 環境への〝死の判決〟】

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 佐高信さん【風速計/「連合さん、ありがとう」】、「宇都宮健児を応援せず、〝自主投票〟という名の無責任な形で、結果的に猪瀬直樹勝たせてしまった。猪瀬にすれば、連合さまさま、だろう」「連合が宇都宮を支持しなかった理由・・・もう一つは、脱原発である

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 高嶋伸欣氏【レーダー照射事件の原因は安倍首相の挑発だった!? 中国軍部を怒らせた安倍「ダイヤモンド安保」】。まさのあつこ氏【13.1兆円の気になる財源と使い途 参議院選挙対策と化した補正予算】

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 森住卓さん【甲状腺がん、通常の250倍の発生率 内部被ばくを気にかける日常】。山下祐介氏【不理解がもたらす暴力性 沈黙させられる原発避難者】、「・・・「帰還政策が着々と・・・だが、当事者である避難者たちの声は聞こえてこず、・・・ 

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / ・・・この避難という状況を断ち切ろうとする動きさえ見え始めている」「まだ帰れない場所へ」「国民が加害者になる可能性」。除本理史氏【訴訟に立ちあがる原発事故被害者たち 加害者主導の賠償は変わるか】、「ふるさとを取り戻したい

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 前屋毅氏【高い放射線量から目をそむける教育現場 福島を去る教員たちの苦悩】、「本当のことが言えない」、「・・・砂遊びをしている子供・・・付近の放射線量は毎時0.46マイクロシーベルト・・・」、これは年間4ミリシーベルト、子供にとって安全と言えるのだろうか・・・

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / “本箱”、北村肇氏【佐高信著『自分を売る男、猪瀬直樹』、七つ森書館】、「400万票知事とは何度か話をしたことがある。印象は「いつでもどこでも上から目線」。佐高節にここまでぶった切られ、さてどんな逆襲」

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 【会田誠展 森美術館問題を考える】、前田朗さんのシンポでひと悶着あり、週金にも関連(CMLの記事:http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-February/022437.html)。宮本有紀【人権侵害の表現を「芸術とするのか」】、渋井哲也氏【解釈や鑑賞のける感受性は多様だ】

■『週刊金曜日』(2013年3月3月1日、933号) / 山口正紀さん【警察に「操作」された逮捕前取材 PC遠隔操作事件】。岩本太郎氏【アワプラに寄付増加。変わったか、市民とメディアの関係性】、「OurPlanet-TV・・・マスメディアが報じない様々な話題に果敢に取り組むNPOインターネット放送局・・・」
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●何かの悪い冗談か?

2012年01月22日 00時00分01秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011601002296.html)。

 最初に、記事のタイトルを見て、何を言っているのか理解できませんでした。何かの悪い冗談かと思いました。どうやら、本気らしい。呆れる。
 震災で壊れたのではない。原発は人災で壊れたのである。電力会社、原子力ムラの住人の責任だ。何の罪も無い市民、特に子供を被爆させておいて、どの口がこんな事を言えるのか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011601002296.html

原発事故全取締役に責任なし」 株主に東電が通知
2012116 2143

 東京電力の福島第1原発事故をめぐって歴代役員に損害賠償を求めて提訴するよう請求していた株主に対し、同社監査役が16日までに不提訴理由通知書を送付した。「津波対策や、発生から事態収束に向けた対応について、全ての取締役に責任は認められない」としている。

 株主側代理人の河合弘之弁護士が記者会見し明らかにした。内容を検討し、歴代役員に計約5兆5千億円を会社に賠償するよう求める株主代表訴訟を今月末にも東京地裁に起こす準備を進める。

 河合弁護士は「通知書には東電への批判的観点が全くなく、監査役は本来の役割を果たしていない。怒りを禁じ得ない」と話した。

(共同)

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●この期に及んでも、電力会社のいい加減な株主総会

2011年07月10日 00時41分18秒 | Weblog


gendai.netに出ていた記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/131246)。

 訳のわからない〝総選挙〟を熱狂的に報道するマスコミにうんざりしたけれども・・・、つながりがある訳ではないですけれども、電力会社の株主総会にもうんざり。かつての松下竜一さんや梶原さん達が味わってきた電力会社の株主総会のイイカンゲンさが、このFUKUSIMA後の危機的な状況下でも、さらに増幅されていることに唖然とさせられる。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/131246

