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●《史上最大の公害事件》…最「低」裁は《仮定に仮定を重ねて…国の責任を否定した。被害者が何を裁判に求めていたかに…向き合わず…》

2022年06月30日 00時00分29秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


(20220626[])
添田孝史記者による、AERAの記事【原発避難者訴訟で最高裁が初判断「国の責任認めず」 争点は「津波の予見」できたのか】(https://dot.asahi.com/aera/2022062100013.html)。

 《「肩透かし判決だ」 判決言い渡し後、「『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発訴訟(生業訴訟)」の弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士は、最高裁の正門前に姿を見せ、判決文を振りかざして怒った。高裁判決では判断が割れていた津波の予見可能性や、それに国が適切に対応していたかについて、最高裁が判断を示すと期待していた。ところが津波のリスクを国の規制権限でどう扱うべきだったか、十分検討せずに、国の責任を認めない結論を導いていたからだ。「もし対策を取っていたら防潮堤を造ったことだろう、それでは事故は防げなかっただろうと、仮定に仮定を重ねて、最高裁は国の責任を否定した被害者が何を裁判に求めていたかに最高裁は向き合わず、考え方を示すことを回避した。大変悔しい」》

 馬奈木厳太郎弁護士の言葉に尽きる。






[※ ↑ 朝日新聞 (2022年06月18日[土])]

 苦しむ市民を救わない司法、最「低」である。最大の戦犯・アベ様に気を遣う最「低」裁。

   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(1/2)
   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(2/2)
   『●やはり最「低」裁(第2小法廷・菅野博之裁判長)でした、というオチ
     …《原発事故で国の責任認めない判決 避難者訴訟で最高裁が初判断》
   『●「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」
     ので国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁?


 最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。その核発電所に「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

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https://dot.asahi.com/aera/2022062100013.html

原発避難者訴訟で最高裁が初判断「国の責任認めず」 争点は「津波の予見」できたのか
2022/06/22 18:00
添田孝史

     (東京電力福島第一原子力発電所の様子。左から4号機、
      3号機、2号機、1号機/2012年9月、朝日新聞社ヘリから)

 2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故から11年。各地に避難した人らが国と東電に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で最高裁第二小法廷が17日、判決を言い渡した。AERA 2022年6月27日号の記事から紹介する。

原発事故、訴訟をめぐる主な出来事はこちら

*  *  *

「肩透かし判決だ」

 判決言い渡し後、「『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発訴訟(生業訴訟)」の弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士は、最高裁の正門前に姿を見せ、判決文を振りかざして怒った。

 高裁判決では判断が割れていた津波の予見可能性や、それに国が適切に対応していたかについて、最高裁が判断を示すと期待していた。ところが津波のリスクを国の規制権限でどう扱うべきだったか、十分検討せずに、国の責任を認めない結論を導いていたからだ。「もし対策を取っていたら防潮堤を造ったことだろう、それでは事故は防げなかっただろうと、仮定に仮定を重ねて、最高裁は国の責任を否定した被害者が何を裁判に求めていたかに最高裁は向き合わず、考え方を示すことを回避した。大変悔しい」

 群馬訴訟の原告の一人、丹治杉江さんは「最高裁がきっと、原因と責任を明らかにしてくれる。一歩だけでも前進すると信じていました。こんな判決が出るとは思っていませんでした。どうしたらいいんだろうと呆然としています」と話した。


■史上最大の公害事件

 現在でも、福島第一原発の周辺には放射線量が高くて人が住めない「帰還困難区域」が335平方キロ(東京23区の約半分)もある。廃炉、除染、賠償など事故の後始末には約22兆円かかると推計されている。これは原発事故関連を除いた東日本大震災の被害約17兆円を超えており、今後さらに増えそうだ。最大16万人以上が避難を強いられ、今も多くの人が元の生活に戻れない。遠方へ複数回、長期間の避難を強いられた心労が、福島県だけで2300人を超える震災関連死の主因となった。

 この史上最大ともいえる公害事件を、誰が引き起こしたのか防げなかったのか

 それを追及するため、大きくわけて3種類の訴訟が起こされている。当時の東電幹部を業務上過失致死傷罪で強制起訴した刑事裁判(1審無罪)。東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう株主が求めた株主代表訴訟。そして17日に最高裁で判決があったのは、住民らが国や東電に損害賠償や原状回復を求めた訴訟(集団訴訟)だ。

 集団訴訟は、住民らの避難先などに分かれ全国で約30件あり、そのうち4件(生業<福島>、千葉、群馬、愛媛)について、この日最高裁で判決があった。提訴から9年以上かかっている。

 高裁段階での争点は、福島第一に大津波が襲来することを予見できたかどうかだった。

 国の地震調査研究推進本部が2002年7月に発表した「長期評価」は、古文書には記録は無いが、福島沖でもマグニチュード8.2程度の大津波を起こす地震(津波地震)が発生しうると、地震学研究の成果をもとに予測していた。これにもとづくと福島第一の津波高さは15.7メートルになり、敷地高さ(10メートル)を越える


■津波の予見が争点

 一方、東電など電力業界は、事故が起きるまで土木学会の「津波評価技術」と呼ばれる津波予測の方法を使っていた。これは、東北地方太平洋側では、古文書に確実に残っている地震しか想定していない。「津波評価技術」にもとづいて、福島第一原発地点の津波高さは5.7メートルになる東電は想定していた。

 「長期評価」は、法律にもとづいた、国による公式な地震の予測だ。一方「津波評価技術」は、電力会社が費用を全額負担して土木学会に委託し、電力社員が中心になって取りまとめた何の法的裏付けもない予測である。しかし国は、自らが予測した「長期評価」より、「津波評価技術」の方が信頼できるとし、「だから高い津波は予見できなかった」と主張しつづけてきた

 「長期評価」と「津波評価技術」、どちらが信頼できるか、4高裁で評価はわかれた。仙台高裁(生業訴訟)は、「長期評価」を「津波評価技術」より重んじた。東京高裁(千葉控訴審)や高松高裁(愛媛控訴審)は、両者を同等に扱った。この3高裁は、津波は予見できたとして、国の責任を認めていた


■求められた厳密な立証

 東京高裁(群馬控訴審)は「長期評価の知見には、種々の異論や信頼性に疑義を生じさせる事情が存在していた」、一方で津波評価技術」について「確立しており実用として使用するのに疑点のないもの」と判断し、国の責任を認めなかった

 最高裁判決は、おそらく東京高裁(千葉控訴審)と同じように、「長期評価」と「津波評価技術」を同等に扱い、国の責任を認めるのではないか、と予想されていた。ところが、最高裁判決は、長期評価の信頼性については詳細な判断を示さず、それに備えた対策をしていたとしても事故は防げなかったとした。

 事故が回避できたかどうかについて、国は「3.11の津波は、長期評価が予測する津波より大きかった。だから長期評価の津波に備えていたとしても、事故は防げなかった」と主張していた。これを認めた形だ

 東京高裁(千葉控訴審)は、想定にある程度の余裕を持たせた対策をするのが一般的なので、「長期評価」に備えて防潮堤の建設や建屋の水密化などをしておけば、3.11の津波でも影響は相当程度軽減され、「本件事故のような全電源喪失の事態に至るまでのことはなかった蓋然性が高い」とし、国の責任を認めていた

 また事故が防げたか厳密に検討するためには、原発の詳細な資料が必要で、それは東電や国が持っているから、原告住民側が細部まで厳密に主張、立証することは難しい。そのため原告側が、一定程度の結果回避措置を立証すれば、それを東電や国が相当の根拠、資料で否定できない限り、事故は防げたと類推されるという考え方を仙台高裁は採用していた。

 しかし最高裁は、東京高裁や仙台高裁の考え方を退け、現実の津波は長期評価を基に予測した津波よりはるかに大きかったので、大量の海水が主要建屋に浸入し、実際に起きた事故と同じような事故に至っていた「可能性が相当にある」と判断し、国の責任はないとした。


■残る未解明な点

 最高裁で国の責任は認められなかったが、集団訴訟は2002年7月に発表された「長期評価」に国がどう対応したか、を主に争っており、それ以外の時期の国の動きや、東電とのやりとりについては、細かく調べているわけではない。

 来月13日には、株主代表訴訟の判決がある。株代訴訟では、もっと遅い時期に焦点があてられている。2008年7月に東電幹部が津波対策を先送りした経緯や、同じころに約1100年前に起きた貞観津波にどう対処したかなど、集団訴訟では大きな争点とならなかった問題も調べられている。

 裁判長らは昨年10月、裁判官として初めて福島第一原発の敷地内を視察するなどして結果回避の方法についても精査しており、東電元幹部ら個人の責任がどう判断されるか、判決が注目されている。

 また来年1月18日には、刑事裁判の控訴審判決も東京高裁であるが、ここも2008年以降の動きが中心になっている。

 国の意思決定過程でも、未解明なことは多い。たとえば2009年から10年にかけて、原子力安全・保安院長まで1100年前の津波が福島第一の敷地の高さを越えていたという最新の研究成果が知らされていた。ところがそれは事故まで放置されていた。検討すれば「(経産省の)資源エネルギー庁等から非難される可能性がありました」と当時の保安院審議官は東京地検に供述している。経産省は、実際に保安院に何か圧力をかけたのか、保安院が忖度しただけなのか、わかっていない。

 地震の揺れで損傷は無かったのか、津波後の対処をうまくやれば被害を少なくできたのではないか、などの点も徹底した解明が必要だろう。最高裁判決で終わり、にしてはいけない。(ジャーナリスト・添田孝史)

※AERA 2022年6月27日号
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●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり…政策に大きな影響》(1/2)

2022年06月17日 00時00分50秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年06月16日[木])
[その2へ]

原発さえなければと思います」―――《原状回復》なき《原発回帰》は許されない。
 長周新聞の記事【なぜ電力不足が起きているのか? 「儲からぬ」と火力を休廃止 再エネに必須なバックアップ電源なし】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/23747)によると、《政府は7日、電力不足に備えた対策を協議するための関係閣僚会議を開いた。電力需給のひっ迫は東日本大震災直後に深刻さが指摘され「計画停電」などがおこなわれたが、その後全国の原発がすべて停止するなかでも電力不足や停電は起こらなかった。それが今ここにきて政府が「深刻な電力不足」を騒ぎ、家庭や企業での節電を呼びかける方針を出すなど慌てている。本当に電力は不足しているのか、それはどこからきているのかについて見てみた》《電力の安定供給はどこへ?》《電力自由化後の変化》《「脱炭素」がもたらす弊害》《原発の再稼働促す狙いも》。

 そして、最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれです。
     「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
      「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
      切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
      国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる
   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●《「国に法的責任はある」−原発事故で千葉県に避難した人々が起こした
        訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》
   『●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京
      高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》


 東電や自公政府、《火事場ドロボー》の皆さんは、さっさと「原状回復」して見せてくれよ。


[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)]


 さて、生業訴訟…「生業を返せ、地域を返せ!」がようやく最「低」裁に。
 東京新聞【福島第一原発事故、国の責任は 17日に最高裁が初判断 原発避難4訴訟の争点とは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/183386)によると、《東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決が17日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)で言い渡される。原発事故の国の責任について最高裁が判断を示すのは初めてとなる。判決次第で国と東電を相手取った同種訴訟をはじめ、避難者への賠償の見直し議論や今後の原発政策など広範に影響が及ぶ可能性がある。(小沢慧一)…福島訴訟弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「現在、賠償金は東電しか払っていない。国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり、除染や汚染水の海洋放出問題など、原発事故に関わる多くの政策に大きな影響を与える」と意義を強調する》。



[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]

 そして、東京新聞のシリーズ記事【「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」①福島】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/182747)。《原告団長として被害を訴え続けることで周囲から非難されるだろうと覚悟していた。「歩く風評被害」と近隣住民から言われた時はこたえた。だが、東電と国に原発事故の責任を認めて謝罪させ、原告以外の被害者も救済するという気持ちは揺るがなかった》。
 【「悔しいから、くじけなかった」 原発事故被災者群馬訴訟の原告・丹治杉江さん/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」②群馬】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/182959)。《◆事故を防ぐ機会は「何度も何度もあったのに」 10日午後6時前、JR前橋駅前で、丹治杉江さん(65)はマイクを握っていた。「事故の原因をはっきりさせ、2度と同じように涙を流す人を見たくない」 2012年11月から毎週金曜に始めた脱原発を呼び掛ける活動は、483回目。次回17日には駅前に立たない。その日、自身の裁判で最後の判決が最高裁で言い渡される》。
 【「ふるさと奪われ、なんでこんな仕打ちを…」 原発事故被災者千葉訴訟の原告・南原聖寿さん/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」③千葉】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/183201)。《「国と東電にふるさとを奪われ、何でこんなに苦しい仕打ちを受けないといけないのか」。原告団に加わった時から、その思いは変わらない。裁判を通じて「国は東電に責任をなすりつけ、東電は安全対策よりも経営のことしか考えていない」と痛感した。5年ぐらいで終わると思っていた裁判は、想像以上に長期化した。「責任の有無はすぐに分かるはず。どうしてここまで引き延ばすのか不思議でならない」と嘆く。南原さんはかつて、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが発生する火力発電よりも、原発は環境に優しいと前向きにとらえていた。だが、放射能で汚染した土の保管や長期化する廃炉作業を目の当たりにし、考え方は完全に変わった。「国の管理監督責任をもっと拡大することが将来のためになる。最高裁は忖度せずに判断を下してほしい」》。
 【「若者が希望持てる判決を」 原発事故被災者愛媛訴訟の原告・渡部寛志さん/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」④愛媛】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/183388)。《15年1月、松山地裁での第1回口頭弁論で、国の冷酷な態度を見せつけられた。避難生活の苦しさを法廷で意見陳述しようとしたところ、国の代理人は「(裁判の)証拠にならないから不要だと、耳を傾けようとしなかった。その後も延々と科学的な論争が続き、傍聴席で疑問に思った。「この裁判に、避難者の居場所はあるのだろうか」》。

   『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」 
            …では、何が原因なのか?、を説明して下さい!
   『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で 
     放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
    《とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる
     疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、
     とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を
     改めようと思う》

   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ご
     せる未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●子ども甲状腺がん裁判《東電側…弁護団…「原告らは…甲状腺の健康
     リスクの上昇には関わりがない」などと因果関係を否定》…血も涙も無し

 一方、米山隆一さんのツイート(https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1535472059093876736)で知りました…《福島甲状腺検査の立役者星北斗氏を擁立した自民党》。こんなデタラメが許されるのですか? 「ふくしまの”命”を守る。」(https://hoshi-hokuto.jp/)って、何かの冗談か?

   『●3.11から11年で、この有様…《配管は…事故直後…炉内の汚染蒸気を
     放出する排気(ベント)で使われた。11年が過ぎても、人が近づけない》

 さらに、この有様でも《原発回帰》したい? まず、《原発回帰》してから言いなさい。
 【器具がまた食い込み動かず 汚染配管2本目の切断を中断 東電福島第一原発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/182880)によると、《東京電力は10日、福島第一原発(福島県大熊町双葉町)の1、2号機間にある高濃度の放射性物質で汚染された配管の撤去作業を18日ぶりに再開し、2本目の配管の切断を始めたが、トラブルで中断した。チェーン状の切断器具が配管に食い込み、動かなくなった。3月にも同じトラブルがあり、食い込み防止策を準備していたが、うまくいかなかった。工法の見直しを迫られる》《3月末にあった同様のトラブルも、配管の片側9割を切った際に起きた。食い込み防止策を検討して2カ月後に作業を再開した際、配管が自然に切れてしまっていたため、用意した対策を現場で試せなかった。配管は計135メートル。2011年3月の事故当初、原子炉格納容器の破裂を防ぐため、炉内にたまった高濃度の放射性物質を含む蒸気を外部に放出するベント(排気)に使われた。今後の工事の支障になるため、26分割して取り除く。2月末に始まった作業はトラブルが続き、1本目(長さ約12メートル)の切断は5月23日に成功。この配管の切断面では、毎時3シーベルトと人が数時間浴びれば死亡する高線量が検出され、作業手順を見直していた。(小野沢健太)》。

[その2へ]

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●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり…政策に大きな影響》(2/2)

2022年06月17日 00時00分01秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年06月16日[木])
[その1へ]

…さて、生業訴訟…「生業を返せ、地域を返せ!」がようやく最「低」裁に。
 東京新聞【福島第一原発事故、国の責任は 17日に最高裁が初判断 原発避難4訴訟の争点とは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/183386)によると、《東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決が17日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)で言い渡される。原発事故の国の責任について最高裁が判断を示すのは初めてとなる。判決次第で国と東電を相手取った同種訴訟をはじめ、避難者への賠償の見直し議論や今後の原発政策など広範に影響が及ぶ可能性がある。(小沢慧一)…福島訴訟弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「現在、賠償金は東電しか払っていない。国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり、除染や汚染水の海洋放出問題など、原発事故に関わる多くの政策に大きな影響を与える」と意義を強調する》。



[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]

