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●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令

2022年07月27日 00時00分09秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


 (2022年)07月15日[金])
デモクラシータイムスの映像記事【【白井聡 ニッポンの正体】原発事故はまた起きる!最高裁、驚愕の無責任判決 ゲスト:馬奈木厳太郎さん】(https://www.youtube.com/watch?v=dIljdGNGO9s)、《東京電力福島第一原発事故について被害者が国の賠償責任を問うた訴訟で、最高裁が6月に、「責任がない」という判断を示しました。この判決をどう見るのか。また、今後再び事故が起きうる可能性について福島の事故を基に再検証しました。2022年7月10日 収録》。


【【白井聡 ニッポンの正体】原発事故はまた起きる!最高裁、驚愕の無責任判決 ゲスト:馬奈木厳太郎さん】
 (https://www.youtube.com/watch?v=dIljdGNGO9s

 《史上最大の公害事件》、核発電人災。《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国の日本で原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》…なはずなのに。最「低」裁。そんな論理が許されるのならば、二度と核発電所の稼働など許されない。さっさとすべて廃炉作業に入るべき。(琉球新報)《電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる》べきなのに…。

   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(1/2)
   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(2/2)
   『●やはり最「低」裁(第2小法廷・菅野博之裁判長)でした、というオチ
     …《原発事故で国の責任認めない判決 避難者訴訟で最高裁が初判断》
   『●「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」
     ので国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁?

   『●《史上最大の公害事件》…最「低」裁は《仮定に仮定を重ねて…国の
     責任を否定した。被害者が何を裁判に求めていたかに…向き合わず…》
    《原発避難者訴訟で最高裁が初判断「国の責任認めず」 
     争点は「津波の予見」できたのか添田孝史
     …この史上最大ともいえる公害事件を、誰が引き起こしたのか
     防げなかったのか
      それを追及するため、大きくわけて3種類の訴訟が起こされている。
     当時の東電幹部を業務上過失致死傷罪で強制起訴した
     刑事裁判(1審無罪)。東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう
     株主が求めた株主代表訴訟。そして17日に最高裁で判決があった
     のは、住民らが国や東電に損害賠償や原状回復を求めた
     訴訟(集団訴訟)だ》

   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》





[↑ 朝日新聞朝刊 (2022年07月14日[木])]

 さて、《史上最大の公害事件》、核発電人災についての《東電の旧経営陣に対し、東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟、東京地裁は《13兆3210億円の賠償を命じた》。当たり前な判決だと思う。漸く、地裁・高裁レベルではまともな判決も出るようになった。
 田中恭太記者による、アサヒコムの記事【東電旧経営陣4人に13兆円の賠償命令 原発事故めぐる株主代表訴訟】(https://www.asahi.com/articles/ASQ7F3Q0DQ76UTIL03D.html)によると、《朝倉佳秀裁判長は勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の4人に13兆3210億円の賠償を命じた。取締役としての注意義務を果たしていれば原発事故は防げたという判断で、原発事業者の経営責任の重さを示した画期的な判決となる》。
 琉球新報の【<社説>原発事故株主訴訟 経営陣の責任は当然だ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1549669.html)によると、《東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁は13日、勝俣恒久元会長や清水正孝元社長ら旧経営陣4人に計13兆円余りの支払いを命じた。安全対策を怠った当時の経営トップの責任を司法として初めて認めた》。

 《だが、原発事故で住む土地を失い避難生活を続ける人がいる。廃炉の見通しは立たず、大量の汚染水が日々生じている。どんな金額を積んでも取り返せる被害ではない》。そんなに核発電を続けたければ、国や電力会社は福島を《原状回復》して見せて下さい。100兆歩譲って、《原状回復》して見せてくれたら、再稼働について議論して下さい。《原状回復》なんてできないわけですから、さっさと全炉の廃炉作業に移るべき。11年間超、なにをゴチャゴチャ言っているのか。電力が足りない? この11年間以上、国や電力会社は何をやっていたのか?

