百花繚乱の絵画 ・神奈川県立近代美術館 葉山館

展覧会は、
「百花繚乱の絵画」として、
鎌倉の近美、近くの鎌倉別館、そして、葉山館３館で
同時に繰り広げられている。

ぐるっと回ればきっと見応えあるものになっただろうけれど、
私には時間がない。
一時間弱で美術館前からバスに乗らなければ、
晩ご飯の支度に間に合わない。
焦って、雑な見方になってしまうのが残念だけれど、
見ないより、見た方がいい、という選択。

驚いたことに、受付で頂いた作品リストの立派なこと。
３館分の作品の一覧があるのだが、
表紙絵には、タイトルにふさわしい
田淵安一「ヘスぺリデスの園」が取り上げられ、
ちょっとした挨拶と、３館の特徴の一文がある。
スタンプラリープレゼント企画もある。

これは嬉しい気持ちになるでしょう。

この展覧会は、葉山館が開館して５周年記念の企画なのだそうだ。

会場に入って驚く。

なんて凄い所蔵品群。

竹橋の近美常設よりも、展示室が広い気がした。
靉光の小品が目に飛び込んできた。
小さな板絵で、額も素朴な板でできている。
去年は個展で沢山素敵な絵とであった。

藤田嗣治、須田国太郎、古賀春江、三岸節子、吉原治良、
などなど、作品番号２７９まで、
沢山の画家達の大集合に驚いた。

時間に追われながらも素敵に思ったのは、
松本俊介、麻生三郎。
松本俊介は、ずるい。
幼き人のような線画を使い、とても拙い素朴な質感にやられる。
麻生三郎は、怖いくらい、見ている。
感じているより、じーっと見ている。
千住博氏の滝シリーズの元じゃないだろうかと思う、
李禹煥のFrom Lineとも出会う。

作品リストを見ると、
鎌倉にも行きたい！と思ったが、
なにしろ、悔しいが遠い。

美術館前のバス停に行こうとしたら、
ついにどす黒い雲から、大粒の雨が落ちてきた。

海がすさんで、暗い雲から大粒の雨、
バスは本当に来てくれるのだろうかと、
不安に思いつつ、待っていると、
大きな顔したバスが来た。
ホッとしたが、バスは途中からのろのろ動かない。

目指す電車の時刻はどんどん迫り、
焦る気持ちとは裏腹にじりじり動くバス。

考えてみたら、欲張りなツアーなのだった。
芸術祭の参加エリアにお邪魔し、
山口蓮春記念館に行き、近美葉山館まで足を伸ばし、
挙句にバスで、逗子駅に向かい、
順調に乗れるはずの電車を決めてきた。

道路はとても混雑を極め、２０分で着く予定のところ、
４５分もかかって逗子駅に到着した。

焦る気持ちは、一つもいいことはないなぁ。

また、ある晴れた日に、
ゆっくり神奈川近代美術館ツアーに出かけよう。

御用邸がある、ゆったりとした雰囲気、
歴史と、美術を愛する人々によって、
愛された土地に育てられた、葉山。

芸術を愛する土地なのだという印象。
葉山芸術祭というイベントが生まれたのも、
必然だったような気がする。

予定時間の１５分後に、無事東京方面に乗り込み、
１時間半後、お惣菜を買って帰った私は
いつもの下町に戻って行ったのだった。