あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

花を学ぶ

2006-11-02 16:14:40 | 
5年も前になるけれど、闘病生活を余儀なくしていた頃、友人が持ってきてくれた、白洲正子の「花日記」すばらしい花の本です
何ともぐっとくる、心に染みる花景色ばかり。
こんな生活をしている人がいることが、驚愕だった。

ひなびたお家に、広々とした庭に季節の花々が自然に任せて咲いたのを、
古い土臭い骨董を花器として何気なく、
庭に咲いている時よりもずっとずっと魅力的になって、
さりげなく置いてあるのだ。
景色と一体となっている、理想の花だと思った。

奈良にいた頃、小料理屋の女将さんから、ちょっとだけ山村御流といういけばなを
教えてもらっていた。
そのお花もまた泣かせるほど、可憐で、出しゃばらない品の良いお花だった。
お茶花のようでもあった。
究極の引き算のお花だと思った。
しかし、たおやかで、優しいのだ。
一木一草で、主張しないお花。
場を和ませる花だ。

この二つの花に心酔している。

今お稽古をして頂いているのは、草月だけれど、現代の住居状況には、案外これがしっくりいくように思っている。 

低い庇もなければ、畳の部屋の床の間があるわけじゃなし、
当然床柱もない。
居間は、リビングと言われ、玄関の下駄箱の上にちょっとだけ花を置くスペースがあるくらい。

ましてや、お軸を掛けて、お香をたくこともなく、客間もなく、
訪問客をお招きすることもほとんどない。

おもてなしするための工夫からすっかり離れた世界となってしまっている。
そこになんとか、現代の花が活けることができたらいいなと思っている。
現代の普段、生活している環境に馴染む花を目指したい。
ヒントが草月にありそうな気がしているのだ。

生きとし生けるものの力を頂いて、大切におもてなしの心の表れとして、
活けてきた、花。
器も何とすばらしいこと。
そういった、花の歴史を感じながら、日本文化の流れを感じながら、
今一度「花日記」を開いて、ため息をついている。

これをするためには、田舎の一軒家で、骨董を買い集め、様々な日本文化を勉強して、我がものにしてからでなければ、実が結ぶことはあり得ない。
つまり、今のままでは、無理、ということ。

私なりの花を見つけるには、まだまだ遠い道のりだ。

あぁ~、白洲正子さんは、本当に日本の美の中を生きて、体験した、自由人だったのだなぁ・・・

ご案内です。
赤坂のキャピトルホテルのロビーに行くチャンスがありましたら、
ぜひ、草月の花をご覧になって下さい。
すばらしくゴージャスです。
あのロビーや、エレベーターホールなどにいつも草月がお客様を
歓待してくれています。
しばし、キャピトルは改装のため、休業されるとか。
リニューまで、楽しみに待っていたいものです。
それと、棟方志功の板画もあるので、一見の価値ありです。
また、来週、日本橋高島屋で、草月の花展があります。
お時間がありましたら、ぜひ。
あわせて個人的なご案内です。

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4 コメント

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Unknown (そらのかなた)
2006-11-03 09:25:32
日本人の繊細さ、シックなセンスの良さというのは、
世界一だと私は思っています。
四季のある国土が、様々な感性を生んだのでしょうね。

白州正子さんの本を読むと、まだまだ知らない美しい
日本語が沢山あることに驚かされます。

この国に生まれた幸せを、もっと味わいたいものだと
思います。


あべまつさんの挿したお花も見たいです。
返信する
花は野にあるように (雪月花)
2006-11-03 20:12:09
こんばんは。ちょっと雲が出ているけれど、今宵の十三夜月はきれいです。
あべまつさんの生けた花、わたしも拝見したいです。わたしは来週、茶花を学ぶ教室を見学する予定です。花にふれたくて‥ うずうずしているんです(笑
昨日、書店で水彩画家の安野光雅さんと杉本秀太郎さんの画文集を見つけました。安野さんの描く野の花は繊細で、はかなげな花の姿と透明水彩の色にうっとりしてしまいました。
返信する
そらのかなた さま (あべまつ)
2006-11-03 21:46:39
こんばんは。
今日はとっても良いお天気でしたね。
夕暮れ時のお月様もすてきでした。
昨日は草月のお稽古だったのです。
今回は、不思議なトゲ付きのうす緑の卵のような実がポワンポワンぶら下がっているフウセントウワタと、白百合、ピンクの小菊が和洋折衷に活けてあります。
順調にいけば、来週、3級修了して、いよいよ中級に入ります。たのしいですよ~~

以前撮った花をアップしてみようと思います。
超初心者なので、あしからずね★
返信する
雪月花 さま (あべまつ)
2006-11-03 21:58:39
こんばんは。
本当に今晩のお月様はきれいですね。
上野の森から、お月様が見えていました。
マンションの上にいるお月様と同じお月様とは思えません。世界中の人に同じお月様なのでしょうけれど・・・

安野光雅さんと、杉本秀太郎さんの画文集、どんなのかしら。今度本屋さんで、探してみますね。

茶花のおけいこの様子をぜひ教えて下さいマシね。
俳画に、お菓子作り、短歌や、文学など様々に造詣が深くていらっしゃるから、必然にお茶花も身につけられることと思っています。すばらしい~です!
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