   『●星北斗座長「甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」 
            …では、何が原因なのか?、を説明して下さい!
   『●2011年の『X年後』:星北斗座長「現時点で 
     放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見て
      みたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
    《とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる
     疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、
     とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を
     改めようと思う》

   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ご
     せる未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●子ども甲状腺がん裁判《東電側…弁護団…「原告らは…甲状腺の健康
     リスクの上昇には関わりがない」などと因果関係を否定》…血も涙も無し
   『●3.11から11年で、この有様…《配管は…事故直後…炉内の汚染蒸気を
     放出する排気(ベント)で使われた。11年が過ぎても、人が近づけない》

 《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ…安倍晋三》様だ。そのアベ様もいまは亡い。キシダメ氏は、国会での議論も無く、国葬をぶち上げた。正気とは思えない。リテラ《3.11に改めて問う安倍首相の罪! 第一次政権で福島第一原発の津波、冷却機能喪失対策を拒否した張本人だった》。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
       “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき


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https://www.asahi.com/articles/ASQ7F3Q0DQ76UTIL03D.html

東電旧経営陣4人に13兆円の賠償命令 原発事故めぐる株主代表訴訟
田中恭太 2022年7月13日 15時07分

     (東京地裁に入る東電株主代表訴訟の原告や弁護士ら
      =2022年7月13日午後2時30分、東京都千代田区、
      井手さゆり撮影)

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主48人が旧経営陣5人に対し、「津波対策を怠り、会社に巨額の損害を与えた」として22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟の判決が13日、東京地裁であった。朝倉佳秀裁判長は勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の4人に13兆3210億円の賠償を命じた。

 取締役としての注意義務を果たしていれば原発事故は防げたという判断で、原発事業者の経営責任の重さを示した画期的な判決となる。

13兆円の賠償命じた朝倉佳秀裁判長とは 原発訴訟で初の現地視察も
識者「他の電力会社にも影響」東電株主訴訟、原告勝訴の意味合いとは
「過去最高」の22兆円、払える? 原発事故の東電株主訴訟、判決へ
【そもそも解説】株主代表訴訟、勝っても賠償金入らず でも闘う理由

 被告は、経営の2トップだった勝俣元会長、清水元社長、原発を担う「原子力・立地本部」の責任者だった武黒元副社長、武藤元副社長、小森明生元常務の5人。


賠償や廃炉の費用、22兆円を請求

 原告は事故前から脱原発を求めてきた東電の個人株主らで、2012年3月に提訴した。被害者への賠償、廃炉、除染など、原発事故で東電に生じる費用を総額22兆円と算出し、東電に支払うよう求めていた。株主側は、22兆円の請求額は国内の株主代表訴訟で過去最高額とみていた。

 株主らは、02年に国が公表した地震予測「長期評価」や、これを元に東電子会社が08年に計算した最大15・7メートルの津波予測には信頼性や合理性があったと指摘。旧経営陣は、巨大津波の到来を予見できたのに、原発事故を防ぐ防潮堤の建設や原子炉建屋の浸水対策を怠り取締役が負うべき「善良な管理者」としての注意義務に違反したと主張した。

 特に武藤元副社長については、15・7メートルの計算結果の報告を受けたのに、妥当性の検討を土木学会に委ねることで対策を先送りしたと強調した。武黒元副社長に対しても、この方針を了承して何の措置も講じなかったと訴えた。


5人の被告、いずれも反論

 一方、武黒、武藤、小森の3氏は「長期評価には津波対策に採り入れるべき信頼性はなかった」と反論した。長期評価の取り扱いについて社外の専門家である土木学会に検討を依頼したのは「合理的」で、むしろ注意義務は尽くしていたとも主張した。

 勝俣氏と清水氏は、会社全体をみる立場で原発の専門的な知識はなく、「対策が必要になれば担当部署から報告・提案があると認識していた」と反論した。会長については、業務上の執行権限もなかったともしていた。

 株主代表訴訟では、取締役らの違法行為や経営判断の誤りで会社が被った損害について、会社が責任を追及しない場合株主が会社に代わって賠償を求める。東電は被告側の立場で補助参加していた。


刑事裁判では一審無罪

 東電旧経営陣の個人の責任を問う裁判としては、勝俣、武黒、武藤の3氏が、検察審査会の議決に基づき、業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事事件もある。東京地裁は19年に無罪判決を言い渡し、東京高裁の控訴審判決が23年1月に予定されている。

 また、事故で被害を受けた住民らが国を訴えた集団訴訟では、最高裁が6月に責任を認めない判決を出していた。(田中恭太)
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1549669.html

<社説>原発事故株主訴訟 経営陣の責任は当然だ
2022年7月15日 05:00

 東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁は13日、勝俣恒久元会長や清水正孝元社長ら旧経営陣4人に計13兆円余りの支払いを命じた。安全対策を怠った当時の経営トップの責任を司法として初めて認めた

