あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密 ・根津美術館

2015-05-08 00:08:41 | 日本美術

 根津美術館に通い続けて何十年立つことでしょう。
 庭園の燕子花が満開の時期は
 GWのタイミングも重なってなかなかチャンスをつかむ事ができませんでした。
 今年、ようやく念願の燕子花満開時に立ち会えることができました。
 他のところでは目にすることができても、
 ここ、根津の庭園は今年初めての満開時でした。
 
 光琳の傑作「燕子花図屏風」を展示室で拝見したあと、
 ゆっくり庭園を散歩してきました。
 今回はMOA美術館から出品された「紅白梅図屏風」が
 「燕子花図屏風」の隣に並びました。
 56年ぶりのことだそうです。
 次は一体いつのこととなるのでしょうか。

 根津美術館の公開を前に
 熱海のMOA美術館で光琳をリスペクトした現代作家との
 コラボレーションが人気を呼んでいましたが、
 機会を得ることができず、大変残念に思っていました。

 展示室に入ると
 目の前に宗達の傑作 「蔦の細道図屏風」が目に飛び込んできます。
 伝 宗達の作品ではありますが、
 この緑青と金色の大きな絵巻物のような屏風から
 えもいわれない陶酔が舞い降りてきます。

 根津美術館の大きな展示ガラスに
 「燕子花図屏風」、「紅白梅図屏風」がその横に。

 その向こうには
 宗達の本歌、伝宗達ではありますが、「槇楓図屏風」
 光琳の「槇楓図屏風」(こちらは重文)が対面します。
 宗達の作の方が野太く、光琳の方が端正ですっきりしています。
 この違いは、「風神雷神図」の違いに似ていると感じました。

 同時に琳派の作品が展示されました。
 香包、乱箱、硯箱、また乾山のやきもの、などなど。

 茶道具の展示には「燕子花図屏風の茶」というタイトル。
 「青山緑風」の墨蹟がかかり、
 瑞々しい季節に阿蘭陀花鳥文向付を選んで
 涼しげな茶会の取り合わせを拝見しました。

 庭園に出て、満開の燕子花を堪能しました。
 それでも花の命は短くて、旬の時はあっという間のことです。

 はかない、もののあわれ、
 そういった情緒を認識することもステキな体験です。
 屏風と、庭園のコラボ、これも根津美術館ならではのこと。
 気持ちよく、堪能できました。

 庭園の画像をご紹介します。
 
 この展覧会は5月17日まで。
 12日からは夜7時まで開館しているようです。
 お仕事帰りに贅沢な時間を過ごすことができそうですね。
 次回は「江戸のダンディズム」これまたステキなタイトルを付けられましたこと。
 楽しみにします。























 最後の二枚は
 地下講堂に展示されていた模作の「燕子花図屏風」から
 カメラOKでしたので、一部分撮ってきたものです。

 心地よい季節、このあと日本橋高島屋の細見美術館から
 琳派の逸品が勢揃いしている展覧会に行ってみましたが、
 やはり、琳派作品からこぼれる、自然への目線、情緒が満載で
 うっとりしてきました。
 今年は琳派の400年の記念の一年、
 あちこちで琳派の作品を見る機会が巡ってきそうです。
 

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