あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

私を映す本箱

2006-10-27 22:30:53 | 
雪月花さま、のサイトで、本のことを書かれています。

それで、考えてみました。
私流、本とのつきあい方。


読書家ではないけれど、本は大好き。
もっと頭に余裕のある人間だったら、もっともっと色んな正統派から、古典、現代、歴史、文学作品のあるとあらゆるものを漁り、世界中の文字を詰め込んでみたい。

そんなアホな事を思ってみても叶うことと、無理な事ってあるから、
自ずと好み、タイミング、流行、そんな切り口でしか関わっていない。

オペラ座の怪人の作者、ガストン・ルルーの「黄色い部屋の謎」
これがミステリーの最初だった。父から薦めてもらった。
まだ中学生だった私には、驚きの連続で、ドキドキして読み進んだことを思い出す。イギリスの重厚な自然と建物が同時期に見た、ジェーン・エアという映画と重なって、お城のような石造りの家と、ジョージ・C・スコットの顔が、忘れられなくなっている。

それからずっと後になって、「切り裂きジャック」を読んでその時の事を思い出した。サイコやキャリー、以前のパトリシア・コーンウェル、トマス・ハリスなどのミステリーものには、今でもゾクッとさせられている。

日本文学では、谷崎潤一郎、三島由紀夫、川端康成、永井荷風、江戸川乱歩、芥川龍之介、夢野久作、渋沢龍彦などなど怪しい湿気のある暗闇がお気に入りの世界となっていった。ばかばかしいほど真面目で、純粋で、斜めにずれているのだ。

夢二や、鏡花、抱一や其一のような日本画、京都友禅の染め物、猫、
巻き毛、マニキュア、ブランドショップ、流行のバッグと靴、フラワーアレンジメント、スワロフスキービーズ、レース、フリル、刺繍、ジュエリー、西洋アンティーク、ハート、ピンク・・・・
そういう女性らしい趣味と、離れていることも関係しているかもしれない。

昔っから、男っぽくて、着ているものも黒が多いし、ショートヘアで、爪は短い。
着物は織物の方が好きで、染め物は恥ずかしい。
草履よりも下駄だ。
ブランドものを持つことも恥ずかしいし、
キラキラ光るジュエリーや、ゴウジャスビーズも苦手だ。

何でも土っぽい、ざっくりとした、重たいものが好きなのだ。
色はどんな色でもくすんだ渋い色好み。やきものは磁器よりも陶器。
絵柄もない方が好きだ。唐草、縞、格子、李朝の草文様、そのくらいがいい。

骨董や、やきものの本、白洲正子の本、工芸、民芸関係や、お茶関係の本、美術関係の様々な手引き書、それらは最近とみに増えてきたもの。
読み流してしまう本は、なるべくリサイクルするように心がけ、
引っ越しの度に減ってきてしまった。

長靴下のピッピのように、教養はなくとも、生きる知恵があったほうが良いかもしれない。
お茶人達のように、厳しい美の世界で禅の道を究めることは、それは一種の戦いだと思う。利休は様々なものと、戦っていたのだと思うのだ。後継者の人々もまた。
戦いは天才にお任せしようと思った。

旅をする。
決して遠くまで行かないにしても、
いつもと違うところで、違うものを発見する。

人と出会う。
交流する。
その真ん中に美味しいお茶の一服が、人々の架け橋となる。

ひなびた旅館のおもてなしが妙に田舎っぽいのに、染みることがある。

心が喜ぶこと。
それが美との遭遇。
お茶との遭遇。

本との出会いも、また、必然の偶然の驚き、発見。

それは、単に自分の心が喜ぶことを探し続けていることで、
実はそれが一番の自分探しで、自分の美の探求につながっているのではないだろうか。

本棚、それはつまり、私の美の探検の足跡なのだ。

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4 コメント

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カタカナ恐怖症? (雪月花)
2006-10-28 11:40:55
あべまつさん、いつも読んでいて楽しくなる記事を有難う。あべまつさんは、きっとさっぱりとしたタイプの方なのですね。わたしはもともと体育会系なので、髪も爪も短く暮らしや服装のスタイルもシンプルなモノを好むので、あべまつさんとは気が合いそうです ^^

わたしも本棚に並ぶ本の背表紙を見つめなおしてみたところ、カタカナがほとんど見当たらないことに気づきました。塩野七生さんの「ローマ人の物語」シリーズのカタカナだけが燦然と輝いています‥(笑 もうすこし視野を広げなくてはいけないかも。

昨夜のNHK教育の「美の壷」をご覧になりましたか。本の装丁や挿絵にも、ますます興味が湧いてきました。

そうそう、東京町田にある白洲さんの住居「武相荘」を訪ねたことはありますか。まだでしたら、一度「武相荘」のホームページを見てみてくださいね。

良い週末をおすごしください。
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雪月花さま (あべまつ)
2006-10-28 15:09:05
ブログの記事を楽しく読んで頂いて、嬉し恥ずかしです。もう少し、女性らしくつつましい空気が醸し出せたら、と思ってみてもそれをやると、私が壊れていきます(笑:オホホではなく、ガハハです!)



「美の壺」見ましたよ。すばらしくて、ため息もらしつつ、うっとりしていました。

あぁ、谷崎の鍵、あれ、復刻版だったか、持っていたのに、引っ越しのどさくさで行方不明か、処分組か、誰かの家か・・・

どんなものでもこだわって、慈しんで作っていたものは、命が育まれ、愛されるのですね。



武相荘には、かねてから行きたいと思っていますが、行かれず終いとなっております。秋が深まってきたら、ゆっくり友人と訪ねたいね、と言ってます。たっぷり時間を作るのが大変なのです・・・

HPは何度も訪ねているのですけれど。



以前から、「あべまつ遊山」の方にも白洲さんのことを取り上げているのですが、あのつまらないものはダメよ!と突き放した語り口が、壺に入ってしまうのです。

悠然と男してますよね。なんとか弱いところを見つけたいのですが、まったく頑としていて手強いです。そこが惹かれるところです★
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はじめまして! (そらのかなた)
2006-10-29 13:17:05
私も、日曜美術館で沖 一蛾に魅かれ、検索していて

あべまつさんのブログにお邪魔させていただくこととなりました。



いいですねぇ。

美術に書籍。うずうずします。

「美の壷」は素敵ですよね。DVD出してほしいです。

NHK出版の番組本は、私はいまいちでした。

HPのほうが良い感じです。



また、遊びにこさせていただきますね。



それでは
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そらのかなた さま (あべまつ)
2006-10-29 14:18:15
ようこそ、いらっしゃいました★



沖 一蛾、ご覧になりましたか!!

今年はなんだか、若冲の深みにはまってしまいまして。図録だけでも見てみたいなぁと思っているところなのです。



「美の壷」を見ていると、楽しいことが沢山あるってことを教えてもらいます。オサレに生活ができたら、さぞ毎日が楽しいだろうって。

こんなところでよろしかったら、どうぞいつも遊びにいらしてくださいましね。
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