 未曽有の被害をもたらした原発事故で、責任の所在を明確にした判決の意義は大きい。原発は安全でも低コストでもない。経営者個人が負担するにはあまりに巨額な責任を負うことになる原発の経営は、事業として破綻していると言っていい。脱原発を進めなければならない

 訴訟は、廃炉や汚染水処理の費用などで会社に巨額の損害を与えたとして、一部株主が旧経営陣5人に対して総額22兆円を東電へ賠償するよう求めた。2012年3月の提訴以来、巨大津波による事故を予見できたかどうかが焦点となってきた。

 予見可能性を巡り、政府の地震調査研究推進本部が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づき、東電子会社は福島第1原発に最大15.7メートルの津波が到達する試算を出していた。13日の判決は、長期評価は科学的信頼性が認められるとし、大津波が来ることは予見できたと結論付けた

 試算を得ながら対策を先送りした東電の対応について、朝倉佳秀裁判長は「いかにできるだけ現状維持できるか、有識者の意見のうち都合の悪い部分を無視ないし顕在化しないようにするかということに腐心してきた」と厳しく批判。試算に基づき建屋や重要機器室の浸水対策工事を実施していれば、事故を避けられた可能性があったと判断し「事故対策を速やかに指示すべきだったが、取締役としての注意義務を怠ったと旧経営陣の賠償責任を認めた

 原発事故が起きるまで、国も電力会社も原発は「安全」だと強調して設置を推進してきた。その内側では、対策工事の費用がかさむことを嫌がり、現場任せの対応で適切な対策を先送りしていた。発電コストを抑えることが経営者の関心であり、原子力事業者としての徹底した安全意識は根本から欠けていた

 今回の賠償額は国内の民事訴訟で最高とみられる。津波対策を放置した経営判断のつけは巨額の代償となった。だが、原発事故で住む土地を失い避難生活を続ける人がいる。廃炉の見通しは立たず、大量の汚染水が日々生じている。どんな金額を積んでも取り返せる被害ではない

 旧経営陣3人が強制起訴された刑事裁判では、大津波の予見可能性はなかったとして一審は無罪となった。だが、今回の判決は東海第2原発(茨城県)を運営する日本原子力発電が浸水対策を取っていたことなどを挙げ、東電も「浸水対策を発想することは十分に可能だった」とした。経営陣が責任を負うのは当然だ

 電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる
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コメント
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●首相の2枚目の舌が福島で語らない事

2013年07月07日 00時00分40秒 | Weblog


東京新聞のシリーズ社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062502000131.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062602000148.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062702000121.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062802000146.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062902000157.html。同じく東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013070402000131.html。asahi.comの記事(http://www.asahi.com/special/news/articles/OSK201307030151.html?ref=comtop_fbox_d1)。再び、東京新聞コラム「筆洗」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013070502000134.html)。最後にgendai.net(http://gendai.net/articles/view/syakai/143274)。

 「経済政策は大きな争点だが、収束しない原発事故、道半ばの震災復興をどうするのかも、忘れてはならない」・・・逆じゃないのかな? いや、

   『●「原子力推進」という一点で自公政権は否定されるべき

であるべき。福島で第一声を上げても、何枚の舌があるのか知らないが、第2番目の舌で「原発輸出」「原発再稼働」といった「原発推進」は語ることはない。語れる訳もない。東京電力原発人災以前、自民党が何をやってきたのか、それ以降何をやったのか、その責任を誰か一人でもとったのか、語られることはない。そういう政党を支持していいのか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062502000131.html

【社説】
フクイチで考える(1) 放射線の海のただ中
2013年6月25日

 いわゆるフクイチを取材する機会があった。フクイチ、エフワン…。中で働く人たちは福島第一原発のことをそう呼んでいる。

 放射線量が高いので、バスの中からの視察である。それでも、マスクと靴カバー、そして、両手に布とビニールの二重の手袋に、首からは線量計という一通りの装備が必要だった。

 まず、廃炉作業の指揮所がある免震重要棟に入った。コンクリートの壁に囲まれた二階建て。テレビ会議の映像で知られる緊急対策本部室に向かう。途中、ゲートモニターという全身を調べる機械のチェックを受けた。これが世界を二つに分ける。

