あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

芸術新潮を読む

2007-07-12 18:22:36 | 
「芸術新潮」は、毎号きっちり買うわけではないが、
特集の影に、楽しいコラムや、連載物や、情報が意外や意外楽しい。

今月号を買ったのは、「美術は酔うもんやで」という文字。

畠山記念館の名学芸員、武内範男氏のお話。

この方の話がとても面白かった。

 学生のころ、花の師匠がよういってた。
 花は花入れにいけるもんやあらしません。
 お部屋にいけるものですよっ、て。

以前、チャールズとダイアナさんがいらした時、無視だったそうだ。
せっかく、青竹に英国の国花の薔薇をいれたのに、と言う前振りがある。

極めつけは、

 近ごろの展示は照明がきれいで作品もよくみえるけれど、
 むかし梅津先生(絵巻の研究者)がこういっていた。
 線はみえても絵がみえん、形はみえても姿がみえんということがある。
 つまり美術品の眼目は、線や色や形だけではないということ。
 井戸茶碗もなぁ、あっちこっちから写真撮って、
 ああだこうだと解説して、伝来やら茶人の思いやらを洗いおとして、
 けっきょくなにがのこる?
 もとの、ただの飯椀やないか。
 名物道具にたいして失礼やで、それは

と、堂々とのたまう。

とどめは、
 
 日本の美術工芸品は個人がもつのが正しいありかたではないか、と。
 愛玩しないとほんとうのよさはわからないもの。
 だれかが50年かけてあつめたものは、それから50年もてば
 じゅうぶんやないかと。
 あとははなればなれになればええのよ。
 この国の美術品はずっとそうやってつたえられてきたし、
 またそのことでそだちもした。
 人や美術館の寿命なんて美術品にくらべればみじかいもんや。
 どんな名品でも長年みてると飽きるものよ。
 美人といっしょ、定年も道理や。

床の間の写真がある。
武内氏がしつらえた床の間に
柳宗悦氏の書、「茶ニテアレ 茶ニテナカレ」
備前の花器に芭蕉と野バラが楚々と入る。
その下にある敷板が何と透明なアクリル。
前衛だ!

*本文抜粋より私が適当にダイジェスト。
 ひらがなは本文のママ。

こういう人がいてくれたことに、感動した。
初秋の畠山記念館に行く、それが断然楽しみとなった。
しかし、武内氏の定年が間近なのだそうだ。
誰がこの精神を受け継ぐのだろう??

また、楽しみな連載は、
青柳恵介氏の書く、「柳孝 骨董一代記」
毎回柳氏と青柳氏お二人が、骨董を扱いながらも、
ほのぼのとした品のいい実にさわやかなお話。

アートを巡る様々なお話に、品が流れている。
でも、堅い伝統のかび臭さがない。
そんなところで、ついつい買ってしまうのだ。

さて、定期購読のお誘いがあったけれど、
どうするかなぁ・・・ 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金刀比羅宮 のご紹介。 | トップ | 東京国立博物館 常設展  »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
芸術新潮は (oki)
2007-07-13 00:51:15
読者プレゼントがないのが物足りないです。
ぼくのお勧めは美術手帖、コンパクトで持ち運びにも便利。
今月号であべまつさんが行かれた金比羅の美のチケットがあたってしまいました!
「先着順」と書いてあるのに今頃贈ってくるのはどうかとー。
返信する
oki さま (あべまつ)
2007-07-13 20:53:20
こんぴらさんは、お馴染み某新聞社のものです。
最近、しっかりチケットをゲットして
出かけることが多くなり、
会員券と、ぐるっとパス、プレゼント券、
okiさんからのチケット、などなど色々使って
しあわせなことです。
芸新は、前より記事を読むようになりました。
芸大で、「てんぶら」という冊子をもらいました。
アートトップとかいう雑誌のおまけのようなもの。
それに申し込めばチケットが当たるチャンスが舞い込んでくるかも。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。