 そして、東京新聞のシリーズ記事【「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」①福島】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/182747)。《原告団長として被害を訴え続けることで周囲から非難されるだろうと覚悟していた。「歩く風評被害」と近隣住民から言われた時はこたえた。だが、東電と国に原発事故の責任を認めて謝罪させ、原告以外の被害者も救済するという気持ちは揺るがなかった》。
 【「悔しいから、くじけなかった」 原発事故被災者群馬訴訟の原告・丹治杉江さん/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」②群馬】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/182959)。《◆事故を防ぐ機会は「何度も何度もあったのに」 10日午後6時前、JR前橋駅前で、丹治杉江さん(65)はマイクを握っていた。「事故の原因をはっきりさせ、2度と同じように涙を流す人を見たくない」 2012年11月から毎週金曜に始めた脱原発を呼び掛ける活動は、483回目。次回17日には駅前に立たない。その日、自身の裁判で最後の判決が最高裁で言い渡される》。
 【「ふるさと奪われ、なんでこんな仕打ちを…」 原発事故被災者千葉訴訟の原告・南原聖寿さん/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」③千葉】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/183201)。《「国と東電にふるさとを奪われ、何でこんなに苦しい仕打ちを受けないといけないのか」。原告団に加わった時から、その思いは変わらない。裁判を通じて「国は東電に責任をなすりつけ、東電は安全対策よりも経営のことしか考えていない」と痛感した。5年ぐらいで終わると思っていた裁判は、想像以上に長期化した。「責任の有無はすぐに分かるはず。どうしてここまで引き延ばすのか不思議でならない」と嘆く。南原さんはかつて、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが発生する火力発電よりも、原発は環境に優しいと前向きにとらえていた。だが、放射能で汚染した土の保管や長期化する廃炉作業を目の当たりにし、考え方は完全に変わった。「国の管理監督責任をもっと拡大することが将来のためになる。最高裁は忖度せずに判断を下してほしい」》。
 【「若者が希望持てる判決を」 原発事故被災者愛媛訴訟の原告・渡部寛志さん/連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」④愛媛】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/183388)。《15年1月、松山地裁での第1回口頭弁論で、国の冷酷な態度を見せつけられた。避難生活の苦しさを法廷で意見陳述しようとしたところ、国の代理人は「(裁判の)証拠にならないから不要だと、耳を傾けようとしなかった。その後も延々と科学的な論争が続き、傍聴席で疑問に思った。「この裁判に、避難者の居場所はあるのだろうか」》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/182747

「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長
2022年6月11日 06時00分
連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」①福島

     (中島孝さんは市場で自ら選んだ地元産を中心とした
      鮮魚をさばいて刺し身にし、息子が継いでくれた
      店に並べる=福島県相馬市で)

◆店、つぶしちゃうかもしれないな

 「原告団長になってもらえませんか」。2012年12月、東京から訪れた馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)弁護士(46)からそう頼まれた時、福島県相馬市で地元鮮魚を扱うスーパーを営む中島孝さん(66)は即答できなかった。「店、つぶしちゃうかもしれないな」。

 東日本大震災直後、スーパーには水や食べ物を求めて毎日、たくさんの人が詰め掛けた。買い置きの店の米を炊き、交渉して市場の冷凍倉庫から魚を買い、漂白したいけすで水を運んだ。ガソリンがなく自転車や歩きで遠方から来る人も。1日1500人が長蛇の列を作った。周辺の店が閉まる中、地域の人を餓死させてはならないと、死に物狂いで食材を確保した。

 東京電力福島第一原発事故の後、福島の漁業は操業停止に。仲買業者も中島さんが組合長を務める小売業者組合も、地元の魚が手に入らず困窮した。「首つるしかねぇ」。そんな声が日々、入ってきた。弁護士の力も借りて東京電力に損害賠償を直接請求したが、遅々として進まなかった


◆売り上げ3割減、妻と無給で年金暮らし

 東電と国に損害賠償を求める訴訟の原告団長に請われたのはそんな時だった。妻和美さん(66)からは「みんな首つりそうなんだべ。息子に魚の切り方教えっから。店は何とかすっから」と背中を押された。弁護団に「私財をなげうっても勝つ覚悟です」と言われたことも脳裏をよぎった。

 「逃げるわけにはいかない」

 原告団の会合、訴訟、国や東電との交渉…。店を頻繁に空けるようになった。原発事故の影響もあり、売り上げは多い時で3割減り、現在、妻と自分は無給にして年金で暮らす

 原告団長として被害を訴え続けることで周囲から非難されるだろうと覚悟していた。「歩く風評被害」と近隣住民から言われた時はこたえた。だが、東電と国に原発事故の責任を認めて謝罪させ、原告以外の被害者も救済するという気持ちは揺るがなかった


◆再稼働進めようとする国 判決で終わりではない

 事故から11年超が過ぎ、100人以上の原告が亡くなった。中島さんは15年に自殺した福島県南相馬市のラーメン屋だった高木光雄さん=当時(71)=が忘れられない。法廷で「子どもたちが家族で店に来てくれるのが喜びだった。避難指示区域となり、その店さえできない。悔しさが分かるか」と意見陳述した姿が心に残る。遺書はなかった。

 中島さんは言う。「最高裁判決で国の責任が認められると信じている。亡くなった仲間にも聞かせたかった。国は今、再稼働を進めようとしている。判決で終わりではない。原告団は解散せず、二度と原発事故が起きない社会を次世代に引き継げるまで闘い続ける」(片山夏子、写真も)


福島訴訟 「生業を返せ、地域を返せ!」をスローガンに2013年3月11日に提訴した。原告は福島県や茨城県などの住民ら約5000人で、原発事故の被災者訴訟として最多。一審福島地裁(金沢秀樹裁判長)は国の責任を東電の2分の1としたが、二審仙台高裁(上田哲裁判長)は東電と同等と判断し、賠償金も一審の倍となる総額10億1000万円にした。高裁判決は、国の賠償基準「中間指針」で帰還困難区域だけに認められた「ふるさと喪失」の慰謝料の対象地域を拡大。避難指示区域の外にある福島・会津地方などや栃木、宮城両県の一部の被災者への賠償も認めた。

   ◇

 最高裁第2小法廷は17日、福島、群馬、千葉、愛媛の各県の原発事故被災者たちが東電と国に損害賠償を求めた4つの訴訟について、国に賠償責任があるかどうかの統一判断を示す。全国約30ある集団訴訟に絶大な影響を与える可能性がある判決を前に、4訴訟の原告にこれまでの11年と、これからを聞いた。


【関連記事】原発避難4訴訟が結審 最高裁、夏前にも統一判断へ 避難者「痛み、放置せず判断を」
【関連記事】原発避難者側、国の責任あらためて主張 群馬訴訟、最高裁で弁論 夏にも統一判断
【関連記事】「忖度せず、国の責任を認めて」原発事故避難者の集団訴訟で初の最高裁弁論
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/182959

「悔しいから、くじけなかった」 原発事故被災者群馬訴訟の原告・丹治杉江さん
2022年6月12日 06時00分
連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」②群馬

     (「原発事故の原因をはっきりさせたい」と訴える
      丹治杉江さん(左)=10日、前橋市のJR前橋駅北口で)


◆事故を防ぐ機会は「何度も何度もあったのに」

 10日午後6時前、JR前橋駅前で、丹治(たんじ)杉江さん(65)はマイクを握っていた。

 「事故の原因をはっきりさせ、2度と同じように涙を流す人を見たくない

 2012年11月から毎週金曜に始めた脱原発を呼び掛ける活動は、483回目。次回17日には駅前に立たない。その日、自身の裁判で最後の判決が最高裁で言い渡される。

 東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県内に避難した一人として、13年9月に裁判を起こした。世界最悪レベルの事故の責任は東電だけではなく、国にもあると認めさせるためだった。

 「過酷な事故を防げる機会は何度も何度もあったのに、国は対策をしたとしても事故は防げなかったと主張した。やりもしないでやっても無駄だったなんて、一番腹が立つ

 法廷に毎回通い、他の避難者の訴訟を応援するため、各地に足を運んだ。交通費や休業手当が出るわけでもない。自宅には、読みあさった原発関連の本や資料が山のように積んである。

 「勉強し、人の話を聞き、発信して。こんな濃密な日々はなかった。後悔はない。でも、これが自分の望んだ人生だったのかな


◆罵声のような言葉 一人で泣き、叫んだ

 あの日事故が起きなければ、今ごろ沖縄で夫の幹夫さん(68)と暮らしていた。新婚旅行の地で、夫は家電修理の仕事を続けながら、自分は観光ガイド-。かつて将来を語り合った2人は今、「あのころは…」と昔のことばかり思い出す。

 幹夫さんが全国の愛用者から届くワープロの修理を手掛けて経営が順調だったころ、原発事故が起きた。福島第一原発から35キロのいわき市北部にあった自宅から、前橋市に移ったのは11年7月。政府の避難指示区域の外からの「自主避難」だった。原告団の約半数は同じ自主避難者だ。

 放射能への不安、子どもを安心して育てられないなど、それぞれの事情で避難を余儀なくされた。にもかかわらず、自主避難には「勝手に逃げた」とレッテルを貼られた

 裁判が福島の復興を邪魔していると、罵声のような言葉を浴びた時もあった。「何度も車の中で一人、泣いたり、大声で叫んだりした」。それでも、原告団の先頭に立ち続けた。原告は4人が亡くなり、末期がんで苦しんでいる人もいる。「くじけなかったのは、悔しいからですよ


◆裁判が終わってもするべきことがある

 国の責任を巡る最高裁の統一判断は、約30ある他の訴訟に絶大な影響を与える。「怖い。これで終わりだから。考えると、眠れない」。勝っても劇的に生活が変わるわけではないでも、責任を認めさせたい

 「原発事故の被害者が安心して暮らせるよう、たくさん施策を作っていかないと。原発事故後を生きる大人の責任として」。裁判が終わっても、するべきことがある。幹夫さんと将来を語り合うのは、まだもう少し先だ。(小川慎一


群馬訴訟 東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県内に避難した住民と家族ら137人が国と東電に慰謝料を求め、2013年9月11日に提訴。17年3月17日の一審前橋地裁判決原道子裁判長)は集団訴訟では最初の判決で、国について「規制権限に基づき対策を取らせるべきなのに怠った」と責任を認め、東電と国に計3855万円の支払いを命じた。だが21年1月21日、二審の東京高裁判決(足立哲裁判長)は一転、国の責任を否定。東電のみに計1億1972万円の支払いを命じた。東電の賠償責任は最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が22年3月2日付で東電の上告を退け、確定した。


【連載】「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」
<福島>「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長
【関連記事】原発避難者側、国の責任あらためて主張 群馬訴訟、最高裁で弁論 夏にも統一判断
【関連記事】「忖度せず、国の責任を認めて」原発事故避難者の集団訴訟で初の最高裁弁論
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/183201

「ふるさと奪われ、なんでこんな仕打ちを…」 原発事故被災者千葉訴訟の原告・南原聖寿さん
2022年6月14日 06時00分
連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」③千葉

     (最高裁の統一判断を前に「9年間は長すぎる」
      と語る南原聖寿さん)

◆福島ナンバーだけで嫌な視線

 「すっかり体力が落ちちゃったね。5月に出場した障害者スポーツ大会の100メートル走は21秒。精神的なものもあるけど、白髪が増えるわけだ」

 足に障害がある南原聖寿(せいじゅ)さん(62)はスマートフォンに保存された過去の写真を見返し、年月の経過を実感することが多くなった。

 東京電力福島第一原発の20キロ圏内にある福島県南相馬市小高区の自宅から、家族で千葉県君津市に避難して11年が過ぎた。東電と国の責任を追及するため千葉地裁に提訴してから既に9年を超え、ようやく17日に最高裁が国の責任について判断する。

 「原告団の中には亡くなった人もいるし、加齢で表舞台に立てなくなった人もいる。長すぎる

 君津市は妻の園枝(そのえさん)(63)の実家が近くにあったが、苦労は尽きなかった。「乗る車が福島ナンバーというだけで、嫌な視線を感じた」。疎外感を覚えずにはいられなかった

 就職した長男(25)は事故当時、転校先の中学校で「放射能がうつる」と言われるなどのいじめに遭い、不登校に。知的障害のある長女(22)は事故後、車いすでの生活に変わった。園枝さんも足の障害が悪化し、車いすを手放せない。


◆最高裁は忖度しないで判断を

 住み慣れた地からの転居で、長年勤めていた半導体メーカーの退職を余儀なくされた。消化器系の持病が悪化し、アルバイトもあきらめた。生活保護で家賃と生活費をやりくりしながら、園枝さんと長女の3人でアパート暮らしを続ける。

 「福島にいたころはいろいろな人と交流があったけど、現在の自宅周辺は住民同士のつながりが薄く、家族で外出するのは買い物や病院に行く時ぐらい。町内会活動でもあればいいけどね」

 小高のアパートには、ひな人形や写真のアルバムなど思い出の品が残っていた。だが、運び出せぬまま、数年前に所有者の意向で取り壊された建物とともに処分された

 「国と東電にふるさとを奪われ、何でこんなに苦しい仕打ちを受けないといけないのか」。原告団に加わった時から、その思いは変わらない。

 裁判を通じて「国は東電に責任をなすりつけ、東電は安全対策よりも経営のことしか考えていない」と痛感した。5年ぐらいで終わると思っていた裁判は、想像以上に長期化した。「責任の有無はすぐに分かるはず。どうしてここまで引き延ばすのか不思議でならない」と嘆く。

 南原さんはかつて、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが発生する火力発電よりも、原発は環境に優しいと前向きにとらえていた。だが、放射能で汚染した土の保管や長期化する廃炉作業を目の当たりにし、考え方は完全に変わった

 「国の管理監督責任をもっと拡大することが将来のためになる。最高裁は忖度せずに判断を下してほしい」(山口登史、写真も)


千葉訴訟 東京電力福島第一原発事故で福島県内から千葉県内に避難した住民47人が2013年3月11日、国と東電に損害賠償を求めて提訴。17年9月22日の一審千葉地裁判決(阪本勝裁判長)は国の責任を認めず、東電に計3億7600万円を支払うよう命じた。21年2月19日、二審の東京高裁判決(白井幸夫裁判長)は、国の責任について東電に津波対策を講じるよう「規制権限を行使しなかったのは違法」と認め、国と東電に計2億7800万円の支払いを命じた。東電の賠償は最高裁第2小法廷が22年3月2日付、東電の上告を退け、確定した。5月末までに原告7人が亡くなった。


【連載】「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」
<福島>「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長
<群馬>「悔しいから、くじけなかった」 原発事故被災者群馬訴訟の原告・丹治杉江さん
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/183388

「若者が希望持てる判決を」 原発事故被災者愛媛訴訟の原告・渡部寛志さん
2022年6月15日 06時00分
連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」④愛媛

     (「国の責任をはっきりと認め、若者に希望を与えてほしい」
      と話す渡部寛志さん=9日、愛媛県松前町で)

【関連記事】】福島第一原発事故、国の責任は 避難者賠償訴訟、17日に最高裁判決


◆避難、離婚…家族はバラバラに

 「フクシマさん、フクシマさん」。福島県南相馬市から愛媛県に避難した渡部寛志さん(43)は、愛媛で知り合った人からこう呼ばれることがある。東京電力福島第一原発事故から11年がたっても、「避難者」であり続けるそして、差別もなくならない

 福島から愛媛に避難しているのは、わずか22人(4月時点、復興庁調べ)。人数が少ないだけに「避難者が目立ち、差別につながりやすい」。住居を購入しても、近所の人たちに福島から来たことを隠し続けている避難者もいる。

 事故前、原発の北約12キロにある南相馬市小高区で妻と娘2人と暮らし、専業農家をしていた。政府の避難指示で町を離れ、事故から1カ月後、大学時代を過ごした愛媛に避難した。

 遠く離れた地での避難生活が長引き、妻と意見が衝突することが増え、2019年に離婚した。渡部さんと次女(13)が残り、長女(17)は元妻と福島県須賀川市に移った。家族がバラバラになった現実に、「原発事故が起きなかったなら…との思いが拭えない


◆国の冷酷な態度見せつけられ

 国と東電を相手に裁判を起こすきっかけとなったのは、松山市内の住職の呼びかけで事故直後に始まった避難者の交流会。月1回集まると、「経済的に苦しい」と窮状を訴える声が相次いだ。賠償を東電に任せ、避難者支援も不十分なまま放置している国が許せなかった

 交流会に参加する避難者を一軒一軒訪ねて説明し、原告を募った。子育て世代の避難者が多く、事故時に20歳未満だった原告は8人と3割に上る。

 15年1月、松山地裁での第1回口頭弁論で、国の冷酷な態度を見せつけられた。避難生活の苦しさを法廷で意見陳述しようとしたところ、国の代理人は「(裁判の)証拠にならないから不要だと、耳を傾けようとしなかった。その後も延々と科学的な論争が続き、傍聴席で疑問に思った。「この裁判に、避難者の居場所はあるのだろうか


◆「避難者の学校ほしかった」

 それでも、声を上げなければ自分たちの苦しみがなかったことにされてしまう。最高裁の法廷で避難者の思いを伝えようと、5月に原告たちを訪ねて回った。

 その中に、いじめに遭い不登校になった兄弟がいた。弟は20年秋に自殺した。22歳の兄は「避難者同士が通える避難者学校を全国につくってほしかった」と吐露し、「『悪かった』と素直に謝罪ができる国だったら、そもそも事故は起きなかった」と憤った。

 渡部さんの中学2年の次女は「同級生は原発事故をあまり知らない。知らないとまた事故を起こすから、判決が出たら『国の政策によって起きた事故』と教科書に載せてほしい」。

 若い原告の声を聞き、渡部さんは思う。「これからも事故を背負って生きていく若者が、希望を持てる判決を言い渡してほしい」(小野沢健太


愛媛訴訟 東京電力福島第一原発事故で福島県内から愛媛県内に避難した住民が2014年3月から順次提訴し、25人が国と東電に慰謝料を請求。一審松山地裁久保井恵子裁判長)は19年3月26日、国と東電に計2743万円の支払いを命じた。21年9月29日、二審高松高裁神山隆一裁判長)も、東電に津波対策を講じさせなかったのは「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと国の責任を認め、計4621万円の支払いを命じた。東電の賠償責任は最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が22年3月30日付で東電の上告を退け、確定した。


【連載】「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」
<福島>「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた 原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長
<群馬>「悔しいから、くじけなかった」 原発事故被災者群馬訴訟の原告・丹治杉江さん
<千葉>「ふるさと奪われ、なんでこんな仕打ちを…」 原発事故被災者千葉訴訟の原告・南原聖寿さん
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●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》

2022年03月18日 00時00分19秒 | Weblog

[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)]


(20220313[])
沖縄タイムスの【社説[原発避難] 東電賠償確定 国も救済責任免れない】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/921080)。

 《裁判において東電は、中間指針に基づく賠償額で十分だと主張していた。しかし最高裁は、避難継続による精神的損害のほか、生活基盤の喪失や変容に伴う慰謝料を認め、指針を上回る額の賠償を命じた二審の判断をそれぞれ是認した》