 退出モニターとも呼ばれるこの機械は、どの原発にもあるものだ。だが本来はその名の通り、原子炉建屋のような放射能の管理区域から非管理区域へ、内から外へ出る時に被曝(ひばく)の有無を確かめるためのものである。ここではそれが入室時。“あべこべ”だ。放射線の海のただ中の家である。

 二年前の1号機の爆発時、免震重要棟の扉が吹っ飛び、内部も一部、管理区域になってしまった。

 数少ない窓は、事故後分厚い鉛の板で遮蔽(しゃへい)した。棟内には鉛を張った石膏(せっこう)ボードも設置した。

 梅雨の晴れ間の一見のどかな光景は、生命とは相いれない世界である。その中で毎日三千を超える人々が過酷な作業に従事する。八十人の東電社員が夜間も免震重要棟に詰めている。

 約一時間、構内をバスで巡った。最も線量が高かったのは3号機の海側で、毎時一八〇〇マイクロシーベルト。バスの汚染の検査を受けて外へ出た。

 胸の線量計を見た。積算で二一マイクロシーベルト。前日の東京の環境放射線量は〇・〇五六マイクロシーベルト、愛知は〇・〇六六マイクロシーベルトだった。バスの中でも単純計算で三百倍以上になる。

 フクイチの汚染は、人間自身の産物だ。この異様な世界の存在を、私たちはよく知るべきだ。これも原発の一つの姿なのである。 (飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062602000148.html

【社説】
フクイチで考える(2) メルトスルーの深い穴
2013年6月26日

 メルトダウンに陥った1~3号機では、燃料デブリの存在が、放射能汚染水と並んで廃炉の進展を妨げる。デブリとは、溶け落ちた核燃料の固まりだ(図は1号機、東電資料より)。

 一九七九年にメルトダウン事故を起こした米国のスリーマイル島原発(TMI)では、燃料デブリは格納容器の内側の圧力容器の中にとどまった。

 それでも、作業は困難だった。

 メルトダウンが具体的に判明したのは事故発生から三年後。溶融分は当初、燃料の20%と見られていたが、結局は52%もあった。取り出しには十一年の歳月と十億ドルの費用をかけた。

 フクイチは、それよりはるかに難しい状態だ。高温の核燃料が圧力容器を貫通するメルトスルーで、格納容器の底に落ちた上、底部を侵食している恐れがある。

 「中に入ってサンプルが採れないと、次のステップには行きにくい」。東京電力前常務執行役の小森明生さんは言う。三代前の福島第一原発所長である。

 さまざまなものの混じった海水を注入したために、さまざまな異物が放射化した恐れもある。

 3・11から、やがて二年四カ月。ファイバースコープやロボットを使ってさまざまに探査を試みているものの、フクイチの炉内の様子はまだ詳しくわからない

 何が溶け込んでいるか。容器の底に林立する制御棒にこびり付いてはいないのか。燃料デブリの性状も散らばり具合も、明らかにはなっていない。

 昨年三月、2号機の格納容器内部で時七三シーベルトの放射線が計測された。数分浴びただけで命を落とす線量だ。この危険が調査の大きな壁になる。フクイチには、まだ分からないことが多すぎる。メルトスルーの穴はどこまで深いのか。優秀なロボットたちはどうしたか。

 廃炉への前提になる新たな探査技術の開発に、世界の英知を集めるべきだ。 (飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062702000121.html

【社説】
フクイチで考える(3) 技術の合意と社会合意
2013年6月27日

 水が廃炉を妨げる。

 損壊した原子炉建屋の中に、一日四百トンの地下水が流れ込む。

 1~4号機の建屋を取り囲むように土を凍らせて、地中に壁を構築し、地下水を遮る計画が進んでいる。遮水能力が高く、工期が短いのが利点という。しかし、地下水位が変化するなど予想外のリスクも否めない。

 今のところ汚染水は、フクイチの敷地の中にひたすらためておくしかない。正門をくぐると、大小の貯水タンクの群れがまず目に入る=写真、代表撮影。すでに約千個あり、三十万トンを超える汚染水を抱え込む。八十万トン分の用地が確保されており、今後三年は貯水を続けられるというが、限界はやがて来る。

 東電はことし三月、多核種除去設備(ALPS)の試運転を開始した。一系列で一日二百五十トンの処理能力があり、六十二種類の放射性物質を国の基準値以下まで除去できる。

 ところが、水とよく似た放射性トリチウム(三重水素、半減期一二・三年)だけは分離が難しい。水から水は除けない。一ミリリットルあたり六〇ベクレルという国の排出基準に対し、三〇〇〇ベクレル程度が残る。

