あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

唐三彩 出光美術館

2019-07-13 17:32:36 | 美術展
 
 

出光美術館の陶磁器の充実ぶりは群を抜いています。
 前回の「六古窯」展でもすばらしい所蔵品を披露してくれました。

 今回も、そのグレードと蒐集の幅の広さを見せつけてくれました。

 地味、ではありますが、やきものファンにとっては外せない、唐三彩、なのです。

 ちょっと前のニュースであの、若冲コレクターのプライスさんが所有されている
 若冲作品を手放す際、その先が出光美術館と知り、Twitterのタイムラインがざわめきだったことを
 思い出します。いよいよここに、若冲作品がここ、日本の皇居エリアで拝見できるのです。
 楽しみすぎます。

 さてさて、唐三彩。
 やきものに一番最初に色が付いた、その発見に当時の人々は
 そのできたものを見て、おおいに沸いただろうと思います。
 墳墓のなかの埋葬品、として、埋葬される人を安心させてくれたのでしょう。
 出光コレクションからの唐三彩は10年ぶりのお披露目だそうです。

 はじめのケースには籾倉としての「褐釉囷」この倉を支えているのが、
 熊さんたち。胴回りには、熊のほか、鹿、猿、たちが貼り付けられています。
 そのリアルな形にぎょっとしました。
 その隣でも、熊さんが三頭、5㎝くらいの身長で、しっかり支えているのでした。

 動物たちとの共生は古い時代はもっと親しく、近くで生活を共にしていたのでしょう。
 とぐろを巻く、番龍と呼ばれる龍が二頭ぐるぐる巻となった「緑釉博山炉」
 「緑釉貼花文壺」など、唐三彩前の作例が並びました。

 そして、いよいよ、唐三彩。シルクロードを移動したであろう、駱駝、馬たちの作例が
 順番待ちのように並びます。
 埋葬されたところからわらわらと発見された写真が展示されていましたが、
 数で埋葬された方、その家の力などが想像できたのでしょう。
 馬の蹄のリアルなところや、馬飾りの端正なところ、
 男性の他、女性たちもなんなく騎乗していたようです。

 お墓の中には、死後も未来永劫飲食に困らぬよう、「万年壺」が作られました。
 そのたっぷりとした形から、切なる願いが膨らみ満ちています。

 蝋抜きの工夫された斑文なども見られます。

 シルクロードの往来で物も行き来します。
 木製の俑が久しぶりに展示されました。
 他、銀、ガラス製品も交流され、その形も色々に変化していきます。

 リュトンの流れも興味深いものでした。
 青銅器の写しの形、龍の耳をもった瓶、藍色の壺、
 蓮の葉をお皿のように丸めてお椀の形にした「三彩荷葉形碗」
 陶製の枕などなど。

 特に遼三彩とペルシア三彩
 この作品群の多色付けされた鉢などはイランのもの。
 鉢の姿もすっきりと大ぶり華やかな逸品でした。
 遼三彩の作品たちはどれも洗練されていて、契丹族のセンスの良さに
 感じ入ったのでした。

 ラストには、見てきた三彩の影響を受け継いできた系譜としての作品。
 形はスマートになり、色も多色、紫色などもでてきて、
 七宝焼きのような黒ベースの瓶なども生まれてきました。
 日本でも源内焼、長与焼などに三彩の影響を見ることができるのでした。

 素朴なやきものに、色が付くとまるで今まで見たことのない
 華やかなものに変わっていきます。
 その変化をどれだけ心躍らせて作り、死後の人たちを守ってきたか、
 またその影響がシルクロードを経て日本にも大きく伝わったこと、
 ゆったりと時の流れを感じつつ、鑑賞できる優雅なひとときでした。



 出光美術館唐三彩のサイトはこちら。

 8月25日までの開催です。基本月曜日が休館日。
  7/15,8/12は開館しています。 
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