 当然、国にも重大な責任あり。《福島と千葉の二審判決は、政府機関の地震予測長期評価」に基づく試算から原発への大津波の到来は予見できたと指摘し、対策の先送りを許した国を批判した。規制当局として国に重大な法的責任があるのは明らかだ》。それに、津波だけでなく、そもそも、地震そのもによって核発電所は破壊、管は破断していた可能性は否定できないのではないですか。まさに《人災》。ましてや、ミサイルでも撃ち込まれようものなら…。
 仙台高裁・上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁・白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決 ――― この判決の意義とは? 白井幸夫裁判長は、《防潮堤の設置などの措置を講じていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかった」と認定。国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」とした》そうだ。真っ当な司法判断。
 そして、高松高裁も同様だった。さらに、最高裁も《二審の判断をそれぞれ是認》した。

   『●「想定外」という言い訳は許されない
    《実は、東電の福島第一は津波に弱く、炉心溶融の危険性があることは、
     5年前から指摘されていた想定外などではない。福島第一で
     想定されている津波、チリ地震津波クラスに遭遇すると、大きな引き波に
     よって冷却用の海水を取水できなくなるといわれる。この引き波による
     取水停止が、炉心溶融に発展する可能性を、2006年に国会で共産党の
     吉井英勝議員が質問している。
       二階俊博経産相(当時)は善処を約したが、東電は具体的な改善を
     行なわなかった。東電には地元から改善の要望書も出されているので、
     津波による炉心溶融の「危険性の指摘」を知らなかったはずはない
     百も承知だったのに、素知らぬ顔ですべての原因が想定外の巨大地震に
     あるかのように振舞っているとしたら、なかなかの役者である》

   『●”原子力発電”という箱を開ける覚悟と、(とりようの無い)開けた責任
    《この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員
     (共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、
     電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」
     と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは
     深く反省をしている」と述べた。 
       これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹
     ・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが
     起こらないようにしたい」と答えた。 
       また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長
     (現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に
     大変申し訳ないと思っている。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えて
     こなかったことは「正しくなかった」とした》

   『●SLAPPと原発、沖縄
    《[CML 019566] 甘利明の名誉棄損訴訟にSLAPP批判
       甘利明・自民党衆議院議員がテレビ東京を提訴した名誉棄損訴訟が
     恫喝訴訟SLAPPであると批判されている。甘利氏は安倍政権の
     経済産業大臣であった。テレビ東京『週刊ニュース新書』は2011年
     6月18日に甘利氏へのインタビューを放送した。
       インタビューで取材陣は福島原発事故を自公政権の安全対策の
     不備に起因するのではないかと追及した。甘利氏は「津波は想定外」と
     責任回避するが、取材陣は日本共産党の吉井英勝・衆議院議員の
     「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の
     安全を守ることに関する質問主意書」を提示した。そこでは津波被害など
     による電源喪失に起因する原発事故の危険が指摘されている。
       福島原発事故が想定外でないことを示す事実であるが、この趣意書を
     突き付けた直後にインタビューは中断された。インタビュー中断の事実は
     番組で報道された。この番組放送に対して甘利氏は名誉毀損として
     1000万円もの損害賠償を求めてテレビ東京を提訴した》

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

 そして、最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれです。
     「あれだけの事故を起こして被害を出してだれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
      「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
      切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
      国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる

 東電や自公政府、《火事場ドロボー》の皆さんは、さっさと「原状回復」して見せてくれよ。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/921080

社説[原発避難] 東電賠償確定 国も救済責任免れない
2022年3月6日 08:40

 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた住民らが、国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟のうち福島、群馬、千葉の3件で、最高裁は東電の上告を退ける決定をした。

 二審判決のうち、約3600人に総額約13億9千万円の支払いを命じた部分が確定した。国が定めた基準「中間指針」を上回る賠償義務が認められたのである。

 同様の集団訴訟は全国で約30件ある。東電の賠償責任が確定するのは初めてだ。

 裁判において東電は、中間指針に基づく賠償額で十分だと主張していた。

 しかし最高裁は、避難継続による精神的損害のほか、生活基盤の喪失や変容に伴う慰謝料を認め、指針を上回る額の賠償を命じた二審の判断をそれぞれ是認した。

 そもそも中間指針は被害の重大性に見合わないと指摘されてきた。第1原発周辺の自治体なども増額を含めた見直しを求めている。当然の判断である

 東電は最高裁の決定を受け「判決に従い対応していく」とコメントした。未曽有の事故を起こした企業としての責任を誠実に果たしてもらいたい。

 ただ、それでも十分な賠償とは言えない。

 自主避難者への賠償額の少なさにも疑問の声が上がっている。原告の中には、今回の決定が他の同種訴訟に波及することへの懸念もある。

 国は最高裁の決定を重く受け止めた上で中間指針を見直し、被害者への救済を手厚くすべきだ。

■    ■

 3件の訴訟は、国の責任については二審で判断が割れていた。福島と千葉の二審判決が国に賠償を命じた一方、群馬訴訟では請求が棄却された。

 最高裁は来月、国と住民側双方の意見を聞く上告審弁論をそれぞれ開く。夏にも判決で統一判断を示す見通しだ。

 上告審では、巨大津波を予見し、対策を講じていれば事故を回避できたかどうかが争われるとみられる。

 原子力事業は国の政策として進められてきたものである。さらに国には原発が安全に運転・管理されているかを監視する役割がある。

 その責務が果たされたかどうか厳しく問われなければならない。

 福島と千葉の二審判決は、政府機関の地震予測長期評価」に基づく試算から原発への大津波の到来は予見できたと指摘し、対策の先送りを許した国を批判した。規制当局として国に重大な法的責任があるのは明らかだ

■    ■

 原発事故からやがて11年を迎える。被ばくへの不安や仕事の事情で今なお古里を離れて暮らす人は大勢いる地元に戻っても平穏な生活を取り戻せないままの人もいる

 地域や家族のつながりを壊された上、これだけの年月がたってなお、賠償や責任問題が解決されないことに憤りを覚える

 国会の事故調査委員会は、国と東電の「なれ合い」があり「明らかに人災」だと指摘した。国には自らの責任を直視してもらいたい。
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●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」? 「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です

2022年03月10日 15時25分06秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220223[])
河北新報の記事【「原発処理水は安全」国が学校にチラシ 被災3県、配布見合わせも】(https://kahoku.news/articles/20220219khn000053.html)。

 《チラシは、経済産業省資源エネルギー庁の「復興のあと押しはまず知ることから」と、復興庁の「ALPSアルプス)処理水について知ってほしい3つのこと」。文部科学省が毎年、全国の小中高校1年生に配布する放射線副読本と共に、昨年12月ごろから約230万枚配布された。2種類のチラシでは、放射性物質トリチウムが含まれる処理水を大幅に薄めて海に流すと説明。トリチウムの健康への影響は心配ありません」「世界でも既に海に流しています」などと、安全性を前面に押し出す》。

   『●《弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる
       甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた》
    「《Forgotten》でいいのだろうか、
     「子供達の『X年後』の現実」。」

 経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」? いえいえ、「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です。
 何一つ解決していない東電核発電人災。立憲民主党の核発電推進議員や、政府や自公お維コミ議員、核発電「寄生」委員会、東電はさっさと《原状回復》して見せて下さい。話はそれからだ。

 処理水ならぬ「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる。許してはいけない。風評被害どころか、実害が生じる。《政府は2021年4月、2年後をめどに処理水の海洋放出を決定》…許される訳がない。
 通常運転している核発電所からのトリチウムと東京電力核発電人災の処理水という名の汚染水中のトリチウム (など) を同列に論じていいのですか? そもそも両者の排出量は同程度なのですか? 原単位あるいは負荷量、総量ではなく、薄めればいいという問題ですか? 年間排出総量で大雑把に20倍ほど、それを30年間ほど実施しようとしているのではないですか? さらには、建屋内に残っているトリチウムは1000兆Bqを超えているのでは?

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
     超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?
    「『ふくしま原発作業員日誌』…。片山夏子記者による労作。
     《著者のひたすらな記者魂に脱帽する》」

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》

 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No15】汚染水海洋放出は無責任の極み!】(https://www.youtube.com/watch?v=rUt5pk1oGJ8)も、とても勉強になりました。海洋放出以外の選択肢が示されています。



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https://kahoku.news/articles/20220219khn000053.html

「原発処理水は安全」国が学校にチラシ 被災3県、配布見合わせも
2022年02月20日 06:00

市町村教委を通さず直接送る

 東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出について、「安全な状態で処分される」などと紹介する国のチラシが昨年末から全国の学校に届き、各地で波紋を広げている。東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県内の市町村教育委員会によると、児童生徒への配布を見合わせる学校が相次ぎ、一度配布したチラシを回収する学校もある。市町村教委に知らせず、学校に直接送った手続きも疑問視されている。

     (エネ庁のチラシ「復興のあと押しはまず知ることから」)


「漁業者への配慮に欠ける」と回収

 チラシは、経済産業省資源エネルギー庁の「復興のあと押しはまず知ることから」と、復興庁の「ALPSアルプス)処理水について知ってほしい3つのこと」。文部科学省が毎年、全国の小中高校1年生に配布する放射線副読本と共に、昨年12月ごろから約230万枚配布された。

 2種類のチラシでは、放射性物質トリチウムが含まれる処理水を大幅に薄めて海に流すと説明。トリチウムの健康への影響は心配ありません」「世界でも既に海に流しています」などと、安全性を前面に押し出す

 河北新報社の取材では、岩手県沿岸12市町村のうち、配布済みは普代村(小中1校ずつ)のみ。村教委の担当者は「扱いは各校に任せた」と話す。一方、学校で保管するなどの対応を取ったのは5市町村。他の市町でも配布した学校は一部にとどまり、保管を指示した教委もある。

 宮城県内では少なくとも16市町で配られた。七ケ浜町教委は「海洋放出に反対する多くの漁業者や関係自治体などへの配慮に著しく欠ける行為」と捉え、配布したチラシの回収に動きだした。沿岸部の小学校長は「処理水が手放しに安全だと思わせる書きぶり純真な子どもをだますような行為だ」と語気を強めた。


「理解醸成が必要と考えた」と説明

 「関係者の合意形成が不十分。国民から理解を得るプロセスは途上だ」(内田広之いわき市長)との認識がある中、第1原発を抱える福島県では困惑の色を深める。相馬市教委の担当者は「処理水はデリケートな問題。教育現場で指導することではない」と明言した。

 政府は2021年4月、2年後をめどに処理水の海洋放出を決定。同12月に策定した風評被害対策の中長期的な行動計画に、チラシの配布を盛り込んだ。

 資源エネルギー庁の福田光紀原子力発電所事故収束対応室長は「海洋放出の風評被害が懸念されている。処理水の安全性に関して児童生徒の理解醸成が必要だと考えて配布した。今後も丁寧に伝えていく」と理解を求める。

 「事前の連絡がなかった」という市町村教委の指摘に対しては「(小中高の1年生に毎年配布される)副読本に処理水に関する内容を盛り込んだ。チラシは補足説明資料としての位置付けだった」との認識を示した。

(チラシの裏面。原発処理水の安全な処分を子どもにPRする)


関連リンク
「慎重な対応必要」「国の姿勢に疑問」 処理水チラシに戸惑う教育現場
富岡で楽しく暮らす姿伝えたい 移住の夫妻、PR動画制作し発信
福島第1原発の処理水放出へ工事計画申請 規制委に東電
「ゆるキャラ」トリチウムに批判殺到 復興庁、公開停止
東電「トリチウム減衰進む」 処理水放出計画に反映へ
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●<金口木舌>《反原発を歌った清志郎さんなら、福島第一原発事故で生じた処理水の海洋放出を許さなかっただろう ▼沖縄でも海が汚された》

2021年10月09日 00時00分55秒 | Weblog

[↑ 辺野古破壊反対広告 (2021年06月06日、朝日新聞)]


(2021年08月31日[火])
琉球新報のコラム【<金口木舌>ガタガタ言いたくなる】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1385666.html)。

 《活動停止から30年、数々の名曲を残したRCサクセションに「どろだらけの海」という作品がある。今は亡き忌野清志郎さんが敬愛した米歌手オーティス・レディングのような「ガッタ、ガッタ」というシャウトが印象的だ》。

 番犬様に逆らえないニッポン政府。《米軍は…日本政府は…やりたい放題だ》。《汚染水放出という米軍の横暴を止める術が日本政府にはない一方で新基地を拒む沖縄の声を無視して日本政府は土砂投入の横暴を働く日米同盟の名の下に続く横暴の連鎖が沖縄の海を汚している》。
 主権はどこに? プーチン氏に嗤われていますが…。《環境汚染を拡散させた上、その費用までわれわれの税金で負担するというのか。理不尽極まりない米軍はPFAS汚染水を本国に回収し、自らの責任と負担で処理すべきだ》(琉球新報)。
 もう一度引用。琉球新報の【<社説>米軍PFAS放出 下水への接続を切断せよ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1382364.html)によると、《日本国内の法令では下水道への排出を想定していない有害物質を、合意もなく公共インフラに流し込む。決して沖縄だけの問題ではない。国家の主権に関わる重大事態だ。治外法権を許してはならない。日本政府は米国に厳しく抗議し、放出を直ちに中止させるべきだ》。

   『●巨大新基地建設による辺野古破壊…プーチン氏に《主権を行使できて
                    いない実例》と指摘されてしまう始末
   『●和泉洋人首相補佐官…《日本の民間企業に建設協力を打診し、
     便宜供与を匂わせていた…徹底的に民意をないがしろにする政権の姿》
    「《これは安全保障政策ではない。日本をぼろぼろにすることと
     引き換えにした米国への隷従であり、「売国的」ですらある》…
     ホシュやウヨクの皆さんの大好きな売国奴という言葉。でも、一体誰が
     《売国》奴なのでしょうか? 皆さんのお嫌いなプーチン氏に
     《主権を行使できていない実例》と指摘されてしまう始末ですよ?」

   『●PFOSを含む泡消火剤《14万リットル流出 ドラム缶719本分》!!
      沖縄市民に強硬な防衛相は番犬様には何にも吠え付けないとはねぇ…
   『●ポンコツな番犬様…泡消火剤《14万リットル…ドラム缶719本分》
      流出事件の《原因は米兵が格納庫でバーベキューをしたことだった》
   ●結局、COVID19禍で苦しむ沖縄の人々の命や安全・安心な生活など、
       どうでもいい訳だ? 《米国への隷従》しかできない政府・自公お維

 《反原発を歌った清志郎さんなら、福島第一原発事故で生じた処理水の海洋放出を許さなかっただろう》。〝処理水〟という名の汚染水の海洋放出と同じやり方。薄めても汚染水は汚染水。

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
     超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は基準値を
          大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●核汚染水の海洋放出: 大島堅一さん《「問題ない」「できます」と
     と言っているのは東電や政府だけで、信用できる状況にはありません》
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、
     国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していく…》
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を
     見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1385666.html

<金口木舌>ガタガタ言いたくなる
2021年9月2日 05:00
金口木舌 海洋汚染 PFOS 汚染水 米軍

 活動停止から30年、数々の名曲を残したRCサクセションに「どろだらけの海」という作品がある。今は亡き忌野清志郎さんが敬愛した米歌手オーティス・レディングのような「ガッタ、ガッタ」というシャウトが印象的だ

▼歌詞はシリアスだ。汚れた浜辺を見て悲しむ子や、泳いで水着が真っ黒になった子が登場し、「どうして 海はこんなに 汚れてしまうのか」と歌う。作詞は清志郎さん。反骨精神にあふれている

▼公害による海洋汚染が社会問題化していた50年前の作品は今も古びない。反原発を歌った清志郎さんなら、福島第一原発事故で生じた処理水の海洋放出を許さなかっただろう

沖縄でも海が汚された。米軍は普天間飛行場で貯蔵していた有機フッ素化合物PFAS)を含む汚染水を宜野湾の西海岸沖へ。日本政府は普天間基地を移すため、土砂を名護の東海岸へ。やりたい放題だ

汚染水放出という米軍の横暴を止める術が日本政府にはない一方で新基地を拒む沖縄の声を無視して日本政府は土砂投入の横暴を働く日米同盟の名の下に続く横暴の連鎖が沖縄の海を汚している

▼日本の防衛省と環境省はPFAS放出に抗議したというが、どこまで本気なのか疑わしい。国、県、米軍で問題を話し合う三者協議会を久々に開いてはどうか。清志郎さんをまねてガタガタ言いたくなるような気分だ
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●《政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していく…》

2021年06月23日 00時00分28秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


(20210613[])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/原発が嘘を告白し懺悔 ノンフィクション小説の著者に聞く】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289740)。

 《■加藤就一さん(NNNドキュメントディレクター) 世界最悪レベルの福島第1原発事故から10年。世界が脱原発に向かう中、日本は「脱炭素社会の実現」を奇貨として原発推進に突っ走ろうとしているなぜ、世論はブレーキをかけないのか――。原発を主人公に描いたノンフィクション小説「ごめんなさい、ずっと嘘をついてきました。福島第一原発 ほか原発一同」(書肆侃侃房)で知られざる真実を暴いた著者に聞いた》。

 「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる。
 大島堅一さん《ALPSにしても、本来は本格運転前に原子力規制委員会の検査をパスする必要があるのに、2013年に稼働してから今に至るまで使用前検査が「未了」なのだから呆れます。海洋放出できる、できない、という理屈論の前に、議論の前提が成り立っていないのです》…またしても、原子力「寄生」委員会の無責任ぶり。《東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である》。
 《とても民主的な意思決定とは思えません。こういう見切り発車的な強引なやり方では国民の理解は到底得られません。放射性廃棄物処分の歴史を見ても必ず失敗すると思います》…こんな腐りきった政権を誰が支持したの? 自公お維議員等に、投票してはいけない。

 《それではメディアはかみつけませんよね。隠蔽、改ざん、言い換え、ごまかしなど、情報を都合よくコントロールする政権が続き、政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していくのです。根はとても深い》…核発電「麻薬」中毒者の狂気。

