あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

お正月のアート鑑賞記録

2010-01-18 23:37:12 | アート鑑賞記録
初鑑賞は、松屋銀座の川喜田半泥子。

嬉しかったですねぇ。すべてが楽しかった。
ワイシャツ着てネクタイして轆轤回すんですからね。
川柳などに通ずるウイット、諧謔精神大好きです。
そういうユーモアが底流にありつつ、品があるさまは
とても優雅な質のいい毛布に包まれたようで、
極上の幸せ感でいっぱい。
驚くほど沢山の茶器。
お茶碗が多くてびっくり。
前衛している水指にも遭遇。
ほとほとその作品の幅広さに感動したのでした。

その足で、友人達と山形物産の美味しいランチ。

お腹こなしに歩いて日本橋高島屋の魯山人展へ。
魯山人は周知の美食家で、お料理の着物としての
それはそれはすばらしいお皿、鉢などを沢山作りだした。
ご自身では土いじりに専念しなかったのだから、
デザイナーですね。
書と絵も描きました。
その魯山人が描いた漆絵の富士山と桜が戻ってきました。
ポルトガルとの交流記念展。
是真を見た後の漆絵となると、
是真の富士山に軍配は上がるけれど、
桜のほうは、あら、可愛い、と思ってしまったのでした。
それは最大のおまけなのだが、
名食器の凄さは、やっぱり凄くて、
食材とのコラボには、
自然を取り込んだ土味が大事なんだなぁと
実感。しかし、絶対買えない!!
写しでもいいけれど、そうなるとちょっと悔しい。

その道に人生をささげる陶工の世界からは
疎まれたであろう、斬新な魯山人、半泥子が
二人意気投合してやきもの談をしたことが、
面白いと思った。
半泥子は茶器が得意、魯山人は食器。
おもしろいですね。この対比も。
二人は素人ながらもやきもの史上に残る名作を
数々生み出したのだった。
年初の展覧としては最高!!

そして、木曜日、お花のお稽古始をした後、
どうしても「土偶」に会いたくなって
上野に向かった。

まず最初に、芸大美術館で
「退任記念展 絹谷幸二 生命の奇跡 展」
を拝見しようと思った。
なぜって、奈良の人ですから~
ただ奈良に3年住んだことがあるだけで、
奈良の人に反応してしまいます。
ならまちの一角でお育ちと聞いたことがあります。
絹谷幸二氏の絵は奈良らしくない、
晴れ晴れとした色使い。
圧倒的に赤が多い。
ハレルヤ!な感じで西洋が香っている。
それでも、ゾクゾク生きているパワーを感じる。
お寺に入って内省することから真逆なイメージ。
発散です。
退任記念をお祝いする沢山の花々が
会場入り口のほうから階下まで
蒸せるような香りを振りまいていた。

入ってすぐに、生命力ジンジンする立体表現は
春の訪れのようで、とても私を元気にさせてくれた。

横尾忠則も、会田誠も、みんな突然現れたのではない、
みんな同じ歴史の時の帯の上で
その生きた証人として作品を誕生させていったのだと。

そんなことをぶつぶつ思いながら、
日本のこの土地で、最初に生まれた土の人型。
その展覧に向かった。

「土偶展」
子供たちが最初にものつくりする材料に粘土がある。
その素朴な仕事ぶりは無邪気。
純粋がものを作るとそうなる。
素敵なものつくりなのだ。
そして土偶にも素朴なお願い事があった。
愛する人、愛する人の子供、夢、願い。
母なる大地、母という自然。
熱い思いは、生まれてから何千年経過しても
薄れはしない。
みみずく土偶のスターを拝む。
そのそばにいた、土器をみる。
発掘品として平成館に展示されているもの達にも
ギンギンに美が輝いている。
漆の色を残しながらも、美しく彩色した痕跡。
きれいにいようと思う心。
アタシ、何かひとつ願い事があったら、
どんな形にするだろう?
愛するあなた、の形になるのだろうか?