 実はこのトリチウム、どの原発の冷却水にもわずかに含まれており、管理放出されている。フクイチでも、基準以下に水で薄めて海に流そうという声はある。しかし、それも難しい。

 「浄化して管理放出ができるという技術的合意と、そうしてもいいという社会的合意が得られるかどうかは別問題」と、案内してくれた東電フェローの小森明生さんは考える。「フクイチはもう、普通の原発とは思われていませんから…」と。

 フクイチだけのことではない。今は、国民の多くが原発と、原発神話を築いた人や機関に疑いの目を向けている。原発推進の経済人や政治家が目を背けているだけではないか。国民の視線に気づかなければ、社会的合意は成り立たない。 (飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062802000146.html

【社説】
フクイチで考える(4) ロボット侵す放射線
2013年6月28日

 3号機、4号機の作業現場は、随分様子が違う。

 4号機の周りには、白い防護服にマスクをつけた人の姿がある。3号機にはそれがない。

 事故当時、定期検査で停止中だった4号機は、メルトダウンを起こしていない。

 一方、爆発の規模が大きく破損のひどい3号機には、人がうかつに近づけない。3号機はぐるりと足場が囲み、六百トン吊(つ)りの巨大クレーンなど大小十台の重機ががれきの撤去を続けている。運転台には人がいない。

 十台は、約五百メートル離れた免震重要棟から、遠隔操作されている。放射線の影響がない部屋だ。

 「無人重機もロボットの一種」と東京電力原子力・立地本部課長の田中勤さんは言う。

 それとは別に、ロボットたちはフクイチの中にいて、主に地味な調査業務に就いている。

 一昨年四月の「パックボット」(米・アイロボット社製)投入以来、東電の管理分だけで六機種が活動、または待機中。この十八日には、ホンダなどと共同開発した「高所調査用ロボット」が、2号機内の温度や線量を確かめた。

 しかし、放射線はロボットさえも脅かす。放射線量が一〇〇シーベルトになると、エネルギーの高いガンマ線がロボットの“目”に当たるカメラの画素に影響し、画像に斑点のようなものが表れる。

 ガンマ線が、半導体の中の電子の流れに作用して、コンピューターの誤作動を引き起こす。鉛で覆うと動作が不自由になる。

 ロボットも人間と同じ線量計を装着し、被曝(ひばく)の限界を定めた管理値が設定されている。

 作業の現場は炉心に近づいていく。生身の人間には、小石一つ拾わせてはならない。汚染水に触れさせてはならない。

 ロボットに対する国民の期待は強い。国産ロボットの奮起を求めたい。飛躍的な性能向上を図らねば、フクイチは鎮まらない。 (飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013062902000157.html

【社説】
フクイチで考える(5) 核と共存できるのか
2013年6月29日

 フクイチを巡る取材バスの中で強く思ったのは、日本に落とされた原爆はアメリカがつくったが、この原発事故の被災地、代表撮影=をつくったのは、ほかならぬ日本だったということだ。

 外には、強力な放射能ちりを吸い込まぬように、大型のマスクと装備を着けて働いている人たちがいる。周りには住めない土地がある。そういうことを私たちは自覚せねばならない。

 この場所は、事故後よく知られた通り旧陸軍の飛行場だった。海を見下ろす高さ三十メートルの海岸段丘の上。そこを二十メートル掘り下げて原発は建設された。科学技術が万能と信じられた時代。だが、掘り下げた分だけ津波は大きく襲った。

 一九四八年、湯川秀樹博士がノーベル賞を受ける前年。アメリカの研究所に招かれると、すぐにアインシュタイン氏がやって来た。博士の両手を握りしめながら「罪もない日本人を原爆で殺傷して申し訳ない」と涙を流してわびた

 原爆と原発はもちろんちがう。

 だが、放射能汚染という災禍は同じである。

 思い出されるのは「核と人類は共存できない」という、広島の哲学者にして運動家の森滝市郎氏のことばだ。彼は被爆して右目を失った。考えに考え抜いた末、核兵器はもちろん、原発もやめるべきだと決心した。ウランを掘る人から最終的に燃やし処理する人まで被ばくの危険がある。ましてや事故を起こしたら。