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
     超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は基準値を
          大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●核汚染水の海洋放出: 大島堅一さん《「問題ない」「できます」と
     と言っているのは東電や政府だけで、信用できる状況にはありません》
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289740

注目の人 直撃インタビュー
原発が嘘を告白し懺悔 ノンフィクション小説の著者に聞く
公開日:2021/05/31 06:00 更新日:2021/05/31 10:21

     (加藤就一氏(C)日刊ゲンダイ)

■加藤就一さん(NNNドキュメントディレクター)

 世界最悪レベルの福島第1原発事故から10年。世界が脱原発に向かう中、日本は「脱炭素社会の実現」を奇貨として原発推進に突っ走ろうとしているなぜ、世論はブレーキをかけないのか――。原発を主人公に描いたノンフィクション小説「ごめんなさい、ずっと嘘をついてきました。福島第一原発 ほか原発一同」(書肆侃侃房)で知られざる真実を暴いた著者に聞いた。

     (*インタビューは動画でもご覧いただけます。)



■「アンダーコントロール」はオンエアできず

 ――著書を読むと、政府があの手この手で原発関連の情報を長年コントロールしてきているのがよく分かります。

 僕は鉄腕アトム世代です。超小型原子炉で100万馬力、などと原子力は素晴らしいと刷り込まれた国民でした。福島原発事故が発生し、調べ始めたら、今まで信じていたことが全部嘘だということが分かった。この嘘っぱちをきちんと伝えないといけないと思いました。

 ――安倍首相(当時)は東京五輪を招致した2013年のIOC(国際オリンピック委員会)総会の演説で、福島第1原発について、日本語では「港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」と表現する一方、英語では「アンダーコントロール」と使い分けました。

「お笑い芸人vs原発事故」という番組を制作している時、演説の英語版を使おうとしたら、英語版はオンエアできないようになっていた。見比べてみたら、驚くことに肝心な部分がごっそり変えられていた。英語版では安倍首相は「私は完全に保証します。状況はアンダーコントロールです。これまでも、これからも(放射能は)どんなダメージも東京に与えません」とスピーチしているのです。

 ――コロナ禍で東京五輪開催が流動的になっています。政府は復興五輪と銘打って招致しました。

 五輪までに復興を成し遂げたことにするため、復興を否定するものは平気で隠してきました。例えば、放射線量を測定するモニタリングポストです。福島県内に設置されている約3000台のうち、8割を五輪前に撤去しようとしたのです。復興したはずの福島にそんなものがたくさんあってはマズいからです。

 ――撤去したのですか。

 地元のお母さんたちが猛抗議して、撤回させました。廃炉作業は続いている。何か起きた時、モニタリングポストがなければ、速やかに察知できませんから。お母さんたちはよく勉強している。原発関連の番組は、まずお母さんたちに分かってもらい、それを子どもたちに伝えてもらおうという意識で作っていました。

 ――菅首相は今年4月、「もうこれ以上は避けて通れない」として、放射性物質トリチウムを含んだ「汚染水」の海洋放出を決定。2023年にも開始されるとみられています。

 安易な決定です。トリチウムを取り除く技術があるのかないのかが吟味されていない。例えば、近畿大学で低コストで除去する技術を開発しています。また、120年経つと、トリチウムの濃度は1000分の1になるのですが、石油の備蓄タンクが12個あれば保管できる量です。原発施設の外側の地下にダムを造って、地下水を出さない方式もある。コストはそれほどかからない。海洋放出を回避する方法はいくらでもあるのです


■メディアは特オチとスポンサーを恐れる

 ――海洋放出を巡る報道をどう見ていますか。日刊ゲンダイで「処理水」ではなく「汚染水」と記したところ、記事配信されたヤフーニュースのコメント欄に「悪意がある記事だ」という書き込みが少なくありませんでした。

 それが政府の狙いですよ。原子力規制委員会の更田豊志委員長は報道各社に「汚染水」ではなく「処理水」を使うように申し入れた。記者クラブ加盟社が規制委トップに逆らえば、1社だけ情報を流してもらえなかったりする。それで新聞社もテレビもトリチウムが残る「処理水」という言い方に統一してしまったのです。ニュースを見た読者や視聴者は「処理水、安全ね」と刷り込まれるわけです。しかし、ALPS(多核種除去設備)ではトリチウムは除去できない。処理できないのだから処理水のはずがない100%汚染水ですよ。

 ――菅首相は30年度の温室効果ガス削減目標を13年度比で46%削減する方針を表明しました。

 菅政権は原発再稼働を推し進めるというたくらみを持っていますから、「ああ、きたな」という感じです。脱炭素社会実現をうたい、原発の新増設や建て替えを進める自民党の議員連盟の顧問に安倍前首相が就任しました。安倍氏肝いりの原発輸出は全敗しても、このざまです。「原発ゾンビ」と書きましたが、ほんとにしぶとい方々です。

 ――世界はどうですか。

 福島事故を受けて、ドイツは脱原発に舵を切りました。原発大国の米国やフランスも、シェールガスや再生可能エネルギーが原発のコストより安くなる現実を目のあたりにして、風向きが変わりつつあります。途上国もコストとの見合いで判断していくでしょう。海外のシンクタンクは「原発に勝ち目ナシ」「35年には駆逐される」と発信しています。脱炭素に乗っかって、原発推進を加速しようとしているのは日本くらいです。


■原発事故から10年経つと「元通り」に

 ――原発問題は命、健康マター。国民の関心が高いはず。福島事故も体験したのに、また元通りですか。

 原発事故発生からしばらくは、世論もビビッとするのですが、8年、10年と経つと、エネルギー資源に乏しい日本にとっては非常に重要な救世主だと刷り込まれているので、やっぱり元に戻ってしまうんですね。

 ――原発報道の影響が大きい。

 震災直後は割と自由に事実を報道できていましたが、だんだんと時間が経ち、できなくなっていった。

 ――それはなぜですか。

 福島事故直後の東電は、破産状態のようなもので、広告出稿をやめました。その間、メディアは自由に動けた。ところが、東電が少しずつ広告を出すようになると、顔色をうかがう報道姿勢になっていく。東電以外の電力会社についても地方メディアの大スポンサーなのでどこも同じことが起こる。例えば、極細半島に建てられた愛媛の伊方原発は原発より半島の先に住んでいる約5000人の住民が避難できないという致命的な欠陥がある。しかし、地元放送局ではそうした問題を取り上げる番組は作れない。代わりに東京の私が作りました。

 ――メディアが電力会社を批判できないから、原発政策が推し進められるのですね。

 政権とメディアの関係も同じ構図です。総務省が東北新社に勤める菅首相の長男と会食を繰り返していた問題がありました。あってはならない接待ですが、安倍政権時代にすごくはやったのが、テレビ各局の社長や報道局長と首相との会食です。総務省の接待問題と何ら構図は変わりない。メディアは本来、権力を監視しなければいけない立場なのに、社長と報道局長が首相とニコニコ食事をして仲良くなる。ひと昔前だったら、首相から会食の誘いを受けても、「お気持ちだけいただきます」と丁重に断るのが報道機関だった。それがなんとなくグジュグジュになってしまった。それではメディアはかみつけませんよね。隠蔽、改ざん、言い換え、ごまかしなど、情報を都合よくコントロールする政権が続き、政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していくのです。根はとても深い。

(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ


▽加藤就一(かとう・しゅういち) 1957年、愛媛県生まれ。早大政治経済学部卒業後、日本テレビ入社。「アメリカ横断ウルトラクイズ」を総合演出。原発事故以降、10年で原発作品(NNNドキュメント)10本をOA、15の賞を受賞。今月末退社し、フリーに。
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●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発のトリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》

2021年06月16日 00時00分30秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


 (2021年05月29日[土])
【西谷文和の路上のラジオ 第52回「佐高信さん講演会」&「小出裕章さん緊急インタビュー」】(https://www.youtube.com/watch?v=IKbHdkdE5iU)。

 《【特集1】小出裕章さん 3.11を忘れない「ズバリ!教えて!東京電力福島第一原発のトリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ」…「処理水」といいますが、間違いなく「汚染水」であり、福島のこれらをどうしても海洋放出しなければならない別の訳が、原子力村(=原子力マフィア)にはあると言います…。》

 やはり、「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる。
 通常運転している核発電所からのトリチウムと東京電力核発電人災の処理水という名の汚染水中のトリチウム (など) を同列に論じていいのですか? そもそも両者の排出量は同程度なのですか? 年間排出総量で大雑把に20倍ほど、それを30年間ほど実施しようとしているのではないですか? さらには、建屋内に残っているトリチウムは1000Bqを超えているのでは?

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
     超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?
    「『ふくしま原発作業員日誌』…。片山夏子記者による労作。
     《著者のひたすらな記者魂に脱帽する》」

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》


 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No15】汚染水海洋放出は無責任の極み!】(https://www.youtube.com/watch?v=rUt5pk1oGJ8)も、とても勉強になりました。海洋放出以外の選択肢が示されています。

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https://www.youtube.com/watch?v=IKbHdkdE5iU



西谷文和 路上のラジオ 第52回「佐高信さん講演会」&「小出裕章さん緊急インタビュー」
2021/04/30

【特集1】小出裕章さん 3.11を忘れない「ズバリ!教えて!東京電力福島第一原発のトリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ」

【特集2】佐高信さん「スガ政治を許さない!連続講演会・佐高信が斬る菅義偉総理大臣の 10の大罪」(大阪市天王寺区民センターにて2021/4/17収録)

第52回の路上のラジオは、ふたつの特集をお届けします。まず前半は、「3.11を忘れない」緊急インタビュー。元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお電話でお話しを伺います。スガ政権が、福島第一原発のトリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出する決定をしましたが、本当にこんな暴挙が許されてよいのかについて、小出さんには政府御用学者ではない冷静な科学者の視点で丁寧に解き明かしていただきます。処理水といいますが間違いなく「汚染水」であり、福島のこれらをどうしても海洋放出しなければならない別の訳が、原子力村(=原子力マフィア)にはあると言います・・。

そして番組後半は、先日 4 月 17 日に大阪市天王寺区民センターで開催しました「路上のラジオ」主催イベント「スガ政治を許さない!連続講演会・佐高信が斬る!菅義偉総理大臣の 10 の大罪」の模様を録音でお届します。「特権」と「人権」、双極にあるこの構図をどう読み解くべきか、毒舌ふくめ佐高節が今回も炸裂します!

盛りだくさんの「路上のラジオ」第52回、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください!

00:03 前枠 TM~
03:55 特集1(小出裕章さん) Jingle~
32:35 特集2(佐高信さん)   Jingle~
56:38 後枠 ETM~
57:43 アナ尻
60:00 曲尻 ETM FO~

<お知らせ>
 5月1日に予定しておりました前川喜平さんをお迎えしての「スガ政治を許さない!連続講演会」の2回目は、緊急事態宣言による会場閉館のため、止むを得ず延期とさせていただきます。今後につきましては、決まり次第「路上のラジオ」公式ホームページ等で改めてお知らせいたします。楽しみにしていてくださった方にはたいへん申し訳ございません。

※「路上のラジオ」の本!こちらもぜひ手に取ってみてください。
西谷文和・著 路上のラジオからの新刊(日本機関紙出版センター)
「ポンコツ総理 スガーリンの正体すべてはウソと八百長だった」
https://www.kikanshi-book.com/%E3%81%...

※「路上のラジオ」からご支援のお願い
このラジオ番組は、どのような権力からも自由であるために、あえて企業スポンサーを持ちません。ですのでリスナーの皆さまからのご寄付だけで番組を制作・配信しています。リスナーの皆さまおひとりとりのあたたかいお志しがあって、ラジオ局やYouTubeを通してたくさんの方々にお伝えすることができているのです。心から感謝しますとともに、ますますの応援をどうぞよろしくお願いいたします。
ご寄付の詳細は、「ご支援のお願い」をご覧ください。
https://www.radiostreet.net/donation/

いつもご愛聴くださり誠にありがとうございます!
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https://www.youtube.com/watch?v=rUt5pk1oGJ8

【原発耕論 No15】汚染水海洋放出は無責任の極み! 
20210515
デモクラシータイムス



虚構の安全神話だった原子力発電所
今なおデブリの取り出しは目処立たず、増え続ける汚染処理水を安易に海洋放出をすすめる国の方針は本当に問題ないのか
コロナ対応で科学的根拠の欠落が指摘される中、果たして放射能に関して根拠は正しのか

放射線がDNAに与える影響を崎山さん、海洋放出以外の処理方法を川井さんが解説
流し始めてからでは遅い、なし崩しの原子力政策はもういらない


訂正
29:05 ~ 29:28
肝組織の核内にトリチウムが入った図には、ベーター線が周辺の細胞を貫いているように書いてありますが、トリチウムの飛程は0.6μですから核(直径6-8μm)に入った場合、核内から外には出ません。
編集時の誤った認識で間違った表現を行ってしまいました。
誤った情報を発信し、お詫び申し上げます。
文責・デモクラシータイムス


ゲスト:満田夏花さん(FoEジャパン 事務局長)
    菅波完さん(高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
    崎山比早子さん(元国会事故調委員、高木学校)
    川井康郎さん(プラント技術者の会)
司会:鈴木耕(デモクラシータイムス)
収録は、2021年5月15日

原子力市民委員会
http://www.ccnejapan.com/
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●核汚染水の海洋放出: 大島堅一さん《「問題ない」「できます」と言っているのは東電や政府だけで、信用できる状況にはありません》

2021年06月08日 00時00分09秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


// (2021年05月02日[日])
原子力市民委員会座長大島堅一さんへの、日刊ゲンダイのインタビュー記事【原子力市民委員会座長に聞く「汚染水海洋放出」の危険度】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/288330)。

 《廃炉作業が進む東京電力福島第1原発。日本政府は先日の関係閣僚会議で、敷地にあるタンクで保管しているALPS(多核種除去設備)処理汚染水について、2年後をめどに海洋放出処分を決定した。政府方針によると、処理汚染水に含まれる放射性物質のトリチウムを国の放出基準40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)を下回るよう薄めてから放出。保管される処理汚染水を含めて処分には今後30~40年かかる見通しという。だが、この政府方針対し、地元福島の漁業関係者だけでなく、国内外の専門家から反対の声が上がる。政府方針の何が問題なのか。原子力市民委員会座長を務める大島堅一・龍谷大政策学部教授に聞いた》。

   『●東京電力に資格無し…さらには《なめている》そういったデタラメな
     東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である

 《ALPSにしても、本来は本格運転前に原子力規制委員会の検査をパスする必要があるのに、2013年に稼働してから今に至るまで使用前検査が「未了」なのだから呆れます。海洋放出できる、できない、という理屈論の前に、議論の前提が成り立っていないのです》…またしても、原子力「寄生」委員会の無責任ぶり。《東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である》。
 《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」。「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への影響は心配ありません」…だそうです。自公政権の皆さんや原子力「寄生」委員会の面々に、是非、飲んでいただきたいものです。

 総量規制と半減期。体内に取り込み、排出されなければ、一生涯体内で放射線を放出し続け、周辺の細胞の遺伝子を破壊し続ける。やはり、海洋放出など、許されない暴挙…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》。
 「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れます。風評被害どころではなく、実害を生じると思いますよ。《実際、今年の3月11日には、国連の特別報告者5人が共同で声明を発表し、汚染水の海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなどと指摘し、「汚染水は環境と人権に重大なリスクをもたらす」「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と警告》。《「誤った情報」を発信してきたのは誰なのか》?
 《とても民主的な意思決定とは思えません。こういう見切り発車的な強引なやり方では国民の理解は到底得られません。放射性廃棄物処分の歴史を見ても必ず失敗すると思います》…こんな腐りきった政権を誰が支持したの? 自公お維議員等に、投票してはいけない。

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
     超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は基準値を
          大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》

 ついでなので、先日頂いたコメントに対する回答を、ここにも:

――――――――――――――――――――――
https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/5647d1b0ad35300953929b2aa04b33b1#comment-list

■海洋放出という愚行に《X年後》を恐れる…《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》 (A.S.)
2021-05-04 13:38:41

●福島第2原発の敷地を使ってはどうでしょう。
●1槽あたりのタンクの容量を増やしてはどうでしょう。
●最も安易な海洋放出、それ以外の方法をなぜ検討しないのでしょうか?
●「水道水にトリハロメタンや塩素が含まれているのに何故マスコミは騒がないのでしょう」…これは古くからある問題で、新聞紙上でも騒がれました。オゾンやUVに切り替えることも出来ますが (難分解性物質対策等やクリプト対策で一部導入済みです)、我が国の水道法では塩素消毒を用いることが法的な決まりになっています。塩素の残留性に期待し、末端の水道栓まで消毒効果を維持することに期待しています。その代わり、水道水の水質基準にはTHM類が指定され、濃度が制御されています。70年間飲み続けて、10万人に1人までリスクが下げてあります。
●「いくつか核種やトリチウムが含まれている」のならば、希釈して濃度を下げても、総量は同じですから、私は放出すべきではないと思います。
●いずれにしろ、何も規制しない原子力規制(寄生)委員会にさえ呆れられる東電がまじめにやるとは思えません…。
――――――――――――――――――――――

 その際、書き忘れたのですが、まずは、核発電所を止めましょう。死の灰を増やしながら、海洋放出を検討するなど、正気とは思えません。それから、いつもお願いしていますが、福島第1原発周辺を「原状回復」して見せて下さい。話しはそれから。

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/288330

原子力市民委員会座長に聞く「汚染水海洋放出」の危険度
公開日:2021/04/25 06:00 更新日:2021/04/25 06:00

     (大島堅一氏(C)日刊ゲンダイ)

 廃炉作業が進む東京電力福島第1原発。日本政府は先日の関係閣僚会議で、敷地にあるタンクで保管しているALPS(多核種除去設備)処理汚染水について、2年後をめどに海洋放出処分を決定した。

 政府方針によると、処理汚染水に含まれる放射性物質のトリチウムを国の放出基準40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)を下回るよう薄めてから放出。保管される処理汚染水を含めて処分には今後30~40年かかる見通しという。

