あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

靉光 ・ NHK新日曜美術館

2007-07-22 22:11:16 | 日本美術
それはともかく、
最近の新日曜美術館の番組構成がとても良くなった。
充実している。

画面の後ろで、引き立て役の花もとても素晴らしい。
取り上げる作家のイメージをよく理解していると思わせる、
素敵な構成の花を見せてくれている。
これは相当嬉しい。
詳しいことは、
NHKサイトがあるので、そちらをぜひ。

今日は、ちょっと前に近代美術館で開かれていた、
靉光についてだった。

彼の人生をたどれば、
やはり戦争の運命を背負わされた、非業の画家だったことが
今一度、知らされた。
8月。夏。
日本が今これだけの立派な暮らしをしていることは、
つらい体験があった上でのことと、
振り返ったり、学んだりする良い時期なのだと思った。

昭和を生き延びてきた人たちには、
今の時代の甘さが歯がゆかろうと思う。
体験より勝るものはない。
非道な邪悪な戦争の被害者は、まだまだ火種を抱えたまま
くすぶった胸のうちを抱きながら暮らしているのだと思う。

靉光の妹さんの兄を語る眼がせつなかった。

芸道を極めることの凄さは、
技術よりも、それに向かう真摯な情熱。
それが抜きん出て、純粋で、情熱溢れていて、魂を削って生きていたこと。
それを知らされる。

命は何よりも大切。
それでも、命をどう使って生きるか、
そちらの方がずっと大切なことなのだと、
靉光の短い人生と画業を見終わって、
漠然と思ったのだった。

使い方の知らない命、光を放つとは思えない命ではあるけれど、
大事な預かり物(命)を自ら悪戯にしてはいけないのだ。

靉光の絵が少し近づいてくれた気がした。

以前書いた記事があります。こちら。

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