あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

宮廷のみやび  ・東京国立博物館

2008-01-25 15:22:20 | 日本美術
私なりに楽しんできた。
御所人形は心底愛らしい。
仕覆裂、表具裂も、茶杓コレクションも
屏風や、絵巻も素敵だった。

でも、なにか、消化不良で、落ち着かない。

あの、「源氏物語和歌色紙貼交屏風」
近衛信尹筆 絵師は誰だろう?

琳派の香が漂う。
光悦がいるようだ。
宗達が絵筆を持っているようだ。
あのなだらかなカーブから菊が乱舞している。
絶妙なバランスで色紙が並ぶ。
「桜山吹図色紙貼付屏風」宗達を連想する。
「蔦の細道図屏風」の稜線を思う。

白河上皇が寵愛した待賢門院の嫁ぎ先候補に上がった藤原忠道の書。
西行と対極した忠道。
後期にはその西行の書が現れるという。

宮内庁所蔵品ももちろん出品されているけれど、
この陽明文庫所蔵品とは、いかなるものか。
三井家のお宝を見てきたばかりだけれど、
歴史の現場を踏んだお公家さまたちの足跡。

近衛家凞(いえひろ)の多才振りにも驚いた。
「花木真写貼交屏風」
この屏風の仕立てにも感動した。
海老茶とクリーム色が市松模様になり、
花木絵を盛り立てている。

「春日権現霊験記絵巻」
詞書を近衛家凞、絵は渡辺始興が担当している。
この絵の御簾の細かさ。
畳目をつぶさに描いた、御舟を思い出す。
大和絵の執拗なまでの微細さ。

明恵上人の「夢記」も後期の展示。
白洲正子の著書がこれらを見に行かせる。

読んできたものの証拠品だとするなら、
これを逃す手はない。

また、近衛家はあの細川護煕氏の縁戚。
白洲さんとも交流があった。
父上は護立氏で、中国骨董品の優品をコレクションしていた。

つまり、名家という環境がもたらす、
文化という花が延々と咲き続ける検証を見た様でもあるのだ。

後期にもぜひ出かけ、
明恵上人と、西行の書をこの目で確かめたい。
それと、
琳派の元祖がいることをもう一度鑑賞するために。

話は変わるが、
夢枕獏氏の朝日新聞連載小説「宿神」が完結し、
西行の行き様を追いかけたのだが、
執念にも似た熱い情熱こそが、
歴史に生き残る原動力なのかと思いは深まってきた。

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12 コメント

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Unknown (Tak)
2008-01-25 18:27:48
「源氏物語和歌色紙貼交屏風」の作者は
現代に生きていたらきっと子供時代
窓ガラスとかにポケモンシールとか
べたべた貼りつけた人だと思いました。
返信する
Tak さま (あべまつ)
2008-01-25 22:52:02
こんばんは。
お茶目なTakさん!

>窓ガラスとかにポケモンシールとか
 べたべた貼りつけた人だと思いました。

それなら、私もやってた~~~★
要するに遊べた人達、羨ましい限りです。
ホントに。
返信する
Unknown (遊行七恵)
2008-01-25 23:44:50
こんばんは
TBありがとうございます。

やっぱり古い血が続くと、家煕サンのようなディレッタントが生まれるものだな~と実感です。

ところであべまつさんにおススメのフリーペーパーがあります。
東京文花座。
たぶん気に入られるように思います。
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Unknown (nageire)
2008-01-26 10:00:30
近衛家は代々続く名家中の名家ですよね。
そこで、はぐくまれた文化は日本にとっては
貴重とかの問題を逸脱して日本人の根源の
美意識までもはぐくんでくれた。そんな気がします。
日常の生活の中や遊びからも美は生まれた美もしかり
そんな心を自分もわずかながら持ち続けたいと
思います。
返信する
遊行 さま (あべまつ)
2008-01-26 21:24:29
こんばんは。
今日は、母と近衛家繋がりで、工芸館に行ってきたのでした。
そこで、文化はやはり限られた殿上人のものだったんだなぁって親子で語ったのでした。

「東京文花座」知ってま~す!
でも、コンスタントに手に入らないので、
諦めていました。
手に入れたのはどこだったかしらん。
弥生美術館にあったかも?
返信する
nageire さま (あべまつ)
2008-01-26 21:40:19
こんばんは。

>日本人の根源の美意識までもはぐくんでくれた。

本当にその通りだと思います。
文化が美学が生まれる現場は
こんなところだと教えてもらったようです。
がさつな毎日、美に向かうには
底流に流れる知識が足りなさすぎて、
青くなるばかりですが、
私もnageireさんのような心構えで
美を見つめていきたいと思います。
返信する
Unknown (すぴか)
2008-01-27 18:42:28
こんばんは。
この展覧会はほんとにすごい、見てたら
きりがなくって、くたびれ果てました。
肝心の書が消化不良、もう一回もう一回と
行きそうです。臨書と言ってもあそこまで
出来るなんて、家熈にはびっくりです。
TBさせていただきました。
返信する
すぴか さま (あべまつ)
2008-01-27 22:30:44
こんばんは。

>この展覧会はほんとにすごい、見てたら
 きりがなくって、くたびれ果てました。

本当ですよね。東博で、特別展オンリーの回数券作ってくれないかと思いませんか??
会期が長い前期、後期で展示替えがあったりすると、
また、行きたくなりますものね。
後期は、私も書に目を配りたいと思っています。
コメントTBありがとうございます。
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Unknown (はな)
2008-01-30 22:32:18
あべまつさん、こんにちは!
家ひろ(←感じ出せない・涙)さんがすごかったです。
お仕事しながらあれだけの数寄の世界を作り上げたって…まさにスーパーマン。
こういうのって血筋なのか、環境なのか…つくづく名門ってすごいって思いました。

返信する
はな さま (あべまつ)
2008-01-30 22:50:50
こんばんは。

近衛家凞は、生粋のお公家さんだから、
庶民にゃわからないつらさもあったでしょうけれど、遊び上手ですよね。
名門名家に生まれたら、はなさんだって、大変なおひぃさまですよ。
アタシだってわかりゃしませんって、
妄想は果てしなく、
それこそがお里が知れるなのでした。
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