 だが、この政府方針対し、地元福島の漁業関係者だけでなく、国内外の専門家から反対の声が上がる。政府方針の何が問題なのか。原子力市民委員会座長を務める大島堅一・龍谷大政策学部教授に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 ――まず、今回の政府方針についてどう思いますか。

 処理汚染水の海洋放出について、政府は当初、昨年10月に決める予定でしたが、地元漁業関係者らの強い反発でいったんは断念せざるを得なくなりました。あれから数カ月しか経っておらず、状況も変わっていないのに海洋放出を決めたわけで、非常に拙速だと思います。

 ――政府や東電は、処理汚染水は国の基準以下に薄めるので放出しても問題ない、と主張しています。

 処理汚染水にはトリチウムだけでなく、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129など他の放射性物質が残留しており、その約7割が(環境放出が可能な基準値未満となる)告示濃度比総和を上回っています。つまり、このままでは流すことはできません。東電は処理汚染水を再びALPSで処理する、などと説明していますが、どうなるかはまだ分かりません。

 ――東電はALPSが稼働した際、トリチウムは取り除けないものの、他の放射性核種は基準以下にすると説明していました。しかし、2018年8~9月に処理汚染水に基準を超えるストロンチウム90などが見つかりましたね。

 「問題ない」「できます」と言っているのは東電や政府だけで、信用できる状況にはありません。そもそも、ALPSにしても、本来は本格運転前に原子力規制委員会の検査をパスする必要があるのに、2013年に稼働してから今に至るまで使用前検査が「未了なのだから呆れます。海洋放出できる、できない、という理屈論の前に、議論の前提が成り立っていないのです。


■民主的な決定とはかけ離れた政府と東電の姿勢

 ――大手メディアなどでは、他国の原子力発電所でもトリチウムを含んだ処理水を海洋放出しているので問題ない、との論調が見受けられます。

 福島第1原発からの処理汚染水は、原子力規制委員会でも「かけ流し」と言われているように、水が燃料デブリなどに直接触れるなどして、いろいろな放射性物質が混ざったものです。この水は、他の原発から排出されている(冷却などに使った)処理水とは全く異なります。このことは原子力規制委員会委員長も述べています。それに「薄める」というが、濃度を実際に測りながら流すのではではなく、「これくらいの濃度の処理汚染水があるから、この位の水と混ぜればよい」というもののようです。また、どこから、どのように海洋放出するのかさえも決まっていません。2年後をめどと言うが、工期も何も決まっていないし、分からないのです。

 ――原子力市民委員会などは処理汚染水を海洋放出するのではなく、モルタル固化処分や石油備蓄タンクのような大型タンクによる貯蔵方法を提案しています。

 放射性廃棄物の問題というのは長期間にわたります。だからこそ、どういう処分方法がいいのかということは、幅広い議論をし、より選択の幅を広げておくことが不可欠だと考えています。海洋放出のように、いったん始めたら元に戻れない、戻せないよう方法は避けるべきなのです。例えば、モルタル固化処分すれば、トリチウムの量は120年で1000分の1ぐらいに減ります。将来、土地の利用も可能になるかもしれません。しかし、政府や東電はまともに検討すらしません

 ――このまま海洋放出の方向で進むとどうなると思いますか。

 政府、東電はとにかく結論ありきです。2018年の公聴会では、ほとんどが反対意見であったためか、それ以降、開かなくなり、国民に、都合のいい説明ばかりしています。海洋放出にしても、東電は福島の地元漁業関係者らと同意がない場合はやらないと書面で約束していたにもかかわらず、それを反故にして「放出すると決めたのでご理解ください」と。とても民主的な意思決定とは思えません。こういう見切り発車的な強引なやり方では国民の理解は到底得られません。放射性廃棄物処分の歴史を見ても必ず失敗すると思います。

(聞き手=遠山嘉之/日刊ゲンダイ)


大島堅一(おおしま・けんいち) 1967年生まれ。一橋大社会学部卒、同大大学院経済学研究科修了。高崎経済大学助教授、立命館大学国際関係学部教授などを経て現職。「原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)」で第12回大佛次郎論壇賞受賞。
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●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》

2021年05月25日 00時00分36秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


 (2021年04月25日[日])
琉球新報のコラム【<金口木舌>青い地球】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1307902.html)。

 《▼その海洋に原発事故の処理水を放出するという。除去できない核物質が含まれる懸念がある。政府は基準値を大きく下回るまで薄めるというが、流れ込むのは一つの海。物質の総量は変わらないのではないか ▼「水(みじ)や洗(あら)てぃん飲(ぬ)まらん」は悪に染まれば抜けにくいと戒めることわざ。比謝川の再生に尽力した中根章さんが「水を大切にせよ」とそのままの意味で使っていたのが思い出される》。

 《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」。「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への影響は心配ありません」…だそうです。自公政権の皆さんや原子力「寄生」委員会の面々に、是非、飲んでいただきたいものです。

 総量規制と半減期。体内に取り込み、排出されなければ、一生涯体内で放射線を放出し続け、周辺の細胞の遺伝子を破壊し続ける。やはり、海洋放出など、許されない暴挙…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》。
 「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れます。風評被害どころではなく、実害を生じると思いますよ。《実際、今年の3月11日には、国連の特別報告者5人が共同で声明を発表し、汚染水の海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなどと指摘し、「汚染水は環境と人権に重大なリスクをもたらす」「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と警告》。《「誤った情報」を発信してきたのは誰なのか》?

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
     超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?
    「『ふくしま原発作業員日誌』…。片山夏子記者による労作。
     《著者のひたすらな記者魂に脱帽する》」

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1307902.html

<金口木舌>青い地球
2021年4月20日 05:00
金口木舌 宇宙探査 原発事故 放射能汚染

 「地球は青かった」。1961年4月に宇宙に飛び立ったユーリー・ガガーリンの有名な言葉だ。人類で初めて肉眼でとらえた地球の海と大気の層の青である

▼そのわずか2時間足らずの初飛行から60年。宇宙飛行は大きく変わった。昨年11月に宇宙船に乗った野口聡一飛行士は現在も宇宙に滞在中だ。船外活動も行われるようになった

▼変わらない地球の美しさを撮影して野口さんはツイッターにたびたび写真を載せている。大洋に浮かぶ島々、濃く深い色の湖。先日は「#美ら島」の検索目印を付け沖縄の島をアップした。さまざまな青が彩る地球はやはり水の惑星の表現がぴったりだ

▼その海洋に原発事故の処理水を放出するという。除去できない核物質が含まれる懸念がある。政府は基準値を大きく下回るまで薄めるというが、流れ込むのは一つの海。物質の総量は変わらないのではないか 

▼「水(みじ)や洗(あら)てぃん飲(ぬ)まらん」は悪に染まれば抜けにくいと戒めることわざ。比謝川の再生に尽力した中根章さんが「水を大切にせよ」とそのままの意味で使っていたのが思い出される

▼宇宙探査には地球外生命体を探る使命もある。存在の鍵はやはり水の存在だという。生命と水の不思議な結び付きだ水をたたえた私たちの惑星をいつまでも守らねばならない。「かつて地球は青かった」と振り返ることのないように。
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●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?

2021年05月01日 00時00分33秒 | Weblog

[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]


 (2021年04月25日[日])
志真秀弘氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕ひたすらな記者魂に脱帽する〜『ふくしま原発作業員日誌』】(http://www.labornetjp.org/news/2021/hon200)。片山夏子記者による労作。《著者のひたすらな記者魂に脱帽する》。

 《4月13日、政府は東京電力福島第一原発の汚染水(現在約125万トン)を海洋放出することを決めた。炉心溶融事故から10年、避難したままの人たちは、いまだ4万人を超えるどれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか。放出汚染水は処理されているから普通に飲める水ですよと嘯いた大臣がいるらしいが、もはや人間の顔を粧っているに過ぎないと断じたくなる。本書は2011年3月の原発事故のあと、イチエフの現場で働く作業員に、9年間にわたり話を聞き続けた記録である。2011年から年毎に章立てがされている。作業員は全員仮名だが、「シンさん」「ハッピーさん」「ユウスケさん」などの名前で現れる人と「作業員」とだけ記されている人を合わせて、ざっと数えただけで、40人をこえる。おそらく実際にはその何倍もの人たちに話を聞いているに違いない。現地に通い、これだけの人にインタビューするのは大変な労力が必要だっただろう。(志真秀弘)》。

 《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」。「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への影響は心配ありません」…だそうです。自公政権の皆さんや原子力「寄生」委員会の面々に、是非、飲んでいただきたいものです。

 海洋放出など、許されない暴挙…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》。
 「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れます。風評被害どころではなく、実害を生じると思いますよ。《実際、今年の3月11日には、国連の特別報告者5人が共同で声明を発表し、汚染水の海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなどと指摘し、「汚染水は環境と人権に重大なリスクをもたらす」「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と警告》。《「誤った情報」を発信してきたのは誰なのか》?

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
         原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
        影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」


 ゴールデンラジオ (2021年03月07) のゲストは東京新聞・片山夏子記者でした。

   『●原発で働く: 「コスト優先」、「命は二の次」
    「東京電力原発人災の処理にあたる作業員の言葉はなかなか伝わって
     こない。「◇まるで戦場」「◇命は二の次」「◇コスト優先」など、
     見出しだけでも憂鬱になる言葉が並ぶ」

   『●特定秘密隠蔽法と恫喝:
      被曝労働の上に世間に「声」を発することも許されず
   『●東京都知事選: 福島からの眼……
     「反対はしないが、その前にすることがあるのではないか」
   『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
     「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
   『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
         どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…

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http://www.labornetjp.org/news/2021/hon200

〔週刊 本の発見〕『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』

週間 本の発見
毎木曜掲載・第200回(2021/4/15)

ひたすらな記者魂に脱帽する
ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円) 評者:志真秀弘


 4月13日、政府は東京電力福島第一原発の汚染水(現在約125万トン)を海洋放出することを決めた。炉心溶融事故から10年、避難したままの人たちは、いまだ4万人を超えるどれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか。放出汚染水は処理されているから「普通に飲める水ですよ嘯いた大臣がいるらしいが、もはや人間の顔を粧っているに過ぎないと断じたくなる。

 本書は2011年3月の原発事故のあと、イチエフの現場で働く作業員に、9年間にわたり話を聞き続けた記録である。2011年から年毎に章立てがされている。作業員は全員仮名だが、「シンさん」「ハッピーさん」「ユウスケさん」などの名前で現れる人と「作業員」とだけ記されている人を合わせて、ざっと数えただけで、40人をこえる。おそらく実際にはその何倍もの人たちに話を聞いているに違いない。現地に通い、これだけの人にインタビューするのは大変な労力が必要だっただろう。聞かれる人は、自分が話したことが知られたら働けなくなるのがわかっている。聞く場所を選ぶのも大変な難儀だ。たいていは空いた居酒屋あたりになる。

 事故から1年も経たない2011年12月6日、野田首相(当時)は冷温停止が達成され事故そのものは収束したと宣言した。それを聞いた現場の怒りは激しかった誰が核燃料を取り出しにいくんだ、「政府は嘘ばっかりだ」。「ろくに原子炉建屋に入れないのに」収束なんてありえないだろう。ところが厚労省は「宣言」を機に、緊急作業時の被曝限度を引き下げ大半の作業を「通常作業」とした。その結果競争入札が進んで賃金も危険手当も下げられた

 原発事故をめぐる政治の急転に、そしてそれに振り回される現地の状況にわたし自身全く無自覚だった。〈その時自分は何をしていたのか!〉と思う。東電も時の政権も、これほど早くから人々の記憶を1日も早く消し去ろうとしていたのか。前後して20Km圏内、30Km圏内の線が引かれ「賠償される家、されない家」に分けられる。作業員のリョウさんは「家族が別々に暮らすのはどんなに大変なことか」とつぶやく。当たり前の日常生活がどれほど大切かが、わたしの胸にも染みてくる。

 ところが、2013年9月安倍首相(当時)は「状況はアンダーコントロール」と言い放ってオリンピック招致を成功させた。この時、現場は「汚染水もれで大騒ぎになっているのにとの怒りを押し殺して、これからの作業進行への不安を語る人が多く、複雑な反応だったと記されている。一人ひとりの作業員の仕事への誠実な気持ちはこのことからも痛いほど伝わる。「生まれた場所を元に戻したい」、「誇りを持ってやってきた」と語る人も多い。わたしが〈あるくラジオ〉でインタビューしたあらかぶさんは北九州生まれだが「人の役に立ちたい」と思ったと話していた。その真正直な気持ちは現場で働く作業員に共通することがこの本からよくわかる。その気持ちを裏切り続ける政治と対照的な人間性がそこに生きている。反原発集会が大きく広がったのは2012年の初夏だったが、そこに参加した時の気持ちも本書は呼びさまし、励ましてくれた。著者のひたすらな記者魂に脱帽する


【200回の記】
 〔週刊 本の発見〕は今回でちょうど200回になります。第1回は2017年2月15日で、取り上げたのは『プリズン・ブック・クラブーコリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』(アン・ウォームズリー著、向井和美訳)でした。1回に数冊を紹介した回もありますから、200冊を超える本がこれまでに書評されたことになります。出発の頃は、ネットで書評する試みは稀でした。それが4年を超え200回に届いたのは、読者のみなさんの支えがあってのことです。出版社や著者の方からの紹介依頼も増えています。これからもレイバーネットにふさわしい、ときに遊び心も交えて、良い本、面白い本をひろく紹介していきたいと思います。この欄がさらに大きく育っていくように皆様のご支援のほどよろしくお願いします。
 なお同じ年(2017年)7月に始まったレイバーブッククラブ読書会も4月24日に28回を迎え、オンラインで開催されます。とり上げるのは『縁食論―孤食と共食のあいだ』(藤原辰史)です。「本の発見」週刊化を契機に始まった読書会ですが、コロナ禍をオンラインで切り抜けて進んでいます。こちらもどうぞよろしく。(志真秀弘
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●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」

2021年04月29日 00時00分16秒 | Weblog

[『放射線を浴びたX年後』(http://x311.info/part1.html)↑]


(2021年04月18日[日])
琉球新報のコラム【<金口木舌>かわいらしいトリチウム】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1305114.html)。

 《▼チラシには「トリチウム健康への影響は心配ありません」と書かれている。トリチウムが入った水を飲む男性の絵も描かれている。「誤った情報に惑わされないために」とも》。

   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
            原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」

 《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」。
 「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への影響は心配ありません」…だそうです。自公政権の皆さんや原子力「寄生」委員会の面々に、是非、飲んでいただきたいものです。

 許されない暴挙…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》。

   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》

 「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れます。風評被害どころではなく、実害を生じると思いますよ。《実際、今年の3月11日には、国連の特別報告者5人が共同で声明を発表し、汚染水の海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなどと指摘し、「汚染水は環境と人権に重大なリスクをもたらす」「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と警告》。《「誤った情報」を発信してきたのは誰なのか》?

 実際に、X年後に問題が生じたときに、東電や自公政権、自公お維議員、原子力「寄生」委員会の面々は、どうやって広く拡散した放射性物質をこの広い海から回収し、「原状回復」して見せてくれるのだろう? ソレは「お前のモノだろう」「東電の所有物だろう」、自分で対処しなさいよ。

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」

 《原発事故の“戦犯”であり、原発の見直しをおこなうべきときに再稼働というありえない方向へと突き進めさせた責任者が、今度は原発の「新増設」を推進させようとは──。》
 最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●最大の戦犯アベ様「(全電源喪失)事態が発生するとは考えられない」

     ――― 津波・冷却機能喪失対策をとらずに東京電力核発電人災が発生

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1305114.html

<金口木舌>かわいらしいトリチウム
2021年4月15日 05:00
金口木舌 海洋放水 原発事故 トリチウム 福島第1原発

 丸い顔につぶらな瞳。目や鼻などのパーツが中心に集中したかわいらしい顔はゆるキャラを思わせる。頭の上には中性子、陽子を表す記号がある。復興庁がホームページで公開した動画やチラシに登場する放射性物質トリチウムのキャラクターだ

▼チラシには「トリチウムの健康への影響は心配ありません」と書かれている。トリチウムが入った水を飲む男性の絵も描かれている。「誤った情報に惑わされないために」とも

▼政府は東京電力福島第1原発で増え続ける処理水を、海洋放出する方針を決めた。処理水にはトリチウムが含まれているが、海水で薄めて海に流すという

▼これまでに浄化後の水にトリチウム以外の放射性物質が除去しきれず、残留していたことも判明している。漁業関係者の理解は得られていない。中国や韓国、台湾からは批判を浴びている

▼文部科学省がかつて学校に配布していた副読本は原発について「大きな地震や津波にも耐えられる」などと記述し、原子力発電の有益性を強調していた。しかし福島第1原発はメルトダウンし、放射性物質による汚染を引き起こした。「誤った情報」を発信してきたのは誰なのか

▼国策に振り回される被災地の境遇は、沖縄戦で焦土となり、現在も米軍基地の被害に苦しむ沖縄に通じる。かわいらしい官製キャラクターに危うさを感じずにはおれない。
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●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」

2021年04月25日 00時00分51秒 | Weblog

[『放射線を浴びたX年後』(http://x311.info/part1.html)↑]


 (2021年04月17日[土])
リテラの記事【菅政権「原発汚染処理水の海洋放出」はゴマカシだらけ…一方、自民党では安倍晋三が顧問になって「原発新増設」を推進する議連が発足】(https://lite-ra.com/2021/04/post-5852.html)。

 《この決定はあまりにも非道と言わざるを得ない。菅首相は7日に全国漁業協同組合連合会の岸宏会長や福島県漁連の野崎哲会長らと面会をおこなったが、そこでは反対の申し入れとともに、タンク増設などによって「汚染処理水」の保管を継続するよう要望がなされた。これに対し、菅首相は「しっかり受け止めて対応したい」と発言したというが、一体何を受け止めたというのだ。しかも、この面会に菅首相が費やした時間は、たったの20分。ようするに「関係者の声は聞いた」という既成事実をつくっただけ沖縄の新基地建設問題とまったく同じで、地元の民意をまるっきり無視して踏みにじったのである》。

