岸田政権「二股外交」で米の信頼保てるかの正念場 韓国の失敗が〝無様な結末〟を証明 日本の平和と安定に直結
zakzak
2021.12/30 10:00
2022年の岸田文雄政権は、波乱含みになりそうだ。米国と中国の双方にいい顔をする「二股外交」に傾斜して、米国の信頼を失いつつあるように見える。このままなら、政権の根幹が揺らぐ。
岸田政権の対中傾斜姿勢は、北京冬季五輪の「外交的ボイコット」問題に象徴されている。米国の21年12月6日の表明を受け、すぐ英国やオーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどが同調したなか、岸田政権は同月24日になって、やっと「政府代表の派遣見送り」を表明した。
英国で同11、12の両日に開かれたG7(先進7カ国)外相会合は「絶好の機会」だったのに、それも見送った。
これでは、岸田首相が語ってきた「日本独自の判断」とは、「中国に配慮する」という意味としか受け取れない。
同13日には、日本共産党までが、岸田政権に「外交的ボイコット」を要求した。
岸田政権が、これほど慎重になるのは、「何か特別な事情があるのだろうか?」と疑いたくなる。岸田首相は「金融所得課税の導入」や「新型コロナウイルスに関わる入国制限」「子育て世帯への10万円給付問題」でも、世間の風向きを読んで、あっさり見直しに踏み切った。
岸田首相は「広島県日中友好協会」の会長、林芳正外相は外相就任まで「日中友好議員連盟」の会長を務めていた。当然、中国とは独自のパイプがあるに違いない。中国は、外務省とは別の裏チャンネルを使って、政権中枢に働きかけている可能性がある。
林外相は11月21日、テレビ番組で「中国の王毅外相から訪中を招請された」と明らかにした。この件と北京冬季五輪は関係しているのか、いないのか。岸田政権は公式、非公式を問わず、中国側とどんな接触をしてきたのか、国会で明らかにすべきだ。
先に挙げた米国など5カ国は、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる情報機関同士の「疑似同盟国」である。本来なら、中国にもっとも近く、沖縄県・尖閣諸島が脅威にさらされている日本こそが、真っ先に旗幟(きし)を鮮明にして、米国などと連携すべき立場にある。
G7外相会合でも態度を明らかにしなかった日本に、米国などは「一体、何を考えているのか」と疑心暗鬼を強めているに違いない。懸案の対面による日米首脳会談も12月25日時点で、日程が決まっていない。米国の不快感をうかがわせる。
新彊ウイグル自治区での人権弾圧だけでなく、女子テニスの彭帥(ほう・すい)選手が元中国共産党最高幹部から性的関係を強要されたと告発した問題もある。人権弾圧に目を向けない国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢も批判され、中国に対する国際世論は厳しくなる一方だ。
岸田政権が中国に甘い態度を続ければ、西側自由主義陣営の批判は日本に集中するだろう。とりわけ、台湾情勢が緊迫するなか、米国の信頼を失ってしまったら、日本の平和と安定に直結する。
多くの国民は「米中二股外交」を許さない。韓国の失敗が、その無様(ぶざま)な結末を証明している。岸田政権は年明け早々から、正念場を迎える。 (ジャーナリスト)