 私たちは、廃炉ということばを割合簡単に使う。だが、どうか。その疑問はここへ来ればわかる。

 福島の廃炉はうまくいってほしい。しかし、それを進めながら原発とは私たちにとって一体何なのかと自問を繰り返そう。

 何より原発に代わるエネルギーを、私たちは努力すればもつことができる。フクイチはそう語りかけてくる。 (深田実)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013070402000131.html

【コラム】
筆洗
2013年7月4日

 架線を支える電柱は折れ曲がり、駅舎は土台しか残っていない。福島第一原発から二十キロの警戒区域で唯一、津波に襲われたJR常磐線の富岡駅(福島県富岡町)の現状だ▼視界を遮る建物はなく、駅から海がよく見え、無人になった事務所には巣を作ったツバメが勢いよく出入りしている。ひっくり返った車があちこちに放置され、破壊された建物は解体されずに生々しい爪痕を今も残す▼富岡町は三月二十五日から放射線量に応じ、帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の三区域に再編されたばかりだ。日中、立ち入りが可能になった駅に立って感じたのは、終わりの見えない放射能との戦いである▼双葉地方を車で走ると、目に入るのは「除染作業中」の看板だ。汚染土などを詰めた大量の黒い袋は、雑草だらけの田んぼの仮置き場に野ざらしにされたままだ▼震災後、初めてとなる参院選がきょう公示される。安倍晋三首相はJR福島駅前で第一声を上げ、民主党の海江田万里代表も福島入りする。福島を忘れない、と訴えるのだろう▼原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立-。昨年の衆院選で公約に掲げた目標は参院選の公約から消え自民党は旧来の「原発依存」に立ち位置を戻した。汚染土の詰まった袋はあちこちで山積みになっている。安倍首相は視察した時に、目に入らなかったのだろうか
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http://www.asahi.com/special/news/articles/OSK201307030151.html?ref=comtop_fbox_d1

2013年7月4日16時34分
(竹内敬二の窓)「事故の経験で、最も安全な…」の軽さ

【編集委員・竹内敬二】「いったん停止」していた原子力政策が、参議院選を前にして丸ごと動き始めた原発輸出も国をあげて推進している。福島原発事故から2年余りで、私たちは何を反省し、どこへ行こうとしているのか。

 いま原発再稼働、輸出推進を進める論理として「福島事故を経験した日本だからこそ世界一安全な原発を提供できる」というのがある。日本の原子力の歴史では、しばしばこうした逆説的な言い方、あるいは「日本は特別」的な言い方が使われる。しかし、たいていは「口だけ」である

 昨年9月、民主党政権は、「2030年代に原発ゼロをめざす」を柱にした「革新的エネルギー・環境戦略」を公表した。原発依存一辺倒だった戦後のエネルギー政策を百八十度変えるものだった。しかし、この新戦略の寿命はたったの3カ月だった。昨年12月の総選挙で勝った自民党が、この戦略を否定し、安倍政権が原発復活へ舵(かじ)を切ったからだ

 これは世論の大勢とずれている。3・11以後、日本社会の原発への意識は変わり、「停止中の原発の再稼働に反対が58%、賛成28%」(6月11日朝日新聞)という世論調査にもみられるように、多くの人は悩みながらも原発を減らしたいと思っている。そして実際に、ほとんどの原発が止まったまま日本の社会は動いている

 今しなければならないのは、こうした世論の変化や電力需要の減少を基本にエネルギー政策をつくり、その中で原発、プルサーマル、再処理の意味と役割を定義し直すことだろう。事故を起こした国の責任だ

 しかし、安倍政権は、原発、プルサーマル、再処理工場という一つひとつのパートを、以前の計画のまま動かそうとしている。これでは、なし崩しで「3・11以前」に戻ってしまう。

・・・・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013070502000134.html

【社説】
<2013岐路> 党首第一声 福島に寄り添う責任
2013年7月5日

 参院選が公示され、各党首らが各地で第一声を上げた。経済政策は大きな争点だが、収束しない原発事故、道半ばの震災復興をどうするのかも、忘れてはならない。

 候補者擁立の状況や選挙戦略によるのだろうが、寂しい気がしないでもない。七カ月前の衆院選公示日、四党首が福島県内に集ったが、きのうは現職首相の安倍晋三自民党総裁と、海江田万里民主党代表だけだった。