 許されない暴挙…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》。

   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●海洋放出という愚行に《X年後》を恐れる…《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》

 「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れます。風評被害どころではなく、実害を生じると思いますよ。《実際、今年の3月11日には、国連の特別報告者5人が共同で声明を発表し、汚染水の海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなどと指摘し、「汚染水は環境と人権に重大なリスクをもたらす」「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と警告》。

 実際に、X年後に問題が生じたときに、東電や自公政権、自公お維議員、原子力「寄生」委員会の面々は、どうやって広く拡散した放射性物質をこの広い海から回収し、「原状回復」して見せてくれるのだろう? ソレは「お前のモノだろう」「東電の所有物だろう」、自分で対処しなさいよ。

   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
    「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ
     原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
     政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
     とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
    《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
    《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
     飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》

   『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
             …裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った
    《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
     土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
     だから、東電に原状回復してもらう。」》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
     対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」

 《原発事故の“戦犯”であり、原発の見直しをおこなうべきときに再稼働というありえない方向へと突き進めさせた責任者が、今度は原発の「新増設」を推進させようとは──。》
 最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]アンダーコントロール】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/738238)によると、《東京電力福島第1原発の事故後、取材で何度か現場に足を運んだ。2012年12月、安倍晋三首相に同行して視察した際、敷地内には処理水をためる巨大なタンクがすでに林立していた▼その9カ月後、安倍氏は五輪誘致を巡って「(汚染水は)アンダーコントロールされている」と国際社会にアピールした》。

   『●最大の戦犯アベ様「(全電源喪失)事態が発生するとは考えられない」
     ――― 津波・冷却機能喪失対策をとらずに東京電力核発電人災が発生

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https://lite-ra.com/2021/04/post-5852.html

菅政権「原発汚染処理水の海洋放出」はゴマカシだらけ…一方、自民党では安倍晋三が顧問になって「原発新増設」を推進する議連が発足
2021.04.13 09:32

     (海洋放出について会見する菅首相(首相官邸HP))

 菅政権が暴挙に出た。本日13日、菅義偉首相が官邸で関係閣僚会議を開き、東京電力福島第一原発で増えつづける放射性物質トリチウムを含む「汚染処理水」について、海洋放出する方針を正式決定。政府が交わしていた「関係者の理解なしにはいかなる処分もおこなわない」という約束を反故にしたのだ。

 この決定はあまりにも非道と言わざるを得ない。菅首相は7日に全国漁業協同組合連合会の岸宏会長や福島県漁連の野崎哲会長らと面会をおこなったが、そこでは反対の申し入れとともに、タンク増設などによって「汚染処理水」の保管を継続するよう要望がなされた。これに対し、菅首相は「しっかり受け止めて対応したい」と発言したというが、一体何を受け止めたというのだ。

 しかも、この面会に菅首相が費やした時間は、たったの20分。ようするに「関係者の声は聞いた」という既成事実をつくっただけ沖縄の新基地建設問題とまったく同じで、地元の民意をまるっきり無視して踏みにじったのである。

 だいたい、政府は海洋放出の方針について「国民理解の醸成に取り組む」としていたが、そんなものはまったくなされていない。いや、むしろ不安のほうが高まっている

 まず、「汚染水」とは原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れた冷却水や地下水のことで、高濃度の放射性物質を含む。毎日100トン以上生じているこの汚染水を多核種除去設備「ALPS」(アルプス)で浄化した「処理水」を入れるタンクと敷地は来秋に満杯になると見られている。そのため、政府は「処理水」を希釈し、「ALPS」では除去できないトリチウムにかんしては放出する年間総量を原発事故前の福島第1原発の放出管理量である年間22兆ベクレルを下回る水準にまで下げた上で放出するという。

 だが、11日に発表された原子力市民委員会の緊急声明では、この年間22兆ベクレルというのは〈福島第一原発の事故前の放出管理目標値(上限)であり、実際の放出実績は、年間約2兆ベクレルであった〉と指摘。つまり、原発事故前に福島第一原発が放出していたトリチウムの10倍もの量となるのだ。


■浄化されたはずの汚染水から、ストロンチウム90など基準値の約2万倍の汚染物質が

 東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」だのと言い、原子力ムラの御用学者らもトリチウムは自然界にもある」「トリチウムは低濃度なら体内にたまらず排出されるなどと喧伝しているが、一方で「トリチウムは水素と同じ動きをするが、体内でたんぱく質や糖などとくっつくと排泄されず年単位で体内に残る可能性がある」という意見もあり、公聴会でも研究者らが人体の内部被ばくや食物連鎖によって濃縮されるという問題を指摘している。

 しかも、「ALPS」はトリチウム以外の放射性物質を完全に除去できるわけではない。実際、2018年には、浄化されたはずの汚染水約89万トンのうち8割超にあたる約75万トンから、ストロンチウム90など基準値の約2万倍の汚染物質が検出されたことが明らかになっているのだ。

 政府の意向に沿って、ほとんどの新聞やテレビが海洋放出される水を「処理水」と呼んでいるが、現在の処理ではトリチウムが除去できない上、汚染物質が検出されたことを考えても「処理水」「浄化された水」ではなく、実態は、依然として放射性物質が含まれる「汚染水」と呼ぶべき状態なのだ。これで「放出しても安全」だとなぜ言い切れるだろう。

 実際、今年の3月11日には、国連の特別報告者5人が共同で声明を発表し、汚染水の海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなどと指摘し、「汚染水は環境と人権に重大なリスクをもたらす」「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と警告をおこなっているのだ。

 にもかかわらず、政府は「海洋放出ありき」で、他の方法を模索しようともしなかった。前述した原子力市民委員会は〈堅牢な大型タンクによる保管継続か、モルタル固化処分〉を提案し、漁連もタンク増設を求めているが、それも無視。さらに、近畿大学などのチームはトリチウムの除去技術を開発しているが、政府が海洋放出とは違う新たな方法を検討した形跡は見られない。

 いや、「海洋放出しても安全」と言い張るのならば、政府はまず、その「浄化された水」にはどんな放射性物質がどれくらい残っているのか、それは人体にどういった影響を及ぼすのかといったデータを世界に対してしっかりと示し、納得を得るのが筋だろうその努力もせず、データも示さず、国内外からの懸念や反対の声を押し切って強引に海洋放出の方針を決定するなど、言語道断だ

 いずれにしても、今回あらためて浮き彫りになったのは、汚染水の安全な処理さえ検討しようとしないこの国で、原発の運用などもってのほかだということだ。それでなくても東電をめぐっては、福島第一原発の3号機に設置されていた地震計2台の故障を確認しながら半年以上も放置していたことや、柏崎刈羽原発ではID不正使用による中央制御室進入事件が発生していたことなどが続々と発覚。だが、国はそんな危機管理体制が杜撰を極める東電に何から何まで任せきりにしているのである。恐ろしいにも程があるだろう。


■原発新増設推進議連は、安倍が顧問、稲田朋美が会長 総会では櫻井よしこが講演

 ところが、政権与党の自民党では信じられない動きまで出てきた。昨日12日、自民党は原発の新増設・建て替えを推進する議員連盟を発足させ、会長に稲田朋美・元防衛相、そして顧問には、あの安倍晋三・前首相が就任したのである。

 また、この議員連盟の設立総会では、櫻井よしこ氏と奈良林直・北海道大学名誉教授が講演。櫻井氏は“原発技術は軍事面でも大きな意味を持つ”などと主張し、原発広告にも頻繁に登場してきた極右原発推進論者であり、一方の奈良林教授は福島第一原発事故後にテレビによく出演していた“原子力ムラの御用学者”。「塩は200グラム取ると致死量。プルトニウム239の経口致死量は32グラムですから、毒性は塩と大差ないんです」などと発言したことで物議を醸したこともある人物で、昨年には日本学術会議問題で悪質なデマを流していた(詳しくは既報参照 → https://lite-ra.com/2020/10/post-5672.html)。

 さらに、この設立総会に参加したというネトウヨ極右の杉田水脈・衆院議員は、〈安全な原発の再稼働、増設を急がなければ日本から技術力が失われます。安倍晋三顧問、稲田朋美会長の元、原子力政策の推進にも尽力して参ります〉などとツイートしている。

 原発がいかに人類の手に負えないものなのかは明々白々となっているというのに、あろうことか原発の新増設を掲げ、原発技術による核武装論を展開するようなゴリゴリの極右とトンデモ学者に講演をさせる──しかも重要なのは、安倍前首相が顧問になっていることだ

 本サイトでは何度も指摘してきたが、安倍前首相といえば、第一次安倍政権だった2006年、国会で福島原発事故と同じ事態が起きる可能性が指摘されたにもかかわらず「日本の原発でそういう事態は考えられない」として一切の対策を拒否し、東日本大震災後には原発事故の責任を当時の菅直人首相と民主党政権に押し付け、真実を追及するメディアを「捏造だ!」と恫喝、自身の重大責任を隠蔽してきた張本人。いわば原発事故の“戦犯”だ


■津波対策を拒否した福島原発事故の戦犯・安倍晋三が原発新設に向けて動き始めた

 その上、2012年に総理大臣に返り咲くと、あれほどの重大事故が引き起こしたというのに再稼働に舵を切り、側近中の側近だった今井尚哉氏の言いなりとなって「原発立国」の看板を掲げて輸出事業に躍起になった。ちなみに、原発輸出事業はすべて頓挫するという結果となったが、今井氏は菅政権の発足で首相補佐官兼秘書官から退くと、安倍政権下で原発を政府と一丸となって海外に売り込んでいた原発企業である三菱重工業の顧問に就任している。

 しかも、忘れてはならないことは、2013年におこなわれた東京五輪招致のスピーチで発した「アンダーコントロール」発言だ。本日ぶら下がり取材に応じた菅首相は、今回の海洋放出の決定がこの「アンダーコントロール」発言と矛盾しないかと問われるとまったく矛盾は生じないなどと述べたが汚染水の海洋放出は制御不能の証にほかならない

 このように、原発事故の“戦犯”であり、原発の見直しをおこなうべきときに再稼働というありえない方向へと突き進めさせた責任者が、今度は原発の「新増設」を推進させようとは──。だが、安倍前首相がこの期に及んでしゃしゃり出てきたのも、すべては菅首相の責任だ。菅首相はカーボンニュートラル実現を盾にして「原子力政策を進める」と明言し、昨年12月25日に公表された政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、〈安全最優先での再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくことが必要〉と明記。安倍前首相はこれに乗じて、自身の支持者である極右層のアピールに使おうとしているというわけだ。

 反対の声をあげる人びとの声を無視して強権的に汚染水の海洋放出を決めただけではなく、さらに原発の新増設に向けて走り出す。安倍政権からつづく狂気としか思えないこの動きにストップをかけるためには、来る衆院選で自民党政権にNOを叩きつけるしかない。

(編集部)
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●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?

2021年03月17日 00時00分13秒 | Weblog

[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)]


(20210228[])
海渡雄一さんによる、レイバーネットの記事【最高裁で確定させ国としての脱原発を確実に〜「千葉避難者訴訟」逆転勝訴の意義】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0223kaido)。

 《さる2月19日に千葉避難者訴訟について東京高裁(第22民事部 白井幸夫裁判長)が、東電と国の責任を認める判決を言い渡しました。この判決の推本の長期評価の信頼性と国の責任に関する判示部分は、私が被害者代理人としてかかわっている東電刑事裁判、原告代理人としてかかわっている東電株主代表訴訟の帰趨に大きく影響するものです。この裁判の一審判決では、国の責任を否定する判決が出されていましたが、東京高裁で見事に逆転勝訴判決を勝ち取られた原告団と弁護団に敬意を表したいと思います。この弁護団の団長は福武公子弁護士です。福武弁護士は、私も加わったもんじゅ訴訟弁護団の事務局長でした。以下、この判決の内容を紹介し、この判決の意義について述べたいと思います。(海渡雄一)》


 《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や国が「原状回復」してみせてくれよ。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれです。
     「あれだけの事故を起こして被害を出してだれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業なりわいを返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
      「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
      切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
       国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる
    「民事裁判では、地裁に続き高裁レベルで、《国と東電に損害賠償などを
     求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審福島地裁判決に続き
     両者に賠償を命じ》ました。仙台高裁上田哲裁判長によるものです。
      「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」という訴えが、
     一部認められました。

      国や東京電力が責任を果たす方法は明確で、簡単です。《原状回復
     して見せてくれればよいのです。もう10年が経とうとしています。
     さっさとお願いします。
      …出来ない、不可能というのであれば、やるべきことは一つしかない
     でしょ? 《国や東電は被災地を事故前の状態に戻すことができない
     現実を直視し》、何を為すべきですか?」

   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●《「国に法的責任はある」原発事故で千葉県に避難した人々が起こした
        訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》


 仙台高裁・上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁・白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決 ――― この判決の意義とは?
 白井幸夫裁判長は、《防潮堤の設置などの措置を講じていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかった」と認定。国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」とした》そうだ。真っ当な司法判断。

 責任をもって東電や国が「原状回復」して見せてくれよ! 10年が経ってしまいましたよ。いつになったら元の姿に戻してくれるの? 元の姿に戻してくれれば、皆さん喜んで福島に帰り、生業を取り戻すはずですよ。
 東京電力核発電人災から10年。あの人災から何の教訓を得ることもなく、何も変わらないニッポン。民主党政権末期・野田政権、アベ様・カースーオジサンによる《悪夢のような》、〝地獄〟の自民党政権は、核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないままです…。

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0223kaido

最高裁で確定させ国としての脱原発を確実に/「千葉避難者訴訟」逆転勝訴の意義

最高裁で確定させ国としての脱原発を確実に〜「千葉避難者訴訟」逆転勝訴の意義
海渡雄一(弁護士)

 さる2月19日に千葉避難者訴訟について東京高裁(第22民事部 白井幸夫裁判長)が、東電と国の責任を認める判決を言い渡しました。
 この判決の推本の長期評価の信頼性と国の責任に関する判示部分は、私が被害者代理人としてかかわっている東電刑事裁判、原告代理人としてかかわっている東電株主代表訴訟の帰趨に大きく影響するものです。
 この裁判の一審判決では、国の責任を否定する判決が出されていましたが、東京高裁で見事に逆転勝訴判決を勝ち取られた原告団と弁護団に敬意を表したいと思います。この弁護団の団長は福武公子弁護士です。福武弁護士は、私も加わったもんじゅ訴訟弁護団の事務局長でした(私は事務局次長)。2003年1月に名古屋高裁金沢支部で川崎和夫裁判長によって「もんじゅ設置許可無効」の逆転勝訴判決を勝ち取った原動力は福武弁護士と原発反対福井県民会議の小木曽美和子さん、そして毎回の法廷に私たちを支えるために出廷して下さった二人の原子力の専門家、久米三四郎さんと小林圭二さんでした。
 この判決は昨年九月の仙台高裁生業判決につづいて、高裁で二例目の住民勝訴判決となりました
 福武先生、おめでとうございます。そして、本当にありがとうございます。
 以下、この判決の内容を紹介し、この判決の意義について述べたいと思います。


第1 はじめに

 2021年2月19日東京高裁(白井幸夫裁判長)は、千葉の避難者が提起していた東電と国に対する損害賠償について、国の責任を認めなかった地裁判決を破棄し、いずれに対しても請求を認める判決を下した。
 その判決要旨は次のとおりとされている。

長期評価
 国の地震調査研究推進本部が平成14年7月に公表した「長期評価」は、三陸沖北部から房総沖の領域で、過去400年にマグニチュード8クラスの大地震が3回発生しているとし、約133年に1回の割合で同様の地震が、この領域内のどこでも発生する可能性があるとする。長期評価の信頼度は「やや低い」とされていたが、過去の地震データが少ないことによるもので、長期評価の基礎となっている科学的知見の信頼性が低いことが理由ではない。
 経済産業相は、土木学会が14年2月に策定して公表した「原子力発電所の津波評価技術」の知見によって規制権限行使の判断をしていた。長期評価と津波評価技術は、いずれも専門家が議論を重ねて得た見解で、科学的信頼性は同等といえる。新たな知見が示された場合、それまで判断の基礎としてきた知見と少なくとも同程度の科学的信頼性があると評価できるのに、新たな知見を判断の基礎としないのは著しく合理性を欠く。
 経産相は、長期評価が公表された後のしかるべき時期に東電に依頼するなどして、福島県沖で発生する可能性のある地震による津波の評価をしていれば、20年の推計結果と同様に、福島第1原発に敷地の高さを大きく超える津波が到来する危険性があることを認識し得た。敷地内が浸水して重大な事故が発生する恐れがあり、福島第1原発が技術基準に適合しないと判断することができる状態にあった。

規制権限不行使
 経産相は、事業者に技術基準適合命令を発するに当たり、事業者が講じるべき措置を想定している必要がある。津波の到来による原発の全電源喪失という重大な事故を防ぐため、防潮堤の設置やタービン建屋などの水密化を想定すべきだった。想定すべき対策が講じられていれば、津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかったと認めるのが相当だ。
 長期評価の公表から遅くとも1年後には技術基準適合命令を発することができたと認められ、それから地震発生までの約7年半を費やせば、技術基準に適合させるための措置を講じることは可能だった。規制権限の不行使と事故には因果関係が認められ、違法だ。

国と東電の責任
 事故は国の規制権限不行使と東電による原発の運転などが相まって発生したと認められる。国と東電は原告らの損害についてそれぞれ責任を負う。国の立場が二次的・補完的であるとしても、国の賠償責任の範囲を限定するのは相当ではない。