本館へ。
国宝室は雪舟の「秋冬山水図」
セットで並ぶ贅沢な展示。
秋はじつにわかりやすいのだが、
冬はどうもなぞめいた画面だ。
あの山家の後ろにそびえる白々とした山の稜線は
どうなって終結しているのか、謎な感じ。
真ん中に垂れる不思議な線も妙だ。
摩訶不思議な冬の山水図。

洛中洛外図屏風 (舟木本)
目がしょぼしょぼします。
岩佐又兵衛の香りぷんぷんしますね。
色んな人がいろんな事してます。
ヒグラシの屏風です。
色んな見所満載。

お正月にNHKで舞楽を放映してたので、
せっかくなので見たけれど、
退屈でしたねぇ。
悠然と、蛇の型を持ってあっちやこっちに
くるくる動いているだけのようで、
ドン・ドン・ドン・というのんびりした太鼓に合わせて、
延々と続いたので、挫折。
でも衣装はすばらしかったし、面も鮮やかで
後ろに並ぶ雅楽を演奏する人たちも面白かった。
笙を吹く人は手あぶりで暖める、
そんなことをしているようでしたが。
その舞楽の衣装が能衣装のところに展示。
光源氏もこのような衣装を纏って踊り、女御達の
目を集めていたのかと。

今年の干支 虎シリーズの特集。
これも面白かった。
虎枕がぜひ間近で見たかったのだが、
案外可愛い目をしていたので、夢に出てきても
襲われはしなかっただろうと安心したりして。
虎は死して皮を留め、人は死して名を残す。
そんな一文があって、
虎の皮算用してはいけないんだと承った。
(そうじゃなくて)
岸駒の虎も迫力満点。

中国絵画の展示には、
鹿鶴図屏風。
沈南蘋、(沈銓)の濃密な屏風。
右隻には鹿、左隻には鶴。
鶴の足元の波頭が、北斎の波頭を彷彿。
重厚でねっとり濃い画面。

吹きガラスの特集は、
立派な冊子が配布されていて充実。
東洋館からの展示。

近代絵画に、
橋口五葉の美人と再会。
嬉しい~~
そして風景画も。
こういうことをしてくれるから、
東博通いはやめられない。

そして、昨日、江戸東京博物館。
いけばな展。
企画展示としては、さらりと見てしまった。
それでも
春日権現験記絵の模写本、渡辺始興の筆があって嬉しかった。
沢山の花伝書の中で、
昔から指南書がきちんと守られてきて、
方法が伝えられてきたのだなぁと
ちょっと気が重たくなった。(真面目な日本人に)
後水尾天皇は文化に花咲かせた優雅な時代の天皇。
その人の典雅な肖像。
花の流派では池坊が一番古い。
そのため、今回も沢山の出品。
池坊専好立花図屏風、これは美しかった。
花台まで丁寧に描き込まれていた。
仏花から邸内に入ってきた時代。
イベントには花が付き物。
近世花くらべ
これが楽しかった。

浮世絵に描かれた花比べなどの様子も面白い。

色んな花留を興味深く見た。
様々な形で花器のなかで地味な仕事をする道具。
草月はもっぱら、剣山。
使う道具によって流派がわかる、
そういうことも楽しいのだ。

常設に行って、またぐるぐる楽しんだ。
浮世絵のコーナーには
七福神参りがテーマ。子供達も絵に登場。
芳年のかわゆらしそう、は、赤ん坊を抱っこしている女性が
ちっともかわいいとおもっちゃいなさそう、
だった。

そんなこんなの最近のアート鑑賞でした。
独立して記事を書く気力がいまいちなので、
これでご勘弁願います。
また、次回、気合入れなおして頑張ります!!

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2 コメント

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Unknown (すぴか)
2010-01-20 10:01:50
こんにちは。
すてきなお正月の記録ですね。そのなかで
私が見たのは絹谷幸二展のみ、東博の常設も
まだ雪舟でなく万葉集、船木本もまだ、やってなかったし、今年のお正月は寒くて出かける気に
なれず、カルチャー教室がはじまって、やっとその帰りに行ったくらいです。
奈良に住んでいらしたなんて、いいなあ、
やはり憧れの地、何回か行ったきりですが、
ずい分歩き回りました。
今年もたくさんの記事楽しみにしています。
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すぴか さま (あべまつ)
2010-01-21 21:53:31
こんばんは。

お返事遅くなりました。
なんだかゆっくり鑑賞できる時間が持てずに
日々過ぎてゆきます。
それにとても寒暖の差がありすぎですね。
絹谷幸二氏のオブジェはだんじりとか、ねぷたを思いました。激しくアピールしていました。

鑑賞は自分の調子が上がらないと
目も心も開きませんね。
無理せず、そのときに身をゆだねましょう~
今年の奈良は遷都1300年の一大イベントの年。盛り上がるのでしょうね~行かれたらいいのですが、どうなりますことやら。

本年もゆるゆるよろしくお願いいたします。
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