あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

伊勢志賀山流 五世宗家継承記念公演 ・国立劇場 小劇場

2012-01-09 16:43:31 | 日本美術

 私事ながら、奈良とのご縁があって、
そのご縁で年初4日には国立劇場、小劇場で
伊勢志賀山流の五世宗家家元継承記念公演を鑑賞する機会に恵まれた。
当初は去年の3月21日の予定であったが
ご存じのように大震災の影響で延期となり、
いつの公演になることかと案じていたが、
お正月のおめでたい気分の中、華やかな舞台を堪能することができた。
その舞踊の美しさはもちろん、
大道具の舞台演出もとても興味深く、
長唄、鳴物、琵琶などの演奏も素晴らしかった。

演目は越後獅子や、
鷺娘、雪、壇ノ浦、謡曲「隅田川」から趣向の能形式な
賤機帯、
歌舞伎の助六から花道を取り入れた
傾城引抜助六、
また東大寺執事長、狭川普文氏の企画による
天平のひとから という東大寺開眼事業からの作品も。

歌舞伎でもおなじみな衣装の早変わりに
引き抜きという日本ならではの見せ場があるが、
あっという間に衣装が様変わりする瞬間は
その後見のプロ魂な仕事っぷりも感嘆させられる。

また、琵琶の弾き語りの演奏にはとても
魅力を感じた。
奥村旭翠さんという弾き手。
声も素晴らしく、朗々と壇ノ浦を語って
哀切感溢れる景色に奥深さを添えていた。

能の喜多流が大本に関わってきた流派らしく、
どことはなしに重厚感があり、
舞踊の中に足下がするするとした動きなどが見られ、
近江志賀で生まれた香が漂っていた。

決して派手な所作はないが、
いにしえの香りが今日の現代にも清々しく流れていることに
静かな感動を得た。

この公演は一日限り。
その一期一会にも感謝申し上げたい。

お招き頂いたので、お正月らしく着物を着ての鑑賞も
舞台を華やかにするお手伝いができたようだった。
他の方々も和服でお出かけの方が多く、
美しい姿を整え、その場にあった装いをする、
そのことの大切さも改めて考えさせられた。

ご一緒した方々も華やいだ空気の中、
こちらの着物姿に喜んでくださった。

日本の音曲芸能に触れた、大変おめでたいお正月行事となった。

遠路奈良からの往復にお疲れのことだったと思う、
いつもお世話になっている憧れのMさんにも
今年一年の幸を願って。

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