損害
 避難生活を余儀なくされた者は、不慣れな場所での生活による不便や困難を甘受しなければならなくなった上、生活の本拠に戻れるのかどうかなどの不安感や焦燥感を抱くことになり、精神的苦痛を被った。
 避難を余儀なくされ、生活物資の調達や周辺住民との交流、伝統文化の享受といった経済的、社会的、文化的な生活環境が基盤から失われた場合や、ある程度復興しても生活環境が大きく変容した場合は、慣れ親しんだ生活環境を享受することができなくなり、精神的損害を被ったといえる。
 暫定的な生活本拠での生活を続けるか、元の居住地への帰還を断念するかの意思決定をしなければならない状況に置かれることや、生活の継続や帰還の断念による精神的損害もある。」
 この訴訟の争点は、東電役員の法的責任をめぐる刑事裁判、株主代表訴訟の争点と、重なり合う点が多い。本稿においては、この判決の判示内容を確認し、これらの事件でも鋭く争われている推本の長期評価の信頼性に関する判示部分を中心に紹介し、長期評価には早期の津波対策の必要性を基礎づける高い信頼性があったことについて、原告の主張を補充的することとする。


第2 異論があったうえで、コンセンサスでまとめられた長期評価には高い信頼性が認められる

長期評価策定の目的

 判決は長期評価の策定の目的について次のように認定している。

「長期評価は,その取りまとめの主たる目的が,国民の防災意識の向上や,広く関係機関により地震防災対策に活用されることにあり,津波評価技術のように,原子炉施設の設置時に想定すべき地震や津波の評価等といった特定の施設や地域について地震や津波を評価する目的を持ったものではなく,想定津波の評価手法を示したものでもない。もっとも,原子炉施設も地震防災対策を要する施設であることはいうまでもなく,長期評価は,そのような施設のーつとしての原子炉施設の地震防災対策に活用されることも目的に含まれていたということができる。」(判決127ページ)


2 長期評価策定時における、海溝型分科会における様々な議論について

 判決は、推本策定時に、海溝型分科会において交わされた様々な議論についても詳細に認定しつつ、異論がありながら、これが多くの専門家によるコンセンサスでまとめられていった過程を、正確に認定している。
「例えば,慶長三陸地震については,メカニズムがよく分からない地震で,資料も少なく波源域も得られていないなどとの意見がある中で,明治三陸地震と同じ場所で起こったとして矛盾がないと整理がされたり,どこでも津波地震が起こるという考え方と明治三陸地震の場所で繰り返しているという考え方のどちらがよいかとの疑問に対して,慶長三陸地震がよく分からない以上,明治三陸地震の場所をとるしかないとの意見が出されたりした。また,延宝房総沖地震については,慶長三陸地震以上に震源域が明らかでなく,プレート問地震ではなく,プレート内地震であるとの指摘もあるとの意見が出るなどした。その後,慶長三陸地震,延宝房総沖地震,明治三陵地震が日本海溝沿いで発生した津波地震であるとして整理する案が示された際には,延宝房総沖地震を入れることへの異論が出るなどし,延宝房総沖地震を津波地震とする見解と津波地震でないとする見解の両論を併記してはどうかとの意見も出たが,その上で波源域が明らかとはいえない慶長三陸地震を入れるとこれが明らかになっているように見えてしまうなどの意見もあった。」
「このようなさまざまな意見が交わされる議論を経て,海溝型分科会では,最終的には,三陸沖で地震が起きる確率を示すことが重要であるなどの見解もあったことから,不確実であることは明記することなどとして,上記三つの地震を三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りの領域で過去400年間に発生した津波地震として扱うこととされたものであり,このような形で公表すること自体への異論が示された形跡はない。」(判決128ページ)


3 長期評価は法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表されたものである

 そして、判決は、長期評価が法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表されたものであることを正確に認定している。
 「三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りの領域について,これを一つの領域として扱い,この領域で過去400年に3回の津波地震が生じた可能性があるとする内容の長期評価をとりまとめるに当たっては,海溝型分科会の委員が,それまでの科学的知見を整理しながら,どのように過去の地震を評価するかについての議論を重ね,科学的知見が熱していない点については,異論も示されるなどした中,最終的に,専門家集団である海溝型分科会としての意見として集約したので、あって,それは,長期評価部会及び地震調査委員会に諮られ,法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表することとされたものである。」(判決129ページ)


4 さまざまな異論の検討を経てまとめられた見解は、「科学的信頼性が高められているともいうことができる」

 そして、結論として、長期評価が、さまざまな異論の検討を経てまとめられたものであり、このような経過自体から、「科学的信頼性が高められているともいうことができる」と、きわめて常識的で、良識に沿った判断が示されている。
 「長期評価は,上記(イ)のとおり,国の機関である地震本部に設置された地震調査委員会において,地震学,津波学等の専門家による種々の議論を経て取りまとめられ,公表されたものであって,その内容も,過去の大地震に関する資料に基づき,それまでの研究成果等を整理し,専門的・学術的知見を用いて将来の地震の発生についての見解を形成したものであることに鑑みれば,相応の科学的信頼性を有するものと評価することができる。
 なお,長期評価の主たる目的が,国民の防災意識の向上や,広く関係機関の地震紡災対策への活用にあることは前記のとおりであり,国民一般に地震発生の可能性を分かりやすく示し,いわば警鐘を鳴らすという観点がとりまとめの方法に反映されている面があり,長期評価自体において言及されているとおり,その後の精度の向上が期待されているものであることは否定できないが,それによって,長期評価の科学的信頼性が大きく減殺されるものではない。
 また,上記(イ)のとおり,とりまとめに向けた議論の過程で,三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りという領域で過去に3回の津波地震が発生したと整理することについては,いくつかの異論が示されたのであるが,長期評価の策定から現在に至るまで,地震や津波の発生メカニズムの解明は未だ十分でなく,その進展の途上にあるのであって,そのような状況の下では,異論が示されることは不可避で、あり,また自然なことというべきであって,そのような異論がある中で,過去の知見が整理され取りまとめられたという点においては,その科学的信頼性が高められているともいうことができる。」(判決129-130ページ)


第3 津波評価技術と長期評価の関係について

1
 津波評価技術とは何のためのものか

 判決は津波評価技術と長期評価の関係について判示をしている。しかし、津波評価技術は、津波の波源を設定した後の、津波高さの評価のための方法を示したものであり、津波波源について、検討を経て一定の見解を示したものではない。
 判決では、このことが誤解されている。
 判決はまず、津波評価技術の位置づけについて判示する。
 「津波評価技術は,原子力発電所の設計津波の設定を目的として策定されたものであり,既往津波の断層モデルを設定し,想定津波を選定して設計津波水位を検討するという手法を提示するもので,論理的,分析的であるだけでなく,設計津波水位を検討する過程で、の想定津波の波源領域区分の設定は,地震地体構造の知見に基づいており, 『これまでに培ってきた知見や技術進歩の成果を集大成して,現時点で確立しており実用として使用するのに疑点がないものを取りまとめたもの』とされているとおり,それまでの科学的知見を集約したものであるということができる。」としている。
 このまとめは、津波評価技術が「既往津波の断層モデルの設定」だけを目的とするように読み取れる点は疑問であり、津波評価技術も、七省庁手引きなどと同じように既往津波が特定されない場所での「想定津波」を想定すべきとしていた。この点を除けば、この認定は正しい。
 続いて、次のとおり、「その策定に関与した専門家や議論の過程,そしてそれを公表した主体のいずれにおいても,科学的信頼性の観点からみて,一方が他方に比して優位であるということはできない。」として、津波評価技術によって長期評価の信用性を低めることはできないと判示し、結果として国として長期評価に基づく検討が必要であったとの結論を導いており、結論においてはこの判断は正しいといえる。
 「津波評価技術と長期評価のいずれについても,地震学,津波学等の相当数の専門家を含む構成員が議論を重ね,しかも双方の議論に関与した専門家もある中で,その議論の結果として得られた見解を,一方は土木学会という学術的権威のある学会が,他方は地震本部という国の機関が公表したものであり,その策定に関与した専門家や議論の過程,そしてそれを公表した主体のいずれにおいても,科学的信頼性の観点からみて,一方が他方に比して優位であるということはできない。」


2 土木学会の津波評価技術は福島沖の日本海溝沿いの津波地震の可能性を検討して出されたものではない

 この判決は、土木学会の津波評価技術が、福島県沖における津波地震の可能性について検討し、福島沖で津波地震が起きないと判断していたことを前提としたうえで、二つの見解を比較している。
 判決78ページは、この前提について「福島第一原発付近の設計想定津波」との表題の下に、「津波評価技術では, 日本海溝沿いの海域において,北部では海溝付近に大津波の波源域が集中しており,津波地震・正断層地震も見られる一方,南部では,1677年の延宝房総沖地震を除き,海溝付近に大津波の波源域は見られず,陸域に比較的近い領域で発生していると整理された(丙ロ112・2-26頁)。
 この結果,津波評価技術では,福島県沖(日本海溝寄り)においては,1938年の福島県東方沖地震のみが既往の地震であり,福島県沖の日本海溝沿いでは津波地震が発生していないとし,福島県東方沖地震に基づくMw 7. 9の断層モデルを基準断層モデルとして設定したが,福島県沖の日本海溝沿いの領域には,津波の波源が設定されなかった(別紙12 「津波評価技術日本海溝沿い及び千島海溝沿いのプレート境界付近の断層モデル」参照) (丙7・1-59頁,丙112・2-29頁)。」
 この「福島県沖の日本海溝沿いでは津波地震が発生していないとし,福島県東方沖地震に基づくMw 7. 9の断層モデルを基準断層モデルとして設定したが,福島県沖の日本海溝沿いの領域には,津波の波源が設定されなかった」との認定は、東電と国の主張にもとづく認定であるが、前提を欠く議論である。
 土木学会では福島沖で津波地震が起きるかどうかの検討などはされていないのである。
 このことは、次に紹介する群馬訴訟の控訴審において、実施された津波評価技術の策定の中心人物であった東北大学の今村文彦氏による最新の証言記録や千葉訴訟における地裁段階での佐竹証言で明らかにされてきたところである。このことが踏まえられていないことは残念である。


3 添田氏による群馬訴訟控訴審における今村証言の紹介

 この点については、以下のジャーナリストの添田氏による群馬訴訟控訴審の公判報告を紹介する(2018年12月18日 添田孝史 「土木学会で安全確認実は検討していなかった。」ウェブサイト レベル7への投稿
 「土木学会で安全確認」実は検討してなかった - level7 (level7online.jp))。
 「福島第一原発事故で、避難した住民が東京電力と国に損害賠償を求めた群馬訴訟の控訴審第4回口頭弁論が12月13日、東京高裁(足立哲裁判長)で開かれ、国が申請した今村文彦・東北大学教授(津波工学)が証言した。
 今村教授は、土木学会が原発の津波想定(土木学会手法)を2002年にまとめた時の中心メンバーだ。その際、福島沖の日本海溝沿いに将来津波が起きるのかどうかについてどう考えていたのか問われ、「詳細な検討はしていない。今後(2003年以降)の検討課題だった」と証言した。
 「土木学会手法は、福島第一の沖合の日本海溝で津波は起きないと判断していた」と国や東京電力は裁判で主張している。しかし、土木学会では、検討さえしていなかった事実が明らかになった。法廷では、福島沖の津波予測について、以下のようなやりとりがされた。

原告側・久保木亮介弁護士
 (土木学会第一期1999年〜2001年で)既往地震やこれまでの知見のレビューをした。ただ、日本海溝沿いの、過去に大地震の発生が確認されていない領域に、将来の大地震を想定するか否かの詳細な検討はしてない。こういう理解でいいですか。
今村教授
 はい、第一期では。
東電側弁護士
 土木学会手法はあくまで技術的なシミュレーション方法のみを示したもので、これに当てはめる波源は検討していない、持ち越しになったという主張もあるのですが、その点について証人のご認識は
今村教授
 第一期についてはそのとおり。第二期(2003年〜05年)以降で将来の可能性についても確率的に検討した。
東電側弁護士
 第一期では、土木学会手法を検討しています。その策定の過程で、確定論としてどこまでの津波を取り込むか、そういう検討もしていないのでしょうか
今村教授
 当時の研究のレビューはしました。しかし起きていないところにどういう地震津波が起きるかどうか、そういうところの議論は、第二期以降になります。

 (千葉訴訟に関する東京高裁判決も引用している-引用者注)土木学会手法が示している波源域(地図1、赤線は筆者による)で、福島沖の日本海溝沿いは波源が示されていない。これは、検討していないから白いのであって、将来津波が起きないと判断して白くしていたわけではないことが証言でわかった。
 国や東電は、「原発に標準的に用いられてきた土木学会手法は、福島沖の日本海溝沿いで大津波を想定しない。だから福島第一原発に巨大津波は予測できなかった」「福島県沖の海溝沿いについては波源が設定されていないのは、地震地体構造等をふまえて検討した結果、将来津波は発生しないと判断されていたからだ」などと主張してきた。
 一方、政府の地震調査研究推進本部は、2002年7月に、福島沖を含めて日本海溝沿いのどこでも巨大な津波を引き起こす地震が起きうると予測していた(地図2、オレンジ色の領域)。十数人の研究者が議論して、とりまとめている。これにもとづいて計算すると、福島第一で津波は高さ15.7mになることがわかっていた(東電による2008年の計算結果)。
 これについて、国や東電は「地震本部の長期評価は信頼性が低く、土木学会手法の方が優れている」と述べてきた。ところが、今回の今村教授の証言で、土木学会手法は、福島沖に将来起きる津波について、詳しい検討をしていなかったことが示された。
 同じく土木学会手法の策定に関わった佐竹健治・東大教授も千葉地裁で国側の証人として証言した際、「そもそも土木学会の津波評価部会では、個別の地域で地震発生可能性というようなことを議論はしておりません。それは(地震本部の)長期評価部会でやっていること」(2015年11月13日)と述べている。
 土木学会手法の波源設定の信頼性について、国側や東電のこれまでの主張は、国側の証人によって、説得力を失ってしまったようだ。
 口頭弁論で、原告側と、国や東電側、双方からの質問に対し、ほとんどの場合は「そうですね」と肯定し続けた今村教授。しかし、福島沖で将来予測をしたかどうかについては、東電の「検討していたのではないか」という問いをはっきり、繰り返し否定した。
 東電側の弁護士は三度にわたって表現を換えて質問し、「福島沖も検討していた」という発言を今村教授から引き出そうとしていたが、今村教授の答えは変わらなかった。」
 このように、土木学会の津波評価技術が福島沖では津波地震が起きないという見解に基づいているという、千葉訴訟東京高裁判決の認定には根拠がない。しかし、この点の誤りは、判決の結論に影響を及ぼさないし、むしろこの誤りを正すことで、この判決の正当性は著しく強化されるといえる。


第4 国は、長期評価に基づく対策を命ずるべきであった。

国の規制権限行使のための要件

 東京高裁判決は以上のとおり、津波評価技術の位置づけ、判断された事項の範囲について、東電・国の主張に引きずられた誤解があり、このような誤解は東電・国による誘導の結果である。
 しかし、このことは、判決の結論には影響を与えていない。むしろ、この誤りが正されれば、その論理はより強固なものとなるといえるであろう。
 そして、判決は、以下のように判示し、国は長期評価に基づく津波対策を講ずるように東電に命ずるべきであったと判示している。
 すなわち、判決は、「原子炉施設についての技術基準適合命令の発令という規制権限を行使する要件の具備,すなわち,当該原子炉施設が技術基準に適合しているか否かの判断については,その権限主体である経済産業大臣のその時点での科学的,専門技術的知見の下における専門的な判断に委ねられており,その判断をするに当たってどのような科学的知見を基礎とするかについても,規制機関である経済産業大臣の専門的な判断に委ねられているというべきである。そして,その判断が著しく合理性を欠き,規制権限行使の要件の具備の判断に当たってその基礎とすべき知見を基礎とせず,そのために,経済産業大臣において技術基準適合命令を発する要件が備わっていることを認識し得たにもかかわらず,これを認識せず,同命令を発しなかったときは,これを発しなかったことは,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くこととなると解される。」と判断の基準となる考え方を定立する(判決134ページ)。この考えは伊方最高裁判決にもとづいたものである。
 このように,科学的知見の採否は規制機関の専門的判断に委ねられているものではあるが,原子炉施設についての規制権限の目的が,ひとたび事故等により放射性物質の大量放出という事態が生じれば,極めて深刻な被害を広範囲かつ長期間にわたってもたらす危険性がある原子炉施設について,万全の安全対策を確保することにあることに鑑みれば,規制機関がある科学的知見を基礎として原子炉施設に対する規制権限行使の要件の具備について判断してきたが,その科学的知見とは異なる新たな知見が示された場合において,その新たな知見に,それまで判断の基礎としてきた知見と少なくとも同程度の科学的信頼性があると評価することができるようなときは,規制機関が,当該新たな知見を規制権限行使の要件の具備の判断の基礎としないとすることは,著しく合理性を欠くこととなるというべきである。」(判決134ページ)と、事故の重大性という伊方最高裁判決にも示されていた事情にもとづいて、国の裁量判断に厳しい枠はめを求めている。この点も、きわめて常識的で、最高裁の判断を意識したものと言えるだろう。


2 本件に対するあてはめ

 続いて、判決は、以上に定立した規範を事件に次のように当てはめている。
 すなわち、「これを本件についてみると,規制機関である経済産業大臣は,相応の科学的信頼性を有する知見である津波評価技術については,原子炉の設置許可処分に先立つ審査の際に津波評価技術の考え方と同様の考え方を用いて津波に対する安全性を確認するなどの方法でこの知見に依拠して規制権限行使の要件具備の判断をしていたのであるが,長期評価に示された見解については,上記のとおり,津波評価技術と少なくとも同等の科学的信頼性を有していたのであるから,それにもかかわらず,原子炉施設についての規制権限行使の要件の具備の判断においてこれを基礎としないとすることは,いかなる科学的知見を基礎とするかが規制機関の専門的判断に委ねられていることを考慮しても,著しく合理性を欠くというべきである。」と判断しているのである(判決134-135ページ)。
 そして、具体的には国・原子力安全保安院には次のような行動が求められていたと判示する。
 「そうすると,規制機関としては,福島第一原発についての規制権限行使の要件の具備の判断に当たって,長期評価に示された見解を基礎として福島第一原発に到来する可能性のある津波を評価すべきであったのであり,それによって,福島第一原発が津波による損傷を受けるおそれがあることを認識し得たと認められる場合には,技術基準に適合しないと判断し得たこととなる。」
 「津波地震の発生領域を設けて震源域を設定し,津波のシミュレーションを行うことは,津波評価技術において示された科学的信頼性を有する手法であるから,具体的には,規制機関としては,まずは,長期評価に示された見解,すなわち,三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りの領域において, M8クラス, M t (津波マグニチュード) 8. 2前後の津波地震がどこでも発生する可能性があり,その発生する津波地震の震源域については,明治三陵地震についての震源モデルを参考にして想定することができるとした見解に依拠して,上記領域内の福島県沖についても,明治三陸地震を参考にした震源域を設定して津波のシミュレーションを行うなどし,それにより想定される津波が福島第一原発に及ぼす影響の有無や程度を調査,検討すべきで、あったということができる。」(判決135-136ページ)