出席した株主たちの怨嗟の声 「脱原発」否決に使った姑息な手段
                                    【政治・経済】
                                        2011年6月29日 掲載

東電ロングラン怒号総会

原発事故の責任をめぐり、怒号や罵声が飛び交う大荒れムードとなった東電の株主総会。来場した株主は9309人。6時間を超えるロングラン総会は、結局、会社側の提案がすべて可決されるドッチラケに終わった。そりゃそうだ。東電のやり方があまりに姑息で、デタラメだったからだ

 注目されていた「原発撤退」を求める株主提案の採決について、ほとんどのメディアは「反対多数により否決された」、反対票は89%としか報じていない。だが、実態は違う。株主の挙手で賛否をはかったところ、撤退賛成に手を挙げた方が多かったくらいなのだ。議長を務めた勝俣恒久会長も、「えーっと」と困惑していた。それなのに、なぜ否決されたのかというと、東電側が「大株主の委任状」で強行突破したからだ。

   「本日の総会では事前に2人の株主から委任状をもらっている。
    その議決権の数は、会場に出席の株主の議決権の過半数を大きく
    上回っている。委任状を行使する代理人の挙手により可決、
    否決が決する」(勝俣会長)


 だったら、最初から採決の意味なんてなかったのだが、とにかくこの総会、こんなデタラメのオンパレードだった。

 出席していた男性株主は怒りが収まらない。

   「今回は株主が多かったため、メーン会場のほかに、
    モニターで様子が見られる別室が第5会場まで用意されました。
    それでも、廊下には株主があふれかえったが、あらゆる議案や
    動議の採決はメーン会場にいる株主の挙手だけで決まり、
    別室の株主の声はまったく反映されないのです。それより何より、
    メーン会場の前方に座っていた人たちは、どう見ても東電関係者と
    思われる株主ばかり。彼らが勝俣会長の議事進行に拍手喝采したり
    大勢で挙手をするから、別室のモニターで見ている株主たちには、
    会場全体が会社側に賛同しているように見えました。
    ほとんどインチキですよ」

 別の男性株主からは、「イの一番に会場入りしたのに、前方の席はすでに何者かの荷物が置かれ、座れなかった」との声も上がっている。
 納得のいかない株主からは、「会場の挙手ではなく、来場した株主全員の正確な票数を数えるべきだ」と緊急動議も出された。ところが、勝俣会長は「では、その動議につきまして、挙手で賛否をはかりたいと思います」とトボケ、反対多数で否決する強行ぶり
 揚げ句が、大株主の議決権を持ち出しての強行採決なのである。

株主代表訴訟は必死の情勢
 東電はこれで逃げ切れたと思ったら大間違いだ。総会のクライマックスで声を上げたのは、株主として参加していた弁護士の紀藤正樹氏だった。経営陣に対し、こう指摘したのである。

   「もし(原発撤退の株主提案を)可決するなら、将来の原発事故に
    対する責任はなくなるかもしれない。しかし、もし否決するなら、
    過去も将来も経営責任を取らなければならなくなるということ
    あなた方の資産で賠償してもらわないといけませんよ。何しろ、
    たった1回の原発事故で東電は破綻じゃないですか。
    そのくらいの覚悟をもってやらなければ、被災者は報われない
    この審議は将来、取締役責任と監査役責任を取る際の材料になる
    ということです」


 事故前に2000円を超えていた東電株は、一時148円まで下落した。この先、本当の紙クズになる可能性も高い。

 ある女性株主は「親からもらった東電株が7分の1の値段になり、うっぷんを晴らすために行ったのに、逆にうっぷんがたまった」と憤った。こんな株主はゾロゾロいるのだ。こうなると、経営陣への株主代表訴訟が起こされるのは必至。全財産を失い、ケツの毛まで引っこ抜かれる覚悟をしておいた方がいい。
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●後の祭り、あるいは、喉元過ぎれば

2011年04月28日 00時06分42秒 | Weblog


THE JOURNALの記事のコピペ(
http://www.the-journal.jp/contents/takano/2011/04/post_204.html)。高野孟氏。

 

喉もと過ぎればですぐに忘れてしまわないか? 例え想定外でも、地震や津波によって次に一つでもレべル7規模の事故が起きれば、あとの祭りではないのか? このまま原子力発電所・関連施設を我が国で運転し続けて本当に良いのか? 

 

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http://www.the-journal.jp/contents/takano/2011/04/post_204.html

 

高野尖報:「安全神話」に溺れた東京電力  佐藤優が自分のブログで言うように、「批判はあとからでも出来る」「東京電力の専門家が、専門的知見と職業的良心に基づいて活動できる環境をどうすればつくることができるかを考えることが不可欠だ」と言うのは、確かに1つの見識ではある。しかし、福島第一原発の事故勃発以来、20日余りの間に明らかにいなったことは、自ら創り出した「安全神話」に長きにわたり胡座をかいてきたこの企業が、初歩的な危機対応も出来ずにおろおろしている無様な姿であり、専門家と称する彼らに任せておいても、今後、事態沈静化だけでも数カ月、廃炉までには数十年はかかる安全確保のプロセスは完遂できる保証はないという冷厳な現実である。これまでの検証を通じて、政府と国民はこれからこの企業をどう扱うか、議論をし始めなければならない時が来ている。

 毎日新聞4月4日付は、1面左肩と1011面の2ページを費やして、震災検証取材班による「検証・大震災」の初回として、原発事故発生から2日間の政府と東電の動きを追った。またAERA4月11日号の「東電『原子力村』の大罪」も、東電側の対応ぶりを追っている。官邸はじめ政府のどの部署も東電も、みなドタバタなのは仕方がないとして、両記事を通じて改めて浮き彫りになるのが東電の余りの行き当たりばったりぶりである。

《電源車調達》
 11日、電源喪失で炉心溶融の危険が予想される中、東電は「冷却作戦」のための電源車を東電及び東北電力管内からようやく6台、掻き集めて現地に向かわせるが、陸路の輸送は困難を極め、ようやく東北電力が提供した2台が国の現地拠点「福島オフサイトセンター」に到着したのが午後9時。バッテリーも切れて無電源に陥るタイムリミットまで2〜3時間しかない。ところがそこで分かったことは、電源の繋ぎ口が津波に使っていて接続できず、しかも、仮に接続できる状態であったとしても、毎日によると「高電圧の電源車を繋ぐための低電圧用のケーブルが用意されていなかった」ので、またAERAによると「ケーブルが短くて使えず、プラグも合わなくて、本社に「500メートルのケーブルが必要だ」と連絡が届いた。「そんな長いものは社内を探してもみつからない」。12日の午前0時を過ぎても幸いなことにバッテリーはまだ動いていて、危なかった2号機の水位も何とか安定を回復していた。その頃ようやく低圧ケーブルは調達できたものの「関東から空輸を準備中」という段階。そうこうするうちに、午前2時半、今度は1号機の格納容器内の圧力が上昇しはじめ、その3時間後には外部に大量の放射線物質が漏出した......

《ベント》
 このことだけを見ても、東電が非常用電源の喪失という事態をまったく想定しておらず、その場限りの対応に終始した様が見て取れる。ベントと呼ばれる弁を開けて格納容器内の水蒸気を外に逃す作業を始めるかどうかをめぐっても、毎日によれば11日午後10時の段階で早くも保安院は「必要」と判断したものの東電はその判断を採らず、午後11時過ぎの官邸の会議で首相はじめ斑目春樹=原子力安全委員長や保安院幹部らが「早くベントをやるべきだ」との意見で一致、12日午前1時半には海江田万里経産相を通じて東電に指示したが、午前2時20分の保安院の会見で中村審議官は「最終的にベントすると判断したわけではない。過去にベントの経験はない。一義的には事業者の判断だ」と、国が命令するものではないとの考えを示した。それを受けて午前3時過ぎに開かれた東電の会見では小森常務がようやく「国、保安院の判断を仰ぎ、ベント実施の判断で進めるべしというような国の意見もありまして」と、国が言うならやらないでもないがというような他人事の言い方をした。結局、1号機でベントが開始されたのは12日午前1017分だったが、時すでに遅く、5時間後に1号機で水素爆発が起きた。もちろん「ベントとは毒ガスの放出」(東芝の元格納容器設計者=後藤政志AERA)であり、ためらうのは当然だが、それにしても「国が責任をとってくれるならやってもいい」という東電の態度がありありである。

《海水注入》
 海水注入でも同様で、12日の午後6時には菅首相が真水の注入を諦め海水を使うよう指示したが、東電が「炉が使えなくなる」と激しく抵抗した。AERAによると廃炉を前提とした海水注入は「株主代表訴訟を起こされるリスクがあるので、民間企業としては決断できない。政府の命令という形にしてくれないと動けない」(東電元幹部)というのが東電のホンネだと言う。数万人、ことによっては数十万人の命がかかっているというのに、それと、株主訴訟で自社が損失を被るのとを天秤にかけているのがこの会社である。

  東電が「『安全神話』が崩れていく現実を直視できず、初動の対応を誤った」(毎日)が、惨事の致命的な原因であったことは疑いをいれない。と同時に、官邸が「政治主導にこだわりながら東電や保安院との緊密な連携を図れず、結束して危機に立ち向かえなかった」(同)のも事実である。しかしそれを首相側から見ると「東電も保安院も原子力安全委も(深刻な事態から目を背けようと)ぐるになっていたとしか思えない」(同、首相周辺)と映っている。官邸の危機管理態勢、原子力行政の仕組み、それらと電力会社とのトライアングルをどう再構築するか、もっと突っ込んだ検証が必要である。

 


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●私企業化: 民営化という幻想

2010年04月05日 05時07分10秒 | Weblog

 自民党小泉純一郎元首相や竹中平蔵氏らが人々を市場原理主義新自由主義で騙くらかした郵政民営化私企業化。それに群がるオリックス宮内氏ら。gendai.netの記事を以下に。

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【http://gendai.net/articles/view/
                         syakai/
122551】

中間報告でデタラメ明らかに 西川前日本郵政社長の横暴、厚顔
                【政治・経済】 2010年04月02日 掲載

 
「企業統治上、非常に問題があった」――日本郵政の旧経営陣の企業統治(ガバナンス)を調査する「日本郵政ガバナンス検証委員会」(委員長・郷原信郎弁護士)の中間報告で、西川善文・前社長(71)らのデタラメ経営が次々と明らかになった。すでに民主党や国民新党、社民党の国会議員から、特別背任未遂などの容疑で告発されている西川前社長。包囲網は狭まったのか。
 先月31日にまとまった中間報告で、何と言っても驚くのは、西川前社長の横暴ぶりだ。
 例えば、昨年12月に855億円もの損失を抱えて解散が決まった郵便事業会社と日本通運による「JPエクスプレス事案」。西川前社長は、統合後の赤字予想に難色を示す反対派を押し切って契約を締結。4年度目に黒字化するという架空の目標を立てさせたのだ。
 「かんぽの宿」の一括売却でも、不動産市況の低迷を理由に処分の中止・延期を提言したアドバイザーの「メリルリンチ日本証券」を完全無視。物件のマトモな鑑定評価さえしないで売り払った
 「『チーム西川』と呼ばれた三井住友銀行出向組もやりたい放題だった。年間400億円ともいわれる広告をめぐり、日本郵政が代理店契約を結んだ博報堂から、選定に当たった三井住友出身の幹部が飲食接待を受けていたのです。日本郵政民営化が決まっていたとはいえ、当時の社員はみなし公務員。通常なら、癒着や汚職が疑われかねない。利益相反行為も散見され、上場企業なら株主代表訴訟モノです」(総務省担当記者)。
 西川前社長は、検証委の説明要請も徹底して無視する厚顔ぶり郷原委員長はこう憤る。
 「官業を民業に移行するには大きなパワーがいる。日本郵政の今後の経営や在り方を良い方向に持っていくためにも西川前社長に話を聞きたかったが、ヒアリングには一切応じていただけなかった
 日本郵政に詳しい経済ジャーナリストの町田徹氏も言う。
「現時点では、明確な法令違反などが見つからない限り、旧経営陣の刑事責任を問うのは難しいでしょう。ただ、西川体制の幹部社員が多く残っている難しい調査の中で、これだけ西川前社長の責任を追及する中間報告が出てきたのは驚きです」
 こんなトップを守ってきた自民党政権はホントにロクでもない
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