 安倍氏は衆院選同様、福島市の中心街を第一声の場に選んだ。長年政権にあった自民党が「原発の安全神話に寄りかかり、原発政策を推進したことを、深刻に反省しなければならない」と述べた。

 いまなお多くの人々が仮設住宅での生活を余儀なくされている現状を見れば、「本当に申し訳ない思い」を表明したのは当然だ。

 しかし、安倍氏は首相として原発再稼働や海外への原発輸出を進める。衆院選第一声では語っていた再生エネルギーの開発促進にはこの日、全く触れなかった。

 県内全原発の廃炉や再生エネルギー研究・開発の推進を求めた福島県連や、普天間飛行場の県外移設を掲げた沖縄県連の地域公約を安倍氏は「県連の願望」と一蹴する。地域重視の自民党が地域に寄り添わないのはどういうことか。

 ただ「復興を加速する」と言うだけでは、原発事故を本当に反省したことにはなるまい。

 海江田氏は第一声を上げた盛岡市から仙台市に入り、その後、福島市では安倍氏と同じ場所で演説した。東日本大震災の被災地から選挙戦を始めたかったのだという。

 震災発生時、原発を所管する経済産業相だった海江田氏は原発事故の避難指示に「至らぬ点があった」と謝罪し、「福島の復興なくして日本の復興はない」と訴えた。

 やり玉に挙げたのが安倍内閣が進める国土強靱(きょうじん)化だ。公共事業のバラマキと批判し、資材高騰で復興に支障が出ていると指摘した。

 政策の誤りを正し、建設的な提言をして実現を迫るのは野党の役割である。政権転落の痛手は深いが、福島をはじめ被災地の復興を加速させるため、政策論争に果敢に挑んでほしい。

 これから福島に入る党首もいるのだろう。選挙区に候補者を擁立しなくても、比例代表で支持を呼び掛ける意味はある。政策を堂々と訴え、いまだ故郷に帰れない被災者、原発事故の影響に苦しむ県民に寄り添う気持ちを表してほしい。それが政治の責任でもある。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/143274

安倍首相 被災地パフォーマンスのあざとさ
2013年7月5日 掲載

 「自民党は安全神話に寄りかかり、原発政策を推進してきたことを深刻に反省しないといけない。私たちには復興を加速させる大きな責任があり、復興のためにも強い経済を取り戻す」

 これは安倍首相が福島で行った参院選の第一声だ。原発政策を反省する政党が、なぜ再稼働を推進するのかなぜ海外への原発輸出に必死になるのか。復興を加速させると言いながら、復興予算の流用対策が遅れ、1兆円が被災地以外に使われていくのを止められなかったではないか

 安倍は、昨年の衆院選に続き、今回もまた公示日にわざわざ福島へ出向いた。前夜遅く福島駅前のホテルに泊まり、午前福島駅前といわき駅前で街頭演説。午後には東京・池袋へトンボ返りだ。“震災復興”を選挙の象徴的なイメージにしようと躍起である。

「被災地を利用した選挙パフォーマンス」だと呆れるのは、作品の取材で毎月東北を回っている作家・相場英雄氏だ。

   「安倍さんは福島もいわきも駅前で数時間滞在しただけでしょ。
    『被災地の復興を考えています』という、わざとらしさが透けて見えます。
    被災地の住民はみな、『政府の偉い人たちは、一度、仮設住宅に
    泊まってみたらいい』と口々に言っています。そうすれば本当のニーズが
    もっと分かる。例えば、自治体によってガレキの残っている量が全く違うんです。
    自治体の境界線を越えるとガラッと景色が変わることがある。
    復興庁という組織をつくったのに、機能していないんじゃないか」

トンボ返りせず仮設住宅に泊まってみたら

 6月に被災地を取材したばかりのジャーナリスト・鈴木哲夫氏もこう言う。

   「被災者が望んでいるのは、生活再建と仕事です。しかし、相変わらず
    仮設住宅に住み、雇用は増えていません。高台移転の話がありましたが、
    土地の確保も進んでいない。石巻(宮城県)で一番大きな仮設住宅を
    取材すると、『国会議員は現場に来ないから、実態が分かるわけがない。
    それなのに、どんどん復興に関する公約がつくられる。不思議です』
    という声を聞きました」

 安倍は毎月被災地を訪問していることもアピールの材料に使っているが、そこまで言うなら、駅前のホテルじゃなくて、仮設住宅に泊まればよかったんじゃないか。
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コメント
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