3 国には結果を予見することが可能であり、津波対策を命じてこれを回避することもできた

 以下、判決は東電の津波対策を放棄してきた姿勢を時間を追って詳細に認定しつつ、結論として、次のようにこの部分の結論をまとめている。
 「経済産業大症としては,長期評価が公表された後のしかるべき時期に,一審被告東電に依頼するなどして,長期評価に示された見解に依拠して福島県沖で発生する可能性のある地震による津波の評価をしていれば,福島第一原発に敷地高(0. P. + 10m) を大きく超える波高の津波が到来する危険性があることを認識し得たということができる。そして,そのような津波が到来すれば, ドライサイトコンセプトを採っていた福島第一原発の敷地内に大量の浸水が生じ,全電源喪失などにより重大な事故が発生するおそれがあるのであるから,福島第一原発は省令62号に定める技術基準に適合していないこととなり,規制機関である経済産業大臣は,そのような判断に達し得る状況にあったといえる。(判決138ページ)」
 この判示も結論は正しいが、東電が「ドライコンセプトを取っていた」という認定は東電の主張ではあるが、実際の事実とは若干異なる。東電内では機器の水密化などの他の津波対策も検討されていたことは、本件で原告が提出した東電と日本原電の津波対策に関連する数多くの証拠によって裏付けられている。そして、この判決も結果回避措置としてとるべきであった措置として、防潮堤の設置やタービン建屋、重要機器室などの水密化を想定すべきだったとし、想定すべき対策が講じられていれば、津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかったと認めるのが相当であると判示しており、ドライコンセプトが徹底されていて、それ以外の対策が取れなかったとは判断していない(判決143ページ以下)
 そして、判決は、結論として次のように述べる。

「防潮堤等により福島第一原発の敷地内への津波の浸入を防ぐ措置に加え,タービン建屋の水密化及び重要機器室の水密化が,規制機関において,平成14年当時においても想定することができた措置であったと認められる。そして,平成20年推計の後に一審被告東電においてさまざまな対策を検討していることからみても,これらを組み合わせることによる効果を十分に検討し,具体的措置を実施すれば,平成20年推計による津波と同等の津波,すなわち福島第一原発の敷地南側にO.P.+15.7m程度の波高の津波が到来した場合においても,全電源喪失等の重大な事故を回避することは可能であったということができる。」


第5 結論

1 判決の画期的な意義

 以上に述べてきたとおり、千葉訴訟についてさる2月19日に東京高裁が言い渡した判決は、推本の長期評価に津波対策を基礎づける高い信頼性を認めたものです。そして、国が事故の結果を予見することができ、防潮堤の設置やタービン建屋・重要機器室の水密化の措置を講ずることにより、事故の結果を回避することができたことを明確に認定しています。
 推本の長期評価に基づいて、速やかに津波対策を講ずることなく、土木学会における検討に委ね、何らの対策も講じないで、原子炉の運転を続けていた東京電力とその役員である被告らの対応が許されないものであったことも、本判決によって明らかになったといえると思います。


2 事故の真実を明らかにすることが脱原発の闘いである

 まもなく福島原発事故から10年が経過しようとしています。脱原発をめぐる闘いの最前線は、全国での再稼働をめぐる闘いと事故の真実を明らかにし、どのように語り伝えるかをめぐる闘いの二つが主戦場となっています。福島原発事故に関してはたくさんの事柄が隠されてきました。東電と国による津波対策の方針転換に関する情報の多くは2011年夏には検察庁と政府事故調の手にあったはずです。しかし、これらの情報は徹底して隠匿されたのです。私たちの闘いは原子力ムラの情報隠蔽を打ち破ってきました。この隠蔽を打ち破ったのが、検察審査会の強制起訴の議決であり、株主代表訴訟における証拠の開示であり、東電刑事裁判における指定弁護士による果敢な立証活動であったといえます。
 政府事故調と検察が真実を隠ぺいしたことはあきらかです。これらの情報はなぜ隠されたのでしょうか。考えられる推測はただひとつです。
 原子力推進の国策を傷つけるような事実は、隠ぺいするしかないと、政府事故調と検察のトップは、どこかの時点で決断したのだろうと思います。このことは、福島原発事故そのものに匹敵するほどの、行政と司法と検察をゆるがせる「もう一つ」の福島原発事故真相隠ぺい事件が起きていたのです。その背後では官邸による検察庁に対する強力なコントロールがなされていたとみることができるでしょう。
 いま、刑事裁判で明らかになっていることは、検察が起訴できるだけの証拠を集めていたということです。にもかかわらず、なぜ検察は起訴できなかったのでしょうか。
 不起訴の決定後に東京地検と福島地検で、告訴人に対して異例の不起訴理由説明会が開催されました。私たち弁護団も同席しました。その場では激しい言い争いになりました。
 当時、私たちの告訴によって、これだけの証拠を検事が集めているとは、思っていませんでした。一線の捜査検事たちは、起訴し有罪に追い詰めることができるだけの証拠固めをしながら、不起訴とせざるを得なかったのでした。説明会で、「私たちはやれるだけのことをやったのです」と述べて、私たちの前で涙ぐんだ検事もいました。事故から10年、いま、彼らはどのようにこの事件のことを思い返しているでしょうか。あのとき検察内部で起きたことを知りたいと思います。


3 司法を通じて真実を語り伝える責任

 私は、東電役員の告訴、検察審査会、刑事公判のすべての過程に関わった弁護士として、明らかにすることのできた証拠と事実を、社会に広く知らせていく責任があると考えて、「東電刑事裁判 福島原発事故の責任は誰がとるのか」を書きました。
 いま、日本の司法は危機的な状況にあるといえます。しかし、仙台高裁では、昨年9月国と東電を断罪する判決が下されました。大阪地裁では、昨年12月規制委員会による原発の規制に誤りがあることが指摘され設置許可が取り消されました。そして、2月19日には、本稿で詳しく紹介した東京高裁で再び国と東電を断罪する判決が下されました。司法はまだ生きているのです。良心を失っていない裁判官は残っているのです。
 私たちは、東電刑事裁判の東京地裁の判決では敗れましたが、同じ証拠を駆使して仙台高裁上田コート、東京高裁白井コートは、東電と国の責任を認め、その対応を厳しく断罪する判決を下してくれたのです。大飯の設置許可取り消し判決を書いた森鍵裁判長も含めて、この3人の裁判官には重要な共通点があります。いずれも最高裁で仕事をしていた経歴を持っているという点です。


4 最高裁で国の責任を確定させ、国としての脱原発を確実に

 我々が刑事裁判の控訴審で勝利することができれば、株主代表訴訟で役員の゛帰任を認めさせることができれば、仙台高裁高裁判決と前橋避難者訴訟と千葉避難者訴訟の東京高裁判決の上告審の審理にも直結することになるでしょう。
 東電の役員の刑事責任を問う刑事裁判、東電の役員の民事責任を問う株主代表訴訟と全国で闘われている避難者損害賠償訴訟との緊密な連携が求められています。
 刑事裁判の証拠内容を最高裁にきちんと理解させることができれば、我々は、最高裁でも必ず勝利することができるはずです。
 そして、最高裁における我々の勝利は福島原発事故の真実を後世に語り伝え、脱原発の国民的な合意を形成することにつながることでしょう。千葉訴訟の東京高裁白井判決によって、私たちはそのための重要な足掛かりを得ることができたのです。
 最後にあらためて、逆転勝訴判決を勝ち取ってくださった千葉避難者訴訟の原告団と弁護団に心から感謝して、結びの言葉といたします。

Last modified on 2021-02-23 20:06:34
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●東電や自公政権の無責任ぶりが改めて露見 ――― 《福島沖地震で東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!…「すべて正常」》(リテラ)

2021年03月14日 00時00分55秒 | Weblog

 (20210228[])
リテラの記事【福島沖地震で東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽! 地震計は故障、汚染水タンクがずれ、格納容器が水位低下しても「すべて正常」】(https://lite-ra.com/2021/02/post-5806.html)。

 《もうすぐ福島第一原発事故から10年の節目を迎えるが、2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード7.3、最大震度6強の地震をめぐり、とんでもない事実が次々と判明している。なんと、福島第一原発の3号機に設置されていた地震計2台が故障していたことを東京電力が確認しながら、それを放置していたため、13日の地震のデータを取れていないことが22日になって判明したのだ》。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれです。
     あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したかと。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業なりわいを返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
      「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
      切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
       国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる
    「民事裁判では、地裁に続き高裁レベルで、《国と東電に損害賠償などを
     求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審福島地裁判決に続き
     両者に賠償を命じ》ました。仙台高裁上田哲裁判長によるものです。
      「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」という訴えが、
     一部認められました。

      国や東京電力が責任を果たす方法は明確で、簡単です。《原状回復
     して見せてくれればよいのです。もう10年が経とうとしています。
     さっさとお願いします。
      …出来ない、不可能というのであれば、やるべきことは一つしかない
     でしょ? 《国や東電は被災地を事故前の状態に戻すことができない
     現実を直視し》、何を為すべきですか?」

   『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
     43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決
   『●《「国に法的責任はある」原発事故で千葉県に避難した人々が起こした

        訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した》

 《すべて正常》? 何もかも異常なのですが…。
 どこが一体《アンダーコントロール》なのですか? 東京電力核発電人災で何か解決した問題ってあるのだろうか? 国や東電は誰一人責任をとらないという無責任ぶり。《福島沖地震で東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽! 地震計は故障、汚染水タンクがずれ、格納容器が水位低下しても「すべて正常」》がそれを象徴している。《1号機と3号機の格納容器で水位が低下》という深刻な問題が発生し、さらには、それを隠蔽。《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯》元行政府の長・アベ様は、今ものうのうと過ごしておられます。数々のアベ様案件でも裁かれることもなく、責任をとることもありませんでした。そして、《自助》大好きな利権漁りカースーオジサンの政権もその無責任ぶりを見事に《継承》。東京電力核発電人災後のこの10年の大半の時期が自公政権であり、何一つ問題の解決を図ることはありませんでした。

 責任をもって東電や国が「原状回復」して見せてくれよ! 10年が経ってしまいましたよ。いつになったら元の姿に戻してくれるの? 元の姿に戻してくれれば、皆さん喜んで福島に帰り、生業を取り戻すはずですよ。
 東京電力核発電人災から10年。あの人災から何の教訓を得ることもなく、何も変わらないニッポン。民主党政権末期・野田政権、アベ様・カースーオジサンによる《悪夢のような》、〝地獄〟の自民党政権は、核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないままです…。(形容矛盾もいいところ…核発電は危険の極致であり、《安全》の対極)《安全最優先での再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発》などと口にできる状況ですか? 「原状回復」して見せてくれてから、寝言は言ってほしい。

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https://lite-ra.com/2021/02/post-5806.html

福島沖地震で東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽! 地震計は故障、汚染水タンクがずれ、格納容器が水位低下しても「すべて正常」
2021.02.24 10:03

     (首相官邸HPより)

 もうすぐ福島第一原発事故から10年の節目を迎えるが、2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード7.3、最大震度6強の地震をめぐり、とんでもない事実が次々と判明している。

 なんと、福島第一原発の3号機に設置されていた地震計2台が故障していたことを東京電力が確認しながら、それを放置していたため、13日の地震のデータを取れていないことが22日になって判明したのだ。

 東電が地震計の故障によってデータが取れていないことを認めたのは、22日におこなわれた原子力規制委員会の「第88回特定原子力施設監視・評価検討会」でのこと。東電の説明によると、3号機の原子炉建屋に地震計が設置されたのは昨年3月。10年前の事故の影響で3号機の原子炉建屋の耐震性が劣化しており、その安全性を確認するために原子力規制委員会が提案して地震計2台が設置されたというが、昨年7月の大雨などによって2台とも故障した。

 だが、東電は故障を把握していながら、そのまま半年以上も放置。そんななかで今回の地震が発生し、肝心の地震の揺れを観測できなかった、というのである。

 地震計の故障を知ってながら交換も修理もおこなわなかったという杜撰さには閉口するほかないが、もっと問題なのは、この事実を東電が地震発生後から1週間以上も“隠蔽”していたことだ。

 東電はこの検討会のなかで、「昨年から故障していると気づいていたが、修復等の対応をとっていなかった」とあっさり述べたのだが、繰り返すが、この検討会がおこなわれたのは22日。13日の地震発生後、ただちに地震計の故障とデータが取れていないことを発表すべきなのに、この問題を隠していたのである。


汚染水タンクのずれを4日間公表せず 信用できない東電 格納容器の水位、圧力低下は大丈夫なのか

 しかも、東電が“隠蔽”したのは地震計の問題だけではない。13日の地震によって福島第一原発の処理水や浄化途中の汚染水が入ったタンクの位置にずれが生じ、14日の午後13時ごろにはその事実を把握しておきながら、18日になって公表したのだ。

 いや、さらに深刻なのは、19日に公表された、1号機と3号機の格納容器で水位が低下している、という問題だ。

〈東電によると、1号機で15日から、3号機で17日以降に、それぞれの格納容器内の温度計の一部で測定温度が低下。温度計が水につかっていないと判断し、水位低下と結論付けた。
 温度計の位置から、1号機で1.9メートルの水位が40~70センチ低下し、3号機も6.3メートルあった水位が約30センチ下がったとみられる。〉(東京新聞19日付)

 10年前のメルトダウンによって格納容器は損傷を受けており、今回の水位低下は13日の地震によってその破損が拡大したことによるものと見られているが、22日に公表された情報でも格納容器の水位は〈その後も低下傾向にある〉。また、水素爆発を防ぐために格納容器には窒素が注入され、圧力が高くなっているが〈1号機では大気圧との差を計測する圧力計の値が1.2キロパスカルから0.1キロパスカルまで下がりほぼ大気圧になっている〉という(NHKニュース23日付)。

 水位だけではなく、圧力も大気圧並みまで下がっている──。東電は周辺の放射線量などに異常はないと説明しているが、水位の低下による核燃料の冷却への影響に本当に問題はないのか、漏れた水はどこに流れているのか、水素爆発の危険はないのか、不安は尽きない。そもそも、地震計の故障を放置し、さらにはその事実を隠してきた東電を信用できるわけがない

 しかし、信用ならないのは、事故対応にあたる菅義偉首相も同じだ

 実際、13日の23時すぎに地震が発生したことを受け、14日2時前に菅首相は報道各社のインタビューに応じたが、このとき菅首相はこう述べていた。

「原子力関係でもすべて異常な報告については、ありませんすべて正常いうことであります」


格納容器の水位と圧力が低下したのに「すべて正常」と言い切った菅首相の無責任

 「『現時点では異常はない』という報告を受けている」と言うのならまだしも(それも「十分な確認はできていると言えるのか」とツッコミを受けるべきものだが)、ところが菅首相は「異常な報告はありません」「すべて正常と断言したのだ。

 6日後になって水位の低下が発表されるなど「すべて正常」とはとても言えない、むしろ続々と危険な情報が明らかになっている状況に陥っているのが現実なのだが、ようするに菅首相は何の根拠もなく「正常だ」と国民に言い張ったのである。

 10年前の事故の際、当時、官房長官だった枝野幸男氏は放射線量について「ただちに人体や健康に影響を及ぼす数値ではない」などと曖昧な表現を繰り返し、「すぐにはなくても後にはあるということか」と批判を浴びたが、今回の菅首相の発言はそうした次元を超えた「根拠のないデタラメ」「はったり」だ。

 こうした態度からは、新型コロナ対応でもはっきりしたように、菅首相が危機管理の重要性をまるで理解しておらず、国民を騙してその場をしのげればいいと考えていることがありありとわかる。

 しかも、菅首相が今回、こんな無根拠なデタラメを断言してみせたのは、菅首相自身が原発政策を推し進めようとしているからだ。

 菅首相は昨年10月26日の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という「脱炭素化社会の実現」を打ち出し、それと同時に「原子力政策を進める」と明言。さらにその翌日には、自民党の世耕弘成・参院幹事長が会見で「新しい技術を取り入れた原発の新設も検討することが重要」と発言した。

 そして、昨年12月25日に公表された政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、〈安全最優先での再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくことが必要〉と明記されたのだ。


菅首相が「すべて正常」と言い切ったのは原発の再稼働・新設を推し進めたいから

 福島第一原発の事故の反省もなく、グリーンエネルギー政策を盾にして原発の再稼働・新設を推進する──。13日の地震によってさまざまな異常が起きている事実、またも異常を隠蔽した東電の態度を見ても、いかにこれが危険なものなのかは一目瞭然だ。

 いや、いちばん危険なのは、菅首相の姿勢だ。今回、菅首相が留保をつけることもなく「すべて正常」と断言したのは、推し進めようとしている原発の再稼働・新設にケチがつかないように強い言葉で否定してみせたのだろうが、こんな国民に平気で嘘をつく総理大臣が原発再稼働・新設や事故の対応にあたれば一体どうなるか。不都合な事実はすべて「異常な報告はない」と押し切り、問題が判明するまで闇に葬られるだろう。

 自己中心の対応しかしない菅首相には、新型コロナ対応だけではなく危機管理全般を任せることができない。その恐ろしさについて、国民はもっと知らなくてはならないはずだ